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JP4785735B2 - 電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池 - Google Patents

電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池 Download PDF

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Description

本発明は、電池用非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池に関し、特に安全性に優れた電池用非水電解液及び非水電解液電池に関するものである。
近年、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源として、又は小型電子機器の電源として、軽量且つ長寿命で、高エネルギー密度の電池が求められている。これに対し、リチウムを負極活物質とする非水電解液電池は、リチウムの電極電位が金属中で最も低く、単位体積当りの電気容量が大きいために、エネルギー密度の高い電池の一つとして知られており、1次電池・2次電池を問わず多くの種類のものが活発に研究され、一部が実用化し市場に供給されている。例えば、非水電解液1次電池は、カメラ、電子ウォッチ及び各種メモリーバックアップ用電源として用いられている。また、非水電解液2次電池は、ノート型パソコン及び携帯電話等の駆動電源として用いられており、更には、電気自動車や燃料電池自動車の主電源若しくは補助電源として用いることが検討されている。
これらの非水電解液電池においては、負極活物質のリチウムが水及びアルコール等の活性プロトンを有する化合物と激しく反応するため、該電池に使用される電解液は、エステル化合物及びエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒に限られている。
しかしながら、上記非プロトン性有機溶媒は、負極活物質のリチウムとの反応性が低いものの、例えば、電池の短絡時等に大電流が急激に流れ、電池が異常に発熱した際に、気化・分解してガスを発生したり、発生したガス及び熱により電池の破裂・発火を引き起こしたり、短絡時に生じる火花が引火する等の危険性が高い。
このような問題に対して、電池用非水電解液を難燃化する方法が検討されており、例えば、電解液にリン酸トリメチル等のリン酸エステル類を用いたり、非プロトン性有機溶媒にリン酸エステル類を添加したりする方法が報告されている(特開平4−184870号公報、特開平8−22839号公報、特開2001−182669号公報等参照)。しかしながら、これら一般的なリン酸トリエステル類は、不燃性が十分といはいえず、また、充放電を繰り返すことにより負極で徐々に還元分解され、サイクル特性等の電池特性が大きく劣化してしまう問題がある。
そこで、本発明の目的は、燃焼抑制効果に優れた化合物を添加してなる、優れた安全性を有する電池用非水電解液及び該非水電解液を備えた安全性の高い非水電解液電池を提供することにある。
本発明者らは、種々のホスフィンオキサイド化合物を検討した結果、特に優れた燃焼抑制効果を有する化合物が存在し、該化合物を非水電解液に添加することで、非水電解液及び非水電解液電池の安全性を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の電池用非水電解液は、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物と、支持塩とを含むことを特徴とする。
本発明の電池用非水電解液の好適例においては、前記ホスフィンオキサイド化合物の含有率が3体積%以上であり、5体積%以上であるのが更に好ましい。
本発明の電池用非水電解液の他の好適例においては、前記ホスフィンオキサイド化合物が下記式(I):
O=PR1 3 ・・・ (I)
(式中、R1は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR1はフッ素又はアミノ基である)で表される。ここで、式(I)中のR1が、それぞれ独立してフッ素、アミノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選択され、且つ少なくとも一つのR1がフッ素又はアミノ基であるのが更に好ましい。また、式(I)中のR1の少なくとも一つがフッ素で、且つ式(I)中のR1の少なくとも一つがアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物、並びに、式(I)中のR1の二つ以上が、フッ素又はアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物が特に好ましい。
本発明の電池用非水電解液は、更に非プロトン性有機溶媒を含むのが好ましい。ここで、該非プロトン性有機溶媒としては、環状及び鎖状のエステル化合物並びに鎖状のエーテル化合物が好ましい。
また、本発明の非水電解液電池は、上記電池用非水電解液と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物を含み、発火・引火の危険性が大幅に抑制された電池用非水電解液を提供することができる。また、該非水電解液を備え、安全性が著しく改善された非水電解液電池を提供することができる。
<電池用非水電解液>
以下に、本発明の電池用非水電解液を詳細に説明する。本発明の電池用非水電解液は、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物と、支持塩とを含み、必要に応じて、非プロトン性有機溶媒等を含んでもよい。本発明の非水電解液電池の非水電解液には、かかるホスフィンオキサイド化合物が含まれるため、非水電解液及び該非水電解液を備えた電池の発火・引火の危険性が大幅に抑制されている。
本発明の電池用非水電解液に用いられるホスフィンオキサイド化合物は、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有する限り特に制限はない。かかるホスフィンオキサイド化合物の中でも、上記式(I)で表されるホスフィンオキサイド化合物が好ましい。式(I)において、R1は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR1はフッ素又はアミノ基である。ここで、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、これらの中でも、フッ素が特に好ましい。一方、一価の置換基としては、アミノ基、アルコキシ基、アルキル基、カルボキシル基、アシル基、アリール基等が挙げられ、これらの中でも、電解液の発火・引火の危険性を低減する効果に優れる点で、アミノ基及びアルコキシ基が好ましい。また、上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等が挙げられ、上記アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。これら一価の置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されているのが好ましく、ハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が好適に挙げられ、フッ素が最も好ましく、次いで、塩素が好ましい。
上記ホスフィンオキサイド化合物は、分子中の10質量%以上がハロゲン元素であるのが好ましく、分子中の15質量%以上がハロゲン元素であるのが更に好ましい。また、該ホスフィンオキサイド化合物は、分子中の7質量%以上がフッ素であるのが好ましく、分子中の10質量%以上がフッ素であるのが更に好ましい。分子中の10質量%以上がハロゲン元素であるホスフィンオキサイド化合物は、非水電解液の燃焼を抑制する効果に優れ、分子中の7質量%以上がフッ素であるホスフィンオキサイド化合物は、非水電解液の燃焼を抑制する効果に特に優れる。
上記ホスフィンオキサイド化合物としては、式(I)中のR1の少なくとも一つがフッ素で、且つ式(I)中のR1の少なくとも一つがアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物、並びに、式(I)中のR1の二つ以上がフッ素又はアミノ基であるホスフィンオキサイド化合物が特に好ましい。これらホスフィンオキサイド化合物は、電解液の燃焼抑制に寄与するフッ素及びアミノ基の分子中に占める割合が高いため、優れた燃焼抑制効果を有する。
上記式(I)のホスフィンオキサイド化合物として、具体的には、トリフルオロホスフィンオキサイド[O=PF3]、トリアミノホスフィンオキサイド[O=P(NH2)3]、アミノジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2NH2]、ジアミノフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(NH2)2]、メチルジアミノホスフィンオキサイド[O=P(NH2)2CH3]、メチルアミノフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(NH2)CH3]、ジメトキシフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(OCH3)2]、エトキシジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(OC25)]、メトキシジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(OCH3)]、ジメチルフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(CH3)2]、ジエトキシフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(OC25)2]、メチルジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(CH3)]等が挙げられる。
上記ホスフィンオキサイド化合物の非水電解液中における含有率は、3体積%以上であるのが好ましく、5体積%以上であるのが更に好ましい。上記ホスフィンオキサイド化合物の非水電解液中における含有率が3体積%以上であれば、非水電解液の発火・引火の危険性を充分に抑制することができる。なお、上記ホスフィンオキサイド化合物は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の電池用非水電解液に用いられる支持塩としては、リチウムイオンのイオン源となる支持塩が好ましい。該支持塩としては、特に制限はないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC49SO3、Li(CF3SO2)2N及びLi(C25SO2)2N等のリチウム塩が好適に挙げられる。これら支持塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記非水電解液中の支持塩の濃度としては、0.2〜1.5mol/L(M)が好ましく、0.5〜1mol/L(M)が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L(M)未満では、電解液の導電性を充分に確保することができず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがあり、1.5mol/L(M)を超えると、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオンの移動度を充分に確保できないため、前述と同様に電解液の導電性を充分に確保できず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがある。
本発明の非水電解液に用いることができる非プロトン性有機溶媒は、負極と反応することなく、更には非水電解液の粘度を低く抑えることができる。該非プロトン性有機溶媒として、具体的には、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフェニルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、メチルフォルメート(MF)等のエステル類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が好適に挙げられる。これらの中でも、1次電池の非水電解液用の非プロトン性有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン及びγ-ブチロラクトンが好ましく、一方、2次電池の非水電解液用の非プロトン性有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びメチルフォルメートが好ましい。なお、環状のエステル類は、比誘電率が高く支持塩の溶解性に優れる点で好適であり、一方、鎖状のエステル類及び鎖状のエーテル類は、低粘度であるため、電解液の低粘度化の点で好適である。これら非プロトン性有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<非水電解液電池>
次に、本発明の非水電解液電池を詳細に説明する。本発明の非水電解液電池は、上述の電池用非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の非水電解液電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。
本発明の非水電解液電池の正極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の正極活物質としては、フッ化黒鉛[(CFx)n]、MnO2(電気化学合成であっても化学合成であってもよい)、V25、MoO3、Ag2CrO4、CuO、CuS、FeS2、SO2、SOCl2、TiS2等が好適に挙げられ、これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には放電電位が高く電解液の濡れ性に優れる点で、MnO2、フッ化黒鉛が好ましい。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、非水電解液2次電池の正極活物質としては、V25、V613、MnO2、MnO3等の金属酸化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFeO2及びLiFePO4等のリチウム含有複合酸化物、TiS2、MoS2等の金属硫化物、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が好適に挙げられる。上記リチウム含有複合酸化物は、Fe、Mn、Co及びNiからなる群から選択される2種又は3種の遷移金属を含む複合酸化物であってもよく、この場合、該複合酸化物は、LiFexCoyNi(1-x-y)2(式中、0≦x<1、0≦y<1、0<x+y≦1)、LiMnxFey2-x-y、あるいはLiNixCoyMn1-x-y2等で表される。これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には電解液の濡れ性に優れる点で、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiNi1/3Co1/3Mn1/32が特に好適である。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の非水電解液電池の負極活物質は1次電池と2次電池で一部異なり、例えば、非水電解液1次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体の他、リチウム合金等が挙げられる。リチウムと合金をつくる金属としては、Sn、Si、Pb、Al、Au、Pt、In、Zn、Cd、Ag、Mg等が挙げられる。これらの中でも、埋蔵量の多さ、毒性の観点からAl、Zn、Mgが好ましい。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、非水電解液2次電池の負極活物質としては、リチウム金属自体、リチウムとAl、In、Sn、Si、Pb又はZn等との合金、リチウムをドープした黒鉛等の炭素材料等が好適に挙げられ、これらの中でも安全性がより高く、電解液の濡れ性に優れる点で、黒鉛等の炭素材料が好ましく、黒鉛が特に好ましい。ここで、黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等、広くは易黒鉛化カーボンや難黒鉛化カーボンが挙げられる。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記正極及び負極には、必要に応じて導電剤、結着剤を混合することができ、導電剤としてはアセチレンブラック等が挙げられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配合割合で用いることができる。
また、上記正極及び負極の形状としては、特に制限はなく、電極として公知の形状の中から適宜選択することができる。例えば、シート状、円柱形状、板状形状、スパイラル形状等が挙げられる。
本発明の非水電解液電池に使用できる他の部材としては、非水電解液電池において、正負極間に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在させるセパレーターが挙げられる。セパレーターの材質としては、両極の接触を確実に防止し得、且つ電解液を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルム、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムが特に好適である。本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常電池に使用されている公知の各部材が好適に使用できる。
以上に説明した本発明の非水電解液電池の形態としては、特に制限はなく、コインタイプ、ボタンタイプ、ペーパータイプ、角型又はスパイラル構造の円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられる。ボタンタイプの場合は、シート状の正極及び負極を作製し、該正極及び負極でセパレーターを挟む等して、非水電解液電池を作製することができる。また、スパイラル構造の場合は、例えば、シート状の正極を作製して集電体を挟み、これに、シート状の負極を重ね合わせて巻き上げる等して、非水電解液電池を作製することができる。
<実施例>
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
メトキシジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2(OCH3)]10体積%と、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)混合溶液(EC/EMC体積比=3/7)90体積%とを混合し、更に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、非水電解液を調製した。得られた非水電解液の限界酸素指数を下記(1)の方法で測定し、表1に示す結果を得た。
(1)電解液の限界酸素指数
JIS K 7201に準じて、電解液の限界酸素指数を測定した。限界酸素指数が大きい程、電解液が燃焼し難いことを示す。具体的には、SiO2シート(石英濾紙、不燃性)127mm×12.7mmをU字型のアルミ箔で補強して自立可能とし、該SiO2シートに前記電解液1.0mLを含浸して試験片を作製した。該試験片を試験片支持具に垂直に、燃焼円筒(内径75mm、高さ450mm、直径4mmのガラス粒を底部から100±5mmの厚さに均等に満たし金属製の網をその上に置いたもの)の上端部から100mm以上の距離に位置するように取り付け、次に、燃焼円筒に酸素(JIS K 1101又はこれと同等以上のもの)及び窒素(JIS K 1107の2級又はこれと同等以上のもの)を流し、試験片を所定の酸素濃度下で点火し(熱源はJIS K 2240の1種1号)、燃焼状態を調べた。但し、燃焼円筒内の総流量は11.4L/minである。この試験を3回行い、その平均値を表1に示す。なお、酸素指数とは、材料が燃焼を持続するのに必要な容量パーセントで表される最低酸素濃度の値をいい、本願では、試験片が3分以上継続して燃焼するか、着炎後の燃焼長さが50mm以上燃えるのに必要な最低の酸素流量とそのときの窒素流量から、下記の式:
限界酸素指数=(酸素流量)/[(酸素流量)+(窒素流量)]×100(体積%)
に従って限界酸素指数を算出した。
次に、LiCoO2(正極活物質)94質量部に対して、アセチレンブラック(導電剤)3質量部と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量部とを添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmのアルミニウム箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの正極シートを作製した。また、人造グラファイト(負極活物質)90質量部に対して、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)10質量部を添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmの銅箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの負極シートを作製した。得られた正極シートに、厚さ25μmのセパレーター(微孔性フィルム:ポリプロピレン製)を介して、負極シートを重ね合わせて巻き上げ、円筒型電極を作製した。該円筒型電極の正極長さは約260mmであった。該円筒型電極に、上記電解液を注入して封口し、単三型リチウム電池(非水電解液2次電池)を作製した。得られた電池のサイクル特性及び低温特性を下記の方法で測定し、表1に示す結果を得た。
(2)電池のサイクル特性の評価
20℃の環境下で、上限電圧4.3V、下限電圧3.0V、放電電流50mA、充電電流50mAの条件で、50サイクルまで充放電を繰り返し、初期における放電容量と50サイクル後の放電容量とから、下記の式:
容量残存率S=50サイクル後の放電容量/初期放電容量×100(%)
に従って容量残存率Sを算出し、電池のサイクル特性の指標とした。
(3)電池の低温特性の評価(低温放電容量残存率の測定)
20℃と-10℃の環境下で、上限電圧4.3V、下限電圧3.0V、放電電流50mA、充電電流50mAの条件で充放電を5サイクル行い、20℃と-10℃において測定した5サイクル後の放電容量を比較し、下記の式:
容量残存率L=
5サイクル後放電容量(-10℃)/5サイクル後放電容量(20℃)×100(%)
に従って容量残存率Lを算出し、電池の低温特性の指標とした。
(実施例2)
実施例1の非水電解液の調製において、メトキシジフルオロホスフィンオキサイドに代えてアミノジフルオロホスフィンオキサイド[O=PF2NH2]10体積%とした他は、実施例1と同様に非水電解液を調製し、得られた非水電解液の限界酸素指数を測定した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性及び低温特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の非水電解液の調製において、メトキシジフルオロホスフィンオキサイドに代えてジアミノフルオロホスフィンオキサイド[O=PF(NH2)2]10体積%とした他は、実施例1と同様に非水電解液を調製し、得られた非水電解液の限界酸素指数を測定した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性及び低温特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の非水電解液の調製において、メトキシジフルオロホスフィンオキサイドに代えてリン酸トリメチル10体積%とした他は、実施例1と同様に非水電解液を調製し、得られた非水電解液の限界酸素指数を測定した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性及び低温特性をそれぞれ評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004785735
表1に示すように、分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物を電解液に添加することにより、非水電解液の限界酸素指数を向上させることができ、非水電解液の安全性を改善できることが確認された。

Claims (10)

  1. 分子中にP−F結合及び/又はP−NH2結合を有するホスフィンオキサイド化合物と、支持塩とを含むことを特徴とする電池用非水電解液。
  2. 前記ホスフィンオキサイド化合物の含有率が3体積%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電池用非水電解液。
  3. 前記ホスフィンオキサイド化合物の含有率が5体積%以上であることを特徴とする請求項2に記載の電池用非水電解液。
  4. 前記ホスフィンオキサイド化合物が下記式(I):
    O=PR1 3 ・・・ (I)
    (式中、R1は、それぞれ独立して一価の置換基又はハロゲン元素であり、少なくとも一つのR1はフッ素又はアミノ基である)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電池用非水電解液。
  5. 前記式(I)中のR1が、それぞれ独立してフッ素、アミノ基、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選択され、且つ少なくとも一つのR1がフッ素又はアミノ基であることを特徴とする請求項4に記載の電池用非水電解液。
  6. 前記式(I)中のR1の少なくとも一つがフッ素で、且つ式(I)中のR1の少なくとも一つがアミノ基であることを特徴とする請求項5に記載の電池用非水電解液。
  7. 前記式(I)中のR1が、それぞれ独立してフッ素又はアミノ基であることを特徴とする請求項5に記載の電池用非水電解液。
  8. 更に非プロトン性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池用非水電解液。
  9. 前記非プロトン性有機溶媒が、環状若しくは鎖状のエステル化合物又は鎖状のエーテル化合物を含むことを特徴とする請求項8に記載の電池用非水電解液。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の電池用非水電解液と、正極と、負極とを備えた非水電解液電池。
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