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JP4781442B2 - 変速機 - Google Patents

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JP4781442B2
JP4781442B2 JP2009050521A JP2009050521A JP4781442B2 JP 4781442 B2 JP4781442 B2 JP 4781442B2 JP 2009050521 A JP2009050521 A JP 2009050521A JP 2009050521 A JP2009050521 A JP 2009050521A JP 4781442 B2 JP4781442 B2 JP 4781442B2
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Description

本発明は、駆動源からの動力が入力軸を介して入力される複式プラネタリ機構を有する変速機に関する。
4個のプラネタリ機構および5つの係合要素を用いて前進8段後進1段を実現した変速機が特許文献1で知られており、またツインクラッチを用いて多段変速を実現したツインクラッチ式変速機が特許文献2で知られている。
特表2008−531954号公報 特開平11−51125号公報
上記特許文献1で開示されるものでは、係合要素を複数の変速段で使用し、各変速段で伝達するトルクが異なるので、最も大きなトルク伝達を行う変速段に対応して係合要素を設計する必要があり、そのことが変速制御を難しくする原因となっている。すなわち場合によっては大容量のクラッチで小さなトルクを制御する必要があり、例えるならば消防用のポンプで花壇の水遣りをするような状態が生じる。またプラネタリ機構では、空転中の係合要素が大きな差回転を生じる場合があるが、これはいたずらにフリクションを増加させ、また最悪の場合、変速機の焼付き等の故障の原因となり、変速機の効率悪化の原因となる。
また上記特許文献2で開示されるものでは、横置きエンジンのフロントドライブ車への搭載を考慮すると、メインシャフトの全長すなわち変速機の全長を短くするために、カウンタシャフトを2つ以上用いたツインカウンタ方式をとることが一般的であり、この場合、メインシャフトおよびデフ軸の下側に配置されるカウンタシャフトは油中で回転することになり、攪拌抵抗が増えることで変速効率を悪化させる原因となる。
また更なる燃費改善の要求等から8段以上の多段化が必要となった場合、ギヤ列を増やすことが必要であり、メインシャフトの全長すなわち変速機の全長が長くなることから、車両への搭載性が損なわれ、多段化が困難となる。
またシャフトのベアリングによる支持スパンが長くなると、高負荷時のシャフト撓みが発生し、耐久性等に影響が出やすくなる。これによりシャフトの剛性を上げることは、変速機の重量増加を招き、燃費を悪化させることになる。したがってトレーラー牽引等の高負荷運転が予想される車両への搭載は困難である。
さらに変速制御において、特許文献2開示のものでは、その構造の特性上、スムーズな1段飛び(偶数段から奇数段もしくは奇数段から偶数段)の変速ができず、またドライバによる予期せぬアップシフトやダウンシフトの要求には、高速でのプリシフトが必要であり、満足な変速時間を得るには、大容量のシンクロ機構が必要であり、フリクションを増大させることになる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、変速制御性を高めるとともに、フリクションを小さくして効率を高めた変速機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、駆動源からの動力が入力軸を介して入力される複式プラネタリ機構を有する変速機において、前記複式プラネタリ機構の3つの要素および前記入力軸間に動力伝達の断・接を切換可能なクラッチが各要素毎に個別に設けられ、前記複式プラネタリ機構のいずれかの要素および変速機ケース間に当該要素を対地固定するブレーキが設けられ、前記複式プラネタリ機構が備える複数の要素のうち2つの要素と、前記入力軸と平行な出力軸との間には、それぞれギヤ列から構成され減速比が互いに異なる2つの伝動機構が、前記出力軸側への動力伝達を選択的に切り換えるようにして設けられ、一方の伝動機構を構成する第1ギヤ列の被動ギヤが前記出力軸に相対回転自在に支承されると共に、その被動ギヤおよび前記出力軸の連結および連結解除を切換える第1連結切換機構が前記出力軸上に配置され、他方の伝動機構を構成する第2ギヤ列の駆動ギヤが、前記複式プラネタリ機構の1つの要素に連なって前記入力軸と同軸に配置される伝動軸に相対回転自在に支承されると共に、その駆動ギヤおよび前記伝動軸の連結および連結解除を切換える第2連結切換機構が前記伝動軸上に配置されることを第1の特徴とする。
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記ブレーキが、前記複式プラネタリ機構が備える複数の要素のうち前記入力軸との間に前記クラッチが介設される3つの要素とは異なる要素と、前記変速機ケースとの間に設けられることを第2の特徴とする。
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記第1ギヤ列は、両ギヤ列のうちギヤ比が低い側であり、また前記第2ギヤ列は、両ギヤ列のうちギヤ比が高い側であることを第3の特徴とする。
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、2つの前記伝動機構が、前記3つのクラッチの1つと、前記複式プラネタリ機構との間に配置されることを第4の特徴とする。
さらに本発明は、第4の特徴の構成に加えて、前記入力軸と平行な軸線まわりに回転可能な副軸に対して相対回転自在である状態ならびに前記副軸とともに回転する状態を切換可能とした第1後進用アイドルギヤが、記両伝動機構の一方の被動ギヤに噛合され、前記副軸に固定される第2後進用アイドルギヤが、前記両伝動機構の他方の駆動ギヤに噛合されることを第5の特徴とする。
なお実施の形態の第2被動ギヤ21が本発明の被動ギヤに対応し、実施の形態の第3駆動ギヤ23が本発明の駆動ギヤに対応し、実施の形態の第1および第2ドグクラッチD1,D2が本発明の第1および第2連結切換機構に対応し、実施の形態のエンジンEが本発明の駆動源に対応し、実施の形態のキャリアCA、ラージリングギヤLR、ラージサンギヤLS、スモールリングギヤSRおよびスモールサンギヤSSが、本発明の複式プラネタリ機構の要素に対応する。
本発明の上記構成によれば、複式プラネタリ機構の3つの要素および入力軸間にそれぞれ設けられるクラッチの動力伝達および遮断を切換えるとともに、複式プラネタリ機構のいずれかの要素および変速機ケース間に設けられるブレーキの制動および非制動を切換えることで、入力軸からの回転動力を変速して複式プラネタリ機構の2つの要素の一方から出力せしめ、それらの2つの要素および出力軸間に設けられる各々ギヤ列よりなる2つの伝動機構による出力軸への動力伝達を選択的に切り換えることで、複式プラネタリ機構から出力される動力をさらに変速して出力軸に伝えることができる。したがって適切な変速比およびステップ比を得ながら多段変速を可能し、クラッチに必要な容量を小さくかつ適切に定めて変速制御性を高めるとともに、フリクションを小さくして効率を高めることができる。
変速機を模式的に示すスケルトン図である。 プラネタリ機構の構成を示す図である。 伝動機構の軸配置を示す図である。 速度線図である。
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。
図1〜図4を参照しながら本発明の実施例1について説明すると、先ず図1において、この変速機は、駆動源であるエンジンEからの動力が入力軸11を介して入力される複式プラネタリ機構Pと、複式プラネタリ機構Pの3つの要素および前記入力軸11間に動力伝達の断・接を切換可能として各要素毎に設けられる第1、第2および第3クラッチC1,C2,C3と、前記複式プラネタリ機構Pのいずれかの要素および変速機ケース12間に設けられる第1および第2ブレーキB1,B2と、複式プラネタリ機構Pが備える複数の要素のうち2つの要素および出力軸13間に減速比を相互に異ならせて設けられる2つの伝動機構14,15とを備え、前記出力軸13は、前記入力軸11と平行な軸線を有するように配置され、該出力軸13に設けられる第1駆動ギヤ18ならびに第1駆動ギヤ18に噛合する第1被動ギヤ19から成る歯車列17を介して差動装置16に連結される。
図2において、前記複式プラネタリ機構Pは、破線で示す4要素ラビニヨウ型の複式プラネタリ機構に、実線で示すラージリングギヤLRおよび第1ショートピニオンSP1を加えて5要素に構成される。すなわち複式プラネタリ機構Pは、前記入力軸11と同軸に配置されるラージサンギヤLS、スモールサンギヤSS、ラージリングギヤLR、スモールリングギヤSRおよびキャリアCAを要素として備える5要素のものであり、キャリアCAには、ラージリングギヤLRに噛合する第1ショートピニオンSP1と、スモールサンギヤSSに噛合する第2ショートピニオンSP2と、ラージサンギヤLSおよびスモールリングギヤSRに噛合するとともに第1および第2ショートピニオンSP1,SP2に噛合するロングピニオンLPとが軸支される。而して第1および第2ショートピニオンSP1,SP2は、図1では簡略化のために省略されている。
第1、第2および第3クラッチC1,C2,C3は、複式プラネタリ機構Pが備える5要素のうちラージサンギヤLS、ラージリングギヤLRおよびキャリアCAと前記入力軸11との間にそれぞれ設けられる。また第1および第2ブレーキB1,B2は、前記複式プラネタリ機構Pが備える複数の要素のうち前記入力軸11との間に第1〜第3クラッチC1,C2,C3が介設される3つの要素LSLR,CAとは異なる要素であるスモールリングギヤSRおよびスモールサンギヤSSと、変速機ケース12との間に設けられるものであり、スモールリングギヤSRおよび変速機ケース12間には第1ブレーキB1と並列に一方向クラッチF1が設けられる。
図3を併せて参照して、前記伝動機構14,15は、それぞれギヤ列から成るものであり、ギヤ比が低い側のギヤ列である伝動機構14は、キャリアCAに一体に設けられる第2駆動ギヤ20と、第2駆動ギヤ20に噛合して出力軸13に相対回転自在に支承される第2被動ギヤ21とから成り、ギヤ比が高い側のギヤ列である伝動機構15は、前記複式プラネタリ機構Pの1つの要素であるラージサンギヤLSに連なって前記入力軸11と同軸に配置される伝動軸22に相対回転自在に支承される第3駆動ギヤ23と、第3駆動ギヤ23に噛合して前記出力軸13に固設される第3被動ギヤ24とから成る。
前記両伝動機構14,15による前記出力軸13への動力伝達は選択的に切換えられるものであり、伝動機構14における第2被動ギヤ21の出力軸13への連結および連結解除を切換える第1連結切換機構である第1ドグクラッチD1が出力軸13上に配置され、伝動機構15における第3駆動ギヤ23の伝動軸22への連結および連結解除を切換える第2連結切換機構である第2ドグクラッチD2が伝動軸22上に配置される。
しかも前記両伝動機構14,15は、複式プラネタリ機構Pの3つの要素および前記入力軸11間に設けられる第1、第2および第3クラッチC1,C2,C3のうちの1つである第1クラッチC1と、複式プラネタリ機構Pとの間に配置される。
ところで入力軸11および伝動軸22と、出力軸13と、差動装置16とは、差動装置16の下部が変速機ケース12内に貯留された潤滑油の油面Lよりも下方に位置するものの、入力軸11および伝動軸22と、出力軸13とは、伝動機構14,15が前記油面Lよりも上方に位置するように配置されるものであり、出力軸13および差動装置16間のギヤ列17および伝動機構14,15は潤滑油を攪拌することがないように油面Lよりも上方に配置されることになり、このような配置により、攪拌抵抗が増えることを回避し、変速効率の向上に寄与することができる。
前記入力軸11および伝動軸22と、出力軸13との間には、前記入力軸11と平行な軸線まわりに回転可能な副軸27が、前記油面Lよりも上方に位置するようにして、前記入力軸11、伝動軸22、出力軸13よりも上方に配置されており、図1で示すように、副軸27には、第1後進用アイドルギヤ28が相対回転自在に支承されるとともに第2後進用アイドルギヤ29が固定され、副軸27に対して第1後進用アイドルギヤ28が相対回転自在である状態ならびに第1後進用アイドルギヤ28が前記副軸27とともに回転する状態を切換える第3ドグクラッチD3が副軸27上に設けられる。
第1後進用アイドルギヤ28は、前記両伝動機構14,15の一方の被動ギヤである伝動機構14の第2被動ギヤ21に噛合され、第2後進用アイドルギヤ29は、前記両伝動機構14,15の他方の駆動ギヤである伝動機構15の第3駆動ギヤ23に噛合される。
而して後進時には、伝動機構14の第2被動ギヤ21を出力軸13に対して相対回転自在の状態とし、伝動機構15の第3駆動ギヤ23を伝動軸22に対して相対回転自在な状態としつつ、第3ドグクラッチD3によって第1後進用アイドルギヤ28を副軸27に固定した状態で、複式プラネタリ機構PのキャリアCAから回転動力を出力させる。それにより、回転トルクが、キャリアCAから第2駆動ギヤ20、第2被動ギヤ21、第1後進アイドルギヤ28、副軸27、第2後進アイドルギヤ29、第3駆動ギヤ23および第3被動ギヤ24を介して出力軸13に伝達されることになる。
このような変速機において、第1〜第3クラッチC1,C2,C3、第1および第2ブレーキB1,B2ならびに第1〜第3ドグクラッチD1,D2,D3の作動状態を表1で示すように設定することで、8段の前進変速段および1段の後進段を切換えて車両を走行させることができ、この際の前進変速段の速度線図は図4で示される。ここで表1の●は作動状態を示し、表1の一方向クラッチF1が●であるときには、スモールリングギヤSRの回転を制止した状態であることを示し、(●)はエンジンブレーキ時の作動状態を示すものであり、「Ratio」は各変速段での変速比の一例を示し、「Step」はステップ比の一例を示すものである。また図4において、最下方の横実線は速度「0」を示し、下から2番目の横実線は、ラージサンギヤLS、ラージリングギヤLRもしくはキャリアCAに入力される回転速度を示す。また図4の縦線は、その右側から順に、プラネタリ機構PのラージサンギヤLS、ラージリングギヤLR、キャリアCA、スモールリングギヤSRおよびスモールサンギヤSSを示す。
Figure 0004781442
而して後進段では、第2および第3クラッチC2,C3を動力遮断状態とするとともに第1および第2ブレーキB1,B2を非制動状態とし、第1および第2ドグクラッチD1,D2を非作動状態とし、第1クラッチC1を動力伝達状態とするとともに第3ドグクラッチD3を作動せしめて第1後進用アイドルギヤ28を副軸27に固定する。これにより、複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がラージサンギヤLSに伝達され、キャリアCA、ラージリングギヤLRおよびスモールサンギヤSSは空転可能であり、スモールリングギヤSRは一方向クラッチF1によって回転を制止された状態にある。このような状態では、キャリアCAがラージサンギヤLSからの動力伝達によって回転し、キャリアCAから第2駆動ギヤ20、第2被動ギヤ21、第1後進アイドルギヤ28、副軸27、第2後進アイドルギヤ29、第3駆動ギヤ23および第3被動ギヤ24を介して出力軸13にトルクが伝達されることになる。
また第1速の前進変速段では、第2および第3クラッチC2,C3を動力遮断状態とするとともに第1および第2ブレーキB1,B2を非制動状態とし、第2および第3ドグクラッチD2,D3を非作動状態とし、第1クラッチC1を動力伝達状態とするとともに第1ドグクラッチD1を作動せしめて第2被動ギヤ21を出力軸13に固定する。これにより、複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がラージサンギヤLSに伝達され、キャリアCA、ラージリングギヤLRおよびスモールサンギヤSSは空転可能であり、スモールリングギヤSRは一方向クラッチF1によって回転を制止された状態にある。このような状態では、キャリアCAがラージサンギヤLSからの動力伝達によって回転し、キャリアCAから伝動機構14を介して出力軸13にトルクが伝達される。
第2速の前進変速段では、第1および第3クラッチC1,C3を動力遮断状態とするとともに第1および第2ブレーキB1,B2を非制動状態とし、第2および第3ドグクラッチD2,D3を非作動状態とし、第2クラッチC2を動力伝達状態とするとともに第1ドグクラッチD1を作動せしめて第2被動ギヤ21を出力軸13に固定する。これにより、複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がラージリングギヤLRに伝達され、キャリアCA、ラージサンギヤLSおよびスモールサンギヤSSは空転可能であり、スモールリングギヤSRは一方向クラッチF1によって回転を制止された状態にある。このような状態では、キャリアCAがラージリングギヤLRからの動力伝達によって回転し、キャリアCAから伝動機構14を介して出力軸13にトルクが伝達される。
第3速の前進変速段では、第1および第3クラッチC1,C3を動力遮断状態とするとともに第1ブレーキB1を非制動状態とし、第2および第3ドグクラッチD2,D3を非作動状態とし、第2クラッチC2を動力伝達状態とし、第2ブレーキB2を制動状態とするとともに第1ドグクラッチD1を作動せしめて第2被動ギヤ21を出力軸13に固定する。これにより複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がラージリングギヤLRに伝達され、キャリアCA、ラージサンギヤLSおよびスモールリングギヤSRは空転可能であり、スモールサンギヤSSは第2ブレーキB2によって対地固定される。このような状態では、キャリアCAがラージリングギヤLRからの動力伝達によって回転し、キャリアCAから伝動機構14を介して出力軸13にトルクが伝達される。
第4速の前進変速段では、第1および第2クラッチC1,C2を動力遮断状態とするとともに第1および第2ブレーキB1,B2を非制動状態とし、第2および第3ドグクラッチD2,D3を非作動状態とし、第3クラッチC3を動力伝達状態とするとともに第1ドグクラッチD1を作動せしめて第2被動ギヤ21を出力軸13に固定する。これにより複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がキャリアCAに伝達され、ラージサンギヤLS、スモールサンギヤSS、ラージリングギヤLRおよびスモールリングギヤSRは空転可能である。このような状態では、キャリアCAから伝動機構14を介して出力軸13にトルクが伝達される。
第5速の前進変速段では、第1および第3クラッチC1,C3を動力遮断状態とするとともに第1および第2ブレーキB1,B2を非制動状態とし、第3ドグクラッチ3を非作動状態とし、第2クラッチC2を動力伝達状態とするとともに第1および第2ドグクラッチD1,D2を作動せしめることで第2被動ギヤ21を出力軸13に固定するとともに第3駆動ギヤ23を伝動軸22に固定する。これにより複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がラージリングギヤLRに伝達され、キャリアCA、ラージサンギヤLS、スモールサンギヤSSおよびスモールリングギヤSRは空転可能である。このような状態では、キャリアCAおよびラージサンギヤLSがラージリングギヤLRの回転に応じて回転駆動され、伝動機構14,15を介して出力軸13にトルクが伝達される。
第6速の前進変速段では、第2および第3クラッチC2,C3を動力遮断状態とするとともに第1および第2ブレーキB1,B2を非制動状態とし、第1および第3ドグクラッチ1,3を非作動状態とし、第1クラッチC1を動力伝達状態とするとともに第2ドグクラッチD2を作動せしめることで第3駆動ギヤ23を伝動軸22に固定する。これにより複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がラージサンギヤLSに伝達され、キャリアCA、スモールサンギヤSS、ラージリングギヤLRおよびスモールリングギヤSRは空転可能である。このような状態では、ラージサンギヤLSから伝動機構15を介して出力軸13にトルクが伝達される。
第7速の前進変速段では、第1および第3クラッチC1,C3を動力遮断状態とするとともに第1ブレーキB1を非制動状態とし、第1および第3ドグクラッチ1,3を非作動状態とし、第2クラッチC2を動力伝達状態とするとともに第2ブレーキB2を制動状態とし、第2ドグクラッチD2を作動せしめることで第3駆動ギヤ23を伝動軸22に固定する。これにより複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がラージリングギヤLRに伝達され、キャリアCA、ラージサンギヤLSおよびスモールリングギヤSRは空転可能であり、スモールサンギヤSSは第2ブレーキB2によって対地固定されている。このような状態では、ラージサンギヤLSがラージリングギヤLRからの動力伝達によって回転し、ラージサンギヤLSから伝動機構15を介して出力軸13にトルクが伝達される。
さらに第8速の前進変速段では、第1および第2クラッチC1,C2を動力遮断状態とするとともに第1ブレーキB1を非制動状態とし、第1および第3ドグクラッチ1,3を非作動状態とし、第3クラッチC3を動力伝達状態とするとともに第2ブレーキB2を制動状態とし、第2ドグクラッチD2を作動せしめることで第3駆動ギヤ23を伝動軸22に固定する。これにより複式プラネタリ機構Pでは、入力軸11からの動力がキャリアCAに伝達され、ラージサンギヤLS、ラージリングギヤLRおよびスモールリングギヤSRは空転可能であり、スモールサンギヤSSは第2ブレーキB2によって対地固定されている。このような状態では、ラージサンギヤLSがキャリアCAからの動力伝達によって回転し、ラージサンギヤLSから伝動機構15を介して出力軸13にトルクが伝達される。
次にこの実施例1の作用について説明すると、複式プラネタリ機構Pが備える3つの要素であるラージサンギヤLS、ラージリングギヤLRおよびキャリアCAと前記入力軸11との間に第1、第2および第3クラッチC1,C2,C3が設けられ、複式プラネタリ機構Pが備える2つの要素であるスモールリングギヤSRおよびスモールサンギヤSSおよび変速機ケース12間に第1および第2ブレーキB1,B2が設けられ、複式プラネタリ機構Pが備えるキャリアCAおよびラージサンギヤLSと出力軸13との間に、減速比が異なる2つの伝動機構14,15が出力軸13側への動力伝達を選択的に切り換えるようにして設けられるので、第1〜第3クラッチC1〜C3の動力伝達および遮断を切換えるとともに第1および第2ブレーキの制動および非制動を切換えることで、入力軸11からの回転動力を変速して複式プラネタリ機構Pの2つの要素であるキャリアCAおよびラージサンギヤLSの一方から出力せしめ、それらのキャリアCAおよびラージサンギヤLおよび出力軸13間に設けられる2つの伝動機構14,15による出力軸13への動力伝達を選択的に切り換えることで、複式プラネタリ機構Pから出力される動力をさらに変速して出力軸13に伝えることができる。したがって適切な変速比およびステップ比を得ながら多段変速を可能し、第1〜第3クラッチC1〜C3の容量を全段で入力トルクの「1.0」倍とし、第1〜第3クラッチC1〜C3に必要な容量を小さくかつ適切に定めて変速制御性を高めるとともに、フリクションを小さくして効率を高めることができる。
また第4速および第6速の前進変速段では、複式プラネタリ機構Pを経由することなく、入力軸11から第1および第2伝動機構14,15の一方を経由して出力軸13に動力が伝達され、伝達効率をより高くすることができる。
また第1および第2伝動機構14,15の一方による出力軸13側への動力伝達を切変えるための第1および第2ドグクラッチ1,2の作動頻度は、ツインクラッチ式の変速機に比べると少ないので、ドグクラッチを作動せしめるための油圧制御システムの簡略化および制御プログラム簡略化が可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
11・・・入力軸
12・・・変速機ケース
13・・・出力軸
14,15・・・伝動機構
21・・・被動ギヤである第2被動ギヤ
22・・・伝動軸
23・・・駆動ギヤである第3駆動ギヤ
27・・・副軸
28・・・第1後進用アイドルギヤ
29・・・第2後進用アイドルギヤ
B1,B2・・・ブレーキ
C1,C2,C3・・・クラッチ
CA・・・複式プラネタリ機構の要素であるキャリア
D1・・・第1連結切換機構である第1ドグクラッチ
D2・・・第2連結切換機構である第2ドグクラッチ
E・・・駆動源であるエンジン
LR・・・複式プラネタリ機構の要素であるラージリングギヤ
LS・・・複式プラネタリ機構の要素であるラージサンギヤ
P・・・複式プラネタリ機構
SR・・・複式プラネタリ機構の要素であるスモールリングギヤ
SS・・・複式プラネタリ機構の要素であるスモールサンギヤ

Claims (5)

  1. 駆動源(E)からの動力が入力軸(11)を介して入力される複式プラネタリ機構(P)を有する変速機において、前記複式プラネタリ機構(P)の3つの要素(LS,LR,CA)および前記入力軸(11)間に動力伝達の断・接を切換可能なクラッチ(C1,C2,C3)が各要素(LS,LR,CA)毎に個別に設けられ、前記複式プラネタリ機構(P)のいずれかの要素(SR,SS)および変速機ケース(12)間に当該要素(SR,SS)を対地固定するブレーキ(B1,B2)が設けられ、前記複式プラネタリ機構(P)が備える複数の要素のうち2つの要素(CA,LS)と、前記入力軸(11)と平行な出力軸(13)との間には、それぞれギヤ列から構成され減速比が互いに異なる2つの伝動機構(14,15)が、前記出力軸(13)側への動力伝達を選択的に切り換えるようにして設けられ、一方の伝動機構(14)を構成する第1ギヤ列の被動ギヤ(21)が前記出力軸(13)に相対回転自在に支承されると共に、その被動ギヤ(21)および前記出力軸(13)の連結および連結解除を切換える第1連結切換機構(D1)が前記出力軸(13)上に配置され、他方の伝動機構(13)を構成する第2ギヤ列の駆動ギヤ(23)が、前記複式プラネタリ機構(P)の1つの要素(LS)に連なって前記入力軸(11)と同軸に配置される伝動軸(22)に相対回転自在に支承されると共に、その駆動ギヤ(23)および前記伝動軸(22)の連結および連結解除を切換える第2連結切換機構(D2)が前記伝動軸(22)上に配置されることを特徴とする変速機。
  2. 前記ブレーキ(B1,B2)が、前記複式プラネタリ機構(P)が備える複数の要素のうち前記入力軸(11)との間に前記クラッチ(C1,C2,C3)が介設される3つの要素(LS,LR,CA)とは異なる要素(SR,SS)と、前記変速機ケース(12)との間に設けられることを特徴とする請求項1記載の変速機。
  3. 前記第1ギヤ列は、両ギヤ列のうちギヤ比が低い側であり、また前記第2ギヤ列は、両ギヤ列のうちギヤ比が高い側であることを特徴とする請求項1または2記載の変速機。
  4. 2つの前記伝動機構(14,15)が、前記3つのクラッチ(C1,C2,C3)の1つ(C1)と、前記複式プラネタリ機構(P)との間に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変速機。
  5. 前記入力軸(11)と平行な軸線まわりに回転可能な副軸(27)に対して相対回転自在である状態ならびに前記副軸(27)とともに回転する状態を切換可能とした第1後進用アイドルギヤ(28)が、記両伝動機構(14,15)の一方の被動ギヤ(21)に噛合され、前記副軸(27)に固定される第2後進用アイドルギヤ(29)が、前記両伝動機構(14,15)の他方の駆動ギヤ(23)に噛合されることを特徴とする請求項4記載の変速機。
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