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JP4765635B2 - 高画質ハーフトーン処理 - Google Patents

高画質ハーフトーン処理 Download PDF

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Description

この発明は、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する技術に関する。
コンピュータで作成した画像や、デジタルカメラで撮影した画像などの出力装置として、印刷媒体上にドットを形成して画像を印刷する印刷装置が広く使用されている。かかる印刷装置は、入力階調値に対して形成可能なドットの階調値が少ないためハーフトーン処理によって階調表現が行われる。ハーフトーン処理の1つとして、ディザマトリックスを用いた組織的ディザ法が広く用いられている。組織的ディザ法は、ディザマトリックスの内容如何で画質に大きな影響を与えるため、たとえば特許文献1に開示されるように人間の視覚を考慮した評価関数を用いてシミュレーテッドアニーリングや遺伝的アルゴリズムといった解析手法によってディザマトリックスの最適化が図られてきた。
特開平7−177351号公報 特開平7−81190号公報 特開平10−329381号公報
しかし、こうしたディザマトリックスの最適化処理では、印刷媒体上の共通の領域を複数回走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷することに起因する画質の劣化は考慮されていなかった。さらに、このような画質の劣化は、ディザマトリックスを用いたハーフトーン処理に限られず、一般にハーフトーン処理を利用する印刷において生じていた。
この発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、印刷媒体上の共通の領域を複数回走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷することに起因する画質の劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の印刷方法は、印刷媒体上に印刷を行う印刷方法であって、
元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成工程と、
前記ドットデータに応じて、前記各印刷画素にドットを形成して前記印刷画像を生成する印刷画像生成工程と、
を備え、
前記印刷画像は、前記印刷画像生成工程によるドットの形成において、同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
前記ハーフトーン処理は、前記各入力階調値において、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するとともに、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように構成されていることを特徴とする。
本発明の印刷方法では、ドットの形成過程におけるドットパターンに着目し、各主走査でほぼ同時に形成される複数の画素グループ毎にドットの分散性とドット数とに関する評価を行いつつディザマトリックスが生成されるので、印刷媒体上の共通の領域を複数回走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷することに起因する画質の劣化を抑制するように構成されたディザマトリックスを生成することができる。
具体的には、各主走査でほぼ同時に形成される複数の画素グループ毎にドットの分散性とドット数とに関する評価を行いつつディザマトリックスが生成されるので、各画素グループにおいて各入力階調値に対する局所的なドットの発生が効果的に抑制され、ムラの少ないきれいな印刷画質を実現することができる。
上記印刷方法において、前記所定の特性は、粒状性評価値であるようにしても良い。本明細書で、粒状性評価値とは、粒状性として視覚に認識される画質劣化を表す評価尺度であり、たとえばRMS粒状度や粒状性指数を含む評価値である。
あるいは、上記印刷方法において、前記所定の特性は、ブルーノイズ特性とグリーンノイズ特性のいずれか一方である用にしても良い。
本発明のディザマトリックスの生成方法は、入力画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を決定するためのディザマトリックスを生成する方法であって、
前記印刷画像は、前記ドットの形成において同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
前記ディザマトリックス生成方法は、
前記ディザマトリックスの各要素に格納されるべき複数の閾値の中から、格納要素が未決定で、かつ、ドットの形成が最もオンとなりやすい閾値を着目閾値として決定する着目閾値決定工程と、
格納される閾値が決定済みの要素である決定済み要素に対応する画素にドットが形成されたとみなすとともに、格納される閾値が未決定の要素である空白要素の各々のいずれか1つに前記着目閾値が格納されることを想定した場合の各々について総合評価値を決定し、前記総合評価値に応じて前記着目閾値を格納する要素を決定する格納要素決定工程と、
前記複数の閾値の少なくとも一部について、前記着目閾値決定工程と前記格納要素決定工程との各工程を繰り返す繰り返し工程と、
を備え、
前記格納要素決定工程は、
前記決定済み要素の全てのグループに対応するドットの形成状態を評価して全体評価値を決定する全体評価値決定工程と、
前記決定済み要素の中で、前記複数の画素グループから選択された画素グループに対応する要素グループに属する要素にのみ対応するドットの形成状態を評価して、前記要素グループ毎にグループ評価値を決定するグループ評価値決定工程と、
前記全体評価値と前記グループ評価値とに応じて、前記総合評価値を決定する総合評価値決定工程と、
を含み、
前記格納要素決定工程は、前記入力画像データの各入力階調値において、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づける均等化工程を含むことを特徴とする。
本発明のディザマトリックスの生成方法では、ドットの形成過程におけるドットパターンに着目し、各主走査でほぼ同時に形成される複数の画素グループ毎にドットの分散性とドット数とに関する評価を行いつつディザマトリックスが生成されるので、印刷媒体上の共通の領域を複数回走査することによってインクドットを形成し、これにより画像を印刷することに起因する画質の劣化を抑制するように構成されたディザマトリックスを生成することができる。
なお、繰り返し工程は、必ずしも複数の閾値の全てについて行うことが必須ではなく、たとえばハイライト領域の一部についてのみ行うようにすることも可能である。本願発明は、複数の閾値の少なくとも一部について行えば発明の目的を達成することができるからである。
上記ディザマトリックスの生成方法において、前記均等化工程は、前記要素グループの各々に含まれる前記決定済み要素の数に応じて、前記グループ評価値を調整することによって前記均等に近づける工程を含むようにしても良い。このような工程は、たとえば決定済みの要素の数に応じたグループ評価値の加算やグループ評価値の重み付けの補正といった種々の方法で実現することができる。
上記ディザマトリックスの生成方法において、前記均等化工程は、前記要素グループの各々に含まれる前記決定済み要素の数に応じて、前記複数の要素グループの一部を前記着目閾値の格納対象から除外する工程を含むようにしても良い。このような工程は、後述する実施例の構成のように、複数の分割マトリックスの中から決定済みの要素が、他のいずれの分割マトリックスよりも2個以上多いマトリックスを対象から外すような構成や、単純に決定済みの要素が最も多いグループを除外するようにしても良い。
こうすれば、除外された要素グループに関する評価工程が不要となるので、計算量を少なくすることができる。
上記ディザマトリックスの生成方法において、前記均等化工程は、前記要素グループの各々に含まれる前記決定済み要素の数に応じて、前記複数の要素グループの一部を、前記複数の要素グループの他のグループに優先して前記着目閾値の格納対象とする工程を含むようにしても良い。このような工程は、たとえば決定済みの要素数が所定の幅の範囲外となる程に少ないグループから優先的に選択するように構成し、このグループの評価値が過度に高い場合にのみ、他のグループから選択するという例外処理を必要に応じて設けるようにして実現することができる。
上記印刷方法において、前記ハーフトーン処理は、ドットの形成状態の判断の対象となる着目画素の近傍の印刷画素であってドットの形成状態が未決定の印刷画素である周辺画素に誤差を拡散する誤差拡散工程によってドットの形成状態を決定し、
前記誤差拡散工程は、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループである特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大させて、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するように構成されているようにしても良い。
このように、本願発明は、誤差拡散法にも適用することができる。「特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大」することによって、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するように構成できるからである。具体的には、たとえば通常の誤差拡散に加えて複数の画素位置のグループ毎にも別途誤差を拡散する処理を行っても良いし、あるいは複数の画素位置のグループに属する画素に対して拡散される誤差の重み付けを大きくするようにしても良い。このように構成しても、誤差拡散法の本来的な特性によって、各階調値において、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するようにすることができるからである。
なお、このような「誤差の増大」は、着目画素からの離れるに従って誤差の拡散量が小さくなる従来の誤差拡散と異なり、「特定の画素グループに属する印刷画素」においては、着目画素により近い「特定の画素グループに属しない印刷画素」への拡散誤差よりも拡散される誤差が大きくなる、という逆転現象が生ずるので従来の誤差拡散に対して、明らかな客観的な相違を生じさせるものである。
上記印刷方法において、
前記誤差拡散工程は、
前記周辺画素の少なくとも一部の印刷画素に第1の拡散誤差を拡散する第1の誤差拡散工程と、
前記周辺画素のうち前記特定の画素グループに属する印刷画素に第2の拡散誤差を拡散する第2の誤差拡散工程と、
を含むようにしても良い。
上記印刷方法において、
前記複数の画素グループは、前記ドットの形成において物理的な共通性を有する少なくとも1つの画素グループ群を含み、
前記第2の誤差拡散工程は、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループ群に属する印刷画素に第2の拡散誤差を拡散する第3の誤差拡散工程を含むようにしても良い。
上記印刷方法において、
前記複数の画素グループは、前記ドットの形成において物理的な共通性を有する少なくとも1つの画素グループ群を含み、
前記特定の誤差拡散マトリックスは、さらに、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループ群に属する印刷画素に拡散される誤差を増大させて、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンと、前記少なくとも1つの画素グループ群の各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンと、のいずれもが所定の特性を有するように構成されているようにしても良い。
上記印刷方法において、
前記誤差拡散工程は、特定の誤差拡散マトリックスに基づいて前記周辺画素に誤差を拡散する工程を含み、
前記特定の誤差拡散マトリックスは、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループである特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大させて、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するように構成されているようにしても良い。
上記印刷方法において、
前記誤差拡散工程は、特定の誤差拡散マトリックスに基づいて前記周辺画素に誤差を拡散する工程を含み、
前記特定の誤差拡散マトリックスは、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループである特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大させて、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するように構成されているようにしても良い。
上記印刷方法において、
前記ドットデータ生成工程は、印刷ヘッドを準備するとともに、前記印刷ヘッドの主走査を行いつつ前記印刷ヘッドの往動時と復動時の各々で、前記ドットデータに応じて前記各印刷画素にドットを形成して印刷画像を生成する工程を含み、
前記少なくとも1つの画素グループ群は、前記印刷ヘッドの往動時にドットが形成される画素グループ群と、前記印刷ヘッドの復動時にドットが形成される画素グループ群とを含むようにしても良い。
上記印刷方法において、
前記ドットデータ生成工程は、複数の印刷ヘッドを準備するとともに、前記複数の印刷ヘッドの主走査を行いつつ前記ドットデータに応じて前記各印刷画素にドットを形成して印刷画像を生成する工程を含み、
前記少なくとも1つの画素グループ群は、前記複数の印刷ヘッドの各々がドットの形成を担当する複数の画素グループ群を含むようにしても良い。
上記印刷方法において、
前記誤差拡散工程は、前記着目画素におけるドットの形成状態の決定と前記入力階調値との少なくとも一方に応じて、前記決定と前記入力階調値の少なくとも一方が所定の条件に合致した場合においてのみ、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループである特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大させるように構成されている用にしても良い。
なお、本発明は、印刷装置、ディザマトリックス、ディザマトリックス生成装置、ディザマトリックスを用いた印刷装置や印刷方法、印刷物の生成方法といった種々の形態、あるいは、これらの方法または装置の機能をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の種々の形態で実現することができる。
また印刷装置や印刷方法、印刷物の生成方法におけるディザマトリックスの使用は、ディザマトリックスに設定されている閾値と画像データの階調値とを画素毎に比較することによって、画素毎にドット形成の有無を判断しているが、たとえば閾値と階調値の和を固定値と比較してドット形成の有無を判断するようにしても良い。さらに、閾値を直接使用することなく閾値に基づいて予め生成されたデータと、階調値とに応じてドット形成の有無を判断するようにしても良い。本発明のディザ法は、一般に、各画素の階調値と、ディザマトリックスの対応する画素位置に設定された閾値とに応じてドットの形成の有無を判断するものであれば良い。
以下では、本発明の作用・効果をより明確に説明するために、本発明の実施の形態を、次のような順序に従って説明する。
A.主走査と副走査とを行いつつ実行される印刷画像の生成:
B.第1実施例におけるディザマトリックスの生成方法:
C.第2実施例におけるディザマトリックスの生成方法:
D.変形例:
A.主走査と副走査とを行いつつ実行される印刷画像の生成:
図1は、本発明の第1実施例において主走査と副走査を行いつつインクドットを形成することによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図である。主走査とは、印刷媒体に対して印刷ヘッド10を主走査方向に相対的に移動させる動作を意味する。副走査とは、印刷媒体に対して印刷ヘッド10を副走査方向に相対的に移動させる動作を意味する。印刷ヘッド10は、印刷媒体上にインク滴を吐出してインクドットを形成するように構成されている。印刷ヘッド10は、画素ピッチkの2倍の間隔で図示しない10個のノズルを装備している。
印刷画像の生成は、主走査と副走査を行いつつ以下のように行われる。パス1の主走査では、ラスタ番号が1、3、5、7、9、11、13、15、17、19の10本の主走査ラインのうちで、画素位置番号が1、3、5、7の画素にインクドットが形成される。主走査ラインとは、主走査方向に連続する画素によって形成される線を意味する。各丸は、ドットの形成位置を示している。各丸の中の数字は、同時にインクドットが形成される複数の画素から構成される画素グループを示している。パス1では、第1の画素グループに属する印刷画素にドットが形成される。
パス1の主走査が完了すると、副走査方向に画素ピッチの3倍の移動量Lで副走査送りが行われる。一般には、印刷媒体を移動させることによって副走査送りは行われるが、本実施例では、説明を分かりやすくするために印刷ヘッド10が副走査方向に移動するものとしている。副走査送りが完了すると、パス2の主走査が行われる。
パス2の主走査では、ラスタ番号が6、8、10、12、14、16、18、20、22、24の10本の主走査ラインのうちで、画素位置番号が1、3、5、7の画素にインクドットが形成される。このようにして、パス2では、第3の画素グループに属する印刷画素にドットが形成される。なお、ラスタ番号が22、24の2本の主走査ラインは、図示が省略されている。パス2の主走査が完了すると、前述と同様の副走査送りが行われた後に、パス3の主走査が行われる。
パス3の主走査では、ラスタ番号が11、13、15、17、19の主走査ラインを含む10本の主走査ラインのうちで、画素位置番号が2、4、6、8の画素にインクドットが形成される。パス4の主走査では、ラスタ番号が16、18、20の3本の主走査ラインを含む10本の主走査ラインのうちで、画素位置番号が2、4、6、8の画素にインクドットが形成される。このようにして、ラスタ番号が15以降の副走査位置に隙間なくインクドットが形成可能であることが分かる。パス3とパス4では、それぞれ第2と第4の画素グループに属する印刷画素にドットが形成される。
このような印刷画像の生成を一定の領域に着目して観察すると、以下のように行われていることが分かる。たとえばラスタ番号が15〜19で画素位置番号が1〜8の領域を着目領域とすると、着目領域では以下のように印刷画像が形成されていることが分かる。
パス1では、着目領域において、ラスタ番号が1〜5で画素位置番号が1〜8の画素位置に形成されたインクドットと同一のドットパターンが形成されていることが分かる。このドットパターンは、第1の画素グループに属する画素に形成されるドットで形成されている。すなわち、パス1では、着目領域において、第1の画素グループに属する画素にドットが形成される。
パス2では、着目領域において、第3の画素グループに属する画素にドットが形成される。パス3では、着目領域において、第2の画素グループに属する画素にドットが形成される。パス4では、着目領域において、第4の画素グループに属する画素にドットが形成される。
このように、本実施例では、第1〜第4の複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成されることが分かる。
図2は、本発明の第1実施例において複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図である。図2の例では、印刷画像は、所定の中間階調(単色)の印刷画像である。ドットパターンDP1、DP1aは、第1の画素グループに属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。ドットパターンDP2、DP2aは、第1と第3の画素グループに属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。ドットパターンDP3、DP3aは、第1〜第3の画素グループに属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。ドットパターンDP4、DP4aは、全画素グループに属する複数の画素に形成されたドットパターンを示している。
ドットパターンDP1、DP2、DP3、DP4は、従来技術のディザマトリックスを使用した場合におけるドットパターンである。ドットパターンDP1a、DP2a、DP3a、DP4aは、本願発明のディザマトリックスを使用した場合におけるドットパターンである。図2から分かるように、本願発明のディザマトリックスを使用した場合には、特にドットパターンの重畳が少ないドットパターンDP1a、DP2aにおいて、従来技術のディザマトリックスを使用した場合よりもドットの分散性が均一である。
従来技術のディザマトリックスには、画素グループという概念が無いため最終的に形成される印刷画像(図2の例ではドットパターンDP4)におけるドットの分散性にのみ着目して最適化が行われている。換言すれば、各画素グループに属する画素に形成されるドットの分散性は考慮されていないため、各画素グループに属する画素に形成されるドットの分散性は良くなくドット密度の疎密が生じている。
本願発明のディザマトリックスは、印刷画像におけるドットの分散性に加えて、各画素グループに属する画素に形成されるドットの分散性までも考慮されているため、各画素グループに属する画素に形成されるドットの分散性と印刷画像におけるドットの分散性の双方の分散性が良くなっている。
本願発明のディザマトリックスは、最終的に形成されるドットパターンだけでなく、ドットの形成過程におけるドットパターンにも着目して最適化が図られたものである。このような着眼点は従来には存在しなかったものである。従来は、ドットの形成過程におけるドットパターンの分散が悪くても、最終的に形成されるドットパターンの分散性が良ければ画質が良いというのが技術常識だったからである。
しかし、本願発明者は、敢えてドットの形成過程におけるドットパターンに着目して印刷画像の画質の解析を行った。この解析の結果、ドットの形成過程におけるドットパターンの疎密に起因して、画像のむらが発生することが分かったのである。この画像のむらは、インク凝集むらや光沢むら、ブロンズ現象といったインクの物理現象によって人間の目に顕著に知覚されることも本願発明者によって突き止められた。なお、ブロンズ現象とは、インク滴の染料の凝集等によって、見る角度によって印刷表面がブロンズ色に呈色するなど、印刷用紙表面で反射される光の状態が変化する現象である。
たとえばインクの凝集やブロンズ現象は、1回のパスで印刷画像を形成する場合においても発生し得る。しかし、インクの凝集等が印刷画像の全面で均一に発生しても人間の目には近くされにくい。均一に発生している故に、低周波成分を含む不均一な「むら」としてはインクの凝集等が発生しないからである。
しかしながら、同一の主走査でほぼ同時にインクドットが形成される画素グループに形成されるドットパターンにおいて、インクの凝集等で人間の目に認識されやすい低周波領域でむらが発生すると、顕著な画質劣化として顕在化することになる。このように、インクドットの形成によって印刷画像を形成する場合には、ほぼ同時にインクドットが形成される画素グループに形成されるドットパターンにも着目してディザマトリックスを最適化することが高画質化につながることを発明者によって初めて見いだされたのである。
加えて、従来技術のディザマトリックスでは、各画素グループの相互の位置関係が予め想定されたとおりになっていることを前提として最適化が図られているので、相互の位置関係がズレた場合には最適性が保証されず、顕著に画質が劣化する原因となっていた。しかし、本願発明のディザマトリックスによれば、各画素グループのドットパターンにおいてもドットの分散性が確保されているので、相互の位置関係のズレに対する高いロバスト性も確保できることが本願発明の発明者の実験によって初めて確認された。
さらに、本願発明の技術的思想は、印刷速度の高速化に伴って重要性が増していることも発明者によって突き止められた。印刷速度の高速化は、インクの吸収のための時間が十分に取られないうちに、次の画素グループのドットが形成されることにつながるからである。本願発明は、このような全く新しい知見に基づいて以下のように構成されている。
B.第1実施例におけるディザマトリックスの生成方法:
図3は、本発明の第1実施例におけるディザマトリックスの生成方法の処理ルーチンを示すフローチャートである。このディザマトリックスの生成方法は、印刷画像の形成過程においてほぼ同時に形成されるドットの分散性を考慮して最適化を図ることができるように構成されている。なお、この例では、説明を分かりやすくするために8行8列の小さなディザマトリックスを生成するものとしている。
ステップS100では、グループ化処理が行われる。グループ化処理とは、本実施例では、印刷画像の形成過程においてほぼ同時にドットが形成される複数の画素グループに対応する要素毎にディザマトリックスを分割する処理である。
図4は、本発明の第1実施例におけるグループ化処理が行われディザマトリックスMを示す説明図である。このグループ化処理では、図1における4つの画素グループに分割されるものとしている。ディザマトリックスMの各要素に記載された数字は、各要素が属する画素グループを示している。たとえば1行1列の要素は、第1の画素グループ(図1)に属し、1行2列の要素は、第2の画素グループに属する。
図5は、本発明の第1実施例における4個の分割マトリックスM0〜M3を示す説明図である。分割マトリックスM0は、ディザマトリックスMの要素のうち第1の画素グループに属する画素に対応する複数の要素と、空欄となっている複数の要素である空欄要素とから構成されている。空欄要素は、入力階調値に拘わらず常にドットが形成されない要素である。分割マトリックスM1〜M3は、それぞれディザマトリックスMの要素のうち第2〜第4の画素グループに属する画素に対応する複数の要素と、空欄要素とから構成されている。
このようにして、ステップS100のグループ化処理(図3)が完了すると、処理が着目閾値決定処理(ステップS200)に進められる。
ステップS200では、着目閾値決定処理が行われる。着目閾値決定処理とは、格納要素の決定対象となる閾値を決定する処理である。本実施例では、比較的に小さな値の閾値、すなわちドットの形成されやすい値の閾値から順に選択することによって閾値が決定される。この理由については後述する。
ステップS300では、ディザマトリックス評価処理が行われる。ディザマトリックス評価処理とは、予め設定された評価関数に基づいてディザマトリックスの最適性を数値化する処理である。本実施例では、評価関数は、ドットの記録密度の均一性としている。すなわち、マトリックスの各要素に対応する画素に形成される複数のドットが各階調値において均一に形成されるか否かが評価の基準となっている。ただし、本実施例では、ディザマトリックスMだけを考慮するのではなく、4個の分割マトリックスM0〜M3をも考慮して評価が行われる。
図6は、ディザマトリックス評価処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。ステップS310では、決定済み閾値の対応ドットをオンとする。決定済み閾値とは、格納要素が決定された閾値を意味する。本実施例では、前述のようにドットの形成されやすい値の閾値から順に選択されるので、着目閾値にドットが形成される際には、決定済み閾値が格納された要素に対応する画素には必ずドットが形成されることになる。逆に、着目閾値にドットが形成される最も小さな入力階調値においては、決定済み閾値が格納された要素以外の要素に対応する画素にはドットは形成されないことになる。
図7は、ディザマトリックスMにおいて、1〜10番目にドットが形成されやすい閾値が格納された要素に対応する10個の画素の各々にドットが形成されたドットパターンDPMを示す説明図である。このドットパターンは、11番目のドットをどの画素に形成すべきかを決定するために使用される。すなわち、11番目にドットが形成されやすい着目閾値の格納要素の決定に使用される。格納要素の決定は、本実施例では、ドットの形成が疎となっている画素に対応する要素に着目閾値が格納されるように格納要素を決定する。マトリックスの各要素に対応する画素に形成される複数のドットが各階調値において均一に形成されるか否かが評価の基準となっているからである。
図8は、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットパターンを示す説明図である。ドットパターンDP0は、第1の画素グループに属する印刷画素に形成されるドットパターンを示し、また、ドットパターンDP1、DP2、DP3は、それぞれ第2、第3、第4の画素グループに属する印刷画素に形成されるドットパターンを示している。
ステップS320では、評定マトリックスが抽出される。評定マトリックスとは、本実施例では、4個の分割マトリックスM0〜M3の中で、着目閾値の格納要素の決定の際に評価の対象となる3個あるいは4個のマトリックスを意味する。本実施例では、評定マトリックスとディザマトリックスMとに着目して評価が行われる。
評定マトリックスは、4個の分割マトリックスM0〜M3の中から、各入力階調値において、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数が均等に近づくように抽出される。本実施例では、格納される閾値が既に決定済みとなっている要素の数が、他のいずれの分割マトリックスよりも2個以上多い分割マトリックスがある場合には、かかるマトリックスを除く3個の分割マトリックスが抽出される。
図8から分かるように、ドットパターンDP2には、他の3つのドットパターンDP0、DP1、DP3のいずれもよりも2個多くドットが形成されている。この結果、この例では、4個の分割マトリックスM0〜M3の中から、ドットパターンDP2に対応する分割マトリックスM2を除く3個の分割マトリックスM0、M1、M3が評定マトリックスとして抽出されることになる。
図9は、ディザマトリックスMにおいて10個の画素の各々にドットが形成されたドットパターンDPMをドット密度として数値化したドット密度マトリックスDDMを示す説明図である。図10は、評定マトリックスとして抽出された3個の分割マトリックスM0、M1、M3において、それぞれドットが形成されたドットパターンDP0、DP1、DP3をドット密度として数値化したドット密度マトリックスDD0、DD1、DD3を示す説明図である。
ステップS330では、ローパスフィルタ処理が行われる。ローパスフィルタ処理は、前述のドット密度マトリックスにおいて低周波成分を抽出する処理である。低周波成分を抽出するのは、低周波領域で比較的に感度が高い人間の視覚感度特性を考慮してディザマトリックスを最適化するためである。
図11は、本発明の第1実施例におけるローパスフィルタを示す説明図である。本実施例では、フィルタ処理された結果がドット密度の大小比較にのみ使用されるので、ローパスフィルタの正規化は行われていない。フィルタ処理においては、図12に示されるように、同一のドット密度マトリックスを周囲に配置してドット密度マトリックスの周辺部の計算に使用している。
図13は、ドット密度マトリックスDDMに対してローパスフィルタ処理を行って生成された全体評価値マトリックスDFMを示す説明図である。各要素内の数字は、全体評価値を表している。全体評価値とは、10個の閾値の格納要素が決定されたディザマトリックスMにおいて、仮に11番目のドットを形成したと仮定したときの各要素の評価値を意味する。大きな数字は、ドットの密度が高く、小さな数字はドットの密度が低い、すなわちドットが疎であることを意味している。
図14は、ドット密度マトリックスDD0、DD1、DD3の全てに対してローパスフィルタ処理を行って生成されたグループ評価値マトリックスDF0、DF1、DF3を示す説明図である(ステップS340)。グループ評価値とは、3個の分割マトリックスM0、M1、M3において、仮に11番目のドットを形成したと仮定したときの各グループにおける各要素の評価値を意味する。このようにして算出された全体評価値およびグループ評価値は、総合評価値の決定に使用される。グループ評価値は、分割マトリックスM0、M1、M3が閾値を格納する要素においてのみ算出されている。
ステップS350では、総合評価値決定処理が行われる。総合評価値決定処理は、全体評価値とグループ評価値とに所定の重み付けを行って加算することによって決定される。本実施例では、一例として全体評価値とグループ評価値の重み付けをそれぞれ「4」と「1」としている。
図15は、分割マトリックスM0、M1、M2、M3の各々について決定された総合評価値を格納するマトリックスE0、E1、E2、E3を示す説明図である。総合評価値は、たとえば1行1列の要素については「32」と決定されている。この値は、全体評価値を格納するマトリックス(図13)の1行1列の要素に格納された全体評価値である「8」の値に重み付けの値である「4」を乗ずるとともに、グループ評価値を格納するマトリックス(図14)の1行1列の要素に格納されたグループ評価値の値である「0」を加えることによって決定されている。マトリックスE2は、分割マトリックスM2に属する要素の全てが着目閾値の格納要素の対象外であることを示している。
図16は、マトリックスE0、E1、E2、E3を合成して生成された総合評価値マトリックスEMを示す説明図である。ただし、分割マトリックスM2に属する要素に対応する要素は、前述のように全て「済み」となっている。すなわち、着目閾値の格納要素としては、選択されないように処理が行われている。これにより、着目閾値に対応する入力階調値において、分割マトリックスM2に属する要素へのドット形成の集中を抑制することができることになる。
ステップS400(図3)では、格納要素決定処理が行われる。格納要素決定処理は、着目閾値(この例では11番目にドットが形成されやすい閾値)の格納要素を決定する処理である。格納要素は、本実施例では総合評価値が最も小さな要素の中から決定される。この例では、3行7列、4行4列、および4行6列の3つの要素の総合評価値が最も小さいので、いずれかを熟練技術者の知見に基づいて選択して決定しても良く、後述する方法によって選択しても良い。
このような処理を、最もドットの形成されやすい閾値から最もドットが形成され難い閾値までの全閾値について行うと、ディザマトリックスの生成処理が完了する(ステップS500)。
このように、本実施例のディザマトリックスの生成方法は、各主走査でほぼ同時に形成される第1〜第4の複数の画素グループ(図1、図2)の各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成されるように構成された印刷装置において、各入力階調値において各画素グループに形成されるドット数のばらつきが抑制されるように最適化されたディザマトリックスを生成することができる。
C.第2実施例におけるディザマトリックスの生成方法:
図17は、本発明の第2実施例におけるディザマトリックスの評価処理のルーチンを示すフローチャートである。第2実施例の生成方法は、ディザマトリックスの評価方法が第1実施例の生成方法と異なる。すなわち、第2実施例の生成方法は、閾値の格納要素として決定済みでない、すなわち、未決定の複数の候補要素に対応する複数の画素のいずれかにドットが形成されたものと仮定するとともに、この仮定に基づいて形成されたドットパターンのRMS粒状度に基づいて格納要素が決定される点で第1実施例の生成方法と異なる。
第2実施例の生成方法は、ステップS325の工程と、ステップS335の工程と、ステップS337の工程とを第2実施例の生成方法に加えることによって実現可能である。
ステップS325では、着目要素に対応する画素のドットをオンにする。着目要素とは、複数の候補要素の中から選択された1つの要素である。ステップS330では、第1実施例と同様にローパスフィルタ処理を行う。
ステップS335では、RMS粒状度算出処理を行う。RMS粒状度算出処理とは、ドット密度マトリックスをローパスフィルタ処理した後、標準偏差を算出する処理である。標準偏差の算出は、図18の計算式を用いて行うことができる。なお、標準偏差の算出は、必ずしもディザマトリックスMの全要素に対応するドットパターンについて行う必要はなく、計算量を少なくするために、所定のウィンドウ(たとえば5×5の部分マトリックス)に属する画素のドット密度のみを用いて行うようにしても良い。このような処理は、全ての着目画素について行われる(ステップS337)。
このような処理によって算出された値は、第1実施例の全体評価値やグループ評価値に相当する。第2実施例は、算出された全体評価値やグループ評価値を第1実施例と同様に取り扱うことによってRMS粒状度に基づいた評価を行って最適ディザマトリックスを生成することができる。
なお、第2実施例の評価方法は、第1実施例の評価方法と組み合わせることも可能である。すなわち、第1実施例の評価方法で第2実施例の候補要素を絞り込むととともに、絞り込まれた候補要素からRMS粒状度に基づいて格納要素を決定するようにしても良い。たとえば第1実施例で示された例では、2つの要素の評価値が同一であるが、この2つの要素を第2実施例の候補要素とすることができる。さらに、所定の評価値の範囲内(たとえば評価値の相違が5以内)の要素を候補要素とするように構成しても良い。
D.変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、本発明は、以下のような変形例についてのディザマトリックスの最適化が可能である。
D−1.上述の実施例では、4回の主走査で印刷画像が形成されることを前提としているが、たとえば往方向と双方向の2回の主走査で印刷画像が形成される構成や複数の印刷ヘッドが使用される構成といった種々の構成に本発明は適用可能である。本発明は、一般に、ドットの形成において物理的な相違が想定された複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって印刷画像が形成される印刷に適用することができる。
D−2.上述の実施例や変形例では、ドット密度マトリックスの周辺部の計算を行うために、図12に示されるように同一のドット密度マトリックスを周囲にずらすことなく配置しているが、たとえば図19に示されるようにマトリックスをずらして配置するようにしても良い。
ただし、マトリックスのずらし量は、たとえば図19に示されるように隣接するドット密度マトリックス同士で、グループの位置関係がずれないようにすることが好ましい。こうすれば、複数のドット密度マトリックスを跨るようなドット密度マトリックスの周辺領域のフィルタ処理においても、単一のドット密度マトリックス内における処理と同一の処理が適用可能だからである。
D−3.上述の実施例や変形例では、マトリックス全体の各要素に対応する画素に形成される複数のドットが各階調値において均一に形成されるか否かが評価の基準となっているが、たとえばマトリックス全体でなくマトリックスの一部分の各要素に対応する画素に形成される複数のドットのみに基づいて評価するように構成しても良い。
D−4.上述の実施例や変形例では、ローパスフィルタ処理を行うとともにドット密度の均一性やRMS粒状度に基づいてディザマトリックスの最適性を評価しているが、たとえばドットパターンに対してフーリエ変換を行うとともにVTF関数を用いてディザマトリックスの最適性を評価するように構成しても良い。具体的には、ゼロックスのDooleyらが用いた評価尺度(Grainess scale:GS値)をドットパターンに適用して、GS値によってディザマトリックスの最適性を評価するように構成しても良い。ここで、GS値とは、ドットパターンに対して2次元フーリエ変換を含む所定の処理を行って数値化するとともに、視覚の空間周波数特性VTFを乗じるフィルタ処理を行った後に積分することによって得ることができる粒状性評価値である(参考文献:ファインイメージングとハードコピー、コロナ社、日本写真学会、日本画像学会 合同出版委員会編 P534)。ただし、前者は、フーリエ変換などの複雑な計算が不必要となるという利点を有する。
D−5.上述の実施例や変形例では、複数の分割マトリックスの中から決定済みの要素が、他のいずれの分割マトリックスよりも2個以上多いマトリックスを対象から外すように構成されているが、たとえば(1)決定済みの要素の数に応じたグループ評価値の補正(たとえば評価値の加算)、(2)決定済みの要素の数に応じたグループ評価値の重み付けの補正、(3)決定済みの要素の少ないグループから優先的に選択(たとえば決定済みの要素数が所定の幅の範囲外のとき)、といった種々の方法で実現することも可能である。本発明では、入力画像データの各入力階調値において、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように閾値の格納要素が決定されるように構成されていれば良い。
D−6.上述の実施例や変形例では、ディザマトリックスに設定されている閾値と画像データの階調値とを画素毎に比較することによって、画素毎にドット形成の有無を判断しているが、たとえば閾値と階調値の和を固定値と比較してドット形成の有無を判断するようにしても良い。さらに、閾値を直接使用することなく閾値に基づいて予め生成されたデータと、階調値とに応じてドット形成の有無を判断するようにしても良い。本発明のディザ法は、一般に、各画素の階調値と、ディザマトリックスの対応する画素位置に設定された閾値とに応じてドットの形成の有無を判断するものであれば良い。
D−7.上述の実施例や変形例では、ディザマトリックスを用いたハーフトーン処理が開示されているが、必ずしもディザマトリックスの存在を前提とせず、本発明のハーフトーン処理は、各階調値において、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するとともに、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように構成されていれば良い。
D−8.上述の実施例では、ディザマトリックスを用いてハーフトーン処理が行われているが、たとえば誤差拡散を利用してハーフトーン処理を行う場合にも本発明は適用することができる。誤差拡散の利用は、たとえば複数の画素位置のグループ毎に誤差拡散処理を行うようにして実現することができる。
具体的には、通常の誤差拡散に加えて複数の画素位置のグループ毎にも別途誤差を拡散する処理を行っても良いし、あるいは複数の画素位置のグループに属する画素に対して拡散される誤差の重み付けを大きくするようにしても良い。このように構成しても、誤差拡散法の本来的な特性によって、各階調値において、複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するようにすることができるからである。
図20は、誤差拡散法への本願発明の第1の適用例のフローチャートを示す説明図である。誤差拡散法は、入力階調値と出力階調値の差を周辺画素に拡散して出力階調値を入力階調値に近づけるように構成されたハーフトーン処理方法の一種である。誤差拡散法では、ドット形成判断の対象となる画素である着目画素を1つずつシフトさせて全ての印刷画素のドットの形成状態が決定される。シフトの方法は、たとえば主走査方向に1つずつ着目画素をシフトさせて、この主走査ラインの全ての画素の処理が完了すると隣接する未処理の主走査ラインに着目画素をシフトさせる方法が一般的である。
ステップS500では、着目画素に対して処理済みの他の複数の画素から拡散されている拡散誤差が読み込まれる。本実施例では、拡散誤差は、全体拡散誤差ERaとグループ拡散誤差ERgとを含む。
全体拡散誤差ERaは、図21に示される誤差拡散全体マトリックスMaを使用して拡散された誤差である。本実施例では、周知のJarvis、Judice & Ninke型の誤差拡散マトリックスを使用して誤差が拡散されている。このような誤差拡散は、一般的な誤差拡散として行われているものである。このような誤差拡散は、従来技術の誤差拡散法と同様に、誤差拡散法の本来的な特性として、最終的なドットパターンに所定の特性を持たせることを可能とする。
ただし、本実施例では、第1〜第4の複数の画素グループ(図1)の各々にも所定の特性を持たせるために、グループ拡散誤差ERgが追加的に拡散されている点で、従来の誤差拡散法と異なる。
図22は、着目画素と同一の画素グループへの追加的な誤差拡散を行うための誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1を示す説明図である。誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1は、第1〜第4の複数の画素グループのうち着目画素と同一の画素グループに誤差を追加的に拡散するための誤差拡散マトリックスである。4個の分割マトリックスM0〜M3は、図5に示されたものと同一で、第1〜第4の複数の画素グループの位置関係を表すために示されたものである。
たとえば着目画素が第1の画素グループに属する場合には、分割マトリックスM0で「0」の値が格納された要素に対応する画素に誤差が拡散されることになる。誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1は、このような画素に誤差を拡散するように誤差拡散のための係数が格納された誤差拡散マトリックスとして構成されている。一方、着目画素が同一の主走査(パス)で形成される第2〜第4の画素グループに属する場合においても、着目画素と他の画素の相対的な位置関係が同じであるため、同一の誤差拡散マトリックスが利用可能であることが分かる。
このように、本実施例では、誤差拡散全体マトリックスMaによる誤差拡散によって最終的なドットパターンに所定の特性を持たせるとともに、誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1による誤差拡散によって複数の画素グループの各々のドットパターンに所定の特性を持たせるように誤差が拡散されている。
ステップS510では、全体拡散誤差ERaおよびグループ拡散誤差ERgの重み付き平均値である平均誤差ERaveが算出される。本実施例では、一例として全体拡散誤差ERaとグループ拡散誤差ERgの重み付けをそれぞれ「4」と「1」としている。平均誤差ERaveは、全体拡散誤差ERaに重み付け「4」を乗じた値と、グループ拡散誤差ERgに重み付け「1」を乗じた値の和を、重み付けの総和「5」で除した値として算出される。
ステップS520では、入力階調値Dtと平均誤差ERaveとが加算されて正データDcが算出される。
ステップS530では、算出された補正データDcが予め設定されている閾値Threと比較される。この比較の結果、補正データDcが閾値Threよりも大きい場合には、ドットを形成する旨が決定される(ステップS540)。一方、補正データDcが閾値Threよりも小さい場合には、ドットを形成しない旨が決定される(ステップS550)。
ステップS560では、階調誤差が算出されるとともに、階調誤差が周囲の未処理の画素に拡散される。階調誤差は、補正データDcとドットの形成の有無の決定によって生じた現実の階調値との間の差である。たとえば、補正データDcの階調値が「223」で、ドットの形成によって現実に生じた階調値が255であるとすると、階調誤差は、「−32」(=223−255)となる。本ステップ(S560)では、誤差の拡散は、誤差拡散全体マトリックスMaを用いて行われる。
具体的には、着目画素の右隣の画素については、着目画素で生じた階調誤差「−32」に対して誤差拡散全体マトリックスMaのうち右隣の画素に対応する係数「7/48」を乗じた値「−224/48」(=−32×7/48)が拡散される。さらに、着目画素の2つの右隣の画素については、着目画素で生じた階調誤差「−32」に対して誤差拡散全体マトリックスMaのうち2つの右隣の画素に対応する係数「5/48」を乗じた値「−160/48」(=−32×5/48)が拡散される。このような誤差拡散は、従来技術の誤差拡散法と同様に、誤差拡散法の本来的な特性として、最終的なドットパターンに所定の特性を持たせるものである。
ステップS570では、従来の誤差拡散とは異なり、誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1(図22)を用いた誤差拡散が追加的に行われる。前述のように、第1〜第4の複数の画素グループ(図1)の各々にも所定の特性を持たせるためである。かかる追加的な誤差拡散は、さらに、第1〜第4の複数の画素グループ(図1)の各々に形成されるドットの数を均等に近づける働きも有する。
このような働きを有する理由は以下の通りである。かかる追加的な誤差拡散は、第1〜第4の複数の画素グループの各々の内部で閉じたものなので、他のグループには誤差が拡散されないことになる。このような構成では、入力階調値の総和とドットで表現される階調値の総和が各グループで一致するので、各グループの入力階調値の総和が同一である場合には、ドット数が均等に近づくことになるからである。
具体的には、着目画素の右隣の画素については、着目画素で生じた階調誤差「−32」に対して誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1のうち右隣の画素に対応する係数「0」を乗じた値「0」(=−32×0)が拡散される。さらに、着目画素で生じた階調誤差「−32」に対して誤差拡散全体マトリックスMaのうち2つの右隣の画素に対応する係数「2/8」を乗じた値「−64/8」(=−32×2/8)が拡散される。
このように、誤差拡散法への本願発明の第1の適用例では、着目画素と同一の画素グループへの追加的な誤差拡散によって本願発明の目的を達成することが出来る。
図23は、誤差拡散法への本願発明の第2の適用例のフローチャートを示す説明図である。第2の適用例は、特に双方向印刷においてドットの分散性を向上させるように構成されている。主走査の双方向での印刷は、印刷速度の高速化に不可欠である一方、主走査に起因する画素位置のズレは、画質劣化の大きな要因となっている。加えて、双方向印刷におけるドット形成位置の高精度化は、装置の複雑化や高コスト化の極めて大きな要因となっている。第2の適用例では、主走査の方向が同一の画素グループのドットの分散性を良くすることによって、かかる装置の複雑化や高コスト化を回避して、印刷速度の高速化と画質の向上を両立させることができる。
従来技術の誤差拡散法では、各画素グループの相互の位置関係が予め想定されたとおりになっていることを前提として最適化が図られているので、相互の位置関係がズレた場合には最適性が保証されず、顕著に画質が劣化する原因となっていた。しかし、相互の位置関係のズレが想定される画素群毎のドットパターンにおいてもドットの分散性が確保されているので、相互の位置関係のズレに対する高いロバスト性も確保できることが本願発明の発明者の実験によって初めて確認された。第2の適用例は、誤差拡散法に対する発明者のこのような新規な知見に基づいて構成されたものである。
第2の適用例は、第1の適用例の3つのステップS500、S510、570を、それぞれステップS500a、S510a、570aに入れ替えることで構成されている。
ステップS500aは、同一の主走査方向でドットが形成される2つの要素グループ群M01、M23(図24)に対応する画素についても、第1〜第4の画素グループと同様に誤差が拡散される点で第1の適用例と異なる。ここで、要素グループ群M01は、双方向印刷において、同一の主走査方向(たとえば図1において右方向)で形成される画素に対応する2つの要素グループM0、M1を合成して構成された要素グループ群である。要素グループ群M23は、双方向印刷において、同一の主走査方向(たとえば図1において左方向)で形成される画素に対応する2つの要素グループM2、M3を合成して構成された要素グループ群である。このようなグループの合成は、双方向印刷において、同一方向に形成されるドットパターンが一体としてシフトしやすいことに着目して、誤差拡散においても一体として取り扱うことを可能とするために行われたものである。
ステップS510aでは、全体拡散誤差ERaおよびグループ拡散誤差ERg1、ERg2の重み付き平均値である平均誤差ERaveが算出される。グループ拡散誤差ERg1は、第1適用例におけるグループ拡散誤差ERgに相当する拡散誤差である。グループ拡散誤差ERg2は、要素グループ群M01あるいは要素グループ群M23において拡散される拡散誤差である。本実施例では、一例として全体拡散誤差ERaとグループ拡散誤差ERg1、ERg2の重み付けをそれぞれ「4」と「1」と「2」としている。平均誤差ERaveは、全体拡散誤差ERaに重み付け「4」を乗じた値と、グループ拡散誤差ERg1に重み付け「1」を乗じた値と、グループ拡散誤差ERg2に重み付け「2」を乗じた値と、の和を、重み付けの総和「7」で除した値として算出される。
ステップS570aでは、第1の適用例の誤差拡散における誤差拡散に加えて、さらに誤差拡散同一主走査方向グループマトリックスMg2(図24)を用いた誤差拡散が追加的に行われる。前述のように、要素グループ群M01、M23に対応する画素グループ群の各々にも所定の特性を持たせるためである。
具体的には、たとえば着目画素の右隣の画素については、誤差拡散全体マトリックスMa(図21)のうち右隣の画素に対応する係数「7/48」を乗じた値「−224/48」(=−32×7/48)と、階調誤差「−32」に対して誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1(図22)のうち右隣の画素に対応する係数「0」を乗じた値「0」(=−32×0)と、階調誤差「−32」に対して誤差拡散同一主走査方向グループマトリックスMg2(図24)のうち右隣の画素に対応する係数「8/24」を乗じた値「−256/24」(=−32×8/24)が拡散される。
このように、誤差拡散法への本願発明の第2の適用例では、着目画素と同一の主走査方向で形成されるドットが形成される画素グループ群への追加的な誤差拡散によって双方向印刷の画質を向上させることができる。
なお、第2適用例は、双方向印刷だけでなく複数の画素グループが物理的な共通性を有する少なくとも1つの画素グループ群を含む場合に適用可能である。物理的な共通性とは、たとえば複数の印刷ヘッドを用いて印刷する場合における印刷ヘッドの同一性といった共通性もある。主走査の方向や印刷ヘッドが同一であれば、主走査の方向や印刷ヘッドが異なる場合よりもドットの形成位置の相互関係が極めて正確であるという性質を有するので、かかる複数の画素グループを一体化して画素グループ群として取り扱うとともに、そのドットパターンの分散性を良くすれば、ドット形成位置のズレに起因する画質劣化を顕著に抑制することができる。
ここで、「いずれもが所定の特性を有する」とは、たとえば所定の特性が粒状性指数という評価尺度である場合には、従来技術のように、印刷画像のドットパターンの粒状性指数だけが低くなるように最適化されているのではなく、画素グループや画素グループ群のドットパターンの粒状性指数も低くなるように最適化されていることを意味する。すなわち、印刷画像のドットパターンの粒状性指数が多少高くなることを許容して、画素グループや画素グループ群のドットパターンの粒状性指数が低くするように最適化されている。換言すれば、各粒状性指数が相互に近づくように構成されていることを意味する。
このように、本発明のハーフトーン処理方法は、印刷画像のドットパターンの最適性を多少犠牲にして、画素グループや画素グループ群のドットパターンの最適性が顕著に高められている点で、各ドットパターンを観察することによって、従来技術のハーフトーン処理方法と客観的に区別することができる。
図25は、誤差拡散法への本願発明の第3の適用例のフローチャートを示す説明図である。第3の適用例は、同一の画素グループや同一の画素グループ群への誤差の拡散を一度に行うことができる点で第1、第2の適用例と相違する。
第3の適用例は、第1の適用例の3つのステップS500をステップS500bに入れ替えるとともに、他の2つのステップS510、S570が削除されている点で第2の適用例と異なる。一方、従来の誤差拡散と比較すると、誤差拡散に使用される誤差拡散マトリックスのみが相違する。第3の適用例は、拡散誤差の線形性を利用して第1の適用例を拡張したものであるため、処理の内容は、第1の適用例と数学的に等価である。
ステップS500bでは、誤差拡散合成マトリックスMg3を用いて拡散された平均拡散誤差ERaveが読み込まれる。平均拡散誤差ERaveは、第2の適用例のステップS510aで算出された値と同一である。誤差拡散合成マトリックスMg3は、誤差拡散合成全体マトリックスMaと、誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1と、を所定の重み付けで合成することによって構成された誤差拡散マトリックスである。所定の重み付けは、順に「4」対「1」である。
誤差拡散合成マトリックスMg3(図27)は、誤差拡散合成全体マトリックスMaと、重み付け調整済み誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1aの各係数の分母と分子とを単純に加算することによって構成されたマトリックスである。重み付け調整済み誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1aは、このような加算を可能とするために誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1の各係数の分母と分子とに1.5を乗じたものである。これにより、誤差拡散合成全体マトリックスMaの分子の総和は48となり、重み付け調整済み誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1aの分子の総和は12となるので、分子の総和の比は、誤差拡散合成全体マトリックスMaと誤差拡散同一主走査グループマトリックスMg1aとで「4」対「1」となっている。一方、各係数の分母を60(=48+12)とすることによって、拡散誤差の係数の総和を「1」とすることができる。なお、誤差拡散合成マトリックスMg3では、分子を整数とするため、分母を120としている。
第3の適用例は、従来の誤差拡散と同一の処理手順において、誤差拡散マトリックスを入れ替えるだけで本願発明を適用することができるとともに、複数の拡散処理を一度に行えるので処理負担も小さいという利点を有する。
なお、このような誤差拡散合成マトリックスは、第2適用例に対しても同様に構成可能である。また、前述のように、第3の適用例は第1の適用例と数学的に等価なので、複数の画素グループの各々に形成されるドットの数を均等に近づける働きを有する点も第1実施例と同様である。
図27は、誤差拡散法への本願発明の第4の適用例のフローチャートを示す説明図である。第4の適用例は、ドットの形成判断の結果に応じて誤差拡散の方法を切り替える点で上述の各適用例と異なる。第4の適用例は、第3の適用例のステップS560aを2つのステップS560b、S560cに入れ替えることで構成されている。
ステップS560bは、ドットが形成される判断された場合に処理されるステップである。ステップS560bでは、誤差拡散合成マトリックスMg3(図26)を用いて誤差の拡散が行われる。一方、ステップS560cは、ドットが形成されないと判断された場合に処理されるステップである。ステップS560cでは、誤差拡散全体マトリックスMa(図21)を用いて誤差の拡散が行われる。
このように、本願発明は、ドットの形成判断の結果に応じて誤差拡散の方法を切り替えるような誤差拡散処理とも組み合わせて構成することが可能である。さらに、たとえば入力階調値に応じて、ハイライト領域(ドット密度が低い所定の領域)だけに誤差拡散合成マトリックスMg3を使用するような構成や拡散領域の広狭を併せて切り替えるような構成も可能である。拡散領域が広いと滑らかな印刷画像を実現できる一方で分解能が低くなるという性質を有し、拡散領域が狭いと分解能が高くなる一方で滑らかさが低下するという性質が知られている。
なお、上述の各誤差拡散の適用例では、2値化が行われているが、たとえば複数の閾値との比較によって多値化を行うような構成にも本願発明は適用可能である。
D−9.上述の実施例では、複数の画素グループの各々に属する印刷画素の数が均等である場合について説明されているが、本発明は、複数の画素グループの各々に属する印刷画素の数が均等でない場合にも適用可能である。たとえば印刷画素数が2:1:1の比率となるように3つの画素グループが設定されている場合には、ドットの数も2:1:1の比率に近づくように構成すればよい。
なお、特許請求の範囲における「前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように構成されている」とは、このような場合を含む広い概念を有する。
本発明の第1実施例において主走査と副走査を行いつつインクドットを形成することによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図。 本発明の第1実施例において複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって印刷媒体上に印刷画像が生成される様子を示す説明図。 本発明の第1実施例におけるディザマトリックスの生成方法の処理ルーチンを示すフローチャート。 本発明の第1実施例におけるグループ化処理が行われディザマトリックスMを示す説明図。 本発明の第1実施例における4個の分割マトリックスM0〜M3を示す説明図。 ディザマトリックス評価処理の処理ルーチンを示すフローチャート。 ディザマトリックスMにおいて、1〜10番目にドットが形成されやすい閾値が格納された要素に対応する10個の画素の各々にドットが形成された様子を示す説明図。 複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットパターンを示す説明図。 ディザマトリックスMにおいて10個の画素の各々にドットが形成されたドットパターンDPMをドット密度として数値化したドット密度マトリックスDDMを示す説明図。 分割マトリックスM0、M1、M3において、それぞれドットが形成されたドットパターンDP0、DP1、DP3をドット密度として数値化したドット密度マトリックスDD0、DD1、DD3を示す説明図。 本発明の第1実施例におけるローパスフィルタを示す説明図。 ドット密度マトリックスの周辺部の計算を行うために、同一のドット密度マトリックスを周囲に配置した様子を示す説明図。 ドット密度マトリックスDDMに対してローパスフィルタ処理を行って生成された全体評価値マトリックスDFMを示す説明図。 ドット密度マトリックスDD0、DD1、DD3の全てに対してローパスフィルタ処理を行って生成されたグループ評価値マトリックスDF0、DF1、DF3を示す説明図。 分割マトリックスM0、M1、M2、M3の各々について決定された総合評価値を格納するマトリックスE0、E1、E2、E3を示す説明図。 マトリックスE0、E1、E2、E3を合成して生成された総合評価値マトリックスEMを示す説明図。 本発明の第2実施例におけるディザマトリックスの評価処理のルーチンを示すフローチャートを示す説明図。 RMS粒状度算出処理に使用される計算式を示す説明図。 変形例において、ドット密度マトリックスの周辺部の計算を行うために、同一のドット密度マトリックスを周囲に配置した様子を示す説明図。 誤差拡散法への本願発明の第1の適用例としてのフローチャートを示す説明図。 Jarvis、Judice & Ninke型の誤差拡散マトリックスを示す説明図。 特定の画素グループへの追加的な誤差拡散を行うための誤差拡散同一主走査グループマトリックスを示す説明図。 誤差拡散法への本願発明の第2の適用例としてのフローチャートを示す説明図。 特定の画素グループへの追加的な誤差拡散を行うための誤差拡散同一主走査方向グループマトリックスを示す説明図。 誤差拡散法への本願発明の第3の適用例としてのフローチャートを示す説明図。 第3の適用例で使用される誤差拡散合成マトリックスMg3を示す説明図。 誤差拡散法への本願発明の第4の適用例としてのフローチャートを示す説明図。
符号の説明
M…ディザマトリックス
M0…分割マトリックス
M1…分割マトリックス
M2…ディザマトリックス
M3…分割マトリックス
M1…分割マトリックス
10…印刷ヘッド
DP1、DP1a…ドットパターン
DP2、DP2a…ドットパターン
DP3、DP3a…ドットパターン
DP4、DP4a…ドットパターン

Claims (21)

  1. 印刷媒体上に印刷を行う印刷方法であって、
    元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成工程と、
    前記ドットデータに応じて、前記各印刷画素にドットを形成して前記印刷画像を生成する印刷画像生成工程と、
    を備え、
    前記印刷画像は、前記印刷画像生成工程によるドットの形成において同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ハーフトーン処理は、前記各入力階調値において、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するとともに、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように構成されていることを特徴とする、印刷方法。
  2. 請求項1記載の印刷方法であって、
    前記所定の特性は、粒状性評価値である、印刷方法。
  3. 請求項1記載の印刷方法であって、
    前記所定の特性は、ブルーノイズ特性とグリーンノイズ特性のいずれか一方である、印刷方法。
  4. 入力画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を決定するためのディザマトリックスを生成する方法であって、
    前記印刷画像は、前記ドットの形成において同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ディザマトリックス生成方法は、
    前記ディザマトリックスの各要素に格納されるべき複数の閾値の中から、格納要素が未決定で、かつ、ドットの形成が最もオンとなりやすい閾値を着目閾値として決定する着目閾値決定工程と、
    格納される閾値が決定済みの要素である決定済み要素に対応する画素にドットが形成されたとみなすとともに、格納される閾値が未決定の要素である空白要素の各々のいずれか1つに前記着目閾値が格納されることを想定した場合の各々について総合評価値を決定し、前記総合評価値に応じて前記着目閾値を格納する要素を決定する格納要素決定工程と、
    前記複数の閾値の少なくとも一部について、前記着目閾値決定工程と前記格納要素決定工程との各工程を繰り返す繰り返し工程と、
    を備え、
    前記格納要素決定工程は、
    前記決定済み要素の全てのグループに対応するドットの形成状態を評価して全体評価値を決定する全体評価値決定工程と、
    前記決定済み要素の中で、前記複数の画素グループから選択された画素グループに対応する要素グループに属する要素にのみ対応するドットの形成状態を評価して、前記要素グループ毎にグループ評価値を決定するグループ評価値決定工程と、
    前記全体評価値と前記グループ評価値とに応じて、前記総合評価値を決定する総合評価値決定工程と、
    を含み、
    前記格納要素決定工程は、前記入力画像データの各入力階調値において、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づける均等化工程を含むことを特徴とする、ディザマトリックス生成方法。
  5. 請求項4記載のディザマトリックス生成方法であって、
    前記均等化工程は、前記要素グループの各々に含まれる前記決定済み要素の数に応じて、前記グループ評価値を調整することによって前記均等に近づける工程を含む、ディザマトリックス生成方法。
  6. 請求項4または5に記載のディザマトリックス生成方法であって、
    前記均等化工程は、前記要素グループの各々に含まれる前記決定済み要素の数に応じて、前記複数の要素グループの一部を前記着目閾値の格納対象から除外する工程を含む、ディザマトリックス生成方法。
  7. 請求項4ないし6のいずれかに記載のディザマトリックス生成方法であって、
    前記均等化工程は、前記要素グループの各々に含まれる前記決定済み要素の数に応じて、前記複数の要素グループの一部を、前記複数の要素グループの他のグループに優先して前記着目閾値の格納対象とする工程を含む、ディザマトリックス生成方法。
  8. 請求項1記載の印刷方法であって、
    前記ハーフトーン処理は、ドットの形成状態の判断の対象となる着目画素の近傍の印刷画素であってドットの形成状態が未決定の印刷画素である周辺画素に誤差を拡散する誤差拡散工程によってドットの形成状態を決定し、
    前記誤差拡散工程は、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループである特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大させて、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するように構成されていることを特徴とする、印刷方法。
  9. 請求項8記載の印刷方法であって、
    前記誤差拡散工程は、
    前記周辺画素の少なくとも一部の印刷画素に第1の拡散誤差を拡散する第1の誤差拡散工程と、
    前記周辺画素のうち前記特定の画素グループに属する印刷画素に第2の拡散誤差を拡散する第2の誤差拡散工程と、
    を含む、印刷方法。
  10. 請求項8記載の印刷方法であって、
    前記複数の画素グループは、前記ドットの形成において物理的な共通性を有する少なくとも1つの画素グループ群を含み、
    前記第2の誤差拡散工程は、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループ群に属する印刷画素に第2の拡散誤差を拡散する第3の誤差拡散工程を含む、印刷方法。
  11. 請求項8記載の印刷方法であって、
    前記誤差拡散工程は、特定の誤差拡散マトリックスに基づいて前記周辺画素に誤差を拡散する工程を含み、
    前記特定の誤差拡散マトリックスは、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループである特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大させて、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するように構成されている、印刷方法。
  12. 請求項11記載の印刷方法であって、
    前記複数の画素グループは、前記ドットの形成において物理的な共通性を有する少なくとも1つの画素グループ群を含み、
    前記特定の誤差拡散マトリックスは、さらに、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループ群に属する印刷画素に拡散される誤差を増大させて、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンと、前記少なくとも1つの画素グループ群の各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンと、のいずれもが所定の特性を有するように構成されている、印刷方法。
  13. 請求項12記載の印刷方法であって、
    前記ドットデータ生成工程は、印刷ヘッドを準備するとともに、前記印刷ヘッドの主走査を行いつつ前記印刷ヘッドの往動時と復動時の各々で、前記ドットデータに応じて前記各印刷画素にドットを形成して印刷画像を生成する工程を含み、
    前記少なくとも1つの画素グループ群は、前記印刷ヘッドの往動時にドットが形成される画素グループ群と、前記印刷ヘッドの復動時にドットが形成される画素グループ群とを含む、印刷方法。
  14. 請求項12記載の印刷装置であって、
    前記ドットデータ生成工程は、複数の印刷ヘッドを準備するとともに、前記複数の印刷ヘッドの主走査を行いつつ前記ドットデータに応じて前記各印刷画素にドットを形成して印刷画像を生成する工程を含み、
    前記少なくとも1つの画素グループ群は、前記複数の印刷ヘッドの各々がドットの形成を担当する複数の画素グループ群を含む、印刷方法。
  15. 請求項8ないし12のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記誤差拡散工程は、前記着目画素におけるドットの形成状態の決定と前記入力階調値との少なくとも一方に応じて、前記決定と前記入力階調値の少なくとも一方が所定の条件に合致した場合においてのみ、前記周辺画素のうち前記着目画素が属する画素グループである特定の画素グループに属する印刷画素に拡散される誤差を増大させるように構成されていることを特徴とする、印刷方法。
  16. 印刷媒体上に印刷を行う印刷方法であって、
    元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成工程と、
    前記ドットデータに応じて、前記各印刷画素にドットを形成して前記印刷画像を生成する印刷画像生成工程と、
    を備え、
    前記印刷画像は、前記印刷画像生成工程によるドットの形成において、同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ハーフトーン処理は、請求項4ないし7のいずれかに記載のディザマトリックス生成方法で生成されたディザマトリックスを使用して前記各印刷画素へのドットの形成状態を決定することを特徴とする、印刷方法。
  17. 印刷媒体上に印刷を行う印刷装置であって、
    元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成部と、
    前記ドットデータに応じて、前記各印刷画素にドットを形成して前記印刷画像を生成する印刷画像生成部と、
    を備え、
    前記印刷画像は、前記印刷画像生成部によるドットの形成において、同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ハーフトーン処理は、請求項4ないし7のいずれかに記載のディザマトリックス生成方法で生成されたディザマトリックスを使用して前記各印刷画素へのドットの形成状態を決定することを特徴とする、印刷装置。
  18. 印刷媒体上に印刷画像を形成する印刷物の生成方法であって、
    元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成工程と、
    前記ドットデータに応じて、前記各印刷画素にドットを形成して前記印刷画像を生成する印刷画像生成工程と、
    を備え、
    前記印刷画像は、前記印刷画像生成工程によるドットの形成において、同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ハーフトーン処理は、請求項4ないし7のいずれかに記載のディザマトリックス生成方法で生成されたディザマトリックスを使用して前記各印刷画素へのドットの形成状態を決定することを特徴とする、印刷物の生成方法。
  19. 印刷媒体上に印刷を行う印刷装置であって、
    元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成部と、
    前記ドットデータに応じて、前記各印刷画素にドットを形成して前記印刷画像を生成する印刷画像生成部と、
    を備え、
    前記印刷画像は、前記印刷画像生成部によるドットの形成において、同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ハーフトーン処理は、前記各入力階調値において、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するとともに、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように構成されていることを特徴とする、印刷装置。
  20. 印刷媒体上に印刷画像を形成する印刷物の生成方法であって、
    元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成工程と、
    前記ドットデータに応じて、前記各印刷画素にドットを形成して前記印刷画像を生成する印刷画像生成工程と、
    を備え、
    前記印刷画像は、前記印刷画像生成工程によるドットの形成において、同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ハーフトーン処理は、前記各入力階調値において、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するとともに、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように構成されていることを特徴とする、印刷物の生成方法。
  21. 印刷画素にドットを形成して印刷画像を生成する印刷部に供給するための印刷データをコンピュータに生成させるためのコンピュータプログラムであって、
    元画像を構成する各画素の入力階調値を表す画像データに対してハーフトーン処理を行うことによって、前記印刷媒体上に形成されるべき印刷画像の各印刷画素へのドットの形成状態を表すドットデータを生成するドットデータ生成機能を前記コンピュータに実現させるプログラムを備え、
    前記印刷画像は、前記印刷画像生成工程によるドットの形成において、同一の走査で形成される画素グループの各々に属する印刷画素に形成されたドットが、共通の印刷領域で相互に組み合わせられることによって形成され、
    前記ハーフトーン処理は、前記各入力階調値において、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットパターンのいずれもが所定の特性を有するとともに、前記複数の画素グループの各々に属する印刷画素に形成されるドットの数を均等に近づけるように構成されていることを特徴とする、コンピュータプログラム。
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