しかしながら、従来のように昇降フードを昇降させる方式では、加熱調理器の使用時に、誤って昇降フードの下降スイッチが押されてしまうと、加熱調理中であるにもかかわらず、昇降フードが下降してしまう事態となる。一方、昇降フードの下降時に、誤って加熱調理器の駆動スイッチが押されてしまうと、昇降フードが下限位置にあるにもかかわらず、加熱調理器の加熱動作が開始されてしまう事態になる。このような事態を回避するためには、加熱調理器と昇降フードの取り扱いに細心の注意を払う必要があった。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、加熱調理器と昇降フードを互いに連携させて動作させることにより、加熱調理器の加熱動作中は加熱調理器と昇降フードとの間に所定の距離を確保する一方、昇降フードが前記所定の距離以下の場合には加熱調理器の加熱動作を禁止するようにして安全性を向上することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、被加熱物が発生する煙や熱を吸込み外部に排出する移動式フードと、前記フードを移動する移動手段と、前記移動手段の動作を制御する移動制御手段とを有するレンジフードを備えた調理システムに設けられる加熱調理器であって、被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の動作を制御する加熱制御手段と、前記レンジフードとの間で制御情報の伝達を行うための通信手段とを備え、前記加熱制御手段は、前記通信手段を介して前記レンジフードから入力された前記制御情報と、前記加熱調理器に設けられ前記フードの位置を検知する位置検知手段の検知結果と、前記加熱調理器に設けられ前記フードの移動を検知する移動検知手段の検知結果とのいずれか一つに基づいて、前記フードが前記加熱手段の加熱動作を規制すべき所定の位置にあると認識したとき、あるいは、前記加熱手段の加熱動作を規制すべき所定の移動モードにあると認識したときには、前記制御情報を前記通信手段を介して前記移動制御手段に出力して前記移動手段の動作を規制する制御と、前記通信手段を介して前記レンジフードから入力された前記制御情報に基づいて前記加熱手段の動作を規制する制御の少なくともいずれかの制御を行うようにしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記加熱手段が加熱動作中であるときは、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定値以上となるように前記移動手段の動作を規制する制御情報を、前記通信手段を介して前記レンジフードに出力する一方、前記加熱手段が加熱動作中でないときは、前記移動手段の動作を規制する制御情報を前記通信手段を介して前記レンジフードに出力しないことにより被加熱物が前記フードに与える熱影響を抑制することを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記レンジフードとの間で通信が正常に行われているかどうかを検知する通信異常検知手段を有し、前記通信異常検知手段が通信の異常を検知すると前記加熱手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記フードを移動させるためのフード移動命令を入力する加熱調理器側操作手段を備え、前記加熱制御手段は、前記加熱調理器側操作手段が前記フード移動命令を入力すると前記フード移動命令に対応する制御情報を前記通信手段を介して出力することを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記加熱調理器側操作手段がフード移動命令を入力すると、前記フード移動命令の内容に応じて、加熱手段の動作を規制する制御と、前記フード移動命令の実行を制限する制御のいずれかを行うようにしたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記通信手段を介して入力した前記フードの移動あるいは位置に関する制御情報に基づいて、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定距離より短いと判断したとき、前記加熱手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記レンジフードは、前記フードの移動を検知する移動検知手段、及び、前記フードの位置を検知する位置検知手段のいずれか一つをさらに備え、前記レンジフードから前記通信手段を介して前記フードの位置が所定の位置から離れたことを示す制御情報と、前記フードが所定の位置に到達したことを示す制御情報のいずれかが入力されると、前記加熱制御手段は、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定距離より短いと判断し、前記加熱手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記加熱調理器側移動検知手段あるいは前記加熱調理器側位置検知手段の検知結果に基づいて、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定距離より短いとき、あるいは短くなる可能性がある場合に、前記加熱手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記加熱調理器側移動検知手段あるいは前記加熱調理器側位置検知手段の検知結果に基づいて、前記フードの位置が所定の位置から離れたことを示す制御情報と、所定の位置に到達したことを示す制御情報のいずれかが入力されると、前記加熱手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記フードが移動モードあるいは下降モードに入ったことを示す制御情報が前記通信手段を介して入力されると、前記加熱手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、前記レンジフードは、前記フードを移動するための移動命令を入力するレンジフード側操作手段をさらに備え、前記加熱制御手段は、前記レンジフード側操作手段に前記移動命令が入力されたことに対応して出力される制御信号が前記通信手段を介して入力されると、前記加熱手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記加熱手段の動作を規制する際、少なくとも前記フードと前記加熱手段の距離が所定値以下の場合に、前記加熱手段の出力を停止するかあるいは低減することを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記移動手段の動作を規制する制御情報を前記通信手段に出力することを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記加熱手段の動作も同時に規制するようにしたことを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、前記フードが所定の位置にないときに、前記加熱手段の動作が規制されていること、あるいは前記フードの移動が規制されていることを表示する表示手段あるいは報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする。
さらに、請求項16に記載の発明は、被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段の動作を制御する加熱制御手段とを有する加熱調理器を備えた調理システムに設けられるレンジフードであって、被加熱物が発生する煙や熱を吸い込み外部に排出する移動式フードと、前記フードを移動する移動手段と、前記移動手段を制御する移動制御手段と、前記加熱調理器との間で制御情報の伝達を行うための通信手段とを備え、前記移動制御手段は、前記レンジフードに設けられ前記フードの位置を検知する位置検知手段の検知結果と、前記レンジフードに設けられ前記フードの移動を検知する移動検知手段の検知結果とのいずれか一つに基づいて、前記フードが前記加熱手段の加熱動作を規制すべき所定の位置にあると認識したとき、あるいは、前記加熱手段の加熱動作を規制すべき所定の移動モードであると認識したときには、前記制御情報を前記通信手段を介して前記通信手段に出力して前記加熱手段の動作を規制する制御と、前記通信手段を介して前記加熱調理器から入力された前記制御情報に基づいて前記移動手段の動作を規制する制御の少なくともいずれかの制御を行うようにしたことを特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定値より小さいときは、前記加熱手段の動作が停止するか、あるいはその加熱出力が所定値以下に減少するように前記加熱手段の動作を規制する制御情報を前記通信手段を介して前記加熱調理器に出力する一方、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定値以上であるときは、前記加熱手段の加熱動作を規制する制御情報を前記通信手段を介して前記加熱調理器に出力しないことにより被加熱物が前記フードに与える熱影響を抑制することを特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記加熱調理器との間で通信が正常に行われているかどうかを検知する通信異常検知手段を有し、前記通信異常検知手段が通信の異常を検知すると前記移動手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、前記フードを移動させるためのフード移動命令を入力するレンジフード側操作手段を備え、前記移動制御手段は、前記レンジフード側操作手段が前記フード移動命令を入力すると前記フード移動命令に対応する制御情報を前記通信手段を介して出力することを特徴とする。
また、請求項20に記載の発明は、前記フードを移動させるためのフード移動命令を入力するレンジフード側操作手段を備え、前記移動制御手段は、前記レンジフード側操作手段が前記フード移動命令を入力すると、前記通信手段を介して入力した制御情報により、前記加熱手段が動作しているときに前記フード移動命令の実行を制限することを特徴とする。
また、請求項21に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記加熱手段の動作に関する制御情報に基づいて、少なくとも前記加熱手段が動作するときは、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定値以上となるように、前記移動手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項22に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記通信手段を介して前記加熱手段が動作したことを示す制御情報と、電源スイッチが投入されたことを示す制御情報のいずれかの制御情報が入力されると前記移動手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項23に記載の発明は、前記移動検知手段が検知した移動情報あるいは前記位置検知手段で検知した位置情報に基づいて前記加熱調理器の出力を抑制する出力情報を制御情報として前記通信手段に出力することを特徴とする。
また、請求項24に記載の発明は、前記移動検知手段あるいは前記位置検知手段の検知結果に基づいて、前記フードが移動中であるとき、あるいは前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定距離より短いとき、前記通信手段を介して入力した制御情報に基づいて前記加熱手段が少なくとも動作すると、前記移動手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項25に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記フードの位置が所定の位置から離れないように、あるいは所定の位置に到達しないように、前記移動手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項26に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記フードが移動モードあるいは下降モードに入らないように、前記移動手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項27に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記フードを移動するための移動命令が前記加熱調理器より入力され、前記移動命令に対応して出力される制御信号が前記通信手段を介して入力されると、前記制御信号に応じて前記移動手段の動作を制御することを特徴とする。
また、請求項28に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記移動手段の動作を規制する際、少なくとも前記加熱手段が動作状態にある場合に、前記フードと前記加熱手段との間の距離が所定値以上となるように前記移動手段の動作を規制することを特徴とする。
また、請求項29に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記加熱手段の動作を規制する制御情報を前記通信手段に出力することを特徴とする。
また、請求項30に記載の発明は、前記移動制御手段は、前記移動手段の動作も同時に規制するようにしたことを特徴とする。
また、請求項31に記載の発明は、前記フードが所定の位置にないときに、前記加熱手段の動作が規制されていること、あるいは前記フードの移動が規制されていることを表示する表示手段あるいは報知する報知手段をさらに備えたことを特徴とする。
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1に記載の加熱調理器をレンジフードと組み合わせて設置することで、例えばフードを移動させてフードの清掃やフィルタの取り替え、フードの収納、又はフード上部の空間の有効活用など、その設置形態に応じて、フードが移動可能となることにより得られる作用効果を適宜利用することができるとともに、フードを移動させる際、又は加熱調理器を動作させる際、フードが不都合な位置にあるときに、レンジフードが加熱調理器の加熱手段の動作状態に応じてフードの位置や移動動作を規制するか、加熱調理器が加熱手段の加熱動作を規制することができるので、フードと加熱調理器との相互の位置関係により、不安全な状況その他の好ましくない状況が生起するのを防止することができる。
また、加熱制御手段は、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制すべく、通信手段を介して移動手段の動作を規制する制御情報を出力するか、又は前記通信手段を介してレンジフードから入力した制御情報に基づき加熱手段の動作を規制するか、少なくともいずれかを行う構成としたことで、フードが被加熱物の発生する熱により変形したり、燃焼したりするのを防止することができるので安全である。なお、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制するためには、結果的に、フードが加熱調理器より熱影響の少ない所定の距離以上離れるようにする、又は加熱調理器の加熱動作を停止させる若しくは減少させるようにすればよい。
また、請求項2に記載の発明によれば、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制することにより、フードの過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、通信が何らかの理由で途絶えるあるいは異常な状況に陥る場合には、フードと加熱調理器の相互の位置関係が好ましくない状況下において加熱調理器が好ましくない動作をするのを防止することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、加熱調理器側操作手段を操作することで、フードを移動することができるので、フードの移動を行いやすくすることができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制することができる。
また、請求項7乃至請求項9に記載の発明によれば、加熱手段の動作を規制すべきフードの位置を確認するのが容易となる。
また、請求項10に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、請求項11に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、請求項12に記載の発明によれば、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制することができる。
また、請求項13あるいは14に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で、加熱調理器の加熱手段が不都合な動作しないようにレンジフードの移動手段の位置を規制したり、加熱手段の動作を規制することができる。
また、請求項15に記載の発明によれば、使用者が、加熱手段の動作が規制されている理由を知ることができ、不必要に使用者をとまどわせることを防止することができる。
さらに、請求項16に記載の発明によれば、レンジフードを加熱調理器と組み合わせて設置することで、例えばフードを移動させてフードの清掃やフィルタの取り替え、フードの収納、又はフード上部の空間の有効活用など、その設置形態に応じて、フードが移動可能となることにより得られる作用効果を適宜利用することができるとともに、フードを移動させる際、又は加熱調理器を動作させる際、フードが不都合な位置にあるときに、レンジフードが加熱調理器の加熱手段の動作状態に応じてフードの位置や移動動作を規制するか、加熱調理器が加熱手段の加熱動作を規制することができるので、フードと加熱調理器との相互の位置関係により、不安全な状況その他の好ましくない状況が生起するのを防止することができる。
また、移動制御手段は、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制すべく、通信手段を介して加熱制御手段の動作を規制する制御情報を出力するか、又は通信手段を介して加熱調理器から入力した制御情報に基づき移動手段の動作を規制するか、少なくともいずれかを行う構成としたことにより、フードが被加熱物の発生する熱により変形したり、燃焼したりするのを防止することができるので安全である。なお、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制するためには、結果的に、フードが加熱調理器より熱影響の少ない所定の距離以上離れるようにしたり、加熱調理器の加熱動作を停止若しくは減少させるようにすればよい。
また、請求項17に記載の発明によれば、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制することによりフードの過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、請求項18に記載の発明によれば、通信が何らかの理由で途絶えるあるいは異常な状況に陥る場合には、フードと加熱調理器の相互の位置関係が好ましくない状況下において加熱調理器が好ましくない動作をするのを防止することができる。
また、請求項19あるいは請求項20に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、請求項21に記載の発明によれば、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制することができる。
また、請求項22あるいは請求項23に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、請求項24に記載の発明によれば、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制することができ、フードの過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、請求項25あるいは請求項26に記載の発明によれば、移動手段の制御が容易になる。
また、請求項27に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、請求項28に記載の発明によれば、被加熱物がフードに与える熱影響を抑制することができ、フードの過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、請求項29あるいは請求項30に記載の発明によれば、フードが加熱調理器に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、請求項31に記載の発明によれば、使用者が、移動手段の動作が規制されている理由を知ることができ、不必要に使用者をとまどわせることを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明にかかる加熱調理器と昇降式レンジフードを備えた調理システム(厨房装置あるいはシステムキッチン)Kを示しており、この調理システムKは、加熱調理器2、流し台4、収納庫6等を備えたキャビネットを有し、キャビネットの上面には調理時等に使用するカウンター8が設けられている。
加熱調理器2の上方には、加熱調理時の油煙、水蒸気、燃焼ガス等の排気を導入排出するためのレンジフード10が配設されるとともに、流し台4の上方には、食器や調理器具等を収納する吊戸棚12が配設されている。レンジフード10と吊戸棚12は、建物の壁面14に並設して取り付けられる。なお、レンジフード10と吊戸棚12は互いに独立しているが、両者をその奥行きが略等しい立方体状に形成することで、美感を向上させるとともに、使用者の好みに応じて両者の配置を適宜変更することが可能なレイアウトに自由度のある構成である。
また、レンジフード10は、図3及び図4に示されるように、建物の壁面14に背面を当接させた状態で取り付けられるフードケース16と、フードケース16内に収納される換気ファン18及び屋外に連通する排気ダクト(図示せず)と、フードケース16内に昇降自在に収容された昇降フード20と、昇降フード20内に設けられたフィルタ22とを備えている。加熱調理時に換気ファン18を駆動させると、加熱調理時に排出されて上昇するガスが昇降フード20に吸い込まれ、吸い込まれたガスはフィルタ22を通って排気ダクトから室外へと排出される一方、吸い込まれたガス中に含まれる油分や水蒸気はフィルタ22により捕集される。
フードケース16の内部は仕切り板24で左右に仕切られており、左側にフィルタ22が収納されたフィルタ収納部26をさらに収納する第1収納部28が形成されるとともに、右側に昇降ラック30を収納する第2収納部32が形成されている。各収納部28,32の底面は、フードケース16の下面開口部から下方に向けて開口している。
また、換気ファン18は第1収納部28の上半部に収納されるとともに、フィルタ収納部26は第1収納部28の下半部に昇降自在に収納されている。さらに、昇降フード20及び昇降ラック30を一体的に昇降させるための昇降手段として、昇降用電動モータ34が第2収納部32の上半部に設置され、昇降ラック30は第2収納部32の下半部に昇降自在に収納されている。
昇降フード20は、上下にスライド可能な四角筒状をしたフィルタ収納部26と、フィルタ収納部26の内部に収納されるフィルタ22と、フィルタ収納部26の下端部に連設されたフード本体36とからなる。フード本体36の左半部はフィルタ収納部26の下端部に連設されており、フード本体36の右半部の上面部は昇降ラック30の下端に取り付けた吊り金具38に吊り下げ支持されている。
ここで、フード本体36の奥行き寸法を例えば640mm、横幅寸法を例えば900mmに設定した場合、フィルタ収納部26の横幅寸法は例えば300mm、昇降ラック30の横幅寸法は例えば600mmに設定される。なお、図1及び図2に示される例では、フード本体36の後枠がフードケース16の背板と略面一に配置され、フード本体36の前枠36aがフードケース16の幕板から前方に所定寸法だけ突出するように構成されている。
フィルタ収納部26の内部に着脱自在に収納されたフィルタ22は、図3及び図4に示されるように、前方から見て斜めに配置されており、フィルタ22の下端はフィルタ収納部26の仕切り板24側の側面の下端部に着脱自在に取り付けられるとともに、フィルタ22の上端はフィルタ収納部26の反対側の側面に沿って上下動自在な自由端となっている。フィルタ22で捕集された油分等はフィルタ22の傾斜に沿って流れ落ちてフィルタ22の下端の下方に配置されたオイルキャッチャ40内に貯留される。
フード本体36の下面側には、フード本体36の下面開口部よりも一回り小さな整流板42が配設されており、整流板42の外縁とフード本体36との間には全周に亘って吸気通路44が形成されている。ちなみに、フィルタ収納部26に近いフード本体36の左半部では空気の吸引力が大きく、フィルタ収納部26から遠いフード本体36の右半部では空気の吸引力が弱いことから、整流板42によって空気の吸引力を整えることにより、フード本体36における空気の吸引力は全体として均一化されている。
昇降フード20を垂直方向に昇降させる昇降機46(図6参照)は、電動モータ34と、電動モータ34の動力を昇降フード20に伝達する駆動伝達部(図示せず)とからなる。駆動伝達部の一例として、電動モータ34で巻取ドラムを回転し、巻取ドラムに左右一対のベルトの各一端を巻掛け、各ベルトの他端を昇降ラック30(或いはフード本体36)の左右両面にそれぞれ連結し、電動モータ34で巻取ドラムを正転あるいは逆転することでベルトを巻き取りあるいは繰り出して昇降ラック30を昇降させ、昇降ラック30に追随して昇降フード20を昇降させる方法が挙げられる。なお、ベルトに代えて、例えば電動モータ34でピニオンを回転し、このピニオンと噛合するラックを昇降ラック30(或いはフード本体36)の両側面にそれぞれ取付け、電動モータ34でピニオンを正転あるいは逆転することで、昇降ラック30を昇降させることも可能である。
また、カウンター8の前端部には、図1及び図2に示されるように、操作パネル48が出し入れ自在に設置されている。
図5に示されるように、操作パネル48には、換気ファン18の回転数を増大するためのファンUPキー50aと、換気ファン18の回転数を減少するためのファンDOWNキー50bと、昇降機46の電動モータ34を駆動して昇降フード20を上限位置まで上昇するための昇降フードUPキー52aと、昇降機46の電動モータ34を駆動して昇降フード20を下限位置まで下降するための昇降フードDOWNキー52bと、加熱手段62の出力を減少するための加熱DOWNキー54aと、加熱手段62の出力を増大するための加熱UPキー54bと、加熱手段62のON/OFFを行うための入/切キー56が設けられている。また、操作パネル48には、加熱手段62の出力レベル、昇降フード20の位置、タイマー設定時間及び「加熱禁止」を表示するための表示手段58が設けられており、表示手段58はLCDやLED等により構成されている。
本実施の形態では、昇降フードUPキー52a及び昇降フードDOWNキー52bはそれぞれ一旦押されると昇降フード20は上限位置あるいは下限位置まで移動するように設定されているが、昇降フードUPキー52a及び昇降フードDOWNキー52bは押されている間昇降フード20を昇降させるものとしてもよい。
また、入/切キー56は、加熱手段62のON/OFFを行うためのキーではあるが、加熱手段62のON/OFFと同時に換気ファン18もON/OFFするように設定されている。
さらに、操作パネル48には、使用者に加熱調理器2の状態を報知するための報知手段76(例えば、図6参照)が設けられており、報知手段76はブザーや、音声などを報知できるスピーカ等により構成されている。
なお、図5の操作パネル48は、加熱手段62が一つの場合を示しているが、加熱調理器2が複数の加熱手段62を備えている場合、複数の加熱手段62にそれぞれ対応する複数の操作パネル48が設けられる。この場合、複数の操作パネル48の一つを図5に示される構成とし、他の操作パネルは、ファンUPキー50a、ファンDOWNキー50b、昇降フードUPキー52a、昇降フードDOWNキー52bがない構成とし、表示手段58にも昇降フード20の位置を示す表示は不要である。
また、図2の操作パネル48を流し台4の前方に設けた場合を示しているが、加熱調理器2の前面部48aに形成してもよい。このようにすることで、加熱調理器2の操作性がさらに良くなる。
以上の構成は、以下に説明する実施の形態1〜4のいずれにも共通する構成である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1にかかる調理システムにおける加熱調理器2とレンジフード10の制御方法を図6を参照しながら説明する。
加熱調理器2は、被加熱物である調理容器60を載置する載置部(図示せず)の下方に調理容器60を加熱する加熱手段62と、載置部の下面の温度を測定することにより調理容器60の温度を検知する温度検知手段64を備えている。また、温度検知手段64の検知結果に基づいて、加熱手段62の出力を制御する加熱制御手段66は、マイコンにより構成されている。
加熱調理器2は、加熱手段62を加熱コイルと高周波電流発生手段により構成した電磁誘導式加熱調理器として以後説明するが、加熱手段62としてガスやハロゲンヒータ等を採用することもできる。一方、温度検知手段64はサーミスタにより構成されているが、赤外線センサー、RTD等の温度検知センサーを採用することもできる。
また、加熱調理器2は、赤外センサーを用いた第1の通信手段68aと第2の通信手段70aを備えており、昇降機46は第1の通信手段68bを備える一方、昇降フード20は第2の通信手段70bを備えている。第1の加熱調理器側通信手段68aは赤外線を受光したときにONになる受光素子にて構成され、第1の昇降機側通信手段68bは赤外線を発光する発光素子にて構成される。同様に、第2の加熱調理器側通信手段70aは赤外線を発光する発光素子にて構成され、第2の昇降フード側通信手段70bは赤外線を受光したときにONになる受光素子にて構成される。
なお、本実施の形態では、第1の通信手段68a,68bあるいは第2の通信手段70a,70bを赤外線センサーを用いた単方向通信手段を用いて構成しているが、有線により通信手段を構成してもよいし、他の無線通信手段であるブルートゥースや双方向の通信手段を用いてもよい。
一方、昇降機46は昇降手段としての電動モータ34を制御する昇降機制御手段72を備え、昇降機制御手段72はマイコンを用いて実現する。昇降機46には、昇降フード20の位置を検知する位置検知手段として、少なくとも2つ以上のリミットスイッチが設けられ、本実施の形態では、アッパーリミットスイッチ74aとロワーリミットスイッチ74bの二つのリミットスイッチが設けられている。アッパーリミットスイッチ74aとロワーリミットスイッチ74bは、昇降フード20が移動可能範囲の上限にあるときにアッパーリミットスイッチ74aがONとなり、昇降フード20が移動可能範囲の下限にあるときにロワーリミットスイッチ74bがONとなるように構成されており、アッパーリミットスイッチ74aとロワーリミットスイッチ74bが共にOFFの場合、昇降フード20が中間位置にあることを検知するように設定されている。各リミットスイッチ74a,74bのON/OFF信号は昇降機制御手段72に入力され、さらに第1の通信手段68a,68bを介して加熱制御手段66に入力され、これらの信号に基づいて昇降フード20の位置が表示手段58に表示される。本実施の形態では、昇降フード20が上限にある場合を昇降フード20と加熱料理器2の間の距離が所定距離であるとし、所定距離は、例えば80cmに設定される。
なお、本実施の形態では、昇降フード20の位置を検知する位置検知手段をリミットスイッチ74a,74bにより構成したが、リードスイッチにより構成してもよい。また、発光素子と受光素子により構成することも可能で、この場合、発光素子から受光素子に向かって照射される光が受光素子で受光されたかどうかを検知することにより、昇降フード20の位置を検知することができる。さらに、後述する昇降機制御手段に電動モータ34の回転パルス数を記憶する記憶部を設け、電動モータ34の回転パルス数を計測して、予め決められた回転パルス数で昇降フード20を上限位置あるいは下限位置でそれぞれ停止させるようにすることもできる。また、赤外センサーや超音波センサーを用いた距離センサーにより位置検知手段を構成すると、昇降フード20の上限及び下限のみならず、その高さ方向の位置も検知することができる。
昇降機制御手段72は、リミットスイッチ74a,74bの検知結果である“上限位置”、“中間位置”、“下限位置”のいずれかを示す信号を第1の昇降機側通信手段68bより第1の加熱調理器側通信手段68aに第1の所定時間(例えば、0.1秒)毎に送信する。
加熱制御手段66は、第1の通信手段68aを介してリミットスイッチ74a,74bの検知結果を受け取り、所定距離より短い場合(検知結果が“上限位置”以外の場合)は加熱手段62をOFFする。これにより、加熱調理器2と昇降フード20の距離が近い場合に、加熱手段62の出力をOFFすることができるので安全な調理システムを提供することができる。
加熱制御手段66は第1の通信手段68a,68bを介してリミットスイッチ74a,74bの検知結果を受け取るが、第2の所定時間(例えば、0.3秒)以上データ受信が途切れると、加熱手段62の動作状態に応じて次のような制御を行うことにより加熱調理器2の安全性を向上させている。
すなわち、加熱手段62が加熱動作中の場合は加熱手段62を停止し、加熱手段62の加熱開始を禁止する一方、加熱手段62が加熱停止中の場合は加熱手段62の加熱開始を禁止するように設定している。
なお、本実施の形態では、リミットスイッチ74a,74bにより昇降フード20の“上限位置”、“中間位置”、“下限位置”のいずれかを検知するようにしたが、位置検知手段を距離センサー等により構成すると、加熱調理器2と昇降フード20の相対距離を現すデータが第1の昇降機側通信手段68bより第1の加熱調理器側通信手段68aに送信され、リミットスイッチあるいはリードスイッチ等を3つ以上設けた場合は、相応の位置データが第1の昇降機側通信手段68bより第1の加熱調理器側通信手段68aに送信される。
なお、本実施の形態では、第1の所定時間を例えば0.1秒とし、第2の所定時間を例えば0.3秒としたが、昇降フード20と加熱調理器2の距離が所定距離より短くなるまでに加熱手段62の出力を停止できれば、これに限定されるものではない。
昇降機制御手段72は、昇降フード20に設けられた昇降フード制御手段78と有線を介してTTL信号にて通信し、昇降フード制御手段78はマイコンを用いて実現する。なお、昇降機制御手段72と昇降フード制御手段78の通信は有線に限定されるわけではなく、ブルートゥースや赤外センサーなどの双方向無線通信手段により実現してもよい。
昇降フード制御手段78は換気ファン18の駆動を制御している。昇降フード制御手段78は第2の通信手段70a,70bを介して加熱調理器2からの操作情報を得る。この操作情報には換気ファン18のON/OFFの命令、及び換気ファン18の回転数を増減させる命令がある。また、前記操作情報には昇降フード20を昇降させる命令があり、これは昇降フード制御手段78を介して昇降機制御手段72へ送られる。
なお、本実施の形態では、第2の加熱調理器側通信手段70aは換気ファン18や昇降機46を操作するための各スイッチが押されたときにその命令を送信するよう構成する。
昇降フード20の上方に収納スペース(昇降ラック30)を配置し、昇降フード20が下降することで、収納スペースが連動して下降するので使用者が容易に収納スペースを使用することができる。
また、本実施の形態では、昇降フード20の移動方向を垂直方向としたが、昇降フード20上の収納スペース(昇降ラック30)を昇降フード20が下降したときに使用できれば垂直方向に限るものではなく、例えば円弧状の軌跡を描いて上限位置と下限位置との間で移動するものも含まれる。また、昇降フード20を垂直方向に昇降させる構成では、下限位置で昇降フード20を前後移動自在の構成とし、昇降フード20を手動あるいは電動で前方に引き出した位置、すなわち前端位置を換気ファン18の作動位置に設定し、昇降フード20を手動あるいは電動で後退させた位置、すなわち後端位置(昇降フード20の収納位置)を換気ファン18の非作動位置に設定することもできる。したがって、本明細書においては、昇降フード20を移動式フードと呼ぶ場合もある。
なお、後述するように(例えば、図10に示される実施の形態4)、昇降フード20側にも、昇降フード20の昇降操作を行うことができる昇降フード操作手段と、昇降フードの昇降状態を表す昇降フード表示手段を設けた場合には、昇降フード操作手段からの信号は昇降フード制御手段78に入力され、昇降フード制御手段78から出力された信号が昇降機制御手段72に入力されて、昇降機制御手段72により電動モータ34を駆動制御する。また、電動モータ34の駆動により昇降フード20が昇降すると、リミットスイッチ74a,74bからの信号は昇降機制御手段72を介して昇降フード制御手段78に入力され、昇降フード20の位置が昇降フード表示手段に表示される。
また、昇降フード20側には、換気ファン18のON/OFFを行うためのスイッチを設けることもできる。
さらに、本実施の形態では、昇降フード20の位置を検知する位置検知手段としてのリミットスイッチ74a,74bをレンジフード10側に設けたが、位置検知手段を赤外センサーや超音波センサーにより構成し、加熱調理器2側に設けると、その検知結果にもとづき加熱制御手段66が加熱調理器2の動作の規制を同様に行うようにすることもできる。
さらに、本実施の形態では、第1の通信手段68aを介してレンジフード10から入力された制御情報に基づいて加熱手段62の動作を規制する制御を行うようにしたが、制御情報を第2の通信手段70aを介して昇降機制御手段72に出力して昇降機46の動作を規制する制御を行うようにしてもよい。例えば、昇降機制御手段72は、加熱調理器2が動作中であることを、第2のレンジフード側通信手段70b、昇降フード制御手段78を介して入力した制御情報に基づき認識した場合において、位置検知手段としてのアッパーリミットスイッチ74a、ロワーリミットスイッチ74bの検知結果から、昇降フード74aが“中間位置”にあることを検知しているときに、上昇モードに入ることを許容しても下降モードには入らないように昇降機46を制御するようにしてもよい。これにより、昇降フード20の動作に自由度をもたせることができる。
加熱調理器2と昇降フード20の制御方法をさらに説明する。
昇降フード20が上限位置より下方にあるときには、加熱制御手段66は、表示手段58に対して「加熱禁止」を表示するように命令し、加熱手段62のON/OFFを行う入/切キー56の操作を受け付けない。加熱禁止時に入/切キー56が押されると、報知手段76を例えば0.3秒のONと0.3秒のOFFを5回繰り返し、加熱禁止である報知を行うが、加熱禁止であることが認識できればこれに限るものではない。
また、加熱調理器2が動作中であるときに、加熱制御手段66は、表示手段58に対して「昇降フード移動禁止」を表示するように命令し、昇降フード20の下降を行うファンDOWNキー50bの操作を受け付けないようにしてもよく、表示手段58は、加熱手段62の「加熱禁止」という表示に加えて、昇降フード20の移動が規制されている表示を行うこともできる。
第1の通信手段68a,68bの通信が第2の所定時間以上途切れたとき、加熱手段62が加熱動作中の場合は加熱手段62を停止し、表示手段58に「U01」を表示し、通信が途切れたために加熱手段62を停止したことを知らせる表示を行う。また、加熱手段62を停止したときに、報知手段76が例えば0.5秒のONと0.5秒のOFFを2回繰り返し、加熱手段62を停止したことを報知する。さらに、報知手段76も、昇降フード20の移動規制を報知するように設定することもできる。
なお、本実施の形態では通信が途切れたことを表示するのに「U01」を表示するとしたが、通信が途切れたため加熱手段62を停止したことを表現するLEDを設け点灯してもよいし、通信が途切れたため加熱手段62を停止したことが認識できればこれに限られるものではない。また、加熱手段62を停止したことを報知するのに0.5秒のONと0.5秒のOFFを2回繰り返すとしたが、加熱手段62を停止したことを報知できればこれに限られるものではない。
以上のように、本実施の形態における加熱調理器2は、被加熱物(調理容器60及びその内部の被調理物)が発生する煙や熱を吸込み外部に排出する移動式フードとしての昇降フード20と、昇降フード20を移動する移動手段としての昇降機46と、移動手段46の動作を制御する移動制御手段としての昇降フード制御手段78とを有するレンジフード10を備えた調理システムに設けられる加熱調理器2であって、調理容器60を加熱する加熱手段62と、加熱手段62の動作を制御する加熱制御手段66と、レンジフードとの間で制御情報の伝達を行うための第1の通信手段68a,第2の通信手段70aとを備え、加熱制御手段66は、第1の通信手段68aを介してレンジフード10から入力された制御情報と、加熱調理器2に設けられ昇降フード20の位置を検知する位置検知手段の検知結果と、加熱調理器2に設けられ昇降フード20の移動を検知する移動検知手段(実施の形態2参照)の検知結果との少なくともいずれか一つに基づいて、昇降フード20が加熱手段62の加熱動作を規制すべき所定の位置にあると認識したとき、あるいは、加熱手段62の加熱動作を規制すべき所定の移動モードにあると認識したときには、制御情報を第2の通信手段70aを介して昇降機制御手段72に出力して昇降機46の動作を規制する制御と、第1の通信手段68aを介してレンジフード10から入力された制御情報に基づいて加熱手段62の動作を規制する制御の少なくともいずれかの制御を行うようにしたので、調理システムにレンジフードと組み合わせて設置することで、例えば昇降フード20を移動させて昇降フード20の清掃やフィルタの取り替え、昇降フード20の収納、又は昇降フード20上部の空間の有効活用など、その設置形態に応じて、昇降フード20が移動可能となることにより得られる作用効果を適宜利用することができる。加えて、昇降フード20を移動させる際、又は加熱調理器2を動作させる際、昇降フード20が不都合な位置にあるときに、レンジフード10が加熱調理器2の加熱手段62の動作状態に応じて昇降フード20の位置や移動動作を規制するか、加熱調理器2が加熱手段62の加熱動作を規制することができるので、昇降フード20と加熱調理器2との相互の位置関係により、不安全な状況その他の好ましくない状況が生起するのを防止することができる。
ここで、昇降フード20の「不都合な位置」とは、リミットスイッチ74a,74bにより昇降フード20の“上限位置”、“中間位置”、“下限位置”を検出する場合は、“中間位置”、“下限位置”のことであり、リミットスイッチ74a,74bにより昇降フード20の上下方向の位置を検出する構成の場合は、加熱手段62の加熱動作を規制すべき所定の位置のことで、例えば、加熱調理器2と昇降フード20の相互の位置関係において、不安全な位置として昇降フード20が加熱調理器2から0〜80cmに設定される範囲にある場合、あるいは調理システムのいずれかがその機能を十分果たせない位置として設定される範囲にある場合のことである。
また、加熱制御手段66は、調理容器60が昇降フード20に与える熱影響を抑制すべく、第2の加熱調理器側通信手段70aを介して昇降機46の動作を規制する制御情報を出力するか、又は第2の加熱調理器側通信手段68aを介してレンジフード10から入力した制御情報に基づき加熱手段62の動作を規制するか、少なくともいずれかを行う構成としたので、昇降フード20が調理容器60の発生する熱により変形したり、燃焼したりするのを防止することができ、安全である。なお、調理容器60が昇降フード20に与える熱影響を抑制するためには、結果的に、昇降フード20が加熱調理器2より熱影響の少ない所定の距離(本実施の形態では80cm)以上離れるようにする、又は加熱調理器2の加熱動作を停止させる若しくは減少させる。
また、加熱制御手段66は、加熱手段62が加熱動作中であるときは、昇降フード20と加熱手段62との間の距離が所定値以上となるように昇降機46の動作を規制する制御情報を、第2の加熱調理器側通信手段70a,第2のレンジフード側通信手段70bを介してレンジフード10に出力する一方、加熱手段62が加熱動作中でないときは、昇降機46の動作を規制する制御情報を第2の加熱調理器側通信手段70a,第2のレンジフード側通信手段70bを介してレンジフード10に出力しないことにより、調理容器60や被調理物の発生する炎等が昇降フード20に与える熱影響を抑制することができ、昇降フード20の過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、レンジフード10との間で通信が正常に行われているかどうかを検知する通信異常検知手段(図示せず)を加熱制御手段66に設けるのが好ましい。この場合、通信異常検知手段が通信の異常を検知すると加熱手段62の動作を規制する構成とすることにより、通信が何らかの理由で途絶えるあるいは異常な状況に陥る場合に、加熱調理器20の加熱動作又は昇降フード20の位置等移動の状況を昇降フード制御手段78、加熱制御手段66が認識できず、昇降フード20と加熱調理器2の相互の位置関係が好ましくない状況下において加熱調理器2又はレンジフード10の昇降機46が好ましくない動作をするのを防止することができる。
また、加熱制御手段66は、第1の加熱調理器側通信手段68aを介して入力された昇降フード20の移動又は位置に関する制御情報に基づき、昇降フード20と加熱手段62との間の距離が所定距離(調理容器60又は被調理物の熱や炎の影響が抑制可能と判断できる距離、例えば80cm)より短いと判断したとき、加熱手段62の動作を規制するので、調理容器60が昇降フード20に与える熱影響を抑制することができる。
また、レンジフード10に、昇降フード20の移動を検知する移動検知手段又は昇降フード20の位置を検知する位置検知手段リミットスイッチ74a,74bを設けることにより、加熱制御手段66は、これらの移動検知手段あるいは位置検知手段から第1の加熱調理器側通信手段68a,第1のレンジフード側通信手段68bを介して昇降フード20の位置が所定の位置(例えば本実施の形態において、昇降フード20の“上限位置”)から離れたことを示す制御情報や、あるいは所定の位置(例えば本実施の形態において、昇降フード20の“中間位置”、“下限位置”)に到達したことを示す制御情報が入力されると、昇降フード20と加熱手段62との間の距離が所定距離(調理容器60又は被調理物の熱や炎の影響が抑制可能と判断できる距離、例えば80cm)より短いと判断し加熱手段62の動作を規制するので、加熱手段62の動作を規制すべき昇降フード20の位置を確認するのが容易となる。
また、加熱制御手段66は、昇降フード20が移動モード又は下降モードに入った旨の制御情報を、昇降機制御手段72から第1のレンジフード側通信手段68b、第1の加熱調理器側通信手段68aを介して入力したときに加熱手段62の動作を規制するので、加熱手段62の動作を規制すべき昇降フード20の位置を確認するのが容易となる。
また、昇降フード20が所定の位置にないとき等、加熱手段62の動作を規制すべき位置にあるとき、加熱手段62の動作が規制されていること、あるいは加熱調理器2が動作中であるとき等、昇降フード20の移動が規制されていることを表示あるいは報知する表示手段58あるいは報知手段76を設けたので、使用者が、加熱手段62の動作あるいは昇降フード20の移動が規制されている理由を知ることができ、不必要に使用者をとまどわせることがない。
さらに、本実施の形態におけるレンジフード10は、調理容器あるいは被調理物が発生する煙や熱を吸い込み外部に排出する昇降フード20と、昇降フード20を移動する昇降機46と、昇降機46を制御する昇降フード制御手段78と、加熱調理器2との間で制御情報の伝達を行うための第1のレンジフード側通信手段68b,第2のレンジフード側通信手段70bとを備え、昇降フード制御手段78は、昇降フード20の位置を検知するレンジフード側位置検知手段としてのアッパーリミットスイッチ74a,ロワーリミットスイッチ74bの検知結果と、昇降フード20の移動を検知するレンジフード側移動検知手段80の検知結果とのいずれか一つに基づいて、昇降フード20が加熱手段62の加熱動作を規制すべき所定の位置にあると認識したとき、あるいは、加熱手段62の加熱動作を規制すべき所定の移動モードであると認識したときには、それに対応した制御情報を第1のレンジフード側通信手段68bを介して第1の加熱調理器側通信手段68aに出力して加熱手段62の動作を規制する制御と、第2の加熱調理器側通信手段70a,第2のレンジフード側通信手段70bを介して加熱調理器2から入力された制御情報に基づいて昇降機46の動作を規制する制御の少なくともいずれかの制御を行うようにしたので、調理容器60を加熱する加熱手段62及びその動作を制御する加熱制御手段66を有する加熱調理器2と組み合わせて設置することで、例えば昇降フード20を移動させて昇降フード20の清掃やフィルタの取り替え、昇降フード20の収納、又は昇降フード20上部の空間の有効活用など、その設置形態に応じて、昇降フード20が移動可能となることにより得られる作用効果を適宜利用することができる。加えて、昇降フード20を移動させる際、又は加熱調理器2を動作させる際、昇降フード20が不都合な位置にあるときに、昇降フード20が加熱調理器2の加熱手段62の動作状態に応じて昇降フード20の位置や移動動作を規制するか、加熱調理器2が加熱手段62の加熱動作を規制することができるので、昇降フード20と加熱調理器2との相互の位置関係により、不安全な状況その他の好ましくない状況が生起するのを防止することができる。
また、移動制御手段としての昇降機制御手段72は、調理容器60が昇降フード20に与える熱影響を抑制すべく、第1のレンジフード側通信手段68bを介して加熱制御手段66の動作を規制する制御情報を出力するか、又は第2のレンジフード側通信手段70bを介して加熱調理器2から入力された制御情報に基づき昇降機46の動作を規制するか、少なくともいずれかを行う構成としたことにより、レンジフード10が加熱容器60及び被調理物の発生する熱や炎により変形したり、燃焼したりするのを防止することができるので安全である。
また、移動制御手段としての昇降機制御手段72は、加熱手段62の動作が停止するか、又は加熱出力が所定値以下に減少するように加熱手段62の動作を規制する制御情報を、第1のレンジフード側通信手段68bを介して加熱調理器2に出力することにより調理容器60が昇降フード20に与える熱影響を抑制することができ、昇降フード20の過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、加熱調理器2との間で第1、2のレンジフード側通信手段68b、70bにより通信が正常に行われているかどうかを検知する通信異常検知手段(図示せず)を昇降機制御手段72に設けるのが好ましい。この場合、前記通信異常検知手段が通信の異常を検知すると昇降機46の動作を規制することにより、通信が何らかの理由で途絶えるあるいは異常な状況に陥る場合に、加熱調理器20の加熱動作又は昇降フード20の位置等移動の状況を昇降フード制御手段78、加熱制御手段66が認識できず、昇降フード20と加熱調理器2の相互の位置関係が好ましくない状況下において加熱調理器2又はレンジフード10の昇降機46が好ましくない動作をするのを防止することができる。
また、移動制御手段としての昇降機制御手段72は、第2の加熱調理器側通信手段70a,第2のレンジフード側通信手段70bを介して加熱手段62が動作したことを示す制御情報と、電源スイッチが投入されたことを示す制御情報のいずれかの制御情報が入力されると昇降機46の動作を規制するように設定することもできる。
また、昇降フード20の移動を検知する移動検知手段あるいは昇降フード20の位置を検知する位置検知手段の検知結果に基づき、昇降フード20が移動中であるとき、あるいは昇降フード20と加熱手段62との間の距離が所定距離より短いと判断されると、加熱手段62の動作中に、第2の昇降フード側通信手段70bを介して入力された制御情報に基づき昇降機46の動作を規制するので、調理容器60が昇降フード20に与える熱影響を抑制することができ、昇降フード20の過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、移動制御手段としての昇降機制御手段72は、昇降機46の動作を規制する際、昇降フード20が移動モード又は少なくとも下降モードに入らないようにすることにより、昇降機46の制御が容易になる。
また、移動制御手段としての昇降機制御手段72は、昇降フード20を移動するための移動命令が加熱調理器2より入力され、その移動命令に対応して出力される制御信号が第2の加熱調理器側通信手段70a、第2のレンジフード側通信手段70bを介して入力されると、その制御信号に応じて昇降機46の動作を制御するので、昇降フード20が加熱調理器2に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器2の加熱手段62が不都合な動作をするのを防止することができる。
また、移動制御手段としての昇降機制御手段72は、昇降機46の動作を規制する際、少なくとも加熱手段62が動作状態にある場合に、昇降フード20と加熱手段62との間の距離を所定値以上となるように昇降機46の動作を規制するので、加熱容器60または被調理物が昇降フード20に与える熱影響を抑制することができ、昇降フード20の過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
また、移動制御手段としての昇降機制御手段72は、加熱手段62の動作を規制する制御情報を第1のレンジフード側通信手段68bに出力するか、あるいは昇降機46の動作を同時に規制するようにすると、昇降フード20が加熱調理器2に対して不都合な位置にある状況下で加熱調理器2の加熱手段62が不都合な動作をするのを防止することができる。
このように、調理システムを構成することで、使い勝手が良く、安全な調理システムを提供することができる。
なお、本実施の形態では、レンジフード10が、昇降フード20と昇降機46それぞれに制御手段を備えた構成として説明したが、図7に示すように昇降フード制御手段78によりアッパーリミットスイッチ74a,ロワーリミットスイッチ74bの検知結果を入力し、アッパーリミットスイッチ74a,ロワーリミットスイッチ74bの検知結果である“上限位置”、“中間位置”、“下限位置”のいずれかを第1の加熱調理器側通信手段68a,第1のレンジフード側68bを介して加熱制御手段66へ送信し、電動モータ34の駆動を制御し昇降フード20の昇降を制御する構成としてもよい。
なお、本実施の形態では、レンジフード10の送信手段である第1のレンジフード側通信手段68bを昇降機46に設置するよう構成したが、昇降フード20の昇降により通信性能に影響がないように昇降フード20に設置する構成としてもよい。
また、加熱調理器2は、電磁誘導式加熱調理器(誘導加熱調理器)として説明したが、加熱コイルである加熱手段62は、複数個あってもよい。この場合、昇降フード20の動作に応じて、加熱調理器2の加熱動作を規制する際、例えば全ての加熱手段62の動作を規制することにすれば安全でよい。また、加熱調理器2の動作に応じて昇降フード20の昇降動作を規制する場合には、例えば加熱調理器2の少なくともいずれか一つの加熱手段62の加熱動作が行われることを当該規制の条件とすれば安全でよい。また、加熱手段62が加熱コイルである場合、すなわち電磁誘導式加熱調理器である場合には、加熱動作を停止すると負荷の温度が余熱で上がることが少ないため、昇降フード20との連携動作が行いやすいという特徴がある。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2にかかる調理システムにおける加熱調理器2とレンジフード10の制御方法を図8を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1の図7と同じなので異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ機能については同じ符号を付しその説明は省略する。
図8は本実施の形態における調理システムの構成図である。図8において、駆動源としての電動モータ34の動作状態を検知することができるホールICからなる移動検知手段80を備える。移動検知手段80は電動モータ34の動作状態から昇降フード20の移動状態を検知する。本実施の形態では、電動モータ34が正回転であれば昇降フード20は“下降中”、電動モータ34が逆回転であれば昇降フード20は“上昇中”、電動モータ34が停止していれば“停止中”とする。
昇降フード制御手段78は移動検知手段80の検知結果である“上昇中”、“下降中”、“停止中”のいずれかを第1の通信手段68a,68bを介して加熱制御手段66へ第1の所定時間毎に送信する。加熱制御手段66は第1の通信手段68a,68bを介して移動検知手段80の検知結果を受け取り、“下降中”または“上昇中”の場合は加熱手段62をOFFする。これにより、昇降フード20が移動中の場合には、不安定な状況にあり落下物等のおそれがあるが、加熱手段62の出力をOFFすることができるので安全な調理システムを提供することができる。
加熱制御手段66は第1の加熱調理器側通信手段68a,第1のレンジフード側通信手段68bを介して移動検知手段80の検知結果を受け取るが、第2の所定時間以上データ受信が途切れると加熱手段62の動作状態に応じて次のような制御を行うことにより加熱調理器2の安全性を向上させている。
すなわち、加熱手段62が加熱動作中の場合は加熱手段62を停止し、加熱手段62の加熱開始を禁止する一方、加熱手段62が加熱停止中の場合は加熱手段62の加熱開始を禁止するように設定している。
なお、本実施の形態では、第2の所定時間を0.3秒とする。これにより、通信が途切れた場合に加熱調理器2を安全に制御することができる。
また、本実施の形態では、ホールICを用いて移動検知手段80を実現するとしたが、赤外センサーや超音波センサーなどによる昇降フード20と加熱調理器2間の距離を測定する手段を備え、一定間隔で変化した距離の値から速度と向きを計算することで、昇降フード20の移動状態を検知する構成としてもよい。
また、実施の形態1において説明したようなアッパーリミットスイッチ74a,ロワーリミットスイッチ74bを位置検知手段として用いた場合は、“下降命令”または“上昇命令”が入力されると、必ず“下限位置”または“上限位置”まで移動するとし、昇降フード20が上限位置及び下限位置になく、且つ命令を実行する前の状態が“上限位置”の場合は“下降中”、命令を実行する前の状態が“下限位置”の場合は“上昇中”とすることで移動検知手段80を実現することができる。
以上のように、本実施の形態におけるレンジフード10は、昇降フード20の移動を検知する移動検知手段80を備え、移動検知手段80の検知した昇降フード20に関する移動情報に基づき、第1のレンジフード側通信手段68bに昇降フード20が移動中であること、下降中であること、あるいは上昇中であることを表す制御情報を出力するので、加熱調理機2は、第1の加熱調理器側通信手段68aを介して入力した昇降フード20の移動状況を表す制御情報に基づき加熱手段62の動作を規制することができる。これにより調理容器60及び被調理物が昇降フード20に与える熱影響を抑制することにより、昇降フード20の過熱や燃焼を防止し安全性を確保することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3にかかる調理システムにおける加熱調理器2とレンジフード10の制御方法を図9を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態1と同じなので異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と同じ機能については同じ符号を付しその説明は省略する。
図9は本実施の形態における調理システムの構成図である。実施の形態1、2における調理システムは、加熱調理器2の操作部に設けられたファンUPキー52aと、ファンDOWNキー54aで昇降フード20の昇降操作を行う構成であるのに対し、図9に示す本実施の形態の調理システムにおいて、レンジフード10が昇降フード20の昇降操作を行うことができる図5のファンUPキー52a、ファンDOWNキー54aと同様の操作キーを設けた昇降フード操作手段82を備えている。なお、本実施の形態では、昇降フード操作手段82は昇降フード20の本体外に設置する構成とするが、昇降フード20の本体前面等に設置してもよい。
昇降フード制御手段78は昇降フード操作手段82により下降操作が行われると“下降モード”に入る。昇降フード制御手段78は“下降モード”に入ると第1のレンジフード側通信手段68b、第1の加熱調理器側通信手段68aを介して加熱制御手段66へ“下降モード”に入ったという制御情報を送信する。次に、昇降フード制御手段78は加熱制御手段66へ“下降モード”に入ったという情報を送信してから第3の所定時間である0.2秒経過後から電動モータ34を駆動し、昇降フード20の下降を開始する。一方、加熱制御手段66は第1のレンジフード側通信手段68b、第1の加熱調理器側通信手段68aを介して昇降フード制御手段78が“下降モード”に入ったことを確認すると加熱手段62の出力を停止する。
なお、本実施の形態では、第3の所定時間を0.2秒としたが、“下降モード”に入ったという情報を加熱制御手段66が受信し、加熱手段62の出力を停止する動作が完了後、電動モータ34の駆動をすることができればこれに限られるものではない。なお、昇降フード操作手段82により下降操作が行われた場合に、加熱調理器2が動作中である場合であってその下降操作を加熱調理器2の加熱動作よりも優先させて実行する場合に、加熱調理器2から駆動停止の動作が完了したことを表す制御信号を第2の加熱調理器側通信手段70a、第2のレンジフード側通信手段70bを介してレンジフード10に送信しこの信号を入力した後、昇降フード制御手段78が電動モータ34を駆動するようにするのが好ましい。
このように動作を行うことで、昇降フード20が実際に下降し、位置検知手段74a,74b等により、下降した事を検知する前に加熱手段62の出力を停止することができるので、より安全な調理システムを提供することができる。
以上のように、本実施の形態におけるレンジフード10は、昇降フード20を移動させるためのフード移動命令を入力する昇降フード側操作手段20を備え、移動制御手段としての昇降フード制御手段78は、昇降フード操作手段82がフード移動命令を入力するとフード移動命令に対応する制御情報を、第1のレンジフード側通信手段68bを介して出力するので、その制御情報は第1の加熱調理器側通信手段68aを介して加熱調理器2に入力され、加熱手段62の動作を規制するので、昇降フード20が加熱調理器2に対して加熱動作を許容する所定の位置以外の不都合な位置にある状況下で加熱調理器の加熱手段が不都合な動作(加熱動作)をするのを防止することができる。
なお、本実施の形態では、昇降フード操作手段82により下降操作が行われた場合において、加熱調理器2が動作中でありその下降操作を加熱調理器2の加熱動作よりも優先させて実行する場合に、昇降フード制御手段78が昇降フード20の下降を開始させるタイミングを加熱制御手段66へ“下降モード”に入ったという情報を送信してから第3の所定時間経過後としたが、加熱制御手段66は加熱停止を行ったことを表す制御信号を第2の加熱調理器側通信手段70a,第2のレンジフード側通信手段70bを介して昇降フード制御手段78へ送信し、昇降フード制御手段78はその制御信号を受けて加熱停止を確認後、電動モータ34を駆動し、昇降フード20の下降を開始すればより安全性を確保することができる。
また、加熱調理器2が誘導加熱手段に加え、ハロゲンヒータ等の発熱体による加熱手段やガスヒータ等、直接熱を発する加熱手段を有する場合には、第3の所定時間を誘導加熱手段についてのものを発熱体による加熱手段についてのものよりも短くなるように設定するようにしてもよい。誘導加熱手段のほうが熱応答性が良いからである。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4にかかる調理システムにおける加熱調理器2とレンジフード10の制御方法を図10を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の基本構成は実施の形態3と同じなので異なる点を中心に説明する。また、実施の形態3と同じ機能については同じ符号を付しその説明は省略する。
図10は本実施の形態における調理システムの構成図である。図10において、レンジフード10は昇降フード20の昇降操作をレンジフード10側で行うことができる昇降フード操作手段82を備え、昇降フード20の位置あるいは移動モード等の昇降状態をレンジフード10側で表す昇降フード表示手段84を備えている。本実施の形態では、昇降フード操作手段82及び昇降フード表示手段84は昇降フード20の本体外に設置する構成とするが、昇降フード20のフード本体36、例えば前枠36a(図2参照)等に設置してもよい。
加熱制御手段66は第2の加熱調理器側通信手段70a,第2のレンジフード側通信手段70bを介して移動制御手段としての昇降フード制御手段78へ加熱手段62の加熱状態を表す制御情報を第4の所定時間毎に送信する。本実施の形態における第4の所定時間は0.1秒とする。
なお、本実施の形態における加熱状態の送信タイミングは第4の所定時間毎としたが、加熱状態が変化したときに加熱状態を表す制御情報を送信するようにしてもよい。
本実施の形態における加熱状態とは加熱手段62が出力するパワーの大きさを表す情報や、自動湯沸しモード、自動炊飯モードや揚げ物温調モードといった加熱モードを表す制御情報とする。
図11は本実施の形態における加熱状態を表す表である。図11において、加熱状態番号は各加熱モードに対応する番号であり、加熱制御手段66はこの番号を昇降フード制御手段78に送信する。通常加熱モードは1〜10まで番号が割り振られている。これらの番号は通常加熱モードで出力するパワーの大きさを表している。本実施の形態では出力レベルが10段階に設定できる。“5”は1000W、“6”は1500W、“7”は2000Wといったように1〜10までの値の場合は通常加熱モードで、その数字に応じた出力が設定されている。
昇降フード制御手段78は第2のレンジフード側通信手段70bから入力した制御情報において加熱状態番号が0以外の場合は昇降フード20の昇降操作を禁止する。
次に、レンジフード10側の昇降フード表示手段84の操作パネルを示す図12を用いて昇降フード操作手段82及び昇降フード表示手段84について説明する。
図12において、昇降フードUPキー82aは押して操作することにより電動モータ34を駆動し、昇降フード20を上限位置まで上昇させ、昇降フードDOWNキー82bは押して操作することにより電動モータ34を駆動し、昇降フード20を下限位置まで下降させるキーである。昇降フードUPキー82aと昇降フードDOWNキー82bはそれぞれ一旦押されると上限位置または下限位置まで昇降フード20は移動することとする。
なお、本実施の形態では、昇降フードUPキー82aと昇降フードDOWNキー82bはそれぞれ一旦押されると上限位置または下限位置まで昇降フード20は移動するとしたが、それぞれが押されている間昇降フード20を昇降させるものとしてもよい。
昇降フード表示手段84はLEDにより構成し、昇降フード機制御手段78により昇降フード20の下降が禁止されているときに点灯するよう制御し、昇降フードDOWNキー82bの操作を受け付けない。また、昇降フード機制御手段78は、下降禁止時に昇降フードDOWNキー82bが押された場合にはレンジフード10側に設けられた報知手段(図示せず)を0.3秒のONと0.3秒のOFFを6回繰り返し、下降禁止であることを示す報知を行う。
なお、本実施の形態では、昇降フード表示手段84をLEDにより構成したが、「下降禁止」を表示するLCDを設け、下降禁止であることがわかればこれに限るものではない。また、レンジフード10側に設けられた報知手段(図示せず)を0.3秒のONと0.3秒のOFFを6回繰り返すとしたが、下降禁止であることがわかればこれに限るものではない。
また、レンジフード10側に設けた昇降フード表示手段84の操作パネルには、「下降禁止」という表示に加えて、加熱手段62の動作が規制されている表示を行ったり、加熱手段の動作が規制されていることや昇降フード20の移動が規制されていることを報知する報知手段を設けることもできる。
第1の通信手段加熱調理器側68a,第1のレンジフード側通信手段68bの正規の通信動作が第2の所定時間以上途切れたとき、加熱手段62が加熱動作中の場合は加熱手段62を停止し、表示手段58に「U01」を表示し、正規の通信が途切れたために加熱手段62を停止したことを知らせる表示を行う。また、加熱手段62を停止したときに、報知手段76が例えば0.5秒のONと0.5秒のOFFを2回繰り返し、加熱手段62を停止したことを報知する。さらに、報知手段76も、昇降フード20の移動規制を報知するように設定することもできる。
以上のように、本実施の形態のレンジフード10は、加熱調理器2が初期モード以外の所定の加熱モードにあるときに、昇降フード20の位置が所定の位置にないことあるいは昇降フード20が不都合な位置にあることにより昇降フード20の移動が規制されていることを表示する、あるいは昇降フード20の位置が所定の位置にないことあるいは昇降フード20が不都合な位置にあることにより、加熱調理器2の加熱動作が規制されていることを示す表示手段84を有するので、使用者が、昇降フード20の移動が規制されている理由あるいは加熱調理器2の加熱動作が規制されていることを知ることができ、不必要な使用者のとまどいを防止することができる。
このように、調理システムを構成することで、加熱調理器2の加熱情報をレンジフード10に送信することができ、レンジフード10は加熱調理器2の加熱情報に応じて昇降フード20の昇降を制御することができるので、安全な調理システムを提供することができる。