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JP4639360B2 - プライマー組成物、その製造方法および接着方法 - Google Patents

プライマー組成物、その製造方法および接着方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプライマー組成物、その製造方法および接着方法に関し、詳しくは、室温硬化性シリコーン組成物を各種基材に強固に接着させることのできるプライマー組成物、その製造方法および接着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、室温硬化性シリコーン組成物をガラス、金属、セラミック等の無機質被着体表面に接着硬化させるには、予め被着体をプライマーで処理してからシリコーン組成物を打設する方法が採られている。従来、このような方法に使用されるプライマー組成物としては数多くのプライマー組成物が提案されている。例えば、米国特許3,246,671号および特公平8-26281号公報には、アミノアルキル基含有アルコキシシランと有機溶剤を含むプライマー組成物が提案されている。しかし、アミノアルキル基含有アルコキシシランは有機溶剤に対する相溶性が低く、使用できる有機溶剤がトルエンやキシレンに限定されたり、あるいは相溶化剤としてアルコールなどを添加しなければ溶解しないという欠点があった。そして、有機溶剤としてトルエンやキシレンを使用した場合には、被着体として汎用される電着塗装アルミニウムやフッ素塗装アルミニウムなどの難被着体に対する接着性が低下し、また、相溶化剤としてアルコールを添加した場合には、プライマーの乾燥時間が短いと2成分系脱ヒドロキシルアミンタイプの室温硬化性シリコーン組成物が硬化阻害を受けることがあるという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記問題点を解消するために鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の目的は、室温硬化性シリコーン組成物を各種基材に強固に接着させることのできるプライマー組成物、その製造方法および接着方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)JIS K2201に規定するゴム揮発油100重量部、
(B)有機チタン酸エステル類 0.5〜10重量部、
(C)一般式:
【化2】
Figure 0004639360
(式中、R1は脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、R2はアミノ基含有有機基であり、Xは加水分解性基であり、aは0または1の整数である。)で表わされるアミノ基含有オルガノシランまたはその部分加水分解物0.5〜10重量部、
(D)平均単位式:R3 b(R4O)cSiO4-b-c/2
(式中、R3は脂肪族不飽和結合を有しない置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、bは0.8〜1.8であり、cは1分子中のケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基の数が1個以上になる値である。)で表わされ、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサン樹脂 0.5〜10重量部
および
(E)一般式:R5 dSi(OR64-d
(式中、R5は1価炭化水素基であり、R6はアルキル基であり、dは0または1である。)で表されるアルコキシ基含有オルガノシランまたはその部分加水分解物 0.5〜10重量部
からなることを特徴とするプライマー組成物、(B)成分を(A)成分に溶解した後、(C)成分、(D)成分、(E)成分を加えて混合することを特徴とする上記プライマー組成物の製造方法、および、上記プライマー組成物を被着体に塗布し、室温硬化性シリコーン組成物を適用して硬化させることを特徴とする、室温硬化性シリコーン組成物の被着体への接着方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される(A)成分のゴム揮発油は本発明の特徴となる成分であり、(B)成分〜(E)成分を溶解して均一なプライマー組成物とすると共に、各種基材に対する接着性を高める働きをする重要な成分である。このゴム揮発油はJIS K2201−1958に規定する工業ガソリンの一種で、JIS K2254に規定される石油製品蒸留試験方法による初留温度が80℃以上であり、50%留出温度が120℃以下の蒸留性状を有するものである。
【0006】
本発明に使用される(B)成分の有機チタン酸エステル類は、本発明のプライマー組成物を硬化させるための触媒として作用するとともに、本発明組成物に接着性を付与する成分である。この(B)成分の具体例としては、テトライソプロピルチタネート,テトラノルマルブチルチタネート,テトラ(2−エチルヘキシル)チタネートおよびこれらの部分加水分解縮合物,チタンジイソプロピルビスアセチルアセテート,チタンジイソプロピルビスエチルアセトアセテートなどのチタンキレート化合物が挙げられる。本成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲であり、1〜5重量部の範囲が好ましい。
【0007】
本発明に使用される(C)成分のアミノ基含有オルガノシランまたはその部分加水分解物は、本発明のプライマー組成物の広範な基材に対する接着性を向上させる成分である。この(C)成分は、一般式:
【化3】
Figure 0004639360
で表され、式中、R1は脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、メチル基,エチル基,プロピル基などのアルキル基;フエニル基,トリル基などのアリール基が例示される。R2はアミノ基含有有機基であり、少なくとも1個のアミノ基を含有する1価炭化水素基が好ましい。具体的には、アミノメチル基,β−アミノエチル基,γ−アミノプロピル基,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基,γ−〔2−(2−アミノエチル)アミノエチル〕−アミノプロピル基が例示される。Xは加水分解可能な基であり、具体的には、メトキシ基,エトキシ基などのアルコキシ基;ジアルキルアミノ基,N,N−ジアルキルアミノキシ基,ケトオキシム基が例示される。aは0または1の整数である。このような(C)成分の具体例としては、アミノメチルトリメトキシシラン,アミノメチルトリエトキシシラン,γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,γ−アミノプロピルトリオキシムシラン,γ−アミノプロピルトリアミノキシシラン,γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。また、このようなアミノ基含有アルコキシシランの部分加水分解物も使用できる。この(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲であり、1〜5重量部の範囲が好ましい。
【0008】
本発明に使用される(D)成分のオルガノポリシロキサン樹脂は、本発明のプライマー組成物の接着性、特に、耐水接着性を付与するために必須とされる成分である。このオルガノポリシロキサン樹脂は、平均単位式:R3 b(R4O)cSiO4-b-c/2で表され、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合水酸基またはアルコキシ基を有する分岐状のオルガノポリシロキサンである。式中、R3は脂肪族不飽和結合を有しない置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、メチル基,エチル基,プロピル基などのアルキル基;フエニル基,トリル基などのアリール基;またはこれら基の水素原子をハロゲン原子やシアノ原子などで置換した置換炭化水素基が例示される。R4は水素原子または、メチル基,エチル基,プロピル基などで例示されるアルキル基である。bは0.8〜1.8であり、cは1分子中のケイ素原子結合水酸基またはアルコキシ基の数が1個以上になる値である。このような(D)成分のオルガノポリシロキサン樹脂は、通常、ケイ素原子1個当り0.8〜1.8個の1価炭化水素基を有するクロルシランまたはアルコキシシランのそれぞれ1種または2種以上の混合物を、水または水と有機溶媒との混合液中で加水分解し、副生する塩酸やアルコール等を除去する方法により得られる。(D)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲であり、1〜5重量部の範囲が好ましい。
【0009】
本発明に使用される(E)成分のアルコキシ基含有オルガノシランは本発明のプライマー組成物の広範な基材に対する接着性を向上させる成分である。このオルガノシランは、一般式:R5 dSi(OR64-dで表され、式中、R5は1価炭化水素基であり、メチル基やエチル基等の脂肪族飽和炭化水素基の他、ビニル基,アリル基などの脂肪族不飽和炭化水素基が挙げられる。R6はアルキル基であり、メチル基,エチル基,プロピル基が例示される。dは0または1である。このような(E)成分としては、メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシランが例示される。また、このようなシランの部分加水分解物も使用できる。(E)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲であり、0.5〜5重量部の範囲が好ましい。
【0010】
本発明のプライマー組成物は、上記(A)成分〜(E)成分からなるものであるが、本発明の目的を妨げない範囲であれば、他のアルコキシ基含有シラン;ヒュームドシリカ,コロイダルシリカなどの無機充填剤;ベンガラ,酸化チタン,カーボンブラックなど従来公知の着色剤等を適宜配合することができる。
【0011】
本発明のプライマー組成物は、上記(A)成分〜(E)成分を均一に混合することによって製造されるが、(B)成分の有機チタン酸エステル類を(A)成分のゴム揮発油に混合して溶解した後に、(C)成分、(D)成分および(E)成分を添加配合して均一に混合する方法によって調製することが好ましい。
【0012】
本発明のプライマー組成物を使用して室温硬化性シリコーン組成物を各種基材に接着硬化させるには、まず、基材表面に本発明組成物を塗布して乾燥させた後、この塗布面に室温硬化性シリコーン組成物を接触させて硬化させればよい。室温硬化性シリコーン組成物としては、脱ヒドロキシルアミンタイプ、脱アルコールタイプ、脱オキシムタイプ、脱酢酸タイプ、脱水素タイプのシリコーン組成物が挙げられる。
【0013】
以上のような本発明のプライマー組成物は、室温硬化性シリコーン組成物を各種基材に強固に接着させることができ、しかも被着体が電着塗装アルミニウムやフッ素塗装アルミニウムなどの接着させにくい被着体であっても良好な接着性を示すという特徴を有する。また、本発明組成物では、従来の相溶化剤を使用しなくてもアミノ基含有アルコキシシランが溶解するため、乾燥時間が短い場合でも2成分系脱ヒドロキシルアミンタイプの室温硬化性シリコーン組成物の硬化阻害が起こりにくいという利点を有する。さらに本発明組成物は貯蔵安定性に優れており、長期間経過後も透明性を維持できるという利点を有する。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。実施例中、部は重量部を表している。また、プライマー組成物の貯蔵安定性、接着性、室温硬化性シリコーンゴム組成物の硬化阻害の有無は、次に示す方法に従って測定した。
○貯蔵安定性
調製直後および1ヶ月経過後のプライマー組成物の外観を目視により測定した。外観が透明だった場合を○とし、白濁していた場合を×とした。
○接着性
プライマー組成物をフロート板ガラスとフッ素電着塗装アルミニウム板にそれぞれ塗布して、25℃にて30分間放置して風乾した。次いで、このプライマー塗布表面に2成分系脱ヒドロキシルアミンタイプの室温硬化性シリコーンゴム組成物[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製;商品名SE792]を塗布して、温度20℃、湿度50%の条件下で7日間放置した後,50℃、湿度50%の条件下で7日間養生して硬化させた。得られた試験体の引張接着性をJISA1439−1997建築用シーリング材に規定する方法に準じて測定した(初期接着性)。また、この試験体を50℃の温水に7日間浸せきした後、引張接着性を上記と同様にして測定した(耐水接着性)。
○室温硬化性シリコーンゴム組成物の硬化阻害の有無
プライマー組成物を基材に塗布し、25℃にて15分間乾燥させた。次いで、この塗布表面に、ビード状に2成分系脱ヒドロキシルアミンタイプの室温硬化性シリコーンゴム組成物[東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製;商品名SE792]を打設し25℃にて3日間養生して硬化物を作成した。この硬化物を指触して、室温硬化性シリコーンゴム組成物の硬化阻害の有無を測定した。完全に硬化していた場合を硬化阻害無しとし、未硬化だった場合を硬化阻害有りとした。
【0015】
【実施例1〜3】
ゴム揮発油100部に、テトラブトキシチタネートを表1に示した量添加して均一に混合した。次いで、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、式:(CH3)2SiO2/2で示されるシロキサン単位40モル%と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位60モル%から構成され、ケイ素原子結合水酸基含有量が1重量%であるメチルポリシロキサン樹脂の50重量%キシレン溶液およびテトラエトキシシランを表1に示した量添加混合してプライマー組成物1〜3を調製した。このようにして得られたプライマー組成物の貯蔵安定性、接着性、硬化阻害の有無を測定した。その結果を表2に示した。
【0016】
【比較例1、2】
実施例1において、ゴム揮発油の代わりにトルエンまたはヘキサンを使用した以外は実施例1と同様にして、プライマー組成物4、5を調製した。得られたプライマー組成物の貯蔵安定性、接着性、硬化阻害の有無を測定して、その結果を表2に示した。
【0017】
【比較例3】
ヘキサン95部とイソプロピルアルコール5部を混合した後、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部を添加混合した。次いで、これに、テトラブトキシチタネート2.5部、式:(CH3)2SiO2/2で示されるシロキサン単位40モル%と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位60モル%から構成され、ケイ素原子結合水酸基含有量が1重量%であるメチルポリシロキサン樹脂の50重量%キシレン溶液2.5部、テトラエトキシシラン1.0部を配合して、プライマー組成物6を調製した。得られたプライマー組成物の貯蔵安定性、接着性、硬化阻害の有無を測定して、その結果を表2に示した。
【0018】
【表1】
Figure 0004639360
【0019】
【表2】
Figure 0004639360
【0020】
【発明の効果】
本発明のプライマー組成物は上記(A)成分〜(E)成分からなり、特に、溶剤として(A)成分のゴム揮発油を使用しているので、室温硬化性シリコーン組成物を各種基材に強固に接着させることができるという特徴を有する。また、本発明の製造方法により得られた本発明組成物は貯蔵安定性に優れ、室温硬化性シリコーン組成物の硬化阻害が起こらないという特徴を有する。

Claims (3)

  1. (A)JIS K2201に規定するゴム揮発油 100重量部、
    (B)有機チタン酸エステル類 0.5〜10重量部、
    (C)一般式:
    Figure 0004639360
    (式中、R1は脂肪族不飽和結合を有しない1価炭化水素基であり、Rはアミノ基含有有機基であり、Xは加水分解性基であり、aは0または1の整数である。)で表わされるアミノ基含有オルガノシランまたはその部分加水分解物 0.5〜10重量部、
    (D)平均単位式:R3 b(R4O)SiO4-b-c/2
    (式中、R3は脂肪族不飽和結合を有しない置換もしくは非置換の1価炭化水素基であり、R4は水素原子またはアルキル基であり、bは0.8〜1.8であり、cは1分子中のケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基の数が1個以上になる値である。)で表わされ、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合水酸基またはケイ素原子結合アルコキシ基を含有するオルガノポリシロキサン樹脂 0.5〜10重量部
    および
    (E)一般式:R5 dSi(OR64-d
    (式中、R5は1価炭化水素基であり、R6はアルキル基であり、dは0または1である。)で表されるアルコキシ基含有オルガノシラン 0.5〜10重量部
    からなることを特徴とするプライマー組成物。
  2. (B)成分を(A)成分に溶解した後、(C)成分、(D)成分および(E)成分を加えて混合することを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物の製造方法。
  3. 請求項1に記載のプライマー組成物を被着体に塗布し、室温硬化性シリコーン組成物を適用して硬化させることを特徴とする、室温硬化性シリコーン組成物の被着体への接着方法。
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