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JP4636765B2 - 耐久性を改善したタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は自動車タイヤに関し、特に、耐久性およびスピート耐性を強化するために、その構造を最適化したタイヤに関する。
【0002】
現在では、高速で走行するように設計された乗用車のタイヤでは、円周方向に配向されたコードの追加のプライを組込むのが普通である。このプライは、これも通常使用される角度で、クラウン補強プライの上に配置することができる。
【0003】
このような構造において、円周方向に配向されたコードのプライは、タイヤクラウンの半径方向の最も外側のプライである。
【0004】
転動の際の一以上のこれら円周方向コードの破損は、タイヤの寿命を短くする可能性がある。事実、このような破損はクラウンの結合を低下させ、また当該円周方向コードに沿った水の浸潤を導き、これはワイヤの腐蝕現象を伴う可能性がある。
【0005】
円周方向コードのプライの損傷に感受性の領域は、円周方向のコードに最も近接したワーキングプライの横方向末端であるが、それは、これら円周方向のコードとワーキングプライのワイヤコード端部との間の距離が短いことによるものである。円周方向のコードに対する損傷は、特に、最も外側の角部での、プライのコード末端との磨耗接触によるものである。
【0006】
設計者は、特にゴムフランジ層を追加することによりクラウンから角度を持たせて、円周方向のコードを、補強プライの末端から離間して維持するための種々の構成を提案してきた。
【0007】
これらの構成はタイヤの製造をより困難にし、そのコストを増大させる。更に、成形操作は、これら捕捉的作業の工業的制御が時間的変動を受け易くする。
【0008】
本発明の目的は、上記の技術的問題を解決するための経済的な構成を提供することである。
【0009】
以下において、「コード」とは、例えばゴムへの接着を促進するための表面処理、コーティングもしくは前サイジングのような材料および処理にかかわらず、単フィラメントもしくは多フィラメント、組みケーブル、ヤーンまたは何れかの種類の同等の集合体を意味するものと理解される。
【0010】
与えられた補強プライのための「ゴム結合層」とは、プライ補強コードに接触してこれに接着し、また隣接するコード間の隙間を充填するゴムコンパウンドを意味するものと理解される。
【0011】
コードとゴム結合層との間の「接触」とは、該コードの外周面の少なくとも一部が、前記ゴム結合を構成するゴムコンパウンドに密着している事実を意味するものと理解される。
【0012】
「タイター」とは、1000メータのコードのグラムで表した重量を意味するものと理解される。このタイターはtexで表される。コードにより受ける応力または該コードのモジュラスは、「cN/tex」で表され、cNはセンチニュートンを意味する。
【0013】
一般に円周方向に配向される螺旋状に巻回されたコードの「配設ピッチp」は、二つの隣接するコードターンの軸を横断方向に分離する距離を意味する。この配設ピッチは、与えられた軸方向幅に含まれるコードターンの数である「配設密度d」の逆数である:p=1/d。通常、dはデシメータ当りのコード数(f/dm)で表され、pはミリメータで表される。従って、p=100/dである。
【0014】
「CS」と称される織られたコードの「高温収縮能力」は、各要素ファイバーの合計タイターの半分に等しい前応力下において、185±0.5℃の一定温度に調節された炉(TESTRITE型の装置)のプラットホーム間での、織られたコード長さの相対的変動を意味するものと理解される。CSは、以下の式によって%で表される。
【0015】
CS(%)=100×|L1−L0|/L0
ここで、L0は、各要素ファイバーの合計タイターの半分に等しい圧力下での、室温における接着されたコードの初期長さであり、L1は、185℃での同じコードの長さである。長さL1は、185℃の温度でのコード安定化時間の最後に測定され、120s±2%に等しい。CSの測定に対する標準偏差は±0.15%である。
【0016】
上記ポテンシャルは、コードがその仕事またはその使用に際して受けた一組の操作の直接的な結果である。
【0017】
本発明は、二つのサイドウオールおよび二つのビードにより延長されたクラウンを含み、カーカスが二つのビードに固定されたタイヤに関し、前記クラウンは、内側から半径方向に向けて、
・円周方向に対して10〜75°の角度αで配向された並列なコードによって形成された、軸方向幅Lの少なくとも一つの補強プライと;
・コードを一般に円周方向に螺旋状に巻回することにより得られる、前記補強プライに対して半径方向外側に配置され、且つ前記補強プライを越えて軸方向に延びるコードの少なくとも一つのプライとを具備している。
【0018】
このタイヤは、前記タイヤの赤道面Pに対して軸方向にL/2−h〜L/2+Hの距離で配置された領域内において、前記コードの配設ピッチは前記軸方向距離H+h以上であり、Hおよびhの値は2mm以上であり、また一般に円周方向に配置された前記コードのプライはL+2Hを厳格に越える軸方向幅を有することを特徴とする。
【0019】
この領域において、円周方向に配向され且つ螺旋状に巻回されたコードの配設ピッチが、軸方向距離H+h以上であるという事実は、当該領域の一方の側から他方の側までに、円周方向コードのターンがせいぜい一つだけ配置されていることを意味する。従って、この実施例は、当該コードと隣接プライのコードとの間の磨耗接触による、当該コードの偶然の破損の可能性を有意に減少させ、従って、全体としてタイヤの耐性を強化する。
【0020】
本発明はまた、円周方向のコードのプライが、該タイヤの赤道面Pの少なくとも一方の側において、該赤道面PからL/2−hの軸方向距離まで延びる第一の螺旋状巻回と、前記タイヤの赤道面からL/2+Hの軸方向距離を越えて外側に延びる少なくとも第二の螺旋状巻回とを含んだ、同様のタイヤに関する。
【0021】
この実施例は、円周方向プライのコードと、角度αで配向されたコードによって形成された補強プライのコードの軸方向末端との間の接触の如何なる危険も伴わない利点を有している。しかし、円周方向コードの配設の中断および再開の理由によって、工業的製造は時間的に幾分長い。
【0022】
一般に円周方向に配向されたプライの螺旋状に巻回されたコードの配設ピッチは、有利なことに、軸方向距離L/2+Hを越えて側に、軸方向に配置された領域において、タイヤクラウンの中央領域におけるコードの配設ピッチよりも小さい。
【0023】
これは、均一な結合を得るために、幅Lのクラウン補強プライの軸方向末端に対向する側での結合の不存在を補償することを可能にする。また、タイヤの高速に対する耐性を改善するために、ショルダー領域において結合を増大させることもできる。
【0024】
同様の目的で、円周方向のコードの配設ピッチは、軸方向距離L/2−hに近接して軸方向に配置された領域において減少させることもできる。
【0025】
タイヤクラウンが、第一の補強プライから半径方向内側に、10〜75°の角度βで配向された平行コードで形成された軸方向幅L'の第二の補強プライを含むとき、該円周方向コードのプライは、求められる高速耐性のレベルに応じて、タイヤの赤道面からの距離L'/2以内で、またはこれを越えて軸方向に延びることができる。
【0026】
一つの特別の実施例によれば、タイヤトレッドは、少なくとも所定の軸方向領域において、円周方向に配置されたコードと直接接触している。これは、配置すべき製品の数を減少させることによって、タイヤの製造を容易にする。トレッドが道路と接触することを目的とした第一のコンパウンド、並びに該第一のコンパウンドの下で半径方向に配置される下地層を含むとき、円周方向に配向されたコードと有利に直接接触するのは下地層である。
【0027】
この所謂下地層コンパウンドは、タイヤの消耗またはドリフト剛性のような種々の特性を改善することを目的としている。
【0028】
一般に円周方向に配向されたコードのプライは、少なくとも二本同時に螺旋巻回されたコードであるのが有利である。これによって、プライの配設時間を減少させることが可能である。同時に巻回できるコードの最大数は、多くとも四本である。
【0029】
2〜4本のコードを同時に巻回することは、同じコード密度を維持しながら配設ピッチを2倍にするので、円周方向コードのプライの配設時間を有意に減少させることを可能にする。これは、円周方向に配向されたコードと、臨界領域においてαで配向されたコードの末端との間の磨耗接触の可能性を、有意には増大させない。同時に配設されるコードが4本を越えると、可能な接触の長さが増大して本発明の利益がなくなる。
【0030】
好ましくは、hは2〜10 mmの範囲であり、Hは2 mmよりも大きい。
一般に円周方向に配向され且つ螺旋状に巻回されたコードは、3%の引張りの下で、12 cN/texより大きく、好ましくは20 cN/texより大きい応力を生じるのが有利である。従って、これらのコードは高い引張りにおいて高い弾性係数を示し、これは、それらが形成するプライが全てのその機能を呈すること、特に、比較的低い配設密度を維持しながら、クラウンを高速で結合することを可能にする。
【0031】
これらのコードは、900 cN/tex未満、好ましくは800 cN/tex未満の初期モジュラスを示すことができる。これらコードのこの低い初期モジュラスは、タイヤの快適さを改善し、また走行ノイズによるその低速惰走を改善する利点を有している。
【0032】
このようなコードは、少なくとも一本のナイロンヤーンおよび少なくとも一本のアラミドヤーンを組合せたハイブリッドケーブルであることができる。
【0033】
この円周方向に配向されたコードは、高温で3.5%未満の標準収縮能力を示すのが有利である。これは、タイヤを加硫する際にそれらの収縮を制限することを可能にし、従って、動作中の記載された全ての作業変数において、円周方向に配向されたコードと、αで配向され且つ半径方向内側に配列されたコードとの間の全ての磨耗接触を回避する可能性を増強する。
【0034】
また、加硫後のタイヤにおけるコードの最終半径に略対応した配設直径で、コードを螺旋巻回することも有利である。先に述べたように、それは動作中に、円周方向に配置されたコードと、αで配向され且つ半径方向に内側に配列されたコードとの間の如何なる磨耗接触をも回避する可能性を増強する
また、上記で述べた実施例は、ゴムフランジ層の量および厚さを減少させることを可能にする利点をも有している。これは、ショルダー部の厚さおよび加熱に関して有利である。
【0035】
次に、添付の図面によって、本発明の幾つかの実施例を説明する。
図1は、本発明によるタイヤの軸方向の概略半断面図を示している。このタイヤは、二つのサイドウオール3および図示しない二つのビードによって広げられたクラウン2を含んでいる。該クラウンは、公知の方法で二つのビードに固定されたカーカスプライ4と、平行なコードにより形成され且つ略30°の円周方向との角度(α,β)を形成することにより一方のプライから次のプライに交差した二つの補強プライ5および6と、一般に円周方向に配向されたコード7のプライとを含んでいる。カーカスプライ4は、円周方向に対して略90°で配向されている;これはラジアルカーカスプライである。
【0036】
円周方向に配向されたコード7のプライは、クラウン2の良好な結合を保証するために、螺旋状に巻回された織ったファイバーからなっている。図1の例において、これらの織ったファイバーは、個別に280 t/mで過剰に撚られた167 texの二本の同一のアラミドストランド、および280 t/mで過剰に撚られた140 texのナイロンストランド製で、これら三本のストランドを反対方向に280 t/mで同時に再度撚って製造された521 texに等しいタイターをもった接着されたヤーンである。当該コードの初期モジュラスは740 cN/texに等しく、3%の引張りの下で発生する応力は30 cN/texに等しい。
【0037】
図8は、上記コード並びに他の二つの普通のコードの、力/伸び曲線を示している。
・曲線a:ナイロンコード(441 texの2本のナイロンストランド)
・曲線b:アラミドコード(167 texの2本のアラミドストランド)
・曲線c:アラミド/ナイロンコード
ナイロンコード(曲線a)は、個別に200 t/m(トン/メータ)で撚り、次いで反対方向に200 t/mで同時に過剰に撚られた210 texの二本の同一のナイロンストランドから製造された、タイターが441 texの接着されたヤーンである。当該コードの初期モジュラスは530 cN/texに等しく、3%の引張りの下で発生する応力は9 cN/texに等しい。従って、このコードは、弱い引張りおよび強い引張りにおいて低い弾性係数を有する。
【0038】
アラミドコード(曲線b)は、個別に440 t/m(トン/メータ)で撚り、次いで反対方向に440 t/mで同時に過剰に撚られた、376 texの二本の同一のアラミドストランドから製造された、タイターが376 texに等しい接着されたヤーンである。当該コードの初期モジュラスは2030 cN/texに等しく、3%の引張りの下で発生する応力は、68 cN/texである。このコードは高い弾性係数を有する。
【0039】
曲線bおよび曲線cに示したコードは、重い引張りにおいて高い弾性係数を有する利点を示し、これは必要なコードの密度を制限しながら、タイヤのクラウンの結合において大きな効率を与える。アラミド/ナイロンのコードもまた、低い初期モジュラスを有し、これはタイヤの快適性を改善し、また走行ノイズによるその低速惰走を低減する利点を有する。
【0040】
クラウン補強プライ5は軸幅L'を有し、プライ6は軸幅Lを有する。示されたプライ6の軸方向末端において、タイヤの赤道面Pからの軸方向距離がL/2−hとL/2+Hとの間である領域において、プライ7のコードの配設ピッチは極めて顕著に増大する。この領域には、唯一の円周方向コードのターンが存在する。従って、配設ピッチpはH+h以上である。これは、プライ7のコードと、コード6の軸方向末端との間の磨耗接触の危険を制限する。効果的であるためには、Hおよびhの値は2 mm以上であり、hは2〜10 mmの範囲である。
【0041】
100 f/dmのハイブリッド167*167*140(従って、配設ピッチは1 mm)の場合、上記構成は、感受性の円周方向領域における4〜5の結合コードを除去することを意味する。このハイブリッドの高モジュラスを考慮すれば、遠心の際の過剰応力は非常に低い。
【0042】
図2は、タイヤ1と同様の、本発明による第二のタイYの軸方向の部分的半断面図である。タイヤ10において、円周方向コード7のプライは、タイヤの赤道面Pから軸方向の距離L/2−hまで伸びる第一の螺旋巻回11、および平面Pから軸方向距離L/2+Hを越えて外側に伸びる第二の螺旋巻回12を含んでいる。こうして、プライ7の配置は三つの連続的な相の中で行われる。即ち、クラウンの第一の側における第一の巻回、次いで、クラウンの中央部分の巻回、最後に、クラウンの他方の側における第三の巻回である。この解決策は従来のものよりも多くの作業時間を要するが、αで配向された二つの円周方向コードの間の磨耗接触の危険は減少する。
【0043】
図3は、トレッド21がプライ7の補強コードと直接接触しているタイヤ20の、軸方向の半断面図を示している。これは、トレッドがプライ7のための「ゴム結合層」からなることを意味している。実際に、このタイヤの製造に際しては、補強プライ5および6、並びにその結合層を配置した後に、プライ7のコードが螺旋巻回によって適用される。このコードは単独で、即ち、ゴム結合を用いて予め二以上のコードをベルトに組立てることなく適用される。次いで、トレッドのゴム状コンパウンドが、プライ7の個々のコード上に直接配置され、従って、トレッドの該ゴム状コンパウンドはプライ7のコードの周面上に接触し、これに接着される。これは、配置すべき種々の製品の数、並びに製造に必要な時間を減少することによって、タイヤの製造を容易にする。
【0044】
図4において、タイヤ30は、トレッド21と円周方向に配向されたコード7のプライとの間に、下地層22を含んでいる。この下地層は、プライ7のコード上に直接適用される。所謂下地層コンパウンドは、タイヤの消耗またはドリフト剛性などの種々の特性を改善することを目的とする。
【0045】
図5、図6および図7は、図1のタイヤクラウンの好ましい実施例を示している。
図5には、タイヤ40の軸方向の半断面図が示されており、ここでは円周方向コード41のプライは、先に述べたのと同様に、交差した第二の補強プライ6の末端に対向して、配置ピッチが増大した螺旋状巻回からなっている。プライ41は軸方向に、交差した第二の補強プライの軸方向末端内で伸びている。プライ41の領域42内において、プライ6の末端とプライ5の末端との間に軸方向に配置されたプライ41の配設ピッチは、タイヤの当該領域内での円周方向の補強コードの平均密度を補償し、更には増大させるために減少される。
【0046】
プライ6の末端上の配設ピッチの増大による円周方向補強コード数の減少を補償することは、当該末端の両側においても可能である。それは図6に示されている。図6に示されたタイヤ50の円周方向コードのプライ51は、コードの配設ピッチがクラウンの中央領域に対して減少する二つの領域を含んでいる。即ち、領域52は二つのプライ5および6の軸方向末端の間で軸方向に存在し、領域53はL−hに対して軸方向内側に存在する。プライ51のコードはまた、プライ6の末端を軸方向に取囲んで、L−hとL+hの間の領域内で配設ピッチを顕著に増大させて適用される。
【0047】
最後に、図7は、図5の実施例と同様の実施例を示している。同図に示されたタイヤ60は、円周方向コード61のプライが、交差した補強プライ5の軸方向末端を越えて軸方向に伸びるようになっている。対応する領域62は、好ましくは、これもまたプライ61の中央領域におけるコードの配設ピッチに対して減少するような配設ピッチを有している。この実施例は、高速におけるタイヤクラウンの耐性を改善する。
【0048】
以下の構成をもった対や156/65−15を製造した。
・対照Aは、円周方向のコードが図8cに対応するコード(アラミド/ナイロンのハイブリッドコード)からなる、二つの交差したワイヤプライ(23°で配向した80 f/dmの6.23NFケーブル)を備えたクラウンを含んでいた。当該プライは、3 mmの均一なピッチで巻回され、また隣接する交差補強プライの末端を越えて延びているが、他の補強プライの軸方向末端内であった。
【0049】
・タイヤBは、図5の実施例と同様であり、プライ41は、プライ6の末端上において大きな配設ピッチを示すと共に、プライ6の末端を越えた領域42においては小さい配設ピッチを示す。
【0050】
・タイヤCは図6に対応し、プライ6の末端の両側において、円周方向コードの1 mmの配設ピッチをもっている。
【0051】
・タイヤDはタイヤBと同様であるが、更に、プライ41がプライ5の末端を越えて、5 mmに亘って軸方向に伸びている。
【0052】
これらのタイヤについて、高速走行に対する耐性試験を行った。この試験は、タイヤを公称の負荷、即ち60km/hの走行速度の連続的増大に曝すことに対応する。試験の開始速度は210km/hである。その結果は、タイヤが破損する速度によって与えられる。この試験は、5.36mに等しいギアホイール上で行われる。
【0053】
表1は上記試験の結果を与えている。
【表1】
Figure 0004636765
【0054】
解決策Bは、達成される限界速度を測定可能な程度に改善する。このことは、円周方向コードと、隣接するワイヤプライのコード末端との間の磨耗接触の危険を低下させるのが重要であることを示している。この結果は、タイヤBにおける円周方向コードの実際の密度が、対象Aにおける密度よりも小さいときに得られる。
【0055】
解決策Cの同じコード密度を回復する作用は、本発明の解決策の重要さを確認するものである。
【0056】
最後に、タイヤDの結果は、タイヤのショルダー領域に優れた結合性を有することの非常に重要な役割を示している。
【0057】
第一の実施例によれば、本発明によるタイヤは、米国特許第4,895,692号および米国特許第6,224,808号に記載されているように、その内部キャビティーの形状を設定する剛性コア上で有利に製造することができる。該タイヤの全ての構成部分は、コアの最終構造が必要とする順序でコアに適用され、製造の何れかの時点で成形を受けることなく、それらの最終位置に直接配設される。キュアリングはコア上で行われ、該コアは加硫相の後でのみ除去される。この製造は、特に、カーカスコードのコードを配設するために米国特許5,185,051号に記載された装置、クラウンコードを配設するために米国特許第4,804,436号または米国特許第4,952,295号に記載された装置、およびゴムコンパウンドを配置するために米国特許第4,963,207号または米国特許第5,221,406号に記載された装置を使用する。
【0058】
この製造方法は、従来の成形相において、特に0°で配向されたコードに加えられる前応力を、なくすことはないとしても顕著に低減する利点を有する。
【0059】
第二の実施例によれば、コードを配設に必要な応力の状態に維持するために、コアケーシングを部分的に冷却することができる。
また、このタイヤは、円周方向に配向されたコードを配設するまでにタイヤブランクが成形される条件において、米国特許第6,234,227号または米国特許第6,000,454号に記載されているようなドラム上でも同様に製造することもできる。
【0060】
また、円周方向に配向されたコードの配設は、キュアモールド型内で必要とされる形態と同一の幾何学的外形を持ったフォーム上で実施することもできる。次に、当業者に公知の転移技術に従って、タイヤの相補的ブランクと共にクラウンブロックが組立てられ、次いで、これも公知の原理に従って、当該タイヤはその内部の膜の配備によって覆われ、加圧される。
この実施例はまた、加硫プレス成形による前応力が存在しないことを補償する。
【0061】
これら全ての実施例は、クラウンの全幅に亘って、加硫後のタイヤにおけるこれらコードの最終直径から0.5%未満だけ外れた配設直径で螺旋状に巻回された、円周方向に配向されたコードを得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のよるタイヤの、軸方向の半断面図を示している。
【図2】 図2は、図1のタイヤの第二の実施例の、軸方向の半断面図を示している。
【図3】 図3は、本発明によるタイヤの一つの変形例を示している。
【図4】 図4は、本発明によるタイヤの第二の変形例を示している。
【図5】 図5は、本発明によるタイヤの他の実用例を示している。
【図6】 図6は、本発明によるタイヤの他の実用例を示している。
【図7】 図7は、本発明によるタイヤの他の実用例を示している。
【図8】 図8は、本文中で述べた3種類のコードの伸び/力曲線を示している。

Claims (18)

  1. 二つのサイドウオール(3)および二つのビードにより延長されたクラウン(2)を有し、カーカス(4)が二つのビードの中に固定されたタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記クラウン(2)は、半径方向内側から半径方向に向けて、
    ・円周方向に対して10〜75°の角度αで配向された並列なコードによって形成された、軸方向幅Lの少なくとも一つの補強プライ(6)と;
    ・コードを一般に円周方向に螺旋状に巻回することにより得られ、前記補強プライに対して半径方向外側に配置され、且つ前記補強プライを越えて軸方向に延びるコードの少なくとも一つのプライ(7、41、51、61)とを具備するタイヤ(1、20、30、40、50、60)において、
    ともに2mm以上である長さh及びHに対して、前記タイヤの赤道面Pに対して軸方向に距離L/2−h〜L/2+Hの範囲で配置された領域内において、前記コードの配設ピッチ(p)は前記軸方向の距離H+h以上であり
    また一般に円周方向に配置された前記コードのプライ(7、41、51、61)はL+2Hを厳格に越える軸方向幅を有し、
    前記プライの一般に円周方向に配向され螺旋状(41、51、61)に巻回されたコードの配設ピッチ(p)は、前記軸方向距離L/2+Hを越えて軸方向外側に配置された領域において、前記タイヤクラウンの中央領域における前記コードの配設ピッチよりも小さい
    ことを特徴とするタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  2. 二つのサイドウオール(3)および二つのビードにより延長されたクラウン(2)を有し、カーカス(4)が二つのビードの中に固定されたタイヤ(10)であって、前記クラウン(2)は、半径方向内側から半径方向に向けて、
    ・円周方向に対して10〜75°の角度αで配向された並列なコードによって形成された、軸方向幅Lの少なくとも一つの補強プライ(6)と;
    ・コードを一般に円周方向に螺旋状に巻回することにより得られ、前記補強プライに対して半径方向外側に配置され、且つ前記補強プライを越えて軸方向に延びるコードの少なくとも一つのプライ(7)とを具備するタイヤ(10)において、
    ともに2mm以上である長さh及びHに対して、前記円周方向のコードのプライ(7)が、前記タイヤの赤道面Pの少なくとも一方の側において、該赤道面PからL/2−hの軸方向距離まで延びる第一の螺旋状巻回(11)と、前記タイヤの赤道面からL/2+Hの軸方向距離を越えて外側に延びる少なくとも第二の螺旋状巻回(12)とからなり、
    前記プライの一般に円周方向に配向され螺旋状(41、51、61)に巻回されたコードの配設ピッチ(p)は、前記軸方向距離L/2+Hを越えて軸方向外側に配置された領域において、前記タイヤクラウンの中央領域における前記コードの配設ピッチよりも小さい
    ことを特徴とするタイヤ。
  3. 請求項1又は2に記載のタイヤで(50)あって、前記プライの一般に円周方向に配向された螺旋状(51)に巻回されたコードの配設ピッチ(p)は、前記軸方向距離L/2−Hに近接して軸方向内側に配置された領域において、前記タイヤクラウンの中央領域における前記コードの配設ピッチよりも小さいタイヤ(50)。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ(40、50)であって、前記タイヤクラウン(2)が、前記第一の補強プライ(6)に対して半径方向内側に、10〜75°の角度βで配向された平行なコードで形成された軸方向幅L'の第二の補強プライ(5)を含み、前記円周方向コードのプライ(41、51)は軸方向距離L'/2以内で延びるタイヤ(40、50)。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ(1、10、20、30、60)であって、前記タイヤクラウン(2)が、前記第一の補強プライ(6)に対して半径方向内側に、10〜75°の角度βで配向された平行なコードで形成された軸方向幅L'の第二の補強プライ(5)を含み、前記円周方向コードのプライ(7、61)は軸方向距離L'/2を越えて延びるタイヤ(1、10、20、30、60)。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記軸方向距離hが2〜10mmの範囲であるタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記軸方向距離Hが2mmを越えるタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤ(20)であって、前記トレッド(21)は、一般に円周方向に螺旋状(7)に巻回された前記コードと直接接触しているタイヤ(20)。
  9. 請求項に記載のタイヤ(30)であって、前記トレッド(21)は、道路と接触することを目的とした第一のコンパウンド(21)と、該第一のコンパウンドの下で半径方向に配置される下地層(22)とを含んでおり、前記下地層(22)は、一般に円周方向に配向された前記螺旋状(7)に巻回されたコードと直接接触するタイヤ(30)。
  10. 請求項に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記円周方向に配置されたコードは、少なくとも二本の同時に螺旋状巻回されたコードを含むタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  11. 請求項1に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記円周方向に配向されたコードは、四本以下の同時に螺旋状巻回されたコードを含むタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  12. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記円周方向に配向されたコードは、3%の引張りの下で12 cN/texを越える応力を発生するタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  13. 請求項1に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記円周方向に配向されたコードは、3%の引張りの下で20 cN/texを越える応力を発生するタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  14. 請求項1または1に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記円周方向に配向されたコードは、900 cN/tex未満の初期モジュラスを有するタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  15. 請求項1または1に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記円周方向に配向されたコードは、800 cN/tex未満の初期モジュラスを有するタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  16. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記高モジュラスのコードは、少なくとも一本のナイロンもろよりヤーンおよび少なくとも一本のアラミドもろよりヤーンを組合せたハイブリッドケーブルであるタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  17. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記一般に円周方向に配向された螺旋状巻回されたコードは、3.5%未満の高温標準収縮能力を示すタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載のタイヤ(1、20、30、40、50、60)であって、前記一般に円周方向に配向されたコードは、前記クラウンの全幅に亘って、加硫後のタイヤにおける前記コードの最終半径に略対応した配設直径で螺旋巻回されるタイヤ(1、20、30、40、50、60)。
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