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JP4636394B2 - かつらの製造方法及びかつら - Google Patents

かつらの製造方法及びかつら Download PDF

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JP4636394B2 JP2009063504A JP2009063504A JP4636394B2 JP 4636394 B2 JP4636394 B2 JP 4636394B2 JP 2009063504 A JP2009063504 A JP 2009063504A JP 2009063504 A JP2009063504 A JP 2009063504A JP 4636394 B2 JP4636394 B2 JP 4636394B2
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株式会社カトリ
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Description

頭髪が先天的にない無毛症、また円形脱毛症による頭髪の消失、又がん患者における抗がん剤治療による副作用などでの脱毛で,頭髪が消失してしまった人などが装着するに適したかつらに関する。
従来より,人の頭部に装着する全頭用のかつらがある。かつらは着用する人の頭髪に、かつら止め具などで止めて固着させて使用していた。(特許文献1参照)又,頭髪を消失した人は、かつらを装着するには,インナーキャップ(かつら下地ネットキャップ)を先に装着し,土台をつくり、その上台たるネットに、かつらを装着し,(特許文献2参照)その時に外れない様に、またずれない様に、かつら止め具にて土台たるインナーキャップに固定するのが一般的であった。
しかし、インナーキャップの使用は、二重になり小さめのインナーキャップであると圧迫感があり、緩くなると、外れたり、動いてしまうという問題が有った。そしてインナーキャップたるネット自体は、いくら締め付けても多少ゆるみがあるので、かつら自体がずれるという問題があった。又、金属アレルギーの人には金属のかつら止め具の使用は不快を生じることがあった。
又、インナーキャップを使用しないで装着するには頭皮に直接接着剤や両面テープで、かつらを固定する方法もあるが(特許文献3参照)、たえずその部分は皮膚呼吸ができない、また、人によってはかぶれる等の問題があった。また、少し毛髪が残っている場合は、その残っている毛髪を接着剤や両面テープで取付け取り外しの際に損失させる問題もあった。
又ホックを用いてかつらを装着する方法(特許文献4参照)や、マグネットを用いて装着する方法(特許文献5参照)があるが、皮膚を傷める、重く感じる、どうしても違和感があるという問題があった。
その他の方法としては、一人一人の頭の形状を採寸してオーダーメイドで一人一人に合わせて製作する事も行われているが、製作期間が長くかかる、また高額になってしまうという問題があり、広く普及する状態にはない。
特開2003−171817 特開2004−353127 特開平6−280104 特開平6−81205 特開平7−42006
本発明は頭髪が生まれながらにない人や、円形脱毛症,抗がん剤の副作用により頭髪が消失した人でも、かつらを装着している時に,強風でずれたり時間の経過と共に位置がずれたりする事が生じにくい全頭用のかつらを提供することを目的とするものである。又、頭髪が残っている人にもかつら止め具や接着剤、両面テープの使用を回避する事が可能なかつらを提供することを目的としている。
課題を解決する為の手段
本発明は、かつらの下縁部付近の裏面側に、形状記憶合金からなる細条体又はその撚り糸を複数条巻回して形成された、かつら保持部材が設けられてなるものである。細条体とは、断面が平べったい形状を持つ細条体をも含む意味で用いられる。撚り糸とは細条体2本あるいは数本を撚り合わせたものである。
又、上記細条体は0.001〜0.6mmの径が好ましい。この場合の径は細条体の断面形状で、最も長さのある方向の寸法を言う。
形状記憶合金は、体温による加温によって長さ方向に収縮するものである。
又、本発明方法は形状記憶合金および超弾性合金の細条体を、ベースに植毛した全頭用かつら半製品の下縁部付近の裏面側に複数条に亘り仮縫いを施したものを、人の頭に形どった型に嵌めて、その細条体で型を締め付けるように引っ張り、細条体同士を緊結するものである。又、形状記憶合金は,外力を加えることにより長さが延び、且つ外力を除去すると元の長さに戻るものである。
発明の効果
本発明のかつらは、かつらの下縁部付近の裏面側に形状記憶合金からなる細条体又はその撚り糸を用い、かつらの下縁部付近の裏面に複数条巻回して形成されたかつら保持部材を設けることにより、自毛がない為に、かつら止め具が使用できない人たちにも確りとかつらが装着できる。又、本発明のかつらの製法によれば、一人一人の頭部の形 状にあったかつらを安価に作成することができる。
本発明かつらの製作の仮縫いの状態を示す斜視図である。 図1に示したかつら半製品を型に装着する様子を示す側面図である。 型に装着した状態で、細条体又はその撚り糸を固定させ、本発明かつらを完成する様子を示す側面図(1)と背面図(2)である。 本発明かつらを冷却した後、手で押し広げた状態を示す正面図である。
発明を実地するための形態
本発明では形状記憶合金はチタンとニッケルの合金が好適である。又、その他にも鉄、マンガン、ケイ素合金(鉄系形状記憶合金)が、使用可能である。このような合金としてNT合金(古河電工社製)やKIOKALLOY(大同特殊鋼製)が挙げられる。
これらの合金の特性はある一定の設定した温度(変態温度)以下に冷却するとやわらかくなり伸ばしたり引っ張ったりすることができる。そして逆に、ある設定した温度以上に加熱すると当初の形状に変形し元に戻るという性質がある。
この特性は、形状記憶合金は冷却していくと、マルテンサイト変態という相変態が起きて、オーステナイト相(母相)から冷却して、ある温度(マルテンサイト変態開始温度)を通過すると、マルテンサイト変態してオーステナイト相からマルテンサイト相に変化する。
そのマルテンサイト相に変化した時には、オーステナイト相に比べて、非常にやわらかくなり、手で折り曲げたり、伸ばしたりすることができる。そして、形状記憶合金の組成を調整する事により、上記の変態開始温度を変化させる事ができる。
又、上記合金は、変態温度より高い温度のオーステナイト相領域において、外力を加えると応力誘起マルテンサイト変態し、最大7〜8%のひずみを発生させることが出来、外力を取り除くと元のオーステナイト相にもどる。このため上記合金は塑性変形せずゴムのような弾力性(超弾性効果)が得られる。
一本の細条体であると、伸ばした時に断線が生じる事があるので、複数本を撚り合わせた撚り糸にするのが好ましい。なお太い径の細条体は伸ばす時に非常に大きな力が必要になるが、細い径の細条体からなる撚り糸は伸ばす時の力は比較的小さいものにてできる。なお撚り糸は細条体が2本の撚りでも良いし 10本程度撚っても良い。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1〜4は、本発明かつらを製作する過程を示している。まず図1に示すように、ベースのネットに植毛された太さ0.001〜0.6mm(好ましくは0.005〜0.3mm)の 細条体をかつらに、複数条縫い込んで結束する事なく、仮縫いをした状態にされてある。
なお、 図1では細条体は5条に示されているが、5条に限ることはなく、3〜15条程度が適当である。上記細条体は人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り,後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている。そして、仮縫いは一本の細条体を使ってもよく、あるいは数本の細条体を撚り合せた撚り糸により構成させても良い。さらには複数条の細条体又はその撚り糸同士を互いに絡め合わせたり、交差させてもよい。
図2は、型5に図1で示された仮縫いされた状態のかつら半製品1aを取り付けるイメージ図である。その型の寸法は、予め人の頭部の寸法を、複数種類、作成しておくと便利であり、少しきつめに仕上げる際は小さめの型を選択して仕上げることが出来る。又、型5は木質系素材や合成樹脂系素材などで製作してある。又、顧客の頭部を精密に採寸し、それを写し取った型を製作し、オーダーメイド的にかつらを作り上げることもできる。
図3は、型5に仮縫いされたかつら半製品1aが取り付けられて、圧縮して細条体又はその撚り糸を緊結するコネクター6等により形状記憶合金の細条体又はその撚り糸同士が結束された状態を示す側面図(1)と背面図(2)である。尚、結束する際には、細条体又は撚り糸4、4をゆるみがない様に、強く引っぱり、型5を締め付けるようにしながら、コネクター6により緊結する。強く引っ張られた細条体又は撚り糸4、4群が固定されたものがかつら保持部材7となり、かつら1が完成する。又、かつら保持部材のベースとしては伸縮するスパンデックスを併用してもよい。そして、かつら保持部材の付近にシリコンゴムの弾性体からなるシート体もしくは粒体をとりつけて、滑り止めとして、また、クッションとして使用してもよい。
なおコネクター6による結束でなお断線の恐れが生じる場合は、細条体又は撚り糸を本結びやたて結びなどにより結束しても良い。
又、全頭用かつらのベースに細条体又は撚り糸を編みこむ方法は仮縫いや結束作業により、よりやり易くきめ細かく行うことができる。
本発明かつらを使用するに際しては、前もって、冷蔵庫や冷凍庫に入れて置いて、ある一定の温度(マルテンサイト変態温度)以下に冷却する。すると、細条体又は撚り糸4、4はやわらかくなり、伸ばしたり、引っぱったり出来る状態になる。その状態のかつら1を、図4のように手で押し広げて線長にして最大5〜8%長くなるように伸ばす。そうすると使用者の頭部に容易に装着することが出来る、又かつら1をきつめに製作しておいても、伸ばすことにより、抵抗感なく頭に被ることができる。
そして、人が装着した後は、人の体温やヘヤードライヤーなどの使用により、加温されて,形状記憶合金はマルテンサイト相からオーステナイト相に変態し元の形状に戻り、長さの方向に収縮し、復元されて、その人の頭部の形状に沿ってかつら保持部材7が頭部に密着し、はずれたり、ずれたりする事がなく、安心してかつらを使用出来る。
又、本発明の別の使用状態としては室温状態のかつらに外力を加えて細条体又は撚り糸、すなわち、かつら保持部材の線長を最大5〜8%伸ばし、オーステナイト相から応力誘起マルテンサイト変態させる。そして使用者が抵抗感なくかつらを頭にかぶると、しばらくして細条体又は撚り糸すなわちかつら保持部材の線長が元にもどり(超弾性効果)、頭部に密着してはずれたり、ずれたりしないでかつらを装着する事が出来る。
1a かつら半製品
1 かつら
2 人毛及び人工毛
3 かつらベースネット
4 細条体又はその撚り糸
5 型
6 コネクター
7 かつら保持部材

Claims (5)

  1. 形状記憶合金の細条体又はその撚り糸を、ベースに植毛した全頭用かつら半製品の下縁部付近の裏面側に複数条に亘り、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようにして、互いに近接させながら、仮縫いを施し、この全頭用かつら半製品を人の頭をかたちどった型に嵌め、且つ前記細条体またはその撚り糸を、型を締め付けるようにして引っ張りつつ、細条体又はその撚り糸同士を緊結することを、特徴とするかつらの製造方法。
  2. 全頭用かつらのベースに、形状記憶合金の細条体又はその撚り糸を、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようにして、複数条互いに近結させながら、編みこんで、仮縫いを施した全頭用かつら半製品を人の頭を形どった型に嵌め、前記細条体又はその撚り糸を型を締め付ける様にして、細条体同士又はその撚り糸同士を緊結した後に、ベースに植毛することを特徴とするかつらの製造方法。
  3. 人の全頭用かつらの下縁部付近の裏面側に、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り,後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている形状記憶合金からなる細条体が、互いに近接して複数条巻回して形成されたかつら保持部材が設けられ、前記細状体が長さ方向に伸ばすことができ、且つ長さ方向に収縮 するものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法により製せられてなるかつら。
  4. 人の全頭用かつらの下縁部付近の裏面側に、人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている形状記憶合金からなる細条体又は同一位置に設けられている複数撚り合わされた撚り糸が、互いに近接して複数条巻回して形成されたかつら保持部材が設けられ、前記細条体が長さ方向に伸ばすことができ、且つ長さ方向に収縮するものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の製造方法により製せられてなるかつら。
  5. 人の頭部の曲線に対応し、人の頭部の前頭部より耳のそばを通り、後頭部の頂点より下の部分に位置するようになされている形状記憶合金の細条体又はその撚り糸同士が結び合わされて結束されてなる請求項3又は4のいずれかに記載のかつら。
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