JP4634961B2 - 制振装置の設置方法 - Google Patents
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この特許文献1に記載の制振装置は、下梁と、上梁と、柱と、柱と平行に延在された補強用のスタッドとにより形成された長方形の壁面状空間に油圧ダンパが取り付けられている。また、壁面状空間内には、下梁に固定される下部伝達部材と、上梁に固定される上部伝達部材とが設けられている。下部伝達部材及び上部伝達部材は、夫々同一の台形形状に形成されており、固定端が下梁、上梁及び柱の側面とスタッドの側面によって位置規制されており、3方向でがたつきのない状態に保持されている。
また、施工誤差が生じるのを防ぐために、これら多くの部品全てを正確な位置に取り付けなければならない。特に上部伝達部材を上梁に固定する際は、上部伝達部材を上梁に固定し終わるまで上部伝達部材を支えて静止させなければならず、作業員の負担が大きいばかりか、上部伝達部材の位置がずれやすいといった問題があり、以上のような種々の問題を解決し得る技術の開発が強く望まれていた。
その後、前記制振装置20が設けられた一対の柱材10,10を、前記一対の柱脚金物40,40で支持するようにして基礎30上に立設することを特徴とする。
これによって、前記一対の柱材10,10間に組み込まれる制振装置20を、基礎30の上方の所定位置に精度良く設置できるだけでなく、現場での施工手間を省略することができるので、工期の短縮を図ることが可能となる。
前記一対の柱材10,10間に制振装置20を組み込んで一体化するに際し、これら一対の柱材10,10間に、柱材10,10の上端部間に架設される上枠部材12と、柱材10,10の下端部間に架設される下枠部材13と、これら上下枠部材12,13の両端部間に立設される縦枠部材14,14とを矩形枠状に組み立てて設けてから、これら上下枠部材12,13と、両縦枠部材14,14とで囲まれた部位に前記制振装置20を組み込むことを特徴とする。
これによって、前記一対の柱材10,10を、一対の柱脚金物40,40の位置に合わせるようにして立設するだけで、前記一対の柱材10,10間に組み込まれる制振装置20を、基礎30の上方の所定位置により精度良く設置することができる。
さらに、前記上下枠部材12,13および両縦枠部材14,14は、前記一対の柱材10,10を補強する補強材としての効果も発揮することができる。
前記一対の柱脚金物40,40を前記基礎30の上面に固定するに際し、これら一対の柱脚金物40,40間に、床板31を前記下枠部材13の下面に当接する高さに支持するための支持部45を設けることを特徴とする。
前記支持部45は、前記基礎30の上面に固定され、かつ前記一対の柱脚金物40,40間に設けられる土台部材45aであることを特徴とする。
前記支持部45は、前記一対の柱脚金物40,40と一体的に形成され、かつ、これら一対の柱脚金物40,40を、所定の間隔をあけて接続する接続金物45b(45c)であることを特徴とする。
これによって、前記一対の柱材間に組み込まれる制振装置を、基礎の上方の所定位置に精度良く設置できるだけでなく、現場での施工手間を省略することができるので、工期の短縮を図ることが可能となる。
矩形フレーム21は、左右一対の縦フレーム22,22と、上下一対の横フレーム23,23とを矩形枠状に組み立てて形成されたものであり、縦フレーム22の端部と横フレーム23の端部はピン結合されている。したがって、矩形フレーム21は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。なお、縦フレーム22、横フレーム23は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
また、縦フレーム22は、矩形フレーム21の外周面を構成する帯板状の外周板部22aと、この外周板部22aの内面に直角に形成されて、前記支持部24が取り付けられる帯板状の内側板部22bとから構成され、断面T字状に形成されている。
横フレーム23は、矩形フレーム21の外周面を構成する帯板状の外周板部23aと、この外周板部23aの両端部の内面にそれぞれ直角に形成されて、前記縦フレーム22の内側板部22bの端部にピン結合される内側板部23b,23bとを備えており、内側板部23b,23bには後述する制振部材27を備えた制振ボックス29が取り付けられるようになっている。
また、前記縦フレーム22,22および横フレーム23,23の各外周板部22a,22a,23a,23aには、図2および図3に示すように、予め工場等で木材17が固定され、これら木材17は制振装置20を囲むようにして枠状に組み立てられている。
したがって、制振装置20の矩形フレーム21は、上下枠部材12,13と両縦枠部材14,14とで囲まれた空間内に納まる。つまり、上下枠部材12,13と両縦枠部材14,14とで構成される矩形枠状の部分の内部に組み込むことが可能となっている。
支持部24は、2枚の支持板24a,24aによって構成されており、支持板24a,24aの先端部間には所定の隙間が形成され、基端部は接した状態で重ねられている。そして、この重ねられた部分が前記取付面9aに当接されたうえでボルトによって一体的に取り付られている。また、2枚の支持板24a,24a間には、前記制振機構を構成する振り子部材26の中央部が挿入されて支持されている。
前記一対の支持部24,24の先端部によって振り子部材26の長手方向中央部が支持されており、この振り子部材26は、地震等の振動によって矩形フレーム21が変形して一対の支持部24,24が変位した場合に、該一対の支持部24,24間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
また、他方の支持部24の支持板24a,24aに形成された孔と、振り子部材26の中央部に形成された他方の孔とには、軸28が振り子部材26を回転可能とするように挿通されている。この軸28も先端部にねじ部を有するボルト28で形成されており、このボルト28は前記孔に挿通され、これら孔に挿通されたボルト28にはナットが螺合されている。
これによって、振り子部材26は、一対の支持部24,24によって軸28,28を介して支持されており、この振り子部材26は、地震等の振動によって一対の支持部24,24が変位した場合に、該一対の支持部24,24間の略中央部、言い換えれば、軸28,28間の中央部を中心として振れるように構成されている。
ボックス29aの対向する内面にはそれぞれ粘弾性体21,21が接着剤等によって固着されている。これら粘弾性体21,21間には、プレート27aが挿入されており、該プレート27aの表面は前記粘弾性体21,21に固着されている。プレート27aの一端部は、ボックス29aより突出しており、この突出している一端部は、振り子部材26の端部にボルトによって連結されている。したがって、制振部材27は、プレート27aを介して振り子部材26の端部に着脱可能に取り付けられている。
また、前記ボックス29aの端面には、取付プレート29b,20aが突出形成されている。そして、制振ボックス29は、ボックス29aを横フレーム23の外周板部23aに設置したうえで、ボックス29aの取付プレート29b,20aを内側板部23b,23bにボルトによって連結することによって横フレーム23の略中央部に取り付けられている。したがって、制振部材27はボックス29aを介して矩形フレーム21の横フレーム23に着脱可能に取り付けられている。
なお、制振ボックス29のボックス29a、プレート27a等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
したがって、予め工場等で前記制振装置20と一対の柱材10,10とを一体化するように製造しておけば、現場で一対の柱材10,10間に、前記上下枠部材12,13や両縦枠部材14,14、制振装置20を組み込む必要がなくなるので、現場での施工手間を省略することができる。そして、このように制振装置20が設けられた一対の柱材10,10を、柱脚金物40,40を介して基礎30の上面に立設固定することによって、建物に制振装置20を容易に導入することができるので、工期の短縮を図ることが可能となっている。
また、前記上枠部材12および両縦枠部材14,14は、前記一対の柱材10,10を補強する補強材としての効果も発揮することができる。
なお、梁材を設置する際は、この梁材に、前記一対の柱材10,10の上部に設けられたダボ材19を差し込むための孔部(図示せず)を設けておき、この孔部にダボ材19を挿入するようにして梁材を設置する。
したがって、振り子部材26の端部と矩形フレーム21との間に設けられている制振部材27の変形を増幅できるので、建物躯体の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができるようになっている。
このように貼設スペース16に面材15を設けることで、この面材15の表面と、前記一対の柱材10,10の他方の面10b,10bとが面一になるので、前記一対の柱材10,10の両面側10a,10a,10b,10bに、例えば石膏ボードやサイディング材等の板材を確実に貼り付けることができる。なお、本実施の形態においては、前記貼設スペース16に貼り付けられる面材15は構造用合板が用いられている。
前記接合板材15aは、図4および図5に示すように、前記両縦枠部材14,14と、前記矩形フレーム21に固定された木材17とに跨り、さらに上下に長尺に形成されている。
前記複数の被覆板材15b,15cは、図5に示すように、前記接合板材15a,15aどうし間において前記制振装置20を覆い隠すようにして設けられる大判な第1被覆板材15bと、図6に示すように、前記両接合板材15aおよび第1被覆板材15bの上下に設けられる第2被覆板材15c,15cとを備えている。この第2被覆板材15c,15cは、上側が前記上枠部材12の上面12cに達する高さまで、下側が前記下枠部材13の下面に達する高さまで設けられている。
なお、図示はしないが、前記柱材10,10の柱脚11,11および差込部44にピン挿通孔を形成し、このピン挿通孔にドリフトピンを差し込んで、これにより柱材10,10と柱脚金物40,40とを強固に接続することが好ましい。
この支持部45として、図8に示すように、前記基礎30の上面に固定され、かつ前記一対の柱脚金物40,40間に設けられる土台部材45aと、図9に示すように、前記一対の柱脚金物40,40と一体的に形成され、かつ、これら一対の柱脚金物40,40を、所定の間隔をあけて接続する接続金物45b,45cとが挙げられる。
また、基礎30の上面には、前記一対の柱脚金物40,40間に固定される前記土台部材45aとは異なる土台部材45aが設けられ、これら土台部材45aの上面に床板31が設けられて建物の床面が構成される。
また、このように前記接続金物45b(45c)と一対の柱脚金物40,40とが一体的に形成されていることで、前記一対の柱脚金物40,40間に所定の間隔をあける作業を行う必要がなくなるので、現場での施工手間を省略することができ、工期の短縮を図ることができる。
また、床板31に生じた振動を、前記下枠部材13を介して制振装置20に確実に伝達することができるので、この制振装置20の制振機能を有効に働かせることができる。
まず、図1および図2に示すように、予め工場等で、一対の柱材10,10間に制振装置20を組み込んで一体化しておく。この時、これら一対の柱材10,10間に、前記上下枠部材12,13と、両縦枠部材14,14とを矩形枠状に組み立てて設けてから、これら上下枠部材12,13と、両縦枠部材14,14とで囲まれた部位に前記制振装置20を組み込むようにする。
これによって、この制振装置20を上下枠部材12,13と両縦枠部材14,14とで囲まれた部位に保持することができるので、前記一対の柱材10,10を、一対の柱脚金物40,40の位置に合わせるようにして立設するだけで、前記一対の柱材10,10間に組み込まれる制振装置20を、基礎30の上方の所定位置に精度良く設置できる。
また、前記上下枠部材12,13と両縦枠部材14,14とを矩形枠状に組み立てて前記一対の柱材10,10間に設けるので、この一対の柱材10,10どうしを所定の間隔をあけて連結することができるようになっている。
そして、基礎30の上面に、前記一対の柱脚金物40,40および支持部45を設けた後は、図10に示すように、複数の床板31,31…を敷設して建物の床面を形成する。なお、予め前記床板31に、前記柱脚金物40,40の差込部44のための切欠部31aを設けておくようにする。
12 上枠部材
13 下枠部材
14 縦枠部材
20 制振装置
30 基礎
40 柱脚金物
Claims (5)
- 予め、一対の柱材間に制振装置を組み込んで一体化しておくとともに、基礎の上面に、前記一対の柱材を支持するための一対の柱脚金物を、一対の柱材間と同一の間隔をあけて固定しておき、
その後、前記制振装置が設けられた一対の柱材を、前記一対の柱脚金物で支持するようにして基礎上に立設することを特徴とする制振装置の設置方法。 - 請求項1に記載の制振装置の設置方法において、
前記一対の柱材間に制振装置を組み込んで一体化するに際し、これら一対の柱材間に、柱材の上端部間に架設される上枠部材と、柱材の下端部間に架設される下枠部材と、これら上下枠部材の両端部間に立設される縦枠部材とを矩形枠状に組み立てて設けてから、これら上下枠部材と、両縦枠部材とで囲まれた部位に前記制振装置を組み込むことを特徴とする制振装置の設置方法。 - 請求項2に記載の制振装置の設置方法において、
前記一対の柱脚金物を前記基礎の上面に固定するに際し、これら一対の柱脚金物間に、床板を前記下枠部材の下面に当接する高さに支持するための支持部を設けることを特徴とする制振装置の設置方法。 - 請求項3に記載の制振装置の設置方法において、
前記支持部は、前記基礎の上面に固定され、かつ前記一対の柱脚金物間に設けられる土台部材であることを特徴とする制振装置の設置方法。 - 請求項3に記載の制振装置の設置方法において、
前記支持部は、前記一対の柱脚金物と一体的に形成され、かつ、これら一対の柱脚金物を、所定の間隔をあけて接続する接続金物であることを特徴とする制振装置の設置方法。
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