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JP4628554B2 - 単焦点レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子カメラの撮影レンズとして用いられる単焦点レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、銀塩フィルムに代わり、CCD(電荷結合素子)のような固体撮像素子を用いて被写体を撮影するようにした電子カメラが普及してきている。電子カメラには、一般に、静止画の撮影を行うためのスチルカメラと動画の撮影を行うためのビデオカメラとがある。従来、このような電子カメラに使用される撮影レンズとしては、例えば特開平8−152555号公報および特開平9−90213号公報などに記載されたものがある。特開平8−152555号公報には、ガラス製のレンズを6枚用いた構成の撮影レンズに関する発明が記載されている。一方、特開平9−90213号公報には、ガラス製のレンズ4枚とプラスチック製のレンズ1枚とを用いた5枚構成の撮影レンズに関する発明が記載されている。特開平9−90213号公報記載の撮影レンズでは、プラスチック製のレンズに非球面を用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電子カメラには、銀塩フィルムを用いたカメラと同様、小型化への要求がある。このため、電子カメラに使用される撮影レンズについても、簡易な構成で、全長を短くして小型化が図られていることが望ましい。また、製造コストが低く抑えられていることが望ましい。しかしながら、従来の撮影レンズは、このような条件を十分に満足していないという問題があった。例えば特開平8−152555号公報記載の撮影レンズは、レンズの枚数が6枚と比較的枚数の多いレンズ構成であるとともに、すべてのレンズにガラス材料を使用しているため、特に、製造コストが高くなってしまうという問題がある。また、例えば特開平9−90213号公報記載の撮影レンズは、レンズの枚数を5枚にするとともに、5枚のうち1枚にプラスチックレンズを用いて低コスト化を図っているものの、特に、全長が長くコンパクト性に欠けるという問題がある。
【0004】
なお、撮影レンズにおいて、レンズ枚数を少なく、且つ全長を短くするためには、複数のレンズ面に積極的に非球面を用いた構成にすることが考えられる。このとき、非球面を用いるレンズには、そのレンズ材料として、ガラスより光学樹脂(プラスチック)を用いることがコストおよび製造性の点で望ましい。一方で、プラスチックレンズは、ガラスレンズと比較して、温度および湿度などの環境の変化に対する光学性能の変化が大きいので、この光学性能の変化を小さくするために、パワーを小さくした方が良いと考えられる。以上のことを考慮すると、撮影レンズにおいて複数の非球面を用いる場合には、プラスチックレンズを用いるとともに、そのプラスチックレンズについて環境の変化を考慮した適切なパワー配分を行うことが望ましいと考えられる。
【0005】
しかしながら、従来では、パワー配分の適切さ、構成の簡易さ、コストおよび全長の短かさなどの条件を十分に満足したものが開発されていなかった。特に、従来では、コスト面を考慮したレンズの開発が不十分である。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、きわめて低コスト且つ簡易な構成でありながら、全長が短く、主として撮影レンズに最適な光学性能を得ることができる単焦点レンズを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による単焦点レンズは、物体側から順に、正の屈折力を有するメニスカス形状の第1のレンズと、少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第2のレンズと、像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3のレンズと、像面側に凹面を向け、少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第4のレンズとが配設されてなるものである。
【0008】
ここで、本発明による単焦点レンズは、主として非球面の製造性の点から、第2のレンズおよび第4のレンズが、光学樹脂で構成されていることが望ましい。
【0009】
また、本発明による単焦点レンズは、光学樹脂を用いた第2のレンズおよび第4のレンズについて、屈折力を制限し、主として環境の変化に対する光学性能の劣化を少なくするために、以下の条件式(1)および(2)を満足することが望ましい。
−0.2<f/f2<0.2 ……(1)
−0.2<f/f4<0.2 ……(2)
ただし、
2:第2のレンズの焦点距離
4:第4のレンズの焦点距離
【0010】
さらに、本発明による単焦点レンズは、主として色収差を補正するために、以下の条件式(3)〜(5)を満足することが望ましい。
1.70<Nd1 ……(3)
35>νd1 ……(4)
50<νd3 ……(5)
ただし、
Nd1:第1のレンズのd線に対する屈折率
νd1:第1のレンズのd線に対するアッベ数
νd3:第3のレンズのd線に対するアッベ数
【0011】
本発明による単焦点レンズでは、複数のレンズ面に非球面を使用しているので、全長を短くしつつ、きわめて少ないレンズ枚数で良好な光学性能を得ることが容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る単焦点レンズの構成を示すものであり、光軸Z0を含む単一の平面内における各レンズ要素の断面構造を示している。なお、図1において、符号ZOBJで示す側が物体側、すなわち、例えば撮影用の被写体が存在する側である。また、図1において、符号ZIMGで示す側が結像側(像面側)、すなわち、物体側の被写体像が結像される側である。図1において、符号Riは、最も物体側のレンズ面を1番目として、像面側に向かうに従い順次増加するi番目のレンズ面の曲率半径を示す。符号Diは、i番目のレンズ面とi+1番目のレンズ面との光軸上の面間隔を示す。図1において、符号Stで示した部分は、レンズ系の絞りを表している。本実施の形態に係る単焦点レンズ1は、例えば電子カメラの撮影レンズとして用いられるものであり、結像面には、例えばCCDなどの撮像素子の撮像面が配置される。
【0014】
図1に示したように、本実施の形態に係る単焦点レンズ1は、正の屈折力(パワー)を有するメニスカス形状の第1のレンズL1と、少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第2のレンズL2と、像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3のレンズL3と、像面側に凹面を向け、少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第4のレンズL4とを備えている。第1のレンズL1〜第4のレンズL4は、この順番で物体側から順次配置されている。絞りStは、第2のレンズL2と第3のレンズL3との間に位置している。第3のレンズL3は、像面側に強い凸面を向けると共に、アッベ数が大きい材料で構成されていることが望ましい。
【0015】
単焦点レンズ1は、さらに、第4のレンズL4の結像側に配置されたカバーガラスLaを備えている。カバーガラスLaは、CCDなどの撮像素子の撮像面を保護するためのものである。カバーガラスLaの像面側の面は、例えば結像面と一致するように配置されている。カバーガラスLaの像面側の面を結像面に一致させた場合には、カバーガラスLaの像面側の面に撮像素子の撮像面が当接される。
【0016】
単焦点レンズ1において、第2のレンズL2および第4のレンズL4は、主として非球面加工の製造性を考慮して、光学樹脂からなるプラスチックレンズで構成されていることが望ましい。ここで、プラスチックレンズとして使用可能な光学樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびポリカーボネートなどがある。ただし、プラスチックレンズとして用いる光学樹脂は、複屈折性が小さい方が解像度が高い光学性能を得ることができると考えられるので、第2のレンズL2および第4のレンズL4には複屈折性の比較的小さいアクリル樹脂を使用することが望ましい。
【0017】
単焦点レンズ1において、第2のレンズL2と第4のレンズL4は、他のレンズ要素と比較して相対的にパワーが弱い構成であることが望ましい。具体的には、レンズ全系の焦点距離をf、第2のレンズL2の焦点距離をf2、第4のレンズL4の焦点距離をf4としたときに、以下の条件式(1),(2)を満足するように構成されていることが望ましい。
【0018】
−0.2<f/f2<0.2 ……(1)
−0.2<f/f4<0.2 ……(2)
【0019】
単焦点レンズ1は、さらに、第1のレンズL1のd線(波長λd=587.6nm)に対する屈折率をNd1、第1のレンズL1のd線に対するアッベ数をνd1、第3のレンズL3のd線に対するアッベ数をνd3とするときに、以下の条件式(3)〜(5)を満足するように構成されていることが望ましい。
【0020】
1.70<Nd1 ……(3)
35>νd1 ……(4)
50<νd3 ……(5)
【0021】
次に、以上のような構成の単焦点レンズ1によってもたらされる光学的な作用および効果について説明する。
【0022】
本実施の形態に係る単焦点レンズ1では、第2のレンズL2が非球面を有していることにより、主として球面収差およびコマ収差の補正が有利に行われる。また、ガラス材料の第1のレンズL1の後ろ側に、第2のレンズL2を配置することにより、第2のレンズL2を光学樹脂で構成したとしても、そのレンズ面の傷つきを防ぐことができる。
【0023】
さらに、この単焦点レンズ1では、像面側に強い凸面を向けると共に、アッベ数が大きい材料で構成された正の第3のレンズL3を配置することで、主として色収差と像面湾曲の補正を良好に行うことができる。また、この単焦点レンズ1では、像面に近い位置に配置された第4のレンズL4が非球面を有しているとともに、像面側に凹面を向けたメニスカス形状となっているので、特に、ディストーションおよび像面湾曲の補正が有利に行われる。
【0024】
上述の条件式(1)および条件式(2)は、それぞれ第2のレンズL2および第4のレンズL4の屈折力を制限するものである。一般に、光学樹脂を用いたレンズは、温度および湿度などの環境の変化によって焦点距離などの光学性能が変化しやすい。この光学性能の変化は、レンズの屈折力が強いほど顕著になる。従って、第2のレンズL2および第4のレンズL4に光学樹脂を使用した場合には、条件式(1)および条件式(2)の範囲を満足するようにレンズの屈折力を制限することで、環境の変化に対する光学性能の劣化を低く抑えることができる。条件式(1)および条件式(2)の範囲を超えると、第2のレンズL2および第4のレンズL4の屈折力が強くなり、温度および湿度などの影響を強く受け、環境の変化に対する光学性能の劣化が大きくなるおそれがある。
【0025】
条件式(3)〜(5)は、光学樹脂を用いていないレンズ(第1のレンズL1および第3のレンズL3)におけるレンズ材(ガラス)の光学的な特性を制限するためのものであり、主として色収差の補正に寄与している。条件式(3)〜(5)の範囲を超えるガラスレンズを使用すると、主として色収差の補正が困難になる。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態の単焦点レンズ1によれば、複数のレンズ面に非球面を使用しているので、全長を短くしつつ、4枚というきわめて少ないレンズ枚数で良好な光学性能を得ることが可能となる。また、非球面レンズ(第2のレンズL2および第4のレンズL4)に光学樹脂を使用しているので、非球面加工がしやすくなり、所望の光学性能を得ることが容易となる。また、非球面加工の点で低コスト化を図ることができる。さらに、本実施の形態によれば、非球面レンズについて、環境の変化を考慮した適切なパワー配分を行うようにしたので、例えば温度変化に伴い非球面レンズの形状や屈折率などが変化したとしても、レンズ系全体の焦点距離の変化などを小さくすることができる。すなわち、環境変化に対する光学性能の悪化の度合いを小さくすることができる。
【0027】
このように、本実施の形態の単焦点レンズ1によれば、上述の構成と条件式を満足することにより,全長が短く、例えば電子カメラ用の撮影レンズに最適な光学性能をきわめて低コストで得ることが可能となる。
【0028】
[実施例]
次に、本実施の形態の単焦点レンズの具体的な数値実施例について説明する。
【0029】
<実施例1>
本実施例の単焦点レンズ1-1の断面構造は、図1に示した単焦点レンズ1と同様となっている。
【0030】
図2(A),(B)は、本実施例に係る単焦点レンズ1-1の具体的な数値実施例を示している。図2(A),(B)における面番号Siは、最も物体側のレンズ面を1番目として、像面側に向かうに従い順次増加するレンズ面の番号を示している。屈折率Ndiおよびアッベ数νdiは、それぞれd線に対する値を示している。曲率半径Riは、図1に示した符号Riと同様に、物体側からi番目のレンズ面の曲率半径を示している。面間隔Diについても、図1に示した符号Diと同様であり、物体側からi番目のレンズ面Siとi+1番目のレンズ面Si+1との光軸上の間隔を示す。曲率半径Riおよび面間隔Diの値の単位はミリメートル(mm)である。なお、図中、曲率半径Riの値が0(ゼロ)のレンズ面は、面形状が平面であることを示す。また、図2(A)には、この単焦点レンズ1-1における全系の焦点距離f(=1.00mm)、Fナンバー(Fno.=5.6)および画角2ω(=51.0°)の値についても示す。
【0031】
図2(A)において、面番号の左側に付された記号「*」は、そのレンズ面が非球面であることを示す。本実施例では、第2のレンズL2のレンズ面S3,S4および第4のレンズL4のレンズ面S8,S9が非球面形状となっている。この非球面を有する第2のレンズL2および第4のレンズL4には、レンズ材として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用している。図2(A)では、これらの非球面の曲率半径として、光軸近傍の曲率半径の数値を示している。
【0032】
図2(B)は、レンズ面S3,S4およびレンズ面S8,S9の非球面形状を表すための非球面係数K,A4,A6,A8,A10の値を示している。これらの非球面係数は、以下の式(A)によって表される非球面多項式における係数である。式(A)の非球面多項式は、光軸Z0に直交する方向にh軸を取って非球面の形状を表したものである。式(A)の非球面多項式において、hは、光軸Z0からレンズ面までの距離(高さ)(単位:mm)を表す。Z(h)は、高さhにおけるレンズ面のサグ(sag)量を表している。より詳しくは、Z(h)は、光軸Z0から高さhの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(単位:mm)を示す。Cは、光軸近傍におけるレンズ面の近軸曲率半径Rの逆数(1/R)である。また、Kは、離心率を表し、A4,A6,A8,A10は、それぞれ4次,6次,8次,10次の非球面係数を表す。なお、図2(B)に示した非球面係数を表す数値において、記号“E”は、その次に続く数値が10を底とした指数であることを示し、その10を底とした指数関数で表される数値が“E”の前の数値に乗算されることを示す。
例えば、「1.0E−02」は、「1.0×10-2」であることを示す。
【0033】
Z(h)=Ch2/{1+(1−K・C2・h21/2
+A44 +A66 +A88 +A1010 ……(A)
【0034】
図10は、本実施例と後述の実施例2,3のそれぞれについて、上述の条件式(1)〜(5)に対応する値をまとめて示したものである。本実施例の単焦点レンズ1-1では、「f/f2」の値が「−0.012」であり、「f/f4」の値が「0.014」であるから、条件式(1),(2)の条件を満たしている。また、第1のレンズL1のd線に対する屈折率Nd1が、「1.84666」であるから、条件式(3)の条件を満たしている。また、第1のレンズL1のd線に対するアッベ数νd1が「23.8」、第3のレンズL3のd線に対するアッベ数νd3が「58.1」であるから、条件式(4),(5)の条件を満たしている。
【0035】
図3(A)〜(D)は、本実施例に係る単焦点レンズ1-1の諸収差を示している。より詳しくは、図3(A)は球面収差を示し、図3(B)は非点収差を示し、図3(C)はディストーション(歪曲収差)を示し、図3(D)は倍率色収差を示している。これらの図において、各収差はe線を基準としたものを示している。各収差図において、符号g,e,Cを付した曲線は、それぞれg線、e線、C線についての収差を示している。g線、e線、C線の波長は、それぞれ、435.8nm,546.1nm,656.3nmである。図3(B)において、実線はサジタル像面に対する収差を示し、点線はタンジェンシャル(メリジオナル)像面に対する収差を示している。なお、各収差図において、ωは半画角を示している。
【0036】
<実施例2>
次に、本実施の形態に係る単焦点レンズ1の第2の実施例について説明する。
【0037】
図5(A),(B)は、本実施例に係る単焦点レンズ1Aの具体的な数値実施例を示している。図4は、単焦点レンズ1Aの断面構造を図5に示した数値実施例に対応させて描いたものである。図5(A),(B)に示した各数値の示す意味は、実施例1(図2(A),(B))の場合と同様である。
【0038】
本実施例においても、実施例1と同様に、第2のレンズL2のレンズ面S3,S4および第4のレンズL4のレンズ面S8,S9が非球面形状となっている。第2のレンズL2および第4のレンズL4には、レンズ材として、PMMAを使用している。
【0039】
また、本実施例においても、図10に示したように、「f/f2」の値が「0.001」であり、「f/f4」の値が「0.040」であるから、条件式(1),(2)の条件を満たしている。また、第1のレンズL1のd線に対する屈折率Nd1が、「1.84666」であるから、条件式(3)の条件を満たしている。また、第1のレンズL1のd線に対するアッベ数νd1が「23.8」、第3のレンズL3のd線に対するアッベ数νd3が「81.6」であるから、条件式(4),(5)の条件を満たしている。
【0040】
図6(A)〜(D)は、本実施例に係る単焦点レンズ1Aの諸収差を示している。より詳しくは、図6(A)は球面収差を示し、図6(B)は非点収差を示し、図6(C)はディストーションを示し、図6(D)は倍率色収差を示している。図6(B)において、実線はサジタル像面に対する収差を示し、点線はタンジェンシャル像面に対する収差を示している。これらの収差図に付した各符号の意味は、実施例1(図3(A)〜(D))の場合と同様である。
【0041】
<実施例3>
次に、本実施の形態に係る単焦点レンズ1の第3の実施例について説明する。
【0042】
図8(A),(B)は、本実施例に係る単焦点レンズ1Bの具体的な数値実施例を示している。図7は、本実施例の単焦点レンズ1Bの断面構造を図8に示した数値実施例に対応させて描いたものである。図8(A),(B)に示した各数値の示す意味は、実施例1(図2(A),(B))の場合と同様である。
【0043】
本実施例においても、第2のレンズL2のレンズ面S3,S4および第4のレンズL4のレンズ面S8,S9が非球面形状となっている。第2のレンズL2および第4のレンズL4には、レンズ材として、PMMAを使用している。
【0044】
本実施例においても、図10に示したように、「f/f2」の値が「−0.015」であり、「f/f4」の値が「0.018」であるから、条件式(1),(2)の条件を満たしている。また、第1のレンズL1のd線に対する屈折率Nd1が、「1.92286」であるから、条件式(3)の条件を満たしている。また、第1のレンズL1のd線に対するアッベ数νd1が「20.9」、第3のレンズL3のd線に対するアッベ数νd3が「58.1」であるから、条件式(4),(5)の条件を満たしている。
【0045】
図9(A)〜(C)は、本実施例に係る単焦点レンズ1Bの諸収差を示している。より詳しくは、図9(A)は球面収差を示し、図9(B)は非点収差を示し、図9(C)はディストーションを示し、図9(D)は倍率色収差を示している。図9(B)において、実線はサジタル像面に対する収差を示し、点線はタンジェンシャル像面に対する収差を示している。これらの収差図に付した各符号の意味は、実施例1(図3(A)〜(D))の場合と同様である。
【0046】
以上で説明したように、すべての実施例の単焦点レンズについて、上述の各条件式を満足した状態で諸収差が良好に補正されており、例えば電子カメラ用の撮影レンズに最適な光学性能となっていることが分かる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。
例えば、各レンズ成分の曲率半径R、面間隔D、屈折率Nおよびアッベ数νの値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値を取り得る。
【0048】
また、本発明は、電子カメラ用の撮影レンズに限らず、いわゆる銀塩フィルムを用いたカメラ用の撮影レンズなどにも適用することが可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の単焦点レンズによれば、物体側から順に、正の屈折力を有するメニスカス形状の第1のレンズと、少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第2のレンズと、像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3のレンズと、像面側に凹面を向け、少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第4のレンズとを配設した構成にしたので、レンズ枚数が少なく、きわめて低コスト且つ簡易な構成でありながら、全長が短く、主として撮影レンズに最適な光学性能を得ることができる。
【0050】
特に、請求項2記載の単焦点レンズによれば、請求項1記載の単焦点レンズにおいて、非球面を有する第2のレンズおよび第4のレンズを光学樹脂で構成するようにしたので、非球面加工がしやすくなり、低コストで所望の光学性能を得ることが容易となる。
【0051】
また特に、請求項3記載の単焦点レンズによれば、光学樹脂を用いた第2のレンズおよび第4のレンズについて、「−0.2<f/f2<0.2」と「−0.2<f/f4<0.2」とで表される条件式(1),(2)を満足するようにしたので、第2のレンズおよび第4のレンズの屈折力が低めに制限され、温度および湿度などの環境の変化に対する光学性能の劣化を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る単焦点レンズの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る単焦点レンズの第1の具体的な数値実施例(実施例1)を示す説明図である。
【図3】図2に示した実施例1の単焦点レンズにおける球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る単焦点レンズの第2の具体的な数値実施例(実施例2)の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る単焦点レンズの第2の具体的な数値実施例を示す説明図である。
【図6】図5に示した実施例2の単焦点レンズにおける球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る単焦点レンズの第3の具体的な数値実施例(実施例3)の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る単焦点レンズの第3の具体的な数値実施例を示す説明図である。
【図9】図7に示した実施例3の単焦点レンズにおける球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差を示す収差図である。
【図10】各実施例の単焦点レンズが満たす条件値について示す説明図である。
【符号の説明】
La…カバーガラス、L1…第1のレンズ、L2…第2のレンズ、L3…第3のレンズ、L4…第4のレンズ、Z0…光軸、St…絞り、1,1A,1B…単焦点レンズ。

Claims (2)

  1. 物体側より順に、
    正の屈折力を有するメニスカス形状の第1のレンズと、
    少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第2のレンズと、
    像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する第3のレンズと、
    像面側に凹面を向け、少なくとも1つの面が非球面で構成されたメニスカス形状の第4のレンズとが配設されてなる単焦点レンズであって、
    前記第2のレンズおよび前記第4のレンズは、光学樹脂で構成されたものであり、
    さらに、以下の条件式(1)および(2)を満足するように構成されていることを特徴とする単焦点レンズ。
    −0.2<f/f 2 <0.2 ……(1)
    −0.2<f/f 4 <0.2 ……(2)
    ただし、
    f:全系の焦点距離
    2 :第2のレンズの焦点距離
    4 :第4のレンズの焦点距離
  2. さらに、以下の条件式(3)〜(5)を満足するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の単焦点レンズ。
    1.70<Nd1 ……(3)
    35>νd1 ……(4)
    50<νd3 ……(5)
    ただし、
    Nd1:第1のレンズのd線に対する屈折率
    νd1:第1のレンズのd線に対するアッベ数
    νd3:第3のレンズのd線に対するアッベ数
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