JP4623776B2 - 圧力センサの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力検出用のダイヤフラムを有する金属ステムにおける該ダイヤフラムにセンサ素子を配設してなる圧力センサを製造する方法に関し、特に、200MPa程度の高圧を検出するものに用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
例えば、従来のこの種の圧力センサは、ダイヤフラムを有する中空筒状の金属ステムと、該ダイヤフラムにガラス接合によって配設されダイヤフラムの変形に基づく信号を検出するセンサチップ(センサ素子)とを備え、金属ステム内部へ圧力媒体が導入されたときに、ダイヤフラムの変形に基づくセンサチップからの信号によって圧力検出を行うようにしている。
【0003】
ここで、従来の金属ステムの材料は、Si(シリコン)からなるセンサチップを低融点ガラスにてステムに接合させるため、Siやガラスの熱膨張係数に近い低熱膨張係数を有する金属としてFe−Ni系合金(COVER)を使用していた。そして、この合金を切削または冷間鍛造によりステム形状とした後、低融点ガラスとの接合性を確保すべく、ステム形状の合金の表面に酸化膜を形成し、該酸化膜の上にチップをガラス接合することにより、ステムとチップを接合していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のFe−Ni系合金を用いた金属ステムの疲労強度は100MPa程度の検出であるため、ディーゼルに用いる燃圧センサ(例えばコモンレールのポンプ圧センサ)等のように、検出圧200MPa程度の高い検出圧が求められるセンサには使用出来ない。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、より高圧に耐えうる金属ステムを有する圧力センサを製造する製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、従来の金属ステム材料よりも高圧に耐えうる材料として、析出強化により強度を高めた金属材料を採用することに着目した。析出強化とは、析出強化元素が混合された金属材料の固溶体に対して、熱処理を加え時効処理を行い、該析出強化元素を内部に析出させることにより、金属の強度を高めることである。
【0007】
しかしながら、この析出強化元素の析出は可逆的であるため、析出強化(時効処理)後に、時効処理温度よりも高い温度になると、再び固溶体に戻ってしまう。上述のように、従来、金属ステムの形成は、ステム形状のワークを形成した後、センサチップをガラス接合するための酸化膜形成やガラスの焼成といった加熱処理が施される。
【0008】
そこで、これら加熱処理の温度が上記時効処理温度以上となると、せっかく析出強化されたものが、過時効又は再固溶化により強度が低下してしまうため、時効処理後のガラス接合の工程を工夫する必要がある。
なお、このような問題は、センサチップ(センサ素子)をダイヤフラムにガラス接合するものに限らず、センサ素子を接着剤や蒸着によりダイヤフラムに配設する場合等においても、その配設する工程における加熱処理温度が上記時効処理温度以上となってしまうと発生する可能性がある。
【0009】
請求項1ないし請求項4記載の発明は、上記知見に鑑み、圧力検出用のダイヤフラム(11)を有する金属ステム(10)における該ダイヤフラムにセンサ素子(40)を配設してなる圧力センサの製造方法に関し、なされたもので、Ti、Al及びNbの中から選択された少なくとも1種を用いた析出強化元素が混合されたFe−Ni系またはFe−Ni−Co系の合金の金属材料の固溶体に対して熱処理を加え時効処理を行うことにより、金属ステム(10)の形状を有する金属体を形成し、続いて、該時効処理の際の熱処理温度よりも低い温度にて、該金属体におけるダイヤフラム(11)に相当する部位にセンサ素子(40)をガラス接合によって配設するようにしたことを特徴としている。
【0010】
本製造方法によれば、金属ステム形状を有する析出強化された金属体に対して、時効処理の際の熱処理温度よりも低い温度にて、センサ素子を配設するから、析出強化された金属体の強度を維持することができ、センサ素子が配設された金属ステムは、従来よりも高圧に耐えうるものとできる。
なお、本発明者等は、センサ素子をガラス接合によりダイヤフラムに配設する場合において、時効処理を行った後、この時効処理の際の熱処理温度よりも低い温度にて、ガラス接合のための酸化膜形成やガラス焼成を行っても、酸化膜やガラスの接合強度等は問題なく、金属ステムの強度が向上することを確認している。
【0011】
そして、請求項1記載の発明においては、析出強化元素が混合された金属材料からなる金属体を金属ステム(10)の形状に加工した後、該金属体に対し、950℃、約30分間の熱処理を加えることにより固溶化処理を行い組織を均一化させ、更に635℃、約8時間の熱処理を加えることにより時効処理を行い、続いて、該金属体にセンサ素子(40)をガラス接合によって配設するものであって、該センサ素子をガラス接合によって配設する工程における熱処理温度を、該時効処理を行う工程における熱処理温度よりも低い480℃としたことを特徴としている。
【0012】
また、請求項2記載の発明においては、請求項1記載の製造方法と比べて、金属体をステム形状とする工程を、固溶化処理工程と時効処理工程との間に行うようにしたことを特徴としている。
【0013】
更に、検討を進めた結果、時効処理により強度を高めるときに雰囲気に酸素が微量でも存在すると酸化膜が発生し、この酸化膜が粒界にそって成長する場合は強度が低下することを実験的に確認した。そのため、請求項3記載の発明のように、請求項1または請求項2記載の製造方法において、時効処理を還元雰囲気で行うようにすることが好ましい。それによって、上記の強度低下を引き起こす酸化膜の発生を防止することができる。
【0014】
また、請求項4記載の発明においては、析出強化元素が混合された金属材料からなる金属体に対し、950℃、約30分間の固溶化処理を行い、更に、635℃、約8時間の熱処理を加えることにより時効処理を行った後に、該時効処理された該金属体を切削して金属ステム(10)の形状に加工し、しかる後、センサ素子(40)をガラス接合によって配設するものであって、該センサ素子をガラス接合によって配設する工程における熱処理温度を、該時効処理を行う工程における熱処理温度よりも低い480℃としたことを特徴としている。
【0015】
本製造方法によれば、従来よりも高圧に耐えうる金属ステムを有する圧力センサの製造方法を提供することができることに加え、時効処理において金属体表面に疲労源となる酸化膜が発生しても、時効処理工程の後に金属体を切削するから該酸化膜を除去できる。従って、本製造方法では、時効処理は還元雰囲気で行わなくてもよい。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
図1に本発明の実施形態に係る圧力センサ100の全体断面構成を示す。圧力センサ100は、自動車の燃料噴射系(例えばコモンレ−ル)における燃料パイプ(図示せず)に取り付けられ、この燃料パイプ内の圧力媒体としての気体または気液混合気の圧力を検出するものである。また、図2は、図1中の丸で囲んだA部の概略(センサチップと金属ステムの断面)を拡大して示す斜視図である。
【0018】
10は中空円筒形状を成す金属ステムであり、ネジ部材20により、ハウジング30に固定されている。
金属ステム10は、一端側に閉塞部としての薄肉状のダイヤフラム11を有し、他端側に開口部12を有する。また、金属ステム10の他端側(開口部12側)には、一端側(ダイヤフラム11側)に比べて外周径が大きい段部13が形成されている。
【0019】
金属ステム10のダイヤフラム11の外面には、図2に示す様に、単結晶Si(シリコン)からなるセンサチップ(本発明のセンサ素子に相当)40が、低融点ガラス50により接合されている。このセンサチップ40は、開口部12から金属ステム10内部に導入された圧力媒体の圧力によってダイヤフラム11が変形したときに発生する歪みを、圧力として検出する検出部として機能するものである。そして、これらダイヤフラム11及びセンサチップ40が、センサの基本性能を左右する。
【0020】
金属ステム10の材料には、超高圧を受けることから高強度であること、及び、Siからなるセンサチップ40をガラス50により接合するため低熱膨張係数であること、が求められ、具体的には、Fe−Ni系合金Fe−Ni−Co系合金を主体とし、析出強化元素としてTi、Nb、Alまたは、Ti、Nbが加えられた金属材料を選定し、切削や冷間鍛造等により形成できる。
【0021】
ハウジング30は、被取付体としての上記燃料パイプに直接取り付けられるもので、外周面に該取付用のネジ31が形成されている。また、ハウジング30の内部には、金属ステム10の開口部12と連通する圧力導入通路32が形成されている。この圧力導入通路32は、ハウジング30が上記燃料パイプに取り付けられた状態で上記燃料パイプ内と連通し、金属ステム10内へ圧力媒体を導入するようになっている。
【0022】
ネジ部材20は、金属ステム10の外周を覆う円筒形状を有し、その外周面に雄ネジ部21が形成され、一方、ハウジング30における雄ネジ部21と対応する部位には、雄ネジ部21に対応した形状の雌ネジ部33が形成されている。
そして、これら両ネジ部21、33のネジ結合により、金属ステム10において、ネジ部材20からの押力が段部13に印加されるため、金属ステム10はハウジング30に押圧固定され、さらに、この押圧力によって、開口部12と圧力導入通路32との連通部、即ち、金属ステム10の開口部12側とハウジング30の圧力導入通路32側との境界部Kがシールされている。
【0023】
このように、ハウジング30は、上記燃料パイプ(燃料配管)への固定(超高圧シール及び機械的保持)、及び、金属ステム10のネジ部材20を利用しての固定(超高圧シール及び機械的保持)、という機能、更には、後述のコネクタケース80の固定(シール及び機械的保持)という機能を有する。そのため、ハウジング30の要求品質としては、圧力媒体及び実車環境からの耐食性、また上記境界部Kにて高いシール面圧を発生させる軸力を維持するためのネジ強度、が挙げられる。
【0024】
そして、これらの要求品質から、ハウジング30の材質としては、耐食性と高強度を合わせもつSUS630、高炭素鋼に耐食性を上げるZnめっきを施したもの、S15C、XM7、SUS430、SUS304等を採用することができる。
また、ネジ部材20は、金属ステム10をハウジング30に固定し、高いシール面圧を発生させる軸力を維持するために高強度が求められるが、ハウジング30とコネクタケース80により構成されるパッケージの内部に収納されることから、ハウジング30と違い耐食性は必要なく、高炭素鋼等を採用できる。
【0025】
また、60はセラミック基板であり、センサチップ40の出力を増幅するアンプ(Amp)ICチップと特性調整ICチップ62(両チップ共図示せず)が接着剤にて固定され、これらICチップは、ワイヤボンディングにより形成されたアルミニウム(Al)の細線64によって、セラミック基板60の導体(配線部)と接続されている。また、コネクタターミナル70へ電気的接続するためのピン66が銀ろうにてセラミック基板60の上記導体と接合されている。
【0026】
コネクタターミナル70は、ターミナル72が樹脂74にインサート成形により構成されたアッシー(ASSY)である。セラミック基板60とはピン66にレーザ溶接により接合されている。また、コネクタターミナル70は、接着剤76により、コネクタケース80に固定保持され、ターミナル72は自動車のECU等へ配線部材を介して電気的に接続可能となっている。
【0027】
コネクタケース80は、コネクタターミナル70の外形を成すもので、Oリング90を介して組付けられたハウジング30と一体化してパッケージを構成し、該パッケージ内部のセンサチップ40、各種IC、電気的接続部を湿気・機械的外力より保護するものである。コネクタケース80の材質は、加水分解性の高いPPS(ポリフェニレンサルファイド)等を採用できる。
【0028】
かかる圧力センサ100は、ハウジング30のネジ31を上記図示しない燃料パイプに形成されたネジ部に直接結合し取り付けることによって、該燃料パイプに接続固定される。
そして、燃料パイプ内の燃料圧(圧力媒体)が、圧力導入通路32を通じて、金属ステム10の開口部12から金属ステム10の内部(中空部)へ導入されたときに、その圧力によってダイヤフラム11が変形し、この変形をセンサチップ40により電気信号に変換し、この信号をセンサの処理回路部を構成するセラミック基板60等にて処理し、圧力検出を行う。そして、検出された圧力(燃料圧)に基づいて、上記ECU等により燃料噴射制御がなされるのである。
【0029】
次に、本実施形態に係る圧力センサの製造方法について述べる。まず、センサチップ40が低融点ガラス50により接合(ガラス接合)された金属ステム10の形成方法について、従来の形成方法と比較しながら述べる。
図3は従来のステム形成方法を示す工程図であり、図4ないし図6は本実施形態のステム形成方法を示す工程図で、図4は第1の例、図5は第2の例、図6は第3の例である。なお、これら各図においては、図中に示す様にスタートから番号順に工程を行い終了するようになっている。また、これら各図中、熱処理を行う工程においては処理温度を示し、更に雰囲気を限定する場合には、その雰囲気も示してある。
【0030】
まず、従来方法では、従来の金属材料(Fe−Ni系合金)を用いて、切削または冷間鍛造(図中では冷鍛)工程を行い、ダイヤフラムを有するステム形状の部品に加工し、該部品を洗浄工程に施して表面の油脂分を除去する。そして、水素処理工程では、該部品を水素ガス中(還元雰囲気)、処理温度950℃にて熱処理することにより、更に表面を化学的にクリーニングする(酸化膜等を除去する)。
【0031】
その後、ダイヤフラムに相当する部位にセンサチップをガラス接合する工程を行う。即ち、ガラス接合に必要な酸化膜を該部品の表面に形成する酸化膜形成工程を行い、接合用の低融点ガラスを部品に印刷し仮焼成して乾燥させることで、該部品にガラスを接合させ、センサチップを組付け、ガラスを焼成することで再溶融させ、チップのガラス接合を完了させる。なお、上記従来方法における各熱処理工程では、熱処理時間は例えば約30分程度である。
【0032】
これに対し、図4に示す第1の例では、まず、Ti、Al及びNb等の析出強化元素が混合されたFe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系合金等の金属材料からなる金属体を用い、これを切削または冷間鍛造により金属ステム10の形状に加工する。そして、上記従来方法と同様、洗浄工程を行った後、固溶化処理工程を行う。
【0033】
固溶化処理工程では、還元雰囲気(例えば水素ガス中)としつつ、上記従来の水素処理工程と同一の処理温度条件(950℃、例えば約30分間)とすることにより、金属ステム10形状を有する金属体に対して熱処理を加え、固溶化させ組織を均一化させる。これにより、上記の水素処理工程を兼用できる。次に、時効処理工程を行う。
【0034】
時効処理工程は、固溶化処理された金属体に対して、還元雰囲気(例えば水素ガス中)にて熱処理(635℃、例えば約8時間)を加えることにより時効処理を行い、析出強化元素を析出させて、高圧(例えば200MPa程度)に耐えるべく金属体の強度を向上させる。また、時効処理を還元雰囲気で行っているから、ステムの疲労源となる酸化膜の発生を防止できる。
【0035】
次に、金属体におけるダイヤフラム11に相当する部位にセンサチップ40をガラス接合する工程を行う。ガラス接合用の酸化膜(接合用酸化膜)を形成する酸化膜形成工程では、上記従来方法の熱処理温度(680℃)に比べて、低い熱処理温度(480℃)とし、時効処理工程の熱処理温度よりも低い温度としている。本発明者等の検討では、このように、酸化膜生成温度を従来よりも低温化しても、接合用酸化膜の強度は実質的に低下しないことを確認している。
【0036】
しかる後、上記従来方法と同様、ガラス印刷、ガラス仮焼成、チップ組付、ガラス焼成の各工程を行い、センサチップ40がガラス接合された金属ステム10を得る。以上が、図4に示す第1の例である。
また、図5に示す第2の例では、まず、Ti、Al及びNb等の析出強化元素が混合されたFe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系合金等の金属材料からなる金属体を用い、この金属体に対して熱処理(950℃、例えば約30分間)を加え、固溶化させ組織を均一化させる。次に、固溶化処理された金属体を切削または冷間鍛造により金属ステム10の形状に加工し、上記同様、洗浄工程に供する。
なお、本例ではここまでの工程において、酸化膜発生を防止するために、脱酸素剤を用いる等により酸化防止雰囲気中で行うことが好ましい。
【0037】
次に、金属ステム形状に加工された金属体に対して、上記第1の例と同様に、時効処理を行い、金属体の強度を十分向上させた後、センサチップ40をガラス接合するための各工程を、時効処理工程の熱処理温度よりも低い温度にて行い、センサチップ40がガラス接合された金属ステム10を得る。以上が、図5に示す第2の例である。
【0038】
また、図6に示す第3の例では、まず、Ti、Al及びNb等の析出強化元素が混合されたFe−Ni系合金またはFe−Ni−Co系合金等の金属材料からなる金属体を用い、この金属体に対して、上記第2の例と同様に、固溶化処理工程を行った後、固溶化処理された金属体に対して熱処理を加えることにより時効処理を行い、金属体の強度を十分に向上させる。
【0039】
本例の時効処理工程では、熱処理温度は上記第1及び第2の例と同等(635℃、例えば約8時間)であるが、雰囲気は還元雰囲気を必要としない。これは、次に、切削工程により、時効処理された金属体を切削して金属ステム10の形状に加工するため、時効処理直後に酸化膜が形成されていても、切削により除去してしまうためである。
【0040】
続いて、洗浄工程を行い、上記同様に、センサチップ40をガラス接合するための各工程を、時効処理工程の熱処理温度よりも低い温度にて行い、センサチップ40がガラス接合された金属ステム10を得る。以上が、図6に示す第3の例である。
そして、本実施形態では、上記第1〜第3の例により得られたセンサチップ40がガラス接合された金属ステム10を、ネジ部材20により、ハウジング30に固定する。
【0041】
次に、ワイヤボンディングされたチップ62及びピン66が搭載されたセラミック基板60を、接着剤にてネジ部材20に接着し、コネクタターミナル70とピン66とをレーザ溶接(YAGレーザ溶接等)にて接合する。
続いて、Oリング90を介して、コネクタケース80をハウジング30の溝部に組み付け、該溝部をかしめることにより、コネクタケース80とハウジング30とを固定する。こうして、図1に示す圧力センサ100が完成する。
【0042】
以上述べてきたように、本実施形態によれば、析出強化型の金属材料を用いて、固溶化処理、時効処理(析出強化)を行って得られる金属ステム10に、センサチップ10をガラス接合する際の熱処理温度を、時効処理温度よりも低くするという方法を採用することにより、従来よりも高圧に耐えうる金属ステムを有する圧力センサを製造する製造方法を提供することができるのである。
【0043】
なお、上記実施形態では、ガラス接合にて、センサチップ(センサ素子)をダイヤフラムに配設したが、接着剤にて配設しても良い。また、ダイヤフラムにセンサ素子を蒸着して配設する場合や、容量式に代表されるような対向電極を配設してなるセンサ素子とする場合にも、配設時の熱処理温度を時効処理温度よりも低くすることで、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサの全体構成を示す概略断面図である。
【図2】図1中の丸で囲んだA部の概略を拡大して示す斜視図である。
【図3】従来のステム形成方法を示す工程図である。
【図4】上記第1実施形態に係るステム形成方法の第1の例を示す工程図である。
【図5】上記第1実施形態に係るステム形成方法の第2の例を示す工程図である。
【図6】上記第1実施形態に係るステム形成方法の第3の例を示す工程図である。
【符号の説明】
10…金属ステム、11…ダイヤフラム、40…センサチップ。
Claims (4)
- 圧力検出用のダイヤフラム(11)を有する金属ステム(10)における前記ダイヤフラムに、センサ素子(40)をガラス接合によって配設してなる圧力センサを製造する方法であって、
Ti、Al及びNbの中から選択された少なくとも1種を用いた析出強化元素が混合されたFe−Ni系またはFe−Ni−Co系の合金の金属材料からなる金属体を前記金属ステムの形状に加工する工程と、
前記金属ステム形状に加工された金属体に対し、950℃、約30分間の熱処理を加えることにより固溶化処理を行い組織を均一化させる工程と、
前記固溶化処理された前記金属体に対し、635℃、約8時間の熱処理を加えることにより時効処理を行う工程と、
この工程の後、前記金属体における前記ダイヤフラムに相当する部位に前記センサ素子をガラス接合によって配設する工程とを備え、
前記センサ素子をガラス接合によって配設する工程における熱処理温度が、前記時効処理を行う工程における熱処理温度よりも低い480℃であることを特徴とする圧力センサの製造方法。 - 圧力検出用のダイヤフラム(11)を有する金属ステム(10)における前記ダイヤフラムに、センサ素子(40)をガラス接合によって配設してなる圧力センサを製造する方法であって、
Ti、Al及びNbの中から選択された少なくとも1種を用いた析出強化元素が混合されたFe−Ni系またはFe−Ni−Co系の合金の金属材料からなる金属体に対し、950℃、約30分間の熱処理を加えることにより固溶化処理を行い組織を均一化させる工程と、
前記固溶化処理された前記金属体を前記金属ステムの形状に加工する工程と、
前記金属ステム形状に加工された前記金属体に対し、635℃、約8時間の熱処理を加えることにより時効処理を行う工程と、
この工程の後、前記金属体における前記ダイヤフラムに相当する部位に前記センサ素子をガラス接合によって配設する工程とを備え、
前記センサ素子をガラス接合によって配設する工程における熱処理温度が、前記時効処理を行う工程における熱処理温度よりも低い480℃であることを特徴とする圧力センサの製造方法。 - 前記時効処理を還元雰囲気で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の圧力センサの製造方法。
- 圧力検出用のダイヤフラム(11)を有する金属ステム(10)における前記ダイヤフラムに、センサ素子(40)をガラス接合によって配設してなる圧力センサを製造する方法であって、
Ti、Al及びNbの中から選択された少なくとも1種を用いた析出強化元素が混合されたFe−Ni系またはFe−Ni−Co系の合金の金属材料からなる金属体に対し、950℃、約30分間の熱処理を加えることにより固溶化処理を行い組織を均一化させる工程と、
前記固溶化処理された前記金属体に対し、635℃、約8時間の熱処理を加えることにより時効処理を行う工程と、
前記時効処理された前記金属体を切削して前記金属ステムの形状に加工する工程と、
この工程の後、前記金属体における前記ダイヤフラムに相当する部位に前記センサ素子をガラス接合によって配設する工程とを備え、
前記センサ素子をガラス接合によって配設する工程における熱処理温度が、前記時効処理を行う工程における熱処理温度よりも低い480℃であることを特徴とする圧力センサの製造方法。
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