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JP4623307B2 - 電解セルおよび該電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システム - Google Patents

電解セルおよび該電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システム Download PDF

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JP4623307B2 JP2006091501A JP2006091501A JP4623307B2 JP 4623307 B2 JP4623307 B2 JP 4623307B2 JP 2006091501 A JP2006091501 A JP 2006091501A JP 2006091501 A JP2006091501 A JP 2006091501A JP 4623307 B2 JP4623307 B2 JP 4623307B2
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Description

この発明は、複数枚の電極間に電解液を通液しつつ通電して電気分解反応を生じさせ、その反応によって得られた有効成分を多く含んだ電解液を有効利用などする電解セルと、電解セルを用いて硫酸を電気分解し、生成される過硫酸を洗浄に供する硫酸リサイクル型洗浄システムに関するものである。
超LSI製造工程におけるウエハ洗浄技術における、レジスト残渣、微粒子、金属および自然酸化膜などを剥離洗浄するプロセスでは、濃硫酸と過酸化水素の混合溶液(SPM)あるいは、濃硫酸にオゾンを吹き込んだ溶液(SOM)が多用されている。過酸化水素もしくはオゾンによって硫酸が酸化されてできる過硫酸が洗浄に役立つことが分かっている。SPMには、過硫酸が分解して減少する分を補うための過酸化水素水の補給が必要である。過酸化水素水中の水で希釈されるため、液組成を一定に維持することが難しく、所定時間もしくは規定の処理バッチ数毎に液が廃棄され、更新されている。このため多量の薬品を保管しなければならないという問題がある。一方のSOMでは液が希釈されることがなく、一般的にSPMより液更新サイクルを長くできるものの、オゾンによる過硫酸の生成効率が低く、洗浄効果においてはSPMよりやや劣る。また、これらの方法では、生成する過硫酸の濃度には限界があり、これが洗浄効果の限界につながっていた。
本願発明者等は、洗浄効果の高い過硫酸を連続して、しかも多量に供給し続ける技術を発明している。すなわち硫酸溶液を電解処理することで過硫酸を連続的に生成して硫酸をリサイクルする洗浄システムを開発した。
該洗浄システムでは、耐久性の観点からダイヤモンド電極の使用が望ましく、さらに装置のコンパクト化を図るため、電解処理を行う電解反応装置を小型にした電解セルの利用が望まれている。導電性ダイヤモンド電極を用いた電解セルは、従来から提案されており(例えば、特許文献1)、電極を対向配置し、その間隙に電解液を通液しつつ前記電極に通電することで電解反応を生じさせることができる。さらには、電解効率を上げるために、多くの電極板を用いた電解セルの使用が望まれている。
該電解セルの構成としては、例えば、容器の相対する1対の壁面に窓を設け、直流電源に接続した通電板との接触面に通電性ペーストで接合したダイヤモンド等の電極板をその1対の窓にシール材を挟んで取り付け、さらにそれらの電極間に複数の電極板を電極板間距離を1〜10mmほど絶縁材で保つ様に多層に並べ、その各電極間に電解液が通液できる構造が考えられる。一番外側の電極板の外面から通電板を経て直流電気を通電する時、中間に設けた電極板はバイポーラ電極として作用する。
特表2004−525765号公報
従来は、電解装置の用途として電解水生成など流量が大きくなかったため電解槽内の圧力としてはポンプ圧、せいぜい0.1MPa程度である。しかし、半導体製造においては製品の製造効率が非常に重要であり、電解槽に流入する量は非常に多く、そのため電解槽内の圧力も最大で0.4MPaに達することもあり得る。しかしながら前記したような従来型の電解セルは、電極板と通電板の接触面に通電性ペーストで接合した後、電極セル窓にシール材を挟んで取付けていただけで、電極板は窓の周辺部のみで支える構造となっている為、電極板の径と板厚により圧力が制限され大きな圧力を加えることができない。又、操作ミスで圧力が上昇した時、運転中に電極板が容易に割れてしまうという問題がある。
特にダイヤモンド電極のうち、基板上にダイヤモンド膜を積層させた後に基板を取り去った自立型電極は、金属電極と比べて強度が弱く、又、柔軟性がなく脆い為、大きな圧力が加わると、容易に割れてしまう。電極の周辺を固定しただけで、中央部に支えがない場合、サイズが大きくなればなるほど、また板厚が薄ければ薄くなるほど破損し易いことになる。
よって、従来型の電解セルでは耐圧性が十分でなく、電解液の流入圧が大きい使用状態では電極が破損してしまうおそれがある。特に、電極としてダイヤモンド電極を用いる場合、電極自体が高価であるため破損した場合の交換コストが他の電極に比べ非常に高額になってしまう。また、電解液として高濃度硫酸といった取扱上危険な化学物質を用いる場合には電極の破損によって電解液が漏洩するという危険性もある。そして何より電極破損によるスループットが低下するという問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、従来型よりも耐圧性が高い電解セルを提供することで、電極破損を防止して電極交換コストの低減、電解液漏洩による危険性の回避、スループットの向上を図ることができる電解セルおよび該電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明の電解セルのうち、請求項1記載の発明は、複数層の導電性ダイヤモンド電極と各電極の間に介在させる絶縁性のスペーサとを有し、前記両端の電極外側から圧縮固定された電極ユニットと、前記電極ユニットの両端の電極にそれぞれ接続された一対の通電体とを具備し、
前記スペーサは、厚みが電極間距離と同じで、互いに間隔を有して並列され、かつ両端部が互いに連結された複数の電極支持部と、該各電極支持部間にあって厚み方向に貫通した複数の電解液通液部と、前記スペーサに設けられ、前記電極支持部両端部の連結部分を通して各電解液通液部にそれぞれ連通する電解液導入口と電解液送出口とを有することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、複数の電極がスペーサを介して圧縮固定されることから電極面積を十分に大きくすることができるとともに外側からの圧縮力で電極ユニットの強度が増し、耐圧性を向上させて電極の破損、電解液の漏洩を極力防止する。
耐圧性に優れた電解セルの電極として比較的脆い導電性ダイヤモンドでも、電極の破損を防止して交換コストの低減およびスループットの向上効果が得られる。なお薄型、自立型のダイヤモンド電極の場合であればさらに強度としては脆くなるので、より一層本発明による高い効果が得られる。
また、電極支持部によって隣接する電極が支持されて高い強度を保つことができ、それぞれの電解液通液部に対応した電解液導入口と電解液送出口とを通して電解液が円滑に通液される。一方、電解液導入口に導入された電解液は、電解液通液部を通液しつつ隣接する電極面に接触して電解反応が生じ、その後、電解液送出口から電解セル外に送出される。
なお、各電解液通液部と、電解液導入口および電解液送出口とは、一対一に対応する他、電解液導入口および電解液送出口が複数の電解液通液部に対応するものであってもよい。
請求項2記載の電解セルの発明は、請求項1記載の発明において、前記電極ユニットは、前記両端の電極外側から通電体によって挟み込み圧縮固定されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、良好な通電性を保持した状態で電極ユニットを確実に固定して耐圧性を高めることができ、また電極と通電体との電気接触抵抗を小さくすることができる。
請求項3記載の電解セルの発明は、請求項2記載の発明において、前記通電体と両端の電極との間に、導電性繊維で作られた板状導電材が挟み込まれていることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、板状導電材の弾性力によって電極面に広く圧縮固定力が伝達され、また、通電体と電極との電気的な接続が確実になされ、電極ユニットと通電体との間の電気抵抗を飛躍的に低くすることができる。電極板と通電体の平面同士を例えば0.4MPa程度の面圧で押付けるだけでは表面粗さの頂点だけが接触するだけで接触面積が少ないが、中間に柔らかい金属繊維を敷くことで、接触面積が多くなることが期待される。
請求項記載の電解セルの発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記電解液通液部は、前記電解液導入口から前記電解液送出口に至る通液方向に沿って伸長していることを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、電解液導入口から電解液送出口に至るまで、電解通液部を通して電解液が円滑に通液されつつ電解される。
請求項記載の電解セルの発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記スペーサが前記電解液送出口が上方になる方向に設置され、電解ユニット内のガスが電解セル外に抜ける構造としたことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、電解によって副生される水素ガスなどのガスが、電解液の送出とともに電解液送出口を通して電解セル外部に容易に排出される。これにより生成ガスが電解ユニット内に滞留して内圧の上昇や電解効率の低下を招くことを防止する。
請求項記載の電解セルの発明は、請求項1〜のいずれかに記載の発明において、前記電極ユニットの一方端または両端の電極の外側に、該電極を弾性力によって内側に押圧する第1の弾性部材が設けられていることを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、第1の弾性部材によって電極ユニットに内側に向けた弾性力が常時作用して、電極ユニットの強度を高めるとともに、電極の経時的な変形や一時的な変形に際しても弾性力によって安定した圧縮固定力を付与することができる。また、電極が外側に変形する応力が加わる際には、電極を支持して電極に過度な負荷が加わって破損するのを回避する。
請求項記載の電解セルの発明は、請求項記載の発明において、前記電極ユニットは、外周外側に、該電極ユニットを弾性力によって内側に押圧する第2の弾性部材が設けられ、外周外側から前記第2の弾性部材により押圧力を受け、かつ、内周側で前記第1の弾性部材による押圧力を受けて固定されていることを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、外周外側から第2の弾性部材によって押圧力を受けるとともに、内周側では第1の弾性部材によって押圧力を受けることで、圧縮力のバランスをとることができ、電極面の広い範囲に亘って圧縮固定力を作用させて面方向でできるだけ均等な強度を確保する。
請求項記載の電解セルの発明は、請求項1〜のいずれかに記載の発明において、硫酸電解用に用いられるものであることを特徴とする。
請求項記載の発明では、強度が十分な電解セルによって硫酸電解液を安全に電解反応させることができる。
請求項記載の電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システムの発明は、過硫酸溶液を洗浄液として被洗浄材を洗浄する洗浄装置と、本発明の電解セルを備え、該電解セルにおける電解反応によって前記被洗浄材の洗浄廃液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液を再生する電解反応装置と、前記洗浄装置と電解反応装置との間で、前記過硫酸溶液を循環させる循環ラインとを備えることを特徴とする。
請求項記載の硫酸リサイクル型洗浄システムによれば、耐圧性に優れた電解セルを用いて十分な量の溶液を電解反応しつつ洗浄に供することができ、効率的な処理を行うことが可能になる。そして硫酸リサイクル型洗浄システムが抱えるリスクを低減することができる。つまり運転中にダイヤモンド電極が破損するおそれを小さくして、電極破損によるスループットの低下、高価なダイヤモンド電極の交換、高温濃硫酸の漏洩の危険性といった問題を解消する。
本発明の硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記のように半導体産業におけるシリコンウエハなどの基板上に付着した汚染物を高濃度硫酸溶液で洗浄剥離するプロセスに使用することができる。アッシングプロセスなどの前処理工程を省略してレジスト剥離・酸化効果を高めるために過硫酸溶液を10℃から90℃の温度範囲で電解反応装置によってオンサイト製造することができ、硫酸溶液を繰り返し利用して外部からの過酸化水素やオゾンなどの薬液添加を必要としない洗浄システムに適用される。
この洗浄システムの概略を以下に述べる。1)高濃度硫酸溶液から過硫酸溶液を製造する電解反応装置、2)シリコンウエハ、液晶用ガラス基板、フォトマスク基板など電子材料基板を洗浄する洗浄装置、3)高濃度硫酸溶液を循環させるポンプや配管で構成される循環ラインを備え、さらに所望により、4)電解反応装置からの送り液と洗浄槽からの戻り液の熱を回収する熱交換器、5)電解反応装置出口において気液分離して、水素を燃焼させる触媒処理装置などを有する。
洗浄液となる硫酸の濃度は、電解による過硫酸生成効率とレジスト除去効果に大きな影響を与える。硫酸濃度を4〜7M程度にすると電解による過硫酸生成効率は向上するが、レジストの剥離溶解効果は低下する。そこで、発明者らは種々実験を繰り返し、硫酸濃度が8〜18Mの範囲が適切であることを見出した。
電解反応装置では、高濃度硫酸溶液を電解し、洗浄効果を高める過硫酸を生成する。溶液温度が低いほど過硫酸生成効率が高いことから、過硫酸を生成するときの電解温度は10〜90℃で、好ましくは40〜80℃の範囲で行う。このような電解反応装置内の電極材料として、陽極として白金電極を用いた場合では、過硫酸を効率的に製造することができず、白金が溶出するという問題がある。そこで、導電性ダイヤモンド電極によって、硫酸から過硫酸を製造することは、電流密度を0.2A/cm程度にした場合については報告されている(Ch.Comninellis et al.,Electrochemical and Solid−State Letters, Vol.3(2)77−79(2000)、特表2003−511555)。なお、金属等の基板にダイヤモンド薄膜を担持した電極ではダイヤモンド膜の剥離が生じて、作用効果が短期間で消失する場合があるという問題があるので、基板上に析出させた後に基板を取り去った自立型導電性ダイヤモンド電極が望ましい。なお、導電性ダイヤモンド薄膜は、合成の際にボロンまたは窒素の所定量をドープして導電性を付与したものであり、通常はボロンドープしたものが一般的である。これらのドープ量は、少なすぎると技術的意義が発生せず、多すぎてもドープ効果が飽和するため、ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、50〜20,000ppmの範囲のものが適している。
電解反応装置における電解処理は、電極表面の電流密度を10〜100,000A/mとし、硫酸溶液を電極面と平行方向に、通液線速度を1〜10,000m/hで接触処理させることが望ましい。
洗浄装置は枚葉式、バッチ式のいずれでも良いが、該洗浄装置では電子基板の洗浄時にレジスト等汚染物の剥離溶解に伴い洗浄液中に溶解性のTOCが発生する。このとき、洗浄液のTOCを効率良く除去し、電子基板材料への有機物の再付着を防ぐ必要があるため、TOC生成速度(g/L/hr)に対して電解反応装置での過硫酸生成速度(g/L/hr)が10倍から500倍となるように電解条件を設定することが好ましい。
洗浄温度は、その温度が高いほどレジスト等有機物の除去効果が高く、一般的に100〜150℃で洗浄することが多い。したがって、本発明では、電解反応装置から洗浄装置への送り液と洗浄装置から電解反応装置への戻り液を熱交換することが望ましい。電解反応装置から排出されるガスは、溶液中に含まれる水の電解によるものであり、陰極から水素が陽極から酸素が発生する。これらが、配管内で、混合した状態で流動するので、溶液と配管内で発生する静電気などにより引火したり、爆発したりする。本発明では、電解セル直後の配管途中に水素の爆発限界を下回る様に空気又は窒素を供給し、電解液と希釈ガスを分離する気液分離器を設け、電解液のみを配管で次工程に通液する。希釈ガスはミストセパレータを通して、大気開放するか触媒による燃焼装置で処理する。
以上説明したように、本発明の電解セルによれば、複数層の導電性ダイヤモンド電極と各電極の間に介在させるスペーサとを有し、前記両端の電極外側から圧縮固定された電極ユニットと、前記電極ユニットの両端の電極にそれぞれ接続された一対の通電体とを具備し、前記スペーサは、厚みが電極間距離と同じで、互いに間隔を有して並列され、かつ両端部が互いに連結された複数の電極支持部と、該各電極支持部間にあって厚み方向に貫通した複数の電解液通液部と、前記スペーサに設けられ、前記電極支持部両端部の連結部分を通して各電解液通液部にそれぞれ連通する電解液導入口と電解液送出口とを有するので、導電性ダイヤモンド電極を用いた電極ユニットの耐圧性が向上し、十分な圧力、流量で電解液を通液して効率的に電解反応させることができる。また、耐圧性の向上によって導電性ダイヤモンド電極の破損が極力防止され、電極の交換コストの増大や、交換に伴うスループットの低下を回避できるという効果がある。薄型で脆い自立型ダイヤモンド電極を用いた電解セルでも大流量の電解液を処理することができる。
また、本発明の電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システムによれば、過硫酸溶液を洗浄液として被洗浄材を洗浄する洗浄装置と、請求項1〜のいずれかに記載の電解セルを備え、該電解セルにおける電解反応によって被洗浄材の洗浄廃液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液を再生する電解反応装置と、前記洗浄装置と電解反応装置との間で、前記過硫酸溶液を循環させる循環ラインとを備えるので、効率的に高濃度硫酸溶液を電解して、長期間にわたり過硫酸を生成させることができる。また、これを洗浄液として半導体ウエハなどの基板上に付着した汚染物、主には有機物を剥離・酸化を効果的に除去できる。
特に、半導体産業において、シリコンウエハなどの基板上に付着した汚染物を高濃度硫酸溶液で洗浄剥離するプロセスに好適なものであって、アッシングプロセスなどの前処理工程を省略してレジスト剥離・酸化効果を高めるために過硫酸溶液を10℃から90℃の温度範囲で前記電解セルによってオンサイト製造し、硫酸溶液を繰り返し利用して外部からの過酸化水素やオゾンなどの薬液添加を必要としない洗浄システムを構築することができる。
以下に、本発明の電解セルの一実施形態を説明する。先ず、電極ユニット1を図1、2に基づいて説明する。
電解ユニット1を構成する電極として方形状の複数枚のダイヤモンド電極2…2を用意する。該ダイヤモンド電極2は、基板状にダイヤモンド薄膜を形成するとともに、該ダイヤモンド薄膜の炭素量に対して、好適には50〜20,000ppmの範囲でボロンをドープすることにより製造し、好適には薄膜形成後に基板を取り去って自立型とする。
さらに該ダイヤモンド電極2と外形形状を同じにし、絶縁性、耐食性を有する素材(例えばポリテトラフルオロエチレン製)からなるスペーサ3を用意する。該スペーサ3は、電極間の間隙に合わせた肉厚を有する細幅部が幅方向の両端と、それから等間隔の間隙を有して、縦方向に沿って平行に合計で5本が並列されており、それらが電極支持部301…301を構成している。また、各電極支持部301、301間は、上下端部を除いて厚さ方向に貫通しており、該貫通部分で電解液通液部302…302が構成されている。電極支持部301の幅や間隔は適宜設定することができるが、電極支持部301、301間の間隔は、電解液通液部302の幅となるので、必要な電極との接液面積と電極支持部301による支持力とを考慮して定めることが必要である。電解液通液部302の下方部は、電極支持部301と同じ肉厚を有しており、その中央部に下端から電解液通液部302に連通する貫通孔が形成されており、該貫通孔によって電解液導入口302aが構成されている。
また、電解液通液部302の上方部は、電極支持部301の数分の1の肉厚からなる仕切片303が肉厚方向中央に沿って形成されており、該仕切片303の表裏面側空間がそれぞれ電解液送出口302bを構成している。仕切片303は、電解液送出口の機能のみを考慮すれば不要であるが、電極支持部同士を連結することでスペーサ3の保型性を確保している。
なお、上記電解液導入口302aは、断面積を比較的小さくすることで、該電解液導入口302aに至る電解液の内圧を高めて、各電解液導入口302aから各電解液通液部302に至る電解液量が同等になるように設定されている。
上記スペーサ3…3は、電解液導入口302aが下方に位置し、電解液送出口302bが上方に位置するようにして、各ダイヤモンド電極2、2の間に設置して、電極ユニット1を構成する。
次に、上記電極ユニット1の電解セル100への組み付けについて図3〜図5に基づいて説明する。
上記電極ユニット1の両端のダイヤモンド電極2、2両側に挟み込む銅合金板製の通電体4、4は、ダイヤモンド電極2と相似形状で方形状に小さく形成されており、その外側面には、本発明の第1の弾性部材としての加圧スプリングの一端を収納するスプリング収納凹部4a…4aが等間隔の3行×3列の位置において中央部を除いて形成されており、中央部には、通電棒5がねじ込み固定されている。通電棒5と外部電源(図示しない)は、着脱が容易なプラグインコネクタを使用するものとする。
なお、電極ユニット1の両端のダイヤモンド電極2と上記通電体4との間には、薄板状で通電体4と同じ外形形状を有する銅製の導電性繊維を焼結した板状導電材6が挟み込まれている。該板状導電材6は、厚み方向においても弾性を有している。上記のように電極は角型材料をそのまま電極板として使用し、通電体及び導電性繊維スペーサも角型とした。これにより、次のような利点が生まれる。(a)電解面積が角型の1辺を直径とする丸型材料を使用するときより1.273倍広くなる。(b)後述する胴体を丸型で製作し、角型の電極との隙間を液入口、出口のヘッダとして利用できるので、電解セル制作費が安価となる。
上記対の導電体4、4の外周側には、ポリテトラフルオロエチレン製で、前記導電体4が略隙間なく収まる4角穴を有するリング形状のカバー7がそれぞれ配置されており、該カバー7の外側には、カバー7と略同じ輪郭形状を有するカバー補強板8がねじ固定されている。なお、カバー7は、電極ユニット1の厚さに追従するべく、後述する胴体11とフランジ15との間において遊動式とする。電極2およびスペーサ3は作られるロットにより、また組立、再組立の回数により、僅かながらも寸法が異なってくるので、電極に押付ける構造において移動(遊動)可能な手段は必要不可欠なものとなる。
なお、カバー7の内面と電極ユニット1の両端のダイヤモンド電極2の外面との間には、ダイヤモンド電極2の輪郭内側に沿ってOリング10が配設されて電解液の液漏れが防止されている。さらに、両側の上記カバー7およびカバー補強板8の外周側には、両側のカバー補強板8、8を覆ってさらに外側に突出するリング形状のポリテトラフルオロエチレン製胴体11が外装されている。カバー7の外周面と胴体11の内周面との間にもOリング14が配設されて電解液の液漏れが防止されている。なお、上記電極をシールするOリングが配置されるOリング溝は、Oリング溝が下を向いてもOリングが落下しない蟻溝式とするのが望ましい。
上記胴体11は、両側のカバー7、7間に、電極ユニット1と略同じ厚さで、該電極ユニット1の厚さよりも僅かに薄い厚さで、内側に突出する環状突部12が形成されており、該環状突部12は、前記電極ユニット1が内接するよりも僅かに内側に達する高さを有しており、電極ユニット1の角部と干渉する位置には電極ユニット収納溝12a…12aが軸方向に沿って切り欠き形成されている。電解セルの組み立てに際し、電極ユニット1をこの電極ユニット収納溝12aに合わせてセットすることができ、位置合わせが容易かつ確実に行える。
また、胴体11の径方向対向位置には、前記スペーサの電解液導入口302aが位置する側に電解液導入穴13aが内外周に貫通するように形成され、前記スペーサの電解液送出口302bが位置する側に電解液送出穴13bが内外周に貫通するように形成されている。上記により、電解液導入穴13a側において環状突部12と電極ユニット1との間に電解液導入側ヘッダ空間14aが確保され、電解液送出穴13b側において環状突部12と電極ユニット1との間に電解液送出側ヘッダ空間14bが確保されている。
さらに、上記したカバー補強板8および胴体11の軸方向外側には、胴体11よりも大径なフランジ15、15が配置されており、胴体11の外周側において両フランジ15、15が周方向に同間隔でスタッドボルト17とコイルスプリング21とナット18とによって締め付け固定されている。上記した胴体11と両フランジ15、15とは、組み付けた際に僅かな隙間を有しており、上記コイルスプリング21は、弾性圧縮した状態でナット18とフランジ15の外面との間で締め付けられており、第2の弾性部材として弾性力が内側に作用して、フランジ15、カバー補強板8、カバー7を介して前記電極ユニット1に内側に向けた押圧力が加わっている。これにより上記した電極ユニット1が、遊動式のカバー補強板8およびカバー7によって圧縮固定される。圧縮力は、両端のダイヤモンド電極2から内側のスペーサ3における電極支持部301に伝達され、さらにその内側のダイヤモンド電極2へと順次伝わる。これにより各ダイヤモンド電極2は、各スペーサ3の各電極支持部301によって支持されることになる。なお、この実施形態では、一つのフランジ15側にコイルスプリング21、21を介設したが、それぞれのフランジ15、15側に同様にしてコイルスプリング15、15を介設するものであってもよい。
なお、上記フランジ15、15の中央部には貫通穴が形成されて前記した通電棒5が挿通している。
また、前記通電体とフランジ15、15との間には、前記したスプリング収納凹部4a…4aに対応してコイルスプリング22…22が第1の弾性部材として圧縮状態で介設されている。これによりコイルスプリング22の弾性力が通電体4を介して電極ユニット1に伝えられ、電極ユニット1の内周側において圧縮固定がなされる。この圧縮力も前記と同様に、両端のダイヤモンド電極2からスペーサの電極支持部301を介して順次内側のダイヤモンド電極2へと伝わって各ダイヤモンド電極2がさらに強固に電極支持部301で支持されることになる。上記により電極ユニット1は、外周側からの圧縮力と、内周側からの圧縮力とがバランスよく加えられており、良好な耐圧性を示すに至る。また、上記圧縮力によって通電体4が電極2側に押し付けられて接触抵抗を小さくするとともに、その間に介在する板状導電材6の弾性力によってそれぞれ電極2と導電体4に効率よく面接触してさらに接触抵抗を小さくする。以上により本発明の電解セル100が構成されている。
次に、上記電解セル100の動作について説明する。
上記した通電棒5、5の一方を正極、他方を負極にして、図示しない電源を接続して通電するとともに、電解液導入穴13aに電解液を送り込む。この際には、好適には、電解セル100は、電解液送出口302b側を上方にして配置する。
すると、該電解液は、電解液導入側ヘッダ空間14aに流入する。この際に、スペーサ3に設けられた電解液導入口302aは、電解液送出口302bに比べて十分に小さい(相対的に小さい)断面積で形成されており、電解液導入側ヘッダ空間14aの内圧が高まる。これにより各スペーサ3の電解液導入口302a…302aに略同じ流量で電解液が流入する。電解液導入口302aを通過した電解液は、続いて各電解液通液部302内に流入し、該電解液通液部302に沿って通液される。
電極ユニット1では、前記のように通電棒5、5によって通電されており、印加電圧は、通電体4、通電板6を通して電極ユニット1の両端のダイヤモンド電極2、2へと伝わる。この電圧印加によって内側にあるダイヤモンド電極2…2が分極し、所定の間隔で陽極、陰極が出現する。この結果、電解液通液部302を通液する電解液は、通電によって電解反応が生じる。例えば、硫酸溶液を電解液として通液すると、電解液中の硫酸イオンが酸化反応して過硫酸イオンが生成される。電解反応が生じた電解液は、電解液通液部302から電解液送出口302bを通過して電解液送出側ヘッダ空間14bに至り、さらに電解液送出穴13bを通して電解セル100外に送出される。なお、電解液送出口302bは、電解液導入口302aに比べて十分に大きい(相対的に大きい)断面積で形成されており、電解液が速やかに送出されるとともに、電解反応に伴って生成された水素などの副生ガスなどが電解液とともに円滑に抜き出される。
上記電解セル100では、各ダイヤモンド電極2…2は、面全体に亘って安定した圧縮固定力を受けており、高い強度を有している。また、電解液圧が変動してダイヤモンド電極2に変形力が生じる場合にも、圧縮力が加わった状態で電極の微小変形が許容され、電極の破損が一層確実に防止され、電極破損による交換作業も殆どなくなり良好なスループットが得られる。
次に、上記電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システムの一実施形態について図6に基づいて説明する。
本発明の洗浄装置に相当する洗浄槽101には、電解反応装置が戻り管102と送り管104とによって接続されている。電解反応装置は、2つの電解セル100、100を並列に接続し、それぞれの電極には電解セル100、100が直列になるように直流電源108を接続することで構成されている。
戻り管102、送り管104は、それぞれ少なくとも内面がテトラフルオロエチレンで構成されており、戻り管102には過硫酸溶液を送液するための送液ポンプ105が介設されている。上記戻り管102、送り管104、送液ポンプ105によって、本願発明の循環ラインが構成されている。また、戻り管102と送り管104との間には、熱交換手段として熱交換器110が介設されており、該熱交換器110によって戻り管102を流れる溶液と送り管104を流れる溶液とが互いに熱交換可能になっている。なお、熱交換器110内の流路(図示しない)も少なくとも内面がテトラフルオロエチレンで構成されている。上記のように戻り管102、送り管104、熱交換器110の流路を過硫酸に対し耐性のあるテトラフルオロエチレンなどで構成することで、過硫酸による損耗を回避することができる。
また、前記洗浄槽101には、超純水を補給する超純水補給ライン111が取り付けられており、さらに収容した溶液を加熱するヒータ112を備えている。また電解セル100、100の出口にある送り管104に、ミストセパレータを含んだ気液分離装置130が介設されており、分離したガスは、触媒燃焼装置131に供給されて、水素を系外に排出しないように構成されている。
次に、上記硫酸リサイクル型洗浄システムの動作について説明する。
例えば、97%濃硫酸40L、超純水10Lの割合で調整した高濃度硫酸溶液を洗浄槽101に入れて、ヒーター112により130℃に加熱保持する。これを送液ポンプ105によって戻り管102を通して、電解セル100、100に送液する。この際に電解セル100、100の通液線速度が1〜10,000m/hrとなるように前記送液ポンプ105の出力を設定するのが望ましい。なお、電解セル100、100における通電では、ダイヤモンド電極表面での電流密度が10〜100,000A/mとなるように通電制御するのが望ましい。
電解セル100、100で通電されると、溶液中の硫酸イオンが酸化反応して過硫酸イオンが生成され過硫酸溶液120が再生される。この過硫酸溶液120は、送り管104を介して洗浄槽101へと送液され、洗浄槽101内において高濃度の過硫酸溶液120が得られる。なお、この際には、溶液はミストセパレータ130を通って電解などによって生じた水素などのガスが分離される。分離されたガスは触媒燃焼装置131で燃焼させて安全な排ガスを系外に排出する。
洗浄槽101内では、自己分解によって過硫酸イオン濃度が漸減するものの電解反応装置との間で溶液が循環し、電解セル100、100において電解されて過硫酸イオンが生成されることから、高い過硫酸イオン濃度が維持される。なお、この実施形態では、立ち上げ時に硫酸から過硫酸を製造する過程について説明したが、本発明としては、当初から過硫酸が用意されているものであってもよい。ただし、オンサイトで過硫酸を製造するという点では、電解セルを用いて過硫酸を製造することが有利である。
洗浄槽101内に被洗浄材である半導体ウエハ140を収容して洗浄を開始する。すると、洗浄槽101内では、半導体ウエハ140上の汚染物などが効果的に剥離除去され、過硫酸溶液120中に移行する。溶液中に移行した汚染物は過硫酸イオンによる高い酸化作用によって分解される。
また、過硫酸溶液120が洗浄槽101と電解反応装置との間で戻り管102、送り管104を移動する際に、洗浄槽101から電解反応装置に送られる溶液と、電解反応装置から洗浄槽101に送られる溶液との間で、熱交換器110において熱交換がなされる。洗浄槽101から送液される溶液は、洗浄に好適なように130℃程度に加熱されている。一方、電解反応装置から送液される溶液は、電解に好適な40℃程度の温度を有している。これら溶液が熱交換されることによって戻り管102を移動する溶液は40℃に近い温度に低下し、一方、送り管104を移動する溶液は、130℃に近い温度にまで加熱される。熱交換器110で熱交換され、戻り管102を移動する溶液は、その後、自然冷却によって次第に降温し、電解反応に好適な40℃程度の温度となる。なお、確実に温度を低下させたい場合には、電解セル100を水冷、空冷するなどして強制的に冷却する冷却手段を付設することもできる。熱交換器110で熱交換され、送り管104を移動する過硫酸溶液120は、洗浄槽101に送られ、洗浄槽101内に残存する過硫酸溶液107に混合される。洗浄槽101内の過硫酸溶液120の温度が低下した場合には、前記ヒータ112による加熱によって洗浄に最適な温度に昇温させることができる。上記のように、溶液は洗浄槽101から電解反応装置へ送られる際に冷却され、電解された後、電解反応装置から洗浄槽101へ戻される際に加温される。この1サイクルの中で冷却される熱量と加温される熱量はほぼ等しいため、高効率の熱交換器110を組み込み、放熱分程度について外部から熱エネルギーを加えることで、効率的に溶液の温度調整を行うことができる。
上記硫酸リサイクル型洗浄システムによって半導体ウエハ140の洗浄を行うことで、過酸化水素水やオゾンの添加を必要とすることなく、過硫酸溶液を繰り返し使用して過硫酸溶液を再生しつつ効果的な洗浄を継続することができる。
次に、前記した電解セルの変更例について図7に基づいて説明する。
前記した実施形態では、スペーサにおける電解液導入口を十分に小さくすることで電解液導入口直前の内圧を高め、これにより各スペーサに同等の電解液が流入するようにしている。これは、電解液を電極ユニットに導入する際に、スペーサの幅方向において中央ほど電解液が流入しやすく、端部側ほど流入しづらくなって流入量に差が生じるのを避けるためである。
この目的を達成するためには、他の手段を講じることもできる。すなわち、図7(a)に示すように、中央側に位置する電解液導入口310aほど流路断面積を小さくし、端部側の電解液導入口311aほど流路断面積を大きくすることで幅方向の位置の違いによる流量の差を小さくすることができる。また、この他に、図7(b)に示すように各電解液通液部の電解液導入口の数を中央に近い電解通液部に対応する電解液導入口320aの数は少なく、外側の通液部に対応する電解液導入口321aの数は多くするようにしてもよい。
また、一つの電解液通液部302においても、電解液導入口側では、該導入口の幅方向での遠近によって流量、通液線速度に差異が生じてくる。すなわち、電解液導入口に近い位置では流量、通液線速度が比較的大きくて、これから端側に離れている位置ほど流量、通液線速度が小さくなる。これを避けるために、一つの電解液通液部302に対し、図7(c)に示すように幅方向において複数の電解液導入口を設け、該導入口において、中央に位置する電解液導入口330aほど流路断面積を小さくし、端部側の電解液流入口331aほど流路断面積を大きくすることで幅方向の位置の違いによる流量の差を小さくすることができる。これらの際に、前記した複数の電解液通液部間での流量調整を組み合わせることも可能である。
また、電解液導入口は、スペーサーの厚み方向の内側に設ける孔の他、電極に接する両端部にスリット形状で設けるようにしてもよい。
[実施例1]
以下に、本発明の実施例を比較例と比較しつつ説明する。
97%濃硫酸40L、超純水10Lの割合で調整した高濃度硫酸溶液を調製して40℃に保持した。本発明の電解セルに、直径15cm、厚さ1mmのSi基板にボロンドープした導電性ダイヤモンド電極を10枚組み込んだ槽を2槽並列に配列させた。電解のための有効陽極面積は30dmであり、電流密度を30A/dmに設定して、40℃で硫酸溶液を電解した。電極10枚にかかる電圧は、35Vであった。
[比較例1]
電解セルを通電板と電極板を導電性ペーストで接着したものを利用した以外は、実施例1と同様の電解試験を行った。電極10枚にかかる電圧は、40Vであり、14%程度エネルギー消費量が増えた。
[実施例2]
洗浄槽に、97%濃硫酸40L、超純水10Lの割合で調整した高濃度硫酸溶液を調製して130℃に加熱保持した。本発明の電解セル内には、直径15cm、厚さ1mmのSi基板にボロンドープした導電性ダイヤモンド電極を10枚組み込んだ槽を2槽並列に配列させた。電解のための有効陽極面積は30dmであり、電流密度を30A/dmに設定して、40℃で電解した。電解反応装置出口水をサンプリングしたところ、過硫酸生成速度が3g/l/hrであることを確認した。洗浄槽には、レジスト付きの5インチのシリコンウエハを10分を浸漬サイクルとして50枚/サイクル浸漬させて、レジスト溶解を行った(TOC生成速度は0.03g/l/hr)。この溶解液を洗浄槽と電解反応装置との間で送液ポンプで10l/minの流量で循環させた。レジスト付きシリコンウエハを浸漬させた時点では洗浄槽内の溶液は茶褐色に着色し、TOC濃度は30mg/lであったが、10分弱の循環処理によって、洗浄槽内の溶液は無色透明となりTOC濃度も検出限界以下となった。このようなウエハ洗浄を8時間(洗浄ウエハ枚数は2,400枚)継続したが、高濃度硫酸溶液のレジスト剥離効果は良好であり、TOC濃度についても検出限界以下であった。そこで、さらに32時間(洗浄ウエハ枚数は9,600枚、総処理枚数は12,000枚)継続したが、高濃度硫酸溶液のレジスト剥離効果は良好であり、TOC濃度についても検出限界以下であった。
[比較例2]
通電板を導電性ダイヤモンド電極板に圧縮バネで外側から押し付けず、通電板と電極板を導電性ペーストで固定した構造をとった電解セルを利用する以外は実施例1と同様にウエハ洗浄を実施した。4時間の安定運転後、電極板が割れて、電解セルより硫酸溶液が漏れ出した。このため、洗浄作業をストップした。
以上本発明について上記各実施形態および実施例に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記説明の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で当然に変更が可能である。
本発明の一実施形態の電解セルにおける電極ユニットの分解斜視図である。 同じく、スペーサを示す拡大図である。 同じく、電解セルの一部を省略した分解斜視図である。 同じく、電解セルの一部を省略した正面図である。 図4のV−V線断面図である。 本発明の硫酸リサイクル型洗浄システムの概略構成図である。 本発明のスペーサの変更例を示す図である。
符号の説明
1 電極ユニット
2 ダイヤモンド電極
3 スペーサ
301 電極支持部
302 電解液通液部
302a 電解液導入口
302b 電解液送出口
4 通電体
6 板状導電材
7 カバー
8 カバー補強板
11 胴体
12 環状突部
12a 電極ユニット収納溝
13a 電解液導入穴
13b 電解液送出穴
14a 電解液導入側ヘッダ空間
14b 電解液送出側ヘッダ空間
100 電解セル
101 洗浄槽
102 戻り管
104 送り管
105 送液ポンプ
108 直流電源
110 熱交換器
120 過硫酸溶液

Claims (9)

  1. 複数層の導電性ダイヤモンド電極と各電極の間に介在させる絶縁性のスペーサとを有し、前記両端の電極外側から圧縮固定された電極ユニットと、前記電極ユニットの両端の電極にそれぞれ接続された一対の通電体とを具備し、
    前記スペーサは、厚みが電極間距離と同じで、互いに間隔を有して並列され、かつ両端部が互いに連結された複数の電極支持部と、該各電極支持部間にあって厚み方向に貫通した複数の電解液通液部と、前記スペーサに設けられ、前記電極支持部両端部の連結部分を通して各電解液通液部にそれぞれ連通する電解液導入口と電解液送出口とを有することを特徴とする電解セル。
  2. 前記電極ユニットは、前記両端の電極外側から通電体によって挟み込み圧縮固定されていることを特徴とする請求項1記載の電解セル。
  3. 前記通電体と両端の電極との間に、導電性繊維で作られた板状導電材が挟み込まれていることを特徴とする請求項2記載の電解セル。
  4. 前記通液部は、前記電解液導入口から電解液送出口に至る通液方向に沿って伸長していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解セル。
  5. 前記スペーサが前記電解液送出口が上方になる方向に設置され、電解ユニット内のガスが電解セル外に抜ける構造としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電解セル。
  6. 前記電極ユニットの一方端または両端の電極の外側に、該電極を弾性力によって内側に押圧する第1の弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電解セル。
  7. 前記電極ユニットは、外周外側に、該電極ユニットを弾性力によって内側に押圧する第2の弾性部材が設けられ、外周外側から第2弾性部材により押圧力を受け、かつ、内周側で前記第1の弾性部材による押圧力を受けて固定されていることを特徴とする請求項6載の電解セル。
  8. 硫酸電解用に用いられるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電解セル。
  9. 過硫酸溶液を洗浄液として被洗浄材を洗浄する洗浄装置と、請求項1〜8のいずれかに記載の電解セルを備え、該電解セルにおける電解反応によって前記被洗浄材の洗浄廃液に含まれる硫酸イオンから過硫酸イオンを生成して過硫酸溶液を再生する電解反応装置と、前記洗浄装置と電解反応装置との間で、前記過硫酸溶液を循環させる循環ラインとを備えることを特徴とする電解セルを用いた硫酸リサイクル型洗浄システム。
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