JP4622625B2 - 金属板の冷間圧延方法 - Google Patents
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Description
これらのうちフィルターロスは、冷間圧延によって発生する摩耗粉などの固形物粉がエマルション中に取り込まれ、これをフィルターによって分離除去しようとした場合に、エマルション中の油滴もフィルターに捕捉されてしまうために生じる。スカムアウトは、摩耗粉などの固形物粉がエマルションの油滴中に抱き込まれ、圧延油の劣化物との混合物であるスカムが発生することにより生じる油分のロスである。また、ヒュームロスとは、特に流動点の高い天然油脂を使用する場合には、クーラント全体の温度を50〜60℃程度まで加熱して循環使用しており、これによって生じるヒュームに油分が含まれているために生じるロスである。一方、鋼板による持ち出しは、圧延後の鋼板は油分が付着した状態でコイルとして巻き取られるため、鋼板によって循環系から持ち出される油分によるものである。
さらに、冷間圧延後のコイルは、次工程である焼鈍前に洗浄工程を経るのが通常である。洗浄工程は、アルカリ電解脱脂が使用されることが多く、鋼板に付着した油分が多いほど洗浄性は低下するため、アルカリ液の原単位や温度維持のための蒸気コストが、冷延コイルの製造コストを引上げる原因ともなっている。
このようにエマルション圧延油を用いる従来の冷間圧延においては、良好な潤滑性と冷却性を維持しながら、圧延油の原単位や洗浄工程での処理コストを含めたコスト削減が求められているが、このような課題を同時に解決できるような抜本的な解決策は見出されていない。
このようなソリューションタイプのクーラントは、潤滑成分自身が水への溶解性を示すため、エマルション圧延油のような大きな油滴を形成しない。したがって、冷間圧延において発生する摩耗粉などの固形物粉とはすぐに分離し、クーラント中から固形物粉を除去することが極めて容易となって、フィルター設備の簡易化も可能である。また、固形物粉を油分中に抱き込むこともないため、スカムの生成によるロスが極めて少なく、さらに、常温で使用することが可能であるためヒュームロスも少ない。また、洗浄性にも優れているため、圧延後に鋼板上に残留する潤滑成分が極めて少なく、鋼板による持ち出しロスも低減できる。
(1)クーラントを供給しつつ金属板の冷間圧延を行う方法において、
水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液であって、前記水溶性潤滑剤の少なくとも一部がポリアルキレングリコールである溶液をクーラントとして用いるとともに、少なくとも一部の圧延スタンド又は圧延パスにおいて、前記クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(2)上記(1)の冷間圧延方法において、クーラントを循環使用するとともに、金属板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントに対して、その曇点未満の液温で液中固形物の除去処理を施すことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(4)上記(1)又は(2)の冷間圧延方法において、曇点未満の液温のクーラントを金属板及び/又は圧延ロールに供給し、金属板及び/又は圧延ロールの熱により前記クーラントがその曇点以上の液温に加熱され、曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの冷間圧延方法において、クーラントの曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(7)上記(6)の冷間圧延方法において、最終圧延スタンド又は最終圧延パスでは、クーラントがその曇点未満の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。
(9)上記(8)の冷間圧延用クーラントにおいて、曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする金属板の冷間圧延用クーラント。
また、金属板の厚さにも制限はなく、金属箔などのような薄い金属板も対象とすることができる。
ここで、曇点を有する溶液とは、温度を上昇させると、ある温度で溶解成分の溶解度が急激に低下して白濁する性質を有する溶液のことであり、曇点とはそのように白濁化する液温を指す。
なお、本発明で用いる冷間圧延機としては、タンデム式圧延機、レバース式圧延機などの通常の冷間圧延を行うものを含む。調質圧延のような焼鈍材の軽圧下圧延を行うものは対象としないものの、調質圧延機を使用して圧下率10%以上の圧延を行うような場合に適用してもよい。
本発明においてクーラントとして用いる、水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液(水溶液)は、上述したように曇点未満の液温では潤滑剤成分が水に溶解した状態に維持されるため、透明又は半透明な外観を呈するものであり、エマルション圧延油のように5〜15μm程度のエマルション粒子による光の乱反射に起因して乳白色の外観を呈するものとは区別できる。一方、溶液が曇点以上の液温となると透明な外観ではなくなり、一般に白濁したような不透明な外観になる。
また、クーラントに配合される潤滑剤は、一部が非水溶性の潤滑剤(例えば、従来用いられている圧延油)であってもよいが、配合される潤滑剤のうち80mass%以上、好ましくは95mass%以上が水溶性潤滑剤(特に好ましくは水溶性の合成潤滑剤)であることが望ましい。水溶性潤滑剤(特に好ましくは水溶性の合成潤滑剤)の割合が95mass%未満では非水溶性潤滑剤が多くなるため、ソリューションタイプのクーラントとしての固形物粉分離性、耐劣化性、洗浄性等が低下するようになり、特に80mass%未満ではそれらの特性の低下が著しい。
クーラント中での潤滑剤の含有濃度には特別な制限はないが、溶液中での割合で1〜12mass%程度とすることが好ましい。潤滑剤の含有濃度が1mass%未満では冷間圧延に必要な潤滑性が十分に得られず、一方、含有濃度が12mass%を超えると潤滑剤の消費量が増加して、経済的に不利になる。
一方、通常のクーラント供給系や圧延部の温度(加工発熱、摩擦発熱などによる温度)などを前提とした場合、クーラントの曇点が過剰に高いと、クーラントの温度を曇点以上の液温まで高めて圧延部に供給すること自体が難しくなり、高い潤滑性を発揮させることが困難になる。このためクーラントの曇点の上限は溶液の沸点、実用的には70℃程度、より好ましくは60℃程度とすることが適当である。
ポリアルキレングリコールは、エチレンオキシド(EO)やプロピレンオキシド(PO)などのアルキレンオキシド(AO)を、活性水素を持つ物質に開環重合させて得られるものであり、モノオール型、ジオール型、トリオール型などの種類があり、それぞれ以下のような構造を有する。
モノオール型:RO-(AO)n-H
ジオール型:HO-(AO)n-H
トリオール型:R{-O-(AO)n-H}3
また、一般にポリアルキレングリコールは、POホモ重合物は非水溶性、EOホモ重合物は水溶性であり、EO/POランダム共重合体ではEO比率が高いほど水溶性が高い。このようにポリアルキレングリコールは、分子設計によって水への溶解性を調整でき、したがってこれを溶解させた水溶液の曇点を調整することができる利点がある。
以上の理由から、水溶性の合成潤滑剤としてはポリアルキレングリコールを用いることが好ましい。なお、ある任意のポリアルキレングリコールが水溶性潤滑剤に該当するかどうかは、当該ポリアルキレングリコールの水溶液が曇点を有するかどうかで決まり、その水溶液が曇点を有するポリアルキレングリコールは水溶性潤滑剤に該当するものとする。
したがって、ポリアルキレングリコールの種類と分子量を選択・設計して合成することで、水溶液の曇点と粘度を最適な範囲に容易に調整でき、所望の特性を有するクーラントを得ることができるという点でも、合成潤滑剤としてポリアルキレングリコールを使用する利点は大きい。
また、以上のように潤滑剤の一部又は全部としてポリアルキレングリコールを用いる場合についても、クーラントに配合される潤滑剤の濃度、クーラントの曇点などは、さきに述べたとおりである。
また、クーラントが曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにするための他の方法としては、曇点未満の液温のクーラントを圧延部(鋼板及び/又は圧延ロール)に供給し、鋼板及び/又は圧延ロールの熱によりクーラントがその曇点以上の液温に加熱され、曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしてもよく、この方法には以下のような利点がある。
したがって、本発明のより具体的で好ましい実施形態では、低速で材料の加工硬化も大きくない前段スタンドにおいては、ロールバイトに曇点以下の液温のクーラント(水溶性潤滑剤が水に溶解した状態のクーラント)が供給され、圧延条件が過酷になる後段スタンドにおいては、ロールバイトに曇点以上の液温のクーラントが供給されるようにする。これによって、後段スタンドでは十分な潤滑性を確保することが可能になる。
また、曇点以上の液温でロールバイトに供給するクーラントを後段スタンドに限定することによって、循環系全体としてのクーラント温度の上昇を抑制することができるため、液中固形物の除去処理における良好な固形物分離性等を維持するのが容易になる。
上述したように、タンデム式冷間圧延機において曇点以上の液温のクーラントをロールバイトに供給することで、鋼板への潤滑剤成分の付着性を向上させ、潤滑性を高めることが可能であるが、鋼板に付着した潤滑剤成分がそのままコイルに巻き込まれると、循環使用しているクーラント中の潤滑剤成分が鋼板によって持ち出され、通常のソリューション潤滑のみの場合に比べると、その分の潤滑剤の原単位が低下してしまう。
以上述べたようなタンデム式圧延機による冷間圧延の実施形態からして、例えば、普通鋼板などの冷間圧延を4スタンド以上(一般には5スタンド)のタンデム式圧延機で行う場合、第1スタンドと最終スタンドでは、曇点未満の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにし、その他のスタンドでは、圧延条件に応じて(すなわち、必要に応じて)曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにするのが、特に好ましい実施形態の1つであると言える。
したがって、本発明のより具体的で好ましい実施形態では、材料の加工硬化も大きくない初期パスでは、ロールバイトに曇点以下の液温のクーラント(水溶性潤滑剤が水に溶解した状態のクーラント)が供給され、圧延条件が過酷になる後段パスにおいては、ロールバイトに曇点以上の液温のクーラントが供給されるようにする。これによって、後段パスでは十分な潤滑性を確保することが可能になる。
また、レバース式冷間圧延機で圧延を行う本発明の他の好ましい実施形態においては、レバース式冷間圧延機の最終圧延パスでは、曇点未満の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにする。
以上述べたようなレバース式圧延機による冷間圧延の実施形態からして、例えば、普通鋼板などの冷間圧延をレバース式圧延機により4パス以上で行う場合、第1パスと最終パスでは曇点未満の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにし、その他のパスでは、圧延条件に応じて(すなわち、必要に応じて)曇点以上の液温のクーラントがロールバイトに供給されるようにするのが、特に好ましい実施形態の1つであると言える。
ここで、鋼板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントは、事前に加熱されることにより或いは鋼板及び/又は圧延ロールの熱で加熱されることにより、曇点以上の液温になっている場合があり、その場合には液中固形物の除去処理前にクーラントをクーラー及び/又は循環系内での自然冷却などによって冷却し、曇点未満の液温にしておく。
なお、液中固形物の除去処理を行う手段としては、フィルター方式(ホフマンフィルタ、電磁フィルター等)、遠心分離方式、磁気吸着方式など適宜な方式のものでよい。
図1は、本発明の実施に供されるタンデム式冷間圧延機の一実施形態を示すもので、本実施形態のタンデム式冷間圧延機は、5基の圧延スタンド4a〜4eを備えている。
各圧延スタンド4a〜4eのロールバイト入側には、クーラントを供給するためのスプレーノズル5a〜5eが設置されており、これら各スプレーノズル5a〜5eから各スタンド毎に潤滑用のクーラントが供給されるようになっている。なお、図1には明示していないが、通常は、ロール・鋼板冷却用のクーラントを供給するためのスプレーノズルも設置されており、スプレーノズル5a〜5eと同様に、これら各スプレーノズルからスタンド毎に冷却のためのクーラントが供給されるようになっている。
前記固形物除去装置10としては、クーラントを濾過して固形物を除去するフィルター方式が最も簡便であるが、それ以外に、遠心分離方式、磁気吸着方式など適宜な方式のものを採用することができる。また、必要に応じてタンク11にクーラントの加熱装置を設けてもよい。
なお、クーラントから摩耗粉などの液中固形物を分離除去するための固形物除去装置の種類、設置数、設置位置などは任意であり、本実施形態に限定されるものではない。また、クーラント循環系に本実施形態のようなタンク9,11を設けることも任意である。
なお、第2圧延スタンド4b〜第4圧延スタンド4dでは、被圧延材の種類や板厚、速度、ロール粗さなどの圧延条件に応じて、高い潤滑性を必要とする場合にはクーラントの加熱を行う一方で、高い潤滑性を必要としない対象材については、圧延スタンド毎にクーラント加熱装置6を使用するかどうかを判断して、必要なスタンドにのみ加熱したクーラントを供給すればよい。
スプレーノズル5a〜5eから供給されたクーラントはオイルパン7で回収され、必要に応じてクーラー8で冷却された後、タンク9を経て固形物除去装置10に送られ、摩耗粉などの液中固形物が除去される。この固形物除去処理を経たクーラントは、タンク11及び必要に応じて固形物除去装置12を経て供給系13を通じてスプレーノズル5a〜5eに送られ、再使用(循環使用)される。
圧延スタンド4fのロールバイト両側(圧延スタンド入出側)には、クーラントを供給するスプレーノズル5f,5gが設置されており、レバース圧延中いずれかのスプレーノズル5f,5gから潤滑用のクーラントが供給されるようになっている。
前記固形物除去装置23としては、クーラントを濾過して固形物を除去するフィルター方式が最も簡便であるが、それ以外に、遠心分離方式、磁気吸着方式など適宜な方式のものを採用することができる。また、必要に応じてタンク22にクーラントの加熱装置を設けてもよい。
なお、レバース式圧延機の形式としては6段式やクラスタータイプの圧延機であってもよく、2つ以上のスタンドが連続配置されて、全体として可逆式の圧延が行われる形式のものであってもよい。また、クーラントから摩耗粉などの固形物粉を分離除去するための固形物除去装置の種類、設置数、設置位置などは任意であり、本実施形態に限定されるものではない。また、クーラント循環系に本実施形態のようなタンク22を設けることも任意である。
その他の図面において、Pはクーラント移送用のポンプである。
スプレーノズル5f,5gから供給されたクーラントはオイルパン7で回収され、必要に応じてクーラー8で冷却された後、タンク22を経て固形物除去装置23で摩耗粉などの液中固形物が除去される。この固形物除去処理を経たクーラントは、供給系24を通じてスプレーノズル5f,5gに送られ、再使用(循環使用)される。
本実施例で用いたクーラントの組成と曇点を表1に示す。クーラントの組成は、水に添加した添加成分(潤滑剤など)の質量比率で示した。各クーラントは表1の潤滑剤を水で3%に希釈したものである。表1の成分A,B,C,Dは、以下に示すポリアルキレングリコールである。
成分A:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル=数平均分子量2000,動粘度134mm2/s(40℃)
成分B:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル=数平均分子量1000,動粘度51mm2/s(40℃)
成分C:ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル=数平均分子量500,動粘度19.7mm2/s(40℃)
成分D:ポリオキシエチレンプロピレングリコール=数平均分子量1400,動粘度126mm2/s(40℃)
図3は、クーラントS1(曇点50℃)を用いた場合の潤滑性(単位幅圧延荷重)を示したものであり、クーラントS1を常温である15℃の状態及び60℃に加熱した状態で、それぞれロールバイトに供給しつつ圧延を行った結果を示している。また、比較として、エマルションタイプであるクーラントE1を供給しつつ圧延した場合と、水のみを供給しつつ圧延した場合の結果も併せて示している。
なお、圧延荷重と圧延潤滑性との関係については、同一の圧下率であれば、ロールバイトでの摩擦係数が低いほど圧延荷重が低減するため、圧延荷重が低いほど良好な潤滑性を示しているものと解釈できる。
クーラントS1の液温15℃と液温60℃における外観を図4に示す。同図から判るように、曇点未満の液温15℃では透明又は半透明な水溶液としての外観を呈しているが、曇点以上の液温60℃では白濁しており、これは水に溶解していた潤滑成分の溶解度が低下して、大きな粒として水中に分散している状態であることが判る。このような曇点以上の液温では、エマルションと同様に、鋼板やロールへの潤滑剤成分の付着性が向上した結果、ロールバイトでの潤滑膜厚が増加して、冷間圧延時の潤滑性を向上させたものと考えられる。
図5によれば、曇点が90℃であるクーラントS3を液温60℃でロールバイトに供給しても、潤滑性は液温15℃で供給した場合とほとんど変わらず、エマルションタイプのクーラントE1のような潤滑性は得られていない。
図6によれば、曇点50℃であるクーラントS1、曇点60℃であるクーラントS2及び曇点90℃であるクーラントS3については、各々の曇点を境にして摩擦係数が大きく変化しており、曇点以上の液温で使用された場合には摩擦係数が低減され、潤滑性が大きく向上していることが判る。一方、曇点100℃以上であるクーラントS4、曇点を有しないクーラントS5では、液温10〜80℃の範囲においては液温の違いによる摩擦係数の変化は極めて小さく、クーラントの液温を調整しても潤滑性を向上させられないことが判る。
図2に示すレバース式冷間圧延機による冷間圧延において、実施例1に示したクーラントS1,S5、E1を循環使用した。この圧延では、熱延及び酸洗後の板厚2.8mmの普通鋼コイルに対して6パスのレバース圧延を行った。
クーラントS1の場合には、液温20℃で循環させながら、第1パス及び第6パス(最終パス)では液温20℃のままロールバイトに供給し、第2パス〜第5パスでは液温60℃に加熱した状態でロールバイトに供給した。
図7に各パスにおける摩擦係数を示す。これによれば、曇点90℃のクーラントS5は液温60℃でロールバイトに供給されているため潤滑性が劣り、このため第4パスまでに摩擦係数が急激に上昇し、それ以上は圧延を継続することができなくなった。一方、曇点50℃であるクーラントS1については、液温20℃で供給された第1パス及び第6パスでの摩擦係数は高いものの、曇点よりも高い液温60℃で供給された第2パス〜第5パスにおける摩擦係数は低く、クーラントE1と同程度の良好な潤滑性を示している。
2 ペイオフリール
3 テンションリール
4a,4b,4c,4d,4e,4f 圧延機
5a,5b,5c,5d,5e,5f スプレーノズル
6b,6c,6d,6f,6g クーラント加熱装置
7 オイルパン
8 クーラー
9,11,22 タンク
10,12,23 固形物除去装置
13,24 クーラント供給系
14 溶接機
15 切断機
16 ルーパ
21a,21b テンションリール
130,240 供給支管
Claims (9)
- クーラントを供給しつつ金属板の冷間圧延を行う方法において、
水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液であって、前記水溶性潤滑剤の少なくとも一部がポリアルキレングリコールである溶液をクーラントとして用いるとともに、少なくとも一部の圧延スタンド又は圧延パスにおいて、前記クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする金属板の冷間圧延方法。 - クーラントを循環使用するとともに、金属板及び/又は圧延ロールに供給後、回収されたクーラントに対して、その曇点未満の液温で液中固形物の除去処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の金属板の冷間圧延方法。
- 予め曇点以上の液温に加熱されたクーラントを金属板及び/又は圧延ロールに供給することにより、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属板の冷間圧延方法。
- 曇点未満の液温のクーラントを金属板及び/又は圧延ロールに供給し、金属板及び/又は圧延ロールの熱により前記クーラントがその曇点以上の液温に加熱され、曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属板の冷間圧延方法。
- クーラントの曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属板の冷間圧延方法。
- タンデム式冷間圧延機又はレバース式冷間圧延機において金属板を冷間圧延するに際し、タンデム式冷間圧延機の各圧延スタンド又はレバース式冷間圧延機の各圧延パスでの圧延条件に応じて、クーラントがその曇点以上の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属板の冷間圧延方法。
- 最終圧延スタンド又は最終圧延パスでは、クーラントがその曇点未満の液温でロールバイトに供給されるようにしたことを特徴とする請求項6に記載の金属板の冷間圧延方法。
- 水溶性潤滑剤を主体とする潤滑剤を水で希釈し且つ前記水溶性潤滑剤を溶解することにより曇点を有する溶液であって、前記水溶性潤滑剤の少なくとも一部がポリアルキレングリコールである溶液からなることを特徴とする金属板の冷間圧延用クーラント。
- 曇点が20℃以上、沸点未満であることを特徴とする請求項8に記載の金属板の冷間圧延用クーラント。
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