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JP4679249B2 - パターン描画装置 - Google Patents

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JP4679249B2
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Description

本発明は、感光材料に空間変調された光を照射してパターンを描画するパターン描画装置に関する。
従来より、複数の空間光変調デバイスを使用し、画像情報のデータに基づいて変調された光を感光材料上に照射してパターンを描画するパターン描画装置が開発されている。このような装置として、例えば、特許文献1では、空間光変調素子としてDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を搭載し、DMDにランプ光源からの光を導く露光装置が開示されている。また、特許文献2では、DMDを使用し、レーザ光源を用いた複数の露光ヘッド毎に画素の更新タイミングを変更することで、露光ヘッド間での走査方向の倍率誤差を補正する描画装置が開示されている。
なお、特許文献3では、2次元空間光変調素子を用いる露光装置において、オプティカルインテグレータに向けて光を出射する光ファイババンドルの端部を、オプティカルインテグレータの出射面の輪郭形状と略相似形とすることで、高い照明効率を得る技術が開示されている。
特開2004−157219号公報 特開2004−233718号公報 特開2004−228343号公報
ところで、プリント配線板製造用に使用されている汎用レジストには、i線(365nm)付近に感度ピークを持つものが多くある。365nm付近の波長を発振するレーザとしては、351nmのArイオンレーザや、355nmのYAG3倍波レーザ等が挙げられるが、いずれも出力が数W程度しかない上に高価なため、高い照度にて光を照射してパターンを描画するためには多数のレーザ素子が必要となり、実際に装置に採用するのは困難である。また、特許文献2のように半導体レーザを採用する場合も同様に多数の半導体レーザが必要となり、装置の製造コストが増大してしまう。
また、特許文献1では1つのDMDに対して1つ(または複数)のランプが用いられるが、複数の描画ヘッド(露光ヘッド)が設けられる装置において各描画ヘッドにランプを設けることは、各描画ヘッド内における構造は簡素化されるもののパターン描画装置(露光装置)全体では多くのランプが必要となって装置構造が複雑化し、さらに、ランプに対するメンテナンス作業などの管理も繁雑になってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、複数の光照射部を備えるパターン描画装置において、装置構造を簡素化するとともに容易に光を分岐して複数の光照射部へと導き、さらに光照射部から基板に高い照度にて光を照射することを目的としている。特に、光源にショートアークランプを用いて汎用レジストに対応した安価なパターン描画装置を提供するとともにランプに係る管理を容易とすることも目的としている。
請求項1に記載の発明は、光の照射により基板にパターンを描画するパターン描画装置であって、基板を保持する保持部と、ショートアークランプである光源と、前記光源からの光の経路を複数の経路へと分岐する光分岐構造と、それぞれが前記光分岐構造にて分岐された光を空間変調して前記保持部に保持された基板に向けて照射する複数の光照射部と、前記複数の光照射部を前記保持部に対して相対的に移動する移動機構とを備え、前記光分岐構造が、光ファイバが1つに束ねられて1つの光源である前記光源に光学的に接続される入力端と、前記光ファイバが分割されて束ねられて前記複数の光照射部に接続される複数の出力端とを備えるバンドルファイバであり、前記入力端において、前記光源からの光束の断面の照度が前記断面内における最大値の30%以上70%以下の集光半径の範囲から光が取り込まれ、前記複数の光照射部のそれぞれが、前記バンドルファイバの出力端からの光が導かれるインテグレータと、前記出力端と前記インテグレータとの間に設けられ、前記出力端からの光の光量を調整する光量調整機構と、独立して偏向可能な2次元に配列された複数の微小ミラーにより前記インテグレータから導かれる光を空間変調する空間光変調デバイスとを備える。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のパターン描画装置であって、前記光源を内部に収納し、前記複数の光照射部とは別体とされるランプハウスをさらに備える。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載のパターン描画装置であって、前記複数の光照射部のそれぞれにおいて、前記バンドルファイバの前記出力端が、断面が多角形の前記インテグレータに近接され、前記出力端の端面の形状が前記インテグレータの前記断面と略同一とされる。
本発明では、光源からの光の経路を分岐して複数の光照射部のそれぞれへと導くことにより、光源の個数を少なくして装置構造を簡素化することができ、光分岐構造としてバンドルファイバを用いることにより、光源からの光を容易に分岐することができる。さらに、入力端において光を取り込む範囲を限定することによりバンドルファイバ内における光束の密度を高くすることができ、光照射部から基板に高い照度にて光を照射することができる。
また、光源にショートアークランプを用いることにより、汎用レジストに高い照度にて効率よくパターンを描画することができる。さらに、各光照射部から基板に照射される光量を正確に等しくすることができる。
請求項の発明では、光源と光照射部とを熱的に分離することができる。さらに、請求項の発明では、バンドルファイバ出力端からインテグレータに効率よく光を導くことができる。
図1は、本発明の一の実施の形態に係るパターン描画装置1の構成を示す図である。パターン描画装置1は、入力される画像情報のデータに基づいて空間変調された略ビーム状の光を感光材料に向けて照射することによりパターンを描画する。パターン描画装置1は、汎用レジスト膜が形成されたプリント配線板(以下、「基板9」という。)を保持するステージユニット2、ステージユニット2を図1中のY方向へと移動するステージ移動機構31、それぞれが空間変調された光を基板9に向けて照射する複数(図1では6個)の光照射部である描画ヘッド40を有する描画ユニット4、描画ユニット4をX方向へと移動する描画ユニット移動機構32、光を出射する光源を内部に収納する2つのランプハウス6、ランプハウス6内の光源からの光の経路を複数の経路へと分岐して各描画ヘッド40へと導くバンドルファイバ41および描画ユニット4に接続された制御部5を備える。
ステージユニット2は、ステージ支持台21および基板9を保持するステージ22を有し、ステージ22の上面は基板9を吸着するチャックとなっている。
ステージ支持台21はリニアモータであるステージ移動機構31の移動体側に固定されており、制御部5がステージ移動機構31を制御することにより、基板9が図1中のY方向(主走査方向)に移動する。ステージ移動機構31には、リニアエンコーダ311がさらに取り付けられ、リニアエンコーダ311は主走査方向に関するステージユニット2の走査位置(装置に固定された座標に対するステージ22の位置)を検出し、走査位置を示す位置検出信号が制御部5へと出力される。
描画ユニット4は描画ユニット移動機構32の移動体側に固定され、描画ユニット移動機構32により主走査方向にほぼ垂直な副走査方向(図1中のX方向)に間欠的に移動する。すなわち、基板9のY方向への移動(主走査)が終了する毎に描画ユニット移動機構32は次の主走査の開始位置へと描画ユニット4をX方向に移動(副走査)させる。そして、次の主走査が前回の主走査とは逆向きに行われる。
以上のように、パターン描画装置1では、ステージ移動機構31および描画ユニット移動機構32により描画ユニット4がステージユニット2に対して図1中のX方向およびY方向へと相対的に移動することが可能とされており、これにより、複数の描画ヘッド40から空間変調された光が照射される基板9上の複数の領域が基板9に対してX方向およびY方向へと走査される。この移動を繰り返すことによって、所定サイズのパターンが基板9上に描画される。
バンドルファイバ41は、素線である細い光ファイバが数百から数千本束ねられたものであり、光ファイバが1つに束ねられて光が入射する入力端とされ、光ファイバの束が途中で分割されて束ねられて複数の出力端とされ、入力端から複数の出力端へと光の経路を複数の経路へと分岐する構造となっている。なお、後述の図4のように、バンドルファイバ41の両端である入力端411および複数の出力端412には端末金具が取り付けられる。バンドルファイバ41を用いることで、複雑な機構や構成要素の高精度な配置を用いることなく光源からの光を容易に分岐させることができる。
制御部5は、データ処理部51、照射制御部52および走査制御部53を有し、CAD等により生成された画像情報のデータがデータ処理部51において描画データに変換される。変換された描画データは照射制御部52および走査制御部53へと出力される。照射制御部52は描画データをラスタデータへと変換し、変換されたラスタデータに従って各描画ヘッド40からの光の出射が制御される。また、走査制御部53により、ステージ移動機構31、および、描画ユニット移動機構32が制御される。
図2は、描画ヘッド40の構成を示す図である。図2では、内部構造を示すためにハウジングを破線にて示している。既述のように、バンドルファイバ41の入力端はランプハウス6に収納される光源に光学的に接続され、複数の描画ヘッド40は、バンドルファイバ41の複数の出力端412にそれぞれ接続される。これにより、光源と描画ヘッド40とが光学的に接続される。描画ヘッド40は、光を空間変調するDMD42、出力端412からの光をDMD42へと導く光学要素群である照明光学系43およびDMD42からの光を基板9へと導く投影レンズ44を備える。バンドルファイバ41の出力端412からの光は、まず、光量調整フィルタ431aへと導かれ、光量調整フィルタ431aにおいて、略ビーム状の光が所望の光量に調整される。光量調整フィルタ431aを透過した光はインテグレータ432、複数のレンズで構成されるリレー系433およびミラー434を介して集光ミラー435へと導かれ、集光ミラー435は光を集光させつつDMD42へと導く。
DMD42には、格子状に2次元に配列されて姿勢が個別に変更可能な微小ミラー群が設けられ、集光ミラー435からの光がDMD42の微小ミラー群により反射されることにより2次元に空間変調された光が導き出される。
図3は、DMD42を示す図である。DMD42はシリコン基板421の上に複数の微小ミラーが独立して偏向可能な2次元に配列された(互いに垂直な2方向に配列された)微小ミラー群422を有する空間光変調デバイスであり、各微小ミラーに対応するメモリセルに書き込まれたデータに従って、各微小ミラーが静電作用によりDMD42の表面に対して所定の角度だけ傾く。そして、所定のON状態に対応する姿勢にある微小ミラーからの反射光のみにより形成される光(すなわち、空間変調された光)は、投影レンズ44へと導かれ、投影レンズ44からの光が微小ミラー群に対して光学的に共役な基板9上の光照射領域へと照射される。
図4は、バンドルファイバ41の入力端411、出力端412、および、インテグレータ432を示す図である。バンドルファイバ41では光源からの光が入力端411に入射し、途中で光ファイバの束を分割することにより複数の出力端412から光が出射されるが、図4では出力端412を1つのみ図示している。また、光量調整フィルタ431aの図示も省略している。インテグレータ432は、4枚のミラーをその蒸着面を内側にして貼り合わせた中空タイプのものが用いられ、入射する光が内側で反射を繰り返すことにより、出射端で均一な照度分布が形成される。なお、全反射を利用した中実タイプのインテグレータも使用可能である。
図4に示すように、バンドルファイバ41の入力端411では、端末金具411aの内側において端面が円形になるように光ファイバ411bが束ねられるのに対し、出力端412では、端末金具412aの内側において端面の形状がインテグレータ432の入射端面と略同一の矩形(すなわち、インテグレータ432の断面と略同一形状)とされる。なお、図2では図示の都合上、出力端412とインテグレータ432とを離して描いているが、実際には、出力端412はインテグレータ432に近接して配置される。これにより、光の損失を抑えて出力端412からインテグレータ432に効率よく光が導かれる。
複数の経路に分岐されたバンドルファイバ41は、複数の出力端412での出射光量が等しくなるように素線が束ねられているが、製作誤差により複数の出力端412では光量が僅かに異なることがある。また、各描画ヘッド40内の光学素子も透過率や反射率が他の描画ヘッド40のものと僅かに異なることがある。そのため、各描画ヘッド40内の光路上の光の透過量を調整する光量調整機構が設けられ、複数の描画ヘッド40から基板9へ照射される光量が等しく調整される。
図2に示すように、光量調整機構431は光量調整フィルタ431aおよびモータ431bを備える。図5は、光量調整フィルタ431aを示す図であり、光量調整フィルタ431aはモータ431bにより矢印431Rにて示すように回転する。光量調整フィルタ431aは、金属板にメッシュ状に穴を空けた多数の開口を有し、開口率は光量調整フィルタ431a上において周方向に関して漸次変化する。図5において、符号432aにて示す領域はインテグレータ432およびバンドルファイバ41の出力端412の光ファイバ412bと重なる領域を示しており、光量調整フィルタ431aがモータ431bにより回転することにより、所定の位置からの光量調整フィルタ431aの回転角度に応じて領域432aにおける透過率が連続的に変化する。これにより、各描画ヘッド40から出射される光量を一定に調整することが可能となる。また、照度分布を均一にするインテグレータ432と出力端412との間隙に光量調整フィルタ431aが設けられることにより、光量調整フィルタ431aによって生じる光束断面内の照度分布への影響が低減される。
パターン描画装置1において描画が行われる際には、出力端412から出射される光が光量調整フィルタ431aやインテグレータ432等を経由してDMD42へと継続的に照射される。各描画ヘッド40では図1に示す照射制御部52からDMD42にリセットパルスが繰り返し入力され、リセットパルスが入力される毎に各微小ミラーが対応するメモリセルに書き込まれたデータに従って反射面の対角線を軸として所定の姿勢に一斉に傾く。これにより、DMD42に照射された光は各微小ミラーの傾く方向に応じて反射され、各微小ミラーに対応する基板9上の微小な光照射領域(描画ヘッド40に対して固定され、ステージユニット2と描画ヘッド40との移動により基板9上を移動する領域)への光照射のON/OFFが行われる。
具体的には、対応するメモリセルにONを示すデータが書き込まれた微小ミラーがリセットパルスを受信すると、その微小ミラーに入射する光は投影レンズ44へと反射され、基板9上の対応する光照射領域に光が照射される。また、メモリセルにOFFを示すデータが書き込まれて微小ミラーがOFF状態とされると、微小ミラーは入射した光を投影レンズ44とは異なる所定の位置へと反射し、対応する光照射領域に光が導かれない状態となる。
上記DMD42の動作に並行して図1に示すステージ移動機構31により描画ヘッド40に対して基板9の相対的な主走査が行われることにより、基板9上の各描画領域(XおよびY方向に2次元に配列して基板9上に固定設定され、光照射領域よりも小さい領域であり、光照射領域の配列は描画領域の配列に対して傾斜している。)上を複数の光照射領域が通過し、このときに光照射のON/OFFが制御される。その結果、各描画領域における光照射の重複回数が制御され、各描画領域に所望の量の光を照射して高精度なパターンの描画が行われる。
次に、図1に示すランプハウス6の内部構成について説明する。図6は、ランプハウス6の内部構成を示す図である。ランプハウス6内には、ショートアークランプの一種の超高圧水銀ランプである光源62、光源62からの光を反射して集光する回転楕円体状の楕円鏡621、楕円鏡621からの光を反射するミラー63、熱線や可視光等の透過を防ぐフィルタ64が配置される。なお、楕円鏡621およびミラー63は、光源62からの光をフィルタ64に導く前にある程度波長帯を制限するために、ダイクロイックミラーとなっている。楕円鏡621の集光NAはバンドルファイバ41のNAに合わせて0.2とされる。
光源62のアークは楕円鏡621の第1焦点付近に配置され、楕円鏡621に向かって出射された光は、ミラー63およびフィルタ64を介して楕円鏡621の第2焦点位置付近に集光する。そして、集光点である焦点位置付近にバンドルファイバ41の入力端411が配置されることにより、光源62とバンドルファイバ41の入力端411とが光学的に接続され、光源からの光がバンドルファイバ41により複数の経路に分岐されて各描画ヘッド40へと導かれる。
光源62と描画ヘッド40との接続にバンドルファイバ41を用いることにより、図1に示すように、ランプハウス6と複数の描画ヘッド40とを別体として熱的に容易に分離することができる。これにより、光源62から発生する熱による描画ヘッド40への影響が低減される。本実施の形態では、光源62として2kW超高圧水銀ランプのような高出力のショートアークランプ(以下、「ランプ」という。)が用いられ、これにより、光を高輝度で集光領域に収束させることができ、多くの光束を描画ヘッド40に導くことができる。その結果、安価な汎用レジストに高い照度にて描画ヘッド40から光を基板9に照射することができ、効率よくパターンを描画することができる。
次に、バンドルファイバ41の設計例について説明する。本実施の形態で使用されるDMD42は、微小ミラーが13.68μmピッチで1024×768画素のマトリクス状に配列されており、リセットパルスが入力されるとメモリセルのデータに従って各微小ミラーがDMD42の表面に対して(+12)度または(−12)度のいずれかの姿勢に傾く。DMD42の素子外形としては14.0×10.5mmとなっているが、素子外形に対して余裕を持って照射する必要があることから、照射エリアは16.7×12.5mmとなっている。描画ヘッド40では、この集光面積にNA(開口数)0.12で照射が行われ、DMD42を基準とするEtendue(集光面積×π×NAで定義される光学系前後で保存される物理量)は、数1で表される。
Figure 0004679249
仮に、1つの描画ヘッド40に入力される光量を最大にするために、光ファイバを分岐させずにランプ1灯から1個の描画ヘッド40に光を導き、このときのバンドルファイバのNAを0.2とし、バンドルファイバ入力端における集光半径をr(mm)とすると、DMD42を基準とするバンドルファイバの入力端および出力端におけるEtendueの関係は、数2で表される。
Figure 0004679249
これより、バンドルファイバの入力端における集光半径rはおよそ4.9mmとなり、半径4.9mmの円内の平均照度で決まる光量が光ファイバに取り込まれることになる。
しかしながら、パターン描画装置1のように複数の描画ヘッド40が用いられる場合は、描画ヘッド40の数だけ光源やランプハウスを設けることは非経済的である。そこで、パターン描画装置1ではバンドルファイバ41を用いて1つの光源からの光を分岐して各描画ヘッド40へと導くようにしている。
さらに、集光半径を大きくしてランプからの光をすべて取り込むと入力端における平均照度が低くなってしまう。図7は、楕円鏡621の集光点における集光半径とバンドルファイバ41の入力端411における光の平均照度との関係を示す図である。図7の左下側は、入力端411上の集光点における光束の照度分布の全範囲を取り込むために集光半径R1にて束ねられたバンドルファイバ入力端411b(すなわち、光ファイバのバンドル半径が集光半径となる。)を示し、左上側は集光点における光束断面の相対的な照度分布を示す。図7の左上側に示すように、集光点における照度分布はガウス分布に類似しており、平行斜線を付すように、光源62からの全ての光が取り込まれると、バンドルファイバ41の入力端411での平均照度はW1にて示す大きさとなる。なお、図7の左下ではバンドルファイバ入力端411bでの照度分布の概略を斜線の密度で表現している(同図右側においても同様)。
図7の右下側は、光束の断面において照度が最大値の50%以上の範囲となる集光半径R2のバンドルファイバ入力端411bを示す。図7の右上側の照度分布に平行斜線を付すように、最大値の50%以上の範囲で光を取り込むことにより、光源62からの全ての光を取り込む場合に比べて平均照度W2が高くなり、バンドルファイバ41内における光束の密度を高くすることができる。その結果、描画ヘッド40から基板9に多くの光束にて光を照射することができる。
もちろん、集光半径を小さくしすぎると光源62からの光束の断面における微小な範囲の光だけを取り込むこととなり、光量を有効活用することができない。さらにこの場合、ショートアークランプが劣化したときの照度の最大値の落ち込みにより平均照度が大きく低下してしまう。そこで、ランプハウス6では入力端411において、光源62からの光束の断面の照度が当該断面内における最大値の30%以上70%以下(より好ましくは40%以上60%以下)となる集光半径の範囲から光が取り込まれ、このときのバンドルファイバ41の入力端411における集光半径によって決まるEtendueに応じて、バンドルファイバ41により1つの光源62からの光の経路を複数の経路に分岐させるようにしている。これにより、各描画ヘッド40当たりの光量を著しく低下させることなく、経済性とのバランスの取れた構成とすることができる。
図8は、バンドルファイバ41の入力端411の位置における光束断面の相対照度の分布をより詳細に示す図である。図8に示すように、光束の照度が最大値の50%以上となる範囲から光を取り込むときの入力端411における集光半径の設計値は8.4mmとなる。入力端411におけるNAを、石英バンドルファイバのNAに合わせて0.2とすると、これによって決まるEtendueは、数3で表される。
Figure 0004679249
これより、バンドルファイバ41の入力端411におけるEtendueは、DMD42を基準とする各描画ヘッド40のEtendueのおよそ2ないし3倍の値となる。したがって、入力端411から入射される光束を2または3の経路に分岐して複数の描画ヘッド40へ光を導くことができる。
なお、上記計算では、設計例の説明の都合上、光源からの光束の照度が、最大値の50%以上となる範囲で光を取り込んでいるが、既述のように、光の取り込みの範囲は照度が最大値の30%以上70%以下となる集光半径の範囲で調整されてよいため、実際には、バンドルファイバ41の最適な分岐数を決め、光を取り込むときに求められるEtendueに合わせて、入力端411における集光半径が調整される。本実施の形態では、図1に示すよう、ランプハウス6を2台用いて、1つのランプからの光を3本の経路に分岐する2つのバンドルファイバ41により、6個の描画ヘッド40へと光が導かれる。
以上に説明したように、パターン描画装置1では、光源62からの光の経路を複数の経路へと分岐することにより、光源62の個数を少なくして装置構造を簡素化することができ、さらに、バンドルファイバ41を用いてショートアークランプからの光を複数の経路に分岐することにより、分岐のための複雑な機構を必要とせず、装置構造をさらに簡素化することができる。また、光源62の数の削減は、光源62に高輝度かつ高出力のショートアークランプを用いることによっても容易に実現され、例えば、レーザを光源に用いる描画装置に比べて、安価に描画装置を製造することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
パターン描画装置1は、プリント配線板製造用として説明したが、ガラス基板上の液晶用マトリクスの形成やプリンタに用いられる刷版用の基板への露光等に利用されてもよい
基板9を保持する保持部であるステージユニット2と描画ユニット4との主走査方向および副走査方向への相対移動(すなわち、基板9と描画ヘッド40との相対移動)は、ステージユニット2または描画ユニット4のいずれかのみの移動により行われてもよい。
ランプハウス6内の光源62には、ショートアークランプとして超高圧水銀ランプが用いられると説明したが、他の好ましい例としては、キセノンランプ等を挙げることができる
上記実施の形態では、インテグレータ432の断面は矩形とされるが、断面が多角形であっても均一な照度分布を得ることが可能である。この場合においても、光の伝達効率を向上するために、バンドルファイバ41の出力端412の端面(光ファイバ412b)の形状がインテグレータ432の入射端の断面と略同一とされる。
さらに、光量調整フィルタ431aの開口は、透過率の観点からは先に述べたメッシュ構造であることが望ましいが、連続的に透過率が変化するガラスフィルタが用いられてもよい。また、光量調整フィルタ431aの形状は、円形ではなくスライド式用のリニアな形状等であってもよい。
パターン描画装置の構成を示す図である。 描画ヘッドの構成を示す図である。 DMDを示す図である。 バンドルファイバの入力端、出力端、および、インテグレータを示す図である。 光量調整機構を示す図である。 ランプハウスの内部構成を示す図である。 楕円鏡の集光点における光ファイバによる集光半径の例を説明する図である。 光源からの光束がバンドルファイバの入力端で集光したときの相対照度の分布をより詳細に示す図である。
符号の説明
1 パターン描画装置
2 ステージユニット
6 ランプハウス
9 基板
31 ステージ移動機構
32 描画ユニット移動機構
40 描画ヘッド
41 バンドルファイバ
42 DMD
62 光源
411 入力端
412 出力端
412b 光ファイバ
431 光量調整機構
432 インテグレータ

Claims (3)

  1. 光の照射により基板にパターンを描画するパターン描画装置であって、
    基板を保持する保持部と、
    ショートアークランプである光源と、
    前記光源からの光の経路を複数の経路へと分岐する光分岐構造と、
    それぞれが前記光分岐構造にて分岐された光を空間変調して前記保持部に保持された基板に向けて照射する複数の光照射部と、
    前記複数の光照射部を前記保持部に対して相対的に移動する移動機構と、
    を備え、
    前記光分岐構造が、光ファイバが1つに束ねられて1つの光源である前記光源に光学的に接続される入力端と、前記光ファイバが分割されて束ねられて前記複数の光照射部に接続される複数の出力端とを備えるバンドルファイバであり、
    前記入力端において、前記光源からの光束の断面の照度が前記断面内における最大値の30%以上70%以下の集光半径の範囲から光が取り込まれ、
    前記複数の光照射部のそれぞれが、
    前記バンドルファイバの出力端からの光が導かれるインテグレータと、
    前記出力端と前記インテグレータとの間に設けられ、前記出力端からの光の光量を調整する光量調整機構と、
    独立して偏向可能な2次元に配列された複数の微小ミラーにより前記インテグレータから導かれる光を空間変調する空間光変調デバイスと、
    を備えることを特徴とするパターン描画装置。
  2. 請求項1に記載のパターン描画装置であって、
    前記光源を内部に収納し、前記複数の光照射部とは別体とされるランプハウスをさらに備えることを特徴とするパターン描画装置。
  3. 請求項1または2に記載のパターン描画装置であって、
    前記複数の光照射部のそれぞれにおいて、前記バンドルファイバの前記出力端が、断面が多角形の前記インテグレータに近接され、前記出力端の端面の形状が前記インテグレータの前記断面と略同一とされることを特徴とするパターン描画装置。
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