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JP4665410B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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JP4665410B2 JP2004072489A JP2004072489A JP4665410B2 JP 4665410 B2 JP4665410 B2 JP 4665410B2 JP 2004072489 A JP2004072489 A JP 2004072489A JP 2004072489 A JP2004072489 A JP 2004072489A JP 4665410 B2 JP4665410 B2 JP 4665410B2
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Description

本発明は流動性、溶剤溶解性が良好であり、耐熱性等に優れる硬化物を与えることが出来るエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に硬化時の低収縮性(寸法安定性)、電気絶縁性、耐薬品性などに優れた硬化物となるが、最近のエレクトロニクス分野や高機能塗料分野などの技術革新により、さらに優れた耐熱性が求められている。この耐熱性向上手段としては、例えば、高核体数型(高分子量型)のフェノールノボラック樹脂を硬化剤として使用する方法があるが、それ自身の粘度が高く、得られるエポキシ樹脂組成物の流動性が悪くなり、先端半導体や基板などの微細構造部品への適用が難しい。また対称性が高い結晶性多官能フェノール化合物を硬化剤に用いることも検討されているが、優れた耐熱性が期待できる4官能型以上の化合物の場合は、ほぼ例外なく融点が150℃以上であり、エポキシ樹脂との相溶性や溶剤溶解性が極めて悪く、硬化剤としての適性がない。
また、燐原子を含有したフェノール化合物の水酸基をアセタール化し、それを多官能エポキシ樹脂の硬化剤として利用して、難燃性の高い硬化物を得る技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、実施例で使用されているフェノール化合物は2官能であることから耐熱性に優れた硬化物を得ることが難しく、更なる改良が必要である。
特開2003−286293号公報(第3〜6頁)
上記のような実状に鑑み、本発明の課題は、流動性、溶剤溶解性に優れ、得られる硬化物の耐熱性等に優れる硬化剤を開発し、上記の課題を解決できるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記の課題を解決するため鋭意研究した結果、分子中に2個より多い芳香族性水酸基を含有し、かつ融点150℃以上の結晶性化合物であるポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基の10〜100モル%がアセタール化されたポリアセタール化合物(A)を硬化剤として用いることによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、1分子中に2個より多い芳香族性水酸基を含有し、かつ融点150℃以上の結晶性化合物であるポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基の10〜100モル%がアセタール化されたポリアセタール化合物(A)とエポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
本発明で用いるポリアセタール化合物は、低粘度であり流動性が高く、エポキシ樹脂との相溶性や溶剤溶解性に優れ、得られる硬化物は、最近のエレクトロニクス分野や高機能塗料分野などで要求されている高度な耐熱性を満足できる。またこの技術により、剛直骨格や高対称性を有し超高耐熱性硬化剤として期待されるが、そのあまりにも高い融点や、相溶性、溶剤溶解性の悪さから従来エポキシ樹脂用硬化剤として適用不可であった結晶性多価フェノール化合物を、大きな性能劣化なく改質して硬化剤適合性を高めることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、1分子中に2個より多い芳香族性水酸基を含有し、かつ融点150℃以上の結晶性化合物であるポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基の10〜100モル%がアセタール化されたポリアセタール化合物(A)とエポキシ樹脂(B)とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物である。
該ポリアセタール化合物(A)は、1分子中に2個より多い芳香族性水酸基を含有し、かつ融点150℃以上の結晶性化合物であるポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基の10〜100モル%をアセタール基にすることができる化合物と反応させて得られるものであり、工業的入手容易性の観点から、ビニルエーテル類を用いてアセタール化反応させる方法が好ましい。該ポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基の数は、得られる硬化物の耐熱性の観点から2個以下であると好ましくない。更に1分子中に3個より多くの芳香族性水酸基を有するポリヒドロキシ化合物(a)を用いると、硬化物の耐熱性をより向上させることが可能となり、本発明の効果をより一層実現できる点から好ましいものである。
ビニルエーテル類を用いたアセタール化反応は、下記化学反応式(1)
Figure 0004665410
で表される反応である。この反応により、ポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基がビニルエーテル類によりブロックされ、該ポリヒドロキシ化合物(a)の粘度、溶剤溶解性等を改善することが出来る。更にこのアセタール化反応は可逆反応であることから、得られるポリアセタール化合物(A)と後述するエポキシ樹脂(B)とを混合した場合には、脱ブロックによってアセタール基が水酸基に戻り、エポキシ基との硬化反応を行わせることが可能となるものである。
アセタール化率は、それが高い程、低粘度化効果が大きくなる。従って、ポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基のアセタール化率が10モル%未満の場合には、低粘度化効果が小さいことから好ましくない。またアセタール化率が高いとエポキシ樹脂(B)との硬化反応性が低下する傾向があるので、所望の特性を考慮して適宜アセタール化率を調整することが好ましい。
1分子中に2個より多い芳香族性水酸基を含有するポリヒドロキシ化合物(a)、得られる硬化物の耐熱性を高められることから、融点が150℃以上の結晶性化合物でる。更に、結晶性化合物の中では特に4価ヒドロキシ化合物が好ましい。具体的には、2,7−ジヒドロキシナフタレンが1位同士でメチレン基を介して結合した2量体、1,1’,2,2’−テトラヒドロキシフェニロールエタンなどが優れた耐熱性を提供するベース化合物として挙げられる。
また前記ビニルエーテル類としては、1分子中に1個以上のビニルエーテル基を含有する化合物であれば、特に限定されないが、得られるポリアセタール化合物(A)の流動性を高める観点から、モノビニルエーテル類を主成分として使用することが好ましく、例えば、脂肪族モノビニルエーテル、脂環式モノビニルエーテル、環状ビニルエーテル化合物等が挙げられる。脂肪族モノビニルエーテルの具体例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。脂環式ビニルエーテルとしては、例えば、シクロヘキシルモノビニルエーテル等が挙げられる。環状ビニルエーテル化合物として、例えば、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウム等が挙げられ、単独でも2種以上の混合物としても使用することが出来る。これらの中でも、工業的入手が容易であり、後述するエポキシ樹脂(B)との反応時における脱ブロック化の解離温度が低く、反応性が良好となる点からn−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルが好ましい。また、得られるポリアセタール化合物(A)の改質効果を目的として前記モノビニルエーテル類以外のビニルエーテル類を使用しても良く、このときの使用割合としては、前記モノビニルエーテル類に対して20モル%以下で使用することが好ましい。その他のビニルエーテル類としては、例えばジビニルエーテル類として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられ、1種類でも、2種類以上を併用して用いても良い。
次いで、本発明で用いるポリアセタール化合物(A)の製造方法に関して説明する。反応方法としては、用いるポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基の10〜100モル%がアセタール化される方法であれば、芳香族性水酸基とビニルエーテル基との反応条件にのっとればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ポリヒドロキシ化合物(a)と適量のビニルエーテル類とを仕込み、撹拌混合しながら加熱する方法が挙げられる。この場合、必要に応じて、有機溶媒や触媒を使用することができる。使用できる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族性有機溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶媒等が挙げられる。アルコール性水酸基を含有する溶剤は、条件によってはビニルエーテル類と反応してしまうため好ましくない。これらの有機溶媒としては、用いる原料や生成物の溶解度などの性状や反応条件、経済性等を考慮して適宜選択すればよい。有機溶媒の量としては、原料重量に対して、5〜500重量%の範囲で用いることが好ましい。
通常、この反応は無触媒系においても十分反応は進行するが、用いる原料の種類や得られるポリアセタール化合物(A)の所望の特性、所望の反応速度等によっては、触媒を使用してもよい。その触媒の種類としては、通常、水酸基とビニルエーテル基の反応に用いられる触媒であれば特に限定されるものではないが、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸など有機酸、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化スズ、塩化ガリウム、塩化チタン、臭化アルミニウム、臭化ガリウム、三弗化ホウ素エーテル錯体、三弗化ホウ素フェノール錯体などのルイス酸等が挙げられるが、反応速度向上効果や副反応抑制効果を考慮すると、燐酸エステル類が特に好ましい。添加量としては特に限定されないが、原料全重量に対して10ppm〜1重量%の範囲で用いることができる。但し、触媒添加系においては、芳香環に対するビニル基の核付加反応を起こさないように、その種類や添加量、及び反応条件を選択する必要がある。
反応条件としては、通常、室温〜200℃、好ましくは、50〜150℃の温度で、0.5〜30時間程度、加熱撹拌すればよい。この際、ビニルエーテル類の自己重合を防止するため、酸素含有雰囲気下での反応の方が好ましい。反応の進行程度は、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー等を用いて、原料の残存量を測定することによって追跡できる。また有機溶媒を使用した場合は、蒸留等でそれを除去し、触媒を使用した場合は、必要によって失活剤等で失活させて、水洗や濾過操作によって除去することが好ましい。
上記反応におけるポリヒドロキシ化合物(a)とビニルエーテル類の仕込み比率としては、最終的にポリヒドロキシ化合物(A)中の芳香族性水酸基の10〜100モル%がアセタール化できる量であれば、特に限定されるものではないが、通常、ポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基1モルに対して、ビニルエーテル基が0.1〜3モルになるような範囲で使用することが好ましい。好適な反応条件を用いれば、所望のアセタール化率を化学量論的な仕込み比率で達成することが出来る。
本発明で用いるエポキシ樹脂(B)としては、特に限定されず全てのエポキシ樹脂を用いることができるが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。またエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前述のポリアセタール化合物(A)とエポキシ樹脂(B)とを必須とすること意外に特に制限されるものではないが、後述する各用途に適応した作業性等を付与するために、有機溶剤(C)を用いることが好ましい。
前記有機溶剤(C)としては、ポリアセタール化合物(A)及びエポキシ樹脂(B)、更に必要に応じて併用される後述するその他の硬化剤、硬化促進剤、各種添加剤等を均一に溶解・分散することが出来るものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、アルコール性水酸基を含有しないメチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤を用いることが好ましく、単独でも2種以上の混合溶剤としても使用することができる。アルコール性水酸基を含有する溶剤は、条件によってはビニルエーテル類と反応してしまうため好ましくない。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、ポリアセタール化合物(A)をエポキシ樹脂(B)の硬化剤として使用するものであるが、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、その他の種々の硬化剤を併用することが出来る。
併用できる硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物等が挙げられ、アミン系化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの脂肪族ポリアミン類、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン類、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環族ポリアミン類等、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、酸無水物系化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
また、フェノール系化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂やこれらの変性物等が挙げられる。また潜在性硬化剤として、イミダゾール、BFーアミン錯体、グアニジン誘導体なども挙げられる。
また、これらのその他の硬化剤としては単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、硬化が円滑に進行し、良好な硬化物の物性が得られることから、エポキシ樹脂(B)中のエポキシ基1当量に対して、ポリアセタール化合物(A)中のアセタール基と芳香族性水酸基との合計、その他の硬化剤を用いた場合には、更にその硬化剤中の活性基との合計が、0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に硬化促進剤を適宜使用することもできる。硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられ、これらは単独のみならず2種以上の併用も可能である。例えば、半導体封止材料用途としては、リン系ではトリフェニルホスフィン、アミン系では1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン(DBU)などが、硬化性が良好であり、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性などが優れる硬化物が得られるために好ましい。その添加量は特に限定されないが、エポキシ樹脂と硬化剤との合計量に対して、0.05〜10重量%の範囲が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、エポキシ樹脂組成物の全体量に対して65重量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて難燃付与剤も添加できる。前記難燃付与剤としては種々のものが使用できるが、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールAなどのハロゲン化合物、赤リンや各種燐酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミン或いはその誘導体などの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、硼酸カルシウムなどの無機系難燃化合物等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂、硬化剤、更に必要により硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成物は種々の方法で容易に硬化物とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の使用用途としては、特に制限されるものではなく、例えば、プリント基板用、電子部品の封止材用、レジストインキ、導電ペースト、樹脂注型材料、接着剤、絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられ、これらの中でも、得られる硬化物の誘電特性や低吸湿率性に優れる点から、電子部品の封止材用樹脂組成物、プリント基板用樹脂組成物、レジストインキ、導電ペースト、層間絶縁材料の用途に好適に用いることができる。
例えば、塗料用エポキシ樹脂組成物を作製するためには、エポキシ樹脂、硬化剤、必要に応じて有機溶媒、充填剤、顔料等の配合物を均一になるまでペイントシェーカー等の分散器を用いて混合する方法が挙げられる。また粉体塗料用には、後述の半導体封止材と同様にして得られた混合物を粉砕器等によって粉体化することによって、得ることができる。
半導体封止材用のエポキシ樹脂組成物を作製するためには、エポキシ樹脂と硬化剤、充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して溶融混合型のエポキシ樹脂組成物を得ればよい。その際、充填剤としては、通常シリカが用いられるが、その充填率はエポキシ樹脂組成物100重量部当たり、充填剤を30〜95重量%の範囲が用いることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、70重量部以上が特に好ましく、それらの効果を格段に上げるためには、80重量部以上が一層その効果を高めることができる。
半導体パッケージ成形としては、前記樹脂組成物を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50〜200℃で2〜10時間に加熱することにより成形物を得ることができる。
またテープ状封止材として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を加熱して半硬化シートを作製し、封止剤テープとした後、この封止剤テープを半導体チップ上に置き、100〜150℃に加熱して軟化させ成形し、170〜250℃で完全に硬化させる方法を挙げることができる。
更にポッティング型液状封止剤として使用する場合には、前述の手法によって得られた樹脂組成物を半導体チップや電子部品上に塗布し、直接、硬化させればよい。
また、アンダーフィル樹脂として使用する方法についても特に限定されないが、特開平9−266221号公報や「エレクトロニクス分野のプラスチック」(工業調査会発行、1999年、27〜34頁)に記載されるような方法を採用できる。より具体的には、フリップチップ実装時に電極のついた半導体素子と半田のついたプリント配線基板との空隙に、本発明のエポキシ樹脂組成物を毛細管現象を利用してキャピラリーフロー法によって注入し硬化させる方法、予め基板ないし半導体素子上に本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化させてから、加熱して半導体素子と基板を密着させ、完全硬化させるコンプレッションフロー法等が挙げられる。この場合、本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤を含有しない液状の樹脂組成物の形態で使用するのが好ましい。特にキャピラリーフロー法を用いる場合には低粘度である必要があり、5000mPa・s以下の粘度であることが好ましい。当該樹脂組成物がこれを超える粘度であれば、室温〜100℃以下に加温して注入することもできる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をプリント基板用プリプレグ用樹脂組成物とするには、該樹脂組成物の粘度によっては無溶媒で用いることもできるが、有機溶剤を用いてワニス化することでプリプレグ用樹脂組成物とすることが好ましい。前記有機溶剤としては、アルコール性水酸基を含有しないメチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤を用いることが好ましく、単独でも2種以上の混合溶剤としても使用することができる。アルコール性水酸基を含有する溶剤は、条件によってはビニルエーテル類と反応してしまうため好ましくない。得られた該ワニスを、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などの各種補強基材に含浸し、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得ることができる。この時用いる樹脂組成物と補強基材の重量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60重量%となるように調整することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物から銅張り積層板用樹脂組成物を得るには、上記プリプレグ用樹脂組成物とする方法と同じであり、得られたプリプレグを、例えば特開平7−41543号公報に記載されているように積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、銅張り積層板を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をレジストインキとして使用する場合には、例えば特開平5−186567号公報に記載の方法に準じて、レジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、特開平3−46707号公報に記載の微細導電性粒子を該樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、特開昭62−40183号公報、特開昭62−76215号公報、特開昭62−176139号公報などに開示されているような室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体の層間絶縁材料として使用する場合は、例えば特開平6−85091号公報の記載の方法が採用できる。層間絶縁膜に用いる場合は半導体に直接接することになるため、高温環境下において線膨張率の差によるクラックが生じないよう、絶縁材の線膨張率を半導体の線膨張率に近づけることが要求される。また、半導体の微細化、多層化、高密度化による信号遅延の問題に対応するため、絶縁材の低容量化技術が求められており、絶縁材を低誘電化することによってこの問題を解決することができる。当該樹脂組成物は、これらの要求を満たす特性を有するため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては特に限定されないが、例えば特公平4−6116号公報、特開平7−304931号公報、特開平8−64960号公報、特開平9−71762号公報、特開平9−298369号公報などに記載の各種方法を採用できる。より具体的には、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
発明のエポキシ樹脂組成物を熱硬化させて、成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルムなどの形態をもつ硬化物を得ることができる。例えば、溶融混合型の組成物の場合は、該組成物を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに80〜250℃で2〜10時間に加熱することにより成形硬化物を得ることができる。またワニス状組成物の場合は、それを基材に塗装し加熱乾燥するなどして塗膜を得ることができ、塗料はこれに該当する。また、それをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグを得て、それを熱プレス成形して得ることができ、プリント配線基板用やCFRP用の積層材料はこれに該当する。

次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。尚、以下に記載の「部」及び「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
合成例1[下記構造式(a−1)のポリアセタール化合物(A−1)、アセタール化率100%の合成]
Figure 0004665410
(式中のnは繰り返し数を表し、約3である。)
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコに前記構造式(a−1)で表されるフェノールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製;フェノライトTD−2131、軟化点80℃のアモルファス状化合物、水酸基当量104g/eq)200gとn−ブチルビニルエーテル400gとメチルイソブチルケトン600gを仕込み、それに燐酸エステル触媒(大八化学製;AP−8)1gを添加して、80℃常圧で10時間撹拌して反応させた。次いで真空下でその温度で未反応のn−ブチルビニルエーテルとメチルイソブチルケトンを回収し、粘凋液体の目的物質を得た。得られた物質重量397gと未反応n−ブチルビニルエーテル重量201gから判断して、実質的に100%の水酸基がアセタール化されたと推定された。
合成例2[前記構造式(a−1)のポリアセタール化合物(A−2)、アセタール化率50%の合成]
合成例1において、n−ブチルビニルエーテルの仕込量を100gに変更した以外は、合成例1と同様にして反応し、半固形状の目的物質295gを得た。また反応終了後、未反応のn−ブチルビニルエーテル回収量は0.5gであったことから、原料中の約50%の水酸基がアセタール化されたと推定された。
合成例3[下記構造式(a−3)のポリアセタール化合物(A−3)、アセタール化率100%の合成]
Figure 0004665410
合成例1においてフェノールノボラック樹脂を前記構造式(a−3)で表される1,1’−ビス(2,7−ジヒドロキシ)ナフチルメタン(融点274℃の結晶化合物)166gに、n−ブチルビニルエーテルを260gに変更した以外は合成例1と同様にして、粘凋液体状の目的物質339gを得た。反応終了後に蒸留回収されたn−ブチルビニルエーテルが64gであったことから、実質的に100%の水酸基がアセタール化されたと推定された。
合成例4[下記構造式(a−4)のポリアセタール化合物(A−4)、アセタール化率100%の合成]
Figure 0004665410
合成例1において、フェノールノボラック樹脂を前記構造式(a−4)で表される1,1’,2,2’−テトラフェニロールエタン(融点315℃の結晶化合物)199gに変更した以外は、合成例1と同様にして、粘凋液体状の目的物質380gを得た。反応終了後に蒸留回収されたn−ブチルビニルエーテルが61gであったことから、実質的に100%の水酸基がアセタール化されたと推定された。
得られた4種類のポリアセタール化合物(A−1)〜(A−4)を、前記構造式(a−1)で表されるフェノールノボラック樹脂[大日本インキ化学工業株式会社製 フェノライトTD−2131;軟化点80℃、水酸基当量104g/eq。以下(a−1)と記す。]と、結晶性ポリヒドロキシ化合物である前記構造式(a−3)で表される1,1’−ビス(2,7−ジヒドロキシ)ナフチルメタン[融点274℃結晶性化合物、水酸基当量83g/eq。以下(a−3)と記す。]と前記構造式(a−4)で表される1,1’,2,2’−テトラフェニロールエタン(融点315℃の結晶化合物、水酸基当量100g/eq。以下(a−4)と記す。)の3種と比較を行った。これらの室温(25℃)における外観を表1にまとめて記す。
Figure 0004665410
表1より明らかに、ポリアセタール化合物は原料として用いたポリヒドロキシ化合物よりも低粘度化しており、流動性が良好であることを確認した。
1)化合物の溶剤溶解性評価
上記によって得られたポリアセタール化合物(A−1)〜(A−4)及びポリヒドロキシ化合物(a−1)、(a−3)、(a−4)の、一般的なエポキシ樹脂組成物ワニス製品に使用する溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)、及びトルエンに対する溶解性評価を行った。具体的方法としては、上記化合物100部と溶剤100部を混合し、70℃に加温して攪拌して均一にした後、室温(25℃)まで冷却した際の外観を目視によって観測することにより、溶解性評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004665410
表2に示したとおり、結晶性化合物の(a−3)と(a−4)は、一般的なエポキシ樹脂ワニス製品に使用する溶剤に対して溶解せず、均一組成物を調製できなかった。一方ポリアセタール化合物(A−1)〜(A−4)は全て、アモルファス状硬化剤であるフェノールノボラック樹脂(a−1)と同様の溶解性を示し、均一組成物を調製できた。
2)エポキシ樹脂との相溶性評価
エポキシ樹脂(B)として、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製;EPICLON 850S、エポキシ当量188g/eq)とクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製;EPICLON N−665−EXP、エポキシ当量204g/eq)を用いて、相溶性評価を行った。
具体的方法としては、上記によって得られたポリアセタール化合物(A−1)〜(A−4)及びポリヒドロキシ化合物(a−1)、(a−3)、(a−4)とエポキシ樹脂(B)とを表3〜4に示した配合比に従って混合し、80℃に加温して攪拌混合して、エポキシ樹脂組成物を得た。この後、これを室温(25℃)まで冷却した際の該組成物の外観を観測することにより、相溶性評価を行った。
Figure 0004665410
Figure 0004665410
表3〜4に示したとおり、結晶性化合物の(a−3)と(a−4)は、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型の両エポキシ樹脂に対して相溶せず、均一組成物を調製できなかった。一方ポリアセタール化合物(A−1)〜(A−4)は全て、アモルファス状硬化剤であるフェノールノボラック樹脂(a−1)と同様の相溶性を示し、均一組成物を調製できた。
3)硬化物の耐熱性評価
エポキシ樹脂(B)として、相溶性評価試験と同様にEPICLON 850S及びEPICLON N−665−EXPを用い、更に硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾールを樹脂量全体に対して2重量%用いて、表5〜表6に示す配合比にて混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られた組成物を200℃の熱風循環型乾燥機中で7時間静置することにより硬化反応を行い、得られた試験片を用いて動的粘弾性測定装置(DMA)により、ガラス転移温度を測定した。結果を表5〜6に示す。
Figure 0004665410
Figure 0004665410

表5〜6に示した通り、フェノールノボラック樹脂(a−1)を原料として用いたポリアセタール化合物(A−1)及び(A−2)を硬化剤として用いた場合は、いずれの場合も、フェノールノボラック樹脂(a−1)同様のガラス転移温度を示し、アセタール化による性能劣化が認められず、脱ブロック化による硬化反応が十分に進行していることを確認した。また、従来、エポキシ樹脂の硬化剤としての適正に欠けていた結晶性化合物の(a−3)、(a−4)を原料とし、ポリアセタール化によって低粘度化してから硬化剤として用いた場合は、従来のフェノールノボラック樹脂を硬化剤としたときよりも大きく上回るガラス転移温度を有する硬化物が得られることを確認した。

Claims (9)

  1. 1分子中に2個より多い芳香族性水酸基を含有し、かつ融点150℃以上の結晶性化合物であるポリヒドロキシ化合物(a)中の芳香族性水酸基の10〜100モル%がアセタール化されたポリアセタール化合物(A)とエポキシ樹脂(B)とを含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記結晶性化合物が4価ヒドロキシ化合物である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 4価ヒドロキシ化合物が、下記式(a−3)又は(a−4)で表される化合物である請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004665410
    Figure 0004665410
  4. 更に有機溶剤(C)を含有する請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 電子部品の封止材用樹脂組成物の用途に調製される請求項1〜4の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. プリント基板用樹脂組成物の用途に調製される請求項1〜4の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. レジストインキの用途に調製される請求項1〜4の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 導電ペーストの用途に調製される請求項1〜4の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 層間絶縁材料の用途に調製される請求項1〜4の何れか1項記載のエポキシ樹脂組成物。
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