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JP4662135B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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JP4662135B2 JP2005144783A JP2005144783A JP4662135B2 JP 4662135 B2 JP4662135 B2 JP 4662135B2 JP 2005144783 A JP2005144783 A JP 2005144783A JP 2005144783 A JP2005144783 A JP 2005144783A JP 4662135 B2 JP4662135 B2 JP 4662135B2
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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図17及び図18に示すように構成されている。図17に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、この構成により、入力軸1の軸線(第1の軸線)Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図18参照)が回転自在に挟持されている。
図17中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図17の右面)がローディングナット9に突き当てられている。この構成によって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図18は、図17のA−A線に沿う断面図である。図18に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14(以下、この枢軸14の中心軸O’を第2の軸線という)を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図18においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、第2の軸線O’と略平行に延びる本体部を成す支持板部16と、支持板部16の長手方向(図18の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された(支持板部16の両端部から第2の軸線に対して傾斜して延びる)一対の折れ曲がり壁部20,20と、これらの折れ曲がり壁部20,20の外側面から第2の軸線O’に沿って互いに同心的に外方に延びる前記枢軸14,14とを有している。そして、折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11,11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図17の上下方向、図18の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図18の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Aは、球面ポスト68及びこれを支持するシリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図18で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図18の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図18の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11及びこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a,23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、このようなトロイダル型無段変速機において、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との動力伝達は、これらの部材表面の損傷を防止するべく、油膜を介したトラクション力により非接触で行なわれる(油膜によって形成されるパワーローラ11と入出力側ディスク2,3との間の界面をトラクション面という)。そのため、パワーローラ11と入出力側ディスク2,3との間に形成されるトラクション面には、トルクを非接触で伝達するための油膜を形成できる十分な量の潤滑油(トラクション油)を供給する必要がある。
また、このようなトロイダル型無段変速機においては、変位軸23の基端部23aと先端部23bとが互いに偏心しているため、その加工が難しく、部品コストが高くなるとともに、支持剛性を確保するためにトラニオン15が大型化、重量化するという問題がある。そこで、例えば、特許文献1ないし特許文献5には、パワーローラ11をトラニオン15に対して揺動軸線O’と直交する方向に平行移動可能に支持する(パワーローラ11のディスク軸方向スライドを支持する)ことにより、パワーローラ11の両ディスク2,3に対する位置を調整する直動式の支持機構が開示されている。
これは、図19に示すように、トラニオン15のパワーローラ11を収納するポケットP側の面に、トラニオン15の長手方向において互いに傾斜が逆向きとなる一対の斜面215a,215aを形成し、一方、パワーローラ11を回転自在に支持する外輪28の背面にも、これらの斜面215a,215aと平行な一対の斜面215b,215bを形成し、これらの対向する斜面間に転動体(ころ)217を配置して(すなわち、トラニオン15の折れ曲がり壁部20と外輪28との間に転動体217を配置して)、一対の直動軸受218を構成している。この構成により、パワーローラ11はトラニオン15の幅方向(紙面に直交する方向)に移動自在となり、トラニオン15の傾転に伴う構成部品の相対変位や部品の弾性変形に伴うパワーローラ11と両ディスク2,3間の位置ずれが調整される。また、互いに逆向きに傾斜した一対の直動軸受218により、入力側および出力側ディスク2,3からパワーローラ11に負荷されるスラスト方向(図において上下方向)およびトラニオン15の長手方向(図において左右方向)に作用する力の両方を受けることができる。
特開2001−12574号公報 特開2002−235826号公報 特開2003−294099号公報 特開2004−138249号公報 特開2004−169785号公報
前記直動軸受218は、パワーローラ11に生じるスラスト力のみならず、トラクション力も保持する。このトラクション力は、パワーローラ11を傾転軸(枢軸14)方向にずらすように作用し、このずれが生じると、パワーローラ11が中心軸からずれ、サイドスリップが発生し、設定した変速比がずれてしまうという問題が生じる(これを一般にトルクシフトという)。この結果、変速制御が難しくなるだけでなく、操縦性にも悪影響が及ぶことが懸念されるが、直動軸受218を設けたものは、従来からあるピボットシャフト(変位軸23)型に対して軸受の隙間がないため、トルクシフトに対して有利である。
しかしながら、この直動軸受タイプのパワーローラユニットは、図19に示すように、パワーローラ11のトラクション動力接触部にかかる接線力を支持するため、2つの直動軸受218,218に交角を持たせている(2つの直動軸受218,218が互いに逆方向に傾斜する斜面上に配置されている)。そのため、以下のような幾つかの問題が生じる。
すなわち、このように2つの直動軸受218,218に交角を持たせる場合には、その角度精度を厳しくしないと、直動軸受218,218が軌道面に正しく接触しないため、角度精度を上げるための加工工程が複雑になり、コストが高くなってしまう。また、パワーローラ11には大きなスラスト荷重が作用するが、このスラスト荷重によりトラニオン15が弾性変形し、その弾性変形により交角が正しく保てなくなる場合もある。更に、接線力が作用すると、図20に示すように、モーメントMが発生して、パワーローラ11自体が傾いてしまい(倒れてしまう)、パワーローラ11が中心軸からずれて、トルクシフトが発生してしまう虞がある。
なお、特許文献1には、2つの直動軸受に交角を持たせない構造が開示されているが、直動軸受に交角を持たせないだけの構造では、トラニオンの弾性変形時にパワーローラの上下の部分が大きく変形する際、直動軸受が弾性変形の影響を受け易くなる。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、加工工程を複雑化することなくパワーローラのディスク軸方向スライドを支持できるとともに、その支持構造がトラニオンの弾性変形の影響を受け難いトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、第1の軸線と同軸に且つこの第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持されたパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、このトラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪とを備えたトロイダル型無段変速機であって、前記トラニオンは、前記第2の軸線と略平行に延びる本体部と、この本体部の両端部から延びる折れ曲がり壁部と、これらの折れ曲がり壁部から前記第2の軸線に沿って外方に延びる枢軸とから成り、前記本体部の前記第2の軸線方向中央部には、前記第2の軸線と直交する方向に延びる長穴が形成され、前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する軸受が設けられ、前記外輪は、前記パワーローラを回転自在に支持する第1の軸部と、この第1の軸部と略同心的に配置され且つ前記第2の軸線と直交する方向に沿って移動可能に前記トラニオンの前記長穴に支持される第2の軸部とを有し、前記パワーローラと前記両ディスクとの間で生じる接線力を前記第2の軸部と前記トラニオンとの間で支持し、前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間で、かつ、前記軸受の内側に前記長穴を囲むように環状の油案内部材が設けられ、前記油案内部材の前記外輪に当接する面に、前記トラニオンに設けられた潤滑油の油路に連通するとともに前記長穴を略中心とする円環状の第1の油溝が形成され、前記外輪の前記油案内部材に当接する面に、第1の油溝に対向するとともに前記外輪に設けられた潤滑油の油路に連通し、かつ、前記第1の油溝と略同径で前記第2の軸部を略中心とする円環状の第2の油溝が形成されていることを特徴とする。
この請求項1に記載された発明においては、外輪を第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する軸受が、第2の軸線と略平行に延びるトラニオンの本体部と外輪との間に設けられており、したがって、軸受に交角をつける必要がないため、トラニオンの加工工程を簡略化することができ、その結果、製造コストを低減することができる。また、外輪から延びる第2の軸部が第2の軸線と直交する方向に沿って移動可能にトラニオンの長穴に支持され、パワーローラと両ディスクとの間で生じる接線力が第2の軸部とトラニオンとの間で支持されるようになっているため、トラニオンの弾性変形の影響を軸受が受け難い。また、従来のようなピボットシャフト(変位軸)を使用していないため、外輪の加工が簡単になるとともに、パワーローラのディスク軸方向移動に対し、パワーローラのトラニオン軸方向移動がなくなり、それに起因するトルクシフトを緩和することができる。
また、トラニオンの本体部と外輪との間に油案内部材を設け、この油案内部材の外輪と当接する面にトラニオンに設けられた潤滑油の油路に連通するとともに長穴を略中心とする円環状の第1の油溝を設け、外輪の油案内部材に当接する面に、第1の油溝に対向するとともに外輪に設けられた潤滑油の油路に連通し、かつ、第1の油溝と略同径で第2の軸部を略中心とする円環状の第2の油溝を形成しているので、油案内部材を介してトラニオンの油路から外輪の油路に、潤滑油を他所への漏れを防止しつつ供給することができる。
すなわち、油案内部材と外輪との互いに当接する面にそれぞれ設けられた第1の油溝と、第2の油溝との間で潤滑油が移動するため、互いに当接する二つの面により潤滑油の漏れを防止できる。特に、前記長穴が貫通孔の場合に長穴からの油漏れを防止し、前記軸受が直線状の一対のスラストニードル軸受の場合に、一対のスラストニードル軸受同士の間で、かつ、トラニオンの本体部と外輪との間にできる隙間からの油漏れを防止することができる。
また、油案内部材と外輪との互いに当接する面にそれぞれ略同径で円環状の第1の油溝と第2の油溝とが形成されていることから、外輪が第2の軸線と直交する方向に僅かに移動しても、第1の油溝と第2の油溝とが互いにそれらの直径より大きく移動しない限り、第1の油溝と第2の油溝とが少なくとも一部で重なった状態となり、第1の油溝と第2の油溝との間での潤滑油の移動が可能な状態を保持することができる。
また、トラニオン側には油案内部材を取り付け可能とする以外に特に加工を必要とせず、上述のように油漏れを防止する構造を付加してもトラニオンを安価に形成することができる。
また、前記軸受の内側に配置される油案内部材をトラニオンに軸受より先に取り付けるものとした場合に、前記油案内部材を軸受取り付け時に軸受の取り付けを案内して位置決めする部材として利用することが可能である。また、油案内部材で軸受の位置決めを可能な構造とした場合に、組み立て時に油案内部材を軸受の移動を規制する部材の一部、もしくは、使用時の移動を規制する部材の補強として用いることができる。これによりトラニオンにおいて軸受取り付け時の軸受取り付けを案内して位置決めする構造を省略することも可能であり、それに加えて軸受の移動を規制する部材の一部を省略することも可能であり、さらに、軸受の移動を規制する部材を簡素化することも可能となり、トラニオンのコストダウンを図ることができる。
ここで、前記軸受けが円環状のスラストニードル軸受の場合に、油案内部材は軸受の内側として円環状のスラストニードルの内周の内側に配置されるので、油案内部材の外周によりスラストニードル軸受の取り付けの案内及び位置決めや移動の規制をすることが可能となる。
また、前記軸受が直線状の一対のスラストニードル軸受の場合に、油案内部材は軸受の内側として直線状の一対のスラストニードル軸受同士の間に配置されるので、油案内部材の互いに反対側となる二カ所の外周部分で、スラストニードル軸受の取り付けの案内及び位置決めや移動の規制をすることが可能となる。
なお、請求項1において、前記軸受は、請求項2に記載されるように、前記長穴の周囲に略同心的に形成され且つスラスト方向の力を支持する円環状のスラストニードル軸受であっても良い。
上記各請求項において、第2の軸部は、外輪と一体に形成されていても良く、あるいは、外輪と別体に形成されて外輪に取り付けられるようになっていても良い。また、トラニオンに形成される前記長穴は、貫通孔であっても良く、あるいは、底部が閉塞された止り穴であっても構わない。止り穴にした場合には、特に大型車等のように大きいトルクを伝達する場合に穴の周囲に応力集中が生じないため有利である。
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、加工工程を複雑化することなくパワーローラのディスク軸方向スライドを支持できるとともに、その支持構造がトラニオンの弾性変形の影響を受け難い。また、本発明のトロイダル型無段変速機において、トラニオンのコストの低減を図り、かつ、トラニオンの油路から外輪の油路に、潤滑油を他所への漏れを防止しつつ供給することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、トラニオンの揺動軸すなわち第2の軸線と直交する方向に外輪を移動自在に支持する支持構造にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図17〜図20と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1は本発明の第1の実施形態を示している。図示のように、本実施形態において、トラニオン15は、第2の軸線O’と略平行に延びる本体部としての支持板部16と、この支持板部16の両端部から第2の軸線O’に対して傾斜して延びる折れ曲がり壁部20と、これらの折れ曲がり壁部20から第2の軸線O’に沿って外方に延びる枢軸14とから成る。また、支持板部16の長手方向(第2の軸線方向)の略中央部には、第2の軸線O’と直交する方向O”に延びる長穴102が形成されている。この長穴102は、本実施形態の場合、底部が閉塞された止り穴として形成されているが、支持板部16を貫通する貫通孔であっても構わない。
トラニオン15の支持板部16と外輪28との間には、外輪28を第2の軸線O’と直交する方向O”に移動自在に支持する軸受100が設けられている。この軸受100は、支持板部16の内面(外輪28と対向する側の面)を転がり軌道としており、長穴102の周囲に略同心的に配置され且つスラスト方向の力を支持する円環状のスラストニードル軸受として形成されている。
トラニオン15のポケットP内に配置される外輪28は、パワーローラ11を回転自在に支持する第1の軸部106を一方側の面に有し、第1の軸部106と略同心的に配置された第2の軸部104を他方側の面に有している。この場合、第2の軸部104は、第2の軸線O’と直交する方向O”に沿って移動可能に長穴102に支持されている。また、長穴102と第2の軸部104との間には、微小な隙間S(例えば50μm以下)が確保されている。なお、第1の軸部106および第2の軸部104は、外輪28と一体に形成されていても良く、あるいは、外輪28と別体に形成されて外輪28に取り付けられるようになっていても良い。
以上のような構成では、パワーローラ11とディスク2,3との間で生じる接線力が第2の軸部104とトラニオン15との間で支持されるようになる。パワーローラ11がディスク軸方向Xに動く際には、外輪28自体が回転しながら、長穴102の中を第2の軸部104が転がっていく。そのため、フリクションが小さくて済む。なお、パワーローラ11がディスク軸方向Xに動く際には、外輪28の転がり中心とスラストニードル軸受100の中心とが若干ずれるが、そのずれ量は小さいため、問題にはならない。
このように、本実施形態では、外輪28を第2の軸線O’と直交する方向O”に移動自在に支持する軸受100が、第2の軸線O’と略平行に延びるトラニオン15の支持板部16と外輪28との間に設けられている。そのため、軸受100に交角をつける必要がなくなる。したがって、トラニオン15の加工工程を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。また、本実施形態では、外輪28から延びる第2の軸部104が第2の軸線O’と直交する方向O”に沿って移動可能にトラニオン15の長穴102に支持され、パワーローラ11とディスク2,3との間で生じる接線力が第2の軸部104とトラニオン15との間で支持されるようになっている。そのため、トラニオン15の弾性変形の影響を軸受100が受け難い。また、本実施形態の場合、従来のようなピボットシャフト(変位軸)を使用していないため、外輪28の加工が簡単になるとともに、パワーローラ11のディスク軸方向Xへの移動に対し、パワーローラ11のトラニオン軸方向移動がなくなり、それに起因するトルクシフトを緩和することができる。
図2は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態において、トラニオン15の支持板部16と外輪28との間には、外輪28を第2の軸線O’と直交する方向O”に移動自在に支持する一対の軸受112,112が設けられている。これらの軸受112,112は、スラスト方向の力を支持するとともに、トラニオン15に形成された長穴102の両側で第2の軸線方向O’と直交する方向O”に沿って直線状に延びるスラストニードル軸受として形成されている。
また、外輪28に設けられた第2の軸部104と長穴102との間には、ラジアル方向の力を支持する円環状のラジアルニードル軸受(ラジアル軸受)110が介挿されている。この場合、長穴102とラジアルニードル軸受110との間には、微小な隙間(例えば50μm以下)が確保されている。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。
以上のような構成では、パワーローラ11とディスク2,3との間で生じる接線力が第2の軸部104とラジアルニードル軸受110およびトラニオン15との間で支持されるため、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、本実施形態の場合、パワーローラ11がディスク軸方向Xに動く際、ラジアルニードル軸受110は長穴102内を回転するが、外輪28自体は回転することなく水平に移動する。
以下に、第1及び第2の実施形態のトロイダル型無段変速機において、トラニオン15の潤滑油の油路から、外輪28の潤滑油の油路を介して、パワーローラ11の軸受(たとえば、スラスト玉軸受24)に潤滑油を供給する潤滑油供給構造について説明する。
ここで、図1及び図2示されるトロイダル型無段変速機においては、潤滑油供給構造を省略しており、図1及び図2に示す状態で、トラニオン15の潤滑油の油路から、外輪28の潤滑油の油路を介して、パワーローラの軸受に潤滑油を供給する場合に、長穴102を貫通孔としてしまうと、長穴102から潤滑油が漏れる可能性があり、潤滑油の漏れを防止する構造が必要となる。
また、外輪28がトラニオン15の支持板部16に対して、第2の軸線O’と直交する方向O”に移動しても、支持板部16から外輪28に潤滑油を供給可能な構造が必要となる。
また、図2に示すトロイダル型無段変速機においては、一対の直線状のスラストニードル軸受(軸受112,112)の間で、かつ、外輪28の背面と、トラニオン15の支持板部16の内側面との間に隙間が生じ、この隙間から潤滑油が漏れる可能性があり、潤滑油の漏れを防止する構造が必要となる。
また、図2においては、軸受112,112の内側(長穴102側)方向への移動を規制する部材が図示されておらず、軸受112,112の取り付け時や使用時において、軸受112,112の内側への移動を規制する構造が必要となる。
以上のような潤滑油の漏れの防止等の構造を単純にトラニオン15に設けるものとすると、トラニオン15の構造が複雑化し、トラニオン15の加工コストの大きな増加を招く可能性がある。そこで、以下の第3及び第4の実施形態により、トラニオン15の加工コストを増加させることなく、油漏れの防止等の構造を実現できる本発明のトロイダル型無段変速機を説明する。
図3〜図8は、本発明の第3の実施形態を示している。なお、第3の実施形態のトロイダル型無段変速機は、図1に示す第1の実施形態のトロイダル型無段変速機において、パワーローラ11のスラスト玉軸受24に潤滑油を供給する潤滑油供給構造を加えたものであり、以下においては、本発明の特徴部分としての潤滑油供給構造についてのみ言及し、それ以外の部分については、図1と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
ここで、トラニオン15には、図6に示すように、一方の枢軸14の端面に潤滑油の流入口221を有する潤滑油の油路220が形成されている。そして、油路220は、断面円形状で管状の空間(孔)であり、また、複数の流出口222,223,224を有するが、そのうちの流出口222が、支持板部16の外輪28の背面に対向する内側面に開口し、後述の油案内部材210を介して、外輪28に形成された後述の潤滑油の三つの油路230,…の流入口231,…に接続されるようになっている。
第3の実施形態においては、トラニオン15の本体部を成す支持板部16と外輪28との間に、油案内部材210が設けられている。この油案内部材210は、前記トラニオン15の油路220の流出口222から、外輪28の油路230の流入口231に潤滑油を案内(誘導)する部材である。
油案内部材210は、図3に示すように、円板状に形成されるとともに、その中央部に、支持板部16に形成された長穴102とほぼ同形状の長穴211が形成され、円環状とされている。なお、この例において、支持板部16の長穴102は、貫通孔とされている。
そして、油案内部材210は、図4に示すように、トラニオン15の支持板部16の外輪28の背面と対向する内側面に取り付けられるとともに、前記内側面に取り付けられる軸受100であり、かつ、長穴102の周囲に略同心的に配置され且つスラスト方向の力を支持する円環状のスラストニードル軸受の内周側に配置される。
そして、油案内部材210は、軸受100の内周に丁度入り込む大きさとされており、油案内部材210の外径が、軸受100の内径と略等しくされている。また、長穴211の中心が円板状の油案内部材210の略中心となっている。
また、油案内部材210の背面は、支持板部16の平面状の内側面に当接する平面状に形成されている。
そして、油案内部材210を、支持板部16の内側面の軸受100の内側に取り付けた際には、その長穴211と、支持板部16の長穴102とが重なり、油案内部材210の長穴211を外輪28の第2の軸部104が、長穴102の長手方向に沿って移動自在に貫通するようになっている。
従って、環状の油案内部材210は、前記軸受100の内側に前記長穴102を囲むように設けられている。
また、油案内部材210の正面は、外輪28の平面状の背面に当接する平面状に形成されるとともに、長穴211の中心を略中心とする円環状の第1の油溝212が形成されている。
第1の油溝212は、後述するように外輪28の油路230の流入口231に潤滑油を案内させるためのもので、たとえば、断面半円状の溝であり、長穴211の周囲を囲むように形成されている。
そして、油案内部材210の第1の油溝212は、支持板部16に油案内部材210を取り付けた際に、支持板部16の内側面に形成された流出口222と重なる位置に配置されている。そして、図6に示すように、油案内部材210の第1の油溝212には、支持板部16の内側面の流出口222に重なる位置に、潤滑油の油路となる貫通孔213が形成されている。
そして、油案内部材210の背面と支持板部16の内側面とが当接することにより、貫通孔213と流出口222とが連通する部分の周囲を塞いだ状態となり、流出口222から貫通孔213に潤滑油が流出し、貫通孔213から潤滑油が第1の油溝212に流入するようになっている。すなわち、油案内部材210の外輪28に当接する面に、トラニオン15に設けられた潤滑油の油路220に連通するとともに長穴を略中心とする円環状の第1の油溝212が形成されている。また、トラニオン15の油路220の流出口222は、油案内部材210の第1の油溝212と重なり、かつ、貫通孔213に重なる位置に配置されている。
また、図3に示すように、トラニオン15の支持板部16の内側面には、油案内部材210を位置決めするための二つの位置決めピン240,240が形成され、油案内部材210には、前記位置決めピン240,240が挿入される位置決め孔241,241が形成されている。なお、位置決めピン240,240と位置決め孔241,241の位置は、第1の油溝212と重なる位置とされ、油案内部材210(第1の油溝212)の一つの直径状に配置される。すなわち、位置決めピン240,240と位置決め孔241,241の位置は、互いに長穴211の中心に対して180度離れた位置に配置される。
そして、油案内部材210が、位置決め孔241,241に位置決めピン240,240を挿入して位置決めされた状態で、略同形状の長穴211と長穴102が重なり、貫通孔213と流出口222とが重なるようになっている。
また、組み立て時に、軸受100より先に油案内部材210を上述のように位置決めしてトラニオン15に取り付けるものとすれば、軸受100をトラニオン15に取り付ける際に、油案内部材210により軸受100の取り付けを案内させることができるとともに、軸受100の位置決めを行い、取り付け時に軸受100が移動しないように保持し、かつ、使用時に軸受100の移動を規制する部材の一部とすることができる。これにより、支持板部16の円環状の軸受100の周囲に形成された軸受用の案内部材の一部を省略してトラニオン15の加工コストの低減を図ることもできる。
図4,図6及び図7に示すように、前記外輪28の支持板部16の内側面と対向する背面は、油案内部材210の正面と当接し、外輪28の油案内部材210の正面と当接する背面には、第1の油溝212に対向するとともに外輪28に設けられた潤滑油の油路230に連通し、かつ、第2の軸部104を略中心として前記第1の油溝212と略同径の円環状の第2の油溝250が形成されている。そして、第2の油溝250は、断面半円状に形成されている。
そして、第2の軸部104が支持板部16の長穴102の中央にある場合には、油案内部材210の正面の第1の油溝212と、外輪28の背面の第2の油溝250とが略完全に重なり、互いに当接する油案内部材210の正面と、外輪28の背面とに周囲を塞がれた状態で、互いに重なる第1の油溝212と第2の油溝250とが合わせられて円環状でかつ管状の空間が形成され、この空間内に貫通孔213から潤滑油が流入するようになっている。
また、図7及び図8に示すように、第2の軸部104が支持板部16の長穴102の中央からずれた場合、すなわち、外輪28が第二の軸線と直交する方向に移動した場合に、図8に示すように、第1の油溝212と第2の油溝250とが略完全に重なった状態からずれても、第1の油溝212と第2の油溝250との一部が必ず重なった状態となるので、第1の油溝212から第2の油溝250への潤滑油の流動が可能な状態が保持される。
また、図7に示すように、第1の油溝212の第2の油溝250と重ならない部分は、外輪28の背面に塞がれた状態となり、第2の油溝250の第1の油溝212と重ならない部分は、油案内部材210の正面により塞がれた状態となり、外輪28が移動しても油漏れを防止できる。
そして、外輪28には、第2の油溝250の位置に、外輪28の3つの油路230,…のそれぞれの流入口231が3つ設けられている。また、流入口231,…は、第2の油溝250の周方向に沿ってほぼ等間隔に設けられている。すなわち、流入口231,…は、円環状の第2の油溝250の中心に対して略120度間隔で配置されている。
また、油路230,…は、外輪の第1の軸部106及び第2の軸部104の軸方向と平行な直線状となっており、油路230,…の流出口232,…は、第1の軸部106の周囲に配置される。すなわち、外輪28等から形成されるスラスト玉軸受24の玉26,26の内側に流出口232,…が配置され、スラスト玉軸受24に潤滑油を供給するようになっている。
また、外輪28の第2の軸部104は、貫通孔としての支持板部16の長穴102に貫通した状態に配置され、図7に示すように、第2の軸部104の支持板部16より後ろに突出する後端部に止め輪105が取り付けられ、これにより長穴102の長さ方向(第2の軸線方向に直交する方向)に沿って移動自在に外輪28が支持板部16に取り付けられている。なお、この際に、外輪28の背面と油案内部材210との間に油漏れが生じないように止め輪105の位置を調整する必要がある。
以上のような第3の実施形態のトロイダル型無段変速機によれば、第1の実施形態のトロイダル型無段変速機において、長穴102を貫通孔としても、長穴102からの潤滑油の流出を防止できる。
すなわち、トラニオン15の油路220の支持板部16の内側面に形成された流出口222から油案内部材210の貫通孔213に潤滑油が流出し、貫通孔213から油案内部材210の正面側の円環状の第1の油溝212に潤滑油が流出する。そして、潤滑油が上述のように漏れることなく、第1の油溝212から外輪28の背面の第2の油溝250に流入し、第2の油溝250から外輪28の油路230を介してパワーローラ11の軸受としてのスラスト玉軸受24に供給される。
また、油案内部材210を軸受100より先に支持板部16に取り付けることで、油案内部材210を軸受100の取り付けの際の位置決め及び取り付けの案内をする部材として用いることができ、かつ、使用時に軸受100の移動を規制する部材の一部として使用することができる。
以上のような機能をトラニオン15に油案内部材210を取り付けることで実現することができるので、トラニオン15に複雑な構造を設ける必要がなく、トラニオン15の加工コストを増加させずに、上述の機能を低コストで実現することができる。
図9〜図14は、本発明の第4の実施形態を示している。なお、第4の実施形態のトロイダル型無段変速機は、図2に示す第2の実施形態のトロイダル型無段変速機において、第3の実施形態と同様に、パワーローラ11のスラスト玉軸受24に潤滑油を供給する潤滑油供給構造を加えたものであり、以下においては、第2の実施形態及び第3の実施形態と異なる部分のみ言及し、それ以外の部分については、図2〜図8と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。なお、第3の実施形態において、図9が図3に、図10が図4に、図11が図5に、図12が図6に、図13が図7、図14が図8に対応する。
なお、第3の実施形態と第4の実施形態との主な相違点は、外輪28と支持板部16との間に配置される軸受が、第3の実施形態において、円環状のスラストニードル軸受(軸受100)であるのに対して、第4の実施形態においては、直線状の一対のスラストニードル軸受となっている点と、第3の実施形態において支持板部16の長穴102が貫通孔であるのに対して第4の実施形態で止め穴となっている。また、第3の実施形態で長穴102に外輪28の第2の軸部104がそのまま挿入されるのに対して、第4の実施形態では、第2の軸部104と長穴102のとの間にラジアルニードル軸受100が介挿されている。
第4の実施形態においては、第3の実施形態と同様に、トラニオン15の本体部を成す支持板部16と外輪28との間に、油案内部材210が設けられている。この油案内部材210は、第3の実施形態と同様の構造を有するものとなっている。
但し、第3の実施例において、油案内部材210の長穴211が支持板部16の長穴102と同様の形状を有していたのに対して、第4の実施形態においては、支持板部16の長穴102には、外輪28の第2の軸部104が挿入されたラジアルニードル軸受110が挿入され、油案内部材210の長穴211には第2の軸部104だけが貫通することから、支持板部16の長穴102に対して油案内部材の長穴211が一回り小さな大きさとされている。
また、第3の実施形態において、油案内部材210が円環状のスラストニードル軸受である軸受100の内側に配置されていたのに対して、第4の実施形態では、油案内部材210は、支持板部16に取り付けられる直線上の一対のスラストニードル軸受である軸受112,112同士の間(内側)に、これら軸受112,112に外周がほぼ当接するように配置されている。
すなわち、油案内部材210の径は、一対の軸受112,112同士の間の間隔と略等しくされている。
その他の構成は、第3の実施形態と同様であり、第3の実施形態と類似の作用効果を得ることができる。
すなわち、第4の実施形態のトロイダル型無段変速機によれば、第2の実施形態のトロイダル型無段変速機において、一対の軸受112,112同士の間で、かつ、外輪28の背面と、支持板部16の内側面との間の左右に生じる隙間からの潤滑油の流出を防止できる。
すなわち、トラニオン15の油路220の支持板部16の内側面に形成された流出口222から油案内部材210の貫通孔213に潤滑油が流出し、貫通孔213から油案内部材210の正面側の円環状の第1の油溝212に潤滑油が流出する。そして、潤滑油が上述のように漏れることなく、第1の油溝212から外輪28の背面の第2の油溝250に流入し、第2の油溝250から外輪28の油路230を介してパワーローラ11の軸受としてのスラスト玉軸受24に供給される。
また、組み立て時に、軸受100より先に油案内部材210を上述のように位置決めしてトラニオン15に取り付けるものとすれば、軸受112,112をトラニオン15に取り付ける際に、油案内部材210により軸受112,112の取り付けを案内させることができるとともに、軸受112,112の位置決めを行い、取り付け時に軸受112,112が移動しないように保持し、かつ、使用時に軸受112,112の移動を規制する部材の一部として利用することができる。これにより、支持板部16の直線状の一対の軸受112,112の周囲に形成された軸受用の案内部材の一部を省略してトラニオン15の加工コストの低減を図ることもできる。
なお、第2の実施形態及び第4の実施形態においては、図2、図9及び図10に示すように、支持板部16において、軸受112,112の周囲のうち、一対の軸受112,112の内側に軸受112,112の移動を規制する部材が図示されておらず、省略された形状となっているが、支持板部16に油案内部材210を取り付けることで、一対の軸受112,112の互いに近づく方向(内側)への移動が規制され、支持板部16における構造を一部省略してトラニオン15の加工コストを低減した状態となる。
以上のような機能をトラニオン15に油案内部材210を取り付けることで実現することができるので、トラニオン15に複雑な構造を設ける必要がなく、トラニオン15の加工コストを増加させずに、上述の機能を低コストで実現することができる。
なお、図15に示すように、第2の実施形態のトロイダル型無段変速機において、支持板部16の内側面の左右側縁部に、軸受112,112と略同じ厚みのリブ113,113を一方の軸受112から他方の軸受112に渡って形成することで、一対の軸受112,112同士の間で、かつ、外輪28の背面と、支持板部16の内側面との間の左右に生じる隙間を塞ぐことができ、この隙間からの潤滑油の流出を防止することができる。
さらに、図16に示すように、上記リブ113,113に一対の軸受112,112の内側となる部分に軸受112,112の側面に沿って突出部115,…を形成すること、すなわち、支持板部16の一対の軸受112,112の互いに対向する側縁に沿った位置に、前記側縁に略当接するように突出部115,…を形成することで、軸受112,112の移動を完全に規制することができる。
しかし、リブ113,113や突出部115,…を形成することで、トラニオン15の加工箇所が増加し、トラニオン15の加工コストが増大することになり、トラニオン15の構造を簡素化する上では、第3及び第4の実施形態に示すように油案内部材210を用いることが好ましい。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なトロイダル型無段変速機に適用することができる。
本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部を示す図であって、(a)は分解斜視図であり、(b)は半断面にした斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示す要部の分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示す要部の分解斜視図である。 第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示す要部の分解斜視図である。 第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の外輪を取り付けた状態のトラニオンの正面図である。 第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の外輪を取り付けた状態のトラニオンの一部を破断した側面図である。 図5のB−B線に沿う断面図である。 第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機における第1の油溝と第2の油溝との関係を説明するための図である。 本発明の第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示す要部の分解斜視図である。 第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示す要部の分解斜視図である。 第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の外輪を取り付けた状態のトラニオンの正面図である。 第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の外輪を取り付けた状態のトラニオンの一部を破断した側面図である。 図11のC−C線に沿う断面図である。 第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機における第1の油溝と第2の油溝との関係を説明するための図である。 第2の実施形態の変形例に係るトロイダル型無段変速機を示す要部の分解斜視図である。 第2の実施形態の変形例に係るトロイダル型無段変速機を示す要部の分解斜視図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図17のA−A線に沿う断面図である。 直動軸受を有するトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 図19の構成においてトルクシフトが生じた状態を示す要部断面図である。
符号の説明
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
14 枢軸
15 トラニオン
16 支持板部(本体部)
20 折れ曲がり壁部
28 外輪
100 スラストニードル軸受(軸受)
102 長穴
104 第2の軸部
106 第1の軸部
110 ラジアルニードル軸受(ラジアル軸受)
112 スラストニードル軸受(軸受)
212 第1の油溝
220 油路
230 油路
250 第2の油溝
O 第1の軸線
O’ 第2の軸線

Claims (2)

  1. 第1の軸線と同軸に且つこの第1の軸線方向に対向して配置された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスクの間に挟持されたパワーローラと、前記両ディスクの間において前記第1の軸線に対して捩れの位置にある第2の軸線を中心に揺動自在に設けられたトラニオンと、このトラニオンの前記第2の軸線方向中央部に設けられたポケット部に収容されるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する外輪とを備えたトロイダル型無段変速機において、
    前記トラニオンは、前記第2の軸線と略平行に延びる本体部と、この本体部の両端部から延びる折れ曲がり壁部と、これらの折れ曲がり壁部から前記第2の軸線に沿って外方に延びる枢軸とから成り、前記本体部の前記第2の軸線方向中央部には、前記第2の軸線と直交する方向に延びる長穴が形成され、
    前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間には、前記外輪を前記第2の軸線と直交する方向に移動自在に支持する軸受が設けられ、
    前記外輪は、前記パワーローラを回転自在に支持する第1の軸部と、この第1の軸部と略同心的に配置され且つ前記第2の軸線と直交する方向に沿って移動可能に前記トラニオンの前記長穴に支持される第2の軸部とを有し、
    前記パワーローラと前記両ディスクとの間で生じる接線力を前記第2の軸部と前記トラニオンとの間で支持し、
    前記トラニオンの前記本体部と前記外輪との間で、かつ、前記軸受の内側に前記長穴を囲むように環状の油案内部材が設けられ、
    前記油案内部材の前記外輪に当接する面に、前記トラニオンに設けられた潤滑油の油路に連通するとともに前記長穴を略中心とする円環状の第1の油溝が形成され、
    前記外輪の前記油案内部材に当接する面に、第1の油溝に対向するとともに前記外輪に設けられた潤滑油の油路に連通し、かつ、前記第1の油溝と略同径で前記第2の軸部を略中心とする円環状の第2の油溝が形成されていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記軸受は、前記長穴の周囲に略同心的に形成され且つスラスト方向の力を支持する円環状のスラストニードル軸受であることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
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