JP4658149B2 - 船舶駆動機 - Google Patents

Description

発明の分野

本発明は、船舶駆動機に関する。

発明の背景

船舶駆動機は好都合には３つのカテゴリーに分類できる。すなわち、
（i）船内モータ
（ii）船外モータ
（iii）船尾駆動機である。

船内モータおよび船外モータについては、米国特許第６，１８６，８４５号明細書の前文に記載され、そこでは、船尾駆動機として公知のタイプの駆動機の一実施形態が開示されている。このタイプの駆動機では、モータはボートのトランサム上または直接船内に取り付けられており、その駆動シャフトは、トランサムおよび下方に船体の外側のフェアリング内を通過し、フェアリングの下端にあるギヤセットおよびプロペラシャフトに達する。

船尾駆動機において対処しなければならない技術的複雑性は２つの要因から発生する。第１に、フェアリングは垂直または略垂直軸回りで回転し、これにより前後の線に対してある角度にプロペラの推進力を方向付け、それによって操縦を可能にできなければならない。第２に、フェアリングを「調整する」ことが可能でなければならない。この調整は、フェアリングを水平軸回りに傾けてフェアリングのピッチを変えることを意味する。これによって、プロペラの推進力を、水平または水平に対して所望の角度に方向付ける。この運動はまた、フェアリングを上にあげるために用いられ、それによって船はトレーラ上に積まれるか、または海岸に乗り上げることができる。

米国特許第６，１８６，８４５号明細書には、フェアリングの操縦運動と、フェアリングのピッチを調節し、フェアリングを上にあげて船をトレーラ上に積み込むことを可能にするために必要なフェアリングの傾斜運動とを可能にする船尾駆動機が開示されている。

ＰＣＴ公開公報第２００４／０８５２４５号明細書には、別の形態の船尾駆動機が開示されている。完全なリストを挙げるものではない、他の形態の船尾駆動機が、米国特許第６，４６８，１１９号明細書、第５，６０１、４６４号明細書、第４，０３７，５５８号明細書、第３，８４７，１０８号明細書および第３，１６６，０４０号明細書に開示されている。

従来の船尾駆動機は、エンジンのクランクシャフトが、ユニバーサルジョイント、またはより一般的には２つのユニバーサルジョイントを用いて、出力シャフトを駆動する配置を基本にしている。ユニバーサルジョイントの代わりに、定速度ジョイントが提案されてきた。出力シャフトは水平または略水平で、出力シャフトが垂直または略垂直なギヤセットを駆動する。垂直な出力シャフトは下部ギヤセットを駆動し、次にプロペラシャフトを駆動する。

モータを支持し、ボートの固定部上に取り付けられるジンベルが設けられる。ジンベルは、通常、垂直または垂直に近い軸回りの運動のために取り付けられる。ステアリングアームがジンベルに接続される。ジンベルをその垂直な取り付け軸回りに回転させることによって、ジンベルとフェアリング全体を、ジンベルの垂直軸回りに移動させ、それによって、プロペラのスラストを、ボートの前後の線に対してある角度に方向付け、船を操縦可能にする。

ジンベル上のフェアリングは、通常、水平軸回りに取り付けられる。１つ以上のラムを用いて、ジンベルに対してこの水平軸回りにフェアリングを傾けることによって、フェアリングは上下に調整し、積み込みのために上にあげることができる。

クランクシャフトと水平出力シャフトとの間に設けられたユニバーサルまたは定速度ジョイントによって、フェアリングがジンベルとともに（垂直なステアリング軸回りに）、ジンベルに対して（水平なトリム軸回りに）動くにつれて、これらのシャフトが相互に動くことができる。

この標準的なシステムの改良品が、最近では市販されている。この形態では、ジンベルはフェアリングとともに水平軸回りに動くように船に取り付けられ、フェアリングの調整を可能にしている。フェアリングは、ジンベルに対して、垂直軸回りに動くようにジンベルに取り付けられている。ステアリングアームは、操縦目的で、ジンベルに対してこの垂直軸回りにフェアリングを移動させる。

米国特許第６，１８６，８４５号明細書の取り付け構造は、ユニバーサルジョイントを用いなくてもよいが、モータとフェアリング全体が、調節運動の間に動くという不具合がある。これは、通常の位置でモータが占有する空間に加えて、ある空間が設けられなければならず、この空間内では、フェアリングを積み込みのために上にあげると、モータが移動できることを意味する。

上述のような従来の船尾駆動機のギヤセットは、モータのクランクシャフトから駆動される第１のベベルピニオンと、第１のベベルピニオンと噛み合い、反対方向に回転する第１および第２のベベルギヤと、第１のベベルギヤまたは第２のベベルギヤを第１の横シャフトに接続するための逆転クラッチとを含むことができる。したがって、第１の横シャフトは、第１または第２のベベルギヤが当該第１の横シャフトに接続されているかどうかによって、反対方向に回転することになる。第１の横シャフトの回転は、出力シャフトに伝達される。

第１および第２のベベルギヤは、第１のベベルピニオンの反対側で、第１の横シャフト上に同軸に支持されている。このように、クラッチを用いて第１または第２のベベルギヤのいずれかを第１の横シャフトに接続することにより、出力シャフトの回転方向を前方および後方状態に変える。第１および第２のベベルギヤはそれぞれ、円錐形のクラッチ面を形成する突出部を有することができ、クラッチは、第１および第２のベベルギヤの間で、ヘリカルスプラインを備える第１の横シャフトに接続されたクラッチ要素を含むことができる。クラッチ要素は、第１の横シャフト上を軸方向に摺動し、ベベルギヤのうちの１つの円錐形のクラッチ面を係合させることによって、第１または第２のベベルギヤのいずれかに接続されることができる。

ヘリカルスプラインの向きは、クラッチ要素が第１または第２のベベルギヤのうちの一方に接続され、そのベベルギヤから第１の横シャフトにトルクを伝達する場合に、クラッチ要素が、クラッチ要素とスプラインとの間の相互作用によって引き込まれて特定のベベルギヤと係合するように向けられている。この結果、クラッチは係合状態を維持し、この間にトルクが伝達され、クラッチを係合するのにほとんど力を要しない。しかし、自己係合するスプラインの作用に打ち勝ち、これによりクラッチを切り離すのに要する力は極めて大きい。したがって、クラッチ要素が第１の横シャフト上に移動する機構は、大きな軸方向力をクラッチ要素上に作用させることができなければならない。

この種のギヤセットでは、従来は、クラッチは、クラッチ要素を第１の横シャフト上でフォーク形状のセレクタとともに摺動させ、クラッチ要素を円周の移動溝に係合させることによって作動される。しかし、明らかにベベルギヤを通り越えなければならないこのタイプのセレクタは、これらのギヤセットで重要視されるようになる空間を必要とし、これらのセレクタの空間要求によって、小型の新しいタイプの船尾駆動機の発達が妨げられる。ギヤセットは、トランサムの船尾の方にあり、船舶駆動機の流体力学作用は、このギヤセット、ギアボックスケースおよび円筒形ハウジングなどの大きさによって、大きな影響を受け得ることに留意されたい。

本発明の主たる目的は、好ましくは改良された逆転クラッチを含む、改良された船尾駆動機を提供することにある。

発明の簡単な説明

本発明の第１の態様によれば、
船の船尾に取り付け可能な外側構造体と、
外側構造体内で支持されたハウジングと、
ハウジング内部のギヤセットおよび逆転クラッチであって、上記ギヤセットが、横軸回りに回転可能なピニオンを含んでいる、ギヤセットおよび逆転クラッチと、
フェアリング内を下向きに延びる出力シャフトと、
を備える船尾駆動機であって、
ハウジングは、操縦目的のために外側構造体内で回転可能であり、フェアリングと出力シャフトは、上記ピニオンの横軸回りに回転可能であり、それによってフェアリングを上げ、下げ、およびバランスを取ることができる船尾駆動機が提供される。

外側構造体に対するハウジングの回転軸は、傾斜した角度で延びていてもよい。

上記ギヤセットおよび逆転クラッチは、
モータに接続可能な第１のベベルピニオンと、
ベベルピニオンの直径方向の反対側でベベルピニオンと噛み合い、同軸上にある第１および第２のベベルギヤであって、各ベベルギヤは円錐形のクラッチ面を画成している、第１および第２のベベルギヤと、
ベベルギヤを軸方向に貫通する第１の横シャフトと、
ベベルギヤ間で横シャフト上に配置されたクラッチ要素であって、上記クラッチ要素は、それぞれがベベルギヤのうちの一方のクラッチ面と相補的である、２つの円錐面を画成している、クラッチ要素と、
上記第１の横シャフト上のヘリカルピニオンと、
上記ヘリカルピニオンと噛み合い、第２の横シャフトによって支持されるヘリカルギアと、
第２の横シャフトによって支持され、上記出力シャフトによって支持された第３のベベルギヤと噛み合う第２のベベルピニオンであって、上記フェアリングは第２の横シャフトの軸回りで回転する、第２のベベルピニオンと、
を備えることができる。

フェアリングは、ラムによって移動でき、ラムのシリンダは、上記ハウジングの一部を形成し、ラムのロッドは、上記フェアリングの延長部を形成する構造体に接続されてもよい。

上記出力シャフトは、最初に述べた出力シャフトに平行な、別の出力シャフト上でギアと噛み合うピニオンを駆動することもできる。出力シャフトは、同軸のプロペラシャフトを駆動し、出力シャフトが反対方向に回転し、プロペラシャフトもまた反対回転するように配置されている。

船尾駆動機は、ピニオンから駆動される、第３の出力シャフトを含むこともできる。例えば、第３の出力シャフトは、ピニオンと噛み合うギアまたは第２の出力シャフトのギアと噛み合うギアを有してもよい。

上記フェアリングは、一体に取り付けられた一組の側部と、側部に取り付けられた上部とを備えることができる。

出力シャフトは、上記フェアリングから上方に延び、上記ロッドが接続される回動構造体によってケース自体が延び得る細長のケース内にあってもよい。回動構造体は、上記第２の横シャフト上に取り付けでき、フェアリングを上げ下げしている間、および調整の間に、第２の横シャフト回りに回転できる。

第１の横シャフトは、クラッチ要素が係合するヘリカルスプラインを画成できる。さらに横シャフトは、横シャフトの両端部の少なくとも１つから軸方向に延びる中心通路を画成し、中心通路は、半径方向に突き出る少なくとも１つの内側凹部を形成する。船尾駆動機は、横シャフトの中心通路内に同軸に配置され、中心通路内を軸方向に摺動可能なセレクタロッドと、セレクタロッドから横方向に延びる少なくとも１つのセレクタピンとをさらに含み、少なくとも１つのスロットが、横シャフト内で画成され、中心通路からシャフトの外側に延び、シャフトのヘリカルスプラインとほぼ位置を合わせられる方向を有し、セレクタピンは、セレクタロッドからスロットを通って、クラッチ要素内に形成された内側凹部にと延びている。

本発明の別の態様によれば、ギヤセットおよび逆転クラッチを含む船尾駆動機が提供され、この船尾駆動機は、
入力シャフトに接続可能なベベルピニオンと、
ベベルピニオンの直径方向の反対側でベベルピニオンと噛み合い、同軸上にある第１および第２のベベルギヤであって、各ベベルギヤは円錐形のクラッチ面を画成する、第１および第２のベベルギヤと、
軸方向にベベルギヤを貫通する横シャフトであって、上記横シャフトは、ヘリカルスプラインと、ヘリカルスプラインの両端のうちの少なくとも１つから軸方向に延びる中心通路とを画成する、横シャフトと、
横シャフト上で、ベベルギヤの間にヘリカルスプラインと係合して配置されたクラッチ要素であって、上記クラッチ要素は、半径方向に延びる少なくとも１つの内側凹部を画成し、上記クラッチ要素は、それぞれがベベルギヤのうちのクラッチ面の１つと相補的である、２つの円錐表面を形成する、クラッチ要素と、
を備える船尾駆動機であって、
逆転クラッチは、横シャフトの中心通路内に軸方向に配置され、中心通路内を軸方向に摺動可能なセレクタロッドと、
セレクタロッドから横方向に突き出る少なくとも１つのセレクタピンと、
を含み、
少なくとも１つのスロットが、横シャフト内に画成され、中心通路からシャフトの外側に延び、シャフトのヘリカルスプラインとほぼ位置を合わせられる向きを有し、セレクタピンは、セレクタロッドからスロットを通って、クラッチ要素内に画成された内側凹部内に延びている。

逆転クラッチは、セレクタロッドから直径方向で反対方向に延びる２つのセレクタピンを含むことができる。セレクタピンはそれぞれ、別々のスロットを通って、クラッチ要素の別々の内側凹部内に達する。

クラッチ要素内の各内側凹部は、クラッチ要素の外周にまで延び、各セレクタピンは、サークリップなどの保持要素によって、その内側凹部内で固定保持されることができる。

クラッチは、セレクタロッドの軸方向の移動を達成するよう構成されたプランジャに接続されるダイヤフラムを含むこともできる。ダイヤフラムは、中心通路がそこから延びる横シャフトの端部と隣接して配置される。

本発明を詳細に理解する目的で、また本発明がどのように実行可能であるかを示すために、次に非限定の例として、添付図面の参照がなされる。

図面に沿っての詳細な説明

図面の図１〜図６に示される船尾駆動機１０は、船の傾斜トランサム１４に取り付けられたモータ１２を備える。トランサム１４内に設けられた開口１８で船尾駆動機を取り付ける構造体１６は、一部が船内にあり、一部が船外にある。

ステアリングアームが参照符号２０で示され、アームに接続されるステアリングシリンダが２２で示されている。

船尾駆動機のフェアリングは参照符号２４で示されている。フェアリングは、水平軸回りに回動するために取り付けられている。フェアリングはまた、以下により詳細に説明されるように、ステアリング軸回りに動くよう取り付けられている。

フェアリング２４の下端部にはベベルギヤ２６があり、このベベルギヤ２６によって駆動されるプロペラシャフトが２８で示されている。シャフト２８は、スリーブ３０を貫通する。スリーブ３０内では、シャフト２８用の軸受３２が取り付けられている。別の軸受が３４で示されている。プロペラが参照符号３６で示され、ナット３８でシャフト２８に固定されている。

構造体１６は中空で、ギヤセットとクラッチハウジング４４を取り付ける２つの軸受および封止体４０、４２を収容することができるように構成されている。ステアリングアーム２０は、ハウジング４４に接続され、以下に説明されるように、ステアリング目的で、ハウジング４４を往復移動させる。

ギヤセットおよび逆転クラッチが図５および図６では４６で示され、図８では、図１０〜図１２でより詳細に示されるクラッチの構成要素とともに、より詳細に図示されている。ギヤセットおよび逆転クラッチ４６はハウジング４４内にある。図８では、軸受封止体４２の封止体が示されている。軸受は封止体の上方にあるが、図示されていない。

入力シャフト４８は、入力シャフトをモータ１２のクランクシャフト（図示せず）に固定可能にするスプライン（図示せず）の配列を有する。シャフト４８は軸受５２、５４内で回転し、軸受５２、５４は、ハウジング４４にボルト締めされた軸受スリーブ５６内に設けられている。ナット５８が軸受５２、５４をシャフト４８に固定し、シャフト封止体が参照符号６０で示されている。スリーブ５６は外側にキー溝を付けられ、アーム２０が当該スリーブ５６に連結される。

ハウジング４４は半円筒形の２つの外側シェル４４．１、４４．２と中心部４４．３とを備える。

第１のベベルピニオン６２が入力シャフト４８と一体化されている。第１のベベルギヤ６４と第２のベベルギヤ６６とが、第１の横シャフト６８上に同軸に支持され、反対側では、第１および第２のベベルギヤ６４、６６は、第１のベベルピニオン６２と噛み合っている。第１および第２のベベルギヤ６４、６６は、軸受７０上の第１の横シャフト６８上に支持されている。第１および第２のベベルギヤは、第１の横シャフトの動きとは無関係に、逆回転することが理解されるべきである。外側軸受７２がハウジングアセンブリ４４の中心部４４．３内で、第１および第２のベベルギヤ６４、６６を取り付けるために設けられている。

第１の横シャフト６８は、その中心部に沿って形成されるヘリカルスプライン７４を有している。第１の横シャフトは、スリーブ状のクラッチ要素７６を貫通している。クラッチ要素７６は、相補的な内側ヘリカルスプラインを有している。クラッチ要素７６は、外側で、円錐形のクラッチ面７８を有し、クラッチ面７８は、第１および第２のベベルギヤ６４、６６それぞれの突起部８２内で形成された相補的な内側円錐クラッチ面８０と協働する。

クラッチ要素７６は、第１の横シャフト６８のヘリカルスプライン上を螺旋形に摺動することができ、それによって、クラッチ面７８のうちの１つが、第１のベベルギヤ６４または第２のベベルギヤ６６のいずれかの対応するクラッチ面８０と係合する。係合すると、クラッチ要素７６は、ヘリカルスプライン間の相互作用のために、自力で係合位置を保つ。

このように、クラッチアセンブリは、クラッチ要素７６を介して第１の横シャフト６８に後方状態で第１のベベルギヤ６４を接続し、第２のベベルギヤ６６を第１の横シャフト６８に前方状態で接続し、および、第１、第２のベベルギヤのいずれも第１の横シャフトに中立の状態で接続しないように、または第１、第２のベベルギヤを両方とも第１の横シャフトに中立の状態で接続するように、構成されている。

ヘリカルピニオン８４は、第１の横シャフト６８にキーで係合され、軸受８６内で回転する。ピニオン８４は、同様に取り付けられ、第２の横シャフト９０にキーで係合されたヘリカルギア８８と噛み合っている。第２のベベルピニオン９２が、第２の横シャフト９０に固定され、出力シャフト９６の一部を形成する第３のベベルギヤ９４と噛み合っている。第３のベベルギヤ９４は、軸受ハウジング１００内に取り付けられた軸受９８内で回転する。軸受ハウジング１００は、１４６で示された回動構造体内にある。サークリップ１４８が、構造体１４６内でハウジング１０４を保持している。

出力シャフト９６は内側のスプラインを画成し、それによって、出力シャフト９６は、その下方端部でベベルピニオン１１０とともに外側でキー溝を付けられた傾斜シャフト１０６に接続可能であり、プロペラ３６を駆動させるためにギア２６と噛み合う。

図８では、ハウジング４４の左側が、ヘリカルピニオンとギアの別のセットを収容するように構成されていることに留意されたい。２つの船尾駆動機を備える船に関しては、有利には、一方の船尾駆動機がハウジング４４の左側でギヤセットを有し、他方の船尾駆動機が、そのハウジング４４の右側でギヤセットを有する。

次に図１０〜図１２を参照すると、ギヤセットおよび逆転クラッチ４６の一部を形成するクラッチアセンブリ１０２の詳細部は、中心通路１７０内を同軸で摺動可能なセレクタロッド１６８を含んでいる。中心通路１７０は、第１の横シャフト６８内部で、ピニオン８４を駆動する端部とは反対の端部から、すなわち図面の左側から、形成されている。

２つのセレクタピン１７２は、セレクタロッド１６８から直径方向で反対方向に、ロッド右側端近くで、横向きに突き出る。セレクタピン１７２は、中空ピンの形状であって、それぞれが、セレクタロッド１６８内の円周スロットで摺動可能に受け入れられる突起部を有する。この実施形態では、セレクタロッド１６８は、セレクタピン１７２に対して回転可能である。

本発明の代替実施形態では、セレクタロッド１６８に形成されたスロット内で摺動する突起部を有する代わりに、セレクタピン１７２は、セレクタロッド内の横方向の開口を通って突き出る単一のピンの形状であってもよい。この実施形態では、セレクタロッド１６８とセレクタピン１７２とは一緒に回転する。

２つの直径方向に反対のスロット１７４が、ヘリカルスプライン７４の領域において、中心通路１７０からシャフトの外面に延びる第１の横シャフト６８に画成されている。各スロット１７４は、セレクタピン１７２の直径とほぼ同じ幅を有し、ヘリカルスプライン７４にほぼ位置合わせされている。

半径方向の開口１７６の形状の２つの内側凹部が、クラッチ要素７６内に形成され、直径方向の反対に対向し、同軸上にある。各開口１７６の直径は、セレクタピン１７２の外径とほぼ同じである。

セレクタピン１７２は、セレクタロッド１６８からスロット１７４を通って開口１７６に延び、そこに緊密に嵌合している。したがって、セレクタロッド１６８が中心通路内で軸方向に摺動する場合、セレクタピン１７２は、スロット１７４内で摺動し、クラッチ要素７６を軸方向に移動させる。当業者であれば、第１の横シャフトに対するセレクタピン１７２とクラッチ要素７６の動きは、純粋に軸方向ではなく、螺旋状であることは理解されるであろう。この理由は、セレクタピンがスロット１７４内を摺動し、クラッチ要素がヘリカルスプライン７４上を摺動するからである。クラッチ要素７６の螺旋状の動きによって、上述のように、そのクラッチ面７８が、クラッチ面８０と係合およびそこから解放されることができる。

セレクタピン１７２は、開口１７６の外側端部内のサークリップなどの保持要素（図示せず）または、クラッチ要素の周辺回りに延びる保持ばねによって、周辺溝１７８内のセレクタピンの位置に保持されている。

クラッチ１０２は、セレクタロッド１６８に軸方向の移動を与えるために、多数の方法で作動することができる。しかし、図示された、本発明の好ましい実施形態においては、クラッチは、チャンバ１８２内に収容されたダイヤフラム１８０を含む。チャンバ１８２内では、ダイヤフラム１８０は、チャンバ内の油圧をダイヤフラムの片側に印加することによって左右に移動することができる。ダイヤフラム１８０は、セレクタロッド１６８に横向きの配置で接続されている。続いて、ダイヤフラムの変位によって、セレクタロッドが軸方向に移動し、これにより上述のようにクラッチが作動する。

一実施形態では、セレクタピン１７２がセレクタロッド１６８を通って突き出し、これによりセレクタピンとセレクタロッドとが第１の横シャフト６８とともに回転する。セレクタロッドは、この結合内で回転可能に摺動するために、軸受を介してダイヤフラム１８０に接続されることができる。

油圧作動および、ダイヤフラム１８０から中心通路１７０とスロット１７４を通ってクラッチ要素７６に延びる構成要素とを用いることによって、クラッチ作動機構を極めて小型化することができる。これは重要である。というのは、クラッチ作動機構は、ハウジング４４内に収容されなければならないギヤセットとクラッチ４６の一部を形成し、それが、次に、船尾駆動機１０のステアリング動作の一部として回転できなければならないからである。

図７の船尾駆動機は、シャフト９６が第１の傾斜出力シャフト１１４の上端部にあるピニオン１１２を駆動するという点で、図１〜図６の船尾駆動機とは異なっている。ピニオン１１２は、第２の傾斜シャフト１１８の上端部にあるギア１１６と噛み合う。シャフト１１４、１１８は、その下端にベベルピニオン１２０、１２２を有する。これらのベベルピニオンは、２つの反対回転するプロペラシャフト１２８、１３０上の別のベベルギヤ１２４、１２６と噛み合う。

フェアリング２４（特に図９を参照のこと）は、２つの側部１３２、１３４と、上部１３６とを備える。側部１３２、１３４の下部は、略半円筒形であり、プロペラシャフト２８（またはプロペラシャフト１２８、１３０）を受ける。より具体的には、スリーブ３０は、チューブ１３８の一部であって、チューブ１３８はその先端で閉じられ（図５、６、７参照のこと）、軸受３４を収容している。側部１３２、１３４のうち２つの半円筒形部分はチューブ１３８を収容している。

側部１３２、１３４は、それらの上端部で水平なウェブ１４０を有する。ウェブ１４０は、フェアリングの製造中に上部１３６に固定されている。

傾斜シャフト１０６（または傾斜シャフト１１４、１１８）が、製造中に側部１３２、１３４間で締め付けられる、傾斜した細長いケース１４２内にある。

図１〜８を参照すると、構造体１４６は、２つの対向する円筒形端部１５０を有する。円筒形端部はそれぞれ、ハウジング４４．２、４４．３の対応部分の円筒形突起部１５２の回りで、円筒形端部と突起部との間の軸受１５４とともに延びている。全てはシャフト９０と同軸である。したがって、回動構造体１４６は、ハウジング１００とそれとともにシャフト９６とを支持するシャフト９０の軸回りに回転することができる。このような運動の間、ギア９４はピニオン９２の「周りを回る」。

ケース１４２は、ボルト（図示せず）によって、構造体１４６の下端部に固定されている。見かけを良くするためだけのシェル１４４が内部構造を隠すために設けられる。

回動構造体１４６の一部を形成するアーム１５８が連結部１６０によって、ラム１６４のロッド１６２に接続されている。ラム１６４のシリンダ１６６は、ハウジング４４の一部である。

ラム１６４に平行な別の２つのラム（図示せず）がある。これらのラムは、ラム１６４よりもストロークが短い。３つのラム全てが、調節目的で、フェアリング２４を移動させるために用いられる。プロペラ３６によってフェアリング２４に加わる推力の点から、必要とされる力は大きい。積み込み目的でフェアリング２４を上げている間、３つのラム全てが作動する。しかし、２つのラムは、積み込みが完了する前に、それらの移動端まで到達し、ラム１６４がこのような持ち上げを完了するのに有効である。

図６を参照すると、連結部１６０がロッド１６２に対して直角であることが分かるであろう。したがって、フェアリング２４に加わる下向きの力の量によって、ロッド１６２をシリンダ１６６に押し戻すことができない。

図５では、ロッド１６２は、シリンダ１６６に十分引き込まれて示され、このためフェアリング２４はその下方位置にある。図６では、ロッド１６２は十分に延び、したがってフェアリング２４は上にあがっている。

したがって、フェアリング２４は、シャフト９０の軸である軸回りに回転することによって、その上にあげられた位置と下げられた位置との間で動く。

ハウジング４４を操縦する目的で、ステアリングアームがスリーブ５６を通してハウジング４４を押したり引いたりすると、図８に示されたギヤセットおよび逆転クラッチ４６全体と、構造体１４６と、構造体１４６にボルト締めされたケース１４２と、フェアリング２４とが全て、シャフト４８の軸回りに回転する。図４では、フェアリングは、フェアリングがポートの方へ回転している間に占める位置に移動していることが示されている。

本発明による、通常の作動位置での船尾駆動機の側面図である。 図１の船尾駆動機の後方から片方の側面への透視図である。 図１および図２の船尾駆動機の背面図である。 図３の背面図と同様であるが、ポートが回っている間に駆動機が取る位置での船尾駆動機を示した背面図である。 通常の作動状態における図１〜図４の船尾駆動機の断面図である。 図５の断面図と同様であるが、船尾駆動機のフェアリングが積み込み位置に上げられていることを示す断面図である。 図５の断面図と同様であるが、対の出力シャフトを備える駆動機を示す断面図である。 本発明による、逆転クラッチを含むギヤセットの断面図である。 フェアリングの構成部品を示している。 図８のクラッチの詳細な断面図である（第１のベベルピニオンは省略されている）。 図８のクラッチの横シャフトの正面図である。 図８のクラッチの分解組立図である。

Claims (20)

1. 船の船尾（１４）に取り付け可能な外側構造体（１６）と、
   前記外側構造体（１６）内で支持されるハウジング（４４）と、
   前記ハウジング（４４）内部にあるギヤセットおよび逆転クラッチ（４６）であって、前記ギヤセットが、入力シャフト（４８）と、横軸（９０）を中心として回転可能なピニオン（９２）とを含む、ギヤセットおよび逆転クラッチ（４６）と、
   フェアリング（２４）内で下向きに延びる出力シャフト（９６、１０６）と
   を備え、
   前記ハウジング（４４）の内部にある前記ギヤセットおよび逆転クラッチ（４６）が、駆動源（１２）から前記入力シャフト（４８）の入力軸を中心とした回転駆動力を受け、前記出力シャフト（９６、１０６）に駆動力を伝えるようになっている船尾駆動機（１０）において、
   前記ハウジング（４４）が、操縦方向に前記外側構造体（１６）内で前記入力シャフト（４８）の入力軸を中心として回転可能であり、それによって、前記ハウジングと共に前記フェアリング（２４）を前記入力軸回りに回動することができ、また、前記フェアリング（２４）と前記出力シャフト（９６、１０６）とは、前記ピニオン（９２）の前記横軸（９０）を中心として回転可能であり、それによって、前記ハウジングに対して前記フェアリング（２４）を上げ、下げ、および調整することができることを特徴とする、船尾駆動機。
2. 前記ハウジング（４４）が、前記駆動源（１２）の軸を中心として前記外側構造体（１６）内で前記操縦方向に回転可能であることを特徴とする、請求項１に記載の船尾駆動機。
3. 上げ方向／下げ方向／調整方向において前記横軸（９０）を中心として前記ハウジング（４４）に対して前記フェアリング（２４）及び前記出力シャフト（９６、１０６）を選択的に回動するための構造体（１４６）を備えることを特徴とする、請求項１又は２に記載の船尾駆動機。
4. 前記外側構造体（１６）に対する前記ハウジング（４４）の回転軸が所定の傾斜角度で延びていることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載の船尾駆動機。
5. 前記出力シャフト（９６、１０６）が、当該出力シャフト（９６、１０６）と平行な別の出力シャフト（１１８）上のギヤ（１１６）と噛み合うピニオン（１１２）を駆動し、これらの出力シャフト（９６、１０６、１１８）が同軸のプロペラシャフト（１２８，１３０）を駆動し、
   これらの出力シャフトが反対方向に回転し、前記プロペラシャフトも反対回転するよう配置されていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一項に記載の船尾駆動機。
6. 前記ピニオン（１１２）から駆動される第３の出力シャフトを含んでいることを特徴とする、請求項５に記載の船尾駆動機。
7. 前記フェアリング（２４）が、一体に取り付けられたペアの側部（１３２、１３４）と、前記側部に取り付けられる上部（１３６）とを備えることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか一項に記載の船尾駆動機。
8. 前記フェアリング（２４）がラム（１６４）によって移動し、このラム（１６４）のシリンダ（１６６）が、前記ハウジング（４４）の一部を形成し、前記ラム（１６４）のロッド（１６２）が、前記フェアリング（２４）の延長部分を形成する構造体（１５８，１６０）に接続されていることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか一項に記載の船尾駆動機。
9. 前記出力シャフト（１０６）が、前記フェアリング（２４）から上向きに延びる細長いケース（１４２）内にあり、当該ケース（１４２）は、前記ロッド（１６２）が接続された回動構造体（１４６）によってケース自体が延ばされていることを特徴とする、請求項８に記載の船尾駆動機。
10. 前記回動構造体（１４６）が、第２の横シャフト（９０）上に取り付けられ、前記フェアリング（２４）の上げ下げ中、および調整の間に、前記第２の横シャフト（９０）を中心として回転することを特徴とする、請求項９に記載の船尾駆動機。
11. 前記ギヤセットおよび逆転クラッチ（４６）が、
    モータ（１２）に接続可能な第１のベベルピニオン（６２）と、
    前記第１のベベルピニオンの直径方向の反対側で前記第１のベベルピニオンと噛み合う、同軸である第１および第２のベベルギヤ（６４、６６）であって、当該第１および第２のベベルギヤがそれぞれ円錐のクラッチ面を画成している、第１および第２のベベルギヤ（６４、６６）と、
    前記第１および第２のベベルギヤを同軸で貫通する第１の横シャフト（６８）と、
    前記第１の横シャフト上で前記第１および第２のベベルギヤ間に配置されたクラッチ要素（７６）であって、当該クラッチ要素のそれぞれが前記第１および第２のベベルギヤの前記クラッチ面のうちの１つと相補的である２つの円錐表面（７８）を画成している、クラッチ要素（７６）と、
    前記第１の横シャフト上のヘリカルピニオン（８４）と、
    前記ヘリカルピニオンと噛み合い、第２の横シャフト（９０）によって支持されるヘリカルギア（８８）と、
    前記第２の横シャフトによって支持され、前記出力シャフト（９６）によって支持される第３のベベルギヤ（９４）と噛み合う第２のベベルピニオン（９２）であって、前記フェアリング（２４）が、前記フェアリング（２４）の上げ下げ中、および調整の間に、前記第２の横シャフトの軸を中心として回転する、第２のベベルピニオン（９２）と、
    を備えることを特徴とする、請求項１〜１０のいずれか一項に記載の船尾駆動機。
12. 前記第１の横シャフト（６８）が、前記クラッチ要素（７６）が係合するヘリカルスプライン（７４）を画成し、前記第１の横シャフトが、その両端部のうちの少なくとも１つから軸方向に延びる中心通路（１７０）を画成し、半径方向に延びる少なくとも１つの内側凹部（１７６）を画成している、請求項１１に記載の船尾駆動機において、
    前記第１の横シャフトの前記中心通路（１７０）内で同軸上に配置され、前記中心通路内を軸方向に摺動可能なセレクタロッド（１６８）と、前記セレクタロッドから横方向に延びる少なくとも１つのセレクタピン（１７２）とをさらに含み、
    少なくとも１つのスロット（１７４）が、前記第１の横シャフト内で画成され、前記中心通路から前記第１の横シャフトの外側に延び、前記第１の横シャフトの前記ヘリカルスプラインとほぼ位置合わせされる方向を有し、前記セレクタピンが、前記セレクタロッドから前記スロットを通って、前記クラッチ要素内に形成された前記内側凹部内に延びていることを特徴とする、船尾駆動機。
13. 前記逆転クラッチ（１０２）が、前記セレクタロッド（１６８）から直径方向の反対方向に延びる２つのセレクタピン（１７２）を含み、前記セレクタピンがそれぞれスロット（１７４）を通って、前記クラッチ要素（７６）の内側凹部（１７６）内に達していることを特徴とする、請求項１２に記載の船尾駆動機。
14. 前記クラッチ要素（７６）内の各内側凹部（１７６）が、前記クラッチ要素（７６）の外周へと延び、前記セレクタピン（１７２）の各々が、保持要素によって、その内側凹部内で保持されていることを特徴とする、請求項１３に記載の船尾駆動機。
15. 前記逆転クラッチ（１０２）が、前記セレクタロッド（１６８）の軸方向の移動を達成するように構成されたプランジャに接続されたダイヤフラム（１８０）を含んでいることを特徴とする、請求項１２に記載の船尾駆動機。
16. 前記ダイヤフラム（１８０）が、前記中心通路（１７０）が延びる前記横シャフト（６８）の端部に近接して配置されていることを特徴とする、請求項１５に記載の船尾駆動機。
17. 入力シャフト（４８）を備え、
    前記入力シャフト（４８）を介して、前記ギヤセットおよび逆転クラッチ（４６）が、駆動源（１２）からの前記入力シャフト（４８）の中心軸を中心とした回転駆動力を受けるようになっている、請求項１〜１６のいずれか一項に記載の船尾駆動機。
18. 前記外側構造体（１６）内で操縦方向に前記ハジング（４４）を選択的に回転させるステアリング手段（２０、２２）を備える、請求項１〜１７のいずれか一項に記載の船尾駆動機。
19. 前記外側構造体（１６）が前記船のトランサム（１４）に取り付け可能である、請求項１〜１８のいずれか１項に記載の船尾駆動機。
20. 前記ギヤセットおよび逆転クラッチ（４６）に前記入力軸を中心とした回転駆動力を伝えるよう作動するモータ（１２）を備える、請求項１〜１９のいずれか一項に記載の船尾駆動機。

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