JP4657140B2 - エンジンの燃料供給装置 - Google Patents
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Description
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃圧センサの異常時に、燃圧センサを用いることなく、燃圧の昇圧制御等を行えるエンジンの燃料供給装置を提供することを目的とする。
図1は、実施形態における車両用エンジンの燃料供給装置を示す図である。
図1において、燃料タンク1は、エンジン(内燃機関)10の燃料(ガソリン)を貯留するタンクであり、例えば車両の後部座席の下などに配置される。
前記燃料タンク1には、給油キャップ2で閉塞される給油口3が開口されており、給油キャップ2を外して前記給油口3から燃料が補給される。
前記燃料ポンプ4は、燃料タンク1内のガソリンを吸い込み口から吸い込んで吐出口から吐き出す、例えばタービン式のポンプであり、前記吐出口には、燃料パイプ5aの一端が接続されている。
前記逆止弁7の出口には、燃料パイプ5bの一端が接続され、前記燃料パイプ5bの他端は、燃料ギャラリーパイプ8に接続される。
前記燃料ギャラリーパイプ8には、その延設方向に沿って気筒数(本実施形態は4気筒)と同じ数の噴射弁接続部8aが設けられ、各噴射弁接続部8aには、燃料噴射弁9の燃料取り入れ口がそれぞれ接続される。
前記燃料噴射弁9は、エンジン10の各気筒の吸気ポート部にそれぞれ設置され、各気筒に燃料をそれぞれ噴射供給する。
前記電磁リリーフ弁13は、通電されることで開弁し、非通電時には閉弁状態を保持する。
マイクロコンピュータを内蔵する電子制御ユニット(ECU)11は、前記燃料噴射弁9それぞれに対して個別に開弁制御パルス信号を出力して、各燃料噴射弁9による燃料噴射量及び噴射時期を制御する。
前記電子制御ユニット11には、各種センサからの検出信号が入力される。
そして、前記電子制御ユニット11は、目標空燃比の混合気を形成させることができる燃料量に見合う噴射パルス幅を、前記エアフローメータ21,クランク角センサ22,水温センサ23,空燃比センサ26などからの検出信号に基づき演算し、前記噴射パルス幅の開弁制御パルス信号を、各燃料噴射弁9に出力する。
まず、ステップS1では、エンジンの負荷・回転速度・水温などから目標燃圧を算出する。
次のステップS2では、前記ステップS1で算出した目標燃圧と燃料ギャラリーパイプ8内における燃料圧力とから、燃料ポンプ4の制御デューティを算出する。
図3のフローチャートは、前記ステップS2における制御デューティの算出処理を詳細に示すものである。
ステップS21では、前記燃圧センサ24の正常・異常を判別する。
一方、燃圧センサ24に異常が生じている場合(故障している場合)には、ステップS23へ進んで、前記燃料ギャラリーパイプ8内における燃料圧力の推定値を、燃料ポンプの制御に用いる燃圧値Pにセットする。
ステップS24では、燃料ポンプ4の制御デューティ(操作量)を、前記目標燃圧と前記燃圧値Pとから算出する。
図4のフローチャートは、前記ステップS21における異常判定処理の詳細を示す。
但し、燃圧センサ24の異常判定の方法を、図4のフローチャートに示した方法に限定するものではなく、公知の種々の診断方法を適用できる。
ステップS212では、エンジン10のスタータスイッチ27のオン・オフを判別する。
そして、スタータスイッチ27がオフであるエンジン10の始動後(運転中)であるときには、ステップS213へ進んで、ステップS211で読み込んだ検出結果が設定値1以上であるか否かを判別する。
ここで、ステップS211で読み込んだ検出結果が設定値1未満であるときには、ステップS214へ進んで、設定値1を下回る状態が所定時間以上継続しているか否かを判別する。
一方、燃圧センサ24の検出結果が前記設定値1を下回っている状態であっても、その継続時間が所定時間に達していない場合には、ステップS218を迂回してそのまま本ルーチンを終了させる。
ステップS215では、ステップS211で読み込んだ検出結果が設定値2以下であるか否かを判別する。
前記設定値2は、燃圧センサ24の正常時には、燃圧センサ24の検出結果が超えることのない値として予め記憶されており、設定値1<設定値2である。
ステップS216では、今回ステップS211で読み込んだ検出結果を、故障直前の検出値として保存する。
そして、燃圧センサ24の検出結果が、前記所定時間以上設定値2以上である場合には、ステップS218へ進んで、燃圧センサ24の異常を判定する。
図5のフローチャートは、前記ステップS23で用いる燃圧推定値を算出する処理を示す。
具体的には、噴射パルス幅TI、燃料噴射弁9の本数cyl、燃料噴射弁9の開弁時間を燃料流量に変換する係数β、エンジン回転速度Ne(rpm)、燃圧による補正係数HOSに基づいて、要求燃料流量を、要求燃料流量=(TI×cyl×β)×Ne×HOSとして算出する。
前記吐出量は、予め記憶された基準電圧時の吐出量と、そのときの制御デューティ(操作量)とから算出される。
ステップS233では、ステップS231で算出した燃料配管内から持ち去られる燃料量に相当する前記要求燃料流量と、ステップS232で算出した燃料配管内に新たに供給される燃料量である燃料ポンプ4の吐出量と、推定値の初期値とから、燃料供給圧(燃料配管内圧)を推定する。
図6のフローチャートは、前記ステップS233での燃料供給圧(燃料配管内圧)の推定演算に用いる初期値の算出処理を示す。
ステップS2331では、エンジンの回転中(運転中)であるか否かを判別する。
一方、エンジン10の停止中であるときには、ステップS2333へ進み、電磁リリーフ弁13を開弁させて燃料配管(燃料ギャラリーパイプ8)内から燃料を燃料タンク1内にリリーフさせることで、燃料配管(燃料ギャラリーパイプ8)内の燃圧を0kPaにまで降圧させるリセット処理を実行する。
但し、リセット手段(リリーフ手段)を、前記電磁リリーフ弁13を開弁させる処理に限定するものではなく、例えば、逆止弁7を備えずに燃料ポンプ4を逆転させることで、燃料配管内の燃料を燃料タンク1に戻すようにしたり、燃料配管に連通する容積室を設け、前記容積室への通路を開いたりすることで、燃料配管内の燃料をリリーフして、配管内を所定圧にリセットさせることができる。
ステップS2335では、推定値の初期値を確定する。
上記実施形態によると、燃圧センサ24が故障しても、エンジン10の要求燃料流量と燃料ポンプ4の吐出量とから実際の燃料供給圧を推定して、燃料ポンプ4の吐出量を制御する(操作量を決定する)ので、たとえ目標圧付近に昇圧されていない状態で、燃圧センサ24が故障した場合であっても、目標圧付近にまで昇圧した上で目標圧を保持させることができ、燃料噴射弁9による燃料噴射を正常時と略同等に行わせることができる。
更に、エンジン停止中においては、一旦燃料供給圧を0kPaにリセットし、0kPaを初期値として要求燃料流量と吐出量とから燃料供給圧を推定させるから、より精度の高い初期値を基準に推定を行わせることが可能となる。
即ち、吸入空気量やエンジン回転速度の変化による要求燃料量が変化し、これに追従できずに燃圧が変動してから、この燃圧変動を収束すべく燃料ポンプ4の吐出量を制御するから、過渡時には燃圧が目標からずれてしまう。
図7のフローチャートにおいて、ステップS501では、吸入空気量の検出結果の最新値と前回値(所定時間前の値)との偏差ΔQ(吸入空気量の時間微分値)が、設定値以上であるか否かを判断することで、過渡運転状態(加速状態)であるか否かを判断する。
一方、前記偏差ΔQが設定値以上であって、吸入空気量が所定以上の速度で増大変化している場合には、ステップS503へ進んで、過渡補正量を付加して燃料ポンプ4のデューティ比(操作量)を設定する。
上記のように、過渡運転時(加速時)に過渡補正量(=ΔQ×γ)で燃料ポンプ4の操作量を補正すれば、制御の応答遅れにより燃圧が大きく変動することを回避でき、過渡運転時において燃料噴射弁9による燃料の計量を精度良く行わせることができる。
そこで、図8のフローチャートに示すようにして、過渡時の補正と共に、空燃比ずれに対応する補正を、燃料ポンプ4の操作量(デューティ比)に施すことが好ましい。
図8のフローチャートにおいて、まず、ステップS601〜603では、前記ステップS501〜503と同様に、過渡運転時(加速運転時)に、吸入空気量の変化速度に応じて燃料ポンプ4のデューティ比を補正する。
一方、ステップS604では、前記空燃比センサ26で検出される空燃比が前記正常範囲内でなく、目標空燃比に対して所定以上の偏差を有している場合には、ステップS605へ進む。
このように、空燃比偏差が生じたときに、デューティ比を補正することで、実燃圧の推定誤差による噴射量の誤差に基づく空燃比ずれが解消され、目標空燃比での燃焼を行わせることができ、排気性状・燃費性能を維持できる。
燃圧センサ24を備えない場合には、燃圧センサ24が故障する直前の値を初期値として推定制御を行わせることができなくなるが、代わりに、エンジン停止中にリリーフ手段を動作させて燃料ポンプ4の駆動を開始させる前に0kPaにまで降圧させておけば、0kPaを初期値として燃料供給圧を推定させることができる。
尚、前記燃料供給圧の推定値は、燃料ポンプ4の吐出量制御に用いることができる他、燃料噴射弁9の噴射パルス幅の補正に用いることができる。
また、実際の燃料供給圧を目標値に近づけるための制御として、燃料ポンプ4の吐出量の制御と共に、前記電磁リリーフ弁13の制御によるリリーフ量の調整を行わせることができる。
(イ)前記エンジンの過渡運転時に、前記燃料ポンプの操作量に、エンジンの吸入空気量の変化量に応じた過渡補正量を付加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの燃料供給装置。
(ロ)前記エンジンの空燃比を検出する空燃比検出手段を備え、前記燃料ポンプの操作量に、前記空燃比検出手段で検出される空燃比に応じた空燃比補正量を付加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの燃料供給装置。
従って、燃料供給圧の定常的な偏差による空燃比ずれの発生を解消できる。
(ハ)前記燃料供給圧の推定値を、燃料温度に応じて補正することを特徴とする請求項2又は3記載のエンジンの燃料供給装置。
Claims (4)
- エンジンに燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料供給圧を検出する燃圧センサを備え、前記燃圧センサの検出値に基づいて燃料ポンプの操作量を決定するエンジンの燃料供給装置において、
前記燃圧センサの異常時において、エンジンの停止中に燃料配管内の燃料をリリーフする手段を動作させ、前記燃圧センサの異常が検出される直前の検出値と、前記リリーフ手段を動作させてからの経過時間とに基づいて再始動後の燃料ポンプの操作量を決定することを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - エンジンに燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料供給圧を検出する燃圧センサを備え、前記燃圧センサの検出値に基づいて燃料ポンプの操作量を決定するエンジンの燃料供給装置において、
前記燃圧センサの異常時において、エンジンの停止中に燃料配管内の燃料をリリーフする手段を動作させ、前記燃圧センサの異常が検出される直前の検出値と、前記リリーフ手段を動作させてからの経過時間とに基づいて前記燃料供給圧を推定し、該推定値に基づいて再始動後に前記燃料供給圧を推定し、前記推定した燃料供給圧に基づいて燃料ポンプの操作量を決定することを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - エンジンに燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料供給圧を検出する燃圧センサを備え、前記燃圧センサの検出値に基づいて燃料ポンプの操作量を決定するエンジンの燃料供給装置において、
前記燃圧センサの異常時に、前記燃料供給圧を推定し、該推定値に基づいて前記燃料ポンプの操作量を決定する構成とし、
エンジン運転中においては、前記燃圧センサの異常が検出される直前の検出値と前記エンジンの要求燃料流量と前記燃料ポンプの吐出量とから前記燃料供給圧を推定し、
エンジンの停止中においては、燃料配管内の燃料をリリーフする手段を動作させると共に、前記燃圧センサの異常が検出される直前の検出値と、前記リリーフ手段を動作させてからの経過時間とに基づいて前記燃料供給圧を推定することを特徴とするエンジンの燃料供給装置。 - エンジンに燃料を噴射する燃料噴射弁に対する燃料供給圧と該燃料供給圧の目標値とに基づいて燃料ポンプの操作量を決定するエンジンの燃料供給装置において、
前記燃料供給圧を検出する燃圧センサを備え、前記燃圧センサの異常時に、前記エンジンの要求燃料流量と前記燃料ポンプの吐出量と初期値とから前記燃料供給圧を推定し、該推定値に基づいて前記燃料ポンプの操作量を決定すると共に、
エンジン運転中においては、前記燃圧センサの異常が検出される直前の検出値を前記推定値の初期値とする一方、
エンジンの停止中においては、燃料配管内の燃料をリリーフする手段を動作させると共に、前記燃圧センサの異常が検出される直前の検出値と、前記リリーフ手段を動作させてからの経過時間とに基づいて、前記推定値の初期値を設定することを特徴とするエンジンの燃料供給装置。
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