JP4656501B2 - 水性中塗塗料 - Google Patents
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Description
自動車用水性中塗塗料、及び該自動車用水性中塗塗料を用いた複層塗膜形成方法に関する。
料による下塗り塗膜、中塗り塗膜及び上塗り塗膜からなる複層塗膜により被覆されて
いる。
従来の塗料は有機溶剤を用いた塗料が主流であったが、有機溶剤を用いた場合には
常に火災の危険がつきまとい、さらに使用者の健康への影響、また最近になって特に
環境への影響が懸念されており、安全で無害な溶媒を用いた塗料が求められている。
行を防止するために、基材の化成処理、電着塗料などのプライマー塗料、特に中塗り塗料や上塗塗料に用いる水性塗料では、各種の検討が行われてきた。
上記の水性塗料を塗装した場合に、衝撃力を緩和し発錆の原因となる金属面からの
塗膜剥離の防止能に優れた、耐チッピング性を有し、かつドアの鍵穴部やネジ部の塗膜にタレ発生がなく、一般面の仕上り性に優れた水性塗料が要求されている。
加熱時間や塗膜の焼付け時間の短時間化となり、従来の水性中塗塗料に比べ、特にドアの鍵穴部や、ドアの内板部のような水が揮散し難い部位に塗膜のタレが発生し易くなっていた。
従来、防錆塗料に水系ポリウレタン樹脂を配合した発明がある(特許文献1)。か
かる水系ポリウレタンは、平均分子量50〜100,000で2個以上の活性水素原
子含有ポリヒドロキシ化合物又は上記ポリヒドロキシ化合物と平均分子量50〜10
0,000で2個以上の活性水素原子含有多価アミン化合物の併用、有機ポリイソシ
アネート、並びに、NCO基と反応性の活性水素原子及び塩形成基を有するポリウレ
タン樹脂を、塩形成剤を使用して、公知の方法で水中に混合乳化して得られたもの
で、該水系ポリウレタン樹脂による水分散体を水性中塗り塗料に適用しても、耐チッ
ピング性に優れ、かつ塗膜にタレ発生がなく、仕上り性に優れた水性中塗塗料は得られない。
上のカルボキシル基を含有する水溶性および(または)水分散性ポリウレタン樹脂を
含有した発明がある(特許文献2)。かかる水分散性ポリウレタン樹脂を単に、水性
中塗り塗料に適用しても、本願の目的とする塗膜性能は得られない。
他に、ウレタン樹脂水分散体を含有する水性中塗り塗料で、耐チッピング性、耐水
性、仕上り性に優れる複層塗膜を形成する発明がある(特許文献3)。この水性中塗
り塗料に使用のウレタン樹脂水分散体は、樹脂酸価が2〜20mgKOH/g、好ましくは固形分が45重量%以上で且つ粘度が200〜3,000mPa・s(20℃)を規定
したものでなく、このようなウレタン樹脂水分散体を添加した水性塗料は、塗装した塗膜においてタレ抑制効果が不十分であった。
キソ性)が得られずタレを抑制できないばかりか、塗装後の塗膜フロー性が低下して
一般面の仕上り性の低下を招いた。特許文献3の水性中塗り塗料では、タレ抑制と一
般面の仕上り性の両立を図ることは困難であった。
グ性に優れる水性中塗塗料を見出すことである。
すなわち、本発明は、樹脂酸価が2〜20mgKOH/gであるウレタン樹脂水分散体(A)、水酸基含有樹脂(B)、及び架橋剤(C)を含有する水性中塗塗料であって、かつ該水性中塗塗料を水で希釈してフォードカップNo.4で50秒(20℃)に調整した水性中塗塗料のチクソトロピックインデックスが1.6〜3.0の範囲にあり、該ウレタン樹脂水分散体(A)が、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(a)、ビスフェノールA骨格又は水添ビスフェノールA骨格を含むアルキレンオキシド付加物であるポリエーテルポリオール(b1)、ジカルボン酸と低分子ジオールとの重縮合物であるポリエステルポリオール(b2)、少なくとも1個のカルボキシル基と少なくとも2個の水酸基を有する化合物(b3)及び必要に応じて、その他のポリオール(b4)を含む1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するポリオール(b)を反応させてなるウレタンプレポリマーを中和剤(c)にて中和し、水性媒体中に安定に分散させてなることを特徴とする自動車用水性中塗塗料を提供する。
℃)であることが好ましい。
本発明においては、ウレタン樹脂水分散体(A)の添加によって、20℃にて、回転数6rpm及び60rpmの条件下に測定された塗装時における水性中塗塗料のチクソトロピックインデックスを1.6〜3.0の範囲とすることによって、従来の塗膜に比べて粘度アップが図れたものである。
ウレタン樹脂水分散体(A):
本発明のウレタン樹脂水分散体(A)は、ポリイソシアネート(a)、ポリエーテルポリオール(b1)、ポリエステルポリオール(b2)、化合物(b3)、及び必要に応じ
て、その他のポリオール(b4)を反応させてなる。
中和剤(c)の量は、該ウレタンプレポリマーにおけるカルボキシル基のモル数に対して40%〜120%であることが好適である。
本発明のウレタン樹脂水分散体(A)は、ウレタンプレポリマーを中和剤(c)にて中和し、水性媒体中に安定に分散させてなるものである。上記ウレタンプレポリマーはイソシアネート末端を有することが好適である。さらに、ウレタン樹脂水分散体(A)は、固形分が45重量%以上であり、粘度(注)が200〜3,000mPa・s(20℃)で
あることが好ましい。
(注)粘度:粘度は、ウレタン樹脂水分散体(A)を水希釈にて固形分45重量%に調整し、20℃にて、B型粘度計(東京計器(株)製、B型粘度計、形式BM)を用いて測定した。
ポリイソシアネート(a)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有
する化合物であって、例えば、芳香族イソシアネート(トリレンジイソシアネート
(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレン
ジイソシアネート等)、脂肪族イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、脂環族イソシアネート(1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI
)、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)等)、芳香環を有する脂肪族イソシアネート(キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等)、上記ジイソシアネートのウレタン化、カルボジイミド、ウレトジオン、ビュレット、イソシアヌレート変性物が使用できる。
ネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)である。特に好ましいポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)が挙げられる。
ポリオール(b)としては、ビスフェノールA骨格又は水添ビスフェノールA骨格を含むアルキレンオキシド付加物のポリエーテルポリオール(b1)、ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸)と低分子量ジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3メチル1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等)と重縮合させたポリエステルポリオール(b2)、及びヒドロキシアルカン酸(例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等)の少なくとも1個のカルボキシル基と少なくとも2個の水酸基を有する化合物(b3)を必須成分として含有し、さらに必要に応じて、その他のポリオール(b4)を含有することができる。
また、ポリエステルポリオール(b2)は、その構成成分として、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を少なくとも1種類以上用いることが、化合物(b3)は、ウレタン樹脂に2〜20mgKOH/g、好ましくは2〜15mgKOH/gの樹脂酸価を付与するために、2,2−ジメチロールプロピオン酸を用いることが好ましい。
剤として開環重縮合させて得られるポリカプロラクトンジオール等;分子中の繰り返し単位としてエステル結合を有し、かつ1分子中に2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールを使用することができる。
300〜4,000の化合物である。またポリエーテルポリオール(b1)、ポリエステ
ルポリオール(b2)、化合物(b3)、及びその他のポリオール(b4)の含有量は、ポリエーテルポリオール(b1)とポリエステルポリオール(b2)と化合物(b3)、及びその他のポリオール(b4)の固形分合計に対して、ポリエーテルポリオール(b1)が25〜35重量%、好ましくは27〜31重量%、ポリエステルポリオール(b2)が55〜73重量%、好ましくは65〜70重量%、化合物(b3)が0.6〜7重量%、好ましくは1〜3重量%、その他のポリオール(b4)が0〜10重量%、好ましくは0〜3重量%の範囲がよい。また重量比で、ポリエーテルポリオール(b1)/ポリエステルポリオール(b2)=1/4〜2/1の範囲にあることが好ましい。
TSK GEL4000HXL+G3000HXL+G2500HXL+G2000HX
L(東ソー株式会社製)を用いて40℃で流速1.0ml/分、溶離液にGPC用テトラ
ヒドロフランを用いて、RI屈折計で得られたクロマトグラムとポリスチレンの検量線から計算により求めた。
中和剤(c)は、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン類、メチルジエタ
ノールアミンなどの3級アルカノールアミン類、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金
属の水酸化物などが好適に使用できる。これらの中和剤(c)の中で特に好適には、
トリエチルアミン、メチルジエタノールアミンが挙げられる。
中和剤(c)の使用量としては、ポリイソシアネート(a)、及びポリオール(b)、を反応してなるウレタンプレポリマーにおけるカルボキシル基のモル数に対して、中和剤(c)のモル数が40%〜120%、好ましくは40%〜100%がよい。なおウレタン樹脂水分散体(A)には、下記に述べる界面活性剤(d)を含有していることが乳化や水分散性の向上のために好ましい。
ウレタン樹脂水分散体(A)の製造に用いる界面活性剤(d)は、アニオン性の
界面活性剤、非イオン性の界面活性剤が好適に使用できる。具体的には、高級アルコール系のアルキレンオキシド付加物の界面活性剤が挙げられる。
ウレタン樹脂水分散体(A)は、ポリイソシアネート(a)、及びポリオー(b)を反
応せしめ、中和剤(c)と界面活性剤(d)を加えた後、水中に乳化分散することによって得ることができる。
製造にあたって配合量としては、ポリイソシアネート(a)、ポリオール(b)、中和剤(c)と界面活性剤(d)の固形分合計量に対して、ポリイソシアネート(a)は20〜40重量%、ポリオール(b)は60〜80重量%、界面活性剤(d)は0〜4重量%の範囲が好ましい。なお、界面活性剤(d)の添加量は、少量の方が塗膜性能(耐水性など)には好ましい。
ル、低分子量ポリアミン、ジヒドラジド化合物を併用することも可能である。
低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、3メチル1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサン
ジメタノール等の2官能低分子量ポリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール等の多官能低分子量ポリオールを挙げることが出来る。
低分子量ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンペンタミン、トリメチレンジアミン、ジプロピレンントリアミン、
ピペラジン、ヒドロキシアミノプロピルアミンを挙げることができる。ジヒドラジド
化合物としては、例えば、ヒドラジン、アジビン酸ジヒドラジドなどを挙げることが
できる。このような鎖伸長剤(e)の添加量としては、ウレタン樹脂水分散体(A)
を構成する成分の固形分合計に対して、0.1〜2重量%の範囲が好ましい。
ものではなく、例えば、分子内に活性水素基を含まない有機溶剤の存在下又は非存在
下で、ポリイソシアネート(a)、ポリエーテルポリオール(b1)、ポリエステルポリオール(b2)、化合物(b3)と、適宜にその他のポリオール(b4)を加え、さらに反応促進のため通常のウレタン化反応に用いられるアミン系、或いは錫系の触媒を使用し、通常、20℃〜150℃、好ましくは50℃〜120℃の温度でウレタン化反応せしめ、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る。
た後、水中に乳化し、分散させて、水又は鎖伸長剤(e)によって、ウレタンプレポ
リマー中に存在するイソシアネート基を反応させ、分子量の増大や内部架橋反応を進
行させて高分子量のウレタン樹脂水分散体(A)を得ることができる。
本発明に使用するウレタン樹脂の数平均分子量(注1参照)は、塗膜の耐チッピン
グ性、塗面平滑性などの観点から、2,000〜5,000,000、好ましくは1
0,000〜3,000,000であり、更に好ましくは30,000〜1,000,000である。
好ましくは0.08〜0.3μmである。平均粒子径が0.4μmを越えると塗料安
定性や塗膜の仕上り性を損なうので好ましくない。一方、平均粒子径(注2)が0.
02μm未満の場合は、該ウレタン樹脂の水分散体(A)の粘度が高くなり、固形分45重量%以上で且つ20℃において200〜3,000mPa・sを達成できない。
(注2)平均粒子径:平均粒子径は、光散乱法(マイクロトラックUPA粒度分析
計、Model No.9340;日機装(株)製)を用いて測定した。
上記の平均粒子径の範囲を達成するためには、ウレタン樹脂の樹脂酸価として2〜20mgKOH/g、好ましくは2〜15mgKOH/g、さらに好ましくは5〜12mgKOH/gである。このようにして固形分45重量%以上で、且つ粘度200〜3,000mPa・s(20℃)のウレタン樹脂水分散体(A)を得ることができる。
、塗膜のタレ抑制と一般面の仕上り性の両立を図ることは困難となる場合がある。
上記のウレタン樹脂水分散体(A)の添加量は、自動車用水性中塗塗料を構成する樹脂成分の固形分合計量に対して、固形分で0.1〜70重量%、好ましくは10〜50重量%がよい。添加量が0.1重量%未満では塗膜のタレ性の向上に効果がなく、また70重量%を越えてもタレ性の向上への効果が少ないばかりか、仕上り性を損なうので好ましくない。
自動車用水性中塗塗料は、上記のウレタン樹脂水分散体(A)の他に、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂などの水酸基含有樹脂(B)、メラミン樹脂及びブロック化ポリイソシアネート化合物等の架橋剤(C)を含有する。
水酸基含有樹脂(B):
水酸基含有樹脂(B)としては、塩基性化合物で中和することで樹脂を水溶性化又は水分散化するために、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等の酸基を分子内に有しかつ水酸基を有する、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂は、1分子中に2個以上の水酸基を有しており、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応により調製することができる。
酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、テトラクロロヘキセントリカルボン酸及
びその無水物などの3価以上の多塩基酸などが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジ
オール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−
ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4
−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレング
リコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−4,5−ペンタン
ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピヴァリン酸ネオペンチルグリ
コールエステルなどの2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクト
ンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テ
レフタレートなどのエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド
付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリ
コールなどのポリエーテルジオール類;
カージュラE10[シェル化学社製、商品名、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエ
ステル]などのモノエポキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメ
チロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオー
ル、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニットな
どの3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトンな
どのラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類;1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェ
ノールF、水添ビスフェノールA及び水添ビスフェノールFなど脂環族多価アルコー
ルなどが挙げられる。
部分ブロックポリイソシアネート化合物をウレタン化反応せしめることによって得られたウレタン変性ポリエステル樹脂も使用できる。水酸基含有ポリエステル樹脂は1分子中に2個以上の水酸基を有しており、このものは多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応により調製することができる。
部分ブロックポリイソシアネート化合物は、ブロックされていない遊離のイソシア
ネート基及びブロック剤で封鎖されたブロックイソシアネート基が1分子中に併存し
ている化合物であり、例えば、ポリイソシアネート化合物中の遊離イソシアネート基
の一部をブロック剤で封鎖することにより得られる。
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に、封鎖されていない遊離のイソシアネー
ト基を2個以上有する化合物である。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチ
レンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジン
ジイソシアネートなどの脂肪族系ジイソシアネート化合物;
メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサ
ン、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロペンタンジイソシアネートなどの脂環
式系ジイソシアネート化合物;
キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トルイ
ジンジイソシアネ−ト、ジフェニルエーテルジイソシアネート、フェニレンジイソシ
アネート、ビフェニレンジイソシアネート、ジメチル−ビフェニレンジイソシアネー
ト、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシア
ネート化合物;
トリフェニルメタントリイソシアネート、トリイソシアナトベンゼン、トリイソシ
アナトトルエン、ジメチルジフェニルメタンテトライソシアネートなどの1分子中に
3個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコー
ル、トリメチロ−ルプロパンなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量
となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;
シアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メ
チレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などのビューレットタイプ付加物、イ
ソシアレート環タイプ付加物などがあげられる。
ブロック剤は、遊離のイソシアネート基を封鎖する化合物である。ブロックされた
イソシアネート基は、例えば100℃以上、好ましくは130℃以上に加熱すると、
ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基が再生され、水酸基などと容易に反応
させることができる。
ブロック剤として、例えば、フェノール、クレゾールなどのフェノール系;ε−カ
プロラクタム、δ−バレロラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、プ
ロピルアルコール、ブチルアルコール、ラウリルアルコールなどの脂肪族アルコール
系;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テルなどのエーテルアルコール系;ベンジルアルコール;グリコール酸メチル、グリ
コール酸エチルなどのグリコール酸エステル;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸
ブチルなどの乳酸エステル;メチロール尿素、ジアセトンアルコールなどのアルコー
ル系;アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾ
フェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジエチル、
アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系;
シルメルカプタン、チオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系;
アセトアニリド、アセトアニシジド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ベンズアミド
などの酸アミド系;フタル酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系;ジフェニル
アミン、フェニルナフチルアミン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチ
ルアミンなどアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール
系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニル尿素などの尿素系;N−フェニルカ
ルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイ
ミンなどのイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリなどの亜硫酸塩系などが挙げら
れる。
のイソシアネート基の一部をブロック剤で封鎖して、1分子中に遊離のイソシアネー
ト基及び封鎖されたブロックイソシアネート基を1分子中に1個以上有する部分ブ
ロックポリイソシアネート化合物をあらかじめ準備しておくことが好ましい。ポリイ
ソシアネート化合物とブロック剤との反応は既知の条件で行なうことができる。ま
た、両成分の比率は、得られる部分ブロックポリイソシアネート化合物が、1分子中
に、遊離のイソシアネート基及び封鎖されたブロックイソシアネート基をそれぞれ少
なくとも1個有している範囲内であれば、特に制限はない。
の一部の水酸基に反応せしめることによりウレタン変性ポリエステル樹脂が得られ
る。部分ブロックポリイソシアネート化合物と水酸基含有ポリエステル樹脂とのウレ
タン化反応は、通常のウレタン化反応の条件下で行なうことができる。
また水酸基含有ポリエステル樹脂中の水酸基の一部に未ブロックのポリイソシア
ネート化合物の一部のイソシアネート基を反応せしめてなる生成物の残りのイソシア
ネート基をブロック剤で封鎖することによってもウレタン変性のポリエステル樹脂が
得られる。
かくして得られるウレタン変性ポリエステル樹脂は、水酸基価が20〜200mg
KOH/g、特に40〜120mgKOH/g、イソシアネート基価が5〜120m
gKOH/g、特に10〜50mgKOH/g、樹脂酸価が100mgKOH/g以下、特に10〜60mgKOH/g、数平均分子量が1,000〜20,000、特に1,500〜10,000の範囲内が好ましい。
じてその他の多塩基酸、その他の多価アルコールを含有してなるポリエステル樹脂も
使用することができる。脂環式多塩基酸は、1分子中に1個以上の脂環式構造(主と
して4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、1,
3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒ
ドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒド
ロトリメリット酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、及びこれらの無水物などが挙げら
れる。その他の多塩基酸は、ポリエステル樹脂と同様の多塩基酸を使用することがで
きる。
脂環式多価アルコールは、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員
環)と2個以上の水酸基とを有する化合物であり、例えば、1,3−シクロヘキサン
ジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノー
ル、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、スピログリコール、ジヒドロキ
シメチルトリシクロデカンなどが挙げられる。その他の多価アルコールは、ポリエス
テル樹脂と同様の多価アルコールを使用することができる。
量は、ポリエステル樹脂を構成するモノマーの固形分合計に対し20〜70重量%、
好ましくは30〜60重量%の範囲がよい。
上記、脂環式多塩基酸やその他の多塩基酸、及び/又は脂環式多価アルコールやそ
の他の多価アルコールを反応させてなるポリエステル樹脂の重量平均分子量は1,0
00〜1,000,000、好ましくは2,000〜10,000、水酸基価は3
0〜200mgKOH/g、好ましくは50〜180mgKOH/gの範囲、樹脂酸価は5〜100mgKOH/g、好ましくは10〜60mgKOH/gの範囲内が適している。
重合性モノマー成分を通常の条件で共重合することによって製造でき、その数平均分
子量は1,000〜50,000、特に2,000〜20,000、水酸基価は20〜200mgKOH/g、特に50〜150mgKOH/g、樹脂酸価は3〜100mgKOH/g、特に20〜70mgKOH/gが好ましい。
水酸基含有モノマーは1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上
有する化合物であり、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの炭素数
2〜20のグリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物などがあげられ
る。
ルとのモノエステル化物であり、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレー
ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピル
メタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレー
ト、ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラ
ウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、
2−エチルヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。
架橋剤(C)としては、メラミン樹脂、ブロック化ポリイソシアネート化合物などが挙げられ、1種で又は2種以上を組み合わせて使用できる。メラミン樹脂は、メラミンとアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化アミノ樹脂があげられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒ
ド等がある。また、このメチロール化アミノ樹脂のメチロール基の一部又は全部をモノアルコールによってエーテル化したものも架橋剤(C)として使用できる。エーテル化に用いられるモノアルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノールなどが挙げられる。
ネート基を有するポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック剤でブロックし
て得られる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジン
ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシア
ネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシア
ネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、
1,3−(又は1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シク
ロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−
シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポ
リイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
シリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジ
イソシアネート、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
エーテルジイソシアネート、(m−又はp−)フェニレンジイソシアネート、4,4
′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレン
ジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデン
ビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;及びこ
れらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物
;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイ
ソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチル
ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートなどの1分子中に3
個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシ
アネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメ
チロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキ
サントリオールなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率で
ポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;及びこれらのポリイ
ソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;等が挙げら
れる。上記ブロック剤は、遊離のイソシアネート基を封鎖するものであり、例えば1
00℃以上、好ましくは130℃以上に加熱すると、水酸基と容易に反応することが
できる。
フェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプ
ロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メ
チルなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラ
クタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、プロピ
ルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコールなどの脂
肪族アルコール系;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル
エーテル、メトキシメタノールなどのエーテル系;ベンジルアルコール;グリコール
酸;グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチルなどのグリコー
ル酸エステル;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの乳酸エステル;メ
チロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチル
アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアルコール系;
トオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオ
キシムなどのオキシム系;
マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、ア
セチルアセトンなどの活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタ
ン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミンなどアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系;
尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素などの尿素系;
N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系;エチレンイミ
ン、プロピレンイミンなどのイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリなどの亜硫酸
塩系などが挙げられる。
−ジメチルピラゾールおよび4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾールを例示でき
る。この中でも好ましいブロック剤は、3,5−ジメチルピラゾールである。
また、ポリイソシアネートのイソシアネート基をブロックするブロック剤として、
1個以上のヒドロキシル基と1個以上のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン
酸、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸などが挙げられる。
ここでヒドロキシカルボン酸類のカルボキシル基を中和することによって水分散性を
付与したブロック化ポリイソシアネート化合物も使用することができる。市販品とし
ては、バイヒドロールVPLS2378(住化バイエルウレタン社製、商品名)が挙
げられる。
とメラミン樹脂との架橋反応促進用触媒(例えば、酸触媒)、消泡剤、増粘剤、防錆剤、紫外線吸収剤、表面調整剤などを適宜に配合することができる。
上記の偏平状顔料は、鱗のような薄く平らな形状の顔料であり、塗膜を形成したときに、その塗膜内で他の各種顔料粒子と共に層状をなして重畳しあうことにより、内部応力や外部応力を緩和する機能を有すると考えられている。具体的には、タルク、アルミニウムフレーク、雲母フレークなどが挙げられ、このうちタルクが好ましい。タルクの形状としては、厚さは0.1〜2μm、特に0.2〜1.5μm、長手方向寸法は1〜100μm、特に2〜20μmが好ましい。
50重量部、好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の範囲が
よい。偏平状顔料が50重量部を越えると耐チッピング性を低下させるばかりか塗料
安定性を損なうので好ましくない。
は、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ
(2−エチルヘキサノート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫トリオクテート、2−エチルヘキン酸鉛、
オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物を挙げることできる。
硬化触媒の使用量は任意に選択できるが、樹脂成分に対して、0.01〜5重量
%、特に0.05〜3重量%の範囲が適している。
塗装は、従来から知られている方法、例えば、刷け塗り、エアースプレー、エアレ
ススプレー、静電塗装などにより塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜で10〜
100μm、特に15〜35μmの範囲内が好ましい。
(注3)チクソトロピックインデックス:チクソトロピックインデックスは、TI
値と略称され、JIS K 5400-4-5-3(1990)に記載の回転粘度法によって
B型粘度計(東京計器(株)製、B型粘度計、形式BM)を用いて測定(温度20℃、ローター回転数6rpm及び60rpm)した数値をmPa・sに換算し、6rpmにおける見掛け粘度mPa・s/60rpmにおける見掛け粘度mPa・sで算出した値である。
このことから本発明の自動車用水性中塗塗料は、塗装後の塗膜に粘性を付与できタレ発生の抑制に寄与し、かつ一般面の仕上り性に優れる。なお従来の自動車用水性中塗塗料では、同様の測定条件において、シェアレート10秒−1で3,000以上で、かつ10,000Pa・秒未満、シェアレート1,000秒−1で300Pa・秒未満である。
(注4)塗膜粘度:測定機として、レオストレスRS150(HAAKE社製、商品
名、コーンプレート型粘度計)により測定することができる。測定温度は25℃で、
シェアレートを連続に変化させた時の塗膜粘度(Pa・秒)を読取った数値である。
塗膜形成方法
自動車用水性中塗塗料の塗装後は、以下の方法(1)〜方法(4)等の塗膜形成方法によって複層塗膜を形成することができる。
方法(1)としては、本発明の自動車用水性中塗塗料の塗膜の硬化塗膜上に、上塗り塗料(ソリッド色)をエアレススプレー、エアスプレー、回転霧化塗装などの方法によって乾燥膜厚が約10〜50μmとなるように塗装し、焼き付け温度として約100〜180℃で約10〜90分間加熱してなる2コート2ベーク方式(2C2B);及び水性塗料のウェット塗膜上に、ウェットオンウェットにて、上塗り塗料(ソリッド色)を塗り重ねてなる2コート1ベーク方式(2C1B)が挙げられる。
されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
製造例1 ウレタン樹脂水分散体No.1の製造
メチルエチルケトンを反応溶媒として、クラレポリオールP−2012(注5)4
8.9部、トリメチロールプロパン0.978部、BPX−11(注11)24.4
5部、ジメチロールプロピオン酸 2.445部、デュラネート50MS(注14)
23.23部をジブチルチンジラウレートを触媒として70℃で反応させ、ウレタン
プレポリマーを合成した。
トリエチルアミン 1.67部を加えることにより中和を行ない、界面活性剤として
エマルゲン147(注17)を2.0部加えて均一化した後、ホモミキサーを用いて
高速攪拌しながら蒸留水120部を添加して乳化を行った。
遊離イソシアネート基が水と反応して完全に消失するまで30℃で攪拌を続けた。
次に、エバポレーターを用いて反応溶媒であるメチルエチルケトンを減圧回収するこ
とにより、固形分52.5重量%、粘度750mPa・s、pH8.2、平均粒子径
0.18μmのウレタン樹脂水分散体No.1を得た。なお製造例1におけるウレタ
ン樹脂の樹脂酸価は、10mgKOH/gであった。
メチルエチルケトンを反応溶媒として、テスラック2477(注6) 44.72
部、BPX−33 (注12)28.46部、ジメチロールプロピオン酸 2.43
9部、VESTANAT IPDI(注15) 24.39部をジブチルチンジラウ
レートを触媒として70℃で反応させ、ウレタンプレポリマーを合成した。そのウレ
タンプレポリマーの遊離イソシアネート基は1.28%であった。
次に、トリエチルアミン 1.94部を加えることにより中和を行ない、界面活性
剤としてエマルゲン147(注17)を2.0部加えて均一化した後、ホモミキサー
を用いて高速攪拌しながら蒸留水120部を添加して乳化を行った。次に、ジエチレ
ントリアミンを0.819部を蒸留水10部に溶解したアミン水溶液を添加して遊離
イソシアネート基と30℃で反応させた。次に、エバポレーターを用いて反応溶媒で
あるメチルエチルケトンを減圧回収することにより、固形分50.5重量%、粘度4
50mPa・s、pH8.4、粒子径0.25μmのウレタン樹脂水分散体No.2を得
た。なお製造例2におけるウレタン樹脂の樹脂酸価は10mgKOH/gであった。
表1に示す原材料、仕込量とする以外は、製造例1に示す条件で反応を行って、ウ
レタン樹脂水分散体No.3を得た。
製造例4 ウレタン樹脂水分散体No.4の製造
表1に示す原材料、仕込量とする以外は、製造例2に示す条件で反応を行って、ウ
レタン樹脂水分散体No.4を得た。
表1に示す原材料、仕込量とする以外は、製造例2に示す条件で反応を行って、ウ
レタン樹脂水分散体No.5を得た。
製造例6 ウレタン樹脂水分散体No.6の製造
表1に示す原材料、仕込量とする以外は、製造例2に示す条件で反応を行って、ウ
レタン樹脂水分散体No.6を得た。
製造例7 ウレタン樹脂水分散体No.7の製造
表1に示す原材料、仕込量とする以外は、製造例2に示す条件で反応を行って、ウ
レタン樹脂水分散体No.7を得た。
製造例8 ウレタン樹脂水分散体No.8の製造
表1に示す原材料、仕込量とする以外は、製造例2に示す条件で反応を行って、ウ
レタン樹脂水分散体No.8を得た。
表1に、製造例1〜製造例8の原材料、及び仕込量を示す。表2に、ウレタン樹脂
水分散体No.1〜No.8の性状を示す。
(注6)テスラック2477:日立化成ポリマー社製、商品名、ポリエステル樹脂(アジピン酸・イソフタル酸/1,6ヘキサンジオール)、数平均分子量1,750、水酸基価65mgKOH/g
(注7)テスラック2450:日立化成ポリマー社製、商品名、ポリエステル樹脂(テレフタル酸・イソフタル酸、セバシン酸/1,4ブタンジオール)、数平均分子量2,000、水酸基価56mgKOH/g
(注8)ポリライトOD−X−2044:大日本インキ化学工業、商品名、ポリエス
テル樹脂(アジピン酸/ネオペンチルグリコール)、数平均分子量2,000、水酸基価56mgKOH/g
(注9)ニッポラン4040:日本ポリウレタン社製、商品名、ポリエステル樹脂(アジピン酸/1,4ブタンジオール)、数平均分子量2,000、水酸基価56mgKOH/g
(注10)ニッポランN−981:日本ポリウレタン社製、商品名、1,6へキサンジオールポリカーボネート、数平均分子量1,000、水酸基価112mgKOH/g
(注11)BPX−11:旭電化社製、商品名、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加体
(注12)BPX−33:旭電化社製、商品名、ビスフェノールAプロピレンオキサ
イド付加体
(注13)ポリエーテルA:水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、
数平均分子量381、水酸基価295mgKOH/g
(注14)デュラネート50MS:旭化成ケミカルズ社製、商品名、ヘキサメチレン
ジイソシアネートのイソシアヌレート体
(注15)VESTANI IPDI:イソホロンジイソシアネート
(注16)デスモジュールW:住化バイエルウレタン社製、商品名、4、4′−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート
(注17)エマルゲン147:花王株式会社製、商品名、界面活性剤
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器、水分離器を備えた4つ口フラスコに、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 61.9部
アジピン酸 70.1部
トリメチロールプロパン 62.8部
ネオペンチルグリコール 24.2部
1,4−シクロヘキサンジメタノール 44.6部
を装入し、内容物を160℃から230℃まで3時間かけて昇温させた後、230℃
で1時間保持し生成した縮合水を精留塔を用いて留去させた。
次に、生成物に無水トリメリット酸15.0部を付加した後、脱溶剤を行い、ジメ
チルエタノールアミンで中和してから、水に混合して、水酸基価は150mgKOH
/g、樹脂酸価は35mgKOH/g、数平均分子量は2,000、固形分40重量%のポリエステル樹脂溶液No.1を得た。
温度計、温度調節器、撹拌機、還流冷却器、および滴下装置、反応容器内に脱イオ
ン水300部、25%リアソープSE−1025(界面活性剤、旭電化(株)製、商
品名)4.8部を窒素気流中で撹拌混合し、82℃に昇温した。次いで下記組成の
「モノマー乳化物(1)」の3%分および1%過硫酸ナトリウム水溶液を60部反応
容器に導入し、20分間82℃で保持した。
20部加え、これを4時間かけて定量ポンプで反応容器内に滴下した。滴下終了後2時間熟成を行った後、1%ジメチルエタノールアミン水溶液282部を加え30分間82℃で保持した。30℃に冷却、200メッシュのナイロンクロスでろ過、排出し、
固形分40.0重量%、pH6.5の平均粒子径0.15μmのアクリル樹脂溶液No.1を得た。
「モノマー乳化物(1)」
脱イオン水 300部
25%SE−1025 43.2部
スチレン 180部
n−ブチルアクリレート 336部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 60部
アクリル酸 24部
実施例1
ウレタン樹脂水分散体No.1を50部(固形分)、ポリエステル樹脂溶液No.
1を10部(固形分)、バイヒドロールVP LS2378(注18)20部(固形
分)、サイメル325(注19)20部(固形分)をあらかじめ混合し、MICRO
ACE S−3(注20)10部、JR−806(注21)65部、カーボンMA
−100(注22)0.6部、硫酸バリウムB35(注23)20部を加えて分散、
混合しさらに脱イオン水を加えて、フォードカップNo.4によって50秒(20℃)に調製し、水性中塗塗料No.1を得た。
表1の配合内容で実施例2〜5の水性中塗塗料No.2〜No.5を得た。
名、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤、固形分40重量%
(注19)サイメル325:日本サイテックインダストリーズ社製、商品名、メチル/ブチル化メラミン樹脂、固形分80重量%
(注20)MICRO ACE S−3:日本タルク株式会社製、商品名、タルク
(注21)JR−806:テイカ株式会社製、商品名、チタン白
(注22)カーボンMA−100:三菱化学株式会社製、商品名、カーボンブラック
(注23)硫酸バリウムB35:堺化学社製、商品名、硫酸バリウム
比較例1〜8
表2の配合内容で、比較例1〜8の水性中塗塗料No.6〜No.13を得た。
試験板(1)の作成
パルボンド#3020(日本パーカライジング株式会社製、商品名、りん酸亜鉛処
理)を施した冷延鋼板(70mm×150mm×0.8mm)に、エレクロンGT−
10LF(関西ペイント株式会社製、商品名、カチオン電着塗料)を電着塗装し、1
70℃−20分間焼付け乾燥して、乾燥膜厚で20μmの塗膜を得た。
水平塗装し、150℃−20分間焼き付けた。次に、水性中塗り塗料の塗膜面に、マジクロンTB−515(関西ペイント株式会社製、商品名、アクリル樹脂・メラミン樹脂系塗料)を15μm施し、室温で3分間放置してから、その未硬化塗
面にクリア塗料(「マジクロンTC−71」関西ペイント社製、商品名、アクリル樹
脂・メラミン樹脂系)を膜厚35μmに塗装し、140℃−20分加熱乾燥して、試
験板(1)を得た。
試験板(1)の作成において、クリア塗料を塗装した後に160℃−20分間で加
熱乾燥する以外は、試験板(1)と同様にして、試験板(2)を得た。
試験板(3)の作成
試験板(1)の作成において、冷延鋼板の中央に10mmφのポンチ孔があいてい
るものを用い、かつ各水性中塗塗料No.1〜No.13を垂直塗装する以外は、試
験板(1)と同様にして、試験板(3)を得た。このときの塗装条件は温度25℃
で、相対湿度80%であった。
上記のようにして形成された試験板(1)、試験板(2)、試験板(3)を用いて
下記の試験方法に従って行った試験結果を表5、及び表6に示す。
(注26)塗膜粘度:(注4)を参照
(注27)耐チッピング性:試験板(1)を用い、米国Q−PANEL社製、Q−G
−Rグラベロメータ(チッピング試験装置)の試片保持台に試験板を設置し、−20
℃において、0.392MPa(4kgf/cm2)の圧縮空気により、粒度7号−
花崗岩砕石量50gを塗面に吹き付け、これによる塗膜のキズの発生程度などを目視
で観察し評価した。
◎は、キズの大きさは小さく、水性中塗塗料の塗膜(本組成物の塗膜)が露出している程度
○は、キズの大きさは小さく、水性中塗塗料の塗膜と一部電塗膜が露出している程度
△は、キズの大きさは小さいが、電着塗膜面や素地の鋼板が露出している程度
×は、キズの大きさはかなり大きく、素地の鋼板も大きく露出している程度
(注28)黄変性:試験板(1)のb値と試験板(2)のb値との差(Δb)で、評
価した。
○は、Δb値が0.9未満
△は、Δb値が0.9以上でかつ1.0以下
×は、Δb値が1.0Δbを越える
にて
観察した。
○は、問題なく良好
△は、ポンチ孔の周りに1mmくらいの塗膜のタレがみられる
×は、ポンチ孔の周りに2mm以上の塗膜のタレがみられる
(注30)塗面平滑性:試験板(3)の一般面の外観を目視にて評価した。
○は、平滑性、ツヤ、鮮映性がともに良好
△は、平滑性、ツヤ、鮮映性のいずれかが、やや劣る
×は、平滑性、ツヤ、鮮映性のいずれかが、顕著に劣る
に優れる塗装物品を得ることができる。
Claims (6)
- 樹脂酸価が2〜20mgKOH/gであるウレタン樹脂水分散体(A)、水酸基含有樹脂(B)、及び架橋剤(C)を含有する水性中塗塗料であって、かつ該水性中塗塗料を水で希釈してフォードカップNo.4で50秒(20℃)に調整した水性中塗塗料のチクソトロピックインデックスが1.6〜3.0の範囲にあり、該ウレタン樹脂水分散体(A)が、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(a)、ビスフェノールA骨格又は水添ビスフェノールA骨格を含むアルキレンオキシド付加物であるポリエーテルポリオール(b1)、ジカルボン酸と低分子ジオールとの重縮合物であるポリエステルポリオール(b2)及び少なくとも1個のカルボキシル基と少なくとも2個の水酸基を有する化合物(b 3 )を含む1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するポリオール(b)を反応させてなるウレタンプレポリマーを中和剤(c)にて中和し、水性媒体中に安定に分散させてなり、ウレタン樹脂水分散体(A)が、界面活性剤(d)を含有し、ポリエステルポリオール(b 2 )を構成するジカルボン酸として、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸から選ばれる少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸を含有し、ウレタン樹脂水分散体(A)、水酸基含有樹脂(B)及び架橋剤(C)の固形分合計100重量部に対して、偏平状顔料タルクを0.1〜50重量部含有することを特徴とする自動車用水性中塗塗料。
- 少なくとも1個のカルボキシル基と少なくとも2個の水酸基を有する化合物(b3)が、2,2−ジメチロールプロピオン酸である請求項1に記載の自動車用水性中塗塗料。
- ウレタン樹脂水分散体(A)の平均粒子径が、0.02〜0.4μmである請求項1又は2に記載の自動車用水性中塗塗料。
- ウレタン樹脂水分散体(A)、水酸基含有樹脂(B)及び架橋剤(C)の固形分合計量に対して、固形分でウレタン樹脂水分散体(A)を0.1〜70重量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用水性中塗塗料。
- 被塗物上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動車用水性中塗塗料を塗装し、未硬化のまま又は焼き付け硬化し、さらに1層以上の着色塗料及び/又はクリア塗料を塗装し、加熱硬化してなる複層塗膜形成方法。
- 請求項5に記載の自動車用水性中塗塗料が、温度20℃で相対湿度75%の条件下で、乾燥膜厚25μmとなるように塗装した時、1分後にコーンプレート型粘度計で測定した塗膜粘度が、シェアレート10秒-1で10,000〜150,000Pa・秒、かつシェアレート1,000秒-1で300〜1,000Pa・秒の範囲である、複層塗膜形成方法。
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