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JP4647860B2 - 傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジン - Google Patents

傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジン Download PDF

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JP4647860B2
JP4647860B2 JP2001285602A JP2001285602A JP4647860B2 JP 4647860 B2 JP4647860 B2 JP 4647860B2 JP 2001285602 A JP2001285602 A JP 2001285602A JP 2001285602 A JP2001285602 A JP 2001285602A JP 4647860 B2 JP4647860 B2 JP 4647860B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,据え付け面を有するクランクケースと,このクランクケースに水平に支持されるクランク軸と,このクランク軸に連接するピストンが嵌合するシリンダを有してクランクケースの一側面からやゝ上向きに突出するシリンダブロックと,このシリンダブロックの頭部に接合されるシリンダヘッドとを備える,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のかゝる傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンは,例えば特開平5−28339号公報に開示されているように,単気筒である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンは,シリンダブロックやシリンダヘッドの上方又は下方に補機の設置スペースを広く確保できて,全体をコンパクトに構成することができる利点を有するが,従来のこの種エンジンは単気筒であるため,出力アップをすべく排気量を増加するにも,増大する爆発振動等により限界がある。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,爆発振動を少なくしながら,排気量の増加を可能にした,コンパクトな傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,据え付け面を有するクランクケースと,このクランクケースに水平に支持されるクランク軸と,このクランク軸に連接するピストンが嵌合するシリンダを有してクランクケースの一側面からやゝ上向きに突出するシリンダブロックと,このシリンダブロックの頭部に接合されるシリンダヘッドとを備える,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンにおいて,クランク軸に位相差360°の一対のクランクピンと,クランク軸の軸線を挟んでこれらクランクピンにそれぞれ対向する各一対のクランクウエイトとを設け,前記一対のクランクピンに連接する一対のピストンが嵌合する互いに平行な一対のシリンダをシリンダブロックに形成し,前記一対のクランクピンで挟まれたクランク軸の中央部に偏心軸部を形成する一方,クランクケースの内壁に,クランク軸の前記中央部に向かい且つシリンダの軸線と平行に延びるガイド軸を固設し,このガイド軸にバランスウエイトを摺動自在に嵌合しこのバランスウエイトは,クランク軸の軸方向に沿う横幅がクランク軸の中央部を挟んで並ぶ2つのクランクウエイトの間隔より大で,前記ガイド軸の軸方向に沿う高さが前記横幅より小となるように形成されると共に,クランク軸の中央部を挟んで並ぶ前記2つのクランクウエイト間に介入する突部を備え,この突部を,前記バランスウエイトが前記両ピストンの往復動に連動してそれらと反対方向に往復動するように,前記偏心軸部にリンクを介して連結し,シリンダヘッドに,各シリンダに対応してシリンダヘッド上面に開口する一対の吸気ポート及び,各シリンダに対応してシリンダヘッド下面に開口する排気ポートを設け,このシリンダヘッドの上面には,前記吸気ポートに連通し,各シリンダの配列方向に沿って水平方向に延びて上流端をシリンダヘッドの一側方に向ける吸気マニホールドを,またシリンダヘッドの下面には,前記排気ポートに連通し,各シリンダの配列方向に沿って水平方向に延びて下流端をシリンダヘッドの他側方に向ける排気マニホールドをそれぞれ配設し,吸気マニホールドの上流端には,シリンダヘッドの一側方に該シリンダヘッドに隣接して配置される気化器を,また排気マニホールドの下流端には,シリンダヘッドの他側方に該シリンダヘッドに隣接して配置される排気管をそれぞれ接続し,前記吸気マニホールドの上方に,前記気化器の上流端に接続するエアクリーナと前記排気管の下流端に接続するマフラとを隣接配置したことを第1の特徴とする。
【0006】
この第1の特徴によれば,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンは等間隔爆発の並列2気筒エンジンに構成されることになり,排気量を増加させても,爆発振動の分散により,振動の低減を図ることができる。またバランスウェイトが,クランク軸の軸方向に沿う横幅がクランク軸の中央部を挟んで並ぶ2つのクランクウエイトの間隔より大で,ガイド軸の軸方向に沿う高さが前記横幅より小となるように形成されると共に,クランク軸の中央部を挟んで並ぶ前記2つのクランクウエイト間に介入する突部を備え,この突部を偏心軸部にリンクを介して連結しているので,このバランスウェイトとピストンとの慣性力の釣合い作用によりエンジンの一層の振動低減を図ることができる。しかも,傾斜したシリンダヘッドの上方及び下方に吸気及び排気マニホールドをそれぞれ各シリンダの配列方向に沿って水平に配置したこと,気化器及び排気管をシリンダヘッドを挟んで互いに反対側に,シリンダヘッドに隣接して配置したこと,並びに吸気マニホールドの上方に気化器の上流端に接続するエアクリーナと排気管の下流端に接続するマフラとを隣接配置したことで,シリンダヘッド周りをコンパクトに構成しながら,シリンダブロック及びシリンダヘッドの上方に,エアクリーナ及びマフラのための設置スペースを広く確保することができ,エンジンのコンパクト化に寄与し得る。その上,排気系による吸気系の加熱を特別な遮熱板を用いることなく回避することができ,構造の簡素化にも寄与し得る。
【0007】
また本発明は,第1の特徴に加えて,気化器を,これがクランク軸の一端に連結される冷却ファンと半径方向で隣接するように配置したことを第2の特徴とする。
【0008】
この第2の特徴によれば,冷却ファンの外周のスペースを気化器の設置スペースに有効利用することができ,エンジンのコンパクト化に一層寄与し得る。
【0009】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記エアクリーナと前記マフラとを,クランク軸の軸方向に沿って隣接配置し,これらエアクリーナ及びマフラに隣接する燃料タンクをクランクケースの上方に配置したことを第3の特徴とする。
【0010】
この第3の特徴によれば,吸気マニホールド及びクランクケースの上方のスペースを,エアクリーナ,マフラ及び燃料タンクの設置スペースに有効利用することができ,エンジンの更なるコンパクト化を図ることができる。
【0011】
【発明の実施の態様】
本発明の実施の態様を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0012】
図1は本発明の傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンの要部縦断側面図,図2は図1の2矢視図,図3は図1の3矢視図,図4は図1の4−4線断面図,図5は図1の5−5線断面図,図6は図2の6−6線断面図,図7は図2の7矢視図,図8は図4の8−8線断面図,図9は図6の9−9線断面図,図10はカム軸を示す縦断面図(A),左側面図(B)及び右側面図(C),図11は本発明エンジンの変形例を示す縦断平面図である。
【0013】
先ず,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンの全体構成について説明する。
【0014】
図1,図4及び図5において,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンEのエンジン本体1は,クランクケース2と,このクランクケース2の一側面からやゝ上向きに突出するシリンダブロック3と,このシリンダブロック3の頭部に接合されるシリンダヘッド4とからなる。クランクケース2は,その下面の据え付け面5において各種作業機器のエンジンベッドに据え付けられるようになっている。
【0015】
クランクケース2は,シリンダブロック3と一体に鋳造されて一端面を開放したケース本体1aと,その開放端に結合されるサイドカバー2bとで構成され,これらケース本体1a及びサイドカバー2bにクランク軸6の両端部がボールベアリング7,7′及びオイルシール8,8′を介して回転自在に支承される。クランク軸6は,一端部を出力軸部6o,他端部を補機取り付け軸部6aとしてそれぞれクランクケース2外に突出させており,補機取り付け軸部6aにフライホイール10がキー結合されると共にボルト11で固着され,このフライホイール10の外端面には,エンジン本体1各部や後述する気化器30に冷却風を供給する冷却ファン12がボルト13で固着される。この冷却ファン12の外側にリコイル式エンジンスタータ14が配設される。
【0016】
クランクケース2の,フライホイール10に対向する外端面には,発電機15のステータ15aが取り付けられ,フライホイール10は,このステータ15aの外周に配置される複数の磁石15bを備えていて,発電機15のローラを兼ねている。
【0017】
クランク軸6は,クランクケース2内で位相差360°の一対のクランクピン6p,6pとクランク軸6の軸線を挟んでこれらにそれぞれ対向する各一対のクランクウエイト6w,6wとを備えている。これらクランクピン6p,6pにコンロッド16,16を介して一対のピストン17,17が連接され,これらピストン17,17が摺動可能に嵌合する一対のシリンダ18,18がシリンダブロック3に互いに平行に形成される。
【0018】
シリンダヘッド4には,シリンダ18,18に対応して燃焼室20,20,吸気ポート21,21及び排気ポート22,22が形成されると共に,吸気ポート21,21及び排気ポート22,22を開閉する吸気弁23,23及び排気弁24,24が装着される。その際,吸気ポート21,21及び排気ポート22,22は上下に配置されて,吸気ポート21,21の上流端はシリンダヘッド4の上面に開口し,排気ポート22,22の下流端はシリンダヘッド4の下面に開口する。
【0019】
燃焼室20,20に電極を臨ませる点火プラグ25,25は,シリンダヘッド4に,その左右両側方から螺着される。
【0020】
図1,図2,図6及び図7に示すように,シリンダヘッド4の上面には吸気マニホールド27がボルト28で固着される。この吸気マニホールド27は,吸気ポート21,21に個別に連通して各シリンダ18の配列方向に沿って水平に延びる一対の吸気路29,29を備えており,各吸気路29,29の上流端は,シリンダヘッド4の,前記冷却ファン12と同側の一側方に向けて開口し,これらの開口部に,シリンダヘッド4に隣接配置の2連式の気化器30が接続される。こうして気化器30は,前記冷却ファン12とその半径方向で隣接配置される。
【0021】
気化器30の上流端には,上流端を上方へ向けた吸気ダクト31を介してエアクリーナ32が接続される。このエアクリーナ32は,吸気マニホールド27の上方に配置される。
【0022】
気化器30及び吸気ダクト31は,複数の通しボルト33により吸気マニホールド27に結合される。またエアクリーナ32は,吸気ダクト31に植設された単一の取り付けボルト34により吸気ダクト31に取り付けられる。
【0023】
またシリンダヘッド4の下面には排気マニホールド35がボルト39で固着される。この排気マニホールド35は,排気ポート22,22に共通に連通してシリンダ18の配列方向に沿って水平に延びる単一の排気路36を備えており,その排気路36のシリンダヘッド4の他側方に向けて開口する。排気マニホールド35の下流端には,気化器30とは反対にシリンダヘッド4の他側方に隣接配置される排気管37が接続され,この排気管37の上端部にはマフラ38が接続される。こうしてエアクリーナ32及びマフラ38は,図2及び図3に示すように,吸気マニホールド27の上方にクランク軸6の軸線に沿い隣接して配置される。
【0024】
またクランクケース2の上方には,その上面から突出したブラケット40に支持されて,エアクリーナ32及びマフラ38に隣接する燃料タンク41が配置される(図1及び図3参照)。
【0025】
図4及び図8において,一対のクランクピン6pで挟まれるクランク軸6の中央部には偏心軸部42が形成されており,この偏心軸部42にリンク43の大端部が回転自在に嵌合され,その小端部には,クランク軸6と平行なピボット44を介して,クランク軸6の中央部を挟んで並ぶ2つのクランクウエイト6w,6w間に介入するバランスウェイト45の突部45aが連結され,このバランスウェイト45は,クランクケース2の内壁に固着されてクランク軸6の前記中央部に向かい且つシリンダ18,18の軸線と平行に延びるガイド軸46の外周に,該ウェイト45のガイド孔47を摺動自在に嵌合させる。このバランスウェイト45は,ガイド軸46の軸線に沿う方向の長さをこれと直交する方向の長さよりも短くされていて,エンジンEの運転中,シリンダ18,18内を摺動するピストン17,17と反対方向に往復動するものであり,その際,両ピストン17,17の慣性力と略釣り合う慣性力を発揮するようになっている。
【0026】
尚,クランク軸6は,補機取り付け軸部6a,駆動タイミングプーリ57(後述する)及び偏心軸部42を有するクランク軸半体6Aと,出力軸部6oを有するクランク軸半体6Bとの分割され,偏心軸部42へのリンク43の組み付け後に,両クランク軸半体6A,6Bの対向端部6Aa,6Baが相互に圧入結合される。
【0027】
而して,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンEは,クランク軸6の一対のクランクピン6p,6pに360°の位相差を与えることにより,等間隔爆発の並列2気筒エンジンに構成される。したがって,排気量を増加させても,爆発振動の分散により振動の低減を図ることができ,またバランスウェイト45が,クランク軸6の軸方向に沿う横幅がクランク軸6の中央部を挟んで並ぶ2つのクランクウエイト6wの間隔より大で,ガイド軸46の軸方向に沿う高さが前記横幅より小となるように形成されると共に,クランク軸6の中央部を挟んで並ぶ前記2つのクランクウエイト6w間に介入する突部45aを備え,この突部45aを偏心軸部42にリンク43を介して連結しているので,このバランスウェイト45とピストン17,17との慣性力の釣合い作用によりエンジンEの一層の振動低減を図ることができる。しかも,傾斜したシリンダヘッド4の上方及び下方に吸気及び排気マニホールド27,35をそれぞれ各シリンダ18の配列方向に沿って水平に配置したこと,気化器30及び排気管をシリンダヘッド4を挟んで互いに反対側に,シリンダヘッド4に隣接して配置したこと,並びに吸気マニホールド27の上方に気化器30の上流端に接続するエアクリーナ32と排気管37の下流端に接続するマフラ38とを隣接配置したことで,シリンダヘッド4周りをコンパクトに構成しつゝ,シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の上方にエアクリーナ32及びマフラ38のための設置スペースを広く確保することができ,エンジンEのコンパクト化に寄与し得る。その上,排気系による吸気系の加熱を特別な遮熱板を用いることなく回避することができ,構造の簡素化にも寄与し得る。
【0028】
また気化器30は,これがクランク軸6の一端に連結される冷却ファン12と半径方向で隣接するように配置されるので,冷却ファン12の外周のスペースを気化器の設置スペースに有効利用することができ,エンジンEのコンパクト化に一層寄与し得る。
【0029】
さらにシリンダブロック3及びシリンダヘッド4の上方に,エアクリーナ32とマフラ38とが,クランク軸6の軸方向に沿って隣接配置され,エアクリーナ32及びマフラ38に隣接する燃料タンク41がクランクケース2の上方に配置されるので,シリンダブロック3,シリンダヘッド4及びクランクケース2の上方のスペースを,エアクリーナ32,マフラ38及び燃料タンク41の設置スペースに有効利用することができ,エンジンEの更なるコンパクト化を図ることができる。
【0030】
次に,エンジンEの潤滑系について説明する。
【0031】
図4及び図8において,ガイド軸46,バランスウェイト45,ピボット44,リンク43及びクランク軸6には,一対のクランクピン6p,6pの外周面に給油するための一連の潤滑油路50が形成されると共に,この潤滑油路50の途中にポンプ油室48が設けられる。このポンプ油室48は,バランスウェイト45のガイド孔47にガイド軸46の先端によって画成され,バランスウェイト45の往復動に応じて体積を膨張,収縮させるようになっている。
【0032】
一方,サイドカバー2bに内壁には,クランク軸6から駆動及び被動ギヤ51,52を介して駆動されるオイルポンプ53が取り付けられ,このオイルポンプ53の吐出ポートと,ガイド軸46に形成された潤滑油路50の入口との間がオイルパイプ54により接続される。
【0033】
而して,エンジンEの運転中,オイルポンプ53は,クランクケース2内の底部に貯留する潤滑オイル56をストレーナ55を通して吸い上げて,上記オイルパイプ54及び潤滑油路50を通してクランクピン6p,6pに供給し,コンロッド16,16との間の回転摺動面を潤滑する。
【0034】
その際,ガイド孔47内のポンプ油室48は,バランスウェイト45の往復動により体積の膨張,収縮を繰り返してポンプ作用を発揮するのであるが,その体積収縮時には,オイルポンプ53の吐出圧が抵抗となってオイルの逆流が阻止されるため,オイルポンプ53から圧送されるオイルを効果的に昇圧してクランクピン6p,6p側に供給することができ,上記潤滑を効果的に行うことができる。したがって小容量で安価なオイルポンプ53の使用が可能となり,またオイルの逆流を防ぐ特別な一方向弁も不要である。
【0035】
また潤滑油路50の途中では,それを通過するオイルによって偏心軸部42及びピボット44の回転摺動面や,ガイド軸46及びバランスウェイト45間の摺動面を潤滑することができる。
【0036】
次にエンジンEの動弁系について説明する。
【0037】
図4,図5,図9及び図10において,クランク軸6の中央部には,偏心軸部42に隣接する駆動タイミングプーリ57が形成されている。一方,シリンダヘッド4には,クランク軸6と平行なカム支軸61が取り付けられており,このカム支軸61に回転自在に支承されるカム軸62の中央部の従動タイミングプーリ58と上記駆動タイミングプーリ57との間にタイミングベルト59が掛け渡される。これら駆動及び従動タイミングプーリ57,58及びベルト59によって,クランク軸6からカム軸62を2分の1の減速比で駆動する調時伝動装置60が構成される。
【0038】
カム軸62には,従動タイミングプーリ58を挟んで並ぶ一対の排気カム66,66と,これら排気カム66,66の外側端に隣接する吸気カム65,65が形成され,内側の排気カム66,66は,外側の吸気カム65,65より大径になっている。このカム軸62は,カム支軸61の両端部を支持すべくシリンダヘッド4に形成された一対の支持壁67,67により軸方向の動きを規制される。上記各支持壁67,67には一対の小支持壁68,68が一体に連設され,それらにカム支軸61と平行なロッカ軸69の両端部が支持される。各ロッカ軸69には吸気ロッカアーム70及び排気ロッカアーム71が個別に揺動自在に支承される。吸気ロッカアーム70は,ロッカ軸69に基端部を支承されて先端部を吸気弁23の頭部に調節ボルト72を介して当接する断面コ字状の第1アーム70aと,この第1アーム70aの一側壁から延出して吸気カム65の外周面に摺接する第2アーム70bとからなっている。
【0039】
また排気ロッカアーム71は,前記第1アーム70aの基端部を覆いながらロッカ軸69に基端部を支承されて先端部を排気弁24の頭部に調節ボルト73を介して当接する断面コ字状の第1アーム71aと,この第1アーム71aの一側壁から延出して排気カム66の外周面に摺接する第2アーム71bとからなっている。
【0040】
吸気及び排気弁23,24には,それらを閉弁方向に付勢する弁ばね74,75が装着される。
【0041】
各ロッカ軸69は,シリンダヘッド4の外側方に向けた外端部に膨大頭部69aを有しており,その頭部69aは,動弁系を覆うべくシリンダヘッド4に結合されるヘッドカバー76の内側面に当接するように配置される。したがって,ヘッドカバー76の取り外し状態では,各ロッカ軸69,69の小支持壁68,68への抜き差しが可能であるが,ヘッドカバー76の取り付け状態では,その内壁により各ロッカ軸69,69の小支持壁68,68からの離脱が阻止される。
【0042】
ロッカ軸69には,小支持壁68,68間で抜け止めピン77が取り付けられ,この抜け止めピン77がカム支軸61の横孔78に挿入されて,カム支軸61の支持壁67からの離脱が阻止される。
【0043】
図11は本発明エンジンの変形例を示すもので,調時伝動装置60を,サイドカバー2bの内壁に隣接して配設した点,並びに調時伝動装置60の従動タイミングプーリ58がカム支軸61の固着されると共に,このカム支軸61にカム軸62がキー結合され,従動タイミングプーリ58がカム支軸61を介してカム軸62を駆動するようになっている点を除けば,上記実施例と同様の構成であり,図11中,上記実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0044】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨の範囲を逸脱することなく種々の設計変更が可能である。例えば,カム軸62において,大径側を吸気カム65,小径側を排気カム66とすると共に,吸気ロッカアーム70の内側に排気ロッカアーム71を配置することもできる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,据え付け面を有するクランクケースと,このクランクケースに水平に支持されるクランク軸と,このクランク軸に連接するピストンが嵌合するシリンダを有してクランクケースの一側面からやゝ上向きに突出するシリンダブロックと,このシリンダブロックの頭部に接合されるシリンダヘッドとを備える,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンにおいて,クランク軸に位相差360°の一対のクランクピンと,クランク軸の軸線を挟んでこれらクランクピンにそれぞれ対向する各一対のクランクウエイトとを設け,前記一対のクランクピンに連接する一対のピストンが嵌合する互いに平行な一対のシリンダをシリンダブロックに形成し,前記一対のクランクピンで挟まれたクランク軸の中央部に偏心軸部を形成する一方,クランクケースの内壁に,クランク軸の前記中央部に向かい且つシリンダの軸線と平行に延びるガイド軸を固設し,このガイド軸にバランスウエイトを摺動自在に嵌合しこのバランスウエイトは,クランク軸の軸方向に沿う横幅がクランク軸の中央部を挟んで並ぶ2つのクランクウエイトの間隔より大で,前記ガイド軸の軸方向に沿う高さが前記横幅より小となるように形成されると共に,クランク軸の中央部を挟んで並ぶ前記2つのクランクウエイト間に介入する突部を備え,この突部を,前記バランスウエイトが前記両ピストンの往復動に連動してそれらと反対方向に往復動するように,前記偏心軸部にリンクを介して連結し,シリンダヘッドに,各シリンダに対応してシリンダヘッド上面に開口する一対の吸気ポート及び,各シリンダに対応してシリンダヘッド下面に開口する排気ポートを設け,このシリンダヘッドの上面には,前記吸気ポートに連通し,各シリンダの配列方向に沿って水平方向に延びて上流端をシリンダヘッドの一側方に向ける吸気マニホールドを,またシリンダヘッドの下面には,前記排気ポートに連通し,各シリンダの配列方向に沿って水平方向に延びて下流端をシリンダヘッドの他側方に向ける排気マニホールドをそれぞれ配設し,吸気マニホールドの上流端には,シリンダヘッドの一側方に該シリンダヘッドに隣接して配置される気化器を,また排気マニホールドの下流端には,シリンダヘッドの他側方に該シリンダヘッドに隣接して配置される排気管をそれぞれ接続し,前記吸気マニホールドの上方に,前記気化器の上流端に接続するエアクリーナと前記排気管の下流端に接続するマフラとを隣接配置したので,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンは等間隔爆発の並列2気筒エンジンに構成されることになり,排気量を増加させても,爆発振動の分散により,振動の低減を図ることができる。またバランスウェイトが,クランク軸の軸方向に沿う横幅がクランク軸の中央部を挟んで並ぶ2つのクランクウエイトの間隔より大で,ガイド軸の軸方向に沿う高さが前記横幅より小となるように形成されると共に,クランク軸の中央部を挟んで並ぶ前記2つのクランクウエイト間に介入する突部を備え,この突部を偏心軸部にリンクを介して連結しているので,このバランスウェイトとピストンとの慣性力の釣合い作用によりエンジンの一層の振動低減を図ることができる。しかも,傾斜したシリンダヘッドの上方及び下方に吸気及び排気マニホールドをそれぞれ各シリンダの配列方向に沿って水平に配置したこと,気化器及び排気管をシリンダヘッドを挟んで互いに反対側に,シリンダヘッドに隣接して配置したこと,並びに吸気マニホールドの上方に気化器の上流端に接続するエアクリーナと記排気管の下流端に接続するマフラとを隣接配置したことで,シリンダヘッド周りをコンパクトに構成しながら,シリンダブロック及びシリンダヘッドの上方に,エアクリーナ及びマフラのための設置スペースを広く確保することができ,エンジンのコンパクト化に寄与し得る。その上,排気系による吸気系の加熱を特別な遮熱板を用いることなく回避することができ,構造の簡素化にも寄与し得る。
【0046】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,気化器を,これがクランク軸の一端に連結される冷却ファンと半径方向で隣接するように配置したので,冷却ファンの外周のスペースを気化器の設置スペースに有効利用することができ,エンジンのコンパクト化に一層寄与し得る。
【0047】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第2の特徴に加えて,前記エアクリーナと前記マフラとを,クランク軸の軸方向に沿って隣接配置し,これらエアクリーナ及びマフラに隣接する燃料タンクをクランクケースの上方に配置したので,シリンダブロック,シリンダヘッド及びクランクケースの上方のスペースを,エアクリーナ,マフラ及び燃料タンクの設置スペースに有効利用することができ,エンジンの更なるコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンの要部縦断側面図。
【図2】 図1の2矢視図。
【図3】 図1の3矢視図。
【図4】 図1の4−4線断面図。
【図5】 図1の5−5線断面図。
【図6】 図2の6−6線断面図。
【図7】 図2の7矢視図。
【図8】 図4の8−8線断面図。
【図9】 図6の9−9線断面図。
【図10】 カム軸を示す縦断面図(A),左側面図(B)及び右側面図(C)。
【図11】 本発明エンジンの変形例を示す縦断平面図。
【符号の説明】
E・・・・・・傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジン(エンジン)
2・・・・・・クランクケース
3・・・・・・シリンダブロック
4・・・・・・シリンダヘッド
5・・・・・・据え付け面
6・・・・・・クランク軸
6p・・・・・クランクピン
12・・・・・冷却ファン
17・・・・・ピストン
18・・・・・シリンダ
21・・・・・吸気ポート
22・・・・・排気ポート
27・・・・・吸気マニホールド
30・・・・・気化器
32・・・・・エアクリーナ
35・・・・・排気マニホールド
37・・・・・排気管
38・・・・・マフラ
41・・・・・燃料タンク
42・・・・・偏心軸部
43・・・・・リンク
45・・・・・バランスウエイト
46・・・・・ガイド軸

Claims (3)

  1. 据え付け面(5)を有するクランクケース(2)と,このクランクケース(2)に水平に支持されるクランク軸(6)と,このクランク軸(6)に連接するピストン(17)が嵌合するシリンダ(18)を有してクランクケース(2)の一側面からやゝ上向きに突出するシリンダブロック(3)と,このシリンダブロック(3)の頭部に接合されるシリンダヘッド(4)とを備える,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンにおいて,
    クランク軸(6)に位相差360°の一対のクランクピン(6p)と,クランク軸(6)の軸線を挟んでこれらクランクピン(6p)にそれぞれ対向する各一対のクランクウエイト(6w)とを設け,前記一対のクランクピン(6p)に連接する一対のピストン(17)が嵌合する互いに平行な一対のシリンダ(18)をシリンダブロック(3)に形成し,前記一対のクランクピン(6p)で挟まれたクランク軸(6)の中央部に偏心軸部(42)を形成する一方,クランクケース(2)の内壁に,クランク軸(6)の前記中央部に向かい且つシリンダ(18)の軸線と平行に延びるガイド軸(46)を固設し,このガイド軸(46)にバランスウエイト(45)を摺動自在に嵌合しこのバランスウエイト(45)は,クランク軸(6)の軸方向に沿う横幅がクランク軸(6)の中央部を挟んで並ぶ2つのクランクウエイト(6w)の間隔より大で,前記ガイド軸(46)の軸方向に沿う高さが前記横幅より小となるように形成されると共に,クランク軸(6)の中央部を挟んで並ぶ前記2つのクランクウエイト(6w)間に介入する突部(45a)を備え,この突部(45a)を,前記バランスウエイト(45)が前記両ピストン(17)の往復動に連動してそれらと反対方向に往復動するように,前記偏心軸部(42)にリンク(43)を介して連結し,
    シリンダヘッド(4)に,各シリンダ(18)に対応してシリンダヘッド(4)上面に開口する一対の吸気ポート(21)及び,各シリンダ(18)に対応してシリンダヘッド(4)下面に開口する排気ポート(22)を設け,このシリンダヘッド(4)の上面には,前記吸気ポート(21)に連通し,各シリンダ(18)の配列方向に沿って水平方向に延びて上流端をシリンダヘッド(4)の一側方に向ける吸気マニホールド(27)を,またシリンダヘッド(4)の下面には,前記排気ポート(22)に連通し,各シリンダ(18)の配列方向に沿って水平方向に延びて下流端をシリンダヘッド(4)の他側方に向ける排気マニホールド(35)をそれぞれ配設し,吸気マニホールド(27)の上流端には,シリンダヘッド(4)の一側方に該シリンダヘッド(4)に隣接して配置される気化器(30)を,また排気マニホールド(35)の下流端には,シリンダヘッド(4)の他側方に該シリンダヘッド(4)に隣接して配置される排気管(37)をそれぞれ接続し,前記吸気マニホールド(27)の上方に,前記気化器(30)の上流端に接続するエアクリーナ(32)と前記排気管(37)の下流端に接続するマフラ(38)とを隣接配置したことを特徴とする,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジン。
  2. 請求項1記載の傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンにおいて,
    気化器(30)を,これがクランク軸(6)の一端に連結される冷却ファン(12)と半径方向で隣接するように配置したことを特徴とする,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジン。
  3. 請求項2記載の傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジンにおいて,
    前記エアクリーナ(32)と前記マフラ(38)とをクランク軸(6)の軸方向に沿って隣接配置し,これらエアクリーナ(32)及びマフラ(38)に隣接する燃料タンク(41)をクランクケース(2)の上方に配置したことを特徴とする,傾斜シリンダ型汎用4サイクルエンジン。
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