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JP4531638B2 - 変圧器負荷想定方法、変圧器負荷想定装置 - Google Patents

変圧器負荷想定方法、変圧器負荷想定装置 Download PDF

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JP4531638B2 JP2005175249A JP2005175249A JP4531638B2 JP 4531638 B2 JP4531638 B2 JP 4531638B2 JP 2005175249 A JP2005175249 A JP 2005175249A JP 2005175249 A JP2005175249 A JP 2005175249A JP 4531638 B2 JP4531638 B2 JP 4531638B2
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Description

本発明は、配電負荷想定方式に係り、特に配電系統における変圧器の負荷を想定する方法及び装置に関する。
配電系統は、変電所、発電所もしくは送電線路と電力需要設備との間、または需要設備相互間の電線路およびSW機器(以下、開閉器という)で構成される電力設備であり、電力会社では、配電設備計画に伴って将来の消費電力量(負荷)を想定することを行っている。すなわち、上記の計画に伴って、将来負荷が必要となったときに、配電系統における将来の負荷を想定する。そして、配電系統の設備計画に伴って必要となってくる将来負荷のうち、過去の実績データを基に開閉器間(区間)、フィーダ、変圧器単位の将来日負荷をいかにして高精度に求めるか、が配電負荷想定問題である。
この配電系統において、変圧器は、多数設置されることから、配電系統全体のコストダウンを図る上で、その変圧器を介して給電されている需要家の日負荷に応じて最適な容量のものを設置することが必要である。
そして以下の特許文献1には、変圧器に接続されている需要家の日負荷を想定することで、変圧器自体の日負荷を求める配電系統負荷推定装置について記載されている。この特許文献1の装置における負荷想定方式では、日負荷を計測している計測需要家について、日負荷の推移を示すグラフ形状に強い相関がある需要家同士をグループ化し、そのグループに属する需要家の日負荷を平均した日負荷推移グラフをそのグループの日負荷として設定する。また、各グループに属する計測需要家の代表的な属性(契約種別、住居の床面積など)を特定する。そして、日負荷を計測していない非計測需要家の日負荷を当該非計測需要家の属性に基づいていずれかのグループに分類分けする。
このように全需要家がいずれかのグループに分類分けされたならば、変圧器を介して給電されている全需要家の日負荷をそれぞれの需要家が属する各グループの日負荷によって合成し、変圧器の日負荷を求めている。
特開2003−224931号公報
従来の日負荷想定手法では、全需要家の日負荷をいずれかのグループに分類分けしている。グループの日負荷は平均であり、非計測需要家の実際の日負荷と平均日負荷とでは、かならず誤差がある。そして、変圧器に接続される需要家の日負荷を合成すれば、その誤差は累積され、結局実際の日負荷とはかけ離れたものとなり、精度に欠ける。精度を上げるために計測器などを多数設置してデータ量を増やそうとすればその計測設置に多大なコストが掛かる。
上記課題に鑑み本発明を創作した。本発明は、変圧器毎の負荷を安価に、かつ高精度で想定するための変圧器負荷想定方法、および変圧器負荷想定装置を提供することを目的としている。
そして、本発明の基本となるのは、次の事項(1)〜(3)により特定される。
(1) 日負荷計測データを持つ計測需要家と持たない非計測需要家とが混在する配電系統において、変圧器別に負荷を予測する変圧器負荷想定方法であること。
(2) 非計測需要家と計測需要家の双方の過去の月間消費電力量の年間変動に基づいて、非計測需要家ごとに予測対象日の日負荷に類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを特定すること。
(3)非計測需要家については前記特定した日負荷計測データに基づく日負荷を、計測需要家については日負荷計測データに基づく日負荷をそれぞれ求めるとともに、変圧器ごとに電力供給先となる需要家についての日負荷を総合して変圧器別日負荷を求めること。
また本発明は、前記(1)〜(3)の事項に加え、以下の(11)〜(16)のいずれかの事項、あるいは(11)〜(16)のいずれかを適宜に組み合わせた事項を備えた配電負荷想定方法としてもよい。
(11)前記変圧器別日負荷に基づいて、各変圧器における最大負荷を特定すること。
(12)ある非計測需要家について、類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを特定する際、前記過去の月間消費電力量の年間変動のパターン形状と絶対消費電力量のそれぞれについての相関を求めるとともに、非計測需要家ごとに予測対象日の日負荷として類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを前記パターン形状と絶対消費電力量のそれぞれの相関に基づいて特定すること。
(13)前記非計測需要家の日負荷は需要家種別が同じ計測需要家の日負荷計測データに基づいて特定されること。
(14)ある非計測需要家について、類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを特定する際、計測需要家の日負荷計測データに対し、前記月間消費電力量の年間推移グラフの形状の相関が強い順に順位を対応付けするとともに、前記月間消費電力量の絶対消費電力量の相関が強い順に順位を対応づけし、各計測需要家の日負荷計測データに対応付けされた、前記形状と絶対消費電力量のそれぞれについての順位の合計値が最も低い日負荷計測データを特定対象とすること。
(15)ある非計測需要家についての日負荷は、予測対象日が属する月における当該非計測需要家とこの非計測需要家に類似すると想定される計測需要家の双方の月間消費電力量の比率に応じて補正されること。
(16)前記日負荷は予測対象日の気温データに応じて補正されること。
本発明は、上記変圧器負荷想定方法に基づいて、配電負荷を想定する装置にも及んでおり、次の事項(21)〜(24)を備えている。
(21)日負荷計測データを持つ計測需要家と持たない非計測需要家とが混在する配線系統において、変圧器別に負荷を予測する変圧器負荷想定装置であること。
(22)需要家別に個人情報、日負荷計測データ、月間消費電力量などの情報を蓄積管理するデータベースにアクセスする手段を備えること。
(23)非計測需要家と計測需要家の双方の過去の月間消費電力量の年間変動に基づいて、非計測需要家ごとに予測対象日の日負荷として最も類似すると想定される1つの計測需要家の日負荷計測データを特定する手段を備えること。
(24)非計測需要家については前記特定した日負荷計測データに基づく日負荷を、計測需要家については日負荷計測データに基づく日負荷をそれぞれ求めるとともに、変圧器ごとに電力供給先となる需要家についての日負荷を総合して変圧器別日負荷を求める手段を備えること。
本発明の配電負荷想定装置は、上記事項(21)〜(24)に加え、以下の事項(31)〜(36)のいずれかの事項、あるいは(31)〜(36)のいずれかを適宜に組み合わせた事項を備えていてもよい。
(31)前記変圧器別日負荷に基づいて、各変圧器における最大負荷を特定する手段を備えること。
(32)前記日負荷計測データを特定する手段は、前記過去の月間消費電力量の年間変動のパターン形状と絶対消費電力量のそれぞれについての相関を求めるとともに、非計測需要家ごとに予測対象日の日負荷に類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを前記パターン形状と絶対消費電力量のそれぞれの相関に基づいて特定すること。
(33)日負荷計測データを特定する手段は、各非計測需要家の日負荷をそれぞれの非計測需要家の種別と同じ種別の計測需要家から特定すること。
(34)日負荷計測データを特定する手段は、計測需要家の日負荷計測データに対し、前記月間消費電力量の年間変動のパターン形状の相関が強い順に順位を対応付けするとともに、前記月間消費電力量の絶対消費電力量の相関が強い順に順位を対応づけし、各計測需要家の日負荷計測データに対応付けされた、前記パターン形状と絶対消費電力量のそれぞれについての順位の合計値が最も低い日負荷計測データを特定対象とすること。
(35)ある非計測需要家についての日負荷を、予測対象日が属する月における当該非計測需要家とこの非計測需要家に類似すると想定される計測需要家の双方の月間消費電力量の比率に応じて補正する手段を備えること。
(36)日負荷の予測対象日の気温データを取得する手段と、日負荷を当該予測対象日の気温データに応じて補正する手段とを備えること。
本発明の変圧器負荷想定方法によれば、月間消費電力量に基づいて各変圧器の将来負荷を正確に想定することができる。そのため、日負荷の推移を計測する装置などを多数の需要家に追加設置することなく、負荷想定にかかるコストを安価にすることができる。また、正確に負荷を想定できることから、設置する変圧器の容量を適切に設定でき、実際よりも大容量の変圧器を設置することによる過剰投資や、容量不足による事故を防止することができる。
===配電系統===
図1は、本発明の変圧器負荷想定方法が適用される配電系統の一例を示している。この例における配電系統は、変電所における配電線用遮断器(CB)1を介して接続される。配電系統には、複数の開閉器2が設置され、各開閉器2の間を「区間」5としている。各区間5には多数の需要家(電力を消費する施設)4が所属している。変電所出口からの高電圧の電力は各区間5の変圧器3にて降圧され、各主需要家(住宅4a、商店4b、事務所4cなど)へ配電される。このようにして、CB1から各需要家4へ電力を供給する配電線網(フィーダ)10が構成される。
CB1では、フィーダ10全体の負荷を時間刻みで計測した実績データが記録されているが、開閉器2や変圧器3では負荷の実績データは記録されていない。また、需要家4には日負荷を計測するためのロードサーベイ計量器を持つ計測需要家と、持たない非計測需要家とが混在する。周知の通り、ロードサーベイ計量器は、1日における消費電力(負荷)の時間推移を記録する。
図2(A)〜(C)に各種計測需要家についての日負荷計測データの例を示した。この図では一般的な住宅(A)と、深夜電力を消費する需要家(B)と、商業施設(C)の日負荷計測データをそれぞれ示した。なお、非計測需要家には、電力量計が設置され、電力会社では、検針員がこの電力量計を毎月の検針することで、非計測需要家における月間消費電力量を記録している。図3に月間消費電力量の年間変動の例を示した。
===変圧器負荷想定方法の概略===
本発明の変圧器負荷想定方法によれば、全需要家4の日負荷データを変圧器3ごとに総合し、各変圧器3の日負荷データを求めている。また、その変圧器3の日負荷データに基づいて変圧器3における最大負荷(ピーク負荷)を抽出している。しかし、需要家4には計測需要家と非計測需要家とが存在することから、非計測需要家の日負荷については計測需要家の日負荷計測データを参考にして想定する必要がある。
本発明者らは、同じ種別の需要者同士の場合、双方の日負荷が類似する可能性が高いことを経験的に知見している。なお種別とは、商業施設と住宅などの施設の区別、化学工場と縫製工場などの業種の区別、100Vと6.6kVなどの受電電圧である。また、月間電力消費量の年間変動のパターン形状(図3のグラフ形状)が類似している需要者同士ほど、日負荷の傾向(図2のグラフ形状)がより類似していることも知見している。しかしながら、例えば、同じ種別として「化学工場」という同じ業種の需要家同士の月間電力消費量の年間推移の傾向を見る場合、大工場と町工場とでは、消費電力量の絶対量が異なり、ある非計測需要家の日負荷として、同じ業種の日負荷計測データをそのまま採用することはできない。
本実施例では、ある非計測需要家の1年間の月間消費電力量の変動パターンと月間消費電力量の絶対値のそれぞれを、この非計測需要家と同じ種別の全計測需要家における消費電力量の推移と絶対値と比較している。そして、月間消費電力量の変動パターンと絶対値との相関関係に基づいて、最も類似・近似していると思われる計測需要家の日負荷計測データを特定し、その日負荷計測データを非計測需要家の日負荷を想定するための最も適した起源として採用している。それによって、同じ種別の需要家の月間消費電力量同士を比較し、かつその消費電力量の年間変動のパターン形状と月間消費電力量の絶対値のそれぞれの相関に基づいて非計測需要家の日負荷の起源となる日負荷計測データを特定しているため、比較対象を絞り込んでその特定処理に掛かる負荷や時間を抑えるとともに、より類似する日負荷計測データを抽出することができる。なお本実施例では、計測需要家については前年のその想定日と同じ月/週/曜日の日負荷計測データに基づいて想定日の日負荷を求め、非計測需要家については、同じ種別で最も類似した需要家の過去年の同じ月/週/曜日の日負荷計測データに基づいて想定日の日負荷を求めている。
このようにして全需要家4について想定日の日負荷を得たら、変圧器3ごとに、所属する全需要家4の日負荷を各想定日について合計する。それによって、変圧器3別5の日負荷が求まる。図4に変圧器別の日負荷についての概略を示した。ある変圧器3を介して電力が供給される需要家a〜cの時間ごとの負荷20a〜20cを合計するとその変圧器3の日負荷30が求まる。このようにして変圧器3の日負荷を年間など所定期間に渡って想定することで、ピーク負荷とその日時を取得できる。
===変圧器別負荷想定装置===
ここで、本発明の方法に基づいて配電系統上の各変圧器3の日負荷を想定し、その想定結果に基づいて各変圧器3におけるピーク負荷を想定する装置(以下、負荷想定装置)を本発明の一実施形態として挙げる。図5にその負荷想定装置の機能ブロック構成を示した。変圧器負荷想定装置40は、データベース42を付帯したコンピュータを主体として構成され、データベース42には、配電系統に属する全需要家4についての個人情報(氏名、住所、電話番号、契約番号、需要家種別、所属電柱番号、日負荷データの有無など)や、過去の月間消費電力量や計測需要家であればその日負荷計測データなどが蓄積管理されている。遠隔監視制御装置60は、本実施例では、変圧器負荷想定装置40とは別のコンピュータであり、適宜な通信手段により、開閉器2の開閉状態や電力潮流など、配電系統の状態を監視したり、開閉器の開閉動作を遠隔操作したりする。
負荷想定計算制御部(以下、計算制御部)43は、変圧器負荷想定装置40に実装されているプログラムの実行により実現され、本発明の方法に従って変圧器3ごとの日負荷を想定するための各種演算を行う。この計算制御部43に含まれる主な処理部としては、需要家種別判別判定部(以下、種別判定部)44、相関処理部45、類似需要家抽出部46、負荷補正部47、処理結果出力部48がある。そして、全体制御部41は、キーボードなど変圧器負荷想定装置40に付帯する入力装置49からの情報入力や、遠隔監視制御部60から出力される情報の入力、あるいはデータベース42の格納情報の取得、および、これらの入力/取得情報を計算制御部43に与えたり、この計算制御部43からの処理結果をディスプレイやプリンタなどの出力装置50や遠隔監視制御装置60に出力したり、あるいはデータベース42に記憶させたりするための入出力インタフェース機能を備える。
===変圧器別日負荷想定処理===
図6に、本実施例の変圧器負荷想定装置40により、想定対象の変圧器におけるピーク負荷とその負荷となる日時を求めるための変圧器ピーク負荷抽出処理の流れを示した。この例では、ピーク負荷を抽出するためのサンプルを将来の所定期間に含まれる想定日の日負荷から取得する。そのために、まず、来年度の1年間、などサンプルとなる想定日の期間を指定する(s1)。つぎに、想定期間中のある想定日における想定対象変圧器に接続されている全需要家についての日負荷を想定し(s2)、この日想定処理(s2)により抽出された当該変圧器に属する全需要家の日負荷を積算する(s3)。それによって当該変圧器のある想定日の日負荷(変圧器日負荷)が求まる。そして、この想定日の日負荷におけるピーク負荷とその時刻を抽出する(s4)。
このようにして、想定期間の各日における変圧器日負荷を順次求めていく(s5→s6,s2〜s4)。想定期間の全日分のピーク負荷とその時刻を得たならば、全日分のピーク負荷の内、最大値を当該変圧器のピーク負荷とする(s5→s7)。
上記の変圧器ピーク負荷抽出処理の流れにおいて、日負荷想定処理(s2)は本発明の要点である。図7にこの日負荷想定処理(s2)の流れを示した。ここでは、想定対象の変圧器に接続されている非計測需要家の数をN、配電系統全体における計測需要家をLとし、日負荷データを想定しようとしているある非計測需要家(想定需要家)をi(i=1,2,…,N)とし、そのiと同種別の計測需要家の数をMとし、そのiと同種別の計測需要家をk(k=1,2,…,M)とする。したがって、Mはiに応じて可変する数となる。また、ある計測需要家をj(j=1,2,…,L)とする。
全体制御部41は、データベース42から非計測需要家の月間消費電力量データx(i)と、計測需要家の日負荷計測データy(j)を読み込む(s11、s12)。さらに本実施例では、気温によって日負荷が変動することから、入力装置を介して入力される、想定日における想定需要家の所在地域の気温を取得することとしている(s13)。なお気温に関するデータは、地域別に時間刻みで気象庁から入手することができる。もちろん、変圧器負荷想定装置40を気象庁などにある気温データを提供している外部のコンピュータと通信可能に構成しておき、この外部コンピュータから気温データを入手してもよい。
必要な気温データを入力したら、つぎに、計測需要家について月別に日負荷計測データを積算して月間の消費電力量を算出する(s14)。なお、計測需要家も検針により月間消費電力量が記録されていることから、非計測需要家と同様にその検針によって取得される月間消費電力量をそのままデータベース42から読み出すようにしてもよい。そして全体制御部41は、取得した日負荷の想定に関わる各種データを計算制御部43へ与える。計算制御部43は、日負荷の想定対象となる非計測需要家(想定需要家)iを抽出し(s15)、このiについて付帯する各種処理部により、非計測需要家についての日負荷を想定する。
以下に具体的な日負荷の想定処理について説明する。まず種別判定部44により、想定需要家と同じ種別の計測需要家kをデータベースより検索し(s16)、相関処理部45により、想定需要家iと計測需要家kの月間電力量について、その年間推移の傾向を示すグラフの形状相関係数r1と、月間電力量の絶対量相関係数r2を、それぞれ以下の式(数1)と(数2)により算出する(s17,s18)。なお数1、数2において、S、Sは、非計測需要家iおよび計測需要家kのそれぞれの月間消費電力量に関する標準偏差であり、mは月である。そして、fim、fiaveは、それぞれ非計測需要家iのm月の月間消費電力量と月平均消費電力量であり、fkm、fkaveは、それぞれ計測需要家kのm月の月間消費電力量と月平均消費電力量である。なお標準偏差Sについては(数3)により求めている。
Figure 0004531638
ある想定需要家iについて、上記2つの相関係数r1とr2をiと同種別の全ての計測需要家(総数M)について算出し終えたら、類似需要家抽出部46により、このiの日負荷として最も類似する日負荷計測データとその計測データを持つ計測需要家(類似需要家)を特定する(s19→s21)。本実施例では、この類似需要家の特定に際し「ランキング手法」と呼ばれる方式を採用している。ランキング手法は、r1とr2のそれぞれについて、その値が大きな方から順に該当する計測需要家に順位を付与してリストアップし、それぞれの順位の合計が最も少ない需要家を類似需要家とし、その類似需要家の日負荷計測データを想定需要家の日負荷(想定日負荷)の算出起源として採用する(s22→s23)。図8(A)(B)にそのランキング手法についての概略を示した。ある想定需要家iについて、r1とr2の値の大きさに応じてa〜eの計測需要家に順位が付与されている(図8A)。そして、r1とr2の値に対する順位の合計を計測需要家ごとに求める(図8B)。図8に示した例では、計測需要家bが類似需要家であると判定され、その類似需要家bの日負荷計測データに基づいて想定日負荷を求める。このように、2つの順位の合計値に基づいて相関関係を判定することで、実体が異なるとともに均等に重要視されるべき2つの相関関係を公平に扱うことができ、より適切な日負荷計測データを抽出することができる。なお本実施例では、r1やr2の値があらかじめ設定されている閾値を超えない場合には、想定需要家iの日負荷として、そのiと同種別の計測需要家の日負荷計測データの平均を求め、その平均日負荷を想定日負荷を求めるための起源として採用することとしている(s22→s24)。
類似需要家と想定需要家iとは消費電力量が異なることから、類似需要家の日負荷計測データをそのまま想定需要家iの日負荷として採用するわけにはいかない。そこで、負荷補正部47は、想定需要家iの月間消費電力と類似需要家の月間消費電力とに基づいて類似需要家の日負荷計測データを補正する。具体的には、例えば、過去の想定日の月と同じ月について、想定需要家と類似需要家の月間消費電力量を取得し、双方の電力量の比を求め、この比を類似需要家の日負荷データに乗算してまず第1の補正をする(s25)。この第1の補正により、想定需要家の消費電力量を時間刻みで正確に求めることができる。
さらに負荷補正部47は、想定日の平均気温に基づいて類似需要家の日負荷計測データを補正する(s26)。本実施例では、データベース42に過去の日平均気温データが格納されており、負荷補正部47は、過去一年間の平均気温データと計測需要家についての過去一年間の日負荷計測データとを取得する。なお、この場合の計測需要家は、想定需要家と同種別の需要家であってもよいし、先に特定した類似需要家であってもよい。そして、過去一年間の各日について平均負荷を算出し、気温と平均負荷との相関を求める。図9にその相関関係を示した。平均気温に対する平均負荷の実測値をプロットした散布図70から、気温−平均負荷の相関を示す回帰曲線71の関数を導出する。導出した関数に想定日の予報平均気温を代入して想定日の平均負荷を算出する。そして、この気温に対する平均負荷と第1の補正により得た日負荷の平均との比を求め、この比を第1の補正により得た日負荷にさらに乗算する。それによって、最終的に想定日の気温を加味したより精度の高い想定需要家の日負荷を得ることができる。
計算制御部43は、このようにして、想定対象となる全非計測需要家についての日負荷が得られたならば、需要家についての日負荷を変圧器別に総合する処理(s3)へ移行する。処理結果出力部は、上述の変圧器別最大負荷抽出処理や日負荷想定処理の過程で求められる各種情報を、例えば、ディスプレイやプリンタなどの出力装置50に向けて出力したり、データベース42への格納データとして出力したりする。出力される情報やその情報の提示形式としては、例えば、フィーダ全体の想定日の日負荷をグラフにして表示出力したり、需要家や変圧器を選択する利用者入力を受け付けて、指定の需要家や変圧器についての想定日負荷グラフや負荷のピーク値やその日時を出力したりするなど、適宜に出力することができる。
本発明の実施例における変圧器負荷想定方法に基づく変圧器負荷の想定対象となる配電系統の概略図である。 上記配電系統に属する各種需要家の日負荷についての概略図である。 ある需要家における月間消費電力量の年間推移を示すグラフである。 本実施例における変圧器負荷想定方法についての概略を説明する図である。 本実施例の方法に基づいて配電系統上の各変圧器の日負荷を推定する変圧器負荷想定装置の機能ブロック図である。 上記負荷想定装置における変圧器ピーク負荷抽出処理の流れ図である。 上記変圧器ピーク負荷抽出処理に含まれる日負荷想定処理の流れ図である。 上記負荷想定処理に含まれる類似需要家抽出処理の説明図である。 気温と平均負荷との相関図である。
符号の説明
1 配電線用遮断器(CB)
2 開閉器
3 変圧器
4,4a〜4c 需要家
10 フィーダ
40 変圧器負荷想定装置
41 全体制御部
42 データベース
43 負荷想定計算制御部
60 遠隔監視制御装置

Claims (14)

  1. 日負荷計測データを持つ計測需要家と持たない非計測需要家とが混在する配電系統において、変圧器別に負荷を予測する変圧器負荷想定方法であって、
    非計測需要家と計測需要家の双方の過去の月間消費電力量の年間変動に基づいて、非計測需要家ごとに類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを特定し、
    非計測需要家については前記特定した日負荷計測データに基づく日負荷を、計測需要家については日負荷計測データに基づく日負荷をそれぞれ求めるとともに、変圧器ごとに電力供給先となる需要家についての日負荷を総合して変圧器別日負荷を求める、
    ことを特徴とする変圧器負荷想定方法。
  2. 請求項1において、前記変圧器別日負荷に基づいて、各変圧器における最大負荷を特定することを特徴とする変圧器負荷想定方法。
  3. 請求項1または2において、ある非計測需要家について、類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを特定する際、前記過去の月間消費電力量の年間変動のパターン形状と絶対消費電力量のそれぞれについての相関を求めるとともに、非計測需要家ごとに予測対象日の日負荷に類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを前記パターン形状と絶対消費電力量のそれぞれの相関に基づいて特定することを特徴とする変圧器負荷想定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記非計測需要家の日負荷は需要家種別が同じ計測需要家の日負荷計測データに基づいて特定されることを特徴とする変圧器負荷想定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、ある非計測需要家について、最も類似すると想定される1つの計測需要家の日負荷計測データを特定する際、
    計測需要家の日負荷計測データに対し、前記月間消費電力量の年間変動のパターン形状の相関が強い順に順位を対応付けするとともに、前記月間消費電力量の絶対消費電力量の相関が強い順に順位を対応づけし、
    各計測需要家の日負荷計測データに対応付けされた、前記パターン形状と絶対消費電力量のそれぞれについての順位の合計値が最も低い日負荷計測データを特定対象とする、
    ことを特徴とする変圧器負荷想定方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、ある非計測需要家についての日負荷は、予測対象日が属する月における当該非計測需要家とこの非計測需要家に類似すると想定される計測需要家の双方の月間消費電力量の比率に応じて補正されることを特徴とする変圧器負荷想定方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記日負荷は予測対象日の気温データに応じて補正されることを特徴とする変圧器負荷想定方法。
  8. 日負荷計測データを持つ計測需要家と持たない非計測需要家とが混在する配線系統において、変圧器別に負荷を予測する変圧器負荷想定装置であって、
    需要家別に個人情報、日負荷計測データ、月間消費電力量などの情報を蓄積管理するデータベースにアクセスする手段と、
    非計測需要家と計測需要家の双方の過去の月間消費電力量の年間変動に基づいて、非計測需要家ごとに予測対象日の日負荷に類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを特定する手段と、
    非計測需要家については前記特定した日負荷計測データに基づく日負荷を、計測需要家については日負荷計測データに基づく日負荷をそれぞれ求めるとともに、変圧器ごとに電力供給先となる需要家についての日負荷を総合して変圧器別日負荷を求める手段と、
    を備えたことを特徴とする変圧器負荷想定装置。
  9. 請求項8において、前記変圧器別日負荷に基づいて、各変圧器における最大負荷を特定する手段を備えたことを特徴とする変圧器負荷想定装置。
  10. 請求項8または9において、前記日負荷計測データを特定する手段は、前記過去の月間消費電力量の年間変動のパターン形状と絶対消費電力量のそれぞれについての相関を求めるとともに、非計測需要家ごとに予測対象日の日負荷に類似すると想定される計測需要家の日負荷計測データを前記パターン形状と絶対消費電力量のそれぞれの相関に基づいて特定することを特徴とする変圧器ごとに電力供給先となる需要家についての日負荷を総合して変圧器別日負荷を求める、変圧器負荷想定装置。
  11. 請求項8〜10のいずれかにおいて、前記日負荷計測データを特定する手段は、各非計測需要家の日負荷をそれぞれの非計測需要家の種別と同じ種別の計測需要家から特定することを特徴とする変圧器負荷想定装置。
  12. 請求項8〜11のいずれかにおいて、日負荷計測データを特定する手段は、計測需要家の日負荷計測データに対し、前記月間消費電力量の年間変動のパターン形状の相関が強い順に順位を対応付けするとともに、前記月間消費電力量の絶対消費電力量の相関が強い順に順位を対応づけし、各計測需要家の日負荷計測データに対応付けされた、前記パターン形状と絶対消費電力量のそれぞれについての順位の合計値が最も低い日負荷計測データを特定対象とすることを特徴とする変圧器負荷想定装置。
  13. 請求項8〜12のいずれかにおいて、ある非計測需要家についての日負荷を、予測対象日が属する月における当該非計測需要家とこの非計測需要家に類似すると想定される計測需要家の双方の月間消費電力量の比率に応じて補正する手段を備えたことを特徴とする変圧器負荷想定装置。
  14. 請求項8〜13のいずれかにおいて、日負荷の予測対象日の気温データを取得する手段と、日負荷を当該予測対象日の気温データに応じて補正する手段とを備えたことを特徴とする変圧器負荷想定装置。

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