JP4531162B2 - 空気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、生物による空気又は空気と水の浄化装置に関するものである。より詳しくは、この発明は、植物及び植物の根部に成長する微生物を利用する植物浄化技術、紫外線光及び洗浄器技術を用いて汚染空気あるいは汚染水を浄化する装置あるいはシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
植物が、植物内及び植物の根部と根圏(植物を植生する土壌などの栽培媒質の根部周囲領域)に、微生物群の複雑な生態系を維持していることは、よく知られている。これらの生物の存在に伴う各種の生物学的活動が、空気中及び水中の特に炭化水素物質類からなる種々の化学物質及び他の汚染物質を生物分解する傾向があることも知られている。
【0003】
この種の従来技術は、以下に記述する多くの特許明細書にも記載されている。
さらに、紫外線光ランプが空気中のウイルス及びバクテリアを殺菌することも知られている。長年、紫外線光は、公共的な場所及び外科的手術室内の空気感染を予防するために使用されている。
【0004】
屋内植物が揮発性有機化学物質を分解し破壊する特徴を備えた微生物を、植物根部上及びその周囲の媒質中に繁殖させる事実については、ウオルバートンらの「省エネルギー家屋から屋内空気汚染物質を除去する観葉植物」(Foliage Plants for Removing Indoor Air Pollutants from Energy−Efficient Homes,1984,Economic Botany 38(2):224−228)、B.C.ウオルバートンとジョン D.ウオルバートンの「植物及び土中微生物:屋内環境のホルムアルデヒド、キシレン及びアンモニアの除去」(Plants and Soil Microorganisms: Removal of Formaldehyde, Xylene and Ammonia from the Indoor Environment,1993,Journal of the Mississippi Academy of Sciences 28(2):11−15)に示されている。また、屋内植物がどのように屋内空気の品質を向上させるかについての研究の成果が、B.C.ウオルバートンの「環境に優しい屋内植物」(Eco − Friendly Houseplants,Weidenfeld & Nicholson: London, U.K.; 1996)、米国での「どのように新鮮な空気を増やすか」(How to Grow Fresh Air,Viking Penguin; 1997)、及び日本での「環境に優しい屋内植物」(Eco − Friendly House Plants,1998)に記録されている。
【0005】
また、屋内植物が、有機化学物質を分解し破壊しさらに除去し、また根部上及びその周囲に廃水を浄化する微生物を培養する事実については、ウオルバートンらの「廃水処理のための微生物および高等植物」(Microorganisms and Higher Plants for Wastewater Treatment,1983,Journal of Environmental Quality 12(2):236−242)及び「バイオフィルム及び維管束植物を用いた優先汚染物質の生物的変換」(Biotransformation of Priority Pollutants Using Biofilms and Vascular Plants,1986,Journal of Mississippi Academy of Sciences 31: 79−89)に示されている。
【0006】
従来型の空気浄化装置は、物理的あるいは物理化学的作用を利用している。高い機能を備えた装置は、流動空気中の粒子状物質を除去する高効率粒子捕捉フィルター(HEPA)及び気体状の有機化学物質を除去する活性炭のような吸着性の高い材料を組合せて利用している。これらの浄化装置のフィルターは、汚染物質を捕捉して集積し、次第に目詰まりを起こしたり、あるいは飽和状態に達する。したがって、これらの浄化装置を有効に機能させるためには、使用者が定期的にフィルター部材を交換することが不可欠である。
【0007】
大型の湿式スクラバーでは、化学的汚染物質、臭気あるいは粒子状物及びこれらの有害廃棄物と考えられる大気汚染物質を含む汚染水を除去するために、水のpHを適切に維持する必要がある。
【0008】
廃水処理用のほとんどの機械的装置は、高価でエネルギー消費量が高く、その使用期間も限定される。
【0009】
空気浄化用の装置は、数多く開発されている。このような発明の代表例は、米国特許第5,656,242号、第5,351,438号、第5,277,877号、第5,221,520号、第5,217,696号、第5,433,923号、第5,407,470号、第5,190,570号及び第5,089,036号などに示されている。また、紫外線ランプを空気浄化装置の一部として利用する発明の代表例は、米国特許第5,433,923号、第5,217,696号、第5,074,894号、第5,399,319号及び第4,210,429号などに示されている。さらに、廃水処理及び空気と廃水を組合せて処理するために、植物に基礎を置く作用を利用した発明の代表例は、米国特許第4,415,450号、第5,137,625号、第4,959,084号及び第5,269,094号などに示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
現在利用可能なほとんどの空気浄化及び廃水処理手段には本質的な問題がある。フィルター等の交換を必要とせず、経済的にかつ高いエネルギー効率で、生物学的に空気や廃水から臭気及び汚染物質を除去する技術の必要性が高くなっている。条件を制御した環境下で植物及び植物の根部に繁殖する微生物を利用して、フィルターでろ過した媒質を自然な過程で生物分解する技術は、将来有望な処理手段として急速に発展してきている。
【0011】
この発明は、広範な生物作用によるプランターモジュールで、空気浄化、廃水処理および両者を屋内あるいは屋外環境において同様に行う装置ないしシステムを提供するものであり、現存する問題点を簡単で直接的な方法で解決しようとするものである。屋内の空気浄化プランターは、空気中の微生物を除去するために殺菌用紫外線光ランプと併用する。
【0012】
即ち、この発明は、湿潤空気洗浄と吸着による生物処理過程を組合せた装置で、従前の技術とは異なるものを提供することを目的とし、費用のかかるフィルター部材の交換を行なうこと無しに、廃水処理と組合せて空気汚染物質をより効果的に除去する装置ないし設備を提供することを基本的課題とする。
【0013】
さらに、この発明は、不活性丸石あるいは火成岩及び活性炭、または気体化学物質を吸着する特性を持つ他の物質で構成し、その基本目標を空気浄化とする基盤を提供することを目的とする。
【0014】
さらに、この発明は、特許の範囲を制限するものではなく例として、屋内外の空気または廃水処理、商業建築物または居住用建築物の屋内空気の浄化、あるいは、商業及び農業用点源空気浄化等の種々の適用のための植物成長モジュールを提供することを目的とする。
【0015】
さらに、この発明は、屋内空気浄化のために、紫外線ランプを配置する殺菌気室を提供することを目的とする。紫外線光は、この発明による生物的湿潤空気洗浄プランターモジュールから排出する残留空中輸送細菌を破壊する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明が提供する装置は、植物及びその根部の微生物の作用により空気や水を処理するプランターモジュールを含んでいる。この発明の装置は、装置が備える植物の根部、根部に関与する微生物及びこれらの微生物の影響を受ける湿潤な多孔質の栽培媒質により、これらを通過する空気中の汚染物質を捕捉して除去し、又はこれらの空気汚染物質を水汚染物質に変換して生物分解して破壊する。この発明の装置は、臭気を含む空気あるいは空気中の粒子状物を水容器を含むプランターモジュールに強制的に導入する手段、水溶性の臭気および有害物質を大気汚染物質から水汚染物質に変換させ、そこで植物の根及び根部に関係する微生物により生物分解させる手段を含んで構成される。
【0017】
この出願の請求項1は、水を保持する第1部分と栽培ないし吸着媒質を保持する第2部分とに区画された水密性の容器と、容器内の第1部分に安定配置されるように植物を挿入する開口と、第1部分に空気流を導入する吸気口と、容器内の第1部分と第2部分とに流体の流通ができるように設けられた連通路とを備え、前記吸気口から導入した空気流を第2部分の吸着媒質内を通過させて大気中に再放出する、空気浄化装置である。
【0020】
請求項2ないし4は、請求項1の発明の装置を基本的に備え、さらにその改良ないし実施上の統一されたシステムを提供するするものである。
【0021】
請求項2は、容器内に配置されたフロートバルブにより容器内の水位を所定のレベルに維持するもの、請求項3は、栽培ないし吸着媒質内を通過する気体を吸引するファンを備えているもの、請求項4は、容器から排出された空気を紫外線ランプの照射領域に導いたあと外気に放出するものである。非水溶性の大気汚染物質は、高多孔性の不活性な植物栽培用の媒質、活性炭その他の高吸着性材料により捕捉し、そこで生物分解され破壊される。残留した空中輸送の細菌は、紫外線ランプを配置する殺菌気室内に空気を通過させることにより破壊する。さらに、システムには複数の蓋の挿入口を備え、水あるいは廃水の容量を増加し、それぞれのモジュール容器に必要な不活性丸石の量を減じることができるようにする。廃水処理に使用するときには、蓋の挿入により、より大容量の廃水を処理するための必要モジュール数を減じることができる。また、システムには自動式フロートバルブを備え、最大湿潤洗浄できる水位が維持できるように保証する。さらにまた、システムにはシステムの溝内にパイプ挿入口を備え、より大量の空気あるいは廃水を収容できるようにする。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明の性質・目的及び利点をさらに理解するために、図面に示す実施例を参照して以下に説明する。図中の同一の参照番号は同一の部材を示す。図1ないし図7は、この発明の好ましい実施例のいくつかを示した図である。
【0023】
図1及び2に示す装置10では、上面が開放された水密性の容器11で水を保持する第1部分15を形成し、容器11の開放上面を閉鎖するように覆着された支持フレーム12の凹所が、第2部分36を形成している。支持フレーム12は、植物20を植えた植物容器21を保持する複数の開口22を上面に備えている。支持フレーム12は、また上面に植物の栽培媒質(例えば土壌)及び吸着媒質(例えば活性炭)を充填する凹所(第2部分)36を備えている。容器11には水が入れられ、下方に液体領域が形成され、支持フレームで密閉された上部が気体領域となっている。凹所36と液体領域とは、連通孔37で連通している。
【0024】
空気は、吸気口14から容器の密閉された第1部分15に導入される。液体領域の水と接触して洗浄された空気16は、第1部分15から連通孔37を経て植物容器21の両側に配置された凹所36へと導入される。容器と支持フレームの嵌着部に設けられたリップパッキン34は、連通孔37を経て栽培媒質及び吸着媒質18へ空気を強制的に導入するための気密シールを形成している。また空気の一部は、植物容器21へ導入される。
【0025】
これらの空気は、凹所36内の栽培媒質及び吸着媒質18間を通過し、栽培媒質及び吸着媒質18を通過する間に浄化され。また空気の一部は、植物容器21内の植物の根部及び微生物19により浄化される。なお植物の根部上で増殖する微生物は、液体領域の水を媒体として凹所36内にもその生存領域を広げている。
【0026】
浄化空気23は、その後装置10から排出される。植物の栽培及び汚染空気の洗浄に使用する水は、流入パイプ13から供給されている。最適な植物の成長のための栽培媒質の湿潤状態の維持と、通過空気の効果的な湿潤洗浄を保証するためには、液体領域の水位17をフロートバルブ35及び手動バルブ25により維持する必要がある。支持フレームの開口22で支持されている植物容器内の植物の根部及び微生物19は、洗浄した空気から溶出した物質により汚染された水を浄化するために使用されている。浄化した水は、流出パイプ24を介して装置10外へ流出させる。
【0027】
図3及び4は、図1及び図2の装置にいくつかの変更を加えた例を示した図である。以下、変更点について述べる。第2実施例の装置10では、容器11に植物20を栽培する栽培媒質及び吸着媒質18を充填して第2部分とし、この栽培媒質及び吸着媒質18に埋め込んだ状態で容器11内に挿入された太いパイプ26で容器の第1部分15を形成している。吸気口14及び流入パイプ13から供給される空気及び水は、導管27を通してパイプ26に供給する。パイプ26には、栽培媒質及び吸着媒質18を充填した第1部分に連通する連通孔37が設けられている。植物の根、根部に繁殖する微生物及び吸着媒質によって供給された空気及び水が浄化される作用は、第1実施例と同じである。
【0028】
図5は、図1で例示した装置10の複数個を用いた室内空気浄化設備の全体概念を示す図である。ここで、室内空気29は、ファン38により装置10及び装置内の栽培媒質及び吸着媒質18内に導入され、さらにその排気が紫外線殺菌室32内を通過するように強制され、清浄化した空気23として排出される。
【0029】
図6は、図1で例示した装置10を用いて商業用ないし居住用の建築物の空気浄化設備を形成した例を示す。装置10を備えた暖房装置あるいは空気調節装置31内で清浄化された空気23は、複数の紫外線ランプを配置する紫外線殺菌室32に導入され、清浄化した空気返還装置33は、建築物内に浄化した殺菌処理済の空気を供給する。
【0030】
図7は、図3で例示した装置10を臭気除去装置として利用した例を示した図で、集中的な動物飼育設備、焼却炉、発電所などの大気汚染の発生源に適用した例を示す。水で洗浄した空気16は、大容量の空気洗浄における臭気除去量を増大させるために噴霧されている水28と混合される。
【0031】
上述の具体例は、例を提示することのみに使用するものとする。この発明の範囲は上述した請求項によりのみ制限されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 上部挿入部を配置した植物成長用モジュールの側面図
【図2】 図1の断面図
【図3】 底部パイプ挿入口を配置した植物成長用モジュールの側面図
【図4】 図3の断面図
【図5】 図1のモジュールを紫外線光ランプによる殺菌気室とともに教室に設置した場合の概念図
【図6】 図1のモジュールを紫外線光ランプによる殺菌気室とともに商業建築物の空気浄化/循環装置として設置した場合の概念図
【図7】 図3のモジュールを工業的/農業的空気洗浄器及び臭気制御に用いた場合の概念図
【符号の説明】
14 吸気口
15 第1部分
18 吸着媒質
21 植物容器
22 開口
36 第2部分
Claims (4)
- 水を保持する第1部分と栽培媒質ないし吸着媒質を保持する第2部分とに区画された水密性の容器と、容器内の第1部分に安定配置されるように植物を植えた植物容器を保持する開口と、第1部分に空気流を導入する吸気口と、容器内の第1部分と第2部分とに流体の流通ができるように設けられた連通路とを備え、前記吸気口から導入した空気流を前記連通路を経て前記第2部分の栽培媒質ないし吸着媒質内を通過させて大気中に再放出する、空気浄化装置。
- 容器内に配置されたフロートバルブにより容器内の水位を所定のレベルに維持する、請求項1記載の空気浄化装置。
- 栽培媒質ないし吸着媒質内を通過する気体を吸引するファンを備えている、請求項1記載の空気浄化装置。
- 容器から排出された空気を紫外線ランプの照射領域に導いたあと外気に放出する、請求項1記載の空気浄化装置。
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