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JP4529423B2 - バッテリの最大放電電力演算方法 - Google Patents

バッテリの最大放電電力演算方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されるリチウムイオン電池等の二次電池の最大放電電力を、精度良く算出することができる最大放電電力演算方法に関する。
電気自動車等の駆動電源として用いられる二次電池においては、放電電力が最大放電電力Pmax以下となるように制御される。リチウムイオン電池等では、電池の放電深度DOD(depth of discharge)が浅い状態(例えば60%程度)の場合には充電時の内部抵抗と放電時の内部抵抗とがほぼ一致するとともに、充放電時の電流値Iと電圧値Vとの関係を示すIV特性に関してその直線性が良いことが知られている。
そのため、上述した制御を行う際には、放電中の放電電流Iと端子電圧Vとを複数サンプリングし、そのサンプリングデータから直線回帰演算によって得られたIV特性直線に基づいて最大放電電力Pmaxを算出し、算出された最大放電電力Pmaxを用いて制御を行っている(例えば、特許文献1参照)。また、電池の充電量SOC(state of charge)を算出する際にもこの最大放電電力Pmaxが用いられ、放電電力量と最大放電電力との相関関係を表すWh−Pテーブルと最大放電電力Pmaxとから放電電力量WhPを求め、その放電電力量WhPに基づいて充電量SOCを求めるようにしている。
特開平10−104325号公報
しかしながら、短時間に大電流を取り出す高出力システムに二次電池を用いた場合、放電電流の急増に伴って内部抵抗が大きくなる傾向があることが分かった。すなわち、電流値が大きな領域では、IV特性が上述したIV特性直線からずれて直線性を有さなくなる。このような直線性からのずれは、電流値が急増したり、SOCが低かったりという条件が重なると生じやすくなる。そのため、サンプリングデータの電流値分布によって回帰直線にばらつきが生じ、内部抵抗および開放電圧を正確に算出することができなくなる。その結果、最大放電電力Pmaxの算出値も真値からずれてしまうことになり、最大放電電力Pmaxを用いた制御や充電量SOCの算出に影響してしまうことになる。
請求項1の発明は、放電時に同期検出された電流値と電圧値とから成るサンプリングデータを複数取得し、その複数のサンプリングデータに基づいてバッテリのIV特性を直線回帰演算し、算出されたIV特性に基づいてバッテリの最大放電電力を演算する最大放電電力演算方法に適用される。第1の工程では、サンプリングデータの電流値がバッテリの放電電流域の所定電流値よりも低い低電流域に含まれるか、所定電流値以上の高電流域に含まれるかを判定する。第2の工程では、電流値が高電流域に含まれるサンプリングデータに基づいて、直線回帰演算により高電流域IV特性を算出する。そして、第3の工程では、高電流域IV特性に基づいて最大放電電力を演算する。
本発明によれば、最大放電電力を算出するためのIV特性を高電流域での内部抵抗特性に基づいて算出しているので、最大放電電力を精度良く算出することができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(EHV)に用いられる電力駆動系を示すブロック図である。1は走行用バッテリであり、このバッテリ1の充放電制御やSOCの算出の際に、本発明による最大放電電力演算方法が適用される。モータ駆動時には、バッテリ1から出力される直流電力がインバータ2によって交流電力に変換され、走行用モータ3に供給される。回生制御の際には、車両の走行エネルギーがモータ3およびインバータ2を介して電気エネルギーに逆変換され、バッテリ1が充電されるとともに車両に回生ブレーキがかかる。
電圧センサ5はバッテリ1の両端電圧Vを検出し、電流センサ6はバッテリ1を流れる電流Iを検出する。7はバッテリ1の温度Tを検出する温度センサである。コントローラ4は、電圧センサ5および電流センサ6により検出された電圧値Vと電流値Iとに基づいてバッテリ1の電池状態を演算し、演算された電池状態に応じてインバータ2の出力制御や回生制御などを行なう。
次に、本発明による最大放電電力演算方法について説明する。バッテリ1の特性を表すものとして、図2に示すような放電電力量(Wh)と最大放電電力量(P)との相関関係がある。横軸は放電電力量を示しているが、放電電力量Wh=0をSOC=100%とし、放電終止電圧Vminによって決まる最低放電電力Pminのときの放電電力量Wh’をSOC=0%に対応づければ、横軸はSOCで置き換えることができる。
図2に示すWh−P特性はバッテリの種類によって異なるが、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等ではWh(P)はPのN次式(2次式または3次式)で近似することができる。バッテリ1の最大放電電力Pmaxは、後述するようにサンプリングデータを直線回帰演算することにより算出することができる。そして、算出された最大放電電力PmaxをWh(P)に代入することによって、現在の放電電力量WhPやSOC’を求めることができる。
図3はコントローラ4で処理される最大放電電力Pmaxの算出手順を示すフローチャートである。ステップS1では、電圧センサ5および電流センサ6により、放電中の電圧値Vと電流値Iとを同期してサンプリングする。このサンプリング処理は、ステップS3において放電電力量が所定値に達したと判定されるまで繰り返し行われる。ステップS2では、検出されたサンプリングデータを、コントローラ4の記憶部(不図示)にストックする。
コントローラ4の記憶部には、放電電流値の電流域CL1〜CL3,CH1〜CH7に応じた7つの格納部が設けられている。図4に示すように、格納部CL1には電流値Iが0からI未満のデータ(電流値I,電圧値V)がストックされ、格納部CL2には電流値IがI以上I未満のデータが、格納部CL3には電流値IがI以上I未満のデータがそれぞれストックされる。また、格納部CH1〜CH4のそれぞれには、順に、I以上I未満のデータ、I以上I未満のデータ、I以上I未満のデータ、I以上I未満のデータがそれぞれストックされる。
本実施の形態では、格納部CL1〜CL3にストックされるデータの電流値範囲0以上I未満を低電流域と設定し、格納部CH1〜CH7ストックされるデータの電流値範囲I以上I未満を高電流域と設定する。図4に示す例では、各格納部CL1〜CL3,CH1〜CH7に記憶可能なストック数はそれぞれ3である。例えば、図4の格納部CL2には3組のサンプリングデータがストックされており、さらに4番目のサンプリングデータ(i10,v10)が検出された場合には、一番古いデータ(i5,v5)を消去して最新データ(i10,v10)をストックする。
このように、各格納部CL1〜CL3,CH1〜CH7には、サンプリングデータ数が3を超えてストックされることはないので、ある特定電流領域に偏ってサンプリングデータがたくさんストックされるのを防止できる。そのため、コントローラ4に膨大なメモリ容量を確保する必要がなく、さらに、サンプリングデータに基づくIV特性直線の回帰演算の演算精度が高くなる。
ステップS3では、サンプリングを開始してから放電電力量が所定量に達したか否かを判定し、所定量に達していないと判定されるとステップS1へ戻ってサンプリングを継続する。一方、ステップS3で放電電力量が所定量に達したと判定されると、ステップS4へ進む。ステップS4では、格納部CL1〜CL3にストックされたデータが、ステップS5における低電流域での回帰演算に十分なデータ数で、かつ、データの分布に偏りがないか否かを判定する。
ここで、判定の条件の一例としては、格納部CL1〜CL3にストックされているデータ総数が回帰演算に十分な数であって、かつ、全ての格納部CL1〜CL3にデータがストックされていることを条件とする。なお、データ分布がばらついていることを決める条件としては、全ての格納部CL1〜CL3にデータがストックされているという条件に代えて、格納部CL2を挟んで両側にある格納部CL1,CL3にデータがストックされているという条件を用いても良い。このような条件で判定することにより、狭い電流範囲内のサンプリングデータだけで回帰演算されるのを防止することができ、IV特性の演算精度を向上させることができる。
ステップS4でYESと判定されるとステップS5へ進み、NOと判定された場合、すなわち、データストック数が少ない場合またはデータ分布に偏りがある場合にはステップS14に進む。ステップS14以降の処理については後述する。ステップS5では、格納部CL1〜CL3にストックされた低電流域のサンプリングデータに基づいて直線回帰演算を行い、図5に示す回帰直線(IV特性直線)L1を求める。特性直線L1は式(1)ように表され、傾きの大きさが内部抵抗R1に、V切片が開放電圧E1に対応している。
V=E1−I×R1 …(1)
ステップS6では、格納部CH1〜CH4にストックされたデータが、ステップS7における高電流域での回帰演算に十分なデータ数で、かつ、分布に偏りがないか否かを判定する。ステップS6の場合も、ステップS4で説明した低電流域の場合と同様に、格納部CH1〜CH4にストックされているデータ総数が回帰演算に十分な数であって、ストックされているデータ分布に著しい偏りがないという条件で判定を行う。
ステップS6でYESと判定されるとステップS7へ進み、NOと判定された場合、すなわち、データストック数が少ない場合またはデータ分布に偏りがある場合にはステップS14に進む。ステップS14以降の処理については後述する。ステップS7では格納部CH1〜CH4にストックされた高電流域のサンプリングデータに基づいて直線回帰演算を行い、図5に示す回帰直線(IV特性直線)L2を求める。特性直線L2は式(2)のように表され、傾きの大きさが抵抗R2を、V切片が開放電圧E2に対応している。
V=E2−I×R2 …(2)
ステップS8では、ステップS5における低電流域データに基づく内部抵抗R1とステップS7における高電流域データに基づく内部抵抗R2との差ΔR=|R1−R2|が、所定値以上か否かを判定する。すなわち、高電流域における直線性からのずれが大きいか否かを判定する。例えば、図5に示す例はΔR≧(所定値)の場合を示したものであり、抵抗値R1,R2間の差である特性直線L1,L2の間の傾きの差が大きい場合である。一方、図6に示す特性直線L1,L2はΔR<(所定値)の場合を示したものであり、特性直線L1と特性直線L2との間の傾きの差が小さい。
図5に示すように傾きが大きく異なりΔR≧(所定値)の場合には、YESと判定されてステップS9へ進む。一方、図6のように傾きの差が小さくΔR<(所定値)の場合にはNOと判定されてステップS8からステップS12へと進む。まず、ΔR<(所定値)であってステップS12に進んだ場合について説明する。この場合には、高電流域における内部抵抗のズレが小さく、全電流域においてほぼ直線性を有しているので、格納部CL1〜CL3およびCH4〜CH7にストックされた全電流域のサンプリングデータを用いて直線回帰演算を行い、IV特性直線L3(図6参照)を算出する。
続くステップS13では、IV特性直線L3の傾きRおよびV切片E0を用いて、次式(3)により最大放電電力Pmaxを算出する。Vminは放電終止電圧であり、図6に示すように、Vminを通りWh軸に平行な直線とIV特性直線L3との交点における電流値と電圧値Vminとから最大放電電力Pmaxが算出される。これは、従来と同様に全電流域のサンプリングデータからIV特性直線を求めるものであるが、ステップS4およびS6の処理を行っているため、全電流域において偏りのないサンプリングデータ分布となっているので、より精度の高い回帰演算を行うことができる。ステップS13の処理が終了したならば、ステップS10へと進む。
Pmax=Vmin×(E0−Vmin)/R …(3)
一方、図5に示すように傾きが大きく異なり、ステップS8においてΔR≧(所定値)と判定されてステップS9へ進んだ場合について説明する。ステップS9では最大放電電力Pmaxを算出するが、最大放電電力Pmaxは放電終止電圧Vminとそのときの電流値とを用いて算出される。このとき、Vminを通りWh軸に平行な直線は高電流域においてIV特性直線と交わる。
そこで、図5に示すようにIV特性直線L1,L2との間で傾きの差が大きい場合には、高電流域の特性を表しているIV特性直線L2を用いることにより、実際の電池状態を反映した最大放電電力Pmaxを精度良く算出することができる。すなわち、図5に示すように、ステップS7で求めた高電流域のIV特性直線L2とVminを通りWh軸に平行な直線との交点を求め、その交点における電流値Imaxと電圧値Vminとから次式(4)により最大放電電力Pmaxを算出する。
Pmax=Imax×Vmin
=Vmin×(E2−Vmin)/R2 …(4)
次に、ステップS4またはステップS6からステップS14に進んだ場合について説明する。この場合、格納部CL1〜CL3,CH4〜CH7にストックされたサンプリングデータの数が不十分か、データの分布に偏りがある。ステップS14では、変数NをN=N+1と1だけ増加させる。上述したステップS9およびステップS12における最大放電電力Pmaxの演算は所定電力量毎に行われるが、ステップS14の変数NはこのIV特性を用いた最大放電電力Pmaxの演算がデータ数不足等によって連続何回行われなかったかを示すものであり、初期値はゼロに設定されている。ステップS4でNOと判定されるとその後の最大放電電力Pmaxの演算は実行されないのでステップS14によってNが1増加し、ステップS6でNOと判定された場合もステップS14に進んでNが1増加する。
ステップS15では変数Nが規定回数以上となったか否かを判定し、規定回数以上と判定されるとステップS11へ進み、規定回数に達していないと判定されるとステップS16へ進む。ステップS16に進んだ場合は、IV特性直線に基づく最大放電電力Pmaxの演算が行えなかった場合であり、図7のWh−P特性を利用して現在の最大放電電力Pmaxを演算する。
前述した図2においては、IV特性から演算された最大放電電力PmaxとWh−P特性とを用いて放電電力量WhPやSOC’を算出することを説明した。しかし、ステップS16では、逆に、電圧センサ5および電流センサ6により常時実測される電圧値Vと電流値Iとから放電電力積算量WhRを積算し、図7のように放電電力積算量WhRとWh−P特性とを用いて最大放電電力Pmaxを算出する。この場合、Wh−P基本特性に基づいた最大放電電力と放電電力量とに関するテーブルを予め用意しておき、放電電力量として放電電力積算量WhRを用いてテーブルから直線補間計算することにより最大放電電力Pmaxする。
実際には、バッテリ1のWh−P初期特性に基づいたテーブルがコントローラ4の記憶部に記憶されており、そのWh−P初期特性をバッテリ1の温度および劣化に応じて補正して得られる実際のWh−P特性を用いて最大放電電力Pmaxが算出される。補正係数としては、温度補正係数α、劣化による容量変化を表す容量劣化補正係数β、劣化による内部抵抗変化を表す内部抵抗劣化補正係数γがある。
補正係数αは予めテーブルとして与えられ、補正係数β、γは電池状態に応じて設定される。例えば、予め補正係数β、γ間の相関関係を求めておき、IV特性直線から得られる内部抵抗Rの経時変化に基づいて補正係数γを演算し、その補正係数γと相関関係とを用いて補正係数βを求める。
図7に示すように、WhとPと関係を表す初期特性をP=P(Wh)とする。このとき、P=P(Wh)を温度補正係数αで補正した特性はP=P(Wh)×αと表される。P=P(Wh)×αをさらに内部抵抗劣化補正係数γで補正すると、補正された特性はP=P(Wh)×α×γとなる。そして、P=P(Wh)×α×γを容量劣化補正係数βで補正すると、最終的な特性はP=P(Wh/β)×α×γと表される。式(5)に示すようにこの特性に放電電力積算量WhRを代入すれば、最大放電電力Pmaxが得られる。
Pmax=P(WhR/β)×α×γ …(5)
ステップS16で最大放電電力Pmaxが算出されたならば、ステップS17に進んで変数NをゼロにリセットしステップS10へと進む。ステップS10の処理を行う時点では、ステップS9,ステップS13,ステップS16のいずれかで最大放電電力Pmaxが算出されている。そして、ステップS10では、図8に示すように、算出された最大放電電力Pmaxと初期特性Wh(P)とから次式(6)により放電電力量WhPを算出する。
WhP=Wh(Pmax/αγ)×β …(6)
なお、図8では、Wh−P特性はWh=Wh(P)を表され、Wh(P)はバッテリ1の初期特性を表している。初期特性Wh(P)を容量劣化補正係数βで補正した特性がWh(P)×βであり、この特性Wh(P)×βを温度補正係数αおよび内部抵抗劣化補正係数γで順に補正したものが、Wh(P/α)×β、Wh(P/αγ)×βである。また、wh=0をSOC=100%に対応させ、Wh(Pmin/αγ)×βをSOC=0%に対応させると、最大放電電力Pmaxから現在の充電状態SOC’が得られる。Pminは放電終止電圧Vminにおける最大放電電力である。
ステップS10における放電電力量WhPの算出が終了したならば、ステップS11へ進んで格納部CL1〜CL3,CH1〜CH4にストックしたサンプリングデータを全部消去し、ステップS1へ戻る。このようにして算出された最大放電電力Pmaxや放電電力量WhPを用いて、バッテリ1の放電制御および充電制御や残存容量の演算などが行われる。
図9は、従来のように図5に示す全電流域のサンプリングデータを用いて回帰演算する場合を説明する図である。図9では、回帰演算によるIV特性から算出される最大放電電力Pmax(演算値)と、実際の最大放電電力Pmax(真値)とを対比して示した。この場合、IV特性直線L4が回帰演算により算出され、そのIV特性直線L4から内部抵抗Rと、V切片である開放電圧E0(演算値)とが得られ、これらを前述した式(3)に代入することにより最大放電電力Pmax(演算値)が算出される。
ところが、実際のIV特性は破線L5で示されるようなものとなり、最大放電電力Pmax(演算値)はPmax(真値)とずれていることが分かる。図9に示す例では、高電流域において内部抵抗が大きくなっているため、Pmax(演算値)>Pmax(真値)となって実際よりも大きく算出されている。このようにPmax(真値)に対してPmax(演算値)が大きめに算出されると、出力制限が遅れ気味になって突然急制限がかかったり、SOCが高めに演算されてバッテリから電力取り出しが十分可能と過大に評価されてしまうおそれがある。逆に、Pmax(演算値)がPmax(真値)に対して小さめに算出されてた場合、早めに出力制限かかるため、急制限がかかって航続距離や燃費が低下したり、SOCが低めに演算されて、実際にはバッテリ1からの取り出しが可能であるにもかかわらず電力取り出しに余裕が無いと判断されたり、補充電が必要と判断される可能性がある。
一方、本実施の形態では、図5のようなサンプリングデータが取得された場合には、高電流域のサンプリングデータを直線回帰して得られたIV特性直線L3に基づいて最大放電電力Pmax(演算値)が算出される。そのため、高電流域における実際の内部抵抗を反映したIV特性直線が得られ、Pmax(真値)からのずれが小さくなり精度良く最大放電電力Pmaxを算出することができる。
図5に示したようなIV特性の直線性からのずれは、電流値が急増したりSOCが低い場合に生じやすい。また、バッテリの特性として、直線性からずれる領域を有している場合がある。そのような場合であっても、本実施の形態の演算方法によれば、最大放電電力Pmaxを精度良く算出することができる。
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、IV特性直線L1は低電流域IV特性を、IV特性直線L2は高電流域IV特性を、IV特性直線L3は全電流域IV特性をそれぞれ構成する。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(EHV)に用いられる電力駆動系を示すブロック図である。 リチウムイオン電池のWh−P特性を示す図である。 コントローラ4で処理される最大放電電力Pmaxの算出手順を示すフローチャートである。 サンプリングデータのストック処理を説明する図である。 低電流域のサンプリングデータに基づくIV特性直線L1と高電流域のサンプリングデータに基づくIV特性直線L2とを示す図である。 全電流領域のサンプリングデータを用いた回帰演算を説明する図である。 放電電力積算量WhRを用いた最大放電電力Pmaxの算出方法を説明する図である。 最大放電電力Pmaxを用いた放電電力量WhPの算出方法を説明する図である。 最大放電電力Pmaxの真値と演算値とを示す図である。
符号の説明
1 バッテリ
2 インバータ
3 モータ
4 コントローラ
5 電圧センサ
6 電流センサ
7 温度センサ

Claims (2)

  1. 放電時に同期検出された電流値と電圧値とから成るサンプリングデータを複数取得し、前記複数のサンプリングデータに基づいてバッテリのIV特性を直線回帰演算し、前記算出されたIV特性に基づいて前記バッテリの最大放電電力を演算する最大放電電力演算方法において、
    前記サンプリングデータの電流値が前記バッテリの放電電流域の所定電流値よりも低い低電流域に含まれるか、前記所定電流値以上の高電流域に含まれるかを判定する第1の工程と、
    電流値が前記高電流域に含まれる前記サンプリングデータに基づいて、直線回帰演算により高電流域IV特性を算出する第2の工程と、
    前記第2工程のIV特性から算出される抵抗及び開放電圧を用いて前記最大放電電力を演算する第3の工程と、
    前記低電流域のサンプリングデータを含むデータに基づいて、直線回帰演算によりIV特性を算出する第4の工程と、
    前記第4工程のIV特性から算出される抵抗及び開放電圧を用いて前記最大放電電力を演算する第5の工程と、を有することを特徴とする最大放電電力演算方法。
  2. 放電時に同期検出された電流値と電圧値とから成るサンプリングデータを複数取得し、前記複数のサンプリングデータに基づいてバッテリのIV特性を直線回帰演算し、前記算出されたIV特性に基づいて前記バッテリの最大放電電力を演算する最大放電電力演算方法において、
    前記サンプリングデータの電流値が前記バッテリの放電電流域の所定電流値よりも低い低電流域に含まれるか、前記所定電流値以上の高電流域に含まれるかを判定する第1の工程と、
    電流値が前記低電流域に含まれる前記サンプリングデータに基づいて、直線回帰演算により低電流域IV特性を算出する第2の工程と、
    電流値が前記高電流域に含まれる前記サンプリングデータに基づいて、直線回帰演算により高電流域IV特性を算出する第3の工程と、
    前記低電流域IV特性から算出される内部抵抗と前記高電流域IV特性から算出される内部抵抗との差を演算する第4の工程と、
    前記差が所定値以上の場合には前記高電流域IV特性から算出される抵抗及び開放電圧を用いて前記バッテリの最大放電電力を演算し、前記差が前記所定値よりも小さい場合には電流値が前記低電流域および前記高電流域に含まれる前記サンプリングデータに基づいて直線回帰演算により全電流域IV特性を算出して、その全電流域IV特性から算出される抵抗及び開放電圧を用いて前記バッテリの最大放電電力を演算する第5の工程とを有することを特徴とするバッテリの最大放電電力演算方法。
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