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JP4525347B2 - バッテリパック及びバッテリ残容量算出方法 - Google Patents

バッテリパック及びバッテリ残容量算出方法 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ、携帯用電話機、あるいはパーソナルコンピュータなどの電子機器の電源として使用されるバッテリパック及びこのバッテリパックのバッテリ残量算出方法に関する。
【0002】
本出願は、日本国において2002年6月12日に出願された日本特許出願番号2002−171828、2002年8月22日に出願された日本特許出願番号2002−242650を基礎として優先権を主張するものであり、この出願は参照することにより、本出願に援用される。
【従来技術】
【0003】
従来、リチウムイオン電池、NiCd電池、ニッケル水素電池などの充電を可能とした二次電池であるバッテリセルを備えるバッテリパックが用いられている。この種のバッテリパックは、例えばビデオカメラ、携帯用電話機、あるいはパーソナルコンピュータなどの電子機器の電源として使用されている。
【0004】
電子機器の電源として用いられるバッテリパックには、例えば、バッテリ残容量の計算やバッテリパックを電源としている電子機器との間の通信を行うためのマイクロコンピュータ、マイクロコンピュータの周辺回路、マイクロコンピュータによってバッテリ残容量を算出するために必要なバッテリセルの状態検出回路、バッテリ残容量を算出するために必要なデータが記憶されている不揮発性メモリなどが内蔵されている。
【0005】
バッテリパックが用いられる電子機器は、マイクロコンピュータが算出したバッテリ残容量を、例えば時間などに換算して表示している。
【0006】
上述したバッテリパックのバッテリ残容量は、充放電したときに流れる電流を積算して得られた容量積算値Yによって示すことができる。
【0007】
容量積算値Yは、例えば特開平9−285026号公報に記載されているように、バッテリパックが充放電される毎に基準値(以下、基準容量積算値と称する。)Y0にリセットされ、当該基準容量積算値Y0を基準として電流値が積算されることによって得られる。
【0008】
基準容量積算値Y0としては、例えば、出荷時のバッテリパックを充電したときに、満充電の90%まで充電されたときの容量積算値が採用される。この種のバッテリパックにおいて、容量積算値Yを基準容量積算値Y0にリセットする方法としては、出荷前にバッテリパックを定電圧充電して容量積算値Y=基準容量積算値Y0となったときの電流値Ixを基準容量積算値Y0と共に不揮発性メモリに記憶しておき、使用時にバッテリパックを定電圧充電して電流値がIxとなったときに、容量積算値Yを基準容量積算値Y0にリセットする方法が挙げられる。
【0009】
上述したバッテリパックは、時間が経過するにつれて容量が減少すること、すなわち劣化することが知られている。バッテリパックが劣化すると、マイクロコンピュータが算出したバッテリ残容量とバッテリパックにおける実際のバッテリ残容量との間に差が生じてしまう。
【0010】
したがって、バッテリパックが劣化したときには、マイクロコンピュータが算出した容量積算値Yを補正する必要が生じる。
【0011】
容量積算値Yを補正する方法としては、バッテリパックを劣化させる原因に基づいて、例えば所定の係数と容量積算値Yとを乗算することなどによって、補正する方法が考えられる。
【0012】
バッテリパックを劣化させる原因としては、バッテリパックが充放電した回数や、バッテリパックの使用及び保存条件などが挙げられる。
【0013】
バッテリパックは、バッテリパックが充放電した回数が多いほど劣化が進むことが知られている。例えば、リチウムイオン電池においては、500回の充放電を行うことで容量が60%となることが知られている。
【0014】
バッテリパックが充放電した回数は、例えば特開平9−243718号公報に開示された方法などによって知ることが可能である。したがって、バッテリパックが充放電した回数に基づいて容量積算値Yを補正することは可能となる。
【0015】
バッテリパックは、使用条件や保存条件によって劣化の進み方が変わることが知られている。バッテリパックは、例えば連続して長時間使用したときや低温下で使用したときなどには、劣化し易いことが知られている。特開2000−260488号公報には、温度変化に応じたバッテリ残容量の算出方法が開示されている。
【0016】
しかし、バッテリパックの使用条件や保存条件を全て把握することは困難である。したがって、バッテリパックの使用条件や保存条件に基づいて容量積算値Yを補正することは困難となる。
【0017】
容量積算値Yを補正する他の方法として、劣化したバッテリパックの劣化具合を実際に測定して、判明した劣化具合に基づいて補正する方法も考えられる。
【0018】
バッテリパックの劣化具合は、所謂5時間法によって測定する。5時間法は、バッテリパックを空の状態から満充電の状態まで充電した後に、5時間程度の時間をかけて放電させることにより、バッテリパックの劣化具合を測定する方法である。
【0019】
充電時間は、バッテリの容量により異なるが、例えばソニー(株)製のデジタルカメラで用いられているバッテリパック“NP−FC10”(商品名)では約3時間をかけて充電を行っている。
【0020】
上述したように、バッテリパックの劣化具合を実際に測定すると約8時間の時間がかかってしまう。すなわち、バッテリパックの劣化具合を実際に測定して、判明した劣化具合に基づいて容量を補正すると、容量を補正するために長い時間を要する。以上説明した方法によってバッテリパックの劣化具合を実際に測定するためには、バッテリパックの充放電を1回行う必要が生じる。したがって、バッテリパックの劣化具合を実際に測定することによって、バッテリパックの劣化をさらに促すこととなる。
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、上述したような従来のバッテリパックが有する問題点を解消することができる新規なバッテリパック及びバッテリ残容量算出方法を提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、充放電回数だけでなく使用条件及び保存条件などに基づいた容量の減少を簡便に補正することが可能であり、実際の残容量と極めて近い値であるバッテリ残容量を検出することが可能であるバッテリパック及びバッテリ残容量算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
充電を可能としたバッテリセルを用いたバッテリパックは、劣化するに従って内部インピーダンスが大きくなる。したがって、新品のバッテリパックを定電圧充電したときには、内部インピーダンスが低いために、充電開始時に多くの電流が流れ、充電中に流れる電流の量が速く減少し、短い充電時間(h)で充電が終わる。一方、劣化したバッテリパックを定電圧充電したときには、内部インピーダンスが高いために、充電開始時に流れる電流は少なく、充電中に流れる電流の量の減少は遅く、長い充電時間(h)を要する。
【0024】
本願発明者等は、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ね、図1に示すように、劣化したバッテリパックでは、充電するときに図1中Bに示すように充電電流が変化し、新品のバッテリパックでは、充電するときに図1中Aに示すように充電電流が変化することから、充電電流が基準電流値Ixとなった後に流れる電流の積算量が、新品のバッテリパックよりも劣化したバッテリパックで多くなることを見出した。
【0025】
本発明に係るバッテリパックは、外部機器に装着されるバッテリパックにおいて、劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段と、充放電されるバッテリセルと、上記バッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出手段と、上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として、上記電流検出手段によって検出された電流を積算することによって容量積算値を算出する容量積算値算出手段と、上記電流検出手段によって検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶されている基準容量積算値にリセットするリセット手段と、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が上記最大容量積算値未満であるときには上記容量積算値算出手段が算出した容量積算値をバッテリ残容量データとし、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が上記最大容量積算値以上であるときには当該最大容量積算値をバッテリ残容量データとすることによって、バッテリ残容量データを算出するデータ算出手段を備えることを特徴とする
【0026】
本発明に係るバッテリパックは、外部機器に装着されるバッテリパックにおいて、劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段と、充放電されるバッテリセルと、上記バッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出手段と、上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として上記電流検出手段によって検出された電流の積算を行って容量積算値を算出し、当該容量積算値をバッテリ残容量データとする容量積算値算出手段と、上記電流検出手段によって検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶された基準容量積算値にリセットするリセット手段と、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が上記記憶手段に記憶された最大容量積算値に到達した回数を数える到達回数カウント手段と、上記到達回数カウント手段が数えた回数が予め定められた所定の回数に到達する毎に、上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように補正する基準容量積算値補正手段とを備えることを特徴とする
【0027】
本発明に係るバッテリ残量の算出方法は、外部機器に装着されるバッテリパックのバッテリ残容量算出方法において、上記バッテリパックに備えられたバッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出ステップと、劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と、当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として上記電流検出ステップで検出された電流を積算することによって容量積算値を算出する容量積算値算出ステップと、上記電流検出ステップで検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶されている基準容量積算値にリセットするリセットステップと、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が上記最大容量積算値未満であるときには上記容量積算値算出手段が算出した容量積算値をバッテリ残容量データとし、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が上記最大容量積算値以上であるときには当該最大容量積算値をバッテリ残容量データとすることによって、バッテリ残容量データを算出するデータ算出ステップとを含むことを特徴とする
【0028】
本発明に係る他のバッテリ残量の算出方法は、外部機器に装着されるバッテリパックのバッテリ残容量算出方法において、上記バッテリパックに備えられたバッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出ステップと、劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と、当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として上記電流検出ステップで検出された電流の積算を行って容量積算値を算出し、当該容量積算値をバッテリ残容量データとする容量積算値算出ステップと、上記電流検出ステップで検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶された基準容量積算値にリセットするリセットステップと、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が上記記憶手段に記憶された最大容量積算値に到達した回数を数える到達回数カウントステップと、上記到達回数カウントステップ数えられた回数が予め定められた所定の回数に到達する毎に、上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように補正する基準容量積算値補正ステップとを含むことを特徴とする
【0029】
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態の説明から一層明らかにされるであろう。
【発明の実施の形態】
【0030】
以下、本発明に係るバッテリパック及びバッテリ残容量算出方法を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
本発明に係るバッテリパック1は、図2に示すように、充放電されるバッテリセル2と、バッテリセルに2に充放電される電流を検出する充放電電流検出回路3と、通信回路4と、マイクロコンピュータ5と、マイクロコンピュータ用電源6と、温度センサ7と、電圧検出回路8と、不揮発性メモリ9と、2入力NANDゲート10とを備える。
【0032】
バッテリパック1は、例えばビデオカメラ、携帯用電話機、あるいはパーソナルコンピュータなどの電子機器に接続若しくは内蔵されることによって、この電子機器の電源として使用される。
【0033】
本発明に係るバッテリパック1は、バッテリセル2の正極がバッテリパック1のプラス端子TM+に、バッテリセル2の負極が後述する第7の抵抗を介してバッテリパック1のマイナス端子TM−に接続されている。
【0034】
充放電電流検出回路3は、バッテリパック1を充放電したときに流れる電流を検出し、マイクロコンピュータ5に対して供給する。充放電電流検出回路3は、第1の抵抗11、第2の抵抗12、第3の抵抗13、第1のスイッチングトランジスタ14、充電電流用オペアンプ15を備える充電電流検出部16と、第4の抵抗21、第5の抵抗22、第6の抵抗23、第2のスイッチングトランジスタ24、放電電流用オペアンプ25からなる放電電流検出部26と、第7の抵抗27とを備える。なお、充放電電流検出回路3の詳細な動作については後述する。
【0035】
通信回路4は、データ入力用バッファアンプ31と、データ出力用バッファアンプ32とを備える。データ入力用バッファアンプ31はマイクロコンピュータ5に備えられたデータ入力端子51に接続されており、データ出力用バッファアンプ32はマイクロコンピュータ5に備えられたデータ出力端子52に接続されている。通信回路4は、データ出力端子52から出力されたデータSoutを、データ出力用バッファアンプ32を介して出力する。通信回路4から出力されたデータは、例えば電子機器などの外部機器(図示せず。)へ供給される。また、通信回路4は、外部機器から供給されたデータSinを、データ入力用バッファアンプ31を介して、データ入力端子51に供給する。
【0036】
マイクロコンピュータ5は、バッテリパック1の状態を示すデータを生成する。マイクロコンピュータ5は、充放電電流検出回路3が検出した電流を積算することによって、バッテリパック1の残容量を示す容量積算値Yを算出する。このマイクロコンピュータ5は、バッテリパック1が充放電した回数をカウントする。さらに、マイクロコンピュータ5は、外部機器に対してバッテリ残容量データを出力するなど、外部機器との間で通信を行う。なお、マイクロコンピュータ5の詳細については、後述する。
【0037】
マイクロコンピュータ電源6は、マイクロコンピュータ5の電源となる。マイクロコンピュータ電源6は、シリーズレギュレータやリセット回路などを備えている。マイクロコンピュータ電源6は、マイクロコンピュータ5に備えられた電源端子53に接続されており、電源端子53を介してマイクロコンピュータ5に電源Vを供給する。
【0038】
温度センサ7は、例えば温度検出用サーミスタなどからなる。温度センサ7は、バッテリセル2の近傍あるいはバッテリセル2に接した位置に配置されており、温度センサ7の温度検出値DTがマイクロコンピュータ5の温度検出入力端子54に供給される。したがって、マイクロコンピュータ5は、温度検出入力端子54に供給された温度検出値DTに基づいて、バッテリセル2の温度を知ることができる。
【0039】
電圧検出回路8は、第8の抵抗35及び第9の抵抗36からなる分圧抵抗であり、この分圧抵抗によりバッテリセル2の端子間電圧を検出する。電圧検出回路8からの電圧検出値DVが、マイクロコンピュータ5の電圧検出入力端子55に供給されている。したがって、マイクロコンピュータ5は、電圧検出入力端子55に供給された電圧検出値DVに基づいて、バッテリセル2の端子間電圧を知ることができる。
【0040】
不揮発性メモリ9は、最大容量積算値Ymと、基準容量積算値Y0と、基準電流値Ixとを記憶している。不揮発性メモリ9は、マイクロコンピュータ5に備えられたサイクルデータ入力端子56と接続されている。不揮発性メモリ9に記憶されている最大容量積算値Ymと、基準容量積算値Y0と、基準電流値Ixとは、サイクルデータ入力端子56に入力される。最大容量積算値Ymとしては、図3に示すような、新品であるバッテリパック1の容量よりも僅かに大きい値が採用される。本発明では、基準容量積算値Y0として出荷時に未だ充電が行われていない新品のバッテリパック1を充電したときの容量積算値Ysに、満充電の90%となる容量積算値を採用している。また、本発明に係るバッテリパック1では、基準電流値Ixとしては、出荷時の充電が行われていない新品のバッテリパック1を充電して容量積算値Yが基準容量積算値Y0となったときの電流値Iを採用している。
【0041】
2入力NANDゲート10は、2つの入力端子のうち一方が充電電流用オペアンプ15の出力端子と接続しており、他方が放電電流用オペアンプ25の出力端子と接続している。2入力NANDゲート10は、出力端子が第10の抵抗37を介して電源端子53に接続されている。2入力NANDゲートは、マイクロコンピュータ5の動作モードを切り替える。
【0042】
次に、充放電電流検出回路3について詳細に説明する。
【0043】
充電電流用オペアンプ15の非反転入力端子は、第3の抵抗13及び第7の抵抗27を介してバッテリセル2の負極と接続され、反転入力端子は増幅率設定用の負帰還抵抗たる第2の抵抗12並びに第1の抵抗11と接続されている。また、充電電流用オペアンプ15は、充電電流検出入力端子57と接続されている。したがって、充電電流用オペアンプ15の出力端子からは、充電時にバッテリパック1内に流れる電流値を第1の抵抗11の抵抗値と第2の抵抗12の抵抗値との比に応じて増幅した電圧値が出力される。出力された電圧値は、充電電流検出入力端子57に供給される。
【0044】
放電電流用オペアンプ25の非反転入力端子は、第6の抵抗23及び第7の抵抗27を介してバッテリセル2の負極と接続され、反転入力端子は増幅率設定用の負帰還抵抗たる第5の抵抗22並びに第4の抵抗21と接続されている。また、放電用電流オペアンプ25は、放電電流検出入力端子58に接続されている。したがって、放電電流用オペアンプ25の出力端子からは、放電時にバッテリパック1内に流れる電流値を第4の抵抗21の抵抗値と第5の抵抗22の抵抗値との比に応じて増幅した電圧値が出力される。出力された電圧値は、放電電流検出入力端子58に接続されている。
【0045】
第1のスイッチングトランジスタ14は、例えば電界効果トランジスタからなり、ゲートがマイクロコンピュータ5のスイッチング制御出力端子59と接続され、ドレインとソース間に第1の抵抗11が接続されている。したがって、マイクロコンピュータ5のスイッチング制御出力端子59からの信号レベルが例えばハイ(H)レベルとなったときには、第1のスイッチングトランジスタ14がONし、第1の抵抗11による抵抗値はほぼ0となる第1のスイッチングトランジスタ14の抵抗のみとなり、充電電流用オペアンプ15の増幅率は大となる。一方、マイクロコンピュータ5のスイッチング制御出力端子59からの信号レベルが例えばロー(L)レベルとなったときには、第1のスイッチングトランジスタ14はOFFし、充電電流用オペアンプ15の増幅率は第1の抵抗11の抵抗値と第2の抵抗12の抵抗値との比に応じた増幅率、すなわち、第1のスイッチングトランジスタ14がONしているときよりも小さい増幅率となる。
【0046】
また、第2のスイッチングトランジスタ24も例えば電界効果トランジスタからなり、ゲートがマイクロコンピュータ5のスイッチング制御出力端子60と接続され、ドレインとソース間に第4の抵抗21が接続されている。したがって、マイクロコンピュータ5のスイッチング制御出力端子60からの信号レベルが例えばハイ(H)レベルとなったときには、第2のスイッチングトランジスタ24がONし、第4の抵抗21による抵抗値はほぼ0となる第2のスイッチングトランジスタ24の抵抗のみとなり、放電電流用オペアンプ25の増幅率は大となる。一方、マイクロコンピュータ5のスイッチング制御出力端子60からの信号レベルが例えばロー(L)レベルとなったときには、第2のスイッチングトランジスタ24はOFFし、充電電流用オペアンプ25の増幅率は第4の抵抗21の抵抗値と第5の抵抗22の抵抗値との比に応じた増幅率、すなわち、第2のスイッチングトランジスタ24がONしているときよりも小さい増幅率となる。
【0047】
ここで、マイクロコンピュータ5は、通常動作モード時(Run時)には常に充電電流検出入力端子57と放電電流検出入力端子58のレベルを監視しており、充電電流検出入力端子57及び放電電流検出入力端子58のレベルが一定レベル以上となっているときには、スイッチング制御出力端子59、60の信号レベルを共にロー(L)レベルとなす。これにより、第1のスイッチングトランジスタ14及び第2のスイッチングトランジスタ24は共にOFFとなり、充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25の増幅率は共に小さくなる。したがって、通常動作モード時(Run時)のマイクロコンピュータ5は、増幅率が小となされた充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25からの出力値を用いて、充電時又は放電時に、バッテリパック1内に流れる電流値を測定可能となる。したがって、充放電時に流れる電流値が測定されることにより充放電電流積算値が計算できる。
【0048】
一方、通常動作モード時(Run時)に、バッテリパック1内に流れる充放電電流値が所定値以下の微少電流になると、増幅率が小となされている充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25からの出力も小さくなる。すなわち、充電電流検出入力端子57及び放電電流検出入力端子58のレベルも小さくなる。マイクロコンピュータ5は、充電電流検出入力端子57及び放電電流検出入力端子58のレベルが一定レベル以下になり、この状態が一定時間続いたならば、無負荷状態であると判断して省電力モード(スリープモード)に移行する。この省電力モード時には、上記通常動作モード時に比べて消費電力が小さくなり、したがって、回路の省エネルギ化が可能となる。
【0049】
この省電力モードになったときのマイクロコンピュータ5は、スイッチング制御出力端子59、60の信号レベルを共にハイ(H)レベルとなす。これにより、第1のスイッチングトランジスタ14及び第2のスイッチングトランジスタ24は共にONになり、充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25の増幅値は大となる。したがって、省電力モードのマイクロコンピュータ5は、増幅率が大となされた充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25からの出力値を用いて、充電時又は放電時にバッテリパック1に流れる微少電流値が測定可能となる。
【0050】
ここで、省電力モードとなっているときに、バッテリパック1内に流れる放充電電流値が所定値以上の電流値になると、増幅率が小となされている充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25からの出力値も共に大きくなる。すなわち、2入力NANDゲート10の2つの入力端子のレベルは、共にハイレベルとなり、したがって、2入力NANDゲート10の出力はローレベルとなる。このように、割り込み入力端子に供給されている2入力NANDゲート10の出力レベルがローレベルになると、マイクロコンピュータ5は、省電力モードを解除して通常動作モードに移行する。
【0051】
以上説明したように、バッテリパック1は、省電力モード時には通常動作モード時と比較して消費電力が小さいために、回路の省エネルギ化を図ることができる。また、バッテリパック1は、マイクロコンピュータ5がスイッチング制御出力端子59に入力されるスイッチング制御出力SW1にて第1のスイッチングトランジスタ14をON/OFF制御し、スイッチング制御出力端子60に入力されるスイッチング制御出力SW2にて第2のスイッチングトランジスタ24をON/OFF制御することにより、充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25の増幅率を切り替え可能となし、これにより、省電力モード時の微少電流値の検出と、通常動作モード時の電流値の測定とを上記構成で兼用可能となしている。
【0052】
次に、マイクロコンピュータ5について詳細に説明する。
【0053】
マイクロコンピュータ5の充電電流検出入力端子57は充電電流用オペアンプ15の出力端子と接続され、放電電流検出入力端子58は放電電流用オペアンプ25の出力端子と接続されている。また、マイクロコンピュータ5の割り込み入力端子63は、充電電流用オペアンプ15及び放電電流用オペアンプ25の各出力端子が2つの入力端子に接続された2入力NANDゲート10の出力端子と接続され、さらに、この2入力NANDゲート10の出力端子は、第10の抵抗37を介して電源端子53と接続されている。さらにまた、マイクロコンピュータ5の温度検出入力端子54は電圧検出回路8の出力端子72と接続され、サイクルデータ入力端子56は不揮発性メモリ9の出力端子73と、グランド端子62はバッテリセル2の負極と接続されている。
【0054】
マイクロコンピュータ5は、不揮発性メモリ9に対して記憶された基準容量積算値Y0に基づいて容量積算値Yを算出し、当該容量積算値Yに基づいてバッテリ残容量データを算出する。また、マイクロコンピュータ5は、算出したバッテリ残容量データを外部機器に対して出力する。さらに、マイクロコンピュータ5は、容量積算値Yが最大容量積算値Ymに到達した回数及びバッテリパック1が充放電した回数に基づいて、基準容量積算値Y0を補正する。
【0055】
マイクロコンピュータ5は、電流値を積算することで容量積算値Yを算出している。なお、マイクロコンピュータ5は、図4に示すように、定電圧充電して充電電流Iの電流値がIxとなる毎に容量積算値Yを基準容量積算値Y0にリセットして、容量積算値Yを算出している。また、マイクロコンピュータ5は、容量積算値Yが最大容量積算値Ym未満であるときには算出した容量積算値Yをバッテリ残容量データとし、容量積算値Yが最大容量積算値Ym以上であるときには最大容量積算値Ymをバッテリ残容量データとする。
マイクロコンピュータ5において算出される容量積算値Yが最大容量積算値Ym以上となる原理は、以下に説明する通りとなる。
【0056】
本発明に係るバッテリパック1においては、劣化するに従ってバッテリセル2の内部インピーダンスが大きくなる。すなわち、新品のバッテリパック1を定電圧充電をしたときには、バッテリセル2の内部インピーダンスが低いため、図5中のAに示すように、充電開始時に第7の抵抗27に多くの電流が流れ、流れる電流の量は速やかに減少し、所定の時間(h)で充電が終了する。一方、劣化したバッテリパック1を定電圧充電したときには、バッテリセル2の内部インピーダンスが高いために、充電開始時に第7の抵抗27に流れる電流は少なく、流れる電流の量の減少が遅く、図5中Bで示すように、充電終了まで上記所定の時間(h)より長い時間(h)を要する。
【0057】
したがって、劣化したバッテリパック1を定電圧充電したときには、電流値がIxとなったときに満充電の90%まで充電されていない状態となる。また、劣化したバッテリパック1を定電圧充電したときには、電流値がIxとなった後に流れる第7の抵抗27を流れる電流の量が、新品のバッテリパック1と比較して多くなる。
【0058】
以上説明した理由により、マイクロコンピュータ5が、定電圧充電して電流値がIxとなる毎に容量積算値Yを基準容量積算値Y0にリセットして、容量積算値Yを算出すると、充電時には、劣化したバッテリパック1は、図1中Dに示すように容量積算値が変化し、新品のバッテリパック1は、図1中Cに示すように容量積算値が変化する。すなわち、劣化したバッテリパック1では、満充電のときの容量積算値Yが新品のバッテリパック1と比較して大きな値となる。最大容量積算値Ymは、新品のバッテリパック1が満充電となったときの容量積算値Yよりも僅かに大きい値に設定されている。したがって、バッテリパック1は、劣化が進むと、満充電のときの容量積算値Yが最大容量積算値Ymよりも大となり、最大容量積算値Ymに到達する。
【0059】
したがって、マイクロコンピュータ5は、容量積算値Yが最大容量積算値Ym以上となったときに最大容量積算値Ymをバッテリ残容量データとして外部機器に対して出力することで、出力されるバッテリパック1のバッテリ残容量データが、図6中Eに示す通りとなり、新品のバッテリパック1の容量と比較して著しく多くなることを防ぐことが可能となる。したがって、例えば電子機器においてバッテリパック1の残容量を表示するなどときに、表示されるバッテリパックの残容量が新品のバッテリパック1を満充電したときよりも著しく多くなることを防ぐことが可能となる。
【0060】
また、マイクロコンピュータ5は、容量積算値Yが最大容量積算値Ymに到達した回数(以下、到達回数と称する。)に基づいて、基準容量積算値Y0を補正する。
【0061】
上述したように、劣化したバッテリパック1ではバッテリセル2の内部インピーダンスが高いために、充電開始時に第7の抵抗27に流れる電流が少なくなり、流れる電流の量の減少が遅くなるために、電流値がIxとなったときには満充電の90%まで充電されていない状態となる。すなわち、バッテリパック1は、劣化が進む程、電流値がIxとなったときの実際の容量積算値が基準容量積算値Y0と比較して小さくなる。
【0062】
一方、バッテリパック1は、劣化が進むと満充電のときの容量積算値Yが最大容量積算値Ymよりも大となり、最大容量積算値Ymに到達する回数も多くなる。すなわち、バッテリパック1の到達回数は、バッテリパック1の劣化具合を示している。
【0063】
したがって、例えばバッテリパック1の到達回数が10回増加する毎に基準容量補正値Y0の値を補正して補正前の値の95%とするなど、到達回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正することで、バッテリパック1は、バッテリ残容量データを、実際のバッテリパック1の容量に基づいて補正することが可能となる。したがって、バッテリパック1は、充放電回数だけではなく保存条件や使用条件による劣化に基づいて、バッテリ残容量データを補正することが可能となる。すなわち、バッテリパック1においては、図7中Fに示すように、バッテリ残容量データを、実際のバッテリパック1のバッテリ残容量に近くなるように補正することが可能となる。
【0064】
また、バッテリパック1では、容量積算値Yが最大容量積算値Ym以上となったときに最大容量積算値Ymをバッテリ残容量データとして外部機器に対して記憶することによるバッテリ残容量データの補正と、到達回数に基づいた基準容量積算値Y0の補正との両方を行うことで、マイクロコンピュータ5が出力するバッテリ残容量データがさらに正確に補正された基準容量補正値Yhとされ、さらに実際のバッテリパック1のバッテリ残容量に近い値となる。
【0065】
なお、本発明では、到達回数に基づいて補正される基準容量積算値Y0は、予め不揮発性メモリ9に記憶されている。
【0066】
マイクロコンピュータ5において到達回数を数える方法は、以下に説明する通りとなる。
【0067】
図8に示すように、先ず、ステップST1において、第7の抵抗27に充電電流が流れているか否かを検出する。充電電流が流れているときにはステップST2へ進み、充電電流が流れていないときには到達回数を数えることを終了する。
【0068】
次に、ステップST2において、容量積算値Yが最大容量積算値Ym未満であるか否かを検出する。容量積算値Yが最大容量積算値Ym未満であるときには到達回数を数えることを終了し、容量積算値Yが最大容量積算値Ym以上であるときにはステップST3に進む。
【0069】
次に、ステップST3において、放電後に初めて最大容量積算値Ymに到達したか否かを検出する。放電後に初めて最大容量積算値Ymに到達したときにはステップST4に進み、放電後に初めて最大容量積算値Ymに到達していないときには到達回数を数えることを終了する。
【0070】
そして、ステップST4において、到達回数を数えるカウンタの数を1つ増やす。
【0071】
さらに、マイクロコンピュータ5は、バッテリパック1の充放電回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正する。
【0072】
バッテリパック1が劣化する原因としては、バッテリパック1が充放電した回数や、バッテリパック1の使用及び保存条件などが挙げられる。したがって、例えばバッテリパック1の充放電回数が50回増加する毎に基準容量積算値Y0の値を補正して補正前の値の95%とするなど、バッテリパック1の充放電回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正することで、バッテリパック1の残容量をさらに実際の残容量に近くなるように補正することが可能となる。なお、バッテリパック1が充放電した回数を数える方法としては、例えば特開平9−243718号公報に記載された方法が挙げられる。
【0073】
バッテリパック1において、基準容量積算値Y0を補正する方法は、以下に説明する通りとなる。
【0074】
図9に示すように、先ず、ステップST11において、第7の抵抗27に流れる電流の値がIxであるか否かを判断する。第7の抵抗27に流れる電流の値がIxであるときにはステップST12へ進み、第7の抵抗27に流れる電流の値がIxではないときには基準容量積算値Y0の補正を終了する。
【0075】
次に、ステップST12において、到達回数が基準容量積算値Y0を補正する回数であるか否かを判断する。到達回数が基準容量積算値Y0を補正する回数であるときにはステップST13へ進み、到達回数が基準容量積算値Y0を補正する回数ではないときにはステップST14へ進む。
【0076】
ステップST13においては、到達回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正した後に、ステップST14へ進む。
【0077】
また、ステップST14において、充放電回数が基準容量積算値Y0を補正する回数であるか否かを判断する。充放電回数が基準容量積算値Y0を補正する回数であるときにはステップST15へ進み、充放電回数が基準容量積算値Y0を補正する回数ではないときには基準容量積算値Y0の補正を終了する。
【0078】
そして、ステップST5において、充放電回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正した後、基準容量積算値Y0の補正を終了する。
【0079】
なお、上述の例においては、基準容量積算値Y0のみを補正する構成として説明したが、これに加え、最大容量積算値Ymを補正してもよい。この場合、最大容量積算値Ymの値は、例えば、基準容量積算値Y0の値プラス15%程度として、基準容量積算値Y0の補正に応じて補正する構成とすることができる。
【0080】
以上説明したように、バッテリパック1は、マイクロコンピュータ5が、到達回数に加えて充放電回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正して補正後の基準容量積算値Yhを得るようにしている。したがって、バッテリパック1は、図10中Gに示すように、マイクロコンピュータ5が算出するバッテリ残容量データをさらに正確に補正して、実際のバッテリパック1のバッテリ残容量にさらに近づけることが可能となる。
【0081】
また、バッテリパック1は、マイクロコンピュータ5が基準容量積算値Y0を補正している。すなわち、バッテリパック1は、ソフトウェアを変更することによってバッテリ残容量データを補正することが可能となり、コストアップすることなくバッテリ残容量データを補正することが可能となる。
【0082】
なお、図11に示すように、基準容量積算値Y0の補正には、下限を設けることが好ましい。基準容量積算値Y0の補正に下限を設けることにより、容量積算値Yに対する過剰な補正を防止することができる。
【0083】
以上説明したように、バッテリパック1は、不揮発性メモリ7に最大容量積算値Ymが記憶されており、マイクロコンピュータ5は、算出した容量積算値Yが最大容量積算値Ym未満であるときには算出した容量積算値Yをバッテリ残容量データとし、算出した容量積算値Yが最大容量積算値Ym以上であるときには最大容量積算値Ymをバッテリ残容量データとする。したがって、バッテリパック1は、マイクロコンピュータ5が出力するバッテリ残容量データが、新品のバッテリパック1の容量と比較して著しく多くなることを防ぐことが可能となる。
【0084】
また、バッテリパック1においては、マイクロコンピュータ5が、到達回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正している。すなわち、バッテリパック1においては、バッテリ残容量データを、バッテリパック1の劣化具合に基づいて補正することが可能となる。したがって、バッテリパック1は、充放電回数だけではなく保存条件や使用条件による劣化に基づいて、バッテリ残容量データを補正することが可能となり、マイクロコンピュータ5が算出するバッテリ残容量データをさらに正確に補正して、実際のバッテリパック1のバッテリ残容量にさらに近づけることが可能となる。
【0085】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な変更、置換又はその同等のものを行うことができることは当業者にとって明らかである。
【0086】
上述したように、本発明に係るバッテリパックでは、データ算出手段が、容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が最大容量積算値未満であるときには容量積算値算出手段によって算出された容量積算値をバッテリ残容量データとし、容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が最大容量積算値以上であるときには最大容量積算値をバッテリ残容量データとする。したがって、本発明に係るバッテリパックにおいては、バッテリ残容量データが新品のバッテリパックの容量と比較して著しく多くなることを防ぐことが可能となる。
【0087】
本発明に係るバッテリパックにおいては、基準容量積算値補正手段が、容量積算値が最大容量積算値に到達した回数に基づいて基準容量積算値を補正している。したがって、本発明に係るバッテリパックは、劣化具合に基づいてバッテリ残容量データを補正することが可能となる。すなわち、本発明に係るバッテリパックにおいては、充放電回数だけではなく保存条件や使用条件による劣化に基づいて、バッテリ残容量データを補正することが可能となり、バッテリ残容量データを実際のバッテリ残容量に近い値とすることが可能となる。
【0088】
さらに、本発明に係るバッテリ残量の算出方法は、容量積算値算出ステップにおいて算出された容量積算値が最大容量積算値よりも小さいときには容量積算値算出ステップにおいて算出された容量積算値をバッテリ残容量データとし、容量積算値算出ステップにおいて算出された容量積算値が最大容量積算値よりも大きいときには最大容量積算値をバッテリ残容量データとする。したがって、本発明に係るバッテリ残量の算出方法によれば、出力されるバッテリ残容量データが新品のバッテリパックの容量と比較して著しく多くなることを防ぐことが可能となる。
【0089】
さらにまた、本発明に係るバッテリ残量の算出方法は、第1の基準容量積算値補正ステップにおいて、到達回数カウントステップにおいて数えられた回数に基づいて記憶手段に記憶されている基準容量積算値を補正している。したがって、本発明に係るバッテリ残容量の算出方法においては、充放電回数だけではなく保存条件や使用条件による劣化に基づいて、バッテリ残容量データを補正することが可能となり、バッテリ残容量データを実際のバッテリ残容量に近い値とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0090】
本発明では、データ算出手段が、容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が最大容量積算値未満であるときには容量積算値算出手段によって算出された容量積算値をバッテリ残容量データとし、容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が最大容量積算値以上であるときには最大容量積算値をバッテリ残容量データとする。したがって、本発明によれば、バッテリ残容量データが新品のバッテリパックの容量と比較して著しく多くなることを防ぐことが可能となる。
【0091】
また、本発明では、基準容量積算値補正手段が、容量積算値が最大容量積算値に到達した回数に基づいて基準容量積算値を補正している。したがって、本発明では、劣化具合に基づいてバッテリ残容量データを補正することが可能となる。すなわち、本発明によれば、充放電回数だけではなく保存条件や使用条件による劣化に基づいて、バッテリ残容量データを補正することが可能となり、バッテリ残容量データを実際のバッテリ残容量に近い値とすることが可能となる。
【0092】
さらに、本発明では、容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が最大容量積算値よりも小さいときには容量積算値算出ステップで算出された容量積算値をバッテリ残容量データとし、容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が最大容量積算値よりも大きいときには最大容量積算値をバッテリ残容量データとする。したがって、本発明によれば、出力されるバッテリ残容量データが新品のバッテリパックの容量と比較して著しく多くなることを防ぐことが可能となる
【0093】
さらにまた、本発明では、第1の基準容量積算値補正ステップで、到達回数カウントステップで数えられた回数に基づいて記憶手段に記憶されている基準容量積算値を補正している。したがって、本発明によれば、充放電回数だけではなく保存条件や使用条件による劣化に基づいて、バッテリ残容量データを補正することが可能となり、バッテリ残容量データを実際のバッテリ残容量に近い値とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】 バッテリパックを劣化が進んだ状態で充電したときの容量積算値の変化を示す図である。
【図2】 本発明に係るバッテリパックの具体的構成を示すブロック図である。
【図3】 バッテリパックを新品の状態で充電したときの容量積算値の変化と、最大容量積算値と、基準容量積算値とを示す図である。
【図4】 バッテリパックを充電したときの容量積算値の変化を示す図であり、第7の抵抗に流れる電流の値がIxとなったときに、容量積算値を基準容量積算値にリセットしている状態を示す図である。
【図5】 バッテリパックを定電圧受電したときの、第7の抵抗に流れる電流量の変化を示す図である。
【図6】 容量積算値が最大容量積算値以上のときに、マイクロコンピュータが最大容量積算値をバッテリ残容量データとして出力することを示す図である。
【図7】 到達回数に基づいて基準容量積算値を補正したときのバッテリ残容量データの変化を示す図である。
【図8】 マイクロコンピュータが到達回数を数えるときの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】 マイクロコンピュータが基準容量積算値を補正するときの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】 マイクロコンピュータが到達回数に加えて充放電回数に基づいて基準容量積算値Y0を補正したときのバッテリ残容量データの変化を表す図である。
【図11】 補正による基準容量積算値の変化を示す図である。

Claims (20)

  1. 外部機器に装着されるバッテリパックにおいて、
    劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段と、
    充放電されるバッテリセルと、
    上記バッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として、上記電流検出手段によって検出された電流を積算することによって容量積算値を算出する容量積算値算出手段と、
    上記電流検出手段によって検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶されている基準容量積算値にリセットするリセット手段と、
    上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が上記最大容量積算値未満であるときには上記容量積算値算出手段が算出した容量積算値をバッテリ残容量データとし、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が上記最大容量積算値以上であるときには当該最大容量積算値をバッテリ残容量データとすることによって、バッテリ残容量データを算出するデータ算出手段
    を備えるバッテリパック。
  2. 上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が上記最大容量積算値に到達した回数を数える到達回数カウント手段と、
    上記到達回数カウント手段が数えた回数が予め定められた所定の回数に到達する毎に、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように上記基準容量積算値を補正する基準容量積算値補正手段と
    を備える請求項1に記載のバッテリパック。
  3. 上記基準容量積算値補正手段によって補正された基準容量積算値は、当該基準容量積算値に対する過剰な補正を防止する為に予め定められた所定の値以上である請求項2に記載のバッテリパック。
  4. 上記バッテリ残容量データを上記外部機器に対して出力するデータ出力手段を備える請求項1に記載のバッテリパック。
  5. 上記バッテリセルが充放電された回数を数える充放電回数カウント手段を備え、
    上記基準容量積算値補正手段は、上記充放電回数カウント手段が数えた回数が所定の回数に到達する毎に、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように、上記基準容量積算値を補正する
    請求項2に記載のバッテリパック。
  6. 外部機器に装着されるバッテリパックにおいて、
    劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段と、
    充放電されるバッテリセルと、
    上記バッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として上記電流検出手段によって検出された電流の積算を行って容量積算値を算出し、当該容量積算値をバッテリ残容量データとする容量積算値算出手段と、
    上記電流検出手段によって検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶された基準容量積算値にリセットするリセット手段と、
    上記容量積算値算出手段によって算出された容量積算値が上記記憶手段に記憶された最大容量積算値に到達した回数を数える到達回数カウント手段と、
    上記到達回数カウント手段が数えた回数が予め定められた所定の回数に到達する毎に、上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように補正する基準容量積算値補正手段とを備えるバッテリパック。
  7. 上記基準容量積算値補正手段によって補正された基準容量積算値は、当該基準容量積算値に対する過剰な補正を防止する為に予め定められた所定の値以上である請求項6に記載のバッテリパック。
  8. 上記バッテリ残容量データを上記外部機器に対して出力するデータ出力手段を備える請求項6に記載のバッテリパック。
  9. 上記バッテリセルが充放電された回数を数える充放電回数カウント手段を備え、
    上記基準容量積算値補正手段は、上記充放電回数カウント手段が数えた回数が所定の回数に到達する毎に、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように、上記基準容量積算値を補正す
    請求項6に記載のバッテリパック。
  10. 外部機器に装着されるバッテリパックのバッテリ残容量算出方法において、
    上記バッテリパックに備えられたバッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出ステップと、
    劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と、当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として上記電流検出ステップで検出された電流を積算することによって容量積算値を算出する容量積算値算出ステップと、
    上記電流検出ステップで検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶されている基準容量積算値にリセットするリセットステップと、
    上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が上記最大容量積算値未満であるときには上記容量積算値算出手段が算出した容量積算値をバッテリ残容量データとし、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が上記最大容量積算値以上であるときには当該最大容量積算値をバッテリ残容量データとすることによって、バッテリ残容量データを算出するデータ算出ステップ
    を含むバッテリ残容量算出方法。
  11. 上記容量積算値算出ステップ算出された容量積算値が上記最大容量積算値に到達した回数を数える到達回数カウントステップと、
    上記到達回数カウントステップ数えられた回数が予め定められた所定の回数に到達する毎に、上記基準容量積算値をバッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように補正する第1の基準容量積算値補正ステップとを含む
    請求項10に記載のバッテリ残容量算出方法。
  12. 上記第1の基準容量積算値補正ステップで補正された基準容量積算値は、当該基準容量積算値に対する過剰な補正を防止する為に予め定められた所定の値以上である請求項11に記載のバッテリ残容量算出方法。
  13. 上記バッテリ残容量データを上記外部機器に対して出力するデータ出力ステップを更に含む請求項10に記載のバッテリ残容量算出方法。
  14. 上記バッテリセルが充放電された回数を数える充放電回数カウントステップと、
    上記充放電回数カウント手段が数えた回数が所定の回数に到達する毎に、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように、上記基準容量積算値を補正する第2の基準容量積算値補正ステップとを含む請求項10に記載のバッテリ残容量算出方法。
  15. 上記第2の基準容量積算値補正ステップで補正された基準容量値は、当該基準容量積算値に対する過剰な補正を防止する為に予め定められた所定の値以上である請求項14に記載のバッテリ残容量算出方法。
  16. 外部機器に装着されるバッテリパックのバッテリ残容量算出方法において、
    上記バッテリパックに備えられたバッテリセルが充放電されているときに流れる電流を検出する電流検出ステップと、
    劣化したバッテリパックを満充電したときの容量積算値と、当該バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量とが乖離しないように設定された容量積算値の最大値である最大容量積算値と、1度も充電が行われていないバッテリパックを1度も充電が行われていないバッテリパックを満充電したときの容量積算値の所定割合に相当する容量積算値である基準容量積算値とが記憶される記憶手段に記憶された基準容量積算値を基準として上記電流検出ステップで検出された電流の積算を行って容量積算値を算出し、当該容量積算値をバッテリ残容量データとする容量積算値算出ステップと、
    上記電流検出ステップで検出される電流がバッテリーパックの種別に応じて規定される当該バッテリーパックが劣化したことを示す所定の値となったときに、上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値を上記記憶手段に記憶された基準容量積算値にリセットするリセットステップと、
    上記容量積算値算出ステップで算出された容量積算値が上記記憶手段に記憶された最大容量積算値に到達した回数を数える到達回数カウントステップと、
    上記到達回数カウントステップ数えられた回数が予め定められた所定の回数に到達する毎に、上記記憶手段に記憶された基準容量積算値を、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように補正する基準容量積算値補正ステップとを含むバッテリ残容量算出方法。
  17. 上記第1の基準容量積算値補正ステップで補正された基準容量積算値は、当該基準容量積算値に対する過剰な補正を防止する為に予め定められた所定の値以上である請求項16に記載のバッテリ残容量算出方法。
  18. 上記バッテリ残容量データを上記外部機器に対して出力するデータ出力ステップを備える請求項16に記載のバッテリ残容量算出方法。
  19. 上記バッテリセルが充放電された回数を数える充放電回数カウントステップと、
    上記充放電回数カウントステップ数えられた回数が所定の回数に到達する毎に、バッテリパックの劣化具合に応じた実際のバッテリパックのバッテリ残容量に近くなるように、上記記憶手段に対して記憶されている基準容量積算値を補正する第2の基準容量積算値補正ステップとを備え
    請求項16に記載のバッテリ残容量算出方法。
  20. 上記第2の基準容量積算値補正ステップ補正された基準容量積算値は、当該基準容量積算値に対する過剰な補正を防止する為に予め定められた所定の値以上である請求項19に記載のバッテリ残容量算出方法。
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