JP4514012B2 - Plating material, manufacturing method thereof, and electric / electronic parts using the same - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はめっき材料とその製造方法、そのめっき材料を用いた電気・電子部品に関する。更に詳しくは、耐熱性が良好で、例えば自動車のエンジンルームのような高温環境下で使用するコネクタの材料として好適なめっき材料に関する。また、良好な耐熱性と挿抜性を兼ね備えているので、高温環境下で使用する嵌合型コネクタや接触子の材料として好適なめっき材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
CuやCu合金から成る導電性基材の上に、SnやSn合金から成るめっき層を設けた材料は、基材の優れた導電性や強度と、SnやSn合金の良好な電気接触特性、耐食性、はんだ付け性とを兼ね備えた高性能導体として知られている。そして、この材料は各種の端子やコネクタなどに広く用いられている。
【0003】
このような材料としては、通常、基材の上にCuまたはNiの下地めっきを施したのち、その上に、直接、SnまたはSn合金のめっきを施して製造したものが用いられている。この下地めっき層は、基材成分(CuやZnなどの合金成分)が表面のSnまたはSn合金へ拡散することを抑制するために設けられるものである。とくに、下地めっき層がNiやNi合金から成るめっき層である場合には、高温環境下にあっても表面のSnまたはSn合金への上記した拡散を遅延させる効果が大きい。そのため、長時間に亘って表面におけるSnやSn合金の特性が確保されることになる。
【0004】
しかしながら、NiやNi合金の下地めっき層を有する上記した材料の場合であっても、次のような問題が生じている。例えば自動車のエンジンルームのエンジン付近のようなとくに高温となる箇所で用いられると、やはり、基材のCuや、下地のNi、Ni合金が経時的に表面めっき層側へ拡散していく。そしてある時間の経過後にあっては、表面めっき層は当初のSnやSn合金でなくなり、事実上、SnやSn合金から成る表面めっき層が消失してしまう。その結果、そのめっき材料は本来の性能を発揮しなくなる。
【0005】
このような問題は、SnやSn合金から成る表面めっき層の厚みを厚くして、当該表面めっき層の消失時間を長くすることにより解消することができる。しかしながら、そのような対応策は資源の浪費を招く。しかも、それだけではなく、そのめっき材料が例えば多数の端子を同時に嵌合するコネクタ(嵌合型コネクタ)に用いられる場合、それの相手材への組み付け作業が困難になるという問題を新たに引き起こすこともある。
【0006】
ところで、嵌合型コネクタでは、オス端子とメス端子を嵌合して電気的接続をとっている。そして近年、自動車に搭載するコネクタ端子に関しては、伝送情報の多量化、電子制御化の進展が進んでいる。そのことに伴なって、コネクタピンの多極化が進んでいる。その場合、端子の挿入力が今までと同じであるとするならば、ピン数が増加した分だけコネクタの挿入力を大きくすることが必要となる。そのため、多極化したコネクタピンに対しては、その挿入力を低減させることが強く要望されている。
【0007】
このような要望に応える端子としては、例えば端子表面にAuめっき層を形成したものがある。その端子を用いたときの挿入力は低減する。しかしながら、Auは高価であるため、他方では、製造される端子は高コストになるという問題がある。
なお、コネクタ端子としては、一般に、Cuのような導電性基材の表面にSnめっきが施されているものが使用されている。この端子の場合、Snは易酸化性材料であるため、大気中では、その表面には、常に、硬質なSn酸化皮膜が形成された状態になっている。
【0008】
そして、この端子を挿入すると、上記した硬質のSn酸化皮膜が相手材との嵌合時に破れる。そして、その下に位置する未酸化のSnめっき層と相手材とが接触して両者間の電気的接続が実現する。しかしながら、形成されているSnめっき層が薄い場合には、そのめっき層全体が酸化皮膜化するため、嵌合時に当該酸化皮膜が破れにくくなる。しかも、基材がCuまたはCu合金から成る場合は、高温環境下での実使用時に、表面の薄いSnめっき層のSn成分と基材成分とが反応してCu成分が表面に露出し、表面にはCuの酸化皮膜が形成される。その結果、相手材との接触信頼性を喪失してしまう。
【0009】
このような問題は、表面のSnめっき層を厚くすることにより発生しにくくすることができる。しかしながら、その場合には、嵌合時に相手材との挿入力が大きくなるという新たな問題が生ずる。
このようなことから、とくに高温環境下においては、高価なAuめっき端子を使用するか、または、表面のSnめっき層の厚みが厚く、またピン数が少ないSnめっき端子しか使用することができないという問題があった。
【0010】
ところで、端子の表面にSnまたはSn合金から成るめっき層を形成する場合、一般に、光沢SnめっきとリフローSnめっきが適用されている。
これらのうち、光沢Snめっきによって形成されためっき層の場合、そのめっき層にはめっき処理時に用いた添加剤成分が多く含有されている。また、めっきSnの結晶粒径は微細になる。そのため、めっき層表面の潤滑性が優れ、かつ、嵌合・摺動時の削れ量も少なくなる。その結果、嵌合時の挿抜性は優れている。しかしながら、結晶粒径が微細であるため、高温環境下で用いられると、基材の成分の、粒界拡散に基づく拡散速度が大きくなって当該基材成分が表面に拡散してくることがある。すなわち、光沢Snめっきの材料は耐熱性に劣る。
【0011】
一方、リフローSnめっきの場合は、全体のめっき処理終了後に、その表面めっき層を加熱溶融する。そのため、形成されたリフローめっき層では、めっきSnの結晶粒径は大きくなり、かつ、めっき処理時に混入した添加剤成分も除去されている。そのため、高温環境下においても、基材成分の、粒界拡散に基づく拡散速度は小さくなる。すなわち、その材料の耐熱性は向上する。しかしながら、めっきSnの結晶粒径が大きいので、嵌合・摺動時の削れ量は大きくなり、かつ、添加剤成分も少ないので潤滑性に劣り、その挿抜性は劣化する。
【0012】
このようなことから、Snめっき層の耐熱性と挿抜性を高めるために、様々な方法が提案されている。
例えば、特開平8−7940号公報や特開平4−329891号公報には、耐熱性の向上を目的として、Snめっき層の下地として、高融点金属、とくにNiのめっき層を形成する方法が開示されている。この方法によれば、温度領域が100〜120℃程度である場合には、Niめっき層が基材成分(CuやZnなどの合金成分)とSnめっき層のSn成分との反応を抑制し、しかもNiとSnとの反応速度が小さいので耐熱効果が得られる。しかしながら、140℃以上の高温環境下においては、NiとSnとの反応速度が大きくなり、表面Snめっき層の変質が起こり、耐熱効果が得られなくなる。
【0013】
また、特開平11−121075号公報や特開平10−302864号公報には、挿抜性を向上させるために、表面のSnめっき層の厚みを薄くする方法が開示されている。
この方法で形成された表面Snめっき層の場合、嵌合・摺動性における削れ量は低減して挿抜性が良好になる。しかしながら、Snめっき層の厚みが薄いので、小さな熱履歴によっても表面のSnめっき層は基材との間の拡散で合金化して消滅してしまい、相手材との接触抵抗は増大してしまう。
【0014】
このように、表面にSnめっき層を形成した従来のめっき材料の場合、その耐熱性と挿抜性の両立は非常に困難であるという問題があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面にSnまたはSn合金のめっき層が形成されているめっき材料において、高温環境下にあっても、当該めっき層と基材や下地めっき層との間で拡散反応が遅くなるように設計されているので、耐熱性が良好なめっき材料の提供を目的とし、また、上記した良好な耐熱性とともに挿抜性も良好であり、高温環境下で使用される嵌合型コネクタや接触子などの材料として好適なめっき材料の提供を目的とする。
【0016】
更に、本発明は、上記しためっき材料の製造方法、およびそのめっき材料を用いた電気・電子部品、例えば嵌合型コネクタ、接触子の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、導電性基材の表面に、周期律表4族、5族、6族、7族、8族、9族、もしくは10族に含まれるいずれか1種の金属またはそれらの合金から成る下地めっき層と、CuまたはCu合金から成る厚み0.05〜0.49μmの中間めっき層と、Sn合金から成る表面めっき層とがこの順序で形成されており、前記表面めっき層が光沢めっき層であり、前記Sn合金が、Bi、Cu、およびPbの群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするめっき材料が提供される。
【0018】
また、本発明においては、導電性基材の表面に、周期律表4族、5族、6族、7族、8族、9族、もしくは10族に含まれるいずれか1種の金属またはそれらの合金から成る下地めっき層と、CuまたはCu合金から成る厚み0.05〜0.49μmの中間めっき層と、Sn合金から成る表面めっき層をこの順序で形成し、前記表面めっき層を光沢めっき層として形成し、 前記表面めっき層は、光沢Sn−Bi合金めっき層、光沢Sn−Cu合金めっき層、および光沢Sn−Pb合金めっき層のいずれかであることを特徴とするめっき材料の製造方法が提供される。
【0019】
また、本発明においては、上記しためっき材料を用いた電気・電子部品、具体的には、嵌合型コネクタや接触子が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のめっき材料は、後述するような4層構造になっている。そして、各層の構成材料や厚みは、前記した耐熱性の向上や、耐熱性と挿抜性を同時に向上させることとの関係で後述するように設計される。
まず、本発明のめっき材料は、図1で示したように、全体として、導電性基材1の上に、後述する下地めっき層2、中間めっき層3、および表面めっき層4がこの順序で形成されている。このめっき材料は、下地めっき層2と表面めっき層4の間に、中間めっき層3が介在し、この中間めっき3が後述する機能を発揮することにより、高温環境下における表面めっき層4の消失が抑制されるところに最大の特徴を有している。
【0021】
まず、導電性基材1の材料は格別限定されるものではなく、例えば接続コネクタとしての用途を考慮し、要求される機械的強度、耐熱性、導電性に応じて、例えば、純銅;リン青銅、黄銅、洋白、ベリリウム銅、コルソン合金のような銅合金;純鉄、ステンレス鋼のような鉄合金;各種のニッケル合金;Cu被覆Fe材やNi被覆Fe材のような複合材料などから適宜に選定すればよい。
【0022】
これらの材料のうち、CuまたはCu合金が好適である。
なお、導電性基材1がCu系材料でない場合は、その表面にCuまたはCu合金のめっきを施してから実使用に供すると、めっき膜の密着性や耐食性が更に向上する。
この導電性基材1の上に形成されている下地めっき層2は、基材1と表面めっき層との密着強度を確保するために設けられるとともに、基材の成分が表層側に熱拡散することを防止するバリア層としても機能する。具体的には、周期律表4族元素(Ti,Zr,Hf)、5族元素(V,Nb,Ta)、6族元素(Cr,Mo,W)、7族元素(Mn,Tc,Re)、8族元素(Fe,Ru,Os)、9族元素(Co,Rh,Ir)、10族元素(Ni,Pd,Pt)のいずれか、またはそれを主成分とする合金で形成されている。
【0023】
これらの金属はいずれも融点が1000℃以上の高融点金属である。そして、例えば接続コネクタの使用環境温度は一般に200℃以下であるため、このような使用環境下では、この下地めっき層2は熱拡散を起こしにくいことはもち論のこと、基材成分の表層側への熱拡散を有効に防止する。
上記した金属のうち、価格の点、めっき処理が行いやすい点などから、Ni,Co,Feが好適である。そして、それらを主成分とする合金としては、例えば、Ni−P,Ni−Sn,Co−P,Ni−Co,Ni−Co−P,Ni−Cu,Ni−Cr,Ni−Zn,Ni−Feなどをあげることができる。
【0024】
なお、上記した下地めっき層は例えばPVD法のようなめっき法によっても形成することができるが、湿式めっき法を適用することの方が好ましい。
ここで、めっき材料の耐熱性の向上を主たる目的とする場合、下地めっき層2の厚みは0.05〜2μmの範囲内に設定されていることが好ましい。
この下地めっき層2の厚みが薄すぎると上記した効果は充分に発揮されなくなり、また厚すぎるとめっき歪みが大きくなって基材1から剥離しやくすくなるからである。
【0025】
また、めっき材料の耐熱性の向上とともに、挿抜性の向上を意図する場合、下地めっき層2の厚みは、格別限定されるものではないが、上記した基材成分の表層側の拡散防止効果を発揮させるためには、0.25μm以上であればよい。しかし、あまり厚くしても無意味であるばかりではなく、端子への加工時に加工割れを起こす場合もあるので、加工性を考慮して、その厚みの上限は概ね0.5〜2μmの範囲内に設定すればよい。
【0026】
次に、この下地めっき層2の上に形成される中間めっき層3は、CuまたはCu合金から成る。そして、この中間めっき層3は、後述する態様で下地めっき層2の成分と表面めっき層4のSn成分とが相互拡散することを防止する層として機能する。
中間めっき層3のCu成分と下地めっき層2の成分(前記した金属またはその合金)との反応速度よりも、上記Cu成分と表面めっき層4のSn成分との反応速度の方が大きい。したがって、このめっき材料が高温環境下に曝されると、表面めっき層4のSn成分の中間めっき層3への熱拡散が進行し、結果として、中間めっき層3は、図2で示したように、Sn−Cu金属間化合物から成る層3’に転化していく。同時に、めっき材料の表面めっき層4のSn成分は、中間めっき層3との界面を起点として中間めっき層3の方へ拡散移動して上記金属間化合物に転化していく。その結果、Sn(またはSn合金)が残存している層であるめっき層4’の厚みは薄くなる。そして、中間めっき層3のCu成分が上層側から拡散してくるSnやSn合金を受容し終わった時点で、SnやSn合金とCuやCu合金間の相互拡散は停止する。
【0027】
その結果、図2で示したように、図1の中間めっき層3と表面めっき層4の一部は、金属間化合物から成る層3’になる。また図1の表面めっき層4は、その厚みが薄くなっているが、SnやSn合金から成る層4’として残ることになる。
このように、下地めっき層2とSnやSn合金から成る層4’の間に金属間化合物の層3’が介在していることにより、層4’と下地めっき層2の間の反応は抑制されることになる。
【0028】
したがって、このめっき材料の場合、高温環境下にあっては図2で示した層構造の状態、すなわち、SnやSn合金とCuやCu合金の相互拡散は抑制された状態で使用されることになる。そのため、SnやSn合金から成る表面めっき層が使用過程で消失してしまうことはなくなる。Sn−Cu金属間化合物としては、Cu 6 Sn 5 やCu 3 Snがよく知られている。そして、Cu 6 Sn 5 の場合、Cuの1体積に対しSnの1.9体積が反応して生成した化合物である。またCu 3 Snの場合は、Cuの1体積に対しSnの0.8体積が反応して生成した化合物である。
【0029】
したがって、表面めっき層4の厚みが中間めっき層3の厚みの1.9倍以上になっていれば、上記した相互拡散により、中間めっき層3のCu成分が全て上記したSn−Cu金属間化合物に転化してしまったとしても、いまだ、SnまたはSn合金から成る表面めっき層4’は残存する。そして、中間めっき層3のCu成分は、Sn−Cu金属間化合物として固定され、その熱拡散が抑制されている。
【0030】
このようなことから、本発明のめっき材料においては、表面めっき層4の厚みを中間めっき層3の厚みの1.9倍以上の値に設計することが好ましい。
このようにすることにより、そのめっき材料は、高温環境下にあっても、表面めっき層4' は必ずSnまたはSn合金のままであるため、その接触信頼性は確保される。
【0031】
その場合、中間めっき層3の厚みを薄くしすぎると、例えば中間めっき層3がCuから成る場合には、その層には多数の微細孔が存在している。そのため、下地めっき層2のNi成分やCu成分などがこの微細孔を通って中間めっき層に拡散してくるようになる。
また、中間めっき層3の厚みを厚くしすぎると、表面めっき層4の厚みを可成り厚くしない限り、そのSnやSn合金が上記した相互拡散で全て消費されてしまい、結局、表面にはSnまたはSn合金が残存しなくなってしまう。このことを避けるために、表面めっき層4を厚くすると、それは、その材料を嵌合型コネクタと使用したときに、その挿入抵抗が大きくなってしまう。
【0032】
このようなことから、中間めっき層3の厚みは0.01〜1.0μmの範囲内に設定することが好ましい。中間めっき層3の形成に用いるCu合金としては、例えば、Cu−Zn,Cu−Sn,Cu−Ni,Cu−Ni−Snなどをあげることができる。その場合、Cu成分の量は、上記したCu−Sn系金属間化合物の生成を阻害しない量であることが必要であるが、例えば50質量%以上の値であればよい。
【0033】
なお、本発明のめっき材料の場合、中間めっき層3と表面めっき層4の厚みに関して、上記した関係、すなわち、後者の厚みを前者の厚みの1.9倍以上に設定するという関係を維持した状態で表面めっき層4の厚みを薄くすることができる。その結果、挿抜性を高めることができる。
例えば、中間めっき層3の厚みを0.49μm以下とすれば、めっき材料における表面めっき層の厚みを1μm以下にしても、充分な耐熱性を確保した状態で良好な挿抜性を発揮させることができる。また、中間めっき層3の厚みを0.3μm以下とすれば、表面めっき層4の厚みを更に薄い0.6μm程度に設定することができて好適である。
【0034】
既に説明したように、表面めっき層4はSnまたはSn合金で形成され、めっき材料としての電気接触特性、耐食性、はんだ付け性を確保するために設けられる。とくにSn合金で形成すると、挿抜性を更に向上させることができるので好適である。
その場合のSn合金としては、例えば、SnにAg,Bi,Cu,In,Pb,Sbの1種または2種以上が含有されているものを好適例とする。これらのSn合金は、いずれも、はんだ付け性が良好で、また、表面めっき層の形成時にウイスカを発生しないからである。
【0035】
なお、Pbは環境への流出が問題となっているので、できるだけ、Pbを含むSn合金の使用は避けた方がよい。
【0037】
なお、本発明のめっき材料においては、基材と下地めっき層の間、下地めっき層と中間めっき層の間、または中間めっき層と表面めっき層の間に、各めっき層の厚みよりも薄い異種材料のめっき層を介在させてもよい。また、素材形状としては、条材、丸線材、角線材などの形状のいずれであってもよい。
【0038】
【実施例】
実施例1〜17,比較例1〜9
黄銅条に、電解脱脂、酸洗を順次行ったのち、下地めっき層、中間めっき層、表面めっき層を順次形成して、表2、表3で示した各種のめっき材料を製造した。なお、各層形成時のめっき条件は表1に示したとおりである。
【0039】
【表1】
【0040】
製造した各めっき材料を表2、表3で示した温度に加熱し、そのときの表面めっき層の残存厚みを下記の仕様で測定した。また、初期時における動摩擦係数を下記の仕様で測定した。
残存厚み:めっき材料を温度100〜160℃のエアバスの中に120時間放置したのち、定電流溶解法で測定。
動摩擦係数:バウデン型摩擦試験器を用い、荷重2.94N、摺動距離10mm、摺動速度100mm/min、摺動回数1回の条件下で測定。なお、相手材としては、板厚0.25mmの黄銅条にリフローSnめっきを1μm施したのち、0.5mmRに張り出し加工を行ったものを用いた。
以下の結果を一括して表2および表3に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表2および表3から次のことから明らかである。
(1)実施例と比較例を対比すると、実施例は、全体として、環境温度が高温になっても、表面めっき層(Sn)が残存しており、しかも動摩擦係数が小さくなっている。そして、形成した表面めっき層の厚みが厚い実施例のものほど加熱後における表面めっき層(Sn)の残存厚みは厚くなっていて耐熱性を保持している。しかし、他方では、動摩擦係数は、表面めっき層の厚みが薄い実施例の方が小さくなっている。このようなことから、表面めっき層の厚みが薄いものの方が挿抜性の点で有利である。
【0044】
(2)実施例7〜10のように、下地めっき層がNi層以外であっても、それが基材成分(CuやZnなどの合金成分)の表層側の拡散を防止するものであれば同様の効果が得られている。また、実施例6〜11のように、中間めっき層の、下地めっき層に対する反応速度よりも、表面めっき層に対する反応速度の方が大きい場合であっても同様の効果が得られている。
【0045】
参考例2の場合のように、中間めっき層の厚みが薄いと、下地めっき層と表面めっき層の拡散を抑制する効果は小さくなっている。実施例12と実施例13を対比して明らかなように、表面めっき層が厚くなると耐熱性は向上し、薄くなると動摩擦係数が小さくなって挿抜性が向上している。
【0046】
実施例18〜21、比較例10〜25
実施例3、実施例5、参考例1、比較例5、および比較例6のそれぞれの試料から、タブ幅が2.3mmであるオス端子とメス端子を製作した。これらオス端子とメス端子を、表4で示したように組み合わせて嵌合し、ついで嵌合した部材に対し温度160℃で120時間の熱処理を施したのち、各部材における端子間の接触抵抗を測定した。なお、嵌合時の挿入は挿入力の速度2mm/secで行い、挿入時のピーク強度を挿入力として測定した。n=5の平均値を求め、結果を表4に示した。
【0047】
また、接触抵抗は、端子にリードをはんだ付けし、電流10mAを流して測定した。n=10の平均値を求め、結果を表4に示した。
【0048】
【表4】
【0049】
表4から次のことが明らかである。
(1)実施例と比較例を対比すると、実施例の場合、全体として嵌合時の挿入力は低く、しかも熱処理後の接触抵抗が低くなっている。
また、各実施例と各比較例における嵌合時の挿入力は概ね5.3〜6.5Nと低い値になっている。そして、オス端子に実施例のものを用いた方が、メス端子に用いた場合よりも挿入力が低くなっている。これは、嵌合時においては、メス端子側は点接触状態となって削れる箇所が1点になるが、オス端子側では線状に接触していくので削れる箇所が線状になるためであると考えられる。
【0050】
したがって、低い挿入力を目的とする場合には、オス端子側の表面めっき層(Sn)の厚みを薄くすることが有効であると考えられる。
また、実施例において、熱処理後の接触抵抗が低い理由は、熱処理後にあっても本発明の実施例端子は表面めっき層(Sn)が残存していることにより接触信頼性が向上しているためであると考えられる。他方、比較例端子を用いた場合は、熱処理により表面めっき層(Sn)が消滅して接触抵抗が高くなってしまう。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明のめっき材料は、下地めっき層と表面めっき層の間にCuまたはCu合金から成る中間めっき層を介在させており、そして表面めっき層と中間めっき層の厚みを、高温環境下にあっても表面めっき層のSnまたはSn合金が残存するように設計されている。
【0052】
したがって、このめっき材料は、耐熱性が良好であり、また良好な耐熱性と挿抜性を兼ね備えていて、例えば自動車エンジンルーム内のような高温環境下に配置されるコネクタ、また嵌合型コネクタ、接触子などの各種電気・電子部品用の材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のめっき材料の1例を示す断面図である。
【図2】図1のめっき材料を高温環境下に曝したときの層構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導電性基材
2 下地めっき層
3 中間めっき層
3’ SnとCuとの相互拡散層
4 表面めっき層
4’ Sn残存めっき層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a plating material, a manufacturing method thereof, and an electric / electronic component using the plating material. More specifically, the present invention relates to a plating material having good heat resistance and suitable as a material for a connector used in a high-temperature environment such as an automobile engine room. The present invention also relates to a plating material suitable as a material for a fitting connector or a contactor used in a high temperature environment because it has both good heat resistance and insertion / extraction.
[0002]
[Prior art]
A material in which a plated layer made of Sn or Sn alloy is provided on a conductive substrate made of Cu or Cu alloy is a material having excellent conductivity and strength of the substrate and good electrical contact characteristics of Sn or Sn alloy, It is known as a high-performance conductor that has both corrosion resistance and solderability. This material is widely used for various terminals and connectors.
[0003]
As such a material, a material produced by applying a Cu or Ni base plating on a base material and then directly applying a Sn or Sn alloy plating thereon is used. This base plating layer is provided in order to prevent the base material component (alloy component such as Cu or Zn) from diffusing into the surface Sn or Sn alloy. In particular, when the base plating layer is a plating layer made of Ni or a Ni alloy, the effect of delaying the above diffusion to the Sn or Sn alloy on the surface is great even under a high temperature environment. Therefore, the characteristics of Sn and Sn alloy on the surface are ensured for a long time.
[0004]
However, even in the case of the above-described material having a Ni or Ni alloy base plating layer, the following problems occur. For example, when it is used at a particularly high temperature, such as in the vicinity of an engine in an automobile engine room, the base material Cu, the underlying Ni, and the Ni alloy diffuse over time to the surface plating layer side. After a certain period of time, the surface plating layer is no longer the original Sn or Sn alloy, and the surface plating layer made of Sn or Sn alloy is virtually lost. As a result, the plating material does not exhibit its original performance.
[0005]
Such a problem can be solved by increasing the thickness of the surface plating layer made of Sn or Sn alloy and extending the disappearance time of the surface plating layer. However, such countermeasures are wasteful of resources. Moreover, not only that, but when the plating material is used for, for example, a connector (fitting type connector) that fits a large number of terminals at the same time, it causes a new problem that the assembly work to the mating material becomes difficult. There is also.
[0006]
By the way, in a fitting type connector, the male terminal and the female terminal are fitted and the electrical connection is taken. In recent years, with regard to connector terminals mounted on automobiles, transmission information has been increased in quantity and electronically controlled. As a result, the number of connector pins is increasing. In that case, if the insertion force of the terminal is the same as before, it is necessary to increase the insertion force of the connector by an amount corresponding to the increase in the number of pins. For this reason, there is a strong demand for reducing the insertion force of multi-polar connector pins.
[0007]
As a terminal that meets such a demand, for example, there is a terminal in which an Au plating layer is formed on the terminal surface. The insertion force when using the terminal is reduced. However, since Au is expensive, there is a problem that the manufactured terminals are expensive.
In addition, as a connector terminal, what has Sn-plated on the surface of a conductive base material like Cu is generally used. In the case of this terminal, since Sn is an easily oxidizable material, a hard Sn oxide film is always formed on the surface in the atmosphere.
[0008]
And if this terminal is inserted, the above-mentioned hard Sn oxide film will be broken at the time of fitting with the counterpart material. Then, the unoxidized Sn plating layer located below and the mating material come into contact with each other, and electrical connection between them is realized. However, when the formed Sn plating layer is thin, the entire plating layer becomes an oxide film, so that the oxide film is not easily broken during fitting. In addition, when the substrate is made of Cu or a Cu alloy, the Sn component of the thin Sn plating layer reacts with the substrate component during actual use in a high temperature environment, and the Cu component is exposed on the surface. In this case, an oxide film of Cu is formed. As a result, contact reliability with the counterpart material is lost.
[0009]
Such a problem can be made difficult to occur by thickening the Sn plating layer on the surface. However, in that case, there arises a new problem that the insertion force with the mating member becomes large at the time of fitting.
For this reason, particularly in a high temperature environment, an expensive Au plated terminal can be used, or only a Sn plated terminal with a thin Sn plating layer on the surface and a small number of pins can be used. There was a problem.
[0010]
By the way, when forming the plating layer which consists of Sn or Sn alloy on the surface of a terminal, generally bright Sn plating and reflow Sn plating are applied.
Among these, in the case of a plating layer formed by bright Sn plating, the plating layer contains a large amount of additive components used during the plating process. Further, the crystal grain size of the plated Sn becomes fine. Therefore, the lubricity of the plating layer surface is excellent, and the amount of abrasion during fitting and sliding is reduced. As a result, the pluggability at the time of fitting is excellent. However, since the crystal grain size is fine, when used in a high temperature environment, the diffusion rate of the base material component based on the grain boundary diffusion increases and the base material component may diffuse to the surface. . That is, the material for the bright Sn plating is inferior in heat resistance.
[0011]
On the other hand, in the case of reflow Sn plating, the surface plating layer is heated and melted after the entire plating process is completed. Therefore, in the formed reflow plating layer, the crystal grain size of the plating Sn is increased, and the additive component mixed during the plating process is also removed. Therefore, the diffusion rate based on the grain boundary diffusion of the base material component becomes small even in a high temperature environment. That is, the heat resistance of the material is improved. However, since the crystal grain size of the plated Sn is large, the amount of wear during fitting and sliding is large, and since there are few additive components, the lubricity is inferior and the insertion / extraction properties deteriorate.
[0012]
For these reasons, various methods have been proposed in order to improve the heat resistance and insertion / removability of the Sn plating layer.
For example, JP-A-8-7940 and JP-A-4-329891 disclose a method of forming a plating layer of a refractory metal, particularly Ni, as a base of an Sn plating layer for the purpose of improving heat resistance. Has been. According to this method, when the temperature region is about 100 to 120 ° C., the Ni plating layer suppresses the reaction between the base component (alloy component such as Cu and Zn) and the Sn component of the Sn plating layer, And since the reaction rate of Ni and Sn is small, the heat-resistant effect is acquired. However, in a high temperature environment of 140 ° C. or higher, the reaction rate between Ni and Sn increases, and the surface Sn plating layer changes in quality, and the heat resistance effect cannot be obtained.
[0013]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 11-121075 and Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-302864 disclose methods for reducing the thickness of the Sn plating layer on the surface in order to improve the insertability.
In the case of the surface Sn plating layer formed by this method, the amount of abrasion in the fitting / sliding property is reduced and the insertion / extraction property is improved. However, since the thickness of the Sn plating layer is thin, the Sn plating layer on the surface is alloyed and disappeared by diffusion with the base material even with a small thermal history, and the contact resistance with the counterpart material increases.
[0014]
Thus, in the case of the conventional plating material which formed Sn plating layer on the surface, there existed a problem that coexistence of the heat resistance and insertion / extraction property was very difficult.
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
According to the present invention, in a plating material having a Sn or Sn alloy plating layer formed on the surface, the diffusion reaction is delayed between the plating layer and the base material or the base plating layer even under a high temperature environment. It is designed for the purpose of providing plating materials with good heat resistance, and also has good heat resistance as described above, as well as good insertability, and is a mating connector or contactor used in high-temperature environments. An object of the present invention is to provide a plating material suitable as a material.
[0016]
Furthermore, an object of the present invention is to provide a method for producing the above-described plating material, and an electric / electronic component using the plating material, such as a fitting connector and a contact.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-described object, in the present invention, the surface of the conductive base material includes any of the periodic table group 4, group 5, group 6, group 7, group 8, group 9, or group 10. A base plating layer made of one kind of metal or an alloy thereof, an intermediate plating layer made of Cu or Cu alloy having a thickness of 0.05 to 0.49 μm, and a surface plating layer made of Sn alloy are formed in this order. and which, the surface plated layer is Ri bright plating layer der, the Sn alloy, Bi, Cu, and Pb plating material characterized in that it contains at least one selected from the group is provided.
[0018]
Also, in the present invention, the surface of the conductive substrate, the periodic table Group 4, Group 5, Group 6, Group 7, Group 8, Group 9, or one metal or one included in Group 10 a lower plating layer consisting of an alloy, an intermediate plated layer of 0.05~0.49μm thickness made of Cu or Cu alloy, the surface plated layer made of S n alloy is formed in this order, the surface plated layer Formed as a bright plating layer, and the surface plating layer is any one of a bright Sn-Bi alloy plating layer, a bright Sn-Cu alloy plating layer, and a bright Sn-Pb alloy plating layer . manufacturing methods Ru is provided.
[0019]
Moreover, in this invention, the electrical / electronic component using the above-mentioned plating material, specifically, a fitting type connector and a contactor are provided.
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The plating material of the present invention has a four-layer structure as described later. And the constituent material and thickness of each layer are designed so that it may mention later in relation to the above-mentioned improvement of heat resistance, and improving heat resistance and insertion / extraction simultaneously.
First, as shown in FIG. 1, the plating material of the present invention has a base plating layer 2, an intermediate plating layer 3, and a surface plating layer 4, which will be described later, in this order on the conductive substrate 1 as a whole. Is formed. In this plating material, the intermediate plating layer 3 is interposed between the base plating layer 2 and the surface plating layer 4, and the intermediate plating 3 exhibits the function described later, thereby eliminating the surface plating layer 4 in a high temperature environment. It has the greatest feature where it is suppressed.
[0021]
First, the material of the conductive substrate 1 is not particularly limited. For example, in consideration of the use as a connection connector, depending on the required mechanical strength, heat resistance, and conductivity, for example, pure copper; phosphor bronze Copper alloy such as brass, white, beryllium copper and corson alloy; iron alloy such as pure iron and stainless steel; various nickel alloys; composite material such as Cu-coated Fe material and Ni-coated Fe material Should be selected.
[0022]
Of these materials, Cu or Cu alloy is preferred.
When the conductive substrate 1 is not a Cu-based material, the adhesion and corrosion resistance of the plating film are further improved if the surface of the conductive substrate 1 is subjected to actual use after being plated with Cu or a Cu alloy.
The base plating layer 2 formed on the conductive base material 1 is provided in order to ensure adhesion strength between the base material 1 and the surface plating layer, and the components of the base material thermally diffuse to the surface layer side. It also functions as a barrier layer to prevent this. Specifically, Group 4 elements (Ti, Zr, Hf), Group 5 elements (V, Nb, Ta), Group 6 elements (Cr, Mo, W), Group 7 elements (Mn, Tc, Re) ), Group 8 element (Fe, Ru, Os), Group 9 element (Co, Rh, Ir), Group 10 element (Ni, Pd, Pt), or an alloy mainly composed thereof. Yes.
[0023]
These metals are all high melting point metals having a melting point of 1000 ° C. or higher. For example, since the operating environment temperature of the connector is generally 200 ° C. or lower, it is a matter of course that the base plating layer 2 is less likely to cause thermal diffusion in such an operating environment. Effectively prevents heat diffusion to
Of the metals described above, Ni, Co, and Fe are preferred because of their cost and ease of plating. And as an alloy which has them as a main component, Ni-P, Ni-Sn, Co-P, Ni-Co, Ni-Co-P, Ni-Cu, Ni-Cr, Ni-Zn, Ni- Fe etc. can be mentioned.
[0024]
In addition, although the above-described underplating layer can be formed by a plating method such as a PVD method, it is preferable to apply a wet plating method.
Here, when the main purpose is to improve the heat resistance of the plating material, the thickness of the underlying plating layer 2 is preferably set in the range of 0.05 to 2 μm.
This is because if the thickness of the base plating layer 2 is too thin, the above-described effects are not sufficiently exhibited, and if it is too thick, plating distortion increases and the base 1 is easily peeled off.
[0025]
Moreover, when the improvement of the heat resistance of a plating material and the improvement of insertion / extraction are intended, the thickness of the base plating layer 2 is not particularly limited, but the above-described diffusion prevention effect on the surface layer side of the base material component is not limited. In order to exhibit it, what is necessary is just 0.25 micrometer or more. However, not only is it meaningless to make it too thick, but there is also a case where processing cracks occur during processing to the terminal, so the upper limit of the thickness is generally in the range of 0.5 to 2 μm in consideration of workability. Should be set.
[0026]
Next, the intermediate plating layer 3 formed on the base plating layer 2 is made of Cu or a Cu alloy. And this intermediate plating layer 3 functions as a layer which prevents the component of the foundation | substrate plating layer 2 and the Sn component of the surface plating layer 4 from mutually diffusing by the aspect mentioned later.
The reaction rate between the Cu component and the Sn component of the surface plating layer 4 is higher than the reaction rate between the Cu component of the intermediate plating layer 3 and the component of the base plating layer 2 (the above-described metal or alloy thereof). Therefore, when this plating material is exposed to a high temperature environment, the thermal diffusion of the Sn component of the surface plating layer 4 to the intermediate plating layer 3 proceeds, and as a result, the intermediate plating layer 3 is as shown in FIG. Then, it is converted into a layer 3 ′ made of an Sn—Cu intermetallic compound. At the same time, the Sn component of the surface plating layer 4 of the plating material diffuses and moves toward the intermediate plating layer 3 from the interface with the intermediate plating layer 3 and is converted into the intermetallic compound. As a result, the thickness of the plating layer 4 ′, which is a layer in which Sn (or Sn alloy) remains, is reduced. When the Cu component of the intermediate plating layer 3 has received Sn or Sn alloy diffusing from the upper layer side, interdiffusion between Sn or Sn alloy and Cu or Cu alloy stops.
[0027]
As a result, as shown in FIG. 2, part of the intermediate plating layer 3 and the surface plating layer 4 in FIG. 1 becomes a layer 3 ′ made of an intermetallic compound. Further, the surface plating layer 4 of FIG. 1 is thin, but remains as a layer 4 ′ made of Sn or Sn alloy.
As described above, the intermetallic compound layer 3 ′ is interposed between the base plating layer 2 and the layer 4 ′ made of Sn or Sn alloy, thereby suppressing the reaction between the layer 4 ′ and the base plating layer 2. Will be.
[0028]
Therefore, in the case of this plating material, the layer structure shown in FIG. 2 is used in a high-temperature environment, that is, the mutual diffusion of Sn or Sn alloy and Cu or Cu alloy is suppressed. Become. Therefore, the surface plating layer made of Sn or Sn alloy is not lost during the use process. Cu 6 Sn 5 and Cu 3 Sn are well known as Sn—Cu intermetallic compounds. In the case of Cu 6 Sn 5 , 1.9 volume of Sn reacts with 1 volume of Cu. Cu 3 Sn is a compound formed by reacting 0.8 volume of Sn with 1 volume of Cu.
[0029]
Therefore, if the thickness of the surface plating layer 4 is 1.9 times or more of the thickness of the intermediate plating layer 3, all of the Cu components of the intermediate plating layer 3 are formed by the above-described mutual diffusion. Even if it is converted to, the surface plating layer 4 ′ made of Sn or Sn alloy still remains. And the Cu component of the intermediate plating layer 3 is fixed as an Sn—Cu intermetallic compound, and its thermal diffusion is suppressed.
[0030]
For this reason, in the plating material of the present invention, it is preferable to design the thickness of the surface plating layer 4 to a value of 1.9 times or more the thickness of the intermediate plating layer 3.
By doing in this way, even if the plating material is in a high temperature environment, the surface plating layer 4 ′ is always Sn or Sn alloy, so that the contact reliability is ensured.
[0031]
In that case, if the thickness of the intermediate plating layer 3 is made too thin, for example, when the intermediate plating layer 3 is made of Cu, a large number of fine holes exist in the layer. Therefore, the Ni component, Cu component, etc. of the base plating layer 2 diffuse into the intermediate plating layer through the fine holes.
Further, if the thickness of the intermediate plating layer 3 is excessively increased, the Sn and Sn alloy are all consumed by the above-described mutual diffusion unless the thickness of the surface plating layer 4 is significantly increased. Or Sn alloy will not remain. In order to avoid this, if the surface plating layer 4 is made thick, it will increase its insertion resistance when the material is used with a mating connector.
[0032]
For this reason, the thickness of the intermediate plating layer 3 is preferably set in the range of 0.01 to 1.0 μm. The Cu alloy used for forming the intermediate plated layer 3, for example, Cu-Zn, Cu-Sn , Cu-Ni, and the like Cu- Ni-Sn. In that case, the amount of the Cu component needs to be an amount that does not inhibit the formation of the above-described Cu—Sn-based intermetallic compound, and may be a value of, for example, 50% by mass or more.
[0033]
In the case of the plating material of the present invention, the above-described relationship with respect to the thickness of the intermediate plating layer 3 and the surface plating layer 4, that is, the relationship in which the latter thickness is set to 1.9 times or more of the former thickness is maintained. In the state, the thickness of the surface plating layer 4 can be reduced. As a result, the insertability can be improved.
For example, if the thickness of the intermediate plating layer 3 is 0.49 [mu] m or less, even if the thickness of the surface plating layer in the plating material is 1 [mu] m or less, good insertability can be exhibited with sufficient heat resistance. it can. Further, if the thickness of the intermediate plating layer 3 is 0.3 μm or less, it is preferable that the thickness of the surface plating layer 4 can be set to about 0.6 μm.
[0034]
As already described, the surface plating layer 4 is formed of Sn or an Sn alloy, and is provided to ensure electrical contact characteristics, corrosion resistance, and solderability as a plating material. In particular, the Sn alloy is preferable because it can further improve the insertability.
As a Sn alloy in that case, for example, an alloy containing one or more of Ag, Bi, Cu, In, Pb, and Sb in Sn is a preferable example. This is because these Sn alloys all have good solderability and do not generate whiskers when the surface plating layer is formed.
[0035]
In addition, since the outflow to the environment becomes a problem, it is better to avoid the use of Sn alloy containing Pb as much as possible .
[0037]
In the plating material of the present invention, the thickness of each plating layer is smaller than the thickness of each plating layer, between the substrate and the base plating layer, between the base plating layer and the intermediate plating layer, or between the intermediate plating layer and the surface plating layer. A plating layer of material may be interposed. Moreover, as a raw material shape, any of shapes, such as a strip, a round wire, and a square wire, may be sufficient.
[0038]
【Example】
Examples 1 17 and Comparative Examples 1 to 9
After electrolytic degreasing and pickling were sequentially performed on the brass strip, a base plating layer, an intermediate plating layer, and a surface plating layer were sequentially formed, and various plating materials shown in Tables 2 and 3 were manufactured. The plating conditions at the time of forming each layer are as shown in Table 1.
[0039]
[Table 1]
[0040]
Each manufactured plating material was heated to the temperature shown in Table 2 and Table 3, and the remaining thickness of the surface plating layer at that time was measured with the following specifications. The initial dynamic friction coefficient was measured according to the following specifications.
Residual thickness: measured by the constant current dissolution method after leaving the plating material in an air bath at a temperature of 100 to 160 ° C. for 120 hours.
Coefficient of dynamic friction: Measured using a Bowden type friction tester under the conditions of a load of 2.94 N , a sliding distance of 10 mm, a sliding speed of 100 mm / min , and a sliding frequency of once. As the mating material, a brass strip having a thickness of 0.25 mm was subjected to reflow Sn plating of 1 μm and then subjected to an extension process to 0.5 mmR.
The following results are collectively shown in Tables 2 and 3.
[0041]
[Table 2]
[0042]
[Table 3]
[0043]
From Table 2 and Table 3, it is clear from the following.
(1) Comparing the example and the comparative example, the surface plating layer (Sn) remains in the example as a whole even when the environmental temperature becomes high, and the dynamic friction coefficient is small. Further, in the example in which the thickness of the formed surface plating layer is thicker, the remaining thickness of the surface plating layer (Sn) after heating is thicker and heat resistance is maintained. However, on the other hand, the dynamic friction coefficient is smaller in the embodiment where the thickness of the surface plating layer is thin. For this reason, the thinner surface plating layer is more advantageous in terms of insertability.
[0044]
(2) As in Examples 7 to 10, even if the base plating layer is other than the Ni layer, it can prevent diffusion of the base material component (alloy component such as Cu or Zn) on the surface layer side. Similar effects are obtained. Moreover, the same effect is acquired even if it is a case where the reaction rate with respect to a surface plating layer is larger than the reaction rate with respect to a base plating layer of Examples 6-11.
[0045]
As in Reference Example 2 , when the thickness of the intermediate plating layer is thin, the effect of suppressing diffusion of the base plating layer and the surface plating layer is small. As apparent from the comparison between Example 12 and Example 13 , when the surface plating layer is thick, the heat resistance is improved, and when it is thin, the dynamic friction coefficient is reduced and the insertion / extraction is improved.
[0046]
Examples 18-21 , Comparative Examples 10-25
A male terminal and a female terminal having a tab width of 2.3 mm were manufactured from the samples of Example 3, Example 5, Reference Example 1, Comparative Example 5, and Comparative Example 6. These male terminals and female terminals are combined and fitted as shown in Table 4, and then subjected to heat treatment at a temperature of 160 ° C. for 120 hours, the contact resistance between the terminals in each member is determined. It was measured. The insertion at the time of fitting was performed at an insertion force speed of 2 mm / sec, and the peak strength at the time of insertion was measured as the insertion force. The average value of n = 5 was determined, and the results are shown in Table 4.
[0047]
The contact resistance was measured by soldering a lead to a terminal and passing a current of 10 mA. The average value of n = 10 was determined, and the results are shown in Table 4.
[0048]
[Table 4]
[0049]
From Table 4, the following is clear.
(1) Comparing the example and the comparative example, in the case of the example, the insertion force during fitting is low as a whole, and the contact resistance after heat treatment is low.
Moreover, the insertion force at the time of fitting in each Example and each Comparative Example is a low value of about 5.3 to 6.5 N. And the direction which uses the thing of an Example for a male terminal has a low insertion force compared with the case where it uses for a female terminal. This is because at the time of fitting, the female terminal side is in a point contact state and the point that can be cut becomes one point, but the male terminal side contacts in a linear manner, so the portion to be cut becomes linear. it is conceivable that.
[0050]
Therefore, when aiming at a low insertion force, it is considered effective to reduce the thickness of the surface plating layer (Sn) on the male terminal side.
Further, in the examples, the reason why the contact resistance after heat treatment is low is that the contact reliability of the example terminal of the present invention is improved due to the remaining surface plating layer (Sn) even after the heat treatment. It is thought that. On the other hand, when the comparative terminal is used, the surface plating layer (Sn) disappears due to the heat treatment and the contact resistance becomes high.
[0051]
【The invention's effect】
As apparent from the above description, the plating material of the present invention has an intermediate plating layer made of Cu or a Cu alloy interposed between the base plating layer and the surface plating layer, and the surface plating layer and the intermediate plating layer. Even if the thickness is in a high temperature environment, the surface plating layer Sn or Sn alloy is designed to remain.
[0052]
Therefore, this plating material has good heat resistance, and has both good heat resistance and insertion / extraction properties. For example, a connector disposed in a high temperature environment such as in an automobile engine room, a mating connector, It is useful as a material for various electric and electronic parts such as contacts.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing an example of a plating material of the present invention.
2 is a cross-sectional view showing a layer structure when the plating material of FIG. 1 is exposed to a high temperature environment.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Conductive base material 2 Underlying plating layer 3 Intermediate plating layer 3 ′ Interdiffusion layer of Sn and Cu 4 Surface plating layer 4 ′ Sn remaining plating layer
Claims (10)
前記Sn合金が、Bi、Cu、およびPbの群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするめっき材料。A base plating layer made of any one metal included in Group 4, Group 5, Group 6, Group 7, Group 8, Group 8, Group 10 of the periodic table, or an alloy thereof on the surface of the conductive substrate And an intermediate plating layer made of Cu or Cu alloy having a thickness of 0.05 to 0.49 μm and a surface plating layer made of Sn alloy are formed in this order, and the surface plating layer is a bright plating layer,
The said Sn alloy contains at least 1 sort (s) chosen from the group of Bi, Cu, and Pb, The plating material characterized by the above-mentioned.
前記表面めっき層は、光沢Sn−Bi合金めっき層、光沢Sn−Cu合金めっき層、および光沢Sn−Pb合金めっき層のいずれかであることを特徴とするめっき材料の製造方法。A base plating layer made of any one metal included in Group 4, Group 5, Group 6, Group 7, Group 8, Group 8, Group 10 of the periodic table, or an alloy thereof on the surface of the conductive substrate An intermediate plating layer made of Cu or Cu alloy having a thickness of 0.05 to 0.49 μm and a surface plating layer made of Sn alloy are formed in this order, and the surface plating layer is formed as a bright plating layer,
The method for producing a plating material, wherein the surface plating layer is any one of a bright Sn-Bi alloy plating layer, a bright Sn-Cu alloy plating layer, and a bright Sn-Pb alloy plating layer.
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