JP4503993B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
印刷ドラムは、多孔性の支持円筒体に、樹脂あるいは金属網体のメッシュスクリーンを複層巻装した構成を有している。マスタは、熱可塑性樹脂フィルムに、多孔質支持体としての和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙と合成繊維を混抄したものを貼り合わせたラミネート構造を有している。熱可塑性樹脂フィルムとしては厚みが大体1〜3μm程度のものが一般的に用いられる。
マスタのフィルム面をサーマルヘッドの発熱素子に接触させた状態で、サーマルヘッドを主走査方向に作動させ、搬送手段としてのプラテンローラ等でマスタを副走査方向に移動させながら穿孔製版するようになっている。
逆に印刷ドラムの剛性が低いと、印圧時の衝撃の吸収がよくなり、印刷ドラム上でのインキの溜まりが少なくなってインキ漏れは発生しない。
印刷ドラムの剛性は、孔の開いている割合(開口率)で異なる。開口率が大きいと剛性は低く、開口率が小さいと剛性は高くなる。
一般に、画像を優先して開口率が決められる。通常、画質(ベタ部の埋まり)をよくするために、印刷ドラム上におけるインキ溜まりを多くするようになっており、開口率は小さくなる傾向にある。
この種のインキ漏れを防止する対策として、例えば特開平11−20290号公報に記載されているように、印刷ドラムの内部に堰要素を設けてインキの過剰な押し出しを抑制する方法があるが、構造が複雑でコストアップを避けられなかった。
まず、図1に基づいて、本実施形態における孔版印刷装置の構成及び印刷動作の概要を説明する。図示しない装置本体の略中央部には、印刷ドラム1が回転自在に設けられており、印刷ドラム1の右上方部には製版装置20が配置されている。製版装置20の下方には記録媒体供給手段としての給紙装置30が配置されており、その給紙方向下流側にはレジストローラ対36が設けられている。印刷ドラム1の下方には印刷ドラム1との間で印圧部を形成する押圧手段40が設けられている。
印刷ドラム1の左側には、印刷ドラム1上の使用済みのマスタを剥離して収容する排版装置50が配置されている。
プラテンローラ10が回転することにより、マスタ8はロール状態から繰り出される。プラテンローラ10のマスタ搬送方向下流側には、図示しない製版部側板に互いに圧接した状態で回転自在に支持された搬送ローラ対12が設けられている。搬送ローラ対12はプラテンローラ10の搬送速度より僅かに速い速度に設定され、マスタ8との間で僅かに滑りながらマスタ8に所定の張力を付与するようになっている。
カッタ13の下流側には、図示しない製版部側板に互いに圧接した状態で回転自在に支持された給版ローラ対14が設けられている。給版ローラ対14は、搬送ローラ対12と同様に、マスタ8との間で滑りながらマスタ8に適度な張力を付与するようになっている。
給版ローラ対14の下流側には、製版されたマスタ8の先端を後述する印刷ドラム1のクランパへ案内する湾曲したガイド板15が設けられている。
一方のフランジ37の外面には大径ギヤ60が固定されており、駆動モータ61の回転軸に固定された小径ギヤ62と噛み合っている。印刷ドラム1は駆動モータ6により時計回り方向に回転駆動される。
印刷ドラム1には、インキを通過させる多孔性の印刷領域1a−1とインキを通過させない非印刷領域1a−2が形成されており、非印刷領域1a−2の表面には、印刷ドラム1の一つの母線に沿って、磁性体で形成されたステージ6が設けられている。ステージ6と平行にクランパ軸7aが回転可能に支持されており、クランパ軸7aにはマグネット等が貼着されたクランパ7が一体に設けられている。クランパ7はステージ6に磁力で密着し、図示しない開閉装置により所定位置で開閉されるようになっている。
インキローラ2とドクターローラ3の間の楔状空間に形成されるインキ溜まり4のインキがドクターローラ3によりインキローラ2の外表面に薄膜状に供給される。インキ溜まり4のインキは、図示しないインキ供給装置により印刷ドラム1の外部に設けられた図示しないインキパック等より吸引され、回転軸5の供給穴5aよりインキ溜まり4に滴下供給される。
印刷ドラム1は、図示しない装置本体に対してその軸線方向に上記インキパック等と一体で、すなわち1つのユニットで着脱可能となっている。
給紙装置30により給紙された用紙32は、上ガイド34と下ガイド35により案内され、レジストローラ対36へ向けて搬送される。レジストローラ対36は、反時計回り方向に回転駆動されて印刷ドラム1の周速に合った速度で用紙32を挟持・搬送するようになっている。
印刷ドラム1の左側には印刷ドラム1に近接して用紙32を印刷ドラム1の表面より剥離する図示しない剥離爪が回動自在に支持されている。該剥離爪の下方には、剥離された用紙32を空気による負圧で吸着搬送する図示しない用紙搬送手段が設けられており、該用紙搬送手段により搬送された用紙32は図示しない排紙トレイに排出・積載されるようになっている。
排版装置50は、印刷ドラム1の外周面に巻装されている使用済みのマスタを剥離する剥離ローラ対51等を有している。
図示しない原稿読み取り部に原稿が載置された後に、図示しない操作パネル上に設けられたスタートボタン等が押されると、印刷ドラム1は図示しない駆動装置により回転し、印刷ドラム1の表面(外周面)に巻装された使用済みマスタが排版装置50により印刷ドラム1の表面より剥離されて廃棄される。
排版が完了すると、印刷ドラム1はクランパ7が略右真横位置になるまで回転して停止する。印刷ドラム1が停止すると、図示しない開閉装置によりクランパ7が開かれて給版待機状態となる。クランパ7が開かれると、上記原稿読み取り部により読み込まれた画像情報に応じてサーマルヘッド11の発熟素子にパルス状に通電がなされ、マスタ8の加熱穿孔製版が行われる。
プラテンローラ10を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数に基づいて、マスタ8の先端がガイド板15に案内されてステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、図示しない開閉装置によりクランパ7が閉じられてマスタ8の先端部を吸着挟持するとともに、印刷ドラム1が製版速度とほぼ同じ速度で回転を再開して、製版されたマスタ8の巻装が行われる。
印刷ドラム1への巻装が完了すると、給紙装置30により、給紙台31上に積載されている用紙32が一枚分離給紙され、圧接状態で停止しているレジストローラ対36のニップ部に当接して停止し、過剰送りにより斜めずれを修正される。その後、印刷ドラム1の位置を検出する図示しないセンサ等の情報を基にレジストローラ対36が回転駆動され、印刷ドラム1上の画像の先端と用紙32の搬送方向における所定位置とが一致するタイミングで印刷ドラム1とプレスローラ41との間の印圧部に向けて搬送される。
所定位置でレジストローラ対36が離間するとともに、用紙32は印刷ドラム1とプレスローラ41により挟持・搬送される。用紙32は印刷ドラム1に接近離間する図示しない剥離爪により印刷ドラム1より剥離され、図示しない用紙搬送手段により搬送された後図示しない排紙トレイに排出されて積載される。
プレスローラ41等は初期位置に復帰して印刷待機状態となる。この後に設定された枚数の用紙32が連続的に給紙されて印刷が行われ、図示しない排紙トレイに順次排出積載される。
図5は、従来の印刷ドラムにおける多孔性支持円筒体1aをドラム回転方向に展開した図である。プレスローラ41による印圧は、印刷領域1a−1全体にかけられる訳ではなく、印圧開始点と印圧解除点は余裕をもって設定されている。
具体的には、図3(b)に示すように、印圧開始付近1a−4と印圧解除付近1a−5における孔h2の径を他の部分1a−3の孔h1の径よりも大きくしている。すなわち、印圧開始付近1a−4と印圧解除付近1a−5における開口率を他の部分1a−3よりも大きくしている。
印圧開始付近1a−4と印圧解除付近1a−5における開口率は、実験の結果20〜25%以上が望ましいことが確認された。
これにより、印圧の開始部分や解除部分で剛性が低くなって印圧の衝撃が吸収されやすくなり、印刷ドラム1上のインキ溜まりが局部的(限定的)に抑制される。開口率を基準とする場合、孔の形状は円形に限定されない。例えば楕円形や矩形でもかまわない。要するに良好なインキ押し出し機能が得られればよい。
本実施形態では円形孔の径を大きくすることによって剛性を低くするようにしたが、孔径を一定にして孔密度を大きく(孔間ピッチを小さく)しても同様のインキ漏れ抑制機能を得ることができる(第2の実施形態)。
なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
本実施形態では、図4(b)に示すように、印刷領域1a−1全体に亘って同一径の孔hを形成しているが、図4(a)に示すように、印圧開始付近1a−4と印圧解除付近1a−5におけるドラム径方向の厚みを他の部分1a−3よりも薄くしている。具体的には約1/2(ハーフエッジ)としている。
これにより、印圧の開始部分や解除部分で剛性が低くなって印圧の衝撃が吸収されやすくなり、印刷ドラム1上のインキ溜まりが局部的(限定的)に抑制される。
1a−1 印刷領域
1a−2 非印刷領域
1a−3 他の部分
1a−4 印圧開始付近
1a−5 印圧解除付近
2 インキ供給部材としてのインキローラ
8 マスタ
41 押圧部材としてのプレスローラ
32 記録媒体としての用紙
h 孔
Claims (6)
- インキを通過させる多孔性の印刷領域とインキを通過させない非印刷領域を有する円筒状の印刷ドラムの外周面に製版済みのマスタを巻装し、上記印刷ドラムの内周面にインキ供給部材によりインキを供給するとともに、上記インキ供給部材に対向する上記印刷ドラムの外部から押圧部材により上記印刷ドラムに記録媒体を押圧して印圧をかけて印刷を行う孔版印刷装置において、
上記印刷ドラムの上記印刷領域における印圧開始付近の剛性を、上記印刷領域内の他の部分より低くしたことを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記印圧開始付近の剛性を低くすることが、該印圧開始付近の開口率を他の部分より大きくすることによってなされることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項2記載の孔版印刷装置において、
上記印圧開始付近の開口率が20〜25%以上であることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記印圧開始付近の剛性を低くすることが、該印圧開始付近の孔径を他の部分より大きくすることによってなされることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記印圧開始付近の剛性を低くすることが、該印圧開始付近の孔密度を他の部分より大きくすることによってなされることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
上記印圧開始付近の剛性を低くすることが、該印圧開始付近の厚みを他の部分より薄くすることによってなされることを特徴とする孔版印刷装置。
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