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JP4502722B2 - 加飾成形品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のドア−トリムや内装部品、家具の外装部品、建物の内装品、携帯電話の外装部品、モバイル機器の外装部品などに使用される加飾成形品及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、射出成形される製品の表面に織布や不織布のような布状加飾シート材を積層接着してなる加飾成形品及びその製造方法に関するものである。
表面部材の表面を加飾体により被覆してなる加飾成形品の成形に関しては、表面部材の成形をした後に所定形状に裁断された加飾体に接着剤や粘着テープなどで貼着する方法、加飾体と合成樹脂との一体成形により張り合わせる方法などがとられている。加飾体と合成樹脂とを一体成形により張り合わせる方法としては、例えば、加飾体を可動型のキャビティ側分割面に押し当て、この可動型分割面を固定型の分割面に押し当てて型締めし、この状態で射出ユニットから固定型のゲートを通してキャビティに熱可塑性の溶融樹脂を充填することにより、成形品をモールド成形するとともに加飾体材を成形品の表面に一体的に接着する、いわゆるインモールド成形法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、こうした加飾体と合成樹脂との一体成形により張り合わせる方法において、加飾体に通気性を有する基材を用いる場合には加飾体表面に溶融樹脂がしみ出して、加飾成形品表面を覆って加飾成形品の外観を損ねるとか、表皮材が硬化して風合いを損ねるなどして商品価値をなくしてしまう問題がある。
加飾体への樹脂の含浸、浸透を防ぐ方法として、加飾体の裏面であり、射出された溶融樹脂と接着する側の面に中間層を積層する方法が種々開発されている。例えば、特開昭60−212343号公報では表皮材の裏面にポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチックフォームを積層し、成形時に溶融樹脂から表皮材への熱伝達を有効に遮断し、かつ溶融樹脂が表皮材中への含浸、浸透を防止することを目的とした積層成型品(特許文献2)、特開2003−25369号公報では、表皮層の裏面に合成樹脂フィルムからなる層を積層し、さらにフィルム層側に溶融樹脂は浸透するが合成樹脂フィルム層への浸透は制御する繊維質素材からなるバッキング層を有する一体発泡射出成形用表皮材が提案されている(特許文献3)。
しかし、上記の提案においては、加飾体に多数の貫通孔を有する基材を用いてデザイン及び意匠的効果を向上させるといった目的の記載はなく、これら従来技術から本発明に想到することは極めて困難である。
特開昭59−142937号公報 特開昭60−212343号公報 特開2003−25369号公報
加飾体に多数の貫通孔を有する基材を用い、合成樹脂との一体成形により張り合わせる際に、加飾体の貫通孔から溶融した樹脂がしみ出して加飾成形品の外観を損ねるとか、表皮材が硬化して風合いを損ねるなどしまう問題、あるいは基材の孔に充填された溶融樹脂が孔を拡大方向に変形させ、または孔の形状を歪ませてしまうなどの問題を解決し、装飾性とデザイン性に優れた加飾成形品を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、請求項1の発明は加飾成形品であって、製品の表面を形作る合成樹脂製の表面部材と、前記表面部材の外表面を覆うことにより加飾するとともに模様パターンを構成する多数の貫通孔を有する加飾シートであり、織布、不織布、合成皮革、人工皮革、天然皮革のいずれかである加飾シートと、前記加飾シートの裏面に前記貫通孔が加飾シートの裏面側から閉塞されるように積層状態に設けられ、かつ前記表面部材との接着が可能なフィルムを備え、そして、前記表面部材の裏側には、端面から入射される光を反射により前記表面部材側へ導くとともに、該表面部材を透過した光の一部が前記貫通孔を通して前記加飾シートの表面側に出射されるようにした導光部材を設けたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の加飾成形品において、前記表面部材及び前記フィルムは透明もしくは半透明な材質の樹脂材から構成されていることを特徴とする。
請求項の発明は、固定型と可動型との合わせ面に形成された製品形状に対応するキャビティ内に溶融樹脂を加圧注入して固化することにより製品を成形するとともに該製品の表面に加飾シートを接着する加飾成形品の製造方法であって、前記加飾シートは模様パターンを構成する多数の貫通孔を有し、かつ織布、不織布、合成皮革、人工皮革、天然皮革のいずれかであるとともに該加飾シートの裏面に前記貫通孔が加飾シートの裏面側から閉塞するように一体に形成されたフィルムを有し、型開き状態にある前記固定型及び可動型の何れか一方の合わせ面に前記加飾シートを前記キャビティが覆われるように張設する第1の工程と、前記固定型と可動型をその合わせ面間に前記加飾シートが挟まれた状態にて型締めした後、前記製品表面を形作る前記キャビティの製品表面形成面に前記加飾シートが押圧されるように前記キャビティ内に溶融樹脂材を加圧注入し、該加圧注入時の溶融樹脂材の圧力で前記加飾シートを前記製品表面形成面に押圧するとともに前記注入された溶融樹脂材を前記フィルムに融着する第2の工程と、前記溶融樹脂材の加圧注入後の冷却固化に伴う保圧状態を経過させた後、型開きして加飾成形品の取り出しを行う第3の工程とを備え、さらに前記固化された樹脂製品はその裏面に、端面から入射される光を反射により前記表面部材側へ導くとともに、該表面部材を透過した光の一部が前記貫通孔を通して前記加飾シートの表面側に出射されるようにした導光部材を設けたことを特徴とする。
請求項の発明は請求項に記載の加飾成形品の製造方法において、前記キャビティの製品表面形成面には前記加飾シートの表面に記号、文字、模様、シボ、その他の凹凸模様を形成するための凹凸パターンが形成されていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項に記載の加飾成形品の製造方法において、前記固化された樹脂製品及び前記フィルムは透明もしくは半透明な材質の樹脂材から構成されていることを特徴とする。
本発明品の加飾成形品によれば、表面部材を加飾する加飾シートの裏面に貫通孔を加飾シートの裏面側から閉塞し、かつ表面部材との接着が可能なフィルムが積層状態に設けられているため、金型を用いて加飾成形品をモールド成形するときに、加飾シートに模様パターンを構成する多数の貫通孔が形成されても、金型のキャビティに充填される溶融樹脂が加飾シートの貫通孔から加飾シートの表面側へ流出するのを未然に防止できる。これにより、加飾成形品の外観が損ねられるのを防止できるとともに、製品の不良発生率を低減でき、かつ加飾成形品のデザイン及び意匠的効果を向上できる。
また、本発明の加飾成形品によれば、表面部材の裏面に導光部材を設け、この導光部材により、端面から入射される光を反射により前記表面部材側へ導くとともに、該表面部材を透過した光の一部が前記貫通孔を通して前記加飾シートの表面側に出射されるようにしたもので、加飾成形品による製品の装飾性及びデザイン性をさらに変更できるとともに、加飾成形品の貫通孔を通して出射される光を利用して周囲の照明及び加飾成形品部位の存在を強調できる。
本発明にかかる加飾成形品の製造方法によれば、加飾シートが固定型と可動型との合わせ面間で挟持された状態にて型締めした後、キャビティ内に溶融樹脂材を加圧注入し、この加圧注入時の溶融樹脂材の圧力で前記加飾シートを前記製品表面形成面に押圧するとともに溶融樹脂材を前記フィルムに融着するようにしたので、接着剤を用いることなく、加飾シートを射出成形時に同時に表面部材に積層接着することができる。これにより、加飾成形品の製作が容易になり、低コスト化できる。
また、本発明にかかる加飾成形品の製造方法によれば、加飾シートの裏面はフィルムで覆われているため、金型を用いて加飾成形品をモールド成形する場合、加飾シートに模様パターンを構成する多数の貫通孔が形成されても、金型のキャビティに充填される溶融樹脂が加飾シートの貫通孔から加飾シートの表面側へ流出するのを未然に防止でき、これにより、加飾成形品の外観が損ねられるのを防止できるとともに、製品の不良発生率を低減でき、かつ加飾成形品のデザイン及び意匠的効果を向上できる。
また、本発明にかかる加飾成形品の製造方法によれば、成形された加飾品の裏面に導光部材を設け、この導光部材により、端面から入射される光を反射により前記表面部材側へ導くとともに、該表面部材を透過した光の一部が前記貫通孔を通して前記加飾シートの表面側に出射されるようにしたもので、加飾成形品による製品の装飾性及びデザイン性をさらに変更できるとともに、加飾成形品の貫通孔を通して出射される光を利用して周囲の照明及び加飾成形品部位の存在を強調できる。
本発明における最良の実施の形態では、合成樹脂製の表面部材を加飾する加飾シートに模様パターンを構成する多数の貫通孔を形成し、この加飾シートの裏面には貫通孔を加飾シートの裏面から閉塞する前記表面部材の接着が可能なフィルムを積層状態に設ける。したがって、この加飾シートを用いて金型により加飾成形品をモールド成形するときに、加飾シートに多数の貫通孔が形成されていても、金型のキャビティに充填される溶融樹脂が加飾シートの貫通孔から加飾シートの表面側に流出するのを未然に防止できる。
以下、具体的に本発明について説明する。本発明において、加飾シートに用いられる表皮材は、模様を織り込んだあるいは無地の織布ビロードのような植毛を施した織布または不織布、織布あるいは不織布に高分子弾性体が含浸され、表面が銀面調あるいはスエード調に処理された人工皮革などを用いることができ、これらを構成する織布や不織布には綿、麻、毛、絹等の天然繊維はもちろんのこと、ポリアミド、ポリエステル等の合成繊維を用いることができ、これらの繊維は単独であるいは混合して使用してもよく、その製造方法も限定されることはない。また、本発明において、加飾シートに用いられる表皮材には、合成皮革や天然皮革も含まれる。合成皮革を構成する合成樹脂やその製造方法は限定されることはない。こうした加飾シートに用いられる表皮材は貫通孔を有していることが必要である。
本発明において、表面部材を構成する樹脂基材として使用される溶融樹脂は、圧縮成形、射出成形、発泡成形あるいは押出成形などにおいて通常使用されている熱可塑性樹脂のいずれも用いることができる。かかる熱可塑性樹脂として、例えばHIPS、ABSなどのスチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、各種ポリオレフィン系ポリマーアロイまたはこれらの混合物などのポリオレフィン系樹脂、高密度ポリエチレン等、各種ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンを主成分とする各種共重合体等が挙げられる。このような熱可塑性樹脂には必要に応じて、無機充填剤、ガラス繊維などの各種充填剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、安定剤、発泡剤などの各種添加剤を配合してもよい。
本発明において、加飾シートの裏面に積層状態に設けられ、表面部材を構成する樹脂との接着が可能なフィルムは、前記表面部材を構成する溶融樹脂よりも融点の高い樹脂素材から構成されていることが好ましい。こうすることにより、射出成形時に前記表面部材を構成する溶融樹脂が加飾シート側へ浸透することを確実に防止することができる。
本発明において、表面部材を構成する樹脂基材として使用される溶融樹脂は、固化したときに透明あるいは半透明であることが好ましく、加飾シートの裏面に積層状態に設けられ、表面部材を構成する樹脂との接着が可能なフィルムもまた透明あるいは半透明であることが好ましい。これらはもちろん不透明であっても構わないが、このように透明あるいは半透明である樹脂で表面部材及びフィルムを構成することにより、加飾成形品の裏面に導光部材を設けたときに、この導光部材から入射される光が、該表面部材及び加飾シートの貫通孔を透過して加飾シートの表面側に出射されるようにでき、加飾成形品による製品の装飾性及びデザイン性を向上することができる。これらは着色されていてもよく、着色されている場合は加飾シートと同系色であっても互いに異なる色であってもよい。
本発明において、貫通孔を有する加飾シートとこの加飾シートの貫通孔を加飾シートの裏面から閉塞するフィルムを積層状態に設ける方法としては、接着剤により接着させる方法が好ましく用いられる。特に表皮材の裏面に熱溶融性接着剤を塗布した後に、フィルムとラミネート加工により積層一体化する方法が好適に用いられる。このとき、熱溶融性接着剤はフィルムに用いられる樹脂材料よりも融点の低い材料を用いることが好ましい。表皮材の裏面に熱溶融性接着剤を塗布する方法としては、表皮材の裏面全面にコーティングする方法のほか、スポット状に塗布する方法をとることができるが、貫通孔内壁部への接着剤のしみ出し防止や、剥離強力の観点からスポット状に塗布する方法が好ましく用いられる。表皮材の裏面全面にコーティングする方法を用いる場合には、接着剤を塗布した後に貫通孔を加工すれば貫通孔内壁部への接着剤のしみ出しを防ぐことができる。
本発明において、加飾シートに設けられる貫通孔の形状、大きさ、数は、表皮材とフィルムとの積層一体化工程、さらに加飾シートと表面部材を構成する溶融樹脂との一体成形工程において、貫通孔の形状が望まない形状に歪められたりしない範囲で適宜設定することができる。
本発明における加飾成形品の製造方法としては、表皮を金型内に配置する工程及び該金型内に溶融樹脂を充填する工程を含む表皮一体成形品の製造方法であれば公知の方法を採用しうる。具体的には、(1)表皮を金型内に配置した後、金型を閉じ該金型内に溶融樹脂を射出し、冷却固化させて表皮一体成形品を得る射出成形、(2)表皮を金型内に配置した後、金型を途中まで閉じ該金型内に溶融樹脂を射出し、さらに金型を閉じ賦型冷却固化させて表皮一体成形品を得る射出圧縮成形、(3)表皮を金型内に配置した後、該金型内に溶融樹脂を押出し金型を閉じ賦型冷却固化させて表皮一体成形品を得るフロースタンピング成形等が挙げられる。
以下、図面にしたがって本発明における加飾成形品及びその製造機構の実施例1を説明する。
図1は本発明の加飾成形品の実施例1を示す斜視図、図2は図1の2−2線に沿う一部の拡大断面図である。図1及び図2において、加飾成形品10は車両ドアートリムや内装部品、家具の外装部品や携帯電話の外装部品などに相当する製品の表面を形作る合成樹脂製の表面部材101と、この表面部材101の外表面を覆うことにより加飾するとともに模様パターンを構成する多数の貫通孔102aを有する加飾シート102と、この加飾シート102の裏面にその貫通孔102aが加飾シート102の裏面側から閉塞されるように積層状態に設けられた合成樹脂製のフィルム103とを備える。
次に、金型を用いて加飾成形品10をモールド成形する場合について、図3及び図4を参照して説明する。図3は本発明における加飾成形品の成形に用いられる成形機構全体の構成を示す説明用断面図である。
加飾成形品の成形に適用される加飾成形品の成形機構は、図3に示すように、加飾成形品の成形用金型を構成する固定型11と可動型12を備え、この固定型11と可動型12との合わせ面には製品形状に対応するキャビティ13が形成されている。
前記固定型11は、加飾成形品の成形機構を構成する固定盤14に取着され、この固定盤14にはスプルブッシュ15が設けられており、図示省略の溶融樹脂射出機構から供給される溶融樹脂は、上記スプルブッシュ15と、固定型11に設けたランナー11a及びゲート11bを通してキャビティ13内に注入されるように構成されている。
前記可動型12は、加飾成形品の成形機構を構成する可動盤16に取着され、この可動盤16を含む可動型12は、金型の開閉と締め付けを行う型締め機構17によって、固定型11に圧接される方向及び固定型11から離間される方向に移動されるように構成されている。また、前記可動型12の合わせ面(パーティングライン)12aに対向して加飾シートクランプ機構18が離接可能に配設され、さらに、可動型12の外側箇所には、金型の型開き時に動作して加飾シート102を可動型12の合わせ面12aと相対向する状態に供給する加飾シート供給機構20が配設されている。
次に、上記のように構成された加飾成形品の成形機構を用いて加飾成形品を成形する場合の動作について、詳細に説明する。
図4は本発明における加飾成形品の製造過程を示す説明図である。加飾成形品の成形に関しては、図4(A)に示すように、加飾シート供給機構20を動作させて、フィルム103が積層接着された加飾シート102を型開きされた可動型12の合わせ面12aと相対向する箇所に供給する。この場合、加飾シート102の表面が製品の表面を形作る可動型12側キャビティ13の製品表面形成面13aに相対向されるように配置される。
次いで、図4(B)に示すように、型開き状態にある可動型12の合わせ面12aに加飾シート102を加飾シートクランプ機構18により押し当ててクランプする。このとき、加飾シート102は可動型12のキャビティ13の全域が覆われ、かつシワ及びたるみ等が生じないように張設される(請求項5の第1の工程に相当する)。
次に、図4(C)に示すように、型締め機構17を動作させて、金型の型締めを行ったあと、図示省略の溶融樹脂射出機構を駆動して、この射出機構から射出される熱可塑性の溶融樹脂材21をスプルブッシュ15、ランナー11a及びゲート11bを通して加飾シート102の裏面側からキャビティ13内に、加飾成形品の成形に最適な射出圧力(例えば150MPa)、射出速度(例えば、10〜20cc/sec)、射出時間(例えば、15sec)で加圧注入する。この加圧注入時の溶融樹脂材の圧力で加飾シート102を可動型12側キャビティ13の製品表面形成面13aに押圧するとともに、溶融樹脂を加飾シート102のフィルム103に接着させる(請求項5の第2の工程に相当する)。
上記キャビティ13への溶融樹脂材の加圧注入後は、冷却固化に伴って生じる収縮を補うための保圧工程を経過させ、その後に、図4(D)に示すように型開きして加飾成形品10を取り出す(請求項5の第3の工程に相当する)。金型から取り出された加飾成形品10の周囲には図5に示すように、加飾シート102の余剰部分102bがあるため、この余剰部分102bを図示省略のカッターによりカットして、図1に示すような加飾成形品10とする。
このような構造の加飾成形品10においては、表面部材101を加飾する加飾シート102の裏面に貫通孔102aを加飾シート102の裏面から閉塞し、かつ表面部材101との接着が可能なフィルム103が積層接着された状態に設けられているため、加飾成形品10を金型によりモールド成形するときに、加飾シート102に模様パターンを構成する多数の貫通孔102aが形成されていても、金型のキャビティに充填される溶融樹脂が加飾シート102の貫通孔102aから加飾シートの表面側へ流出するのを未然に防止できる。これにより、加飾成形品の外観が損ねられるのを防止できるとともに、製品の不良発生率を低減でき、かつ加飾成形品のデザイン及び意匠的効果を向上できる。
また、前記表面部材101及びフィルム103を透明な合成樹脂材で形成した場合、表面部材101の裏面に設けた光源からの光で表面部材101の裏面を照射すれば、この透明な表面部材101及びフィルム103を透過して光が加飾シート102の貫通孔102aを通して加飾シート102の表面側へ出射されるため、加飾成形品の装飾性及びデザイン性をさらに向上できる。
次に、図6及び図7により本発明にかかる加飾成形品の実施例2について説明する。図6は本発明の実施例2にかかる加飾成形品の斜視図、図7は図6の7−7の線に沿う一部の拡大断面図である。この実施例2において、上記実施例1と同一の要素には同一符号を付してその構成説明を省略し、実施例異なる部分を重点に述べる。
実施例2において、実施例1と異なる部分は、図6及び図7から明らかなように、加飾成形品10を構成する表面部材101の裏面に外裏面の全域を覆う導光部材104を設け、この導光部材104の端面104aに対向して設けた光源105から導光部材104内に入射される光を反射により表面部材101側へ導くとともに表面部材101を透過した光の一部が加飾シート102の貫通孔102aを通して加飾シート102の表面側へ出射されるようにしたところにある。
この場合、表面部材101及び103は透明もしくは半透明な材質の合成樹脂材から構成される。また、導光部材104の端面104aを通して光源105から導光部材104内に入射された光を表面部材101側へ反射させるため、導光部材104の表面部材101と接する面と反対の表面には該表面から肉厚方向に窪む円錐型の多数の微小凹部からなる反射面106が形成されている。この反射面106は、導光部材104の端面104aから入射されてくる光を表面部材101側へ反射させるとともに、この表面部材101及びフィルム103を透過した光の一部を加飾シート102の貫通孔102aから加飾シート102の表面側へ出射させるようになっている。
このような実施例2に示すような加飾成形品によれば、加飾シート102の表面側へ加飾シート102の貫通孔102aを通して光を出射させることができるため、加飾成形品による製品の装飾性及びデザイン性をさらに変更できるとともに、加飾成形品の貫通孔102aを通して出射される光を利用して周囲の照明及び加飾成形品部位の存在を強調できる。
次に、図8により本発明の実施例3に示す加飾成形品の成形用金型について説明する。この図8に示す実施例3では、可動型12側キャビティ13の製品表面形成面13aに、ハート型、三角型、丸型等の模様や記号、文字、シボその他の凹凸模様10aを加飾材102の表面に形成するための凹凸パターン24を形成するようにしたものである。
このような実施例3によれば、ハート型、三角型、丸型等の模様や記号、文字その他の凹凸パターン24を加飾材102の表面に加飾成形品10の射出成形時に同時に形成することができ、かつ加飾成形品10の表面の加飾を多様に変化させ得るほか、加飾成形品10の表面への凹凸パターン24の形成コストも低減させることができ、製品の低コスト化が可能になる。
なお、上記実施例では加飾シート102を可動型12の合わせ面にクランプする場合について説明したが、本発明はこれに限らず、固定型11にクランプするようにしてもよい。また、本発明の実施例における加飾シートクランプ機構18は、図1に示す構成のものに限らず、種々に変更し変形し得ることは勿論である。
本発明の実施例1における加飾成形品の一例を示す斜視図である。 図1の2−2線に沿う一部の拡大断面図 本発明の実施例1における加飾成形品の成形に用いられる成形機構全体の構成を示す説明用断面図である。 (A)〜(D)は本発明の実施例1における加飾成形品の製造過程を示す説明図である。 金型から取り出された加飾成形品の説明用斜視図である。 本発明の実施例2にかかる加飾成形品の斜視図である。 図6の7−7線に沿う一部の拡大断面図である。 本発明の実施例3における加飾成形品を示す説明用斜視図である。
10…加飾成形品、101…表面部材、102…加飾シート、102a…貫通孔、103…フィルム、104…導光部材、105…光源、11…固定型、12…可動型、12a…合わせ面、13…キャビティ、13a…製品表面形成面、17…型締め機構、18…加飾シートクランプ機構、19…加飾シート、20…加飾シート供給機構、24…凹凸パターン。

Claims (5)

  1. 製品の表面を形作る合成樹脂製の表面部材と、前記表面部材の外表面を覆うことにより加飾するとともに模様パターンを構成する多数の貫通孔を有する加飾シートであり、織布、不織布、合成皮革、人工皮革、天然皮革のいずれかである加飾シートと、前記加飾シートの裏面に前記貫通孔が加飾シートの裏面側から閉塞されるように積層状態に設けられ、かつ前記表面部材との接着が可能なフィルムを備え、そして、前記表面部材の裏側には、端面から入射される光を反射により前記表面部材側へ導くとともに、該表面部材を透過した光の一部が前記貫通孔を通して前記加飾シートの表面側に出射されるようにした導光部材を設けたことを特徴とする加飾成形品。
  2. 前記表面部材及び前記フィルムは透明もしくは半透明な材質の樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の加飾成形品。
  3. 固定型と可動型との合わせ面に形成された製品形状に対応するキャビティ内に溶融樹脂を加圧注入して固化することにより製品を成形するとともに該製品の表面に加飾シートを接着する加飾成形品の製造方法であって、前記加飾シートは模様パターンを構成する多数の貫通孔を有し、かつ織布、不織布、合成皮革、人工皮革、天然皮革のいずれかであるとともに該加飾シートの裏面に前記貫通孔が加飾シートの裏面側から閉塞するように一体に形成されたフィルムを有し、型開き状態にある前記固定型及び可動型の何れか一方の合わせ面に前記加飾シートを前記キャビティが覆われるように張設する第1の工程と、前記固定型と可動型をその合わせ面間に前記加飾シートが挟まれた状態にて型締めした後、前記製品表面を形作る前記キャビティの製品表面形成面に前記加飾シートが押圧されるように前記キャビティ内に溶融樹脂材を加圧注入し、該加圧注入時の溶融樹脂材の圧力で前記加飾シートを前記製品表面形成面に押圧するとともに前記注入された溶融樹脂材を前記フィルムに融着する第2の工程と、前記溶融樹脂材の加圧注入後の冷却固化に伴う保圧状態を経過させた後、型開きして加飾成形品の取り出しを行う第3の工程とを備え、さらに前記固化された樹脂製品はその裏面に、端面から入射される光を反射により前記表面部材側へ導くとともに、該表面部材を透過した光の一部が前記貫通孔を通して前記加飾シートの表面側に出射されるようにした導光部材を設けたことを特徴とする加飾成形品の製造方法。
  4. 前記キャビティの製品表面形成面には前記加飾シートの表面に記号、文字、模様、シボ、その他の凹凸模様を形成するための凹凸パターンが形成されていることを特徴とする請求項に記載の加飾成形品の製造方法。
  5. 前記固化された樹脂製品及び前記フィルムは透明もしくは半透明な材質の樹脂材から構成されていることを特徴とする請求項に記載の加飾成形品の製造方法。
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