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JP4581353B2 - 巻線コイル部品 - Google Patents

巻線コイル部品 Download PDF

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JP4581353B2 JP2003297619A JP2003297619A JP4581353B2 JP 4581353 B2 JP4581353 B2 JP 4581353B2 JP 2003297619 A JP2003297619 A JP 2003297619A JP 2003297619 A JP2003297619 A JP 2003297619A JP 4581353 B2 JP4581353 B2 JP 4581353B2
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Description

本発明は、磁性体から成るコア部材のコア巻芯部に巻線を巻回して成る巻線コイル部品に関するものである。
図7には巻線コイル部品の一例(例えば特許文献1参照)が模式的な側面図により示されている。この巻線コイル部品30は、磁性体から成るコア部材31と、巻線32とを有して構成されている。コア部材31は、巻線32が巻回形成されるコア巻芯部33と、このコア巻芯部33の両端部にそれぞれ設けられるフランジ部34(34a,34b)とを有して構成されている。
フランジ部34a,34bの図7に示す底面側には、それぞれ、電極35(35a,35b)が形成されている。コア巻芯部33に巻回形成された巻線32の一端側が電極35aに接続され、巻線32の他端側が電極35bに接続されている。巻線コイル部品30は、フランジ部34a,34bの電極35a,35bが回路基板36に接続できる姿勢でもって回路基板36に実装される。
巻線コイル部品30には、そのように回路基板36に実装されたときに天面側となる部分の全面に渡ってコーティング材37が形成されている。
特開平10−321438号公報
図7に示される巻線コイル部品30においては、コア巻芯部33に巻線32が巻回されて成るコイルにより生じた磁束は、例えば図7の矢印αに示されるように、コア巻芯部33から、当該コア巻芯部33の一端側のフランジ部34aと、コーティング材37又はコア巻芯部33よりも底面側あるいはコア巻芯部33よりも横側と、コア巻芯部33の他端側のフランジ部34bとを順に通ってコア巻芯部33に戻る磁路を構成する。
ところで、コイル巻芯部33からフランジ部34aの天面側への張り出し部分を天面側に向かって通った磁束は、フランジ部34aの天面側において、その向きを、天面側から、フランジ部34bに向かう方向に変える。この磁束が向きを変える部分で、その磁束の一部は向きを変えきれずに、図7の点線βに示されるように、巻線コイル部品30から天面側に漏れ出てしまう。このような天面側への漏れ磁束は次に述べるような問題を発生させてしまう。
例えば、巻線コイル部品30が回路基板に実装されて回路に組み込まれている状態では、巻線コイル部品30の周辺には、他の部品や、高周波信号が流れる信号ラインが配置されていることが多い。巻線コイル部品30から天面側に漏れ出た磁束は、その周辺の部品の動作に悪影響を与えてしまったり、信号ラインを流れている信号にノイズを乗せてしまうという問題を発生させてしまう虞がある。
特に、巻線コイル部品30が組み込まれる装置の小型・低背化が進むと、必然的に、部品の実装密度が高くなって、巻線コイル部品30と、その周辺の部品や信号ラインとの間の間隔が狭くなってくるので、巻線コイル部品30の天面側への漏れ磁束に起因した問題は大きくなってくる。
この発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、天面側への漏れ磁束を抑制することができる巻線コイル部品を提供することにある。
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明は、磁性体により構成されたコア部材と、このコア部材の両端間に形成されたコア巻芯部に巻回形成される巻線とを有した巻線コイル部品において、コア部材のコア巻芯部は板状と成し、巻線コイル部品は、その板状のコア巻芯部の板面を回路基板に沿わせて回路基板の面上に設置される横置きタイプの巻線コイル部品と成しており、コア巻芯部の中心軸方向の両端側には、それぞれ、巻線コイル部品を回路基板に設置したときに天面側には張り出さずに底面側と前記コア巻芯部中心軸を挟んでその両横外側に張り出して、前記コア巻芯部の中心軸方向に沿う磁束をそれぞれ底面側と両横外側の張り出し方向に分流し、天面側へ分流させる張り出し部を無くしたフランジ部が設けられ、当該フランジ部の天面側は、コア巻芯部の天面側の板面と面一、あるいは、コア巻芯部の天面側の板面よりも低位置に形成されていることを特徴としている。
また、この発明は、コア巻芯部およびその両端側のフランジ部から成るコア部材の天面側は全面に渡って樹脂により覆われていることや、そのコア部材の天面側を覆う樹脂には磁性材料が含有されていることをも特徴としている。
この発明によれば、巻線コイル部品が回路基板に設置されている状態において、コア巻芯部の中心軸方向の両端側のフランジ部は天面側には張り出さずに底面側と側に張り出した形状と成し、フランジ部の天面側は、コア巻芯部の天面側の板面と面一、あるいは、コア巻芯部の天面側の板面よりも低位置に形成されている。このように、この発明では、フランジ部が特有な形状と成しているために、コア巻芯部に巻線が巻回されて成るコイルにより生じた磁束は、フランジ部の形状により規制された次に示すような磁路を構成する。
すなわち、磁束は、コア巻芯部から一方側のフランジ部に向かい、当該フランジ部に達したときに、ここにおいて、天面側にはフランジ部が張り出していないので天面側の磁気抵抗は大きいのに対して底面側と横側にはフランジ部が張り出して底面側と横側の磁気抵抗は小さいことから、磁束は、フランジ部の張り出し方向(底面側方向および両側方向)に向きを変えてフランジ部を通る。つまり、磁束は、フランジ部が張り出していない天面側には殆ど進まず、磁束のほぼ全てがフランジ部の張り出し部分を当該張り出し方向(底面側方向と側方向)に進む。そして、磁束は、そのように一方側のフランジ部を通った後に、その向きを他方側のフランジ部に向かう方向に変えて、コア巻芯部よりも底面側あるいは横側をコア巻芯部に沿うようにして他方側のフランジ部に向かい、その後、その他方側のフランジ部を通ってコア巻芯部に戻る。
上記のように、フランジ部の特有な形状に規制されて、コア巻芯部に巻線が巻回されて成るコイルにより生じた磁束の磁路は、コア巻芯部の天面側の板面位置以下の領域に偏って形成され、コア巻芯部よりも天面側の領域を通る磁路は殆ど形成されないこととなる。
このため、この発明の特有な構成を備えることにより、巻線コイル部品の天面側への漏れ磁束を防止することができる。また、コア部材の天面側を全面に渡って樹脂により覆う構成(換言すれば、巻線コイル部品の天面側部分の全面に樹脂を設ける構成)を備えることにより、天面側への漏れ磁束をより良く防止することができる。さらに好ましくは、その樹脂に磁性材料を含有させる。これにより、樹脂による天面側への漏れ磁束の防止効果を高めることができる。
このように、巻線コイル部品の天面側からの漏れ磁束を防止できることによって、巻線コイル部品を回路基板に実装した場合に、その周辺の部品や信号ラインに漏れ磁束に起因した悪影響を与えてしまうという問題発生を抑制することができる。ところで、装置の小型・低背化に合わせて、小型・低背化を促進させた巻線コイル部品がある。この巻線コイル部品にあっては、装置の小型・低背化により、巻線コイル部品と、その周辺の部品や信号ラインとの間の間隔が非常に狭くなるので、巻線コイル部品の天面側からの漏れ磁束の問題は大きくなることが懸念されるが、この発明の構成を備えることにより、巻線コイル部品の天面側からの漏れ磁束を非常に小さく抑制できるので、巻線コイル部品と、その周辺の部品や信号ラインとの間の間隔が狭くなっても、天面側への漏れ磁束に起因した問題発生を抑制できる。このように、本発明は、回路基板に実装した際に巻線コイル部品とその周辺の部品や信号ラインとの間の間隔が狭くなることが想定される場合に、特に有効である。
また、巻線コイル部品の天面側部分の全面に樹脂を設けることにより、コア部材およびそのコア巻芯部に巻回されている巻線を保護することができて、巻線コイル部品の耐久性を向上させることができる。
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
図1(a)には本発明に係る巻線コイル部品の一実施形態例が模式的な斜視図により示され、図1(b)には図1(a)の巻線コイル部品の模式的な側面図が示され、図1(c)には図1(a)の巻線コイル部品を底面側から見た模式図が示されている。この実施形態例の巻線コイル部品1は、図2の斜視図に示されるようなコア部材2を有する。このコア部材2は磁性体(例えば透磁率μが200以上の磁性体(例えばフェライト))から成り、板状のコア巻芯部3と、このコア巻芯部3の両端側に設けられたフランジ部4(4A,4B)とを有して構成されている。この実施形態例の巻線コイル部品1は、当該部品1の高さHcが1.0mm以下という薄型なものである。
このコア部材2のコア巻芯部3には図1(a)〜(c)に示されるように巻線5が巻回形成されている。その巻線5は導線(例えば銅線)に絶縁体が被覆されて成る絶縁被覆導線である。この巻線5は、コア巻芯部3に単層に巻回形成される場合と、多層に巻回形成される場合とがあり、その巻線5の巻回形態は、例えば仕様等により決定される。なお、巻線5の線径は巻線コイル部品1の大きさや、巻線コイル部品に対して要求されているインダクタンス値などの様々な点を考慮して定められるものであり、巻線5の線径の数値は特に限定されるものではないが、その線径の具体例を挙げると、例えば直径φ20μm〜150μm程度である。また、コア巻芯部3に巻回する巻線5の本数は1本あるいは複数本のいずれであってもよい。
この実施形態例の巻線コイル部品1は板状のコア巻芯部3が回路基板7と平行になる姿勢でもって(換言すればコア巻芯部3の板面を回路基板7に沿わせて)回路基板7の面上に配設される横置きタイプの巻線コイル部品である。
この実施形態例では、コア部材2のフランジ部4(4A,4B)は、それぞれ、巻線コイル部品1を回路基板7に設置したときに天面側には張り出さずに底面側および横側に張り出した形状と成している。この実施形態例では、フランジ部4(4A,4B)の天面側は、コア巻芯部3の天面側の板面と面一に形成されている。
この実施形態例の巻線コイル部品1は、フランジ部4A,4Bの底面側に張り出した部分が巻線コイル部品1の脚として機能して回路基板7上に配置される。この実施形態例では、それらフランジ部4A,4Bの底部側の内側角部はカットされてテーパ面Cと成している(図1(b)参照)。あるいは、図4に示されるように、それらフランジ部4A,4Bの底部側の内側角部に丸みを付けて曲面Rとしてもよい。そのように、フランジ部4A,4Bの底部側の内側角部をテーパ面Cあるいは曲面Rとして、フランジ部4A,4Bの底部側をやや細くする構成とすることにより、コア巻芯部3の撓みに起因した応力を逃がすことができる。これにより、コア巻芯部3の撓みに対する巻線コイル部品1の強度を強めることができる。なお、もちろん、フランジ部4(4A,4B)の底部側の内側角部のカット面Cの傾きや曲面Rの曲率は、フランジ部4と回路基板7との接触面積や、フランジ部4の強度などを考慮しながら、コア巻芯部3の撓みに対する巻線コイル部品1の強度を強めることができるように設計されるものであり、数値が限定されるものではない。
この実施形態例では、図3(a)〜(c)に示されるように、フランジ部4A,4Bの各々の底部側表面を覆うように電極8(8A,8B)が形成されている。それら電極8A,8Bのうちの一方側(ここでは便宜的に電極8Aとする)に巻線5の巻き始め部分が接合され当該巻線5の巻き始め部分は電気的に電極8Aに接続されている(図1(c)参照)。また、他方側の電極8(8B)には巻線5の巻き終わり部分が上記同様に接合され当該巻線5の巻き終わり部分は電気的に電極8Bに接続されている。例えば、回路基板7におけるフランジ部4A,4Bの各々の設定の配設位置には、それぞれ、電極パッドが形成されており、フランジ部4A,4Bがそれぞれ回路基板7の設定の配設位置に例えば半田を介して接合することにより、フランジ部4A,4Bの各電極8(8A,8B)がそれぞれ回路基板7側の電極パッドに接続する。これにより、巻線5は、電極8と、回路基板7側の電極パッドとを介して、回路基板7に形成されている回路に導通することができる。
電極8の構成は特に限定されるものではないが、ここでは、その電極8の一例を述べる。例えば電極8は多層構造と成す。つまり、フランジ部4の底部側表面上にはAgやCu等の下地導電体層が形成される。この下地導電体層は、例えば、ペースト状の導電体をディップ工法や印刷等の技術によりフランジ部4の底部側表面上に塗布した後に、例えば700〜1000℃の高温で焼き付けることにより、フランジ部4の底部側表面上に積層形成される。このように焼き付けにより下地導電体層を積層形成することによって、フランジ部4の底部側表面と下地導電体層との接合を強固にすることができる。
その下地導電体層の上側には、例えば、Ni層と、Cu層と、Sn層とが順に電解バレルめっき等の手法により積層形成される。それら各層の厚みの具体的な一例を挙げると、例えば、そのNi層の厚みは1μm〜3μm程度であり、Cu層の厚みは2μm〜6μm程度であり、Sn層の厚みは5μm〜25μm程度である。Ni層は、例えば電極8と回路基板7側の電極パッドとを接合するための半田の溶融温度に対して耐熱性がある。また、Cu層は、その半田に対する巻線5の導線(例えば銅線)の食われ性を高めることができる。さらに、Sn層は、巻線(銅線)5と電極8との接合強度を高めることができる。なお、下地導電体層の上側に積層形成される導体層は上述の構成に限られない。例えば、導体層は、Ni層とCu層とSn層が上記とは異なる順序で積層されて成るものであってもよい。また、上記例では導体層は三層構造であったが、単層や二層や四層以上の多層構造であってもよい。さらに、導体層は、複数種の金属から成る合金層を有して構成されていてもよい。さらにまた、導体層は、めっき以外の手法により形成されてもよい。
電極8には、例えば、巻線5の端部(巻き始め部分および巻き終わり部分)が熱圧着等の技術を利用して、接合される。巻線5の端部と電極8とを熱圧着により接合する場合には、その熱によって電極8の最上層のSn層が溶融して、巻線5の端部の一部又は全部がSn層に埋設されるので、電極8と巻線5の接合面積が増加して電極8と巻線5の接合強度を高めることができる。また、図1(c)に示されるように、電極8に対して巻線5の端部を傾けて(例えばθ=10°〜70°)配設することでも、電極8と巻線5との接合面積を広くできるので、電極8と巻線5の接合強度をより高めることができる。
また、この実施形態例では、図3(b)に示されるように、フランジ部4の底面位置を基準位置としたときの電極8の上端位置の高さH8は、フランジ部4の底面位置に対するコア巻芯部3の底面位置の高さH3よりも低くなっている。これにより、フランジ部4を覆う電極8の範囲を小さく抑制することができるため、渦電流による損失を低減することができる。
この実施形態例では、巻線5が巻回されたコア巻芯部3およびその両端側のフランジ部4A,4Bのそれぞれの天面側は全面に渡って樹脂10により覆われている。この樹脂10によりコア部材2および巻線5を保護することができる。この天面側を覆う樹脂の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ系の樹脂を挙げることができる。また、樹脂10の厚みD10は、例えば、仕様等により定められている巻線コイル部品1の高さ制限寸法や、コア部材2の高さD2(図2参照)を考慮して、適宜に定められるものであり、その数値が限定されるものではないが、その具体例を示すと、例えば、巻線コイル部品1の高さHcが1.0mm以下で、コア部材2の厚みD2が0.8mm以下となるように設計される場合に、樹脂10の厚みD10を0.2mm程度とする。
この実施形態例では、樹脂10には磁性材料(磁粉)が含有されている。樹脂10に対する磁粉の含有率は、製造上の問題などの様々な点を考慮して設定されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、その樹脂に対する磁粉の含有率を20%〜70%程度にする。このような含有率とすることにより、巻線コイル部品1全体の実効透磁率が高くなる。これにより、巻線コイル部品1が設定のインダクタンス値を持つために必要な巻線5の巻回数を削減することができて、巻線5の直流電流に対する抵抗Rdcを小さくすることができる。これにより、巻線コイル部品1の導通損失を抑制することが可能となる。また、樹脂10における磁粉の含有率を高めることにより、漏れ磁束量を抑制することができる。
樹脂10は、例えばディップ工法や印刷等の技術によって、コア部材2の天面側部分に形成することができる。ディップ工法や印刷等の塗布技術を利用することにより、コア部材2の天面側部分だけに選択的に樹脂10を形成することができる。このため、例えば、フランジ部4の底面側の電極8上に絶縁体である樹脂10の一部が形成されることを防止することができる。これにより、巻線コイル部品1と回路基板7の導通不良を回避することができる。つまり、電極8上に樹脂10の一部が付着すると、その付着した樹脂により電極8の導電性が劣化して巻線コイル部品1と回路基板7間の導通不良が発生し易くなる。これに対して、上記のように、電極8上に樹脂10の一部が付着することを防止できることによって、巻線コイル部品1と回路基板7間の導通不良問題を回避できる。
この実施形態例の巻線コイル部品1は上記のように構成されている。この実施形態例の巻線コイル部品1では、コア部材2のフランジ部4A,4Bはコア巻芯部3よりも天面側には張り出さずに底面側と横側に張り出す構成と成している。このため、コア巻芯部3に巻線5が巻回されて成るコイルにより生じた磁束は、フランジ部4の特有な形状により規制された例えば図1(b)の矢印αに示されるような磁路を構成する。つまり、コア巻芯部3からフランジ部4Aに至った磁束は、コア巻芯部3に沿う方向から、フランジ部4Aの張り出し方向(つまり、底面側方向と横側方向)に磁束の向きを変える。つまり、磁束は、天面側には殆ど向かわない。
そして、磁束は、フランジ部4Aを通った後に、フランジ部4Bに向かう方向に向きを変え、コア巻芯部3(巻線5)よりも底面側あるいは横側をコア巻芯部3に沿うようにしてフランジ部4Bに向かう。その後、フランジ部4Bを通ってコア巻芯部3に戻る。
このように、巻線5のコイルに基づいた磁束は、フランジ部4の形状に規制されて、コア巻芯部3の天面側の板面位置以下の領域に偏って磁路を形成し、コア巻芯部3よりも天面側の領域には磁路は殆ど形成されない。これにより、巻線コイル部品1から天面側への漏れ磁束を非常に小さく抑制することができる。特に、この実施形態例では、巻線コイル部品1の天面側部分には磁性材料が含有された樹脂10が形成されているので、例えば、フランジ部4Aから天面側に磁束が向かっても、図1(b)の点線α’に示されるように、その磁束は、磁気抵抗が小さい樹脂10を通ってフランジ部4Bを通りコア巻芯部3に戻る磁路を構成し、巻線コイル部品1から天面側に漏れ出る磁束をより確実に低減することができる。
本発明者は、この実施形態例の構成を備えることによる天面側への漏れ磁束の防止効果を実験により確認している。その実験では、この実施形態例における特有な構成を持つ巻線コイル部品1を用意すると共に、この巻線コイル部品1と比較するための比較サンプルを用意した。この比較サンプルは、フランジ部が底面側と横側だけでなく天面側にも張り出しているという構成を備え、それ以外の構成は、この実施形態例の巻線コイル部品1と同様の構成を備えている。
この比較サンプルと、この実施形態例の構成を持つ巻線コイル部品1とのそれぞれに関して、天面側への漏れ磁束量を測定した。漏れ磁束量は、巻線コイル部品1(比較サンプル)から天面側に距離0.1mm離れた位置に銅板を配置したときと、銅板を配置しなかったときとのそれぞれについて巻線コイル部品1(比較サンプル)のインダクタンス値を測定し、銅板無し時のインダクタンス値に対する銅板有り時のインダクタンス値の変化率を漏れ磁束量として求めた。
この漏れ磁束量の測定の結果、比較サンプルにおけるインダクタンス値の変化量が36.5%であったのに対して、この実施形態例の構成を持つ巻線コイル部品1では、そのインダクタンス値の変化量は18.0%であった。つまり、この実施形態例の巻線コイル部品1におけるインダクタンス値の変化量は比較サンプルのインダクタンス値の変化量の約1/2であった。
上記のような銅板近接配置の有無によるインダクタンス値の変化量は、天面側への漏れ磁束量が多くなるにつれて、増加する。換言すれば、天面側への漏れ磁束量が減少するに従って、銅板近接配置の有無によるインダクタンス値の変化量は減少することから、実験結果にも示されているように、この実施形態例において特有な構成(つまり、フランジ部4が天面側に張り出していない構成)を備えることによって、フランジ部4が天面側に張り出している構成を備えているものよりも天面側への漏れ磁束量を低減することができる。
また、この実施形態例では、フランジ部4A,4Bの底部側間の磁路部分は空間を通り、磁性体を通っていないので、巻線5のコイルにより生じた磁束の磁路は、開磁路となる。このため、コア巻芯部3に巻線5が巻回されて成るコイルにより生じた磁束の磁路が閉磁路である場合に比べて、巻線コイル部品1の電流飽和特性を改善することができる。
なお、この発明はこの実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、この実施形態例では、樹脂10はコア部材2の天面側だけに形成されていたが、例えば、図5の斜視図に示されるように、コア部材2の天面側および横側を覆うように樹脂10を形成してもよい。
また、この実施形態例では、フランジ部4A,4Bの天面側は、コア巻芯部3の天面側の板面と面一に形成されていたが、例えば図6に示すコア部材2の側面図に示されるように、フランジ部4A,4Bの天面側をコア巻芯部3の天面側の板面よりも低位置に形成してもよい。
さらに、この実施形態例では、樹脂10には磁性材料(磁粉)が含有されていたが、例えば、樹脂10に磁性材料を含有しなくとも、天面側への漏れ磁束を抑制することができる場合には、樹脂10に磁性材料を含有しなくともよい。
さらに、この実施形態例では、フランジ部4の底部側の内側角部にはカット面C又は曲面Rが形成されてコア巻芯部3の撓みに起因した巻線コイル部品1の強度を高める構成を備えていたが、例えば、コア巻芯部3の撓みに起因した巻線コイル部品1の強度劣化の心配が少ない、あるいは、その巻線コイル部品1の強度劣化を他の手段により回避できる場合には、フランジ部4の底部側の内側角部にカット面C又は曲面Rが形成されていない構成であってもよい。
さらに、この実施形態例では、巻線コイル部品1はその高さHcが1.0mm以下であったが、この発明は、高さHcが1.0mmよりも背高な巻線コイル部品にも適用することができるものである。
本発明に係る巻線コイル部品の一形態例を説明するための図である。 図1の巻線コイル部品からコア部材を抜き出して模式的に示したコア部材のモデル図である。 図2のコア部材に電極を形成した状態を説明するための図である。 コア部材のフランジ部のその他の形態例を説明するための図である。 巻線コイル部品のその他の実施形態例を示した模式的な斜視図である。 コア部材のその他の形態例を模式的に示したコア部材の側面図である。 特許文献1に記載されている巻線コイル部品の一つを説明するための図である。
符号の説明
1 巻線コイル部品
2 コア部材
3 コア巻芯部
4 フランジ部
5 巻線
10 樹脂

Claims (3)

  1. 磁性体により構成されたコア部材と、このコア部材の両端間に形成されたコア巻芯部に巻回形成される巻線とを有した巻線コイル部品において、コア部材のコア巻芯部は板状と成し、巻線コイル部品は、その板状のコア巻芯部の板面を回路基板に沿わせて回路基板の面上に設置される横置きタイプの巻線コイル部品と成しており、コア巻芯部の中心軸方向の両端側には、それぞれ、巻線コイル部品を回路基板に設置したときに天面側には張り出さずに底面側と前記コア巻芯部中心軸を挟んでその両横外側に張り出して、前記コア巻芯部の中心軸方向に沿う磁束をそれぞれ底面側と両横外側の張り出し方向に分流し、天面側へ分流させる張り出し部を無くしたフランジ部が設けられ、当該フランジ部の天面側は、コア巻芯部の天面側の板面と面一、あるいは、コア巻芯部の天面側の板面よりも低位置に形成されていることを特徴とする巻線コイル部品。
  2. コア巻芯部およびその両端側のフランジ部から成るコア部材の天面側は全面に渡って樹脂により覆われていることを特徴とする請求項1記載の巻線コイル部品。
  3. コア部材の天面側を覆う樹脂には磁性材料が含有されていることを特徴とする請求項2記載の巻線コイル部品。
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