JP4577023B2 - ソリッドイマージョンレンズ、集光レンズ、光学ピックアップ装置、光記録再生装置及びソリッドイマージョンレンズの形成方法 - Google Patents
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Description
そこで、これらに対応するため、光記録再生装置では、その光源の例えば半導体レーザの短波長化や、集光レンズの開口数の増大化が図られ、集光レンズを介して収束する光スポットの小径化が図られている。
このようなソリッドイマージョンレンズ11と光学レンズとを、光記録媒体などの対物側から順に配置して、ニアフィールド集光レンズを構成することができる。
また、このように対物側を円錐形状にする場合は、現状の加工技術では、レンズの小径化に限界がある。
これについて説明すると、通常のソリッドイマージョンレンズの形成方法としては、例えば立方体形状の高屈折率材料を略球形状のいわゆるボールレンズに加工し、これを更に半球状や超半球形状に加工し、次にその対物面を円錐形状にする方法が挙げられる。
この方法で、例えば直径が1mm程度の超半球形状のソリッドイマージョンレンズを機械的な研磨や切削手段によって形成する場合、その対物面すなわち円錐形状の頂部を数十ミクロン以下程度の半径の平坦面に精度良く加工することは、極めて難しい。現状では、直径50μm程度までの対物面を形成することは可能ではあるが、形状のばらつきを抑えて生産性良く形成することは難しい。
またこの場合でも、ソリッドイマージョンレンズの曲率半径が数mm程度と大きい場合は、結局、対物面の端部分と光記録媒体との傾きマージンで制限されてしまうという問題がある。
しかしながら、ソリッドイマージョンレンズの曲率半径を極めて小さく、例えば半径0.5mm以下の曲率半径とする場合は、上述の形成方法により特に先端部を加工することが更に難しくなるという問題がある。
θi=tan−1(n)
で与えられる入射角度θiに対し、傾斜部の光軸からの角度をθとしたとき、
θ>θi+5°
とされて成る。
tan−1(h/y)<90°−θi ・・・(1)
かつ
tan−1((d+h)/z))≧0.10° ・・・(2)
かつ
tan−1(d/y)≧0.10° ・・・(3)
の関係を満たす形状として構成することを特徴とする。
更に、本発明による光学ピックアップ装置は、上述の本発明構成によるソリッドイマージョンレンズと、このソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させて対物側とは反対側に配置された光学レンズと、光源とが少なくとも設けられ、ソリッドイマージョンレンズ及び光学レンズから成る集光レンズによって光源からの出射光を収束させて光スポットを形成する構成とすることを特徴とする。
また、本発明による光記録再生装置は、上述の本発明構成によるソリッドイマージョンレンズを用いた集光レンズを具備する光学ピックアップ装置を有し、集光レンズを光記録媒体のフォーカシング方向及び/又はトラッキング方向に制御駆動する制御駆動手段を設ける構成とすることを特徴とする。
θ>θi+5°
である傾斜部を形成する工程と、先端面が対物側に突出する凸状部となるように、先端面の周囲をフォーカスイオンビーム加工法によりエッチング除去して、光軸と直交し、先端面を取り囲む平面部を形成し、上記凸状部の平面部からの高さをh、上記光軸から上記凸状部の上記平面部側の縁部までの長さをy、上記光軸から上記平面部の上記傾斜部側の縁部までの長さをz、上記先端面の先端部と対象物との間隔をdとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1((d+h)/z))≧0.10°
かつ
tan−1(d/y)≧0.10°
の関係を満たす形状として形成する工程と、を含むことを特徴とする。
θ≧θi
として構成することにより、入射光を確実に先端部に集光させ、また、保持体への接着領域を確保してより安定な保持を可能とする。
また、上述のソリッドイマージョンレンズにおいて、傾斜部の先端部に、対物側に突出する凸状部を設ける構成とすることによって、凸状部の対物面を微小面積とすることができ、光記録媒体等との傾きマージンを、従来に比して大とすることができる。更に、この凸状部を形成する際の加工体積は、円錐形状を形成する加工体積と比較して小となることから、凸状部のみを半導体加工技術などにより加工形成することによって、従来の機械的加工のみによる場合と比較して、微小な面積の対物面を形成することが可能となり、これにより、ソリッドイマージョンレンズ自体の小径化が可能となる。
また、この集光レンズを用いて構成される光学ピックアップ装置及び光記録再生装置においては、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを大とし、またレンズの最大開口数を得る入射光を確実に集光することができ、その組み立て精度のマージンを従来に比して大とすることができる。
そして、ソリッドイマージョンレンズの小径化も可能となることから、この集光レンズを用いて構成される光学ピックアップ装置及び光記録再生装置では、光記録媒体のフォーカシング方向、もしくは、且つトラッキング方向に制御駆動される集光レンズの安定制御を図ることができるとともに、フォーカシングサーボやトラッキングサーボやシーク時間等のサーボ特性の向上を図ることが可能となる。
したがって、本発明のソリッドイマージョンレンズの形成方法によれば、対物面と光記録媒体との傾きマージンが大で、かつ開口数が大なる集光レンズを容易に得ることが可能となる。
本発明は、ソリッドイマージョンレンズ及びその形成方法と、このソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させ、対物側とは反対側に配置された光学レンズとで構成された集光レンズ、更にこの集光レンズを有し、いわゆるニアフィールド光記録再生方式を採用する光学ピックアップ装置と、この光学ピックアップ装置を有する光記録再生装置に適用することができる。
なお、実際にはソリッドイマージョンレンズ11と光記録媒体30とは互いに接触してはいないが、これらソリッドイマージョンレンズ11及び光記録媒体30の間隔はソリッドイマージョンレンズ11の厚さと比較して十分に小さいため図1〜図5においてはその間隔を省略して示す。
この手段としては、例えば一般的な光学ピックアップに用いられる2軸アクチュエータや、磁気ヘッド装置等に用いられるスライダ等が挙げられる。
これら集光レンズ13の制御駆動手段の形態を次に示す。
図3に示すように、2軸アクチュエータ16は、集光レンズ13をトラッキング方向に制御駆動させるトラッキング用コイル17と、フォーカシング方向に制御駆動させるフォーカシング用コイル17とより構成される。
また、この2軸アクチュエータ16において、トラッキング方向に戻り光量をモニタし、その位置情報をフィードバックすることにより、集光スポットを所望の記録トラックに移動させることが可能である。
図4に示すように、集光レンズ13を、トラッキング方向に制御駆動されるスライダ21に固着して構成することもできる。このスライダ21は、例えば光記録媒体30の面触れ方向にのみ弾性を有するジンバル22等の弾性体、または図示を省略する他の弾性体を介し、トラッキング方向に移動する可動光学部(図示せず)に支持される。そしてこの可動光学部を、リニアモータ等で構成された制御駆動手段によりトラッキング方向に制御駆動することによって、所定のトラック上に集光レンズ13を対向させることができる。
そして、光記録媒体30の回転に伴い発生する気体流が光記録媒体30とスライダ21との間に流れ込むとともに、弾性体の光記録媒体30側への押圧力と釣り合う気体薄膜が形成され、スライダ21が光記録媒体30に対して一定の距離、例えば50nmの距離を保ちつつ浮上するように構成される。すなわち、光記録媒体30を所定の回転数で回転させて光記録媒体30からの情報の再生時あるいは、光記録媒体30への情報の記録時において、集光レンズ13を構成するソリッドイマージョンレンズ11と光記録媒体30との距離を、スライダ32によりほぼ一定距離に保たれた状態とすることができる。
上述したように、本発明によるソリッドイマージョンレンズは、図6にその一例を光学レンズと組み合わせた概略構成図を示すように、ソリッドイマージョンレンズ11において、その対物側先端部から球状部1に向かって少なくとも一部に傾斜部4を形成して、ソリッドイマージョンレンズ11への入射光の入射角度をθiとしたとき、傾斜部4の光軸からの傾斜角度θを、
θ≧θi
として構成する。
図6において、一点鎖線cは、ソリッドイマージョンレンズ11と、その対物側とは反対側に配置した光学レンズ12の光軸を示す。また、破線Rは、ソリッドイマージョンレンズ11の光軸と直交する断面において、直径が2rとなる断面を示す。
図7A及び図8Aに示すように、ソリッドイマージョンレンズ11は、対物側とは反対側の球状部1が半球状又は超半球状、図示の例では超半球状とされ、その曲率半径をr、屈折率をnとすると、光軸に沿う方向の厚さは、球状部が半球状の場合はr、超半球状とする場合はr(1+1/n)とされる。
なお、以下の各例においては、球状部が超半球状の場合を代表として示し、球状部が半球状である場合の図示は省略する。
0°<θi<90°
の範囲である。
これについて説明すると、ソリッドイマージョンレンズを利用した集光レンズの開口数は、図9にその一例の概略構成図を示すように、ソリッドイマージョンレンズ11の対物面とは反対側に配置する光学レンズ12からソリッドイマージョンレンズ11への入射光の光軸からの入射角をθi0、ソリッドイマージョンレンズ11内の入射角をθiとし、光学レンズ12の開口数をNA、ソリッドイマージョンレンズ11の屈折率をnとすると、
sinθi0=NA
nsinθi0=sinθi
となるので、ソリッドイマージョンレンズ11による集光レンズの実効的な開口数NA(SIL)は、
NA(SIL) =n2sinθi0
=nsinθi
と表され、θiが略90°のときソリッドイマージョンレンズ11による集光レンズの実効的な開口数は、NA(SIL) =nとなり、最大となる。
すなわち、入射角度θiを大とするほうが高い開口数を得るためには望ましいが、製造マージンとしては、その形状を精度良く加工することが難しくなること、またレンズを保持する保持体との接着加工が難しくなることから、入射角度θiを大とするほど小さくなり、歩留まりを高めることが難しくなる。
このため、製造マージンをある程度確保するためには、破線Rで示す位置近傍から入射させる構成が望ましく、すなわち実用的には入射角θiをtan−1(n)近傍とすることが望ましい。
以下の各例においては、図11〜図16にその概略構成図を示すように、ソリッドイマージョンレンズ11の対物側先端部から球状部1に向かって円錐形、又は角錐形状の傾斜部4を設けた例を示す。そして各例ともに、対物側先端面5が略円形とされ、その半径をy、傾斜部4の球状部に連なる縁部までの光軸cからの半径をx、光記録媒体30と対向する対物面からの高さをa、入射角θiの光の入射位置の光軸cからの距離をxi、対物面からの高さをaiとして、下記の式より、θ、θiから入射位置と傾斜部縁部との高低差ai−aを求めた。
tanθi=xi/ai
r2=xi2+{(r/n)−ai}2
tanθ=a/(x−y)
r2=x2+{(r/n)−a}2
図12に示す実施例2においては、傾斜部4の縁部の対物面からの高さaは123.7μm、入射角度θiの光の入射位置の高さaiは129.95μmであり、その高低差は、6.25μmであった。
図13に示す比較例1においては、傾斜部4の縁部の対物面からの高さaは129.95μm、入射角度θiの光の入射位置の高さaiは129.95μmであり、その高低差は、0μmであった。
これらの結果を以下の表1に示す。
ソリッドイマージョンレンズ11の安定な保持を確保するためにも、傾斜角度θは入射光の入射角度θi以上とすることが望ましいことがわかる。
図14に示す実施例3においては、傾斜部4の縁部の対物面からの高さaは155.0μm、入射角度θiの光の入射位置の高さaiは216.6μmであり、その高低差は、61.6μmであった。
図15に示す実施例4においては、傾斜部4の縁部の対物面からの高さaは206.9μm、入射角度θiの光の入射位置の高さaiは216.6μmであり、その高低差は、9.7μmであった。
図16に示す比較例2においては、傾斜部4の縁部の対物面からの高さaは216.6μm、入射角度θiの光の入射位置の高さaiは216.6μmであり、その高低差は、0μmであった。
これらの結果を以下の表2に示す。
本発明のソリッドイマージョンレンズ11において、傾斜部4の形状としては、円錐状としてもよく、また例えば角錐状、また例えば球面の一部を構成する曲面を含む形状とすることができる。
また、凸状部2は、円筒形状でも角柱形状でもよく、その他光軸cと直交する断面形状が例えば楕円形、長方形、多角形である柱状、又は曲面状などの各種凸形状を採ることができる。図示の例においては、凸状部2は例えば円筒形状とされ、その周囲に光軸cと直交する平面に略平行な平面部3を形成し、その外周側に例えば円錐形状とされる傾斜部4を形成した例を示す。
なお、球状部1の周側面は2軸アクチュエータ、もしくはスライダとの固着面となる。
このように、凸状部をFIB法により形成することによって、直径数十nm程度の微小なスポットのイオンビームによって、容易かつ確実に対物面の幅を数μm程度に微細化することができ、これにより光記録媒体との傾きマージンを従来に比して確実に大としたソリッドイマージョンレンズを容易に形成することができる。
換言すれば、本発明によるソリッドイマージョンレンズは、その対物面に凸状部を設ける構成とすることによって、この部分を球状部の曲率半径rとは無関係に容易に微小化することができることとなる。したがって、逆に球状部の曲率半径を従来に比して極めて小さくすることが可能となり、結果として、レンズの小径化、小型化を図ることができることから、これを用いた集光レンズを小型化し、サーボ特性の向上を図って、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置の小型化、薄型化、高性能化を図ることが可能となる。
tan−1(h/y)<90°−θi・・・(1)
として構成することによって、集光位置からこの縁部2Aまでの角度θeを90°−θiより小として、この場合の入射光Liを凸状部2の縁部2Aによって遮ることなく、確実に対物面に集光させることができる。
なお、前述したように、開口数を大とし、かつ製造マージンの確保が容易な入射角度θiは、
θi=tan−1(n)
で与えられる。なお、この入射光Liは、球状部が超半球状とされるこの例においては、前述の図6に示す破線Rで示す断面において、光軸cからの距離がrの位置から入射される光である。
更に、この傾斜部4は機械加工により形成することから、その加工余裕度を考慮して、
θs≦θe−5°
程度とすることが望ましい。
tan−1((d+h)/z))≧0.10° ・・・(2)
かつ
tan−1(d/y)≧0.10° ・・・(3)
の関係を満たす形状として構成することにより、凸状部2の傾きマージン及び傾斜部4の傾きマージンを0.10°以上とすることができて、確実に従来に比して十分な傾きマージンを得ることができるソリッドイマージョンレンズ11を提供することができる。
本発明によるソリッドイマージョンレンズの形成方法は、先ず図20Aに示すように、上述の材料よりなる例えばボール状のレンズ材料に円錐形状、角錐状又は曲面状等の傾斜部4を、機械加工、すなわち切削又は研磨等により形成し、その先端面5を例えば機械加工等によって平面状に形成する。
或いは、ボール状のレンズ材料を超半球状に形成して先端面5を平面状に形成した後、円錐状、角錐状または曲面状等に加工して傾斜部4を形成してもよい。
このとき、凸状部2の形状を、前述の図18及び図19において説明した形状に形成することによって、最大開口数を得る入射光を確実に入射させ、かつ媒体との傾きマージンを大としたソリッドイマージョンレンズを得ることができる。
各例共に、図21〜図23に示す円錐形状の傾斜部4を有し、先端部が平面状の先端面5とされた形状のソリッドイマージョンレンズを形成し、その先端部を、FIB法により円筒形状にエッチング加工して、凸状部2を有する構成のソリッドイマージョンレンズを形成した。図21及び図22において、図6と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この場合は、図21にその入射光12の入射態様を示すように、光記録媒体30との傾きマージンは、光記録媒体30の表面の集光位置から、先端面5の縁部5Aにいたる角度となる。この角度をθ2´として示す。
先ず実施例5においては、ソリッドイマージョンレンズのレンズ材料をBi4Ge3O12とし、入射光源として、波長405nmのレーザを用いた。このレンズ材料の入射光波長に対する屈折率nは2.213であり、その最大開口数を得る入射角度θiは65.7°であるので、90°―θiは24.3°となる。
この場合、傾斜部の傾斜角度θsとしては、機械的加工の余裕度をもたせるために、入射角度θi−5°として、19.3°とした。これにより、最大開口数を得る入射光を確実に遮ることなく集光させることができる。
加工例2においては、凸状部2の縁部2Aの光軸からの長さを1.2μm、高さh(エッチング深さ)を0.42μmにエッチング加工して形成した。この場合、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを+/−1.19°まで拡大することが可能となる。
更に、加工例4においては、凸状部の縁部の光軸からの長さyを10.0μm、その高さhを3.51μmとすることで、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを+/−0.14°まで拡大することができる。
図24から明らかなように、θ1は、凸状部2の光軸から縁部までの長さyを増加させると単調に増加するのに対して、θ2は、長さyの増加に対して、反比例して減少する。
ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンは、これらθ1及びθ2のうち小さいほうの角度に依存する。したがって、θ1=θ2となる形状の凸状部2を、対物面に加工、形成することによって、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを最大にすることができる。
この例においては、上述の実施例5と同様の材料によりソリッドイマージョンレンズを構成し、その対物側を円錐状に形成して対物面を平面状に加工形成した。この場合は、先端面の平面部分の半径(光軸から縁部までの長さ)を50μmとした。
加工例2においては、凸状部の縁部の光軸からの長さyを1.9μm、高さhを0.67μmとした。この場合の光記録媒体との傾きマージンは+/−0.75°であった。
加工例3においては、凸状部の縁部の光軸からの長さyを10.0μm、高さhを3.51μmとした。この場合の光記録媒体との傾きマージンは+/−0.14°であった。
図25からも、加工例2及び3においては、角度θ1及びθ2を共に、少なくとも0.10°以上とすることができ、比較例2と比較して確実に傾きマージンを大とすることができることがわかる。
次に、ソリッドイマージョンレンズを構成する材料として、高屈折率ガラスであるS−LAH79とした場合について、前述の各例と同様に、円錐形状の傾斜部を形成し、対物面を平面状に構成した加工例1を形成して、その先端部の凸状部をFIB法により加工形成し、傾きマージンについて評価した。この場合、加工例1における対物面の半径、すなわちその縁部の光軸からの距離は20μmとした。このときの光記録媒体との傾きマージンは+/−0.07°である。
加工例3においては、凸状部の縁部の光軸からの長さyを5.0μm、高さhを1.90μmとした。この場合の光記録媒体との傾きマージンは+/−0.29°であった。
加工例4においては、凸状部の縁部の光軸からの長さyを20.0μm、高さhを3.79μmとした。この場合の光記録媒体との傾きマージンは+/−0.14°であった。
図26からも、加工例2〜4においては、角度θ1及びθ2が共に、少なくとも0.10°以上とすることができるものであるが、比較例3と比較して確実に傾きマージンを大とすることができることがわかる。
次に、ソリッドイマージョンレンズを構成する材料として、上述の第3の例と同様に高屈折率ガラスであるS−LAH79として、前述の各例と同様に、円錐形状の傾斜部を形成し、対物面を平面状に構成した加工例1を形成して、その先端部の凸状部をFIB法により加工形成し、傾きマージンについて評価した。この場合、比較例4における対物面の半径、すなわちその縁部の光軸からの距離は50μmとした。このときの光記録媒体との傾きマージンは+/−0.03°である。
加工例3においては、凸状部の縁部の光軸からの長さyを10.0μm、高さhを3.79μmとした。この場合の光記録媒体との傾きマージンは+/−0.14°であった。
図27からも、加工例2及び3においては、角度θ1及びθを共に、少なくとも0.10°以上とすることができ、加工例1と比較して確実に傾きマージンを大とすることができることがわかる。
図28に示すように、破線bで示す半径略r/nの球に先端面5が外接する領域は、例えば半径fの領域となる。
このような構成において、最大開口数を得る入射光Liが、図27において矢印Li1及びLi2に示すように光軸がずれた場合においても、この半径fの領域において、対物面である凸状部2の先端面5に確実に集光させることができる。球状部が半球状とされる場合も、同様である。
この半径fについては、例えば入射光の光軸のずれ角度を考慮して、+/−0.5°〜5°の範囲と考えると、例えば球状部の半径が0.5mm程度の場合は、5μmから50μm程度とすることが考えられる。
また、この場合破線bで示す球の半径がr/nから僅かにずれるとか、またこの球にややずれて外接する曲面形状とする場合においても、ソリッドイマージョンレンズに光を入射する側の光学系においてこれを補正できる範囲であれば、同様の入射角の傾きに対するマージンが得られる効果がある。球状部を半球状とする場合も同様である。
したがって、光学レンズとの組み立て、接着工程においても、その位置合わせ精度のマージンを従来に比して大とすることができ、上述した光記録媒体との傾きマージンの増大化の効果と相俟って、従来困難であった超小径のソリッドイマージョンレンズを用いる場合においても、従来よりも容易に組み立て、製造することが可能となる。
なお、このように、ソリッドイマージョンレンズ11の先端面5を半径略r/nの球に外接、もしくは直径が略rの球に略外接させる加工は、対物側に凸状部を設けない場合にも適用可能であり、この場合においても、同様に入射光の傾きに対するマージンを得ることができる。
まず、図30Aに示すように、屈折率がnである材料を用いて、例えば曲率半径rの略ボール状のレンズ材料体41を形成する。そして、その中心位置と中心を同じくする破線bで示す半径が略r/nの球に略外接するように、レンズ材料体41の対物側を、破線Dで示すように、曲面状に機械加工等により加工形成する。
この後、図30Cに示すように、例えばFIB法によって、先端面の周囲をエッチング加工して、凸状部2を形成して、前述の図28及び図29に示す形状のソリッドイマージョンレンズを形成することができる。
例えば、凸状部及びその周囲の形状を、図31及び図33〜40にその先端部を拡大した概略構成図を示すように、例えばFIB法によりエッチング加工することによって、種々の形状とすることができる。図42及び図33〜図40において、図28と対応する部分には、同一符号を付して重複説明を省略する。
また、図35に示すように、円柱状、角柱状等の凸状部2の周囲に平面部3を設け、更にその周囲に段差部46を設ける構成とすることもできる。
またその他、図37に示すように、第1及び第2の傾斜部41及び42を設け、これら傾斜部41及び42の間に、光軸cと略直交する平面部3を設ける構成とするとか、或いは、図38に示すように、凸状部2の先端を凸状曲面とするとか、図39に示すように、円柱状、又は角柱状等の凸状部2の周囲を凹状曲面部44として構成するなど、種々の形状を採ることができる。
特にディスク状の光記録媒体を対象とする集光レンズ、光学ピックアップ装置、光記録再生装置に適用する場合は、ディスク状媒体が傾き易い方向、すなわち半径方向の傾きマージンをより大とする形状を採用することが望ましい。具体的には、例えば筒状の凸状部2を設ける場合に、その光軸と直交する断面において正方形、長方形、楕円形等とすることができる。例えば楕円形とする場合において、その短軸方向をディスクの半径方向であるいわゆるラジアル方向とし、ディスクの記録トラックの接線方向であるいわゆるタンジェンシャル方向と比較して、半径方向のいわゆるラジアル方向において、より傾きマージンを大とする構成とすることもできる。
これら各先端部の形状において、その凸状部、傾斜部の角度や長さを選定することによって、最大開口数を得る入射光を妨げない形状とすることができる。
またその他の部分を含め、ソリッドイマージョンレンズの材料構成において、本発明は、上述の例に限定されることなく、種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
Claims (20)
- 対物側先端部の少なくとも一部に傾斜部が形成され、
上記傾斜部の上記先端部側に、光軸と直交する平面部が設けられ、
上記平面部の上記先端部側に、対物側に突出する凸状部が設けられて成り、
屈折率nが2以上とされ、
θi=tan−1(n)
で与えられる入射角度θiに対し、上記傾斜部の上記光軸からの角度をθとしたとき、
θ>θi+5°
とされ、
上記凸状部の上記平面部から対物側に突出する高さをh、上記光軸から上記凸状部の上記平面部側の縁部までの長さをy、上記光軸から上記平面部の上記傾斜部側の縁部までの長さをz、上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔をdとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1((d+h)/z))≧0.10°
かつ
tan−1(d/y)≧0.10°
の関係を満たす形状とされて成る
ソリッドイマージョンレンズ。 - 上記凸状部の光軸に沿う断面における側面の形状は、上記凸状部の縁部から上記平面部の上記凸状部側の縁部に向かう直線状又は曲線状とされる請求項1に記載のソリッドイマージョンレンズ。
- 上記ソリッドイマージョンレンズの対物側とは反対側の球状部の曲率半径をr、屈折率をnとすると、上記先端部の先端面が、上記球状部が半球状の場合は直径rの球に外接する形状とされ、上記球状部が超半球状の場合は半径r/nの球に外接する形状とされた請求項1又は2に記載のソリッドイマージョンレンズ。
- 上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔dが50nmとして形成される請求項1〜3のいずれかに記載のソリッドイマージョンレンズ。
- ソリッドイマージョンレンズと、該ソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させ、対物側とは反対側に配置された光学レンズとより構成された集光レンズにおいて、
上記ソリッドイマージョンレンズは、その対物側先端部の少なくとも一部に傾斜部が形成され、
上記傾斜部の上記先端部側に、光軸と直交する平面部が設けられ、
上記平面部の上記先端部側に、対物側に突出する凸状部が設けられて成り、
屈折率nが2以上とされ、
θi=tan−1(n)
で与えられる入射角度θiに対し、上記傾斜部の上記光軸からの角度をθとしたとき、
θ>θi+5°
とされ、
上記凸状部の上記平面部から対物側に突出する高さをh、上記光軸から上記凸状部の上記平面部側の縁部までの長さをy、上記光軸から上記平面部の上記傾斜部側の縁部までの長さをz、上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔をdとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1((d+h)/z))≧0.10°
かつ
tan−1(d/y)≧0.10°
の関係を満たす形状とされて成る
集光レンズ。 - 上記ソリッドイマージョンレンズの上記凸状部の光軸に沿う断面における側面の形状は、上記凸状部の縁部から上記平面部の上記凸状部側の縁部に向かう直線状又は曲線状とされる請求項5に記載の集光レンズ。
- 上記ソリッドイマージョンレンズの対物側とは反対側の球状部の曲率半径をr、屈折率をnとすると、上記先端部の先端面が、上記球状部が半球状の場合は直径rの球に外接する形状とされ、上記球状部が超半球状の場合は半径r/nの球に外接する形状とされた請求項5又は6に記載の集光レンズ。
- 上記ソリッドイマージョンレンズの上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔dが50nmとして形成される請求項5〜7のいずれかに記載の集光レンズ。
- ソリッドイマージョンレンズと、該ソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させて対物側とは反対側に配置された光学レンズと、光源とが少なくとも設けられ、上記ソリッドイマージョンレンズ及び光学レンズから成る集光レンズによって上記光源からの出射光を収束させて光スポットを形成する光学ピックアップ装置において、
上記ソリッドイマージョンレンズは、その対物側先端部の少なくとも一部に傾斜部が形成され、
上記傾斜部の上記先端部側に、光軸と直交する平面部が設けられ、
上記平面部の上記先端部側に、対物側に突出する凸状部が設けられて成り、
屈折率nが2以上とされ、
θi=tan−1(n)
で与えられる入射角度θiに対し、上記傾斜部の上記光軸からの角度をθとしたとき、
θ>θi+5°
とされ、
上記凸状部の上記平面部から対物側に突出する高さをh、上記光軸から上記凸状部の上記平面部側の縁部までの長さをy、上記光軸から上記平面部の上記傾斜部側の縁部までの長さをz、上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔をdとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1((d+h)/z))≧0.10°
かつ
tan−1(d/y)≧0.10°
の関係を満たす形状とされて成る
光学ピックアップ装置。 - 上記ソリッドイマージョンレンズの上記凸状部の光軸に沿う断面における側面の形状は、上記凸状部の縁部から上記平面部の上記凸状部側の縁部に向かう直線状又は曲線状とされる請求項9に記載の光学ピックアップ装置。
- 上記ソリッドイマージョンレンズの対物側とは反対側の球状部の曲率半径をr、屈折率をnとすると、上記先端部の先端面が、上記球状部が半球状の場合は直径rの球に外接する形状とされ、上記球状部が超半球状の場合は半径r/nの球に外接する形状とされた請求項9又は10に記載の光学ピックアップ装置。
- 上記ソリッドイマージョンレンズの上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔dが50nmとして形成される請求項9〜11のいずれかに記載の光学ピックアップ装置。
- ソリッドイマージョンレンズと、該ソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させて対物側とは反対側に配置された光学レンズと、光源とが少なくとも設けられ、上記ソリッドイマージョンレンズ及び光学レンズから成る集光レンズによって上記光源からの出射光を収束させて光スポットを形成する光学ピックアップ装置を有し、上記集光レンズを光記録媒体のフォーカシング方向及び/又はトラッキング方向に制御駆動する制御駆動手段が設けられて成る光記録再生装置において、
上記ソリッドイマージョンレンズは、その対物側先端部の少なくとも一部に傾斜部が形成され、
上記傾斜部の上記先端部側に、光軸と直交する平面部が設けられ、
上記平面部の上記先端部側に、対物側に突出する凸状部が設けられて成り、
屈折率nが2以上とされ、
θi=tan−1(n)
で与えられる入射角度θiに対し、上記傾斜部の上記光軸からの角度をθとしたとき、
θ>θi+5°
とされ、
上記凸状部の上記平面部から対物側に突出する高さをh、上記光軸から上記凸状部の上記平面部側の縁部までの長さをy、上記光軸から上記平面部の上記傾斜部側の縁部までの長さをz、上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔をdとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1((d+h)/z))≧0.10°
かつ
tan−1(d/y)≧0.10°
の関係を満たす形状とされて成る
光記録再生装置。 - 上記ソリッドイマージョンレンズの上記凸状部の光軸に沿う断面における側面の形状は、上記凸状部の縁部から上記平面部の上記凸状部側の縁部に向かう直線状又は曲線状とされる請求項13に記載の光記録再生装置。
- 上記ソリッドイマージョンレンズの対物側とは反対側の球状部の曲率半径をr、屈折率をnとすると、上記先端部の先端面が、上記球状部が半球状の場合は直径rの球に外接する形状とされ、上記球状部が超半球状の場合は半径r/nの球に外接する形状とされた請求項13又は14に記載の光記録再生装置。
- 上記ソリッドイマージョンレンズの上記凸状部の上記先端部の対象物との間隔dが50nmとして形成される請求項13〜15のいずれかに記載の光記録再生装置。
- 屈折率が2以上である球状のレンズ材料の一端に、先端面を形成する工程と、
上記先端面の周囲に、θi=tan−1(n)で与えられる入射角度θiに対し、光軸からの傾斜角度θが、
θ>θi+5°
である傾斜部を形成する工程と、
上記先端面が対物側に突出する凸状部となるように、上記先端面の周囲をフォーカスイオンビーム加工法によりエッチング除去して、光軸と直交し、上記先端面を取り囲む平面部を形成し、上記凸状部の上記平面部からの高さをh、上記光軸から上記凸状部の上記平面部側の縁部までの長さをy、上記光軸から上記平面部の上記傾斜部側の縁部までの長さをz、上記先端面の先端部と対象物との間隔をdとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1((d+h)/z))≧0.10°
かつ
tan−1(d/y)≧0.10°
の関係を満たす形状として形成する工程と、を含む
ソリッドイマージョンレンズの形成方法。 - 上記ソリッドイマージョンレンズの上記凸状部の光軸に沿う断面における側面の形状を、上記凸状部の縁部から上記平面部の上記凸状部側の縁部に向かう直線状又は曲線状とする請求項17に記載のソリッドイマージョンレンズの形成方法。
- 上記先端面を形成する工程において、
上記ソリッドイマージョンレンズの対物側とは反対側の球状部の曲率半径をr、屈折率をnとすると、上記球状部が半球状の場合は直径rの球に外接する形状とし、上記球状部が超半球状の場合は半径r/nの球に外接する形状として上記先端面を形成する請求項17又は18に記載のソリッドイマージョンレンズの形成方法。 - 上記ソリッドイマージョンレンズの凸状部の上記先端部の対象物との間隔dを50nmとして形成する請求項17〜19のいずれかに記載のソリッドイマージョンレンズの形成方法。
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