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JP4576255B2 - 工具砥石の形状創成方法 - Google Patents

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JP4576255B2 JP2005032347A JP2005032347A JP4576255B2 JP 4576255 B2 JP4576255 B2 JP 4576255B2 JP 2005032347 A JP2005032347 A JP 2005032347A JP 2005032347 A JP2005032347 A JP 2005032347A JP 4576255 B2 JP4576255 B2 JP 4576255B2
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本発明は、研削加工技術に関し、特に、光学機器に使用されるレンズやプリズムなどの高精度光学素子の研削加工、あるいは、それらを成形するための光学素子成形型の研削加工に好適な砥石の形状を創成する技術に関する。
レンズやプリズムなどの光学部品は非常に高い形状精度及び表面粗さ精度が必要とされる。このような高精度の光学部品を加工する方法として、例えば非特許文献1に記載されているように、円弧断面形状を有する砥石を用いて、工作物の回転方向とクロスする方向に砥石を移動させ、砥石加工面を工作物に対して円弧包絡させながら非球面研削を行う方法(いわゆるパラレル研削法)が開示されている。この加工法では、図5に示すように、工具砥石109の断面形状が工作物110に転写されるために、非常に高精度な円弧断面形状を有する工具砥石109を用いる必要がある。
そのような高精度な工具砥石109の創成、目立ての方法として、例えば特許文献1に開示されている球面形状砥石のツルーイング/ドレッシング法がある。この方法について、図6を用いて説明すると、カップ型をした創成砥石108を、形状創成する工具砥石109に対して1方向に切り込み(図6の(a)では左から右方向へ切り込む)、球面形状を創成し、その後はスラリ111によって図6の(b)のようにして目立てするものであり、創成する工具砥石109の外径を直径とする球面形状を創成することができる。
ところで、最近、光学性能の向上を目的として、非球面レンズの形状や自由曲面プリズムの形状が多様化している。そのため、図7に示すような、球面形状の工具砥石109を使用すると、工具砥石109が非球面の工作物110と干渉してしまう場合がある。ここで、干渉を避けるために工具砥石109の半径を小さくすると、工具砥石109に加工負荷が大きくなるため、減耗が大きくなり十分な加工精度が得られないという問題がある。そのため、図8に示すような、工具砥石109の砥石直径bよりも小さな円環曲率半径aを断面形状とした円環形状の砥石を用いることが必要となっている。
従来、工具砥石109の加工面を円環形状に創成する手段は、例えば特許文献2に開示されているように、単石ダイヤモンドドレッサ法やステンレスロール法が知られている。
単石ダイヤモンドドレッサ法によって工具砥石を円環形状に創成する方法を図9の(a)を用いて説明すると、この方法は、回転する工具砥石109の加工面を単石ダイヤモンドドレッサ112に接触させながら、加工面が所望の曲率形状となるように単石ダイヤモンドドレッサ112と工具砥石109とを相対的に移動させることにより、工具砥石109を円環形状に創成するものである。
また、ステンレスロール法によって工具砥石を円環形状に創成する方法を図9の(b)を用いて説明すると、この方法は、回転する砥石109とステンレスロール113とを接触させながら相対的に円弧運動させることにより、工具砥石109を円環形状に創成するものである。
特開2001−260023号公報 特開2003−260646号公報 佐伯、厨川、庄司、「パラレル研削法による非球面金型加工に関する研究」、精密工学会誌、社団法人精密工学会、2002年8月、第68巻、第8号、p.1067−1071
パラレル研削法で高精度な加工結果を得るためには、砥石の断面形状が高精度であることに併せ、工作物の加工面にうねりを形成させないために、図10に示すように、工具砥石109の加工面で砥石回転方向と鉛直方向に周期的な凹凸が存在しないことが必要である。しかしながら、前述したような従来の円環砥石の創成手法では、図9に示されているように、工具砥石109の回転方向に単石ダイヤモンドドレッサ112やステンレスロール113による一様な加工痕が形成されてしまう。このような工具砥石109を非球面形状の研削に使用すると、砥石表面の加工痕が工作物に転写されてしまうため、加工された光学素子の表面にうねりが形成され、十分な光学性能を得ることができないという問題がある。
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、円環形状の砥石を高精度に創生する手法を提供することである。
本発明の態様のひとつである工具砥石の形状創成方法は、軸、当該X軸に垂直な軸であるZ軸、並びに当該X軸及び当該Z軸の両者に垂直な軸を中心として旋回する軸であるB軸の3軸の各方向への移動が可能な機械加工装置と、当該X軸と当該Z軸で構成される平面内において当該B軸で旋回可能な工具回転軸を有し工作物を研削する工具砥石と、工作物回転軸に保持されていて当該工具砥石に対向する部分に平面部を有しており当該工具砥石を形状創成するための創成砥石と、を用いて行う工具砥石の形状創成方法であって、当該工具砥石を当該工具回転軸にて軸回転させると共に当該創成砥石を当該工作物回転軸にて軸回転させ、当該工具砥石を当該B軸の回転方向に揺動させながら当該X軸の方向に往移動若しくは往復移動させ、この状態で当該工具砥石に対し当該Z軸の方向へある一定量の切り込みを与えることで当該工具砥石を円環形状に創成する、ことを特徴とするものであり、この特徴によって前述した課題を解決する。
なお、上述した本発明に係る工具砥石の形状創成方法において、当該工具砥石の位置を、当該工具砥石の円環部の曲率中心とB軸の旋回中心とが一致するように調整しておくようにしてもよい。
また、前述した本発明に係る工具砥石の形状創成方法において、当該工具砥石のX軸方向の移動と当該工具砥石のB軸の回転方向の揺動とは非同期で行うようにしてもよい。
また、前述した本発明に係る工具砥石の形状創成方法において、当該工具砥石の当該B軸の回転方向での揺動と当該工具砥石の当該X軸の方向への移動とは複数回繰り返され、当該繰り返しにおける当該工具砥石と当該創成砥石との接触の開始位置を毎回異ならせるようにしてもよい。
本発明は、以上のようにすることにより、円環形状の砥石の加工面に砥石回転方向と鉛直方向に周期的な凹凸が生じないので、円環形状の砥石を高精度に創生できるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施例1を説明する。まず、本実施例の構成を説明する。
図1において、超精密加工用旋盤1は、光学素子の光学面自体や当該光学素子の光学面を創成するための金型を加工する工作機である。超精密加工用旋盤1は、同図において矢印で示されているX軸、Z軸、及びB軸の少なくとも3軸移動が可能となっている。
超精密加工用旋盤1では、Z軸と平行である回転軸を持っている工作物回転駆動装置2が、Z軸方向に移動制御可能なZ軸ステージ3上に設置されている。更に、Z軸に垂直であるX軸方向に移動制御可能なXステージ4上には、X軸及びZ軸の両者に垂直な軸を中心として旋回する軸であるB軸を持っているB軸ステージ5が配置されている。
B軸ステージ5上には、X軸とZ軸とで張られる平面上に回転軸が含まれている工具回転駆動装置6が設置されている。また、B軸ステージ5の横側には、超精密加工用旋盤1のX軸方向及びZ軸方向の移動制御装置とは別の、B軸方向の移動制御を行うためのB軸駆動装置7が設置されている。
B軸駆動装置7は、例えば、直流モータにクランクを介してB軸ステージを揺動させるなどといった構造、すなわち、B軸回転角制御と揺動移動速度制御といった制御を持たない簡単な構造でも構わない。また、超精密加工用旋盤1によるB軸ステージ5の移動制御を解除することが可能であり、この移動制御を解除すると回転移動が自在にできる。
工作物回転駆動装置2の先端には、工具回転駆動装置6と対向する面が平面となる円柱形状の創成砥石8が取り付けられる。このとき、工作物回転軸に対し、創成砥石8の平面部がスラスト方向及びラジアル方向のどちらの方向にも回転ずれが生じないよう調整を行った取り付けをする。
工具回転駆動装置6の先端には、実際の光学面や金型を研削加工するための工具砥石9が取り付けられている。工具砥石9は、工作物側の円環曲率中心とB軸ステージの回転軸中心とが一致するような位置に設置されている。なお、創成砥石8の結合材は、工具砥石9の結合材より硬い材質とする。
次に、本実施例の作用について、図2及び図3を用いて具体的に説明する。但し、これらは本発明を限定するものではない。
まず、工具砥石9の工作物側の円環曲率中心がB軸ステージ5の回転軸の中心(B軸の旋回中心)になるように併せ込み(工具回転駆動装置6の位置調整)を行う。図2はこの併せ込みを済ませた状態を示している。
その後、工具砥石9を工具回転駆動装置6にて軸回転させると共に、創成砥石8を工作物回転駆動装置2にて軸回転させる。このとき、B軸ステージ5を移動させる超精密加工用旋盤1のB軸角度の制御を解除しておく。
次に、B軸駆動装置7へ電力を投入し、B軸駆動装置7にてB軸ステージ5を揺動運動させる。この揺動運動は超精密加工用旋盤1の移動制御装置とは独立した駆動源を使用しているので、超精密加工用旋盤1において移動制御されているXステージ4及びZステージ3の各軸移動とB軸ステージ5のB軸方向の揺動とは非同期の移動動作となる。
このようにして工具砥石9を揺動運動させながら、工具砥石9の先端と創成砥石8の先端とが接触する位置からZ軸方向へ、ある一定量の切り込みを与える。そして、この状態で、前記超精密加工用旋盤1のX軸ステージ4に対する移動制御によって、工具砥石9をX軸方向に往移動若しくは往復移動を行わせる。こうすると、創成砥石8と工具砥石9との接触点が図3に示すように移動し、工具砥石9の先端を円環形状に創成する加工が行われる。
なお、このときのX軸方向の移動速度は、創成砥石8の接触径と反比例するように変化させるとよく、こうすることにより、創成砥石8の作用点における単位面積当りの加工負荷量が均一になるので、創成砥石8の平面部が均一に磨耗することとなる。
また、Xステージ4によるX軸移動とB軸ステージ5によるB軸方向の揺動とが非同期の移動としたことにより、X軸方向の座標位置とB軸方向の揺動角度とが二度と一致することがない。この結果、創成砥石8の平面部の面形状を工具砥石9の創成面へ転写してしまうことがなくなるので、円環形状の工具砥石9の先端を高精度に創成することができる。
工具砥石9を円環形状に創成するための上述した加工工程を複数回繰り返すことで、工具砥石9の先端形状が円環形状の砥石に創成される。
以上のように、本実施例によれば、X軸方向の移動とB軸角度の揺動とにより、工具砥石を円環形状に創成することが可能となる。また、X軸方向の位置とB軸の角度とを二度と一致させないようにしたことにより、創成砥石8における凹凸のある平面部の面形状が工具砥石9の創成面に転写してしまうことがなくなる。
その結果、工具砥石9の加工面に砥石回転方向と鉛直方向に周期的な凹凸を生じさせてしまうことがなくなり、円環形状の工具砥石が高精度に創成加工される。
次に、本発明の実施例2を説明する。
本実施例では、実施例1に係る超精密加工用旋盤1に設置されていたB軸駆動装置7を廃止する。上記以外の本実施例の構成は図1に示した実施例1の構成と同一であるため、本実施例の構成図としては図1をそのまま用いることとし、その説明については省略する。
次に、本実施例の作用について、図4を用いて具体的に説明する。但し、これらは本発明を限定するものではない。
B軸の揺動は、超精密加工用旋盤1の移動制御装置で揺動させる。このとき、B軸ステージ5によるB軸の揺動とX軸ステージ4によるX軸の移動とは同一の制御によって移動するため、本実施例においては、両者は同期することとなる。
次に、工作物回転起動装置2と工具軸回転駆動装置6とを各軸で回転させながら、創成砥石8の先端と工具砥石9の先端とが接触する位置からZ軸方向へ、ある一定量の切り込みを与え、そして、B軸ステージ5によるB軸方向での往復揺動をさせた状態で、X軸ステージ4によるX軸方向の往移動を1回行って工具砥石9を円環形状に創成する加工を行う。
次に、B軸方向に往移動させたときに、工具砥石9がX軸方向に移動した距離の0.15倍の長さをX軸位置座標に加算して位置座標を変更した上で、前述と同様にして工具砥石9を円環形状に創成する加工を行う。以降、この工程を複数回繰り返す。
このようにして、創成砥石8と工具砥石9との接触開始時の接触位置を毎回異ならせると、図4に示すように、創成砥石8と工具砥石9との接触するX軸位置、及びB軸の揺動角は各回の工程毎にずれることになるので、創成砥石8と工具砥石9との接触するX軸位置とB軸の揺動角が二度と一致することがなくなる。
以上のように、本実施例によっても、実施例1と同様、X軸方向の移動とB軸角度の揺動とにより、工具砥石を円環形状に創成することが可能となる。また、X軸方向の位置とB軸の角度とを二度と一致させないようにしたことにより、創成砥石8における凹凸のある平面部の面形状が工具砥石9の創成面に転写してしまうことがなくなる。
その結果、工具砥石9の加工面に砥石回転方向と鉛直方向に周期的な凹凸を生じさせてしまうことがなくなり、円環形状の工具砥石が高精度に創成加工される。
その他、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の改良・変更が可能である。
本発明の実施に使用する超精密加工用旋盤の概略構成例を示す図である。 実施例1における工具砥石の創成の方法を説明する図である。 実施例1における工具砥石の移動の様子を示す図である。 実施例2における工具砥石のX軸原点位置の変更の様子を示す図である。 パラレル研削法による研削加工の概要を説明する図である。 ツルーイング/ドレッシング法による球面形状砥石の創成法の概要を説明する図である。 球面形状の工具砥石と非球面工作物との干渉の問題を説明する図である。 円環形状砥石の形状の例を示す図である。 円環形状砥石の創成法の例を示す図である。 従来の創成手法で円環砥石に生じるうねりの問題を説明する図である。
符号の説明
1 超精密加工用旋盤
2 工作物回転駆動装置
3 Z軸ステージ
4 X軸ステージ
5 B軸ステージ
6 工具回転駆動装置
7 B軸駆動装置
8 創成砥石
9 工具砥石
108 創成砥石
109 工具砥石
110 工作物
111 スラリ
112 単石ダイヤモンドドレッサ
113 ステンレスロール
a 円環曲率半径
b 砥石直径

Claims (4)

  1. 軸、当該X軸に垂直な軸であるZ軸、並びに当該X軸及び当該Z軸の両者に垂直な軸を中心として旋回する軸であるB軸の3軸の各方向への移動が可能な機械加工装置と、当該X軸と当該Z軸で構成される平面内において当該B軸で旋回可能な工具回転軸を有し工作物を研削する工具砥石と、工作物回転軸に保持されていて当該工具砥石に対向する部分に平面部を有しており当該工具砥石を形状創成するための創成砥石と、を用いて行う工具砥石の形状創成方法であって、
    前記工具砥石を前記工具回転軸にて軸回転させると共に前記創成砥石を前記工作物回転軸にて軸回転させ、
    前記工具砥石を前記B軸の回転方向に揺動させながら前記X軸の方向に往移動若しくは往復移動させ、この状態で前記工具砥石に対し前記Z軸の方向へある一定量の切り込みを与えることで前記工具砥石を円環形状に創成する、
    ことを特徴とする工具砥石の形状創成方法。
  2. 前記工具砥石の位置を、当該工具砥石の円環部の曲率中心とB軸の旋回中心とが一致するように調整しておくことを特徴とする請求項1記載の工具砥石の形状創成方法。
  3. 前記工具砥石のX軸方向の移動と当該工具砥石のB軸の回転方向の揺動とは非同期で行うことを特徴とする請求項1記載の工具砥石の形状創成方法。
  4. 前記工具砥石の前記B軸の回転方向での揺動と当該工具砥石の前記X軸の方向への移動とは複数回繰り返され、当該繰り返しにおける当該工具砥石と前記創成砥石との接触の開始位置を毎回異ならせることを特徴とする請求項1記載の工具砥石の形状創成方法。
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