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JP4565874B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明はリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を含有する正極と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質を含有する負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池に関する。
近年、高エネルギー密度の二次電池として、電解液に非水電解液を使用し、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行わせるようにした非水電解質二次電池が高エネルギー密度が要求される用途で利用されるようになった。例えば、ノートパソコンやPDAなどの携帯用情報機器、ビデオカメラやデジタルカメラなどの映像機器あるいは携帯電話などの移動体通信機器などの電子・通信機器の電源として用いられるようになった。そして、これらの電子・通信機器の電源として、さらなる高エネルギー密度化への要求は非常に高いものとなっている。
この種の非水電解質二次電池は、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な黒鉛などの炭素材料を負極活物質とし、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2:以下ではコバルト酸リチウムという)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2:以下ではニッケル酸リチウムという)等のリチウムイオンの吸蔵・放出が可能なリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質材料として用いている。ところで、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウム含有遷移金属酸化物は電池容量が大きい反面、充電状態での熱的安定性が低く、しかも、原材料たるコバルトやニッケルが高価で、資源的にも埋蔵量に限りがあるという問題があった。
そこで、スピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン酸化物(LiMn24:以下ではスピネル型マンガン酸リチウムという)を正極活物質材料とする非水電解質二次電池が提案されるようになった。このスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn24)は、原材料たるマンガンが資源的に豊富に存在して、安価であり、かつ充電状態での熱的安定性が高くて電池の安全性が向上することから、非水電解質二次電池用の正極活物質材料として有望視されている材料の一つである。
ところが、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn24)は熱的安定性には優れるが、電池容量、充放電サイクル特性には問題があった。これは、スピネル型マンガン酸リチウムは充電時に収縮し、放電時に膨張する性質を有するからである。このため、充放電サイクルが進行するに伴って、この正極に体積変化が生じ、この体積変化に起因して活物質粒子同士が解離するようになって、集電効率が低下するためと考えられる。一方、コバルト酸リチウム(LiCoO2)は充電時に膨張し、放電時に収縮する性質を有する。
そこで、充電時に収縮し、放電時に膨張する性質を有するスピネル型マンガン酸リチウムと、充電時に膨張し、放電時に収縮する性質を有するコバルト酸リチウムとを混合した混合正極活物質を用いることが特許文献1にて提案されるようになった。この特許文献1にて提案された正極においては、スピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムとを混合して用いることで、スピネル型マンガン酸リチウムよりも高容量化できるとともに、コバルト酸リチウムよりも熱的安定性が向上することとなる。
ところで、スピネル型マンガン酸リチウムはコバルト酸リチウムよりも単位体積当たりあるいは単位質量当たりのリチウムイオンの吸蔵・放出量が少なくて容量が小さくなるため、これらを混合して正極材料として用いると、コバルト酸リチウムを単独で用いた場合に比べて容量が低下するという問題を生じた。このため、この種の活物質を保持する集電体への充填密度を向上させることにより、容量の低下を抑制することが考えられるようになった。
しかしながら、コバルト酸リチウムは平板状の粒子を有しているので配向性が高く、充填密度を上げるとコバルト酸リチウムは集電体に対して平行に配向するため、電解液の浸透性が低下するとともに、リチウムイオンの吸蔵・放出が生じる結晶面が電極表面に存在しにくくなるなどの理由により、高率放電特性などの負荷特性が低下するという問題を生じた。
そこで、スピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムが混合された混合正極活物質を用いても、正極合剤の充填密度を最適化するとともに、これらの両活物質の平均粒径を最適化することにより、コバルト酸リチウムの配向を抑制して、高率放電特性などの負荷特性が向上した非水電解質二次電池が特許文献2で提案されるようになった。また、コバルト酸リチウムとスピネル型マンガン酸リチウムとが混合された混合正極活物質を用いても、混合正極活物質の配合量を最適化するとともに、この混合正極活物質と負極活物質の質量割合を最適化して、放電容量およびサイクル特性が向上した非水電解質二次電池が特許文献3で提案されるようになった。
特開平4−171660号公報 特開2002−251996号公報 特開2002−289175号公報
ところが、スピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムが混合された混合正極活物質を用いると、コバルト酸リチウムを正極活物質として単独で用いた場合に比較して安全性能が向上するが、高温保存特が低下するという問題が生じた。そこで、この高温保存特が低下する原因を追及したところ、正極からコバルトが溶出して高温保存特が低下することが分かった。これは、スピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムが混合された混合正極活物質を用いると、コバルト酸リチウム単独の正極活物質を用いるよりもさらに正極からコバルトが溶出し、正極が劣化したためと考えられる。これにより、高温保存特が低下するといった問題を生じた。
そこで、本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、安全性に優れ、かつ高温保存特性が向上した非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明の非水電解質二次電池においては、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質を含有する正極と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質を含有する負極と、非水電解質とを備えている。そして、上記目的を達成するため、正極活物質はスピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムとの混合物からなるとともに、コバルト酸リチウムはジルコニウム(Zr)あるいはチタン(Ti)の少なくともどちらか一方の第1異種元素が添加されており、かつ、第1異種元素の添加量はコバルト(Co)量に対して0.01〜1.0モル%であることを特徴とする。
このように、ZrあるいはTiの少なくともどちらか一方の第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウムとスピネル型マンガン酸リチウムとの混合物を正極活物質として用いると、高温保存時のコバルトの溶出が抑制されて高温保存特性が向上するとともに、安全性が向上する。この場合、ZrあるいはTiの添加量が少なすぎると、高温保存特性の向上効果が発揮できないため、ZrあるいはTiの添加量はCo量に対して0.01mol%以上にするのが望ましい。一方、ZrあるいはTiの添加量が多すぎると高温保存特性は向上するが、反面、初期容量が低下する。このことから、ZrあるいはTiの添加量はCo量に対して1.0mol%以下となるにように添加するのが望ましい。
また、ZrあるいはTiからなる第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウムに、さらに第2異種元素としてのMgあるいはAlが添加された混合正極活物質を用いると、過充電特性が向上する。これは、ZrあるいはTiからなる第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウムに、MgあるいはAlからなる第2異種元素を添加すると熱的安定性がさらに向上するためと考えられる。
この場合、第2異種元素としてのMgあるいはAlの添加量がCo量に対して0.10mol%未満である混合正極活物質を用いると、過充電特性は向上するが、第2異種元素としてのMgあるいはAlの添加量がCo量に対して0.10mol%以上の混合正極活物質を用いた場合よりも過充電特性が低下することが分った。一方、第2異種元素としてのMgあるいはAlの添加量がCo量に対して3.0mol%よりも多い混合正極活物質を用いると、過充電特性は向上するが、反面、初期容量が低下することが分かった。これは、MgあるいはAlは電池反応に寄与しないために、MgあるいはAlの添加量が多くなると、相対的にCo量が低下するためである。このことから、MgあるいはAlの添加量はCo量に対して3.0mol%以下となるにように添加するのが望ましい。
ついで、本発明の実施の形態を以下に説明するが、、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は本発明の非水電解質電池の断面を模式的に示す図である。
1.第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウム
(1)Zr添加コバルト酸リチウム
まず、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(ZrSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのジルコニウム添加の四酸化三コバルト(Co34)を得た。ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Zrのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、Zrが添加されたコバルト酸リチウムの焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して、第1の元素としてのZrが添加されたZr添加コバルト酸リチウムとした。なお、添加されたZrは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ここで、Zrの添加量がCo量に対して0.005mol%となるように合成されたものをZr添加コバルト酸リチウムα1とした。同様に、0.01mol%となるものをZr添加コバルト酸リチウムα2とし、0.20mol%となるものをZr添加コバルト酸リチウムα3とし、1.0mol%となるものをZr添加コバルト酸リチウムα4とし、1.2mol%となるものをZr添加コバルト酸リチウムα5とした。また、ジルコニウム(Zr)の添加量が0(無添加)となるものも合成し、これを無添加コバルト酸リチウムα0とした。なお、Zrの添加量はICP(Inductivery Coupled Plasma;プラズマ発光分析)により分析して得られた値である。
(2)Ti添加コバルト酸リチウム
一方、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(TiSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTi添加の四酸化三コバルト(Co34)を得た。ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Tiのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、Tiが添加されたコバルト酸リチウムの焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して、第1の元素としてのTiが添加されたTi添加コバルト酸リチウムとした。なお、添加されたTiは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ここで、Tiの添加量(なお、添加量はICPにより分析して得られた値である)がCo量に対して0.005mol%となるように合成されたものをTi添加コバルト酸リチウムβ1とした。同様に、0.01mol%となるものをTi添加コバルト酸リチウムβ2とし、0.20mol%となるものをTi添加コバルト酸リチウムβ3とし、1.0mol%となるものをTi添加コバルト酸リチウムβ4とし、1.2mol%となるものをTi添加コバルト酸リチウムβ5とした。
2.混合正極活物質
ついで、上述のように合成した平均粒径が5μmのZr添加コバルト酸リチウムα1〜α5と、平均粒径が10μmのスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn1.96Mg0.044)粉末とを、質量比で50:50となるように混合して混合正極活物質a10〜a50とした。なお、Zr添加コバルト酸リチウムα1を用いたものを混合正極活物質a10とし、Zr添加コバルト酸リチウムα2を用いたものを混合正極活物質a20とし、Zr添加コバルト酸リチウムα3を用いたものを混合正極活物質a30とし、Zr添加コバルト酸リチウムα4を用いたものを混合正極活物質a40とし、Zr添加コバルト酸リチウムα5を用いたものを混合正極活物質a50とした。
一方、上述のように合成した平均粒径が5μmのTi添加コバルト酸リチウムβ1〜β5と、平均粒径が10μmのスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn1.96Mg0.044)粉末とを、質量比で50:50となるように混合して混合正極活物質b10〜b50とした。なお、Ti添加コバルト酸リチウムβ1を用いたものを混合正極活物質b10とし、Ti添加コバルト酸リチウムβ2を用いたものを混合正極活物質b20とし、Ti添加コバルト酸リチウムβ3を用いたものを混合正極活物質b30とし、Ti添加コバルト酸リチウムβ4を用いたものを混合正極活物質b40とし、Ti添加コバルト酸リチウムβ5を用いたものを混合正極活物質b50とした。
さらに、上述のように合成した平均粒径が5μmの第1の元素が無添加の無添加コバルト酸リチウムα0と、平均粒径が10μmのスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn1.96Mg0.044)粉末とを、質量比で50:50となるように混合して混合正極活物質x0とした。また、上述のように合成した平均粒径が5μmの第1の元素が無添加の無添加コバルト酸リチウムα0のみからなるものを正極活物質y0とした。
3.正極の作製
ついで、上述のように作製した混合正極活物質a10〜a50、混合正極活物質b10〜b50、混合正極活物質x0および正極活物質y0がそれぞれ85質量部で、導電剤としてのカーボンブラックが10質量部で、結着剤としてのフッ化ビニリデン系重合体粉末が5質量部となるように混合して正極合剤とした。ついで、これらの正極合剤にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。
この正極スラリーを厚みが20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面にドクターブレード法により、乾燥後の塗布量が40mg/cm2になるように塗布して、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ローラを用いて充填密度が3.00g/cm3になるように圧延し、所定寸法(例えば幅が40mmで、長さが280mm)に切断して、正極a1〜a5、b1〜b5、xおよびyをそれぞれ作製した。なお、正極集電体としてはアルミニウム箔に代えてアルミニウム合金箔を用いてもよい。この場合、混合正極活物質a10〜a50を用いたものを正極a1〜a5とし、混合正極活物質b10〜b50を用いたものを正極b1〜b5とし、混合正極活物質x0を用いたものを正極xとし、正極活物質y0を用いたものを正極yとした。
4.負極の作製
天然黒鉛粉末が95質量部で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量部となるように混合した後、これにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合して負極スラリーとした。この後、得られた負極スラリーを厚みが12μmの銅箔(負極集電体)の両面にドクターブレード法により、乾燥後の塗布量が18mg/cm2になるように塗布して、負極集電体の両面に負極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ローラを用いて充填密度が1.56g/cm3になるように圧延し、所定寸法(例えば幅が42mmで、長さが300mm)に切断して、負極を作製した。なお、負極活物質としては、天然黒鉛以外に、リチウムイオンを吸蔵・脱離し得るカーボン系材料、例えば、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼成体等を用いてもよい。
5.リチウム二次電池の作製
ついで、図1に示すように、上述のようにして作製した正極(a1〜a5、b1〜b5、xおよびy)11と負極12とを用い、これらの間にポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータ13を介在させて重ね合わせた後、これを巻き取り機により渦巻状に巻回して渦巻状電極群を作製した。この後、渦巻状電極群の上下にそれぞれ絶縁板14,14を配置した後、これらの渦巻状電極群をそれぞれ表面にニッケルメッキを施した鉄製の負極端子を兼ねる有底筒状の円筒形外装缶15内に開口部より挿入した。ついで、渦巻状電極群の負極12より延出する負極リード12aを外装缶15の内底面に溶接した。一方、渦巻状電極群の正極11より延出する正極リード11aを封口体16の蓋体16bの下面に溶接した。
この後、外装缶15内にエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)からなる等体積混合溶媒にLiPFを1モル/リットル溶解して調製した非水電解液を注入した。ついで、外装缶15の開口部にポリプロピレン(PP)製で円筒状のガスケット17を載置するとともに、このガスケット17の内部に封口体16を載置した。この後、外装缶15の開口部の上端部を内方にかしめることにより封口して、直径が14mmで、高さ(長さ)が50mmで設計容量が450mAhの非水電解質電池10(A1〜A5,B1〜B5,XおよびY)をそれぞれ作製した。
ここで、正極a1を用いた非水電解質電池を電池A1とし、正極a2を用いた非水電解質電池を電池A2とし、正極a3を用いた非水電解質電池を電池A3とし、正極a4を用いた非水電解質電池を電池A4とし、正極a5を用いた非水電解質電池を電池A5とした。また、正極b1を用いた非水電解質電池を電池B1とし、正極b2を用いた非水電解質電池を電池B2とし、正極b3を用いた非水電解質電池を電池B3とし、正極b4を用いた非水電解質電池を電池B4とし、正極b5を用いた非水電解質電池を電池B5とした。さらに、正極xを用いた非水電解質電池を電池Xとし、正極yを用いた非水電解質電池を電池Yとした。
なお、封口体16は正極端子となる正極キャップ16aと、外装缶15の開口部を封止する蓋体16bとを備えている。そして、これらの正極キャップ16aと蓋体16bからなる封口体16内に、電池内部のガス圧が上昇して所定の設定圧力(例えば14MPa)に達すると変形する導電性弾性変形板18と、温度が上昇すると抵抗値が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)素子19が配設されている。これにより、電池内に過電流が流れて異常な発熱現象を生じると、PTC素子19は抵抗値が増大して過電流を減少させる。そして、電池内部のガス圧が上昇して所定の設定圧力(例えば14MPa)以上になると導電性弾性変形板18は変形して、導電性弾性変形板18と蓋体16bとの接触が遮断され、過電流あるいは短絡電流が遮断されるようになる。
なお、混合溶媒としては、上述したエチレンカーボネート(EC)にジエチルカーボネート(DEC)を混合したもの以外に、水素イオンを供給する能力のない非プロトン性溶媒を使用し、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ブチレンカーボネート(BC)等の有機溶媒や、これらとジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,2−ジメトキシ工タン(DME)、エトキシメトキシエタン(EME)などの低沸点溶媒との混合溶媒を用いてもよい。また、これらの溶媒に溶解される溶質としては、LiPF6以外に、LiBF4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiCF3(CF23SO3等を用いてもよい。
6.電池特性の測定
(1)初期容量
これらの各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを用いて、25℃の温度雰囲気で、45mA(0.1It:Itは定格容量(mA)/1h(時間)で表される数値)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電した。この後、45mA(0.1It)の放電電流で電池電圧が3.1Vになるまで放電させるという充放電を1回だけ行って、放電時間から1サイクル目の放電容量を初期容量として求めると、下記の表1に示すような結果となった。
(2)高温保存特性
上述のように1サイクル目の放電容量(初期容量)を求めた後、これらの各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを用いて、25℃の温度雰囲気で、45mA(0.1It)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電した。ついで、60℃の恒温槽に30日間保存した後に恒温槽から取り出し、25℃の温度雰囲気で、45mA(0.1It)の放電電流で電池電圧が3.1Vになるまで放電させるという充放電を1回だけ行って、放電時間から、高温保存後の放電容量を求めた。ついで、1サイクル目の放電容量(初期容量)に対する、高温保存後の放電容量の比率(%)を高温保存後の容量維持率(高温保存後の容量維持率=(高温保存後の放電容量/初期容量)×100%)として求めると、下記の表1に示すような結果となった。
(3)過充電特性
ついで、発煙もしくは破裂が生じるかという過酷な試験を行うために、上述のように各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを作製するに際して、以下のような特別な試験用電池を作製した。即ち、図1に示す封口体16内に、導電性弾性変形板18やPTC素子19を配設しない以外は上述と同様に、過充電特性試験用電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを作製した。そして、このような過充電特性試験用電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを用いて、25℃の温度雰囲気で、5It(2250mA)という高率レートで連続的に充電するという過充電試験を行った。
ついで、このような過酷な過充電試験において、電池が発煙したかあるいは電池が破裂したかを確認したところ、下記の表1に示すような結果が得られた。なお、このような過酷な過充電試験においては、各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYをそれぞれ50個ずつ用いてそれぞれ過充電試験を行い、発煙あるいは破裂が生じた電池の個数を表1に示している。
上記表1の結果から明らかなように、コバルト酸リチウム(LiCoO2)とスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn1.96Mg0.044)が混合された混合正極活物質を用いた電池Xと、LiCoO2のみを正極活物質として用いた電池Yを比較すると、混合正極活物質を用いた電池Xは安全性が高い反面、高温保存特性が著しく劣っていることが分かる。そこで、高温保存後の電池Xを分解して分析した結果、Coが溶出していることが明らかになった。このことは、LiCoO2とLiMn1.96Mg0.044が共存するときに、高温保存時にCoの溶出が加速されたためと考えられる。
ついで、電池Xと電池A1〜A5および電池Xと電池B1〜B5とを比較すると、電池A1〜A5および電池B1〜B5においては、安全性が高いとともに、高温保存特性も向上していることが分かる。これは、LiCoOにZrあるいはTiが添加されていると、高温保存時にCoの溶出が抑制されたためと考えられる。この場合、電池A1のようにZrの添加量が0.005mol%で、Zrの添加量が少なすぎると、高温保存特性の向上効果が発揮できないため、Zrの添加量が0.01mol%以上となるにように添加するのが望ましいということができる。
一方、電池A5のようにZrの添加量が1.20mol%で、Zrの添加量が多すぎると高温保存特性は向上するが、反面、初期容量が低下することとなる。これは、Zrは電池反応に寄与しないために、Zrの添加量が多くなると、相対的にCo量が低下するためである。このことから、Zrの添加量は1.0mol%以下となるにように添加するのが望ましいということができる。これらのことから、Zrの添加量は0.01mol%以上で、1.0mol%以下となるにように添加するのが望ましいということができる。
また、電池B1のようにTiの添加量が0.005mol%でTiの添加量が少なすぎると、高温保存特性の向上効果が発揮できない。このため、Tiの添加量が0.01mol%以上となるにように添加するのが望ましいということができる。一方、電池B5のようにTiの添加量が1.20mol%でTiの添加量が多すぎると高温保存特性は向上するが、反面、初期容量が低下することとなる。これは、Tiは電池反応に寄与しないために、Tiの添加量が多くなると、相対的にCo量が低下するためである。このことから、Tiの添加量は1.0mol%以下となるにように添加するのが望ましいということができる。これらのことから、Tiの添加量は0.01mol%以上で、1.0mol%以下となるにように添加するのが望ましいということができる。
7.第2異種元素についての検討
ついで、第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウムに第2異種元素としてのMgあるいはAlを添加した効果について検討した。
(1)第1異種元素としてのZrと第2異種元素としてのMgが添加されたコバルト酸リチウム
そこで、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(Zr(SO42)と硫酸マグネシウム(MgSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)とマグネシウム(Mg)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのZrとMgが添加された四酸化三コバルト(Co34)を得た。
ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Zr+Mgのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、ZrとMgが添加されたリチウム含有コバルト複合酸化物の焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して正極活物質γとした。なお、添加されたZrとMgは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ここで、Co量に対して、Zrの添加量が0.20mol%で、Mgの添加量が0.005mol%となるように合成されたものを正極活物質γ1とした。同様に、Zrの添加量は等しく、Mgの添加量が0.01mol%となるように合成されたものを正極活物質γ2とし、Mgの添加量が1.0mol%となるように合成されたものを正極活物質γ3とし、Mgの添加量が3.0mol%となるように合成されたものを正極活物質γ4とし、Mgの添加量が3.5mol%となるように合成されたものを正極活物質γ5とした。
(2)第1異種元素としてのTiと第2異種元素としてのMgが添加されたコバルト酸リチウム
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(Ti(SO42)と硫酸マグネシウム(MgSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)とマグネシウム(Mg)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTiとMgが添加された四酸化三コバルト(Co34)を得た。
ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Ti+Mgのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、TiとMgが添加されたリチウム含有コバルト複合酸化物の焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して正極活物質δとした。なお、添加されたTiとMgは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ここで、Co量に対して、Tiの添加量が0.20mol%で、Mgの添加量が0.005mol%となるように合成されたものを正極活物質δ1とした。同様に、Tiの添加量は等しく、Mgの添加量が0.01mol%となるように合成されたものを正極活物質δ2とし、Mgの添加量が1.0mol%となるように合成されたものを正極活物質δ3とし、Mgの添加量が3.0mol%となるように合成されたものを正極活物質δ4とし、Mgの添加量が3.5mol%となるように合成されたものを正極活物質δ5とした。
(3)第1異種元素としてのZrと第2異種元素としてのAlが添加されたコバルト酸リチウム
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(Zr(SO42)と硫酸アルミニウム(Al2(SO43)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのZrとAlが添加された四酸化三コバルト(Co34)を得た。
ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Zr+Alのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、ZrとAlが添加されたリチウム含有コバルト複合酸化物の焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して正極活物質εとした。なお、添加されたZrとAlは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ここで、Co量に対して、Zrの添加量が0.20mol%で、Alの添加量が0.005mol%となるように合成されたものを正極活物質ε1とした。同様に、Zrの添加量は等しく、Alの添加量が0.01mol%となるように合成されたものを正極活物質ε2とし、Alの添加量が1.0mol%となるように合成されたものを正極活物質ε3とし、Alの添加量が3.0mol%となるように合成されたものを正極活物質ε4とし、Alの添加量が3.5mol%となるように合成されたものを正極活物質ε5とした。
(4)第1異種元素としてのTiと第2異種元素としてのAlが添加されたコバルト酸リチウム
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(Ti(SO42)と硫酸アルミニウム(Al2(SO43)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTiとAlが添加された四酸化三コバルト(Co34)を得た。
ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Ti+Alのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、TiとAlが添加されたリチウム含有コバルト複合酸化物の焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して正極活物質ζとした。なお、添加されたTiとAlは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ここで、Co量に対して、Tiの添加量が0.20mol%で、Alの添加量が0.005mol%となるように合成されたものを正極活物質ζ1とした。同様に、Tiの添加量は等しく、Alの添加量が0.01mol%となるように合成されたものを正極活物質ζ2とし、Alの添加量が1.0mol%となるように合成されたものを正極活物質ζ3とし、Alの添加量が3.0mol%となるように合成されたものを正極活物質ζ4とし、Alの添加量が3.5mol%となるように合成されたものを正極活物質ζ5とした。
(5)第1異種元素としてのZrと第2異種元素としてのMgとAlの両方が添加されたコバルト酸リチウム
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(Zr(SO42)と硫酸マグネシウム(MgSO4)と硫酸アルミニウム(Al2(SO43)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)とマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのZrとMgとAlが添加された四酸化三コバルト(Co34)を得た。
ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Zr+Mg+Alのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、ZrとMgとAlが添加されたリチウム含有コバルト複合酸化物の焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して正極活物質ηとした。この場合、Co量に対して、Zrの添加量が0.10mol%で、Mgの添加量が0.50mol%で、Alの添加量が0.50mol%となるように合成した。なお、添加されたZrとMgとAlは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
(6)第1異種元素としてのTiと第2異種元素としてのMgとAlの両方が添加されたコバルト酸リチウム
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(Ti(SO42)と硫酸マグネシウム(MgSO4)と硫酸アルミニウム(Al2(SO43)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)とマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTiとMgとAlが添加された四酸化三コバルト(Co34)を得た。
ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Ti+Mg+Alのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、TiとMgとAlが添加されたリチウム含有コバルト複合酸化物の焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して正極活物質θとした。この場合、Co量に対して、Tiの添加量が0.10mol%で、Mgの添加量が0.50mol%で、Alの添加量が0.50mol%となるように合成した。なお、添加されたTiとMgとAlは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ついで、上述のように合成した正極活物質γ1〜γ5、δ1〜δ5、ε1〜ε5、ζ1〜ζ5、ηおよびθに、それぞれ平均粒径が10μmのスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn1.96Mg0.044)粉末を質量比で50:50となるように混合して、混合正極活物質をそれぞれ調製した。ついで、これらの混合正極活物質がそれぞれ85質量部で、導電剤としてのカーボンブラックが10質量部で、結着剤としてのフッ化ビニリデン系重合体粉末が5質量部となるように混合して正極合剤とした。ついで、これらの正極合剤にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。
この正極スラリーを厚みが20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面にドクターブレード法により、乾燥後の塗布量が40mg/cm2になるように塗布して、正極集電体の両面に正極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ローラを用いて充填密度が3.00g/cm3になるように圧延し、所定寸法(例えば幅が40mmで、長さが280mm)に切断して、正極c1〜c5、d1〜d5、e1〜e5、f1〜f5、gおよびhをそれぞれ作製した。なお、正極活物質γ1〜γ5を用いたものを正極c1〜c5とし、正極活物質δ1〜δ5を用いたものを正極d1〜d5とし、正極活物質ε1〜ε5を用いたものを正極e1〜e5とし、正極活物質ζ1〜ζ5を用いたものを正極f1〜f5とした。また、正極活物質ηを用いたものを正極gとし、正極活物質θを用いたものを正極hとした。
ついで、これらの各正極c1〜c5、d1〜d5、e1〜e5、f1〜f5、gおよびhを用いて、上述と同様に非水電解質電池C1〜C5、D1〜D5、E1〜E5、F1〜F5、GおよびHをそれぞれ作製した。なお、正極c1〜c5を用いたものを電池C1〜C5とし、正極d1〜d5を用いたものを電池D1〜D5とし、正極e1〜e5を用いたものを電池E1〜E5とし、正極f1〜f5を用いたものを電池F1〜F5とし、正極gを用いたものを電池Gとし、正極hを用いたものを電池Hとした。ついで、これらの電池C1〜C5、D1〜D5、E1〜E5、F1〜F5、GおよびHを用いて、上述と同様に、1サイクル目の放電容量(初期容量)、高温保存後の容量維持率(%)および過充電特性をそれぞれ求めると、下記の表2に示すような結果となった。なお、表2には上述した電池A3および電池B3の結果も併せて示している。
Figure 0004565874
上記表2の結果から明らかなように、ZrあるいはTiからなる第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウムに、第2異種元素としてのMgあるいはAlを添加した混合正極活物質を用いた電池C1〜C5、D1〜D5、E1〜E5、F1〜F5、GおよびHは、第2異種元素が無添加の混合正極活物質を用いた電池A3,B3よりも過充電特性が向上していることが分かる。これは、ZrあるいはTiからなる第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウムに、MgあるいはAlからなる第2異種元素を添加すると熱的安定性が向上したためと考えられる。
この場合、第2異種元素としてのMgあるいはAlの添加量が0.005mol%の混合正極活物質を用いた電池C1,D1,E1,F1においては、電池A3,B3よりも過充電特性が向上しているが、第2異種元素としてのMgあるいはAlの添加量が0.10mol%以上の混合正極活物質を用いた電池C2〜C5,D21〜D5,E2〜E5,F2〜F5,G,Hよりも過充電特性が低下していることが分かる。
一方、第2異種元素としてのMgあるいはAlの添加量が3.5mol%の混合正極活物質を用いた電池C5,D5,E5,F5においては、過充電特性が向上しているが、反面、初期容量が低下していることが分かる。これは、MgあるいはAlは電池反応に寄与しないために、MgあるいはAlの添加量が多くなると、相対的にCo量が低下するためである。このことから、MgあるいはAlの添加量は3.0mol%以下となるにように添加するのが望ましいということができる。これらのことから、第2異種元素としてのMgあるいはAlの添加量は0.01mol%以上で、3.0mol%以下となるにように添加するのが望ましいということができる。
なお、上述した実施の形態においては、スピネル型マンガン酸リチウムとしてLiMn1.96Mg0.04を用いる例について説明したが、スピネル型マンガン酸リチウムとしては、組成式がLiMn 2−x (但し、MはB,Ca,Sr,Ba,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Al,In,Nb,Mo,W,Y,Rhから選択される少なくとも一種の元素である)で表される組成のものを用いても同様な結果が得られる。
本発明の非水電解質電池の断面を模式的に示す図である。
符号の説明
10…非水電解質電池、11…正極、11a…正極リード、12…負極、12a…負極リード、13…セパレータ、14…絶縁板、15…外装缶(負極端子)、16…封口体、16a…正極キャップ(正極端子)、17…ガスケット、18…導電性弾性変形板、19…PTC素子

Claims (2)

  1. リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
    前記正極活物質はスピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムとの混合物からなるとともに、
    前記コバルト酸リチウムはジルコニウム(Zr)あるいはチタン(Ti)の少なくともどちらか一方の第1異種元素が添加されており、かつ、前記第1異種元素の添加量はコバルト(Co)量に対して0.01〜1.0モル%であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
    前記正極活物質はスピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムとの混合物からなるとともに、
    ジルコニウム(Zr)あるいはチタン(Ti)の少なくともどちらか一方の第1異種元素とともにマグネシウム(Mg)あるいはアルミニウム(Al)の少なくともどちらか一方の第2異種元素が添加されており、かつ、前記第1異種元素の添加量はコバルト(Co)量に対して0.01〜1.0モル%であり、前記第2異種元素の添加量はコバルト(Co)量に対して0.01〜3.0モル%であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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