JP4565874B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
(1)Zr添加コバルト酸リチウム
まず、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(ZrSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのジルコニウム添加の四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Zrのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、Zrが添加されたコバルト酸リチウムの焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して、第1の元素としてのZrが添加されたZr添加コバルト酸リチウムとした。なお、添加されたZrは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
一方、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(TiSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTi添加の四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。ついで、リチウム源の出発原料として炭酸リチウム(Li2CO3)を用意した後、LiとCo+Tiのモル比が1:1になるように秤量した。ついで、これらを乳鉢で混合した後、得られた混合物を空気中で850℃で20時間焼成して、Tiが添加されたコバルト酸リチウムの焼成体を合成した。この後、合成した焼成体を平均粒径が5μmになるまで粉砕して、第1の元素としてのTiが添加されたTi添加コバルト酸リチウムとした。なお、添加されたTiは、酸化物もしくはリチウム含有酸化物の形態で表面に存在したり、コバルト酸リチウムに固溶していたり、あるいはその両方の形で存在していると考えられる。
ついで、上述のように合成した平均粒径が5μmのZr添加コバルト酸リチウムα1〜α5と、平均粒径が10μmのスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn1.96Mg0.04O4)粉末とを、質量比で50:50となるように混合して混合正極活物質a10〜a50とした。なお、Zr添加コバルト酸リチウムα1を用いたものを混合正極活物質a10とし、Zr添加コバルト酸リチウムα2を用いたものを混合正極活物質a20とし、Zr添加コバルト酸リチウムα3を用いたものを混合正極活物質a30とし、Zr添加コバルト酸リチウムα4を用いたものを混合正極活物質a40とし、Zr添加コバルト酸リチウムα5を用いたものを混合正極活物質a50とした。
ついで、上述のように作製した混合正極活物質a10〜a50、混合正極活物質b10〜b50、混合正極活物質x0および正極活物質y0がそれぞれ85質量部で、導電剤としてのカーボンブラックが10質量部で、結着剤としてのフッ化ビニリデン系重合体粉末が5質量部となるように混合して正極合剤とした。ついで、これらの正極合剤にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合して正極スラリーとした。
天然黒鉛粉末が95質量部で、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末が5質量部となるように混合した後、これにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を混合して負極スラリーとした。この後、得られた負極スラリーを厚みが12μmの銅箔(負極集電体)の両面にドクターブレード法により、乾燥後の塗布量が18mg/cm2になるように塗布して、負極集電体の両面に負極活物質層を形成した。これを乾燥させた後、圧縮ローラを用いて充填密度が1.56g/cm3になるように圧延し、所定寸法(例えば幅が42mmで、長さが300mm)に切断して、負極を作製した。なお、負極活物質としては、天然黒鉛以外に、リチウムイオンを吸蔵・脱離し得るカーボン系材料、例えば、人造黒鉛、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼成体等を用いてもよい。
ついで、図1に示すように、上述のようにして作製した正極(a1〜a5、b1〜b5、xおよびy)11と負極12とを用い、これらの間にポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータ13を介在させて重ね合わせた後、これを巻き取り機により渦巻状に巻回して渦巻状電極群を作製した。この後、渦巻状電極群の上下にそれぞれ絶縁板14,14を配置した後、これらの渦巻状電極群をそれぞれ表面にニッケルメッキを施した鉄製の負極端子を兼ねる有底筒状の円筒形外装缶15内に開口部より挿入した。ついで、渦巻状電極群の負極12より延出する負極リード12aを外装缶15の内底面に溶接した。一方、渦巻状電極群の正極11より延出する正極リード11aを封口体16の蓋体16bの下面に溶接した。
(1)初期容量
これらの各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを用いて、25℃の温度雰囲気で、45mA(0.1It:Itは定格容量(mA)/1h(時間)で表される数値)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電した。この後、45mA(0.1It)の放電電流で電池電圧が3.1Vになるまで放電させるという充放電を1回だけ行って、放電時間から1サイクル目の放電容量を初期容量として求めると、下記の表1に示すような結果となった。
上述のように1サイクル目の放電容量(初期容量)を求めた後、これらの各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを用いて、25℃の温度雰囲気で、45mA(0.1It)の充電電流で、電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電した。ついで、60℃の恒温槽に30日間保存した後に恒温槽から取り出し、25℃の温度雰囲気で、45mA(0.1It)の放電電流で電池電圧が3.1Vになるまで放電させるという充放電を1回だけ行って、放電時間から、高温保存後の放電容量を求めた。ついで、1サイクル目の放電容量(初期容量)に対する、高温保存後の放電容量の比率(%)を高温保存後の容量維持率(高温保存後の容量維持率=(高温保存後の放電容量/初期容量)×100%)として求めると、下記の表1に示すような結果となった。
ついで、発煙もしくは破裂が生じるかという過酷な試験を行うために、上述のように各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを作製するに際して、以下のような特別な試験用電池を作製した。即ち、図1に示す封口体16内に、導電性弾性変形板18やPTC素子19を配設しない以外は上述と同様に、過充電特性試験用電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを作製した。そして、このような過充電特性試験用電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYを用いて、25℃の温度雰囲気で、5It(2250mA)という高率レートで連続的に充電するという過充電試験を行った。
ついで、このような過酷な過充電試験において、電池が発煙したかあるいは電池が破裂したかを確認したところ、下記の表1に示すような結果が得られた。なお、このような過酷な過充電試験においては、各電池A1〜A5,B1〜B5,XおよびYをそれぞれ50個ずつ用いてそれぞれ過充電試験を行い、発煙あるいは破裂が生じた電池の個数を表1に示している。
ついで、第1異種元素が添加されたコバルト酸リチウムに第2異種元素としてのMgあるいはAlを添加した効果について検討した。
そこで、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(Zr(SO4)2)と硫酸マグネシウム(MgSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)とマグネシウム(Mg)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのZrとMgが添加された四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(Ti(SO4)2)と硫酸マグネシウム(MgSO4)を添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)とマグネシウム(Mg)を共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTiとMgが添加された四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(Zr(SO4)2)と硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのZrとAlが添加された四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(Ti(SO4)2)と硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTiとAlが添加された四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸ジルコニウム(Zr(SO4)2)と硫酸マグネシウム(MgSO4)と硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にジルコニウム(Zr)とマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのZrとMgとAlが添加された四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。
また、硫酸コバルト(CoSO4)溶液に所定量の硫酸チタン(Ti(SO4)2)と硫酸マグネシウム(MgSO4)と硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)とを添加した後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を加えることによって、炭酸コバルト(CoCO3)合成時にチタン(Ti)とマグネシウム(Mg)とアルミニウム(Al)とを共沈させた。この後、これらを熱分解反応により、コバルト源の出発原料としてのTiとMgとAlが添加された四酸化三コバルト(Co3O4)を得た。
Claims (2)
- リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極活物質はスピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムとの混合物からなるとともに、
前記コバルト酸リチウムはジルコニウム(Zr)あるいはチタン(Ti)の少なくともどちらか一方の第1異種元素が添加されており、かつ、前記第1異種元素の添加量はコバルト(Co)量に対して0.01〜1.0モル%であることを特徴とする非水電解質二次電池。 - リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な正極活物質と、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な負極活物質と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池であって、
前記正極活物質はスピネル型マンガン酸リチウムとコバルト酸リチウムとの混合物からなるとともに、
ジルコニウム(Zr)あるいはチタン(Ti)の少なくともどちらか一方の第1異種元素とともにマグネシウム(Mg)あるいはアルミニウム(Al)の少なくともどちらか一方の第2異種元素が添加されており、かつ、前記第1異種元素の添加量はコバルト(Co)量に対して0.01〜1.0モル%であり、前記第2異種元素の添加量はコバルト(Co)量に対して0.01〜3.0モル%であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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