JP4565238B2 - 植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤 - Google Patents
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Description
(0) 植物が肥大化するまでは硝酸態窒素で効率良く太らせ、十分に生育後に培地の窒素源をアモンニア態窒素にして培養する事による方法。即ち、根圏から硝酸を強制的に取り去って培養する方法。この方法は、水耕では可能であるが土壌栽培では困難で、増収にも難がある欠点を持つ。
(1) 金属酵素機能の補強
モリブデン、マンガン、亜鉛など微量必須金属(鉄や銅なども)を特定成分に偏らずバランス良く、葉面散布など適切な方法で供給する事。
(2) カルシウム、マグネシウムの十分な供給
骨格を作るカルシウムとエネルギー分子ATPや葉緑素に関与するマグネシウムを、(1)の金属よりも十分に多量に吸収させる事。
(3) 光合成機能の葉面への供与
紫外線領域の光を効果的に取り込む酸化チタン投与などのように光合成機能そのものを補助する事。
(4) 光合成産物、炭素源の葉面への供与
糖発酵液中の有機酸と糖のように光合成産物を強制的に直接補給する事。
(5) 成長ホルモンの供与
藻類などに含まれているオーキシン、ジベレリン、サイトカニン、ベタインなどの成長ホルモンを活用する事。
(6) 尿素態窒素の葉面への供与
土壌に散布された尿素は、バクテリアで硝酸に酸化されてしまう。これに対し、葉面から取り込まれた尿素は硝酸代謝を促す。
(7) 酢酸もしくは酢酸塩の培地への供与。
(8) アモンニア態窒素の葉面への供与。
葉内で代謝過程にある亜硝酸をアンモニアと反応させ強制的に窒素と水に分解させる。
(9) ペプチド態窒素の供与。
(10) アミノ酸(非α-アミノ酸)化合物の供与。
因子(0)の特許文献13および14、
因子(1)の特許文献6および7、
因子(3)の特許文献8、
因子(4)の特許文献1、
因子(10)の特許文献10、
因子(7)の特許文献12、
因子(8)の特許文献11
がある。ついで、複合因子では、
因子(5)+(1)、もしくは因子(5)+(1)+(4)の特許文献4と5、
因子(4)+(2)+(6)で増収と同時に植物の抗酸化活性向上も行っている特許文献2、
因子(4)+(2)+(9)で特許文献2を凌ぐ特性を達成している特許文献3
に分類される。
つまり本発明は、植物の可食部位における残留硝酸濃度をより強力に低減させ、同時にこの低減した硝酸濃度状態をより長時間維持させる葉面散布剤を開発したのである。
(1)、糖類発酵有機酸水溶液と、マグネシウム塩溶液と、グリセリンと、アミノ酪酸及びメチオニンを含有してなる植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤。
(2)、糖水溶液とタンパク質水溶液を酵母種菌により糖発酵とタンパク質分解した糖類発酵有機酸水溶液と、マグネシウム塩溶液、グリセリンと、さらにアミノ酪酸及びメチオニン(Met)を含有してなる植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤。
(3)、可溶性総ペプチド濃度を可溶性総アミノ酸濃度以上に高めた糖類発酵有機酸水溶液と、マグネシウム塩溶液と、グリセリンと、アミノ酪酸及びメチオニンを含有してなる植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤。
(4)、酵母種菌により発酵させた糖水溶液に所定量の酢と尿素を加えた糖類発酵有機酸水溶液と、マグネシウム塩溶液、グリセリンと、さらにアミノ酪酸及びメチオニン(Met)を含有してなる植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤。
(5).タンパク質含有の糖水溶液を酵母種菌により発酵させ、その溶液に所定量の酢を加え糖類発酵有機酸水溶液とする。この糖類発酵有機酸水溶液100重量%に対し、酢酸マグネシウムをマグネシウム濃度が1〜6重量%になるように溶解させる。これらの混合溶液100体積%に対して5〜30体積%のグリセリンを添加する。さらにこのグリセリン混合液1L当たり、アミノ酪酸1〜20g及びメチオニンMet1〜20gとを含有させてなる植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤。
(6).糖水溶液を酵母種菌により発酵させ、その溶液に所定量の酢と尿素を加え糖類発酵有機酸水溶液とする。この糖類発酵有機酸水溶液100重量%に対し、マグネシウム塩をマグネシウム濃度が1〜6重量%になるように溶解させる。これらの混合溶液100体積%に対して5〜30体積%のグリセリンを添加する。さらにこのグリセリン混合液1L当たり、アミノ酪酸1〜20g及びメチオニンMet1〜20gとを含有させてなる植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤。
本発明の植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤は、散布母体液、即ち、ペプチド態窒素もしくは尿素に富む前記糖類発酵有機酸水溶液にマグネシウム塩を高濃度に溶解させた母液に、食用可能なグリセリンを高濃度に加え、更にγ−アミノ酪酸(GABA)とメチオニン(Met)を作用させたものである。グリセリンは葉の保湿効果を高めて、葉からの水分の蒸散を低減抑制し、根からの水に溶解した硝酸の取り込みを制限する(効果1)。また、グリセリンは、他成分の細胞浸透性も優れているため、生育活性能を持つGABAとMetの葉面からの取り込みを加速する。さらに、グリセリンはそれ自身が炭素源として代謝されるため、グリセリン、GABA、Metの三者を併用することは非常に効果的な葉内の硝酸代謝につながる(効果2)。効果2が母体液の硝酸低減作用と一緒に働く事により、植物の可食部位における硝酸濃度を速やかに、強力に低下させた高品質状態にする。さらに、効果1による根からの硝酸取り込み制限が、この高品質状態つまり残留硝酸低濃度状態をより長時間(期間)維持させる。低硝酸濃度の長期化は、農作物生産者に幅広い有効収穫作業期間を与える優れた効果を有するもので、農作物生産現場とって、極めて優しく効果的な葉面散布剤である。
マグネシウムは、代謝に不可欠なエネルギー化合物であるATPを活性化させるため、可能な限り高濃度が望ましい。蒸散抑制、炭素源、浸透補助の役目のグリセリンは、水にとける有機化合物であるため、高濃度では生育傷害が発現する。従って、作物毎にグリセリンの適切な上限濃度を設定するのが好ましい。高価なGABAとMetは、最も効果が高まる最低濃度を設定する事が好ましい。
この植物体内の残留硝酸低減用葉面散布剤の最良の形態と好ましい製造過程における各種成分濃度との関係を次に詳述する。
タンパク質を窒素源として含む場合:炭素濃度が25〜35重量%の糖水溶液と、水溶性タンパク質源濃度が7〜26重量%のタンパク質水溶液を、体積比で4(糖水溶液):6(タンパク質水溶液)から3(糖水溶液):7(タンパク質水溶液)の割合で混合溶解させる。この結果この混合液は炭素濃度として10〜14重量%の糖と、4〜16重量%の水溶性タンパク質源を含む水溶液となる。次にこの水溶液を酵母種菌により糖の有機酸への発酵と同時にタンパク質をペプチドとアミノ酸へ分解して、トリクロロ酢酸処理後の可溶ペプチドがLOWRY法による定量値で30〜60g/L濃度含まれる糖類発酵有機酸水溶液にし、この糖類発酵有機酸水溶液100重量%に、酢に溶解した濃度2〜4重量%のマグネシウム天然鉱石を1〜6重量%又はこのマグネシウム塩溶液及び尿素を溶解させる。この水溶液に対してグリセリンを5〜30体積%溶解させる。さらにこのグリセリン混合液1L当たり、アミノ酪酸1〜20g及び又はメチオニンMet1〜20gを加える事で本例の製造過程を終了する。
尿素を窒素源として含む場合:糖水溶液を酵母種菌により発酵させ、その溶液1Lに所定量の酢(10〜20度100mL)と尿素(50〜400g)を加え糖類発酵有機酸水溶液とする。この糖類発酵有機酸水溶液100重量%に対し、マグネシウム塩をマグネシウム濃度が1〜6重量%になるように溶解させる。これらの混合溶液100体積%に対して5〜30体積%のグリセリンを添加する。さらにこのグリセリン混合液1L当たり、アミノ酪酸を1〜20g及びメチオニンMetを1〜20gとを加える事で本例の製造過程を終了する。
そしてこのようにして製造して得た葉面散布剤において、植物に散布する際の希釈程度は、通常は水で50〜1500倍に希釈し、より好ましくは水で100〜500倍に希釈すれば後述の所期の各種効果が確実に得られるものである。
表2には、母液として糖発酵液1、糖発酵液2、糖発酵液3の各例を示す。糖発酵液1は、可溶性ペプチドに富む糖蜜発酵有機酸液に酢酸マグネシウムを飽和溶解した母液である。糖発酵液2は、尿素を所定量添加した糖蜜発酵有機酸液に硫酸マグネシウムを飽和溶解した母液である。糖発酵液3は、糖発酵液2に粉末海藻を添加した母液である。以下に糖発酵液1、2および3の具体的な製造方法を述べる。
糖発酵液1の製造: 卵白18L(リットル以下同じ)を激しい撹拌で室温で水に溶解させ、60Lの水溶液とした。均一溶解が困難な場合には、加熱により殺菌処理した海水(イオン強度が高い水)を室温で1Lほど添加し溶解させる。脱脂粉乳の場合は、市販牛乳とほぼ同じ濃さを目安に、4.6kgの粉乳を温水に撹拌しながら溶解させ60Lの水溶液とする。これら水溶液と廃糖蜜液(炭素28wt%、比重1.39、Brix度82%)40Lを混合し、十分に撹拌して100Lのタンパク質と糖蜜の混合水溶液を得る。これに種菌液を1Lほど混合し、外気の流入を遮断した上で、恒温相中で33℃前後に撹拌する事無く静置する。一週間に一度の割合で撹拌を兼ねた空気吹き込みを実施し、糖度計による糖度を追跡する。糖度が、一定値に収束するまで、静置を続ける。仕込み後、1−2週間は、発酵に基づく激しい二酸化炭素の発泡が認められ、その後、上記の条件で数ヶ月発酵を継続させると「醤油」臭の黒色水溶液が得られる。発酵度合いを屈折率型糖度計で追跡した場合、卵白の場合は、仕込み直後 41.0±0.5 Brix %の糖度が、次第に減少し、30.5±0.5Brix %で一定値を示すようになる。この発酵液2.75Lに対し、20度の食用酢250mLを混合する。さらにこの約3Lの水溶液に水和した酢酸マグネシウム固体を室温で飽和溶解に達するまで溶解させて糖発酵液1を得る。
糖発酵液2の製造: 廃糖蜜液(炭素28wt%、比重1.39、Brix度82%)40Lを純水60Lに室温で撹拌溶解させ100Lの水溶液を得る。これに種菌液を1Lほど混合し、外気の流入を遮断した上で、恒温相中で30℃前後に撹拌する事無く静置する。一週間に一度の割合で撹拌を兼ねた空気吹き込みを実施し、糖度計による糖度を追跡する。糖度が、一定値に収束するまで、静置を続ける。仕込み後、2-4週間は、発酵に基づく激しい二酸化炭素の発泡が認められ、その後、上記の条件で6ヶ月以上発酵を継続させると27-30 Brix %糖度で一定値を示すようになる。この発酵液1.0Lに対し、15度の食用酢100mLと尿素粉末400gを加えて水溶液を得る。この尿素入り水溶液に硫酸マグネシウム粉末を室温で飽和溶解に達するまで溶解させて糖発酵液2を得る。
糖発酵液3の製造: 糖発酵液2の製造過程で得られる27-30 Brix %糖度の発酵済み液1.0Lに対し、15度の食用酢100mLと尿素粉末200gを加えて水溶液Aを得る。これとは別に、糖発酵液2の製造過程で得られる27-30 Brix %糖度の発酵済み液1.0Lに対し、15度の食用酢100mLと海藻粉末25gを溶解させて水溶液Bを得る。水溶液Aと水溶液Bを等体積混合して糖発酵液3を得る。
尚、上記製造説明において、
注1: 卵白18Lを、第一製糖(株)社の糖蜜40L、水42Lと共存下、36℃で3月間、酵母発酵した糖蜜発酵液を使用。
注2: 一切の水溶性タンパク質源を含まない、第一製糖(株)社の糖蜜40Lと水42Lを、室温で10ヶ月間、酵母発酵した糖蜜発酵液を使用。
注3: 硫酸マグネシウム、食品添加物、赤穂化成社を使用。酢酸マグネシウムは、有機JAS認証済みク溶解性苦土鉱石(陸王、日本バイオ肥料社)と醸造酢(HA150、マルカン酢社)を原料として加熱とろ過操作のみで固体酢酸マグネシウムを作成して使用。
注4: アルギン酸を約30重量%、ラミナリンを約5重量%、フコダインを約10重量%、マンニットを約 8重量%、その他の構成成分は糖中心の海藻粉末(窒素2重量%、リン酸P2O5 2重量%、カリK2O 15重量%)。
これらの操作により、炭素源としての有機酸とグリセリン、窒素源としてのα-アミノ酸とペプチド、非α-アミノ酸、尿素そしてマグネシウム中心とした金属イオンを含めた2種類の葉面散布剤、即ち表3〜表6に記載のA0〜A5と、表7〜表9に記載のB1、B2とC1を得た。
表3〜表6の葉面散布剤A0〜A5は100倍、表7〜表8の葉面散布剤B1とC1は500倍、表7のB1とB2は300倍に水で希釈して植物の葉面に散布処理した。散布頻度は、収穫までの週1回ないし2回の散布で効果が得られる。これよりも多く用いる場合は、吸肥が旺盛になるため、土壌中の肥料残量を追跡しながら散布することが好ましい。
測定対象とした農作物を同一の条件(温度、日照、水分)で複数固体生育させた。本例の葉面散布剤を用いる区(散布区)と用いない区(対照区)を同数用意した。試験は、西南暖地(大分市と佐伯市)で実施した。
表3には、3/12と13の両日、高菜の葉の表裏面に葉面散布剤A1の100倍希釈水溶液を霧吹きで十分に吹き付け、19日までの葉の硝酸濃度をまとめている。無散布地区Z1の硝酸値は1000ppm前後で一定している。これに対して、三つの散布区Z2〜Z4の硝酸値は変動している。特定アミノ酸とグリセリンを含まない糖発酵液1のみの散布地区Z2では、散布翌日に660ppmとやや硝酸濃度が低下するが日数の経過とともに硝酸濃度が増加し、19日には散布直前の硝酸濃度を越して1600ppm近くに達している。糖発酵液1に特定アミノ酸のみを加えた葉面散布剤a1の散布処理地区Z3では、15日に硝酸濃度が240ppmまで低下して、その後上昇に転じる。糖発酵液1にグリセリンと特定アミノ酸の双方を加えた葉面散布剤A1の散布処理地区Z4では、硝酸濃度の低下幅が最も大きく、15日には200ppmを下回り、19日になっても200ppmを切ったままである。
表4には、3/30、ほうれん草(品種アンナ)に葉面散布剤A1の100倍希釈水溶液を霧吹きで十分に吹き付け、4/2日までの葉の硝酸濃度をまとめている。無散布区Z5の硝酸値は、3000ppm前後で一定している。一方、二つの散布区Z6 、Z7の硝酸値は無散布地区Z5に比し変動している。一つは糖発酵液1にグリセリンだけを加え特定アミノ酸を含まない葉面散布剤a2の散布地区Z6で、ここはゆっくりと硝酸濃度が低下し、散布後三日目で3340ppmから2700ppmまで低下する。これに対して、もう一つは糖発酵液1に特定アミノ酸とグリセリンを同時に添加した葉面散布剤A1の散布処理地区Z7で、ここは散布後二日後に1300ppmまで低下し、その後、硝酸濃度の増加に転じている。
表5は、3/18の午前中、ほうれん草に葉面散布剤A0からA5の100倍希釈水溶液を霧吹きで十分に吹き付け、20日までの葉の硝酸濃度をまとめている。グリセリン含有量が、7、14、27、40体積%の五つの葉面散布剤を評価している。特定アミノ酸は、五つの葉面散布剤全てで同じ濃度に調整している。グリセリン濃度を変化させた散布地区Z9、Z10、Z11は、全て無散布地区Z8に比し、散布当日の日没前には、2990ppmから1600〜2000ppmまで急速に低下している。グリセリン濃度の効果は、散布翌日以降に認められる。グリセリン濃度が低い散布地区Z9とZ10では、翌日には硝酸濃度が上昇に転じ、散布三日後には散布前とほぼ同等の約3000〜3200ppmまで高まっている。一方、グリセリン濃度が高い散布地区Z11では、三日後であっても1500ppmを下回っている。また、最も高いグリセリン濃度のZ12では、生育傷害が認められ評価できなかった。
表6は、3/18の午前中、早春ほうれん草(アトラス)に葉面散布剤A1、A4とA5の100倍希釈水溶液を霧吹きで十分に吹き付け、20日までの葉の硝酸濃度をまとめている。グリセリン含有量は全て、14体積%としている。特定アミノ酸量は、三つの葉面散布剤で 1L当たりGABA/Met 2.5g/2.5g、同5.0g/5.0g、同10.0g/10.0gと変化させている。確かに、特定アミノ酸の量を変化させた散布地区Z13、Z10、Z14は、全て無散布地区Z8に比し、散布当日の日没前には、2990ppmから1500〜2900ppmまで低下している。しかし、硝酸値の低減度合いは、特定アミノ酸濃度に依存している。最も特定アミノ酸濃度が低い散布地区Z13では、どのサンプリング時間であっても2500 ppmを下回ることはない。これに対し、最も特定アミノ酸濃度が高いZ14では、1510ppmまで低下して、翌日からは硝酸値が上昇している。これらの中間の特定アミノ酸濃度であるZ10は、わずかにZ14に硝酸低減能において及ばないもののZ14とほぼ硝酸低減特性は同じであると結論できる。
特定アミノ酸の濃度効果の再現性を異なる母液で確認した。表7は、6/5の午前中、初夏ほうれん草(アクティオン)に葉面散布剤B1とB2の300倍希釈水溶液を霧吹きで十分に吹き付け、8日までの葉の硝酸濃度をまとめている。グリセリン含有量は全て、14体積%としている。特定アミノ酸量は、二つの葉面散布剤で 1L当たりGABA/Met 5.0g/5.0g(B1区)と同10.0g/10.0g(B2区)と変化させている。4回の散布処理によりグリセリンと特定アミノ酸を含まない糖発酵液2のみの処理では4000ppmを超える硝酸濃度があり、根からの硝酸取り込みが、葉内での硝酸代謝よりも優先している。これに対し、特定アミノ酸とグリセリンを添加した区では、4回目の散布直前から2500ppm程度の小さな硝酸値で、散布によりさらに硝酸値の低下が生じる。特定アミノ酸濃度効果ははっきりと現れている。春先のデータを示した表6では、A1区が、A5区よりもわずかに良好な硝酸低減特性を示しているが大差と言うほどの差ではない。これに対し、初夏のデータを示した表7は、GABA/Met10.0g/10.0gのB2区が、同5.0g/5.0g区のB1区よりも劣った硝酸低減特性(硝酸低下の度合いが小さく、硝酸の再上昇も早い)を示している。
ペプチド態窒素と酢酸マグネシウムの存在を特徴とした糖発酵液1に代わり、尿素と硫酸マグネシウムの含有を特徴とした糖発酵液2(葉面散布剤B1)と海藻の添加を特徴とする糖発酵液3(葉面散布剤C1)を母液として、硝酸濃度に与えるグリセリンと特定アミノ酸を添加した効果を表7にまとめている。糖発酵液2のみの散布処理地区Z19の硝酸値は、無散布地区Z18のそれよりもむしろ増加している。これに対して、糖発酵液2にグリセリンと特定アミノ酸を含む葉面散布剤B1の散布処理地区Z20は、散布当日の日没前には、3240ppmから2350ppm前後まで急速に低下し、散布四日後の5/30には1340ppmまで低下している。一方、海草成分とグリセリンと特定アミノ酸含有を特徴とする葉面散布剤C1の処理区Z21は、散布当日の日没前では硝酸値の低下が認められないが、翌日、翌々日には3240ppmから2310、219ppmとゆっくりと低下している。
糖発酵液2および糖発酵液3にグリセリンと特定アミノ酸を添加した葉面散布剤B1とC1が、収穫量に及ぼす影響を表9にまとめている。散布処理は、計三回行い、最終散布から二日後の5/28から連続して三日間の収穫量調査を行った。表9の重量は、異なる20株から一葉を採り、計20葉の合計重量である。対照とする無散布地区Z22は、散布地区ともに5/28から30までの三日間で大きな変動はない。その平均値をみると、無散布地区Z22が最も少ない収穫量で、葉も一回り小さい。これに対して、糖発酵液2のみの散布地区Z23が最も収量に優れて、葉も一番大きい。糖発酵液2および糖発酵液3にグリセリンと特定アミノ酸を添加した系葉面散布剤B1とC1の散布地区Z24とZ25は、これらの中間の収穫量を示す。
増収と同時に硝酸の低減を行うには、糖発酵液1、もしくは、糖発酵液2単独を使用して生育促進させ、収穫予定直前に硝酸低減能に優れる本発明の糖発酵液1又は糖発酵液2にグリセリンと特定アミノ酸を添加した葉面散布剤A1、A2、B1等を散布するコンビネーションが極めて重要であり効果的である。
Claims (2)
- ペプチド類の重量濃度が30〜60g/Lである糖と水溶性タンパク質の糖類発酵有機酸水溶液100重量%に対して、マグネシウム塩溶解によりマグネシウム濃度を1〜6重量%にし、更に前記マグネシウム塩を溶解した糖類発酵有機酸水溶液100体積%に対して5〜30体積%のグリセリンを溶解し、更に前記マグネシウム塩とグリセリンを溶解した糖類発酵有機酸水溶液1L当たりアミノ酪酸1〜20g及びメチオニン1〜20gを添加してなる葉面散布剤。
- 水溶性タンパク質が卵白と粉乳の一つ以上である請求項1に記載の葉面散布剤。
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