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JP4559940B2 - 静電荷現像用トナーの製造方法及び評価方法 - Google Patents

静電荷現像用トナーの製造方法及び評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電荷現像用トナーに関し、詳しくは、優れた流動性特性および帯電特性を有し、高速の画像形成(複写機やプリンタなど)に対応でき、繰り返し使用においてもドット再現性が良好で高品質画像が得られる静電荷現像用トナーの製造方法ならびにトナーの評価方法に関する。
複写機やプリンタなどにより形成される画像は高画質化が進んでおり、最近では細かいドットの再現性が非常に重要になっている。このドットの再現性は、トナーや現像剤の帯電量などの他に流動性によって非常に影響され、細かい潜像部に均一なトナー層または現像剤層を安定して供給することが必要になっている。さらに、複写機やプリンタにおいては高速化が進み、現像域へのトナーや現像剤の安定した供給が今まで以上に必須の条件となっている。
また、高画質化等の進展に伴う高度の要求に適用するトナーにおいては、小粒径化、高機能化が進んでいる。そのため、トナーの構造が複雑になってきており、従来に較べてトナー作製時におけるより細かい製造技術や制御が必要となってきている。特に、トナーの流動性はドット再現性の他、種々の画像品質に影響を与えるため、流動性を調整するための技術は非常に重要である。
例えば、球状トナーを得るための製造方法として、従来の粉砕方式に代って重合法等の他の方式も採用されており、このような製造方法(製造条件)の変化に伴ってトナーの流動特性も大きく変化している。そのため、重合法によりトナーを製造する場合、粉砕方式の場合に比較して、作製時における緻密なコントロールとトナーの評価が必要となっている。
上記要請に対処すべくトナーの流動性を調整するための手法が種々検討されている。
例えば、懸濁重合によってA、B二種類の樹脂成分と極性樹脂からなる相分離構造を有し、樹脂の分離構造により表面に所定(1.01<トナー投影面積の周辺長/内接円の円周長<2.00)の凹凸を持たせた球状のトナー粒子を得る手法を提案している(例えば、特許文献1参照。)。
上記手法により、添加剤を添加した球状トナーの特性劣化や耐久性を改善できるとしている。
しかし、上記手法ではトナー表面の周期性に関しては規定しておらず、ランダムな表面性でもよいことになる。このようなランダムな表面では、高画質の画像形成には適しておらず、不十分である。
また、トナーの表面形状性をD/d50(D:トナーの形状を球と仮定した時のBET比表面積からの換算粒径、d50:粒径別相対重量分布の50%相当粒径)で表し、その数値を規定((D/d50)≧0.40)して、静電潜像担持体と現像剤担持体との間に振動電界を作用させて現像を行なう二成分現像方法が提案されている。
上記によれば、現像領域でのトナーの移動性が良くなるとしている。しかし、この表面形状性の規定の仕方では、表面性の周期性は規定することにはならないため、トナー間にバラツキが生じて高画質化を実現することが難しい(例えば、特許文献2参照。)。
特開平05−341573号公報 特開平11−295989号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、複写機やプリンタなどの高速化に対応できる流動特性(流動性)および帯電特性を有し、繰り返し使用においてもドット再現性が良好で高品質画像(高画質)が得られる静電荷現像用トナーの製造方法および評価方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、トナー粒子の表面形状をSEMにより測定し、その粒子の輪郭線の細かい凹凸形状を解析して数値化し、表面形状を定量的に規定することにより、所望とする流動性が安定して得られ、このように規定し、評価管理して製造したトナーを用いることによりドット再現性が良好で高画質が得られ、上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
すなわち本発明は、樹脂および顔料を含む静電荷現像用トナーの評価方法であって、
トナーの粒子表面形状をSEMにより測定し、トナー粒子表面の輪郭線をそのトナー粒子の粒径の1/6000〜1/20になる一辺dの正方形により区分し、そのときにできる正方形の個数N(d)を求めた時に成立する下記(1)式におけるD値を指標として静電荷現像用トナーの評価を行うことを特徴とする静電荷現像用トナーの評価方法に係るものである。
N(d)∝d−D ‥‥(1)
また本発明は、前記D値の平均値が、1.0350〜1.0500の範囲に入るか否かで静電荷現像用トナーの評価を行うことを特徴とする。
上記評価方法により、目的とするトナーの流動性を評価管理すれば、ドット再現性が良好で高品質の画像が得られるトナーであるか否かを適切に評価することができる。
そして本発明は、上記静電荷現像用トナーの評価方法を用い、トナー製造条件についてD値を指標として管理し、静電荷現像用トナーを製造することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法に係るものである。
上記製造方法により、目的とする流動性を評価管理して製造すれば、ドット再現性が良好で高品質の画像が得られるトナーが安定して作製される。
発明の静電荷現像用トナーの製造方法によれば、製造工程における粒子表面形状(D値)を管理してトナー粒子表面形状を最適化することにより、ドット再現性のよい高画質の得られる静電荷現像用トナーを製造することができる。
本発明の静電荷現像用トナーの評価方法によれば、ドット再現性が良好で高品質の画像が得られるトナーであるか否かを適切に評価することができる
本発明の静電荷現像用トナーは、樹脂および顔料を含むトナーの粒子表面形状をSEMにより測定し、トナー粒子表面の輪郭線をそのトナー粒子の粒径の1/6000〜1/20になる一辺dの正方形により区分し、そのときにできる正方形の個数N(d)を求めた時に、N(d)とdとの関係が下記(1)式を満足し、かつ(1)式を用いて求めたDの値の平均値が1.0350〜1.0500になるものであることを特徴とする。
N(d)∝d−D ‥‥(1)
また、本発明の上記静電荷現像用トナーは、樹脂および顔料を含むトナー母体の表面に添加剤を付着または固着させたものであることを特徴とする。
すなわち、トナー製造条件について、トナーの粒子表面形状をSEMにより測定し、トナー粒子表面の輪郭線をそのトナー粒子の粒径の1/6000〜1/20になる一辺dの正方形により区分し、そのときにできる正方形の個数N(d)を求めた時に成立する上記(1)式におけるD値を指標(Dの値の平均値が1.0350〜1.0500)として管理し製造することにより、流動性が好適で繰り返し使用においてもドット再現性が良好な静電荷現像用トナーを安定して提供することが可能となる。ここで、SEMによる測定は、5箇所以上、好ましくは5〜30箇所を測定し、D値はその時の平均値とする。
評価方法についてさらに詳しく説明する。
本トナーの評価に用いる方法は、トナー粒子の輪郭像をSEMにより撮影し、その画像を2値化処理した後、さらに線画処理してそのトナー粒子の輪郭線画像を解析してトナー粒子表面の凹凸形状を評価する方法である。本評価法を用いると非常に分解能が高く、トナー粒子1個の細かい表面凹凸形状の評価ができる。
前記式(1)を満足するかどうかは、dを変化させてd−N(d)特性を求めることにより評価する。dの値は、トナー粒子表面の微細な凹凸状態を評価するのに好適な条件、すなわちトナー粒子の粒径の1/6000〜1/20になるように設定した。そして、(1)式を満足するかどうかを調べるために、dの値をトナー粒子の粒径の1/6000〜1/20の範囲内において、好ましくは5〜30箇所変化させてd−N(d)特性を求める。
dの値がトナー粒子の粒径の1/6000未満の場合には非常に微細な測定スケールになるため、輪郭線のボケなどの影響が大きくなって正確な評価ができなくなるため解析に適さない。一方、dの値がトナー粒子の粒径の1/20より大きい場合には、トナー粒子表面の微細な凹凸の変化を評価することができず、誤った結果が生じるため、解析に適さない。
また、解析の基本となるのはトナー粒子のSEM画像であるので、その粒子の輪郭画像をきれいに撮るということが必要になる。このため、SEMでもFE−SEMなどの高分解能なSEMを用いた方が良く、トナー粒子の輪郭部に焦点を合せて撮影するようにする。
図1に示す画像処理の例を参照してトナー粒子表面の形状測定の流れを以下に示す。
(1):SEMによりトナー粒子の輪郭像を撮る。
(2):その輪郭像を2値化処理する。
(3):(2)の輪郭像を輪郭線像にする。
(4):輪郭線を一辺dの正方形で区分して、そのときの正方形の数N(d)を求める。
(5):dのスケールを変化して、(4)の測定を繰返す。
(6):d−N(d)特性を求める。
(7):(6)の両対数プロットから、(1)式を用いてDの値を求める。
(1)〜(7)を繰返して、トナー粒子表面の細かい凹凸形状を評価する。本トナーの測定法は一例であり、今回正方形で区分してその正方形の数を求めたが、例えばコンパスを用いて輪郭線を区分しコンパスで区分された数を求めてもよい。
本測定法で測定したd−N(d)特性の結果の一例を図2に示す。
d−N(d)特性は両対数のグラフで表し、非常にきれいな直線関係にあり、一次の負の相関関係があることが分る。これから、d−N(d)特性は(1)式を満足していることが分かり、図2の特性の傾きからDの値を求める。このD値を用いて、流動性との関係を調べた結果、図3が得られた。
上記流動性の評価は円錐ロータ装置を用いて行なった。円錐ロータ装置の例としては、例えば、特開2004−37971号公報に示されているような構成、方式のものが挙げられる。
円錐ロータ装置は、粉体相中に円錐ロータを回転させながら、侵入(下降)させたり、引抜(アップ)いたりさせ、そのときに円錐ロータやトナー粉体相が入っている容器にかかるトルクや荷重を測定し、そのトルクや荷重の値により流動性を評価するものである。
その結果、Dの値が1.0350〜1.0500の場合にトルクが小さくなり、流動性が良くなることが分かった。
さらに、トナー粒子1個を探針の先端またはその周辺に接着剤で付着させ、原子間力顕微鏡(以下、AFM)によりその探針を同じトナー粒子からなるトナー粉体相表面に一度押し付けた後探針を引離す操作を行ない、そのときのトナー粒子間に働く力の変化を測定して、探針をトナー粉体相に近づけるときと引離すときの力の差によりトナー粒子同士の粒子間力を評価した。
その結果、Dの値が1.0350〜1.0500の場合に、AFMにより測定した時のトナーの粒子間力が1〜40nNで小さい値を示した。なお、AFMによる測定は10回〜50回繰返し行い、その時の平均値としてトナーの粒子間力を求める。
以上のトルクと粒子間力の結果から、D値が1.0350より小さい場合には粒子同士の接触面積が大きいためトナー粒子間の粒子間力が大きく、トルクが大きくなり、流動性は悪くなった。D値が1.0500より大きくなると凹凸による接触点数が多くなり、粒子間力が大きくなると共にトナー粒子間の摩擦成分が大きくなり流動性が悪くなった。
流動性にはランダムな周期の凹凸が効いているように考えられるが、ある程度規則的で適度な凸部をもつことが非常に重要で、一例として花粉などが非常に流動性がよいのは規則的な凹凸を有しているためだと考えられている。
このように規則的で適度な凸部があれば、部分的に粒子の変形や粒子表面に吸着物が存在しても、動きやすさへの影響は小さくなる。本発明では微細な規則的な凹凸を測定のスケールを細かくして且つ変化させて繰返し測定を行なうことにより評価する。
従来行なわれていた走査型プローブ顕微鏡(以下、SPM)分析の場合より精度が高くなり、実際の流動性等の特性に対応した評価が可能になった。SPM法では、体積平均粒径が4〜8μmであることを特徴とする小さなトナー母体からなるトナー粒子表面の一部に探針を近づけたり、接触させたりして測定することが難しく、かつ評価する面積が1000nm×1000nmより小さくトナー粒子の部分的な評価しかできない。また、トナー粒子表面の湾曲補正をしたりする必要が生じたりして問題となる。
流動性のよいトナーを作るのは、トナー粒子表面を微粒子で表面処理することにより、ある程度の規則的な周期の凹凸を持つ構造が可能になる。但し、微粒子を添加する前のトナー母体の表面が凹凸の激しい粗い表面だと難しく、トナー母体の平均円形度が0.90〜0.99であることが必要である。
平均円形度が0.9より小さい場合には微粒子の添加処理を行なっても表面凹凸形状をコントロールすることができず最適なDの値が得られ難く、0.99より大きい場合にはトナーの流動性以外の飛散やクリーニング性が悪くなるなどの不具合点が生じ問題となる。
このトナーの円形度は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行なった。トナー粒子の形状を制御する方法としては、分級工程後のトナー粒子を回転体の中に入れて高速回転させたり(ハイブリダイザー、株式会社奈良機械製作所)、瞬間的に粒子表面に熱を加えるような工程(サフュージョンシステム、日本ニューマティック工業株式会社)を通過させたりして実現できる。
トナー粒子表面の形状のコントロールは、添加剤の微粒子の種類、粒径、添加する際の混合条件や固着注入条件によってできる。添加する微粒子の種類は無機微粉体が最適であり、その平均粒径は10〜200nmの小さい粒径のものが最適である。
無機微粉体としては、Si、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物や複合酸化物が挙げられる。これらのうち二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、アルミナの微粒子が好適に用いられる。
本発明では、トナー粒子表面のDの値を1.0350〜1.0500の適した条件範囲に入れる必要があり、それを実現するための条件を検討した。
その結果、特に、添加剤が、平均粒径10〜200nmの二酸化珪素(シリカ)を含み、トナー母体に対する被覆率が20〜35重量%であることが好ましいことが分かった。すなわち、上記条件でトナー母体表面に二酸化珪素からなる添加剤を付着または固着させる。
トナー粒子表面の添加剤被覆率は、トナー粒子のSEM像からトナー粒子表面での添加剤の占有面積より求めた。
無機微粉体のトナー母体に対する被覆率は、上記のように20〜35%の被覆率で使用されるのが好ましい。20%未満では、トナー粒子表面のDの値が1.0350より小さくなり、トナー流動性を改善する効果が乏しくなった。また、35%を超える場合はトナー粒子表面のDの値が1.0500より大きくなり、トナー流動性が悪くなり、画像の細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向になった。
また、添加剤の平均粒径が10nmより小さい粒径の場合には凹凸の効果を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には適正な凹凸を作り出すことが難しくなる。あるいは、添加剤として少なくとも平均粒径10〜100nmの無機微粉体と平均粒径100〜200nmの無機微粉体を組合せて樹脂、顔料からなるトナーの表面に付着または固着させてもよい。
その場合に、添加剤が、平均粒径10〜100nmの二酸化珪素と平均粒径100〜200nmの二酸化珪素を含んでもよい。さらに添加剤が、平均粒径10〜200nmの二酸化チタンを含むことが好ましい。
上記各種無機微粉体は、さらに疎水化処理剤等により表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等が挙げられる。
また、トナーが電荷制御剤を含んでいる形態の1つとして、樹脂、顔料からなるトナーの表面に電荷制御剤を付着または固着させ、トナー表面形状を適正な凹凸を持つようにしてもよい。
その場合、電荷制御剤の平均粒径は10〜200nmの小さい粒径のものが最適である。10nmより小さい粒径の場合には凹凸の効果を作り出すことが難しく、200nmより大きい粒径の場合には適正な凹凸を作り出すことが難しくなる。
電荷制御剤としては、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等があり、2種類以上組み合せたりしてもよい。
添加する際の混合または固着注入条件としては、主に混合回転数によってトナー粒子表面の形状が制御される。つまり、混合回転数により、トナー表面に微粉体を付着させる力を制御することができる。混合回転数は1000rpm〜6000rpmが最適であり、混合回転数が1000rpmより低回転数の場合には微粉体がトナー母体表面に非常に弱い力で付着するような形になり、表面形状の安定さが失われ、トナー飛散、機内汚染等が生じやすくなる。一方、混合回転数が6000rpmより高回転数では、添加された微粉体が添加される前のトナー(母体)表面内部に食込むと共に、表面の凹凸がならされて凹凸が小さくなり、流動性は逆に悪くなる。
これらの混合条件は、混合機の種類によって異なる。混合機には、粉体を容器の回転などにより混ぜる、撹拌羽根などにより混ぜる、隙間などを通過させてこねる、高速回転させて壁に衝突させる、高速気流中に投入し粒子同士を衝突させる等の方法があるが、本発明にはトナー表面に付着した微粉体が細かく分散して均一に付着するように、壁間の隙間などを通過させて粒子間にせん断エネルギーを与えたり、撹拌羽根を高速回転させたり高速気流中に投入したりして粒子に衝突エネルギーを与えたりする方法が適している。
このような混合機の場合には、粒子に働くせん断エネルギーや粒子間の衝突エネルギーが大きく、添加される前のトナー(母体)と微粉体との間に働くエネルギーが大きくなりやすい条件にあるので、細かく最適な条件を調整する必要がある。つまり、混合回転数は1000rpm〜6000rpmの最適な混合条件で実施する必要がある。混合時間はトナーの温度が上昇しないように短時間で処理するのが好ましい。
本構造をもつトナーは、高画質画像を実現するために、トナー母体の体積平均粒径は4〜8μmであり、さらに好ましくは5〜7μmである。トナー母体の体積平均粒径が4μm未満では長期間の使用でのトナー飛散による機内の汚れ、低湿環境下での画像濃度低下、感光体クリーニング不良等という問題が生じやすく、人体への影響も懸念される。また、体積平均粒径が8μmを超える場合では100μm以下の微小スポットの解像度が充分でなく非画像部への飛び散りも多く画像品位が劣る傾向となる。
本発明における静電荷現像用トナーを用いて、接触または非接触現像を行う現像方法を用いることができる。現像方法の1つとして、例えば、静電荷現像用トナーと共に粒径20〜70μmのキャリアを用いる2成分現像方法を適用することができる。
2成分現像方法においては、高画質画像を実現するために、キャリアの平均粒径が20〜70μmであることが必要である。キャリアの平均粒径が20〜70μmの範囲にあると、現像機内部のトナー濃度が2〜10重量%の範囲内において、トナーの帯電量をより均一にすることができる。20μmより小さくなるとキャリア粒子の感光体上への付着等が生じやすく、さらにトナーとの撹拌効率が悪くなりトナーの均一な帯電量が得られにくくなる。逆に、キャリアの平均粒径が70μmを超える場合では、細かい画像再現性が悪くなり、高画質は得られない。
トナーおよび現像剤の詳細を以下に示す。
トナーの成分として用いられる樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン、ビニル樹脂、ポリオレフィン、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール等がある。
ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
〔A群〕:
エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
〔B群〕:
マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
〔C群〕:
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。
ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
樹脂として、結晶性ポリエステルは好ましく用いられる。すなわち、結晶性を有し分子量分布がシャープでかつその低分子量分の絶対量を可能な限り多くした脂肪族系ポリエステルが好ましい。
このような結晶性ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)において結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、紙への定着機能を発現する。この結晶性ポリエステル樹脂の使用により、樹脂のTgや分子量を下げ過ぎることなく低温定着化を達成することができる。そのため、Tg低下に伴なう保存性の低下はない。また、低分子量化に伴なう高すぎる光沢や耐オフセット性の悪化もない。したがってこの結晶性ポリエステル樹脂の導入は、トナーの低温定着性の向上に非常に有効である。
本発明のトナーおいて、低温定着性を発現し、耐ホットオフセット性を確保するためには、トナー中の樹脂および離型剤の合計量に対して、結晶性ポリエステルの含有量は1〜50重量%であり、離型剤の含有量は2〜15重量%であることが好ましい。結晶性ポリエステルの含有量が1重量%未満の場合は低温定着性に効果がなく、50重量%を超える場合はホットオフセット性が悪化する。離型剤含有量が2重量%未満の場合は、耐オフセット性に効果がない場合があり、15重量%を超える場合には、トナー流動性の低下が生じる。
結晶性ポリエステル樹脂の分子構造については、限定的でないが、ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点の観点から、炭素数2〜6のジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびこれらの誘導体を含有するアルコール成分と、マレイン酸、フマル酸およびこれらの誘導体を含有する酸成分とを用いて合成される下記一般式(2)で表される脂肪族系ポリエステル:
[-0-CO-CR1=CR2-CO-O-(CH2)-] ‥‥(2)
(式中、n、mは繰り返し単位の数で、R1、R2は水素原子または炭化水素基を示す。)
を含有することが好ましい。
また、ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点の観点から、非線状のポリエステルを合成するためにアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールを追加し、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行ってもよい。
結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましく、80〜130℃の範囲にあることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)が80℃未満の場合は耐熱保存性が悪化し、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しやすくなり、130℃より高い場合には定着下限温度が高くなるため低温定着性が得られなくなる。結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、DSCによる2nd昇温時の吸熱ピーク温度である。
トナーの成分として用いられる顔料としては以下のものが例示される。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
上記顔料は1種または2種以上を混合して使用することができる。
特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
本発明のトナーは電荷制御剤を含むことができる。すなわち、電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)することが好ましいが、トナー粒子と混合(外添)して用いてもよい。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。
トナーを正電荷性に制御する電荷制御剤として、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合せて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御する電荷制御剤として、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
また、本発明におけるトナーは離型剤を含むことができる。すなわち、定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することが可能である。
離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックスおよびその誘導体、パラフィンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。
これら離型剤の融点は65〜90℃であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着ローラー温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
本発明のトナーは、さらに離型剤の分散剤を含むことができる。これにより、離型剤等の分散性を向上させ均一な混合物とすることができる。
分散剤としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン、ビニル樹脂、ポリオレフィン、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合した物でもよい。分散剤の添加量としては、樹脂100部に対して10部以下が適している。10部より多くしてもワックス(WAX)の分酸性の効果は見られず、逆に定着性や画像再現性が悪くなる。
本発明に係るトナーを作製する方法としては、粉砕法や、重合法(懸濁重合、乳化重合
分散重合、乳化凝集、乳化会合等)等があるが、これらの作製法に限るものではない。
粉砕法によって得られる本発明のトナーは、樹脂および顔料を含む組成物を混練させた後、冷却し、粉砕して作製されるものである。
粉砕法の一例としては、まず、前述した樹脂、着色剤としての顔料または染料、電荷制御剤、離型剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分に混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、連続式の1軸混練機等の熱混練機を用いて構成材料をよく混練し、圧延冷却後、切断を行なう。切断後のトナー混練物は破砕を行ない、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級する。
その後、上記最適な混合条件により混合機により無機微粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させる。
なお、粉砕法の場合、分級されたトナー母体粉体そのもの、あるいは添加剤を表面に付着もしくは固着したトナー粒子を熱によって表面処理し、粒子の円形度や凹凸など表面状態を調整してもよい。すなわち、熱による表面処理工程は、トナー母体粉体に添加剤を付着もしくは固着させる前でも、後でも構わない。表面処理工程におけるアニール温度は、150℃程度にするのが好ましい。
この混合工程後、所定の粒子構造になっているかどうか評価するために、トナー粒子の表面形状を後述する本評価法を用いて評価する。
評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲に入っていた場合、風篩工程へ回し、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去した後、試料を充填工程へ回し、本発明のトナーを得る。
本発明に係るトナーを作製する方法としては、上記粉砕法以外に、重合法が挙げられる。
すなわち、重合法によって得られる本発明のトナーは、前記トナーが、モノマーまたはプレポリマーと、顔料とを含む組成物を用いて作製されるものである。
例えば、モノマーに着色剤および電荷制御剤等を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合させることでトナー粒子を得る。造粒法は特に限定されない。
具体的な例として、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を、水系媒体中に無機微粒子および/またはポリマー微粒子の存在下で分散させると共に、この分散液中で該プレポリマーをポリアミンおよび/または活性水素含有基を有するモノアミンと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂を形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂を含む分散液から、それに含まれる液状媒体を除去することにより本発明におけるトナー母体が得られる。
上記ウレア変性ポリエステル系樹脂のTgは、40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
得られたトナーは、上記プレポリマーとアミンとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。
液状媒体が除去された乾燥後のトナー母体粉体を風力分級し、上記最適な混合条件により混合機により無機微粒子などからなる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させる。また、電荷制御剤を乾燥後のトナー粉体表面に打込んで、固着注入させてもよい。さらにその後、無機微粒子などからかる添加剤を粒子表面に付着もしくは固着させてもよい。電荷制御剤を表面に打込むことにより、トナーの帯電量の制御がしやすくなる。
添加剤を混合したり、固着注入したりする具体的手段としては、高速で回転する羽根によって粉体混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に粉体混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。
装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
この混合工程後、所定の粒子構造になっているかどうか評価するために、トナー粒子の表面形状を本発明における評価法を用いて評価する。
すなわち、前述のようにトナーの粒子表面形状をSEMにより測定し、トナー粒子表面の輪郭線をそのトナー粒子の粒径の1/6000〜1/20になる一辺dの正方形により区分し、そのときにできる正方形の個数N(d)を求めた時に成立する下記(1)式におけるD値を指標として静電荷現像用トナーの評価を行う。
N(d)∝d−D ‥‥(1)
評価のための装置とトナー試料採取の構成例を図4に示す。
図4に示す装置は、SEM装置1とDの値を解析するD値解析装置2から構成されている。トナー母体と添加剤を混合機により混合しトナー粒子とした後、一部を容器に採取し、このトナー粒子の輪郭像をSEM装置により撮影した後、得られた画像情報をD値解析装置に入力し、解析ソフトを用いてD値を算出する。評価の結果、その数値が予め定めた設定範囲に入っていた場合、次工程の風篩工程へ回し、250メッシュ以上の篩を通過させ、粗大粒子、凝集粒子を除去した後、試料を充填工程へ回し、本発明のトナーを得る。
すなわち、本発明は、上記静電荷現像用トナーの評価方法を用い、トナー製造条件についてD値を指標として管理し、静電荷現像用トナーを製造することを特徴とする。
また、本評価法を用いた評価は造粒後の検査、風力分級後の検査、電荷制御剤の処理後の検査、添加剤の混合工程後の検査、混合工程の後にある風篩工程後の検査、充填前の検査等にも適用できる。
本発明の静電荷現像用トナーを用いて、接触または非接触現像による現像方法で現像を行うことができる。例えば、本発明の静電荷現像用トナーを1成分現像剤として用いることができる。
接触または非接触現像方式としては、色々な公知のものが使用される。例えば,アルミスリーブを用いた接触現像法、導電性ゴムベルトを用いた接触現像法、アルミ素管の表面にカーボンブラック等を含む導電性樹脂層を形成した現像スリーブを用いる非接触現像法等がある。
現像方法としては、ACバイアス電圧成分を印加して現像する手法が好ましく適用できる。すなわち、本トナーは現像時にACバイアス電圧成分を用いて現像する場合に、流動性に優れているため、電界に従って忠実に振動し、細かい潜像に対しての忠実な現像ができ、ドット再現性のよい現像が可能となる。
また、現像方法としては、ドクターローラおよび/または供給ローラを用いて現像する手法が好ましく適用できる。すなわち、1成分現像方式において、トナー供給部の出口にトナー層を均一にするためのローラー状のブレードや供給ローラを設けた現像方式に、本トナーを用いることを特徴とする。
このような方式の場合には、トナーの流動性が現像ローラ上のトナー層の均一化に大きく影響を与え、且つ耐久特性に影響を与える。耐久特性が悪い場合には、感光体へのフィルミングだけではなく、ドクターローラや供給ローラへのフィルミングが発生する。このため、トナー層が均一に形成できないばかりかトナー帯電が不均一になり、トナー電荷量も小さくなる。このため現像不良が生じる。
しかし、本発明のトナーを用いると、トナーが流動性に優れているため、供給ローラやドクターローラを介しての現像ローラ上へのトナー層の均一薄層化が容易に実現でき、常に安定した現像ローラ上へのトナー搬送が可能となる。また、ドクターローラや供給ローラへのフィルミングは発生せず、安定した現像が行なわれ、耐久特性に優れた方式となる。
図5に画像形成手段における各ローラ等を説明するための概略構成図を示す。
さらに二成分現像剤として使用する場合は、後述する磁性キャリアと所定の混合比率で混合することによって二成分現像剤とすることができる。
本発明のトナーは流動性に優れているため、カートリッジ容器に入れて保管することが十分可能であり、いわゆるトナーを収容したトナーカートリッジとして用いられ、トナーカートリッジから現像部へトナー搬送するような構成の装置にも適している。
また、同様に本発明のトナーは流動性に優れているため、少なくとも感光体と現像手段を具備し、現像手段のトナー収容部にトナーを収容(充填)したプロセスカートリッジの形態でも用いられる。通常これらのトナーカートリッジまたはプロセスカートリッジを画像形成装置に装着して、画像形成が行なわれる。
なお、本発明におけるトナーを磁性トナーとする場合には、トナー粒子の中に磁性体の微粒子を内添すればよい。磁性体としては、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル、コバルト、それらの合金などの強磁性体等が考えられる。磁性体の平均粒径は0.1〜1μmが好ましい。磁性体の含有量はトナー100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましい。
本発明においては、前述のように静電荷現像用トナーと共に粒径(平均粒径)20〜70μmのキャリアを用いて現像する2成分現像方法が使用できる。
上記2成分現像剤に使用されるキャリアとしては公知のものが使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉、マグネタイト粉の如き磁性粒子あるいはこれら磁性粒子の表面をフッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂等で処理したもの、あるいは磁性粒子が樹脂中に分散されている磁性粒子分散樹脂粒子等が挙げられる。
キャリア表面の被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電性微粒子は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、前述したように本発明の二成分現像剤は流動性向上剤として無機微粉体をトナーに添加して用いることが可能である。
また、本発明の現像剤には、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤;あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により制約を受けるものではない。なお、以下の配合における部数は全て重量部である。
(実施例1)
下記処方(1)の原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃、混練機回転数110rpmで溶融混練した。
混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
〈処方(1)〉
樹脂(ポリエステル樹脂(*1)): 100部
着色剤(カーボンブラック、#44;三菱化学社製): 10部
帯電制御剤(サルチル酸亜鉛塩、
ボントロンE84;オリエント化学): 5部
離型剤(低分子量ポリエチレン): 5部
(*1):ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物テレフタル酸、コハク酸誘導体から合成されたポリエステル樹脂
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例1のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.0部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nmテイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2200rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例1のトナーについて、表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率を以下の条件で測定した。なお、添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)も測定した。結果を下記表1に示す。
<表面形状(D値)>:
トナー粒子の粒径の1/6000〜1/20になるようにdを定め、トナー粒子表面の輪郭線を一辺dの正方形により区分して、そのときにできる正方形の個数N(d)を求め、下記式(1)によりDを求めた。なお、D値は10回繰返して測定した値の平均値で求めた。
N(d)∝d−D (1)
<流動性>:
円錐ロータ装置(例えば、特開2004−37971号公報に記載)を用い、下記条件で、円錐ロータがトナー相中に20mm侵入したときのトルク値を測定した。
・トナー相の空間率:0.53
・円錐ロータの頂角:60°
・円錐ロータの回転数:1rpm
・円錐ロータの侵入速度:5mm/min
<粒子間力>:
トナー粒子1個を探針の先端またはその周辺に接着剤で付着させ、AFMによりその探針を同じトナー粒子からなるトナー粉体相表面に一度押し付けた後探針を引離す操作を行ない、そのときのトナー粒子間に働く力の変化を測定する。すなわち、探針をトナー粉体相に近づけるときと引離すときの力の差によりトナー粒子同士の粒子間力を評価した。測定は、30回繰返し、その値の平均値でした。
<粒子形状(円形度)>:
フロー式粒子像分析装置、FPIA−1000(東亜医用電子株式会社製)により、平均円形度として計測した。
<添加剤の被覆率>:
トナー粒子のSEM像を用いて、トナー粒子表面での添加剤の占有面積より求めた。
上記実施例1で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。なお、ドット再現性を画像のザラツキ感として5段階(ランク1:悪い→ランク5:よい)評価し、ランニング特性を現像部のトナー搬送性で評価した。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例2)
実施例1と同様の処方(1)の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例2のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.4部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2200rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例2のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記実施例2で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例3)
実施例1と同様の処方(1)の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例3のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.8部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2200rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例3のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記実施例3で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例4)
実施例1と同様の処方(1)の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例4のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 2.2部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2200rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例4のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記実施例4で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例5)
〈トナーバインダーの合成〉
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧,230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次に、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行い、イソシアネート含有プレポリマーIを得た。次いで、プレポリマーI267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステルIを得た。
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステルAを得た。ウレア変性ポリエステルI200部と変性されていないポリエステルA800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000部に溶解、混合し、トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダーIを単離した。分析の結果Tgは62℃であった。
下記処方(2)の原材料をビーカー内で、60℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、均一に溶解、分散させてトナー材料溶液を作製した。
〈処方(2)〉
トナーバインダーIの酢酸エチル/MEK溶液: 240部
ペンタエリスリトールテトラベヘネート(溶融粘度25cps): 20部
銅フタロシアニンブルー顔料〔(C.I.ヒ゜ク゛メントフ゛ルー15:3)、
(Lionol Blue FG−7351;東洋インキ社製)〕: 4部
次に、ビーカー内に下記処方(3)の原材料を入れ均一に溶解した。その後60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで11000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間攪拌した。次いで、この混合液を攪拌棒および温度計付のフラスコに移し、30℃まで昇温して減圧下で溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー母体粒子(母体着色粒子)を得た。体積平均粒径は6.0μmであった。
〈処方(3)〉
イオン交換水: 706部
ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製、
スーパタイト10): 294部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム: 0.2部
上記で得たトナー母体粒子(母体着色粒子)100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例5のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.0部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2100rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例5のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記実施例5で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例6)
実施例5と同様の処方(2)および(3)の原材料、作製方法で粉体の作製、分級を行ない、平均粒径が6.0μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例6のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.4部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2100rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例6のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記実施例6で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例7)
実施例5と同様の処方(2)および(3)の原材料、作製方法で粉体の作製、分級を行ない、平均粒径が6.0μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例7のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.8部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2100rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例7のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記実施例7で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例8)
実施例5と同様の処方(2)および(3)の原材料、作製方法で粉体の作製、分級を行ない、平均粒径が6.0μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例8のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 2.2部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 2100rpm
混合時間: 150sec
混合機: Qミキサー(三井鉱山株式会社製)
作製した実施例8のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記実施例8で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例9)
下記処方(4)の原材料をミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機によりバレル温度100℃、混練機回転数100rpmで溶融混練した。混練物を圧延冷却後カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、旋回式風力分級装置を用いて、平均粒径が6.7μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
〈処方(4)〉
樹脂(ポリエステル樹脂(*1)): 100部
着色剤〔マゼンタ顔料(C.I.ヒ゜ク゛メントレット゛122、
HostapermPink E;クラリアント社製)〕: 3.5部
帯電制御剤(サルチル酸亜鉛塩、
ボントロンE84;オリエント化学社製): 5部
(*1):ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物テレフタル酸、コハク酸誘導体から合成されたポリエステル樹脂
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例9のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.4部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 1800rpm
混合時間: 150sec
混合機: θコンポーザ(株式会社徳寿工作所製)
作製した実施例9のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例10)
実施例9と同様の処方(4)の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.7μmの粒度分布に分級し、トナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例10のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.8部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 1800rpm
混合時間: 150sec
混合機: θコンポーザ(株式会社徳寿工作所製)
作製した実施例10のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(実施例11)
実施例9と同様の処方(4)の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.7μmの粒度分布に分級しトナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、実施例11のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 2.2部
酸化チタン微粉末(MT−150A;粒径40nm、テイカ社製): 0.3部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 1800rpm
混合時間: 150sec
混合機: θコンポーザ(株式会社徳寿工作所製)
作製した実施例11のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(比較例1)
実施例1と同様の処方(1)の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.5μmの粒度分布に分級しトナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、比較例1のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.0部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 750rpm
混合時間: 120sec
混合機: スーパーミキサー(株式会社カワタ製)
作製した比較例1のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記比較例1で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(比較例2)
実施例5と同様の処方(2)および(3)の原材料、作製方法で粉体の作製、分級を行ない、平均粒径が6.0μmの粒度分布に分級しトナー母粒子(母体着色粒子)を得た。
上記で得た母体着色粒子100部に対して、さらに下記処方の添加剤を以下の混合条件で混合し、比較例2のトナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
シリカ微粉末(R972;粒径20nm、日本アエロジル社製): 1.0部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数: 750rpm
混合時間: 120sec
混合機: スーパーミキサー(株式会社カワタ製)


作製した比較例2のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
上記比較例2で得られたトナーをキャリアと混合して二成分現像剤を作製した。トナーとキャリアの混合比は、トナー2.5部に対し、キャリア97.5部である。
得られた現像剤を実施例1と同様に、潜像担持体がOPCドラム感光体で、クリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、実施例1と同じに画像評価実験(ドット再現性)およびランニング実験を行なった。結果を下記表1に併せて示す。
(比較例3)
実施例9と同様の原材料、作製方法で混練、粉砕、分級を行ない、平均粒径が6.7μmの粒度分布に分級した。
さらに、母体着色粒子100部に対して、以下の混合条件にて添加剤を混合し、トナーを作製した。
〈添加剤の処方〉
添加剤 シリカ微粉末(R972;日本アエロジル社製) 3.5部
〈添加剤の混合条件〉
混合回転数 750rpm
混合時間 120sec
混合機 スーパーミキサー(株式会社カワタ製)
作製した比較例3のトナーについて、実施例1と同様に表面形状(D値)、流動性、粒子間力、添加剤の被覆率、および添加剤で処理する前のトナー(母体)の粒子形状(円形度)を測定した。結果を下記表1に示す。
得られたトナーを潜像担持体がOPCドラム感光体でクリーニング方式がブレードクリーニングである複写機にセットし、画像評価実験およびランニング実験を行なった。結果を表1に示す。
なお、実施例1〜11および比較例1〜3において測定されたD値とドット再現性の関係を図6に示した。
上記表1および図1の評価結果から分るように、トナー粒子表面形状をSEMにより測定し、画像処理後におけるN(d)とdとの関係式から求められるD値を規定(1.0350〜1.0500)して作製した本発明のトナーは、粒子形状(円形度)、流動性(トルク)、粒子間力が詳細説明において記載した所定の範囲の値を示し、安定したドット再現性および2万枚ランニング時でも良好なトナー搬送性を示した。
本発明におけるトナー粒子表面形状をSEM像撮影から順次画像処理を施して測定する手順を示すフロー図である。 本発明の(1)式におけるD値を求めるためのdとN(d)の関係(logd−logN(d)特性)を示すグラフである。 本発明の式(1)により求められるD値と、円錐ロータ装置を用いて測定されるトルクとの関係を示すグラフである。 本発明におけるトナー粒子表面形状を評価するための装置とトナー試料採取の構成例示す模式図である。 画像形成手段における各ローラ等を説明するための概略構成図である。 実施例1〜11および比較例1〜3において測定されたD値とドット再現性の関係を示す図である。
符号の説明
1 SEM装置
2 D値解析装置

Claims (3)

  1. 樹脂および顔料を含む静電荷現像用トナーの評価方法であって、
    トナーの粒子表面形状をSEMにより測定し、トナー粒子表面の輪郭線をそのトナー粒子の粒径の1/6000〜1/20になる一辺dの正方形により区分し、そのときにできる正方形の個数N(d)を求めた時に成立する下記(1)式におけるD値を指標として静電荷現像用トナーの評価を行うことを特徴とする静電荷現像用トナーの評価方法。
    N(d)∝d−D ‥‥(1)
  2. 前記D値の平均値が、1.0350〜1.0500の範囲に入るか否かで静電荷現像用トナーの評価を行うことを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナーの評価方法。
  3. 請求項1または2に記載した静電荷現像用トナーの評価方法を用い、トナー製造条件についてD値を指標として管理し、静電荷現像用トナーを製造することを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
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