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JP4548073B2 - ガスバリア性透明積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、食品、日用品および医薬品等の包装に用いられる包装用の透明積層体、あるいは電子機器関連部材等に用いられる透明積層体に関するもので、特に高いガスバリア性が必要とされる包装部材または電子機器部材等として好適に用いられるガスバリア性透明積層体に関する。
食品や日用品および医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制してそれらの機能や性質を包装中においても保持できるようにするため、そこを透過する酸素、水蒸気等の内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。通常のガスバリア性を有する包装材料としては、高分子の中では比較的にガスバリア性に優れる塩化ビニリデン樹脂のフィルムまたはそれらをコーティングしたフィルム等がよく用いられてきたが、これらは高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできない。そのためこの様な要求がある場合には、アルミニウム等の金属からなる金属箔等をガスバリア層として用いた包装材料を用いざるを得なかった。
ところが、アルミニウム等の金属からなる金属箔等を用いた包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく、高度なガスバリア性を持つが、包装材料を透視して内容物を確認することができないこと、使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならないこと、検査の際には金属探知器が使用できないこと等、数多くの欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物からなる蒸着薄膜を真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段を用いてプラスチックフィルム上に成膜してなる蒸着フィルムが上市されている(例えば、特許文献1、2参照。)。これらの蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等に対するガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性とガスバリア性を共に有する包装材料として好適とされている。
しかしながら、無機酸化物からなる蒸着薄膜を有し、透明性とガスバリア性を共に有する蒸着フィルムが包装用材料に適するフィルムであっても、包装容器等の包装体として、それが単体で用いられることはほとんどなく、蒸着薄膜を成膜した後の後加工として、蒸着フィルム表面に文字・絵柄等を印刷したり、他のフィルム等との貼り合わせを行ったり、さらには容器等の包装体の形状に成形加工したりと、さまざまな工程を経て包装体を完成させている。従って、包装体の構成素材としては、そこに種々の加工が施されたとしても初期のガスバリア性を維持し続けることも要求される。
因みに、上述した構成の蒸着フィルムを用いてシーラントフィルムと貼り合わせて製袋した後、酸素透過率や水蒸気透過率等のガスバリア性を測定したところ、高分子ガスバリア性フィルム並のガスバリア性は認められるものの、後加工によってガスバリア性の劣化が生じ、蒸着フィルムが当初有していた金属箔並のガスバリア性が確保できていないことが判明した。
このような課題を解決する技術として、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、1種類以上の金属アルコキシド或いは金属アルコキシド加水分解物または、
塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水、アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として順次積層したガスバリア性包材が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。このガスバリア包材は、高いガスバリア性を示し、かつ耐水性、耐湿性を有すると共に、ある程度変形されてもこれらの特性が劣化することがない。しかし、このガスバリア性包材のガスバリア性被膜は、無機化合物からなる蒸着層からなるため、包装容器または包装材とする際の後加工条件によっては、透明積層体が当初有していた特性、特にガスバリア性が加工時の応力により劣化することが多々ある。
本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、透明性とガスバリア性、さらには表面平滑性に優れ、しかも応力が加えられも当初のガスバリア性が劣化し難い、包装材料や電子機器部材用の基板等として好適に用いられるガスバリア性透明積層体の提供を目的とする。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報 特開平07−164591号公報
本発明はこのような目的を達成するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、透明プラスチック材料からなる基材上に、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層と、50重量%以上70重量%以下のプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとプロピレングリコールモノフェニルエーテルアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートの混合物からなるガスバリア性被膜層とが順次積層されていることを特徴とするガスバリア性透明積層体である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の透明積層体において、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層の厚さが5nm以上300nm以下であり、ガスバリア性被膜層の厚さが0.02μm以上20μm以下であることを特徴とする。
さらにまた、請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の透明積層体において、ガスバリア性被膜層の上に印刷層又は外側基材層又は中間層又はヒートシール層が積層さ
れていることを特徴とする。
本発明は、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層と重合しうるアクリル系のモノマー、またはモノマーとオリゴマーの混合物のフラッシュ蒸着被膜を硬化せしめてなるガスバリア性被膜層とが順次積層されてなる積層部が、透明プラスチック材料からなる基材上に少なくとも積層されているので、透明性、表面平滑性、さらにはガスバリア性が共に
優れ、さらには包装体等とするための後加工時において応力が加わっても初期の優れたガスバリア性が劣化し難く、高度のガスバリア性と透明性を有すると共に、さまざま応力が加わった時にも当初のガスバリア性が劣化し難いことが要求される包装材料として、あるいは高度なガスバリア性と表面平滑性等が要求される電子機器部材やディスプレイ用の基材等としての幅広い使用が可能となる。
以下、本発明について図面を用いてさらに詳細に説明する。図1は本発明のガスバリア性透明積層体の一例を示す断面図である。図1に示すガスバリア性透明積層体1は、透明プラスチック材料からなる基材2上に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3と、重合しうるアクリル系のモノマー、またはモノマーとオリゴマーの混合物のフラッシュ蒸着被膜を硬化せしめてなるガスバリア性被膜層4とが順次積層されてなる積層部5が積層されている。
上述した基材2は透明プラスチック材料からなり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルム等の生分解性プラスチックフィルム等が用いられる。これらのフィルムは延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。これらの中では、特に耐熱性や寸法安定性等の面から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
これらの基材2の表面には、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等からなる機能性層が設けられていてもよく、さらには、この上に成膜する無機酸化物からなる蒸着薄膜層3との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理等を施しておいたり、さらには薬品処理、溶剤処理等を施しておいても構わない。
基材2の厚さは特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、また上記したガスバリア性蒸着薄膜層やガスバリア性被膜層以外の他の層を積層する場合もあること、さらには後述する無機酸化物からなる蒸着薄膜層3とガスバリア性被膜層4を形成する場合の加工性等を考慮すると、実用的には3μm以上200μm以下の範囲で、用途によって6μm以上30μm以下とすることが好ましい。また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように長尺フィルムとすることが望ましい。
一方、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物等の無機酸化物からなる蒸着薄膜で構成され、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等に対するガスバリア性を有するものであればよい。その中でも、特に酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムのいずれかからなる蒸着薄膜層が酸素透過率及び水蒸気透過率に優れるので好ましい。ただしこの無機酸化物からなる蒸着薄膜層3は、上述した無機酸化物からなるものに限定されるものではなく、上記条件に適合する蒸着薄膜層を形成可能な無機酸化物により構成されていればよい。
無機酸化物からなる蒸着薄膜層3の厚さは、用いられる無機酸化物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5nm以上300nm以下の範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし層厚が5nm未満であると均一な薄膜層が得られ難いことや層厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また層厚が300nmを越える場合は薄膜層にフレキシビリティを保持させ
ることが難しく、成膜後に折り曲げや引っ張りなどの外部応力が加わると薄膜層に亀裂を生じる恐れがり、これらの点を考慮すると5nm以上100nm以下の範囲のものが好ましい。
無機酸化物からなる蒸着薄膜層3は、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が好ましい。また、蒸着薄膜層と基材の密着性及び薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。さらに、蒸着薄膜層の透明性を上げるために蒸着の際に酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
他方、ガスバリア性被膜層4は、重合しうるアクリル系のモノマー、またはモノマーとオリゴマーの混合物のフラッシュ蒸着被膜を硬化せしめてなる被膜層であり、下層の蒸着薄膜層3との協同により高いガスバリア性が発現されるようにすると共に、そのガスバリア性が外部から応力が加わった場合にもその応力に耐えて初期のガスバリア性が確保できるように、そして表面平滑性や耐候性や耐汚染性等の表面保護性をも付与する目的で設けられている。
ここでフラッシュ蒸着被膜とは、所謂フラッシュ蒸着法によって形成された被膜であり、さらに具体的には、重合しうるアクリル系のモノマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合物からなる樹脂成分を真空下において高温蒸発源直上で瞬間的に加熱気化させた後、無機酸化物層3上に析出・コーティングして得られる被膜であって、この被膜を電子線や紫外線照射等により硬化させて得られるものがガスバリア性被膜層4である。
被膜を紫外線照射にて硬化させる場合には、第二の成分として光重合開始剤を混合したアクリル樹脂系のコーティング剤を用いる。具体的な光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アセトフェノン誘導体等を挙げることができ、これらをアクリル系のモノマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合物に対して0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.1重量%以上2重量%以下の割合で混合して用いる。
このガスバリア性被膜層4の成膜は、前述したガスバリア性蒸着薄膜層3と同様、真空下で行えるため、これらの層を連続的に積層することが可能となり、効率的に生産が可能となり、生産コストの低減化も可能となる。
本発明のガスバリア性透明積層体1がより高いガスバリア性を発現するためには、このガスバリア性被膜層4は、その厚みが0.02μm以上20μm以下であることが好ましい。層厚が0.02μm未満であると均一な被膜層を形成することが難しくなり、また、20μmを超えると硬化速度が低下し、十分に硬化させることが難しくなるためである。
また、フラッシュ蒸着被膜を電子線により硬化させる場合には、フラッシュ蒸着被膜の膜厚と電子線エネルギー条件、加工速度および除電とのバランスが重要となる。過度のエネルギー供給は帯電を引き起こし、その結果として起こる放電によりガスバリア性が損なわれる場合があるため注意を要する。
ここで、重合しうるアクリル系のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリアセタールアクリレート、
ポリブタジエン系アクリレート、メラミンアクリレート等の重合性二重結合を有するモノマーあるいはオリゴマーを挙げることができる。また、モノマーあるいはオリゴマーとしては、その反応性官能基の保有数に応じて一官能、二官能、三官能、及びそれ以上の多官能のものを適宜選定して用いることができる。
これらモノマーあるいはオリゴマーは、二種類以上を混合して用いることができるが、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートの3種類を混合して用いることが望ましい。この場合、モノアクリレートとしては水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基を付与したタイプを用いることが好ましい。このような混合物を用いるのは無機酸化物からなる蒸着薄膜層3との密着性をより向上させるためである。ジアクリレートはガスバリア性被膜層4の基本構成物として、トリアクリレートはガスバリア性被膜層4中において架橋度を向上させるために用いる。また、上記した3種類の混合物の官能基付与モノアクリレートおよびトリアクリレートが上述した機能を発現するためには各々0.05重量%以上配合することが好ましいため、ジアクリレートの配合比は50重量%以上99.9重量%以下とすることが望ましい。
また、上述したように、フラッシュ蒸着法を用いてフラッシュ蒸着被膜を成膜する場合には、蒸発原料であるアクリル系のモノマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合物を真空下において高温蒸発源の中に少量ずつ落下させ蒸発源直上で瞬間的に蒸発させる必要があり、アクリル系のモノマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合物の粘度が高すぎると蒸発源の中に少量ずつ一定速度で落下させることが困難となるため、その粘度を200[mPa・s/25℃]以下以下、より好ましくは100[mPa・s/25℃]以下とすることが望ましい。
さらにまた、本発明のガスバリア性透明積層体は、食品、日用品および医薬品等の包装分野にも用いられるため、上述したアクリル系のモノマー、オリゴマーの混合物は皮膚刺激性(PII)が2.0以下であることが望ましい。
以上、本発明のガスバリア性透明積層体の基本的な構成を説明したが、本発明はこれらのものに限定されるものではなく、上記したガスバリア性蒸着薄膜層とガスバリア性被膜層からなる積層部が基材の他方の面に設けられていても、積層部が複層になっている構成のものであってもよい。
さらにガスバリア性被膜層4上には他の層が積層されていてもよい。他の層とは、具体的には印刷層、外側基材層、中間層、ヒートシール層等である。印刷層は包装袋等として実用に供するために積層されるものであり、例えばウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加剤等が添加されてなるインキにより構成される、文字、絵柄等である。
印刷層を構成するインキのタイプとしては、表刷りタイプ及び裏刷りタイプ等の種々のタイプのインキが使用できる。印刷層の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1μm以上2.0μm以下でよい。
また外側基材層は、前記した蒸着薄膜層と被膜層を中間層としこれを前記基材とで挟みつけるように設ける層であって、一般的に機械的強度の面からポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ
カーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられる。この中では、特に二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム等がより好ましい。
外側基材層は、例えば上記フィルムを2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルーションラミネート法等の公知の方法を用いて設ければよく、その厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的に5μm以上50μm以下の範囲内である。
また中間層は、本発明のガスバリア性透明積層体を用いて袋状包装体とした場合の破袋強度や突き刺し強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等からなる層である。
この中間層の厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的に5μm以上50μm以下の範囲内である。またその形成方法としては、2液硬化型ウレタン系樹脂等の接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、エキストルーションラミネート法等の公知の方法が適用できる。
またヒートシール層は袋状包装体等を製造する際に接着層として作用するように設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂からなる層である。厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15μm以上200μm以下の範囲である。形成方法としては、上記樹脂からなるフィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法等を用いることが一般的であるが、これ以外の公知の方法により積層することができる。以下、本発明の高ガスバリア透明積層体を具体的な実施例を挙げてさらに説明する。
基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。まず、電子線加熱方式の真空蒸着装置を用いて金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入し、前記基材の片面上に酸化アルミニウムからなるガスバリア性蒸着薄膜層を厚さ15nmで形成した。次に、モノアクリレートとしてプロピレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、ジアクリレートとしてプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリアクリレートとしてエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートをそれぞれ用い、それぞれの配合比を表1に示すような割合で配合したコーティング剤(粘度が38mPa・s)を使用し、フラッシュ蒸着法を用いて厚さ0.2μmのフラッシュ蒸着被膜を前記工程にて形成したガスバリア性蒸着薄膜層上設けた後、フラッシュ蒸着被膜に対して電子線を照射し、ガスバリア性被膜層とし、本発明のガスバリア性透明積層体を得た。
コーティング剤を表1にも示すようにジアクリレートプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート単独とし、粘度を15mPa・sとした以外は実施例1と同様の条件にて、比較のための実施例2に係る透明積層体を得た。
モノアクリレートとしてプロピレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート、ジアクリレートとしてプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリアクリレ
ートとしてエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートをそれぞれ用い、それぞれの配合比を表1に示すような条件で配合したコーティング剤(粘度が122mPa・s)を使用した以外は実施例1と同様の条件にて、比較のための実施例3に係る透明積層体を得た。
<酸素透過率の測定1>
実施例1から3の透明積層体のそれぞれについて、そのガスバリア性評価の目安となる酸素透過率(cc/m2 ・day ・atm)をMOCON社製OXTRANにて測定した。それらの結果を表1に示した。
<二次加工:印刷加工>
実施例1から3の透明積層体の被膜層上に、裏刷り用ウレタン系インキを使用して、グラビア印刷法により印刷層を設け、後加工サンプルを得た。
<酸素透過率の測定2及び評価>
上記二次加工を施した各後加工サンプルについても、酸素透過率(cm2/m2 ・day・atm)をMOCON社製OXTRANにて測定した。
そして、これらの測定結果に基づき総合評価を行った。評価の基準は、透明積層体単体と印刷後の酸素バリア性が共に良好なものを○(良好)、○以外のもので印刷後のバリア性が大きく劣化しなかったものを△、印刷後にバリア性が大きく劣化したものを×(不良)とした。結果は表1に示した通りである。
Figure 0004548073
本発明のガスバリア性透明積層体の構成を示す断面図である。
符号の説明
1・・・ ガスバリア性透明積層体
2・・・ 基材
3・・・ 無機酸化物からなる蒸着薄膜層
4・・・ ガスバリア性被膜層
5・・・積層部

Claims (3)

  1. 透明プラスチック材料からなる基材上に、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層と、50重量%以上70重量%以下のプロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレートとプロピレングリコールモノフェニルエーテルアクリレートとエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートの混合物からなるガスバリア性被膜層とが順次積層されていることを特徴とするガスバリア性透明積層体。
  2. 前記無機酸化物からなるガスバリア性蒸着薄膜層の厚さが5nm以上300nm以下であり、前記ガスバリア性被膜層の厚さが0.02μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性透明積層体。
  3. 前記ガスバリア性被膜層の上に印刷層又は外側基材層又は中間層又はヒートシール層が積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性透明積層体。
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