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JP4604680B2 - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

ガスバリア性積層フィルム Download PDF

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Description

本発明は、食品、日用品、医薬品等の包装分野あるいは電子機器関連部材等の分野で使用されるガスバリア性の積層フィルムに関するものである。
食品、日用品、医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制し、それらの機能や性質を包装中においても保持できるようにするため、そこを透過する酸素、水蒸気等の内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。通常のガスバリア性を有する包装材料としては、高分子の中ではガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂フィルムまたは塩化ビニリデン樹脂をコーティングしたフィルム等がよく用いられてきたが、これらは高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできない。そのためこの様な要求がある場合には、アルミニウム等の金属箔等をガスバリア層として用いた包装材料を用いざるを得なかった。ところが、アルミニウム等の金属箔等を用いた包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく、高度なガスバリア性を持つが、包装材料を透視して内容物を確認することができないこと、使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならないこと、検査の際には金属探知器が使用できないこと等の数多くの欠点を有していた。そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、プラスチックフィルムからなる基材層に酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物の蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層を積層してなる蒸着フィルムが上市されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平07−164591号公報
しかしながら、上記提案されている蒸着フィルムは、印刷、ラミネート、製袋などの各種後加工が施された場合に酸素透過度や水蒸気透過度等のガスバリア性が劣化してしまう等の欠点を有していた。
本発明の課題は、印刷、ラミネート、製袋などの各種後加工が施されても、ガスバリア性が低下しない透明な積層フィルムを提供することにある。
本発明の請求項1に係る発明は、透明プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に無機酸化物からなる蒸着薄膜層、二層以上のガスバリア性被膜層が積層されてな
るガスバリア性積層フィルムにおいて、前記二層以上のガスバリア性被膜層がアクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物からなる未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を前記蒸着薄膜層上に二層以上積層した後に紫外線若しくは電子線を照射して二層以上のフラッシュ蒸着被膜層を同時に硬化させたものからなり、
前記蒸着薄膜層表面および/またはガスバリア性被膜層の最外表面がプラズマ処理されていることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
本発明の請求項2に係る発明は、上記請求項1に係る発明において、前記アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物がモノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートの少なくとも1つを含有するものからなることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
本発明の請求項3に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る発明において、前記
アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物の粘度が200mPa・s/25℃以下であることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
本発明の請求項4に係る発明は、上記請求項1乃至請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記二層以上のガスバリア性被膜層の合計の被膜厚さが0.02〜20μmであることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
本発明の請求項5に係る発明は、上記請求項1乃至請求項4のいずれか1項に係る発明において、前記無機酸化物が酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とするガスバリア性積層フィルムである。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、透明プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物からなる蒸着薄膜層、合計の被膜厚さが0.02〜20μmである二層以上のガスバリア性被膜層が積層されてなるガスバリア性積層フィルムにおいて、前記二層以上のガスバリア性被膜層がアクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物からなる未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を前記蒸着薄膜層上に二層以上積層した後に紫外線若しくは電子線を照射して二層以上のフラッシュ蒸着被膜層を同時に硬化させたものからなっているので、透明で、優れたガスバリア性を有しており、二層以上のガスバリア性被膜層の各層間の接着強度が非常に強く、各種の後加工が施されてもガスバリア性等が低下しない。また、アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物がモノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートの少なくとも1つを含有するものからなっていると共に、アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物の粘度が200mPa・s/25℃以下であるので、蒸着薄膜層との密着性が良いと共に、フラッシュ蒸着被膜層を形成する際の効率が良く、さらに蒸着薄膜層の表面及びガスバリア性被膜層の最外表面をプラズマ処理することにより、蒸着薄膜層とガスバリア性被膜層との接着強度及びガスバリア性被膜層と他の層との接着強度が向上し、またガスバリア性被膜層の最外表面に未硬化成分が残留することがなく衛生的である。従って、食品や非食品などの包装分野あるいは電子機器関連部材等の分野で広く使用出来る。
本発明のガスバリア性積層フィルムを実施の形態に沿って説明する。図1は本発明のガスバリア性積層フィルムの一実施形態を示す側断面図であり、厚み方向に順に、基材層(1)、無機酸化物からなる蒸着薄膜層(2)、ガスバリア性被膜層(3a)とガスバリア性被膜層(3b)の二層構成からなるガスバリア性被膜層(3)が積層されている。
前記基材層(1)は透明プラスチックフィルムからなっており、プラスチックフィルムの種類としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等からなるポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなるポリオレフィン系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸フィルム等の生分解性プラスチックフィルム等が用いられる。これらのフィルムは延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。これらの中では、特に耐熱性や寸法安定性等の面から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。
また、前記基材層(1)は、帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等の各種添加剤を含有するフィルムでもよく、他の層が積層される側の表面には密着性を良くするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理等が施されていても構わない。
前記基材層(1)の厚さは特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、また、他の層を積層する場合の加工適性等を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲で、さらには6〜30μm程度のものが好ましい。
前記蒸着薄膜層(2)に使用する無機酸化物は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物からなり、透明で、かつ優れた酸素、水蒸気等のガスバリア性を有している。その中でも、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物からなる蒸着薄膜層が酸素透過度及び水蒸気透過度に優れるので好ましい。蒸着薄膜層の厚さは5〜300nm、より好ましくは5〜100nmである。膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られ難いことや層厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合があり、膜厚が300nmを越える場合は蒸着薄膜層にフレキシビリティを保持させることが難しく、成膜後に折り曲げや引っ張りなどの外部応力が加わると薄膜に亀裂を生じる恐れがあり良くない。
前記蒸着薄膜層(2)の形成方法は、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着装置内での蒸発原材料の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が好ましい。また、基材層との密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。さらに、蒸着薄膜層の透明性を上げるために蒸着の際に酸素ガスなど吹き込んだりする反応性蒸着を行っても一向に構わない。
前記ガスバリア性被膜層(3)はガスバリア性被膜層(3a)とガスバリア性被膜層(3b)の二層構成からなっている。ガスバリア性被膜層(3)が二層構成になっている理由は、例えば、厚さ10μm程度の被膜層を蒸着法で1回で形成させるのは非常に技術的にも難しく、生産効率も悪い。従って本発明のように、例えば、モノマーなどの未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を二層順次積層し、その二層のフラッシュ蒸着被膜層を同時に硬化させて、硬化被膜からなる二層構成のガスバリア性被膜層を得る方が効率的であり、得られる被膜も良好なものがえられる為である。二層構成のガスバリア性被膜層(3)の形成方法は、アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物からなる未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を蒸着薄膜層(2)上に二層積層した後に紫外線若しくは電子線を照射して、二層の未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を同時に硬化させて、硬化被膜からなるガスバリア性被膜層(3a)とガスバリア性被膜層(3b)を形成させる。従って、蒸着薄膜層(2)上に真空成膜装置内で連続的に積層することが可能であり、効率的な生産が可能となり、生産コストの低減化も可能となる。また、得られたガスバリア性被膜層(3a)とガスバリア性被膜層(3b)はその層間の接着強度が非常に強固であり、また、二層になっているので、より高いガスバリア性を有すると共に外部から応力が加わった場合でも外側のガスバリア性被膜層(3b)が保護層の役目を果たし、ガスバリア性の低下を防ぐ。
前記フラッシュ蒸着被膜層とは、真空成膜装置内の高温の蒸発源の中にノズル等からモノマーあるいは混合物を滴下し気化させて、対象物表面に形成させた未硬化の被膜層のこ
とを言う。
前記フラッシュ蒸着被膜層に紫外線を照射して硬化させる場合には、アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物に光重合開始剤を混合したものを用いる。具体的な光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アセトフェノン誘導体等を挙げることができ、光重合開始剤をアクリル系のモノマー、若しくはモノマーとオリゴマーの混合物に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%の割合で混合して使用する。
また、前記フラッシュ蒸着被膜層に電子線を照射して硬化させる場合には、フラッシュ蒸着被膜層の膜厚と電子線のエネルギー条件、加工速度および除電とのバランスが重要となる。過度のエネルギーの供給は帯電を引き起こし、その結果として起こる放電により、ガスバリア性が損なわれる場合が有るため注意を要する。
前記アクリル系のモノマー及びオリゴマーは、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートの少なくとも1つを含有しているものが好ましく、また、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリアセタールアクリレート、ポリブタジエン系アクリレート、メラミンアクリレート等の重合性の高いモノマーあるいはオリゴマーを適宜選定して用いることもできる。
なお、前記ガスバリア性被膜層(3a)を形成するフラッシュ蒸着被膜層に使用される原材料は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、フェニル基等の官能基を付与したタイプのモノアクリレートを少なくとも1つ以上含有しているものが好ましく、これらの原材料を使用することにより、蒸着薄膜層(2)との密着性をより向上させることができる。また、前記ジアクリレートは基本構成物として用い、トリアクリレートは架橋度を向上させるために用いるが、これらだけでは蒸着薄膜層(2)との密着性が良好でないため、官能基を付与したタイプのモノアクリレートを含有した原材料を使用することが好ましい。
前記ガスバリア性被膜層(3a)とガスバリア性被膜層(3b)の合計の被膜厚さは、0.02〜20μmであることが好ましい。被膜厚さが0.02μm未満であると均一な被膜層を形成することが難しくなり、また、20μmを超えると硬化速度が低下し、十分に硬化させることが困難となるためである。
さらに、フラッシュ蒸着被膜層を形成する場合には、原材料であるアクリル系のモノマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合物を真空下において高温蒸発源の中に少量ずつ落下させて、蒸発源の直上に瞬間的に蒸発させる必要があり、その場合アクリル系のモノマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合物の粘度が高すぎると蒸発源の中に少量ずつ一定速度で落下させることが困難となるため、その粘度を200mPa・s/25℃以下、より好ましくは100mPa・s/25℃以下とすることが望ましい。
さらに、本発明のガスバリア性積層フィルムは、食品、日用品および医薬品等の包装分野にも用いられるため、アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物はそのPII(Primary Irritation Index)が2.0以下であることが望ましい。なお、前記PIIは化学品の皮膚障害の度合を示すものであり、値が小さいほど刺激性が低い。
さらに、前記蒸着薄膜層(2)表面および/またはガスバリア性被膜層(3)の最外表面に施されるプラズマ処理は、蒸着薄膜層(2)とガスバリア性被膜層(3)との密着性
を向上させると共に、使用した材料の未硬化成分を除去して硬化度を向上し、さらに、ガスバリア性積層フィルムに他の層を積層する際に、両層間の密着性を向上させるために行う。プラズマ処理の方法としては種々あるが、プラズマ処理用のガスをDC電源もしくはRF電源を用いてプラズマ化することが、安価に処理効果を発現することができるため望ましい。また、プラズマ処理用のガスは特に限定されないが、ガスバリア性被膜層の最外面を処理する際には、未硬化成分を効率良く除去するため、少なくとも水素、酸素、窒素、フッ素、二酸化炭素のうちの1種類と、プラズマを連続的に安定して発生させるために、少なくとも不活性ガス1種類とを含む混合ガスを使用することが望ましい。
さらに、前記プラズマ処理は、本発明のガスバリア性積層フィルムを食品用の包装材料として使用する場合には、特に残留アクリルモノマー等が衛生上問題となるため、プラズマ処理を施して硬化をより完全にする為に有用である。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、基材層(1)の他方の面にさらに蒸着薄膜層(2)とガスバリア性被膜層(3)が積層されていても良いし、ガスバリア性被膜層(3)の上にさらに蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層が積層されていても良いし、さらにガスバリア性被膜層(3)の上に印刷層が積層されていても良く、印刷層を積層する場合は、例えばウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、ゴム系、塩化ビニル系等の従来から用いられているインキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤等の添加されてなるインキを用いて、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアーコート等の周知の塗布方式を用いることができる。厚さは0.1μm以上2.0μm以下でよい。
また、本発明のガスバリア性積層フィルムを用いて、積層包装材料を作成する場合は本発明のガスバリア性積層フィルムを最外側のフィルムとして使用し、そのガスバリア性被膜面にそれぞれ接着剤を介して中間フィルム層、ヒートシール層を順次積層した構成にしても良く、本発明のガスバリア性積層フィルムを中間層として使用し、一方の面に接着剤を介して外側フィルム層を積層し、他方の面に接着剤を介してヒートシール層を積層した構成にしても良い。
前記中間フィルム層、外側フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレート等からなるポリエステル系フィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が用いられ、前記接着剤としては、一液あるいは2液硬化型のウレタン系接着剤を用いる。また前記ヒートシール層は袋状包装体等を製造する為に設けるものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂が使用され、厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲である。ヒートシール層の積層方法としては、上記樹脂あるいは樹脂フィルムを接着剤を介して溶融押出ラミネート法やドライラミネート法等で積層する。
本発明のガスバリア性積層フィルムを具体的な実施例を挙げてさらに説明する。
基材層(1)として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を使用し、まず、真空成膜装置を用いて、電子線加熱方式で金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入して前記PETフィルムの片面上に厚さ15n
mの酸化アルミニウムの蒸着薄膜層(2)を形成し、前記蒸着薄膜層(2)の上にフェニル基付加モノアクリレートからなる厚さ0.05μmのフラッシュ蒸着被膜層、ジアクリレート/トリアクリレート=80/20(重量%比率)の混合物からなる厚さ0.15μmのフラッシュ蒸着被膜層を順次積層した後に電子線を照射して二層のフラッシュ蒸着被膜層を同時に硬化させて、ガスバリア性被膜層(3a)及びガスバリア性被膜層(3b)を形成した。続いて、DC電源を用いて窒素/アルゴン=1/1の混合ガスをプラズマ化してガスバリア性被膜層(3b)表面をプラズマ処理し、本発明のガスバリア性積層フィルムを作成した。
実施例1において、ガスバリア性被膜層(3b)表面をプラズマ処理しなかった以外は、同様にして本発明のガスバリア性積層フィルムを作成した。
以下に、本発明の比較用の実施例を説明する。
基材層として、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を使用し、まず、真空成膜装置を用いて、電子線加熱方式で金属アルミニウムを蒸発させ、そこに酸素ガスを導入して前記PETフィルムの片面上に厚さ15nmの酸化アルミニウムの蒸着薄膜層を形成し、前記蒸着薄膜層の上にフェニル基付加モノアクリレートからなる厚さ0.05μmのフラッシュ蒸着被膜層を積層した後に電子線を照射して、フラッシュ蒸着被膜層を硬化させてガスバリア性被膜層を形成し、その上にジアクリレート/トリアクリレート=80/20(重量%比率)の混合物からなる厚さ0.15μmのフラッシュ蒸着被膜層を積層した後に電子線を照射してフラッシュ蒸着被膜層を硬化させて、ガスバリア性被膜層を形成した。続いて、DC電源を用いて窒素/アルゴン=1/1の混合ガスをプラズマ化して外側のガスバリア性被膜層表面をプラズマ処理し、比較用のガスバリア性積層フィルムを作成した。
外側のガスバリア性被膜層表面をプラズマ処理しなかった以外は、実施例3と同様にして比較用のガスバリア性積層フィルムを得た。
蒸着薄膜層の上にフェニル基付加モノアクリレート/ジアクリレート/トリアクリレート=30/40/30(重量%比率)からなる厚さ0.2μmのフラッシュ蒸着被膜層のみを積層した後に電子線を照射してフラッシュ蒸着被膜層を硬化させて、一層のガスバリア性被膜層を形成させた以外は、実施例1と同様にして比較用のガスバリア性積層フィルムを作成した。
〈評価〉
本発明の実施例1〜2のガスバリア性積層フィルム及び比較用の実施例3〜5のガスバリア性積層フィルム及びそれらのガスバリア性積層フィルムを用いて、外側のガスバリア性被膜層上に裏刷用ウレタン系インキで印刷層を積層した印刷フィルムを作成し、さらに前記印刷フィルムの印刷層上に塗布量5g/m2(乾燥状態)のポリウレタン系接着剤を介してポリプロピレン樹脂からなる厚さ50μmのヒートシール層を積層して、ラミネートフィルムを作成した。前記ガスバリア性積層フィルム単体、印刷フィルム及びラミネートフィルムの酸素透過度を以下に示す測定方法で測定すると共に、ラミネートフィルムのラミネート強度を以下に示す測定方法で測定し、評価した。その結果を表1に示す。
(1)酸素透過度の測定方法
モダンコントロール社製(MOCON OXTRAN 10/50A)を用いて、25
℃−100%RH雰囲気下で測定した。
(2)ラミネート強度の測定方法
作成したラミネートフィルムを15mm幅にスリットして試験片を作成し、その試験片のラミネート強度をテンシロン型万能試験機で測定した。
Figure 0004604680
表1に示すように、本発明の実施例1〜2のガスバリア性積層フィルム及びそのガスバリア性積層フィルムを用いた印刷フィルム及びラミネートフィルムはいずれもその酸素透過度は小さく、またラミネートフィルムのラミネート強度も強い。一方、比較用の実施例3〜5のガスバリア性積層フィルムを用いた印刷フィルム及びラミネートフィルムの酸素透過度は積層フィルム単体より大きく劣化しており、ラミネートフィルムのラミネート強度も小さい。
本発明のガスバリア性積層フィルムの一実施形態を示す側断面図である。
符号の説明
1…基材層
2…蒸着薄膜層
3a,3b,3…ガスバリア性被膜層

Claims (5)

  1. 透明プラスチックフィルムからなる基材層の少なくとも片面に無機酸化物からなる蒸着薄膜層、二層以上のガスバリア性被膜層が積層されてなるガスバリア性積層フィルムにおいて、前記二層以上のガスバリア性被膜層がアクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物からなる未硬化のフラッシュ蒸着被膜層を前記蒸着薄膜層上に二層以上積層した後に紫外線若しくは電子線を照射して二層以上のフラッシュ蒸着被膜層を同時に硬化させたものからなり、
    前記蒸着薄膜層表面および/またはガスバリア性被膜層の最外表面がプラズマ処理されていることを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
  2. 前記アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物がモノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレートの少なくとも1つを含有するものからなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性積層フィルム。
  3. 前記アクリル系のモノマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物の粘度が200mPa・s/25℃以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のガスバリア性積層フィルム。
  4. 前記二層以上のガスバリア性被膜層の合計の被膜厚さが0.02〜20μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のガスバリア性積層フィルム。
  5. 前記無機酸化物が酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のガスバリア性積層フィルム。
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