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JP4544404B2 - リチウムマンガン複合酸化物およびその製造方法並びにその用途 - Google Patents

リチウムマンガン複合酸化物およびその製造方法並びにその用途 Download PDF

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Description

本発明は新規なリチウムマンガン複合酸化物に関するものであって、詳しくは、平均粒子径が1〜20μmの四三酸化マンガンと、平均粒子径が0.01〜0.2μmのリチウム化合物と、平均粒子径が0.01〜0.2μmのMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種以上の金属化合物とを用いて合成された、BET比表面積が0.1〜0.5/gで一般式Li1+XMn2−Y−Z4+δ(式中MはMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種類以上であり、0≦X≦1/3,0≦Y≦1/3,0<Z≦1/4,0.0≦δ≦0.2)で表されるスピネル型結晶構造のリチウムマンガン複合酸化物に関するものである。
マンガン系材料は、原料のマンガンが資源的に豊富で安価であり、環境に対して優しい材料であることから、各種用途に対して有望な材料のひとつである。
また、リチウム二次電池は、理論上、高いエネルギー密度の電池が構成可能であることから、次世代を担う新型二次電池として幅広い分野への適用が進められており、一部で既に実用化されたものも含めて、高性能化を目指した研究が進められている。
パーソナルユースのモバイル機器の普及に伴って、小型、軽量でエネルギー密度の高いリチウム二次電池の開発が強く望まれるようになり、負極にリチウムを吸蔵、放出可能な炭素質材料を用いたリチウムイオン電池が実用化されている。
現在のリチウムイオン電池の正極材料には、リチウムコバルト酸化物(以下LiCoOと表記)が主に使用されているが、コバルト原料が高価であることや資源的な制約があることから、代替材料の開発が望まれている。LiCoOに代わる4V級の起電力を示す正極材料としては、リチウムニッケル酸化物(以下LiNiOと表記)やリチウムマンガンスピネル(以下LiMnと表記)が挙げられ,それぞれ実用化に向けた研究が進められている。
LiNiOに関しては,最近,Niの1/2をMnで置換した材料(LiNi1/2Mn1/2)やNiの2/3をCoとMnで半分ずつ置換した材料(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)が研究されているが,出力特性が低いこと、正極性能が組成や構造に鋭敏なため合成が複雑となり、さらに合成条件の厳密な制御が必要であることから、現在のところ実用化には至っていない.
LiMnにおいては、原料のMnが資源的に豊富で安価であり、環境への影響が小さいこと、他の正極材料に比べて安全性が高く、LiMnを正極に使用した場合、電池の安全性の確保が容易になることから、民生用の小型二次電池用途に留まらず,電気自動車、ハイブリッド自動車、スクーターおよび電動自転車用などの駆動用電源や、産業用途、燃料電池の補助電源、電力貯蔵や電力負荷平準用途などの比較的大きな二次電池への適用に対して有望であると考えられ、一部で既に実用化が始まっている。
最近、特に注目されているリチウム二次電池の用途として、ハイブリッド自動車用電池が挙げられるが、この用途においては、自動車が発進する際や加速する際のパワーアシスト性能、および減速時の運動エネルギーの回生性能が重要とされ、短時間で大きな電流を出し入れする能力(=ハイレート充放電特性)が必要となる。このため、4V級正極材料の中で最も出力特性が優れているLiMnを正極に使用するリチウム二次電池の実用化に期待が寄せられている。しかし、LiMnはLiCoOに比べて高温安定性が劣ることから、この点の改善が実用化への最重要課題とされてきた。
LiMnの高温安定性の改善策として、{Li}[Li・M・Mn(2−x−y)]O4+d(ただし、{}内は構造中の酸素四面体位置,[]内は構造中の酸素八面体位置を表す。0<x≦0.33,0<y≦1.0,−0.5<d<0.8,MはLiおよびMn以外の元素)の組成で表され、LiおよびMn以外の少なくとも1種類の他種元素(M)を含有するスピネル構造リチウムマンガン系酸化物が提案されている(特許文献1)。このLiおよびMn以外の少なくとも1種類の他種元素,(M)を含有するスピネル構造リチウムマンガン系酸化物は、マンガン化合物とリチウム化合物と含有他種元素の化合物を混合、焼成することにより他種元素を含有するスピネル構造リチウムマンガン系酸化物とすることが提案されている。
しかしながら、この特許文献1の図3に示されている様に、従来のリチウムマンガン複合酸化物は大きい粒子と小さい粒子の混合体であり,粒径が不均一なスピネル構造リチウムマンガン系酸化物しか得られず、従って、第7頁の表1に示されている様に、50℃の容量維持率が、50サイクル/10サイクルとマイルドな条件にも係らず、95%以下と低い値のものしか得られていなかった。
従って、高温安定性により優れたリチウムマンガン複合酸化物の開発が望まれている。
又、マンガン原料として上記の様に二酸化マンガンを使用する方法があるが、目的とするスピネル構造リチウムマンガン系酸化物と結晶構造的に酸素の配置の同一なスピネル構造のマンガン酸化物、即ち、四三酸化マンガン(構造式:Mn)を使用することにより、結晶構造が整ったスピネル構造リチウムマンガン系酸化物が得られると推定して製造した場合もある(例えば、特許文献2)。しかしながら、Li、Mn及び他の金属との混合が十分でなく、特許文献2の第10頁の表3に示されている様に、室温と低い温度にも係らず、20サイクル/1サイクルで表される容量維持率が95%以下と低い値のものしか得られていなかった。
特開平11−071115号公報(請求項1、図3、第7頁の表1)
特開平9−086933号公報(第5頁左欄1行〜10行、第10頁の表3)
本発明の目的は、高温安定性を備えた新規なリチウムマンガン複合酸化物とその製造方法を提案し、この複合酸化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池を提供することにある。
LiMnの高温安定性向上を目的に鋭意検討を行った結果、Mn原料に平均粒子径が1〜20μmの四三酸化マンガンと、平均粒子径が0.01〜0.2μmのリチウム化合物およびMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種以上の金属化合物を用いて、800℃以上、1050℃以下の温度にて焼成を行い、焼成後、500℃までの冷却を1時間あたり100℃以下の速度で行うことにより、従来には得られなかった一次粒子の粒径が揃ったBET比表面積が0.1〜1.0m/gのリチウムマンガン複合酸化物が得られ、その様なリチウムマンガン複合酸化物は高温安定性に優れ、これをリチウム二次電池の正極活物質に用いることで、高温安定性を備えたマンガン系リチウム二次電池が構成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、一般式Li1+XMn2−Y−Z4+δ(式中MはMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種類以上であり、0≦X≦1/3,0≦Y≦1/3,0<Z≦1/4,0.0≦δ≦0.2)で表されるスピネル型結晶構造であり、立方密充填した酸素配列中の四面体位置の8aサイトをリチウムが、八面体位置の16dサイトをマンガンと金属元素M、またはリチウムとマンガン並びに金属元素Mが占有しているものである。リチウム、マンガン、金属元素Mの各サイトの占有率は上記一般式の範囲であればスピネル型結晶構造のリチウムマンガン複合酸化物となる。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種類以上の元素を含むことが必須である。マンガン、リチウムおよび酸素の各元素以外にこれら元素を含有させることによって、高温での安定性が向上する。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、BET比表面積が0.1〜0.5/gであることが必須である。BET比表面積が0.5/gを越えると、高温時の保存安定性や充放電サイクル安定性の低下が顕著となると共に、電極作製時の作業性が悪くなる。一方、BET比表面積が0.1m/g未満の場合には、高温安定性は向上するものの、ハイレート充放電特性が著しく低下してしまう。このため、BET比表面積は0.1〜0.5/gが最適となる。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、平均粒子径が1〜20μmの四三酸化マンガンと、平均粒子径が0.01〜0.2μmのリチウム化合物および平均粒子径が0.01〜0.2μmのMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種以上の金属化合物を用いて合成することが重要である。
本発明者らが行ったリチウムマンガン複合酸化物生成反応の解析によれば、反応は、マンガン原料の粒子を母体として、そこにリチウム化合物および金属元素Mの化合物それぞれが複合化しながら進む。そのため、均一に反応を進めるためには、リチウム原料および金属元素Mの化合物の粒子は同程度の大きさで、且つマンガン原料の粒子サイズに対して充分小さくすることが好ましい。
この考えに沿って合成を行えば、組成が均一で局所的な異常な粒子の成長が抑制され、サイズが揃った均一な粒子からなる結晶構造が発達したリチウムマンガン複合酸化物が合成可能であり、マンガン原料に平均粒子径が1〜20μmの四三酸化マンガンを、リチウム化合物および金属元素Mの化合物に平均粒子径が0.01〜0.2μmのものを使用することによって、BET比表面積が0.1〜0.5/gで一次粒径の揃ったのリチウムマンガン複合酸化物が合成できる。
原料として用いる四三酸化マンガンは平均粒径以外は特に限定するものではないが、例えば、2価マンガンを溶解した水溶液のアルカリ中和と酸化処理によって合成する手法や、二酸化マンガンの還元によって合成したものが例示される。
用いるリチウム化合物の種類も平均粒径以外は特に限定するものではないが、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、ヨウ化リチウムなどが例示される。
金属元素MのMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInの化合物の種類も平均粒径以外は特に限定するものではないが、単体、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物および酸化物などが例示され、特に含有水分量の少ないものや低融点のものが好ましい。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物の合成においては、マンガン原料の四三酸化マンガンと、リチウム化合物と、Mg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu、B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種類以上の金属化合物との混合物を、800℃以上、1050℃以下の温度で焼成を行った後に、500℃までの冷却を1時間あたり20℃以下の速度で行うことが好ましい。
本発明では、800℃以上の焼成によって、結晶構造が充分発達したBET比表面積が0.1〜0.5/gのリチウムマンガン複合酸化物が合成できる。焼成温度が高いほどBET比表面積の小さなリチウムマンガン複合酸化物が得られるが、リチウムの散逸やそれに伴う分解反応が起こり易くなるため、焼成温度には上限が存在する。本発明者らの検討によれば、1050℃を超えない範囲で焼成を行えば所望のリチウムマンガン複合酸化物を得ることが可能である。なお、特に制限するものではないが、焼成は、1段でも多段で行っても良い。
また、リチウムマンガン酸化物は高温時に酸素を放出吸収する性質を示す。このため、酸素の吸収を考慮して焼成後の冷却速度を制御することが必要である。本発明のリチウムマンガン複合酸化物を合成するためには、1時間当たり100℃以下の速度で行うことが重要であり、この条件によって酸素欠損のない正極性能に優れるリチウムマンガン複合酸化物を得ることができる。なお、焼成は酸素を含有する雰囲気であれば特に制限されないが、大気中もしくは酸素含有量が18%以上の気体気流中で行うことが好ましい。
以上の本発明の合成方法により、局所的な異常粒成長が抑制され、サイズが揃った均一な粒子からなり、BET比表面積が0.1〜0.5/gの範囲のリチウムマンガン複合酸化物が合成可能となる。
本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、リチウム二次電池の正極として用いることが出来るが、当該リチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウム合金、リチウムを吸蔵放出可能な物質、およびリチウムを予め吸蔵したリチウムを吸蔵放出可能な化合物を用いることができる。リチウム合金としては、例えばリチウム/スズ合金、リチウム/アルミニウム合金、リチウム/鉛合金等が例示される。リチウムを吸蔵放出可能な物質としては、例えば、グラファイトや黒鉛等の炭素材料や、鉄の酸化物、コバルトの酸化物が例示される。また、本発明のリチウム二次電池の電解質は、特に制限されないが、例えば、炭酸プロレン、炭酸ジエチル等のカーボネート類や、スルホラン、ジメチルスルホキシド等のスルホラン類、γブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルスルホキシド等のエーテル類の少なくとも1種類以上の有機溶媒に、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸等のリチウム塩の少なくとも1種類以上を溶解したものや、無機系および有機系のリチウムイオン導電性の固体電解質などを用いることができる。
本発明で得られたリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用いたリウム二次電池の構造例を図1に示す。

本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、一次粒径が均一であり、高温安定性に優れ、リチウム二次電池の正極として用いた場合、優れた性能を発揮する。
以下に、本発明の具体例として実施例を示すが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
実施例1
[Li1.00Mn1.90Al0.104.00の合成]
平均粒子径が10μmの四三酸化マンガン(東ソー日向(株)製)と、平均粒子径が0.05μmの酸化アルミニウム(Al)および平均粒子径が0.07μmの水酸化リチウム水和物(LiOH・0.9HO)とを、モル比でLi:Mn:Al=1.00:1.90:0.10となるように混合し、これを大気中で焼成した。焼成は、はじめに5時間で1000℃まで昇温し、この温度で10時間保持した。次いで、これを500℃まで10時間かけて降温した後に、室温まで自然放冷した。粉末X線回折測定の結果から、得られた化合物はスピネル構造を持つことが分かった。化学組成、BET比表面積を表1に示した。
実施例2
[Li1.00Mn1.85Al0.154.00の合成]
実施例2として、モル比でLi:Mn:Al=1.00:1.85:0.15とした以外は、実施例1と同様にしてリチウムマンガン複合酸化物を焼成した。粉末X線回折測定の結果から、得られた化合物はスピネル構造を持つことが分かった。化学組成、BET比表面積を表1示した。
実施例3
[Li1.00Mn1.90Mg0.104.00の合成]
実施例3として、Alの代わりに平均粒子径が0.05μmの酸化マグネシウム(MgO)を使用した以外は、実施例1と同様にしてリチウムマンガン複合酸化物を焼成した。粉末X線回折測定の結果から、得られた化合物はスピネル構造を持つことが分かった。化学組成、BET比表面積を表1に示した。
図3に得られたリチウムマンガン複合酸化物の一次粒径のSEM像を示す。粒径が均一であり、従来の方法で得られる粉末の様に異常粒成長がなく、均一な一次粒径の粉末が得られた。
実施例4
[Li1.00Mn1.85Mg0.154.00の合成]
実施例4として、Alの代わりに平均粒子径が0.05μmの酸化マグネシウム(MgO)を使用した以外は、実施例2と同様にしてリチウムマンガン複合酸化物を焼成した。粉末X線回折測定の結果から、得られた化合物はスピネル構造を持つことが分かった。化学組成、BET比表面積を表1示した。
実施例5〜13
実施例5〜13として,Alの代わりに平均粒子径が0.05μmの水酸化ニッケル(Ni(OH))、四三酸化コバルト(Co)、三二酸化鉄(Fe)、三二酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化銅(CuO)、ホウ酸(HBO)、酸化ガリウム(Ga)、酸化インジウム(In)をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にしてリチウムマンガン複合酸化物を焼成した。粉末X線回折測定の結果から、得られた化合物はいずれもスピネル構造を持つことが分かった。化学組成、BET比表面積を表1に示した。
比較例1
[Li1.00Mn1.90Al0.104.00の合成]
平均粒子径が10μmの四三酸化マンガン(東ソー日向(株)製)と、平均粒子径が5μmの酸化アルミニウム(Al)および平均粒子径が5μmの水酸化リチウム水和物(LiOH・HO)とを、モル比でLi:Mn:Al=1.00:1.90:0.10となるように混合し、これを大気中で焼成した。焼成は、はじめに5時間で1000℃まで昇温し、この温度で10時間保持した。次いで、これを500℃まで10時間かけて降温した後に、室温まで自然放冷した。粉末X線回折測定の結果から、得られた化合物はスピネル構造であったが、BET比表面積は0.8m/gとなった。化学組成を表1に示した。
比較例2
[Li1.00Mn1.90Mg0.104.00の合成]
比較例2として、Alの代わりに平均粒子径が5μmの酸化マグネシウム(MgO)を使用した以外は、比較例1と同様にしてリチウムマンガン複合酸化物を焼成した。粉末X線回折測定の結果から、得られた化合物はスピネル構造であったが、BET比表面積は1.0m/gとなった。化学組成、BET比表面積を表1に示した。
実施例14
[電池評価]
実施例1〜13及び比較例1、2で製造したリチウムマンガン複合酸化物と、導電剤のポリテトラフルオロエチレンとアセチレンブラックとの混合物(商品名:TAB−2)とを重量比で2:1になるように混合した。電気化学容量が2.7mAhになるように混合物を分取し、1ton・cm−2の圧力で16mmφのメッシュ(SUS 316)上にペレット状に成形し、200℃で5時間、減圧乾燥処理を行い、正極とした。
これを、図1の3の正極に用いて、図1の5の負極には、炭素材料(MCMB6−28(大阪ガス(株)製)とPVDF(呉羽化学製)の重量比9:1の混合物を16mmφのメッシュ(SUS 316)上に電気化学容量が3mAhとなるように分取、成形したものを用いて、電解液にはプロピレンカーボネートと炭酸ジメチルの体積比1:2の混合溶媒に六フッ化リン酸リチウムを1mol・dm−3の濃度に溶解した有機電解液を図1の4のセパレータに含浸させて、2032型のコイン電池を構成した。
構成した電池を,60℃にて、電池電圧が4.3Vと3.0Vの間で、0.4mA/cmの定電流で50サイクル充放電して、1サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を容量維持率として求めた。
実施例1〜13で合成したリチウムマンガン酸化物は、いずれも90%以上の高い容量維持率を示した。一方、比較例で合成したリチウムマンガン複合酸化物の容量維持率は、85%以下であった。合成した各リチウムマンガン複合酸化物の容量維持率を表1に示した。
実施例15
[SEM観察]
実施例1〜13で合成したリチウムマンガン複合酸化物をSEM観察した結果、いずれも局所的な異常な粒子の成長は認められず、サイズが揃った均一な粒子からなる化合物であった。これに対して、比較例で合成したリチウムマンガン複合酸化物は、局所的に異常な粒子の成長が認められ、不均一な粒子からなる化合物であった。これらの例示として、図2に実実施例3で合成したLi1.00Mn1.90Mg0.104.00のSEMイメージを示した。
Figure 0004544404
実施例及び比較例で構成した電池の実施態様を示す図である。 Li1.00Mn1.90Mg0.104.00のSEM像。(実施例3)
符号の説明
1 正極缶
2 スぺーサー
3 正極集電用メッシュ
4 正極
5 セパレータ
6 ガスケット
7 負極
8 負極集電用メッシュ
9 負極缶

Claims (3)

  1. 平均粒子径が1〜20μmの四三酸化マンガンと、平均粒子径が0.01〜0.2μmのリチウム化合物と、平均粒子径が0.01〜0.2μmのMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種以上の金属化合物とを用いて合成された、BET比表面積が0.1〜0.5/gで一般式Li1+XMn2−Y−Z4+δ(式中MはMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種類以上であり、0≦X≦1/3,0≦Y≦1/3,0<Z≦1/4,0.0≦δ≦0.2)で表されるスピネル型結晶構造のリチウムマンガン複合酸化物。
  2. 平均粒子径が1〜20μmの四三酸化マンガンと、平均粒子径が0.01〜0.2μmのリチウム化合物と、平均粒子径が0.01〜0.2μmのMg、Ni、Co、Fe、Cr、Ti、Cu,B、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種以上の金属化合物との混合物を、800℃以上、1050℃以下の温度にて焼成を行い、焼成後、500℃までの冷却を1時間あたり100℃以下の速度で行うことを特徴とする請求項1のリチウムマンガン複合酸化物の製造方法。
  3. リチウム、リチウム合金及びリチウムを吸蔵放出可能な物質から選ばれる少なくとも1種類以上を負極に、非水電解質を電解質に、請求項1記載のリチウムマンガン複合酸化物を正極に用いたリチウム二次電池。
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