JP4432603B2 - 車輌用燃料電池装置 - Google Patents
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Description
この起動方法によれば、燃料電池本体部である燃料電池スタックに可変負荷を有する外部回路が付設され、燃料電池スタックで生成した電気エネルギーを当該外部回路へ供給することにより、当該燃料電池スタックを加温する。これにより、燃料電池スタックが反応温度に適したものとなり、本来のパフォーマンスを奏することとなる。
燃料電池本体部、該燃料電池本体部へ水分を供給する補機部、加熱装置、外部電力受入部、及び起動制御装置を備え、
前記起動制御装置により次の3つのモードが実行される、
(1) 前記燃料電池本体部は停止状態で、前記外部電力受入部から受け入れた外部電力により前記加熱装置を作動する外部加熱モード、
(2) 前記燃料電池本体部が作動して発電するとともに該燃料電池本体部の電力により該燃料電池本体部を昇温する自己発熱モード、
(3) 前記燃料電池本体部が作動するとともに該燃料電池本体部が発電した電力を車輌電源系へ供給し、かつ前記補機部を停止状態に保って前記燃料電池本体へ供給する空気量に基づき前記燃料電池本体の温度を制御する温度制御モード、
ことを特徴とする車輌用燃料電池装置である。
第1の局面の車輌用燃料電池装置において、前記車輌用燃料電池装置の凍結時、前記起動制御装置は前記外部加熱モード、前記自己発熱モード及び前記温度制御モードの順に実行する。
第2の局面の車輌用燃料電池装置において、前記外部加熱モードは前記燃料電池本体部の生成水が凍結する第1の温度以下において実行され、
前記燃料電池本体が前記第1の温度を超えてかつ前記燃料電池本体部が車輌電源系へ十分な電力を供給できる第2の温度となるまでの範囲において前記自己発熱モードが実行され、
前記燃料電池本体部が前記第2の温度以上でありかつ前記補機部の水分の解凍終了まで前記温度制御モードが実行され、
前記補機部の水分の解凍終了後に前記補機部を稼動する定常運転モードが実行される。
また、温度を基準にして発電効率の低下が少ない制御を設定し、そのモード切替を行っているので発電効率が良好になる。
第1の局面の車輌用燃料電池装置において、前記自己発熱モードよりも前記温度制御モードにおいて前記燃料電池本体部へ供給される空気量が大きい。
燃料電池本体部、該燃料電池本体部へ水分を供給する補機部、加熱装置、外部電力受入部を備える車輌用燃料電池装置の起動方法であって、
(1) 前記燃料電池本体部は停止状態で、前記外部電力受入部から受け入れた外部電力により前記加熱装置を作動する外部加熱モード、
(2) 前記燃料電池本体部が作動して発電するとともに該燃料電池本体部の電力により該燃料電池本体部を昇温する自己発熱モード、
(3) 前記燃料電池本体部が作動するとともに該燃料電池本体部が発電した電力を車輌電源系へ供給し、かつ前記補機部を停止状態に保って前記燃料電池本体へ供給する空気量に基づき前記燃料電池本体の温度を制御する温度制御モード、
が順次実行される、ことを特徴とする車輌用燃料電池装置の起動方法。
燃料電池本体部、該燃料電池本体部へ水分を供給する補機部、加熱装置、外部電力受入部、及び起動制御装置を備え、
前記起動制御装置は次の2つのモードを実行する、
(2) 前記燃料電池本体部が作動して発電するとともに該燃料電池本体部の電力により該燃料電池本体部を昇温する自己発熱モード、
(3) 前記燃料電池本体部が作動するとともに該燃料電池本体部が発電した電力を車輌電源系へ供給し、かつ前記補機部を停止状態に保って前記燃料電池本体へ供給する空気量に基づき前記燃料電池本体の温度を制御する温度制御モード、
ことを特徴とする車輌用燃料電池装置。
第6の局面の車輌用燃料電池装置において、前記燃料電池本体の内部温度が前記第1の温度を超えてかつ前記燃料電池本体部が車輌電源系へ十分な電力を供給できる第2の温度となるまでの範囲において前記自己発熱モードが実行され、
前記燃料電池本体部が前記第2の温度以上でありかつ前記補機部の水分の解凍終了まで前記温度制御モードが実行され、
前記補機部の水分の解凍終了後に前記補機部を稼動する定常運転モードが実行される。
第6の局面の車輌用燃料電池装置において、前記自己発熱モードよりも前記温度制御モードにおいて前記燃料電池本体部へ供給される空気量が大きい。
(燃料電池本体部)
車輌用燃料電池装置に用いられる燃料電池本体部は、所望の出力を得るために燃料電池単位セルを複数積層したものである。燃料電池の単位セルは空気極と燃料極で電解質膜を挟持した構成である。電解質膜にはナフィオン(商標名)等の高分子系の材料を用いることができるが、これに限定されるものではない。
かかる燃料電池本体部では、酸素と水素が結合可能であればその温度に無関係に発電が可能である。しかしながら、極めて低い温度環境においては酸素と水素の結合により生じる生成水が凍結し、燃料電池本体部の電極内の酸素の流路が閉塞し、これが酸素と水素の結合を阻害してしまう。その結果、燃料電池本体部が動作できなくなるおそれがある。また、一般的に燃料電池本体部の温度を、高分子系の電解質膜を用いたものであれば、60℃〜100℃の範囲とすることによりその発電効率も高くなる。よってここに、低温環境、特に外気温が氷点以下の環境では燃料電池本体部を加熱する必要が生じる。
補機部は燃料電池本体部へ水分を供給し、電解質膜の湿潤状態を維持し、及び/又は水分の気化熱により燃料電池本体部を冷却するものである。かかる補機部は水タンク、ポンプ、配管部、及び燃料電池本体部内への注水部を備えている。実施例の装置では注水部として水を電極近傍に直接噴射するノズルを採用しているが、燃料電池本体部に供給するガス中に水を水蒸気の状態で供給するものであってもよい。また、燃料電池本体部に対する空気供給系及び/又は燃料(水素)供給系へ注水することができる。
低温環境ではかかる補機部において水が凍結してしまう。低温環境において補機部を動作させるためには、補機部内の氷の解凍が必須となる。よってここに、補機部を加熱する必要がある。
加熱装置には本体部加熱装置と補機部加熱装置とがある。
本体部加熱装置は燃料電池本体部を加熱するものである。加熱の方法は特に限定されない。実施例では、供給する空気を加熱するとともに電熱ヒータを燃料電池本体部へ接触させてその伝導熱により燃料電池本体部を加熱している。その他、電熱ヒータからの放射熱で燃料電池本体部へ加熱すること、非凍結タイプの熱媒体を燃料電池本体部へ循環させ当該熱媒体を加熱すること、燃料電池本体部自体若しくはそこに埋設された被誘導加熱体を誘導加熱すること、など一般的な加熱方法を採用することができる。
補機部加熱装置は補機部を加熱するものである。加熱の方法は特に限定されない。実施例では電熱ヒータを水タンクへ挿入してその伝導熱により水タンク内の氷を加熱している。その他、電熱ヒータから放射熱により水タンクを加熱すること、非凍結タイプの熱媒体を水タンクへ循環させ当該熱媒体を加熱すること、水タンク自体若しくはそこに埋設された被誘導加熱体を誘導加熱すること、など一般的な加熱方法を採用することができる。
なお、燃料電池装置を停止させたとき、補機部の水は全て水タンクへ収納し、配管等に水が残らないようしておくことが好ましい。
配管部にも電熱線等の加熱装置を付設してこれを加熱することが好ましい。
この発明では、外部加熱モードにおいて燃料電池本体部以外を電源として加熱装置を稼働させる。外部電源として車輌のバッテリ、外部発電機若しくは商用電源(家屋のコンセント等)などを利用できる。外部電力受入部の形態は外部電源から電力を受け入れることが出来れば特に限定されるものではない。実施例では、外部電力受入部として電力配分装置が用いられている。
この外部加熱モードでは外部からの電力を用いて加熱装置を作動させる。この外部加熱モードは生成水が凍結するような極めて低い温度環境(第1の温度)において燃料電池装置を起動するときに用いられる。かかる低温度環境では燃料電池本体を作動させることが出来ず、即ち停止状態のため発電不能である。従って、外部電力を用いて本体部加熱装置により燃料電池本体部をその生成水が凍結しない温度まで加熱する。また、補機部の水も凍結しているので、補機部加熱装置を作動させて補機部内の氷の解凍を開始することもできる。
この外部加熱モードにおいては燃料ガス(水素ガス)の供給を行わない。空気はこれを昇温して燃料電池本体部へ供給することが好ましい。そのため、供給する空気を加熱する供給空気加熱装置を設けることが好ましい。加熱空気より燃料電池本体部が昇温される。
この外部加熱モードでは補機部及び車輌の電源系には電力が供給されない。
燃料電池本体部は発電可能であってもそれ自体の温度が低く車輌を駆動するのに十分な電力は供給できないときに、この自己発熱モードが実行される。自己発熱モードでは燃料電池本体部で発電している時に発生する熱(供給する空気量を通常の発電時よりも減らし、発熱量を多くする)で燃料電池本体部加熱し、もって燃料電池本体部を昇温する。また、必要に応じて補機部を加熱することもできる。これにより燃料電池本体部の暖機を促進する。
このモードでは補機部及び車輌の電源系には電力は供給されない。このモードにおいて外部電力の併用が妨げられるものでない。
燃料電池本体部が車輌を駆動させるのに十分な電力を発電可能な一方で、補機部の水が凍結状態にあるときにこの温度制御モードが実行される。温度制御モードでは補機部からの水を用いて燃料電池本体部を冷却することができない。そこで、燃料電池本体部へ供給される空気量(風量)を調節して燃料電池本体部の温度を制御する。なお、空気供給量の調節のみでは燃料電池本体部に対する冷却能力に限界があるので、燃料電池本体部の温度は定常状態よりも低く保たれる。その結果、燃料電池本体部の出力が制限される。
この温度制御モードでは車輌の電源系へ電力が供給され、車輌は駆動可能な状態となる。なお、この温度制御モードでは補機部に電力は供給されない。
補機部内の氷が凍結して補機部が駆動可能になると、燃料電池装置は定常運転モードとなる。
図1は実施例の燃料電池装置1の概略構成を示す。図1に示すように、この燃料電池装置1は燃料電池本体部としての燃料電池スタック10、補機部としての水供給系20、水素ガス供給系40、空気供給系70、及び出力系80から概略構成される。
燃料電池スタック10の上方には空気マニホールド11が形成されている。空気マニホールド11にはノズル21が取り付けられており、このノズル21から水が噴出される。ノズル21から直接噴射された水は燃料電池単位セルの空気流路の全面へ供給され、電解質膜の加湿と燃料電池本体部の冷却に利用される。
ヒータ13は燃料電池スタック10の両端に付設されている。ヒータ13の制御系は図2を参照されたい。
水タンク22には水温度センサ24、タンク水位センサ25及びヒータ23が設けられている。符号34は外気導入電磁弁であり、これを解放することにより外気を配管部30へ導入し、水供給系20内の水を全て水タンク22へ流し込むか、又は外部へ排出する。符号37はフィルタであり、水供給系20から外部への異物排出を防止する。
以上、実施例では空気マニホールドへ水を直接噴射したが、水を蒸気化してこれを供給してもよい。蒸気を供給する場合は、空気マニホールドを省略して空気配管部若しくは燃料電池スタックへ蒸気を直接送り込むことができる。燃料ガス配管部へ水蒸気を供給することもできる。
水素貯蔵タンク41の水素ガスは水素ガス配管43を介して燃料電池スタック10へ供給される。水素ガス配管43に水素1次圧センサ46、水素調圧弁47、水素供給電磁弁48、水素2次圧センサ49が付設されて燃料電池スタック10への供給量が制御される。水素貯蔵タンク41へは水素充填口45を介して外部から水素が補充される。
外気導入電磁弁63は燃料電池スタック10の停止後に開かれて、水素ガス供給系から水素ガスを外気によりパージする。なお、符号61は外気からの異物侵入を防止するフィルタである。
低温環境で使用される燃料電池装置においては、導入する空気を加熱して燃料電池スタック10を構成する各燃料電池単位セルの空気流路へ導入することが好ましい。これにより、燃料電池スタック10が加熱されて生成水の凍結が防止され、低温状態にあった燃料電池スタック10において発電が可能となる。
燃料電池スタック10で生成された電力は車輌の電源系へ出力されて、駆動モータ81及びその他車輌の機能部品へ供給されるとともに、燃料電池装置1自体にも供給される。制御構成図を図2に示す。
図2において、燃料電池スタック10からの電力は電力配分装置91を介して燃料電池装置駆動系制御部93、燃料電池装置加熱系制御部95及び車輌電源系制御部97へ供給される。これら各制御部93、95及び97は中央制御部90により統一的に制御される。なお、外部加熱モードにおいて中央制御装置90は電力配分装置91を補助電源92側に切り替える。この補助電源92として汎用的なキャパシタや二次電池を用いることができる。中央制御部90には汎用的なコンピュータ装置を用いることができる。中央制御部90にはセンサ制御部100を介して各センサの出力が入力される。中央制御装置90は当該センサ出力に基づき、予めインストールされた制御プログラムに従って燃料電池装置駆動系制御部93、燃料電池装置加熱系制御部95及び車輌電源系制御部97を制御する。
燃料電池装置加熱系制御部95は燃料電池スタック10のヒータ13、水供給系20の水タンクヒータ23及び配管部ヒータ33、並びに空気ヒータ75を制御する。
車輌用電源系制御部97は駆動モータ81等へ電力を供給するとともに、補助電源92をチャージする。
なお、参考のため、図2の右端に記載した各種モードにおいて駆動する要素は図面上においてそのモードと同じ水平位置に記載してある。
図3は燃料電池装置1の燃料電池スタック10の温度と運転モードとの関係を示す。図4は燃料電池装置1の基本動作を示すフローチャートである。
ステップ2では外気温度と水タンク22内の温度(以下、水温ということがある)がそれぞれ氷点(この実施例では0℃と設定)と比較される。外気温度と水温がともに氷点を超えている場合は、後述する定常運転モード(ステップ10)が実行され、燃料電池装置は通常の方法で起動され、かつ運転される。
先ず、補助電源92の電力容量(SOC)が下限値(閾値)を下回らないことを確認する(ステップ51)。当該補助電源92のSOCが下限値を下回っているときはシステムを停止させる。補助電源92のSOCが下限値以上のときは電力配分装置91により補助電源92を選択する。そして、当該補助電源92の電力を燃料電池装置加熱系制御部95へ送ってスタックヒータ13及び空気ヒータ75をONにする(ステップ54)。
それとともに補助電源92の電力を燃料電池装置駆動系制御部93へ印加して空気供給系70をONとする。このとき空気ファン73による空気の流量(空気供給量)はステップ55で測定する外気温度に基づいて制御される。制御の一態様を図6に示した。図6に示す関係は制御装置90のメモリ内に保存されている。制御装置90は外気温度センサ76及びセンサ制御部100を介して得られた外気温度を図6の関係に照らし合わせて空気流量を決定し、当該空気流量が達成されるように燃料電池装置駆動系制御部93を介して空気ファン73を制御する(ステップ56)。このとき、燃料電池スタック10をより速く加熱するためにスタックヒータ13をオンとすることができる。
この実施例では外部加熱モードと自己発熱モードとの閾値温度を−25℃としたが、気圧の関係において−25℃以上の温度でも生成水が瞬間的に凍結する場合がある。その場合は、当該閾値温度を高くすることとなる。
この外部加熱モードにおいては水供給系20、燃料供給系40は停止の状態であり、燃料電池スタック10の発電はない。
まず、空気ヒータ75をオフにして(ステップ71)、電力配分装置91により燃料電池スタック10からも出力を行う(ステップ72)。そして水素ガス供給系40をONにして燃料電池スタックを起動させる。このときの空気供給量(即ち空気ファン75)は燃料電池スタックの空気出口温度(Tfc)と燃料電池スタック10の出力(Ifc)に基づいて制御される。即ち、これらの関係(図8)が制御装置90のメモリに保存されており、空気出口センサ39の検出結果と出力センサ113との検出結果に基づき、制御装置90は空気ファン73の空気流量を決定する(ステップ72)。これにより、燃料電池スタック10の温度が低い場合には空気流量を小さくして発電効率を低下し、燃料電池スタック10の自己発熱量を定常運転時よりも大きくしてその暖機を促進する。そして、燃料電池スタック10の温度が上がってきたら相対的に空気流量を増大させて生成水の排出を促進してフラッテングを防止する。
燃料電池スタック10で発電された電力と補助電源92からの電力とが電力配分装置91において合わされて、燃料電池装置駆動系制御部93へ送られて各種装置を駆動させるとともに、燃料電池装置加熱系制御部94へ送られてスタックヒータ13、水タンクヒータ23及び配管部ヒータ33を発熱させる。スタックヒータ13を加熱することにより燃料電池スタック10の昇温が加速される。また、空気ヒータ75をオンにすることもできる。
この自己発熱モードにおいて、燃料電池スタック10による発電のみでは各種装置を作動することが困難な場合が多い、従って、既述のように燃料電池スタック10の電力と補助電源92の電力とを電力配分装置92において適切な配分で併用して(いわゆるハイブリッド的に)出力する。
もちろん、燃料電池スタック10による発電で充分な場合は補助電源の電力を併用する必要はない。
また、この自己発熱モードにおいて、必要に応じて、車輌の電源系へ電力を供給することができる。
図9Bに配管部ヒータ33の制御用フローチャートを示す。配管部ヒータ33は外気温度が氷点(この実施例では0℃)以下のときに常にON状態になる。即ち、ステップ785で外気温度を測定し、その温度が0℃以下のときは配管部ヒータ33をオンとし(ステップ787)、外気温度が0℃を超えているときには配管部ヒータ33をオフとする(ステップ788)。これにより、水供給系20が動作可能となる。
上記図9A及び図9Bのフローチャートはモードの如何に拘わらず実行することができる。
そして燃料電池スタック10の温度が5℃を超えた時点で温度制御モードへ移行する(ステップ82、83)。
このモードでは燃料電池スタック10の電力が車輌電源系へも出力可能とされる(ステップ92)。このときの空気供給量(即ち空気ファン75)は燃料電池スタックの空気出口温度(Tfc)と燃料電池スタック10の出力(Ifc)に基づいて制御される。即ち、これらの関係(図11)が制御装置90のメモリに保存されており、空気出口センサ39の検出結果と出力センサ113との検出結果に基づき、制御装置90は空気ファン73の空気流量を決定する(ステップ92)。当該温度制御モードにおける空気流量は自己発熱モードにおける空気流量よりも大きい。これは、低下させた発電効率を元に戻すためと、燃料電池スタック10の温度が高くなっているためであり、また十分な空気流量を確保して燃料電池スタック10を冷却してオーバーヒートを回避する必要もある。
燃料電池スタック10による発電のみでは各種装置を作動することが困難な場合がある。その場合には、燃料電池スタック10の電力と補助電源92の電力を電力選択部92において適切な配分で併用して(いわゆるハイブリッド的に)出力することができる。もちろん、燃料電池スタック10による発電で充分な場合は補助電源の電力を併用する必要はない。
そして、燃料電池スタック10の温度が40℃以上となったときに定常運転モードへ移行する(ステップ96、97、98)。図3において、温度制御モードにある程度の時間を要しているのは、水供給系の解凍を完全に行う必要があるからである。
この実施例の燃料電池装置では、水素供給系40による水素の供給を停止した後も空気ファンを駆動して空気を流通させるが、そのときヒータ75をオンとして一定時間加熱された空気を供給する。これにより、燃料電池スタック10内から水分を除去することができる。その後、ヒータ75をオフとしてクールダウンする。
上記において、外部加熱モードと自己発電モードとの閾値温度は燃料電池スタック動作させたときの生成水が凍結するか否かにより任意に定めることができる。また、自己発電モードと温度制御モードとの閾値温度は車輌を駆動するのに十分な電力を発電できるか否かにより任意に定めることができる。温度制御モードと通常運転モードとの閾値温度は燃料電池スタックの冷却及び/又は加湿に対して直噴水が有効に作用するか否かに基づいて任意に定めることができる。
10 燃料電池スタック
13 スタックヒータ
20 水供給系
23 水タンクヒータ
40 水素供給系
50 空気供給系
Claims (5)
- 燃料電池本体部、該燃料電池本体部へ水分を供給する補機部、加熱装置、外部電力受入部、及び起動制御装置を備える車輌用燃料電池装置であって、
前記車輌用燃料電池装置の凍結時、前記起動制御装置により次の3つのモードが、外部加熱モード、自己発熱モード及び温度制御モードの順に実行される、
(1) 前記燃料電池本体部は停止状態で、前記外部電力受入部から受け入れた外部電力により前記加熱装置を作動する外部加熱モード、
(2) 前記燃料電池本体部が作動して発熱することにより該燃料電池本体部を昇温する自己発熱モード、
(3) 前記燃料電池本体部が作動するとともに前記燃料電池本体へ供給する空気量を前記自己発熱モードよりも多くして前記燃料電池本体の温度を制御する温度制御モード、
ことを特徴とする車輌用燃料電池装置。 - 前記外部加熱モードは前記燃料電池本体部の生成水が凍結する第1の温度以下において実行され、
前記燃料電池本体が前記第1の温度を超えてかつ前記燃料電池本体部が車輌電源系へ十分な電力を供給できる第2の温度となるまでの範囲において前記自己発熱モードが実行され、
前記燃料電池本体部が前記第2の温度以上でありかつ前記補機部の水分の解凍終了まで前記温度制御モードが実行され、
前記補機部の水分の解凍終了後に前記補機部を稼動する定常運転モードが実行される、ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用燃料電池装置。 - 燃料電池本体部、該燃料電池本体部へ水分を供給する補機部、加熱装置、外部電力受入部を備える車輌用燃料電池装置の起動方法であって、
前記車輌用燃料電池装置の凍結時、
(1) 前記燃料電池本体部は停止状態で、前記外部電力受入部から受け入れた外部電力により前記加熱装置を作動する外部加熱モード、
(2) 前記燃料電池本体部が作動して発熱することにより該燃料電池本体部を昇温する自己発熱モード、
(3) 前記燃料電池本体部が作動するとともに前記燃料電池本体へ供給する空気量を前記自己発熱モードよりも多くして前記燃料電池本体の温度を制御する温度制御モード、
が順次実行される、ことを特徴とする車輌用燃料電池装置の起動方法。 - 燃料電池本体部、該燃料電池本体部へ水分を供給する補機部、加熱装置、外部電力受入部、及び起動制御装置を備える車輌用燃料電池装置であって、
前記車輌用燃料電池装置の凍結時、前記起動制御装置は次の2つのモードを自己発熱モード及び温度制御モードの順に実行する、
(2) 前記燃料電池本体部が作動して発熱することにより該燃料電池本体部を昇温する自己発熱モード、
(3) 前記燃料電池本体部が作動するとともに前記燃料電池本体へ供給する空気量を前記自己発電モードよりも多くして前記燃料電池本体の温度を制御する温度制御モード、
ことを特徴とする車輌用燃料電池装置。 - 前記燃料電池本体の内部温度が前記第1の温度を超えてかつ前記燃料電池本体部が車輌電源系へ十分な電力を供給できる第2の温度となるまでの範囲において前記自己発熱モードが実行され、
前記燃料電池本体部が前記第2の温度以上でありかつ前記補機部の水分の解凍終了まで前記温度制御モードが実行され、
前記補機部の水分の解凍終了後に前記補機部を稼動する定常運転モードが実行される、ことを特徴とする請求項4に記載の車輌用燃料電池装置。
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