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JP4416887B2 - パイプ材のハイドロフォーミング装置 - Google Patents

パイプ材のハイドロフォーミング装置 Download PDF

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JP4416887B2
JP4416887B2 JP34098999A JP34098999A JP4416887B2 JP 4416887 B2 JP4416887 B2 JP 4416887B2 JP 34098999 A JP34098999 A JP 34098999A JP 34098999 A JP34098999 A JP 34098999A JP 4416887 B2 JP4416887 B2 JP 4416887B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパイプ材のハイドロフォーミング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のマフラー、シートフレーム、足回りフレームなどで代表される中空状製品を得るため、素材としてパイプ材を使用し、液圧を利用したハイドロフォーミング法で二次加工することが従来より知られている。
この方法は、ベッド側に所望形状のキャビテイを有する下型を固定し、クラウン側に対をなすキャビテイを有する上型を固定したプレスと、ベッド側の型の両側に配された横押しプレスを使用し、第1工程として下型にワークとしてのパイプ材をセットし、第2工程としてプレスを下降して上型と下型を型締めし、第3工程として型締め状態を維持しつつ横押しプレスを作動してパイプ材の軸方向端部を閉止するかまたは軸方向圧縮力を付与しつつ、液圧供給装置からパイプ材内に高圧液体を供給することによりパイプ材を膨らませ、上型と下型のキャビティ形状に即応した形状に塑性変形させ、第4工程としてパイプ材から高圧液体を抜き取り、横プレスを後退させ、プレスを作動して上型を上昇させて型開きし、製品を取り出す工程が取られていた。
【0003】
しかしこのような方法では、1本のパイプ材を型に装填してから製品として取り出されるまでに数多くの工程が必要であるため、製造に時間がかかり、たとえば10分間程度を要するため、生産効率が悪いとともに生産コストが高くなるいう問題があった。この問題は上型と下型に並列状に複数のキャビテイを形成して複数本のパイプ材を同時成形してもあまり変わりない。
したがって、従来の方法で生産性を向上するには、前記横押しプレス、液圧供給装置を備えた主プレスを複数配置して可動しなければならず、その設備費、設備スペースが高くなるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のような問題点を解消するために創案されたもので、その目的とするところは、単一の型締めプレスを有効に活用してパイプ材から所望形状の膨らまし加工製品をほぼ連続的に、低コストで高能率で成形することができるパイプ材のハイドロフォーミング装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のパイプ材のハイドロフォーミング装置は、プレスルーム内で進退する可動押し盤を備え、プレスルーム両側に外方に向かって延びる一対の案内路を設けた型締めプレスと、前記左右の案内路上にそれぞれ搭載されプレスルーム内に交互に移動される第1と第2のムービングボルスタと、前記第1と第2の各ムービングボルスタにそれぞれ搭載され、合せ面に成形すべき形状をなし両端が半断面溝をもって外部に通じる半キャビテイを形成した少なくとも3枚の重ね合わられた型板をそれぞれ有する第1および第2の型セットと、前記型板に装填された各パイプ材に対応する複数のパンチを有し、前記ムービングボルスタの移動を阻害しないように前記型締めプレスに配された横押し装置と、前記横押し装置の各パンチを進退させるとともに各パンチを通して型セット内のパイプ材中に成形用の液体を給排するための駆動装置とを備え、前記各型セットが少なくとも3枚の型板間にそれぞれパイプ材を装填しまた成形後の製品を取り出すためにキャビテイ領域より外側の型板部位に、対向する型板に対する押圧部を有する複数のリフト用アクチュエータを配設してなる型板開閉装置を有していることを特徴としている。
【0008】
前記第1と第2のムービングボルスタは、案内路を転接する車輪とこれを駆動する機構を有し、プレスルームにはムービングボルスタが所定位置に達したときに車輪を沈降させるとともに搬出時には車輪を上昇させるリフト装置と、ムービングボルスタの下面がベッドに密着するように固定するクランプ装置を備えている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
図1ないし図14は本発明によるパイプ材のハイドロフォーミング装置の実施例を示している。
図1と図2において、1は型締めプレス、2A,2Bは前記型締めプレス1の両側に配された第1と第2のムービングボルスタである。3,3は型締めプレス1に配された対をなす横押し装置、4は横押し装置に付属する駆動装置、5Aは第1の型セット、5Bは第2の型セットである。
【0010】
型締めプレス1は、基床に据え付けられたベッド6の4隅に支柱を立設し、支柱上端部間のクラウン部分に図14のようにラム90によって昇降される可動押し盤(スライド)9を配し、支柱で囲まれたベッドの上方にプレスルーム(成形用空間)PRを形成している。そして、ベッド6の型締めプレス前後側には、それぞれ外方に向かって複数本ずつで組をなす案内路7a、7bが延設されている。案内路7a、7bは長手方向に沿った溝を有している。
【0011】
第1と第2のムービングボルスタ2A,2Bは、剛性のある台盤として構成されていて、図5のように下部には前記案内路7a,7bの溝底を転接する車輪8,8とこれを回転する駆動装置Mを有していて、駆動装置Mによる車輪の回転で案内路7a,7bを自走し、プレスルームPRに搬出入されるようになっている。
ベッド6上には、前記案内路の溝と平行で同じ深さのガイド溝60が平行に設けられているとともに、ガイド溝の所定の位置すなわち、前記ムービングボルスタ2A,2Bの停止予定位置における各車輪8,8に対応する部位に、リフト装置10が設けられている。リフト装置10は、図6(a)のように車輪8,8の径よりも適度に大きな穴部100と、穴部100内に配された支持板101と該支持板101を昇降する油圧アクチュエータ102とからなっている。
前記リフト装置10の近傍には、図6(b)のように、ムービングボルスタ2A,2Bの両側に形成されている受圧用張り出し部200に接離可能な加圧板110と、これを昇降する油圧アクチュエータ111とを備えたクランプ装置11が配置されている。
ベッド6上には図示しないがセットピンが配置されており、リフト装置10が作動してムービングボルスタ2A,2Bが下降したときに、ムービングボルスタ2A,2Bに設けられている係合穴にはまって位置決めされるようになっている。 また、ベッド6上には第1と第2のムービングボルスタ2A,2Bが密着したときにクランプ装置11に駆動信号を発する密着センサが取り付けられている。
【0012】
前記第1の型セット5Aと第2の型セット5Bは、それぞれ3枚以上の型板の積層構造からなっている。この例では型板は3枚50,51,52であり、最下位の型板50は図9のように上面に所望の成形形状の半断面をなした半割キャビテイ500が彫られているとともに、このキャビテイ500の両端から型板端面に向かってパイプ材の半断面と略一致する溝501,501が形成されている。
この最下位の型板50はボルトなどによりムービングボルスタ2A,2Bにしっかりと固定される。
2番目の型板51の下面すなわち最下位の型板との合せ面には、図10のように、成形形状の半断面をなしたキャビテイ510が彫られているとともに、このキャビテイ510の両端から型板端面に向かってパイプ材の半断面と略一致する溝511,511が形成されており、2枚の型板50,51が合わされることにより図7と図8のようにパイプ材断面に合致する筒穴と、筒穴に通じる所望膨出予定形状キャビテイが作られるようになっている。
【0013】
2番目の型板51の上面には次のパイプ材を成形するため、所望の成形形状の半断面をなしたキャビテイ510’が彫られているとともに、このキャビテイ510’の両端から型板端面に向かってパイプ材の半断面と略一致する溝511’,511’が形成されている。
3番目のそしてこの例では最上位の型板52の下面には、同じように成形形状の半断面をなしたキャビテイ520が彫られているとともに、このキャビテイ520の両端から型板端面に向かってパイプ材の半断面と略一致する溝521,521が形成されており、2枚の型板51,52が合わされることによりパイプ材断面に合致する両端の筒穴と、筒穴に通じる所望膨出予定形状キャビテイが作られるようになっている。
したがって、この例では3枚の型板50,51,52が合わされることにより合せ面に高さ方向で間隔をおいて2段の型部CBが作られるようになっている。
【0014】
前記横押し装置3,3は前記型締めプレス1のスライド9による押圧を受けないプレスルーム左右領域に配置されている。
左右の横押し装置3,3は前記第1の型セット5Aと第2の型セット5Bがプレスルームに搬入された状態のもとで各段の筒穴に進入してパイプ材の両端と強接するかあるいはさらに軸方向圧縮力を付与するとともに、パイプ材を膨らませるための高圧成形用液体たとえば水を給排する通路手段である。
各横押し装置3,3は、それぞれハウシングに上下に格納された少なくとも2段の油圧シリンダ12,12と、これら油圧シリンダ12,12によって進退されるピストンロッドの先端部に一体に形成されるかまたは結合されたパンチ13,13をそれぞれ有している。
前記パンチ13,13は、図14に示すように、それぞれ第1の型セット5Aと第2の型セット5Bの筒穴に挿脱可能な外径を有している。そして前記各パンチ13,13には、パンチ端面に通ずる成形用液体通路孔130,131が穿設されている。パンチ13,13は第1の型セット5Aと第2の型セット5B内の各パイプ材C,Cと同心となるように高さが設定されている。
【0015】
駆動装置4は前記横押し装置2A,2Bに付属してプレスルーム領域またはベッド6の側方に配置されている。
駆動装置4は前記油圧シリンダ12,12とパンチ13,13に液圧を給排して作動させるためのもので、図14にその回路例が示されている。
この例においては、まず、前記油圧シリンダ12,12のピストン側とロッド側に対してパンチ進退用の圧油を供給するポンプたとえばサーボポンプ14,14を1対有している。さらに、これとは別の系として、注液系と増圧系とを有している。
【0016】
注液系は注液ポンプ15を有しており、これの吐出側に一方側(図面では右側)の横押し装置3における成形用液体通路孔130,130にいたる第1通路16が接続され、他方側(図面では左側)の横押し装置3における成形用液体通路孔131,131は注液ポンプ15の付属するタンク15aと第2通路17で接続されている。
第1通路16にはアンロード弁161とこれよりも下流にチェック弁162が接続されている。また、第2通路17にはパイロットチェック弁171が、そしてこれよりも下流に電磁弁172がそれぞれ接続されている。
【0017】
増圧系は油圧ポンプ18を有しており、該油圧ポンプ18の吐出側は増圧シリンダ190を途中に接続した増圧回路19を有している。増圧シリンダ190は、2重ピストン191a,191bと、外側ピストン191aの先端が挿入される増圧室191cとを有しており、増圧室191cが圧力センサ192を介して前記前記第1通路16の途中に接続されている。増圧室191cには注液ポンプ15から成形用の液体が送りこまれるようになっている。圧力センサ192は前記サーボポンプ14,14に信号を送って要時に作動させることができるように図示しない信号系で結ばれている。
【0018】
前記増圧シリンダ190と油圧ポンプ18の間には両側に切換弁たとえば電磁部SOL1,SOL2を有する3位置電磁弁193が介在接続されており、3位置電磁弁193の一つの下流側ポートAは通路195により増圧シリンダ190の外側ピストン191aを後退させるための室に接続され、他方の下流側ポートBは通路196により2重ピストン191a,191bを前進させるための室に接続されている。そして、通路196は比例電磁リリーフ弁197を介して油圧ポンプ18が属するタンク181に通じている。
前記下流側ポートAと対をなすポンプポートPと油圧ポンプ18を結ぶ吐出通路198には前記電磁弁172に通じる通路199が接続されている。
【0019】
本発明においては、前記第1の型セット5Aと第2の型セット5Bにパイプ材を装填し、また製品を取り出すための型板開閉装置21を備えている。
この実施例では、型板開閉装置21は第1の型セット5Aと第2の型セット5Bにそれぞれ組み込まれている。
型板開閉装置21は、この例では図8ないし図12に示すように、最下位の型板50と次位の型板51のキャビテイ領域より外側の型板部位に埋め込まれた油圧シリンダで代表されるアクチュエータ22からなっており、該アクチュエータ22は、対向する型板51,52の下面に対する進退自在な押圧部220を有している。アクチュエータ22は、各型板50,51の少なくとも2か所に、しかも上下の型板50,51で適度に位相をずらせて配置されている。
【0020】
前記各アクチュエータ22は、ホース250,250を部分的に含む配管25によってリフト用の弁たとえば図13に示すように切換え電磁弁24に接続されており、該切換え電磁弁24は配管によって油圧供給源に接続される。
切換え電磁弁24よりも下流の配管中には、各アクチュエータ22に同時に油圧を導出入させるようにすべく、第1の分流弁240,240と第2の分流弁241,241が接続されている。
切換え電磁弁24が接続される油圧供給源は専用のものでもよいが、通常は、前記型締めプレス1に搭載している主ラム駆動用の油圧ユニット900もしくは前記駆動装置4の油圧ポンプ18に接続される。
そして、各型板51,52の昇降が平衡して行われるようにするため、図7,図9ないし図12に示すように最下位と次位の型板50,51の4隅にはガイドピン26が固定されており、対向する型板51,52にはガイドブシュ27が埋め込まれている。ガイドピン26は最下段と次位、次位と最上位とで分かれていても良いし、共通の単一のピンであっても良い。前者の場合には、各型板50,51,52ごとに位相が適度にずらされて配置される。
【0021】
図15ないし図17は型板開閉装置21の別の実施例を示しており、型セット5A,5Bとは別個に案内路7a,7bの近傍に配されている。
この場合の型板セット5A,5Bは、図16に示すように、次位以降の型板51,52の下面に少なくとも2か所溝または穴28,28が設けられる。一方、型板開閉装置21としては、案内路7a7bに対して接近後退自在な移動機構29,29と、これに搭載され前記溝または穴28,28に挿入される爪部体300を有する昇降用アクチュエータ30を有するものが用いられる。爪部体300はバーの場合を含んでいる。
この場合の型板セット5A,5Bは、前記内蔵型の場合と同じようにガイドピンとブシュによって平衡移動されるようになっていてもよいが、スペース上でこれの採用が困難である場合には、図17に示すように下側の型板の少なくとも4隅に位置決めピン500を突設し、上側の型板の対応する位置に穴を形成しておいても良い。
【0022】
図示するものは本発明の一例であってこれに限定されるものではない。
第1の型セット5Aと第2の型セット5Bは、2本のパイプ材成形の場合に、図19(a)のように4枚の型板50,51,52,53からなっていても良い。この場合には、最下位の型板50と次位の型板51とが組み合わされ、3番目の型板52と最上位の型板53とが組み合わされ、2番目と3番目の型板51,52は上下面が接しているだけである。
また、本発明はパイプ材を3本成形するための第1の型セット5Aと第2の型セット5Bとしてもよい。この場合には、図19(b)のように、4枚の型板50,51,52,53を用い、最下位の型板50と次位の型板51とで第1の型を構成させ、次位の型板51と3番目の型板52とで第2の型を構成させ、3番目の型板52と最上位の型板53とで第3の型を構成させればよい。さらに図示しないが4本以上を同時成形する型板セットとしてもよい。
こうした場合、型板セット数の増加に呼応して横押し装置は3段の油圧シリンダ12が使用され、これに呼応して駆動装置4も第1通路16、第2通路17の分岐数が増加され、またサーボポンプからの圧油給排回路の分岐数も増加される。
【0023】
また、パイプ材Cはストレートである場合に限られず、ある角度をで曲がっていたり、場合によってはU状などであってもよい。もちろんこれに呼応して型板のキャビティと半溝は形成される。そして横押し装置3,3もパンチ13,13がパイプ材の端面に当接しうるように配置される。パイプ材がU状である場合には同じ側に並列して配される。
実施例ではキャビテイと溝が型板にひとつずつ設けられているが、型板の大きさによっては並列状に複数配されていてもよい。この場合にはそれに呼応して横押し装置も上下だけでなく左右にも設けられる。
第1の型セット5Aと第2の型セット5Bにおける成形形状は同じであっても異なっていても良い。さらに第1の型セット5Aと第2の型セット5Bにおいて成形形状が2種以上であってもよい。
型開閉装置21のアクチュエータ22は下位側でなく上位側に配置されていてもよい。この場合には、押圧部220が下方に突き出すことで上位側の型板51,52がリフトされる。
また、本発明は型締めプレス1を縦型としているが、これに限定されず横型としてもよい。型締めプレス1は油圧プレスでなくてもよい。
さらに実施例では各パイプ材に対して増圧回路が共通化しているが、それぞれのパイプ材ごとに独立していてもよい。横押し装置も同様である。
【0024】
次に、本発明によるパイプ材フォーミング方法を説明する。
成形にあたっては、図1のように第1と第2のムービングボルスタ2A,2Bをそれぞれプレスルーム外の案内路7a,7b上に位置させる。
各ムービングボルスタ2A,2Bの上には第1の型セット5Aと第2の型セット5Bがそれぞれ配置される。
いずれか一方たとえば第1のムービングボルスタ2Aの第1の型セット5Aを先に成形する場合には、型板開閉装置21により第1の型セット5Aの型板51,52をリフトして開き、ロボット等によりキャビテイにパイプ材C,Cを装填する。
【0025】
型板開閉装置21が型セット自体に備わっている場合には、切換え電磁弁24のソレノイドSOL1に通電して圧油を第1の分流弁240,240および第2の分流弁241,241を通して各アクチュエータ22に供給する。こうすれば最下段の型板50の各アクチュエータ22の作動により押圧部220が一斉に突出して次位の型板51をリフトし、次位の型板51の各アクチュエータ22の作動により押圧部220が一斉に突出して上位の型板52をリフトする。各型板51,52は相互に嵌まりあうガイドピン26とガイドブシュ27を有しているため平衡に上昇し、図11の左半部と図12に示すようにパイプ材C,Cを挿入するに十分な間隔が形成される。
この状態でパイプ材C,Cを半断キャビティ500,510と溝501,511にまたがるように挿入し、切換え電磁弁24のソレノイドSOL2に通電して各アクチュエータ22から圧油を排出する。これにより型板51,52が下降して下位の型板51,50と当接するため、パイプ材C,Cは第1の型セット5Aに2本セットされる。かかるセット作業はプレスルーム外の大きな自由空間で行われるため容易である。
【0026】
次いで、第1のムービングボルスタ2Aの駆動装置Mを作動すれば、車輪8,8が回転駆動することにより第1のムービングボルスタ2Aは第1の型セット5Aを搭載したまま案内路7aに沿って移動し、型締めプレス1のプレスルームPR内に搬入される。この状態が図5である。
このときにはベッド6に配置してあるリフト装置10の油圧アクチュエータ102を作動して支持板101を溝底レベルに一致させておく。搬入された第1のムービングボルスタ2Aは車輪8,8が支持板101,101に乗ると、油圧アクチュエータ102が作動して支持板121が沈下させられる。これにより第1のムービングボルスタ2Aは降下し、ベッドから突出しているセットピンに穴が嵌まり位置がセットされる。第1のムービングボルスタ2Aの下面がベッド6に密着したことをセンサが感知すると、クランプ装置11の油圧アクチュエータ111が作動し、加圧板110が下降して第1のムービングボルスタ2Aの張り出し部200をベッド6に強接させる。これにより第1のムービングボルスタ2Aは定位置にしっかりと固定される。
【0027】
前記のように第1のムービングボルスタ2Aの固定が完了すると、その信号によりラム90が作動してスライド9が下降する。それにより次の高圧膨らまし工程において各型板5,51,52が開かないように第1の型セット5Aはベッド6に型締めされる。この型締めが終わると次に、駆動装置4により左右の横押し装置3,3が作動して成形が行われる。
まず、サーボポンプ14,14が正転側に同調駆動し、それにより圧油が油圧シリンダ12,12のピストン側に送られて左右のパンチ13,13が突出し、第1の型セット5Aの各筒穴に左右から挿入され、内部に位置している各パイプ材C、Cの両端に密接し、所定の押圧力を加える。
【0028】
次いで、アンロード弁161をオンにすると、注液ポンプ15からの液体がチェック弁162を介して第1通路16に送られ、各成形用液体通路孔130,130から各段のパイプ材C,C中に液体が充填される。電磁弁172をオンにするとパイロットチェック弁171が開弁するため、各パイプ材C、C中の空気が成形用液体通路孔131,131から第2通路17へと排出される。次に注液系の電磁弁172をオフにすると、パイロットチェック弁171が閉じるため、片側の導出入通路130,130は実質的にシールされる。これを確認するとアンロード弁161をオフにする。
【0029】
次いで、増圧系の電磁弁193のSOL2をオンにすれば、増圧回路19の油圧ポンプ18からの圧油は増圧シリンダ190に送られて2重ピストンの前進により増圧室191cの液体は高圧化され、第1通路16を経て成形用液体通路孔130,130から各段のパイプ材C,C中に高圧が加えられ、増圧する。これによりパイプ材C,Cのキャビティに位置する部分は液圧で膨らませられ、図2(b)で例示するようなキャビティの形状に則するように塑性加工される。設定したバルジ圧に所定時間保持されると、電磁弁193のSOL2はオフとされ、成形は完了する。
すると電磁弁193のSOL1がオンとされ、それにより増圧シリンダ190は後退側に動かされ、パイプ材C,C内の圧力は減圧される。
【0030】
このように減圧されると、注液系の電磁弁172がオンとなり、パイロットチェック弁171が開いてパイプ材C,C内の液は成形用液体通路孔131,131から第2通路17を通ってタンク15aに戻される。
そしてサーボポンプ14,14が逆回転し、左右のパンチ13,13が第1の型セット5Aの各筒穴から脱出して後退する。
このようにして複数のパイプ材C,Cは同時成形されて複数の製品D,Dとされる。
【0031】
こうした工程が終了すると、その信号が主ラム90に送られ、スライド9が上昇し、型締めを開放する。
その間、第2ムービングボルスタ2Bにおいては、型板開閉装置21の作動により第2の型セット5Bの各型板51,52がリフトされ、各各型板51,52のキャビテイにパイプ材C,Cがそれぞれ装填され、そして閉められることにより装填されている。
前記のように第1の型セット5Aに対する成形が終わると、クランプ装置11の油圧アクチュエータ111が上昇側に作動して加圧板110が第1ムービングボルスタ2Aをアンクランプし、次いで、リフト装置10の油圧アクチュエータ102が作動して支持板101が車輪8,8を溝上レベルに持ち上げるので、第1ムービングボルスタ2Aは可動可能となり、駆動装置Mの作動によりプレスルームPRから案内路12へと搬出して定位置で停止する。
【0032】
この搬出が確認されると、第2の型セット5Bを搭載している第2ムービングボルスタ2Bは、駆動装置Mにより前記第1ムービングボルスタ2Aの場合と同じように反対側からプレスルームPR内に搬入され、リフト装置10とクランプ装置11の順次作動によりベッド上にしっかりと固定される。
そして、前述したように、スライド9の下降によりベッド6と協働して型締めされ、次いで駆動装置4により横押し装置3,3が作動し、パイプ材の型内での押圧と高圧液の送給が行われてキャビテイ形状に則した膨らまし成形が各パイプ材に対して行われ、複数の製品D,Dが同時的に製作される。
【0033】
その間、プレスルーム10外に搬出されている第1ムービングボルスタ2A上の第1の型セット5Aにおいては、型板開閉装置21により型板51,52がリフトして開かれ、その開きスペースを利用して製品D,Dが取り出される。これが図4の状態であり、製品取出し後、ふたたび型板50と51の間および51と52の間の半割キャビテイおよび半溝に新たなパイプ材C,Cが装填され、型板開閉装置21の閉じ動作により保持される。
【0034】
前記のようにプレスルーム10内の第2の型セット5Bに対する成形が終わると、左右の横押し装置3,3のパンチ13,13が後退し、スライド9が上昇し、クランプ装置11とリフト装置12が作動して第2ムービングボルスタ2Bがフリートなり、駆動装置Mにより外部の案内路12へと搬出される。
すると再び第1ムービングボルスタ2AがプレスルームPRに搬入され、前記した一連の動作により第1の型セット5Aのパイプ材C,Cに対する成形が行われる。
以下前述した作動が繰り返されることにより単一の型締めプレス1を使用して効率良く連続した膨らまし製品を製造することができる。
【0035】
なお、型板開閉装置21が型セット外部にある場合には、ムービングボルスタが案内路12上に位置しているときに移動機構29,29が作動してムービングボルスタに接近し、爪部体300,300が型セットの各段の溝または穴28,28に挿入され、そして昇降用アクチュエータ30,30の同期作動により型板51,52が平衡に持ち上げられることで、パイプ材の装填および製品取出しが行われる。
【0036】
パイプ材の成形時に、パンチ13,13をパイプ材端面に密接させるだけでなく、積極的に軸方向圧縮力を付与しながら膨らまし成形する場合には、増圧シリンダ190の作動と同時に圧力センサ192からの信号により左右のサーボポンプ14,14を正転側にさらに作動させて高圧を油圧シリンダ12,12に供給し、パンチ13,13を強制的に前進させれば良い。
なお、各型セット5A,5Bのパイプ材C,Cの成形は、増圧回路を独立系として逐次的に行なっても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上説明した本発明の請求項1によれば、パイプ材のフォーミング成形を単一の型締めプレスを用いて連続的に能率良く実施することができ、生産性と製造コストを低減することができ、装置も比較的簡単で、安価なものとすることができ、パイプ材の装填と製品の取出しのための型板開閉装置が型セット自体に備わっているので、型締めプレスの周囲に特別な装置を設置する必要がなくなり、設備の簡易化とコンパクト化および設備費の低減をはかることができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパイプ材のハイドロフォーミング装置の概要を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明により成形するパイプ材の斜視図、(b)は成形形状例を示す斜視図である。
【図3】第1の型セットを搬入して成形し、第2の型セットを待機させている状態を示す斜視図である。
【図4】第1の型セットのパイプ材の成形が完了し製品を取出しする一方、第2の型セットを搬入して成形している状態を示す斜視図である。
【図5】本発明装置の部分切欠側面図であり、図1の状態から第1の型セットをプレスルームに搬入した状態を示している。
【図6】(a)は図5におけるリフト装置部分の拡大図、(b)は図5のX−X線に沿う断面図である。
【図7】本発明装置における型セットの図9Y−Y線に沿う断面図である。
【図8】本発明装置における型セットの図9Z−Z線に沿う断面図である。
【図9】型セットの最下位の型板の平面図である。
【図10】型セットの第2段の型板の平面図である。
【図11】本発明装置における型セットの型開き状態と閉じ状態を半分づつ示す断面図である。
【図12】本発明の型セットを型開閉装置を使用して開いた状態を示す斜視図である。
【図13】型開閉装置の回路図である。
【図14】本発明装置における横押し装置の概要と駆動系を示す回路図である。
【図15】本発明装置における型開閉装置の別の例を示す平面図である。
【図16】図15の型開閉装置の使用状態を示す斜視図である。
【図17】図15の型開閉装置を用いた場合に好適な型セットを示す斜視図である。
【図18】(a)は本発明に適用される他の型セットを示す側面図、(b)は他の型セットを示す側面図である。
【符号の説明】
1 型締めプレス
2A 第1ムービングボルスタ
2B 第2ムービングボルスタ
3,3 横押し装置
4 駆動装置
5A 第1型セット
5B 第2型セット
7a,7b 案内路
9 スライド(可動押し盤)
13 パンチ
21 型板開閉装置
22 アクチュエータ
50,51,52 型板
500,510,520 半断キャビティ
501,511,521 半溝

Claims (1)

  1. プレスルーム内で進退する可動押し盤を備え、プレスルーム両側に外方に向かって延びる一対の案内路を設けた型締めプレスと、前記左右の案内路上にそれぞれ搭載されプレスルーム内に交互に移動される第1と第2のムービングボルスタと、前記第1と第2の各ムービングボルスタにそれぞれ搭載され、合せ面に成形すべき形状をなし両端が半断面溝をもって外部に通じる半キャビテイを形成した少なくとも3枚の重ね合わられた型板をそれぞれ有する第1および第2の型セットと、前記型板に装填された各パイプ材に対応する複数のパンチを有し、前記ムービングボルスタの移動を阻害しないように前記型締めプレスに配された横押し装置と、前記横押し装置の各パンチを進退させるとともに各パンチを通して型セット内のパイプ材中に成形用の液体を給排するための駆動装置とを備え、前記各型セットが少なくとも3枚の型板間にそれぞれパイプ材を装填しまた成形後の製品を取り出すためにキャビテイ領域より外側の型板部位に、対向する型板に対する押圧部を有する複数のリフト用アクチュエータを配設してなる型板開閉装置を有していることを特徴とするパイプ材のハイドロフォーミング装置。
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