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JP3720216B2 - プレス型の成形補助装置 - Google Patents

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JP3720216B2 JP16907299A JP16907299A JP3720216B2 JP 3720216 B2 JP3720216 B2 JP 3720216B2 JP 16907299 A JP16907299 A JP 16907299A JP 16907299 A JP16907299 A JP 16907299A JP 3720216 B2 JP3720216 B2 JP 3720216B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
鋼板をプレス成形するものの中には、ブランクホルダーに対してブランクを部分的に挟み付けるクッション機構が併用されているものがある。そして、このクッション機構には、ブランクの特定箇所を成形する機能が付与されている。この発明は、このようなクッション機構の技術分野に属している。
【0002】
【従来の技術】
鋼板等のプレス成形は、最初に鋼板の周囲をブランクホルダーで押さえ、それからプレス型を進出させて成形するのであるが、さらに、このブランクホルダーを補助するものとして、別途に設けたクッション機構でブランクを挟み付けることが行われている。そして、このクッション機構を利用して特定の箇所、例えば難成形部位の成形をも行っている。このクッション機構には成形品を押し上げる機能も付与されており、その押しあげる時期は、プレス型が後退していると共にブランクホルダーも開放されて、ワークが拘束されていない状態になった時期が一般的である。このような時期を選定することによって、クッション機構がワークに接触しても、ワークが容易に移動するので、ワークに傷が付いたり変形が生じたりしないのである。このクッション機構は、一般にプレス機械のボルスターに制御機構を内装し、これによって上述のような作動時期の選定がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような方式であると、クッション機構全体の一部である駆動機構部はボルスターに組み込まれ、他のブランクに作用する部材はプレス型に組み込まれている。よって、前記駆動機構部とブランクに作用する部材が何らかの形で連結されていなければならない。したがって、プレス型を交換するときには、上記の機構の連結をその都度おこなわなければならないので、交換の手間や所要時間の面で不利である。
【0004】
【課題を解決するための手段とその作用】
本発明は、上述のような問題点を解決するために発案されたもので、ボルスターとは関係のない手法を見いだし、そこに採用される駆動手段、すなわちクッション機構ユニットに特殊な挙動を行わせることが、基本的な考え方になっている。請求項1の発明は、ブランクホルダーを有するプレス型にブランクを部分的に挟み付けるクッション機構が併用されこのクッション機構の成形補助部材がブランクの特定箇所の成形を行うように構成されたものにおいて、上記成形補助部材の駆動手段がプレス型に組み込まれ、当該駆動手段は、ワークの成形加工時にはプレス型の動きに連動して上記成形補助部材を所定位置まで後退させ、成形後プレス型が後退すると共にブランクホルダーがワークを開放するまでは前記後退位置を維持する機能が付与されているものであって、少なくともプレス型に固定されるシリンダとシリンダ内を摺動するピストンと上記成形補助部材に結合されたピストンロッドから成り、ピストンの片側には上記成形補助部材を押し出すばね手段が設置され、ピストンの他側には当該ばね手段の弾性を拘束する手段が設置されており、このばね手段の弾性を拘束する手段は、上記ピストンの他側に設けられた油室に作動油を供給する油路中に前記油室への油流を許す向きに配置されたチェックバルブであり、プレス型の動きに連動して上記成形補助部材が所定位置まで後退するのに伴って上記チェックバルブを介して作動油が前記油室に吸入されるものであることを特徴としている。
したがって、成形補助部材が後退しなければならないときは、ばね手段の弾性的縮小によって、この後退を許容し所定の位置まで後退する。この後退と同時にピストン他側の拘束機能によって、ばね手段による変位、すなわち成形補助部材が進出方向にもどろうとする運動が禁止されるので、成形補助部材の所定の後退位置がプレス型の動きに連動して確実に維持される。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1において、ばね手段は封入された気体であることを特徴としている。
したがって、気体の圧縮性によってばね機能が得られ、成形補助部材が後退をさせられるときには、気体の圧力値の選定を適宜おこなうことにより、成形補助部材の後退時の反力を適正な値にすることが容易にできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図示の実施形態にしたがって、本願発明を詳しく説明する。プレス機械の一部を形成するアッパボルスター1とロアボルスター2とが上下に対向させて配置され、ロア側2が静止状態、アッパ側が上下にストロ−クするようになっている。プレス型は、上型3と下型4で構成され、それぞれアッパボルスター1とロアボルスター2にしっかりと結合してある。成形補助部材5は、駆動手段6で進退制御がなされ、プレス型内での補助プレス型としての機能をも果たしている。駆動手段6は、ワークの成形加工時には成形補助部材を所定位置まで後退させ、成型後プレス型が後退すると共にブランクホルダーがワークを開放するまでは、前記後退位置を維持する機能が付与されている。
【0009】
駆動手段6は、上型3内に組み込まれており、少なくともプレス型(上型3)に固定されるシリンダ7とシリンダ内を摺動するピストン8と成形補助部材5を押し出すピストンロッド9から成り、ピストン8の片側には成形補助部材を押し出すばね手段10が設置され、ピストンの他側にはばね手段10の弾力を拘束する手段11が設置されている。ばね手段10を実現する方法としては、圧縮コイルスプリングや封入された気体などいろいろなものが適用できるが、ここでは窒素ガスをピストン8の片側に封入してある。このガス圧によって、成形補助部材5に押し出し方向の力が付与される。一方、拘束する手段11についても、機械的なものとしてはコレットチャックのような機構で、ピストンロッド9の後退は許すが進出は禁止する方式とか、非圧縮性の流体を用いる方式などが採用できるが、ここでは後者のタイプである。符号11は拘束する手段を指しているが、合わせて油圧機器の作動油を示している。作動油11は、ピストン8が後退するときには吸い込まれ、ガス圧で進出するときには押し出される。この流体の制御は、図4にしたがって後述する。
【0010】
図5に示すドアフレーム12のような部品を成形するときには、ピラー部13は比較的単純な形状なので成形上の問題はないのであるが、ルーフレール14とピラー部13との交差箇所15は局部的に深絞りとなるために、補助プレス型、すなわち成形補助部材が採用されている。それが符号5で示した部材であり、連結軸16を介してピストンロッド9に結合してある。
【0011】
上型3には、収容孔17が明けられ、ここにシリンダ7を収容して固定ボルト18、18でしっかりと取り付けてある、また、収容孔17に連続させて通孔19が明けられ、ここにピストンロッド9が臨んでいて補助プレス型、すなわち成形補助部材5が進退できるようになっている。
【0012】
符号20は、ブランクホルダーを示しており、上型3の周囲に形成された下面21と下型4の周囲に配置された保持型22で構成され、保持型22はクッションピン23や油圧シリンダ25等からなるクッション装置で支持されている。また、下型4には補助プレス型5と対をなす静止型24が配置されている。
【0013】
以上に述べた静止型24、成形補助部材5、連結軸16、ピストンロッド9、ピストン8、シリンダ7、シリンダ7内の流体等の集合体が「クッション機構」を形成しているのである。
【0014】
図4は、作動油の制御回路図であり、ピストン8の上側に窒素ガスが封入され、ピストン8の下側の油室26に作動油が入っている。油室26は、チェックバルブ27やパイロットバルブ28を介してオイルタンク29に接続され、空気管30からの圧縮空気がオイルタンク29の油面に作用して、作動油に供給圧が加えられている。チェックバルブ27は、油室26への油流を許す向きに配置されている。パイロットバルブ28は、プレス機械の自動運転用制御空気を空気管31で導いてきて切替えがなされる。パイロットバルブ28に上記の空気が供給されると、油室26の作動油がオイルタンク29へもどる回路となり、したがって、窒素ガスの圧力でピストンロッド9(成形補助部材5)が進出するところとなる。前記空気の供給が停止されると、油室26の作動油はどこにも排出されない状態となり、ピストンロッド9(成形補助部材5)が上型3の進出時に相対的に後退するときである。このときには作動油が油室26に吸入されるだけで、油室26内に封入されているので、ガス圧によるピストン8の進出(成形補助部材5の進出)は禁止されることになる。
【0015】
以下、この実施形態の作動を説明する。図1は、上下両型3、4の間にブランク32が載置されている状態であり、ピストン8はガス圧で最も下降した位置にあって、成形補助部材5はわずかに突き出ている。ここで上型3が下降してくると、まず最初にブランク32の周囲をブランクホルダー20で挟み付け、さらに上型3が下降すると、ブランク32は成形補助部材5と静止型24とで成形が始まり、深絞りや大きな曲げ箇所の成形が先行的に開始される。ついで、他の部分が成形されて図2の状態になる。図2から明らかなように成形補助部材5が相対的に後退することによって、窒素ガス10は圧縮されると共に油室26には作動油が吸い込まれている。このように成形補助部材5が押し込まれる時の反力は、窒素ガスの圧力やチェックバルブ27の流路抵抗値によって設定される。この値を適正化することによって、成形補助部材5による成形が健全になされるのである。
【0016】
図2の状態から上型3が戻されるときには、油室26の作動油は封じ込められたままであるから、成形補助部材5と上型3との相対位置は不変であり、図3のような過渡状態となる、同図は、ブランクホルダー20の挟み付け機能が持続した状態であるから、ワークは無拘束にはなっていない。ここでさらに上型3が後退すると、ブランクホルダー20の挟み付けが開放され、ワークは拘束されない状態になる。それからパイロットバルブ28が空気供給によって切り替えられて、油室26の作動油がオイルタンク29へ流出できる状態になると、窒素ガスの圧力で成形補助部材5が押し出されて、ワークを上型3から離型させる。上記のパイロットバルブ28の切替えは、プレス機械の自動運転用の空気を利用しているので、ブランクホルダー20がワークを開放するストロ−ク時期に、作動空気をパイロットバルブ28に供給できることになる。
【0017】
特許請求の範囲には記載していないが、次の事項は請求項として記載することができる。すなわち、作動油が油室26に吸入されるときの流路面積やガス圧を選定することによって、補助プレス型5で成形される箇所の変形度合に応じた成形補助部材5の後退反力が設定できて、成形部分に傷やひび割れなどが発生するのを回避できる。
一方、油室26から作動油が流出するときの流路面積を選定しておくことによって、ワーク離型時の進出力を適正化できるので、ワークを傷めることがない。なお、本発明は、駆動手段6を上型3、下型4のいずれか一方または上下両方に設置することも包含している。さらに、本発明が適用されるプレス機械は、シングルアクション方式でもダブルアクション方式のいずれであってもよい。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、プレス成形後プレス型が後退し、さらにブランクホルダーが開放してから成形補助部材がワークを押し出す形式のものであって、成形補助部材の駆動手段がプレス型に組み込まれているので、ボルスターと何等の機構的関連を持つことなく、プレス型内部で必要な機能を全て充足させることができる。したがって、プレス型を交換するときには、ボルスター側の機構と何等関係することなく、交換作業が大幅に簡素化される。
【0019】
上述の駆動手段は、ワークの成形加工時には成形補助部材を所定位置まで後退させ、成型後プレス型が後退すると共にブランクホルダーがワークを開放するまでは、前記後退位置を維持する機能を保有しているので、成形補助部材が進出するときには、すでにワークに対する拘束作用が消滅させられており、成形補助部材がワークに突き当たると、ワークは直ちに押し出される。よって、成形補助部材がワークを強く押したりしないので、ワークの傷つきや変形等が発生しないのである。これは、とくに自動車の外板のように外観品質を重要視するような場合に、大変有利なことである。
【0020】
さらに駆動手段の具体的な構成としては、少なくともプレス型に固定されるシリンダとシリンダ内を摺動するピストンと上記成形補助部材を押し出すピストンロッドから成り、ピストンの片側には上記成形補助部材を押し出すばね手段が設置され、ピストンの他側にはばね手段の弾性を拘束する手段が設置されており、このばね手段の弾性を拘束する手段は、上記ピストンの他側に設けられた油室に作動油を供給する油路中に前記油室への油流を許す向きに配置されたチェックバルブであり、プレス型の動きに連動して上記成形補助部材が所定位置まで後退するのに伴って上記チェックバルブを介して作動油が前記油室に吸入されるものであるから、成形補助部材が後退しなければならないときは、ばね手段の弾性的縮小によって、この後退を許容し所定の位置まで後退する。この後退と同時にピストン他側の拘束機能によって、ばね手段による変位、すなわち成形補助部材が進出方向にもどろうとする運動が禁止されるので、成形補助部材の所定の後退位置がプレス型の動きに連動して確実に維持される。
【0021】
上述のばね手段は封入された気体であるから、気体の圧縮性によってばね機能が得られ、成形補助部材が後退をさせられるときには、気体の圧力値の選定を適宜おこなうことにより、成形補助部材の後退時の反力を適正な値にすることが容易にできる。
【0022】
成形補助部材の先端部はワークの一部を成形する補助プレス型とされているから、補助プレス型に要求される後退時の反力や成形補助時の押し出し力を適正な値に選定することができる。特に後退時の反力制御は、鋼板の変形の度合い、たとえば深絞りの度合いに応じて適正に選定しておくことが重要である。もし、この選定が適切でないときには、成形局部に引き傷がついたり、ひび割れが発生したりするので、微妙な制御が求められものであり、本発明はこのような点においても、非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す縦断側面図であり、上型がもっとも上昇した状態である。
【図2】図1のものの成形完了状態を示す縦断側面図である。
【図3】上型が後退するときの過渡状態を示す部分的な縦断側面図である。
【図4】作動油の回路図である。
【図5】自動車用ドアフレームの立体図である。
【符号の説明】
3、4 プレス型
3 上型
4 下型
20 ブランクホルダー
5 成形補助部材
6 駆動手段
7 シリンダ
8 ピストン
9 ピストンロッド
10 ばね手段
11 拘束する手段
10 気体
11 液体

Claims (2)

  1. ブランクホルダーを有するプレス型にブランクを部分的に挟み付けるクッション機構が併用されこのクッション機構の成形補助部材がブランクの特定箇所の成形を行うように構成されたものにおいて、上記成形補助部材の駆動手段がプレス型に組み込まれ、当該駆動手段は、ワークの成形加工時にはプレス型の動きに連動して上記成形補助部材を所定位置まで後退させ、成形後プレス型が後退すると共にブランクホルダーがワークを開放するまでは前記後退位置を維持する機能が付与されているものであって、少なくともプレス型に固定されるシリンダとシリンダ内を摺動するピストンと上記成形補助部材に結合されたピストンロッドから成り、ピストンの片側には上記成形補助部材を押し出すばね手段が設置され、ピストンの他側には当該ばね手段の弾性を拘束する手段が設置されており、このばね手段の弾性を拘束する手段は、上記ピストンの他側に設けられた油室に作動油を供給する油路中に前記油室への油流を許す向きに配置されたチェックバルブであり、プレス型の動きに連動して上記成形補助部材が所定位置まで後退するのに伴って上記チェックバルブを介して作動油が前記油室に吸入されるものであることを特徴とするプレス型の成形補助装置。
  2. 請求項1において、ばね手段は封入された気体であることを特徴とするプレス型の成形補助装置。
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