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JP4499323B2 - 電磁界供給装置およびプラズマ処理装置 - Google Patents

電磁界供給装置およびプラズマ処理装置 Download PDF

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JP4499323B2
JP4499323B2 JP2001297801A JP2001297801A JP4499323B2 JP 4499323 B2 JP4499323 B2 JP 4499323B2 JP 2001297801 A JP2001297801 A JP 2001297801A JP 2001297801 A JP2001297801 A JP 2001297801A JP 4499323 B2 JP4499323 B2 JP 4499323B2
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Nihon Koshuha Co Ltd
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Nihon Koshuha Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁界供給装置に関し、より詳しくは、導波路を伝搬する電磁界をスロットを介して対象に供給する電磁界供給装置に関する。
また本発明は、プラズマ処理装置に関し、より詳しくは、電磁界を用いてプラズマを生成し、半導体やLCD(liquid crystal desplay)などの被処理体を処理するプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置やフラットパネルディスプレイの製造において、酸化膜の形成や半導体層の結晶成長、エッチング、またアッシングなどの処理を行うために、プラズマ処理装置が多用されている。これらのプラズマ処理装置の一つに、ラジアルラインスロットアンテナ(以下、RLSAと略記する)から処理容器内にマイクロ波を供給し、その電磁界の作用により処理容器内のガスを電離および解離させてプラズマを生成するマイクロ波プラズマ処理装置がある。このマイクロ波プラズマ処理装置は、低圧力で高密度のプラズマを生成できるので、効率のよいプラズマ処理が可能である。
【0003】
図10は、従来のマイクロ波プラズマ処理装置の一構成例を示す図である。図11は、図10の一部の構成(円筒導波管とラジアル導波路との接続部)の拡大断面図である。
図11に示すプラズマ処理装置は、被処理体である基板4を収容しこの基板4に対しプラズマ処理を施す処理容器1と、この処理容器1内にマイクロ波MWを供給しその電磁界の作用により処理容器1内にプラズマPを生成する電磁界供給装置110とを有している。
【0004】
処理容器1は、上部が開口した有底円筒形をしている。この処理容器1の底面中央部には絶縁板2を介して基板台3が固定されている。この基板台3の上面に基板4が配置される。処理容器1の底面周縁部には、真空排気用の排気口5が設けられている。処理容器1の側壁には、処理容器1内にガスを導入するためのガス導入用ノズル6が設けられている。例えばこのプラズマ処理装置がエッチング装置として用いられる場合、ノズル6からArなどのプラズマガスと、CF4 などのエッチングガスとが導入される。
【0005】
処理容器1の上部開口は、処理容器1内で生成されるプラズマPが外部に漏れないように、誘電体板7で密閉されている。この誘電体板7の上に後述する電磁界供給装置110のRLSA112が配設されている。このRLSA112は、誘電体板7によって処理容器1から隔離され、処理容器1内で生成されるプラズマPから保護されている。誘電体板7およびRLSA112の外周は、処理容器1の側壁上に環状に配置されたシールド材8によって覆われ、マイクロ波MWが外部に漏れない構造になっている。
【0006】
電磁界供給装置110は、マイクロ波MWを発生させる高周波電源111とRLSA112との間を接続する円筒導波管113とを有している。
RLSA112は、ラジアル導波路121を形成する対向配置された2つの円形導体板122,123と、これら2つの導体板122,123の外周部を接続してシールドする導体リング124とから構成されている。ラジアル導波路121の上面となる導体板122の中心部には、円筒導波管113に接続される開口125が形成され、この開口125からラジアル導波路121内にマイクロ波MWが導入される。ラジアル導波路121の下面となる導体板123には、ラジアル導波路121内を伝搬するマイクロ波MWを処理容器1内に供給するスロット126が複数形成されている。
【0007】
導体板123上の中心部には、アルミニウムで形成されたバンプ127が設けられている。バンプ127は導体板122の開口125に向かって突出する略円錐形に形成された部材である。このバンプ127により、円筒導波管113からラジアル導波路121へのインピーダンスの変化を緩やかにし、円筒導波管113とラジアル導波路121との接続部でのマイクロ波MWの反射を低減することができる。円筒導波管113の直径Lg =φ90mm、ラジアル導波路121の高さD=15mm、使用周波数f=2.45GHzという条件の下で、−15dB程度の反射率(=反射電力/入力電力)を得るには、例えばバンプ127の底面の直径Lb をφ70mm、高さHb を50mmとする。
また、導体板122の開口125の周囲には、セラミックで形成された支柱128が複数設けられている。支柱128は導体板122,123の両方にネジで締結され、バンプ127および導体板123自身による荷重で導体板123が湾曲することを防いでいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のバンプ127は質量が大きく、ラジアル導波路121の下面となる導体板123にかかる荷重が大きかった。このため、例えばRLSA112の組立時にどこかにぶつかるなどして衝撃が与えられた場合、導体板123を支持する支柱128が頻繁に破損するという問題があった。
支柱128の破損を抑えるには、支柱128を太くし強度を大きくすればよい。しかし、例え支柱128をセラミックで形成するとしても、支柱128をあまり太くすると、ラジアル導波路121内の電磁界に与える影響が無視できなくなる。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、導波路内の電磁界に大きな影響を与えることなく、支柱の破損を抑制することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の電磁界供給装置は、スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、第2の導体板の開口に接続された円筒導波管と、円筒導波管と上記導波路との接続部に設けられ、円筒導波管から上記導波路に向かって広がるテーパー部とを有し、第2の導体板の開口の周囲に配設されるとともに第1および第2の導体板に締結されかつ誘電体で形成された支柱を備えたことを特徴とする。テーパー部により円筒導波管から上記導波路へのインピーダンス変化を緩やかにし、接続部での電力の反射を低減することができる。したがって、第1の導体板から第2の導体板の開口に向かって突出するバンプを必ずしも設ける必要がなく、またバンプを設けるにしても従来より体積を縮小し質量を小さくすることができる。このため第1の導体板にかかる荷重を小さくすることができる。
なお、バンプを設ける場合、そのバンプを金属で形成してもよい。
【0011】
また、本発明の電磁界供給装置は、スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、第2の導体板の開口に接続された円筒導波管と、第1の導体板上に設けられ第2の導体板の開口に向かって突出するバンプとを備え、バンプが、誘電体で形成されたバンプ本体と、このバンプ本体の表面を覆う金属膜とからなり、第2の導体板の開口の周囲に配設されるとともに第1および第2の導体板に締結されかつ誘電体で形成された支柱を備えることを特徴とする。従来用いられていたアルミニウムよりも密度が小さい誘電体でバンプ本体を形成することにより、従来よりバンプ全体の質量を小さくし、第1の導体板にかかる荷重を小さくすることができる。また、バンプ本体の表面を金属膜で覆うことにより、バンプ全体を金属で形成した場合と同じ特性を得ることができる。なお、バンプ本体の第1の導体板との対向面まで金属膜で覆う必要はない。
【0012】
また、本発明の電磁界供給装置は、スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、第2の導体板の開口に接続された円筒導波管と、第1の導体板上に設けられ第2の導体板の開口に向かって突出するバンプとを備えた電磁界供給装置において、バンプは、中空の金属で形成され、第2の導体板の開口の周囲に配設されるとともに第1および第2の導体板に締結されかつ誘電体で形成された支柱を備える。
【0013】
上述した電磁界供給装置において、円筒導波管と上記導波路との接続部に、円筒導波管から上記導波路に向かって広がるテーパー部を設けてもよい。これにより、円筒導波管から上記導波路へのインピーダンス変化を緩やかにし、接続部での電力の反射を低減することができる。このためバンプの体積を従来より縮小し、質量を更に小さくすることができる。このため第1の導体板にかかる荷重を更に小さくすることができる。
また、上述した電磁界供給装置において、バンプの開口に向かう先端が、丸められていてもよい。これによりバンプの先端に電界が集中することによって起こる異常放電を抑制することができる
【0014】
また上述した目的を達成するために、本発明のプラズマ処理装置は、被処理体が収容される処理容器と、この処理容器内に電磁界を供給する電磁界供給装置とを備え、電磁界供給装置として上述した電磁界供給装置が用いられることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の構成を示す図である。この図では、図10と同一部分または相当部分を同一符号で示しており、その説明を適宜省略する。
図1に示すプラズマ処理装置は、半導体やLCDなどの基板(被処理体)4を収容しこの基板4に対しプラズマ処理を施す処理容器1と、この処理容器1内にマイクロ波MWを供給しその電磁界の作用により処理容器1内にプラズマPを生成する電磁界供給装置10とを有している。
【0016】
電磁界供給装置10は、周波数が2.45GHzのマイクロ波MWを発生させる高周波電源11と、ラジアルラインスロットアンテナ(以下、RLSAと略記する)12と、高周波電源11とRLSA12との間を接続する円筒導波管13とを有している。円筒導波管13の伝送周波数は2.45GHzであり、伝送モードはTE11である。
また円筒導波管13には、高周波電源11側に円偏波変換器14が、またRLSA12側に整合器15が設けられている。
【0017】
円偏波変換器14は、円筒導波管13を伝搬するTE11モードのマイクロ波MWを円偏波に変換するものである。ここに円偏波とは、その電界ベクトルが進行方向の軸に対し垂直な面上で、1周期で1回転する回転電界であるような電磁波をいう。
図2は、円偏波変換器14の一構成例を示す図であり、円筒導波管13の軸に垂直な断面を示している。この図に示す円偏波変換器14は、円筒導波管13の内壁面に互いに対向する2つの円柱状突起14A,14Bを1対、またはこれらを円筒導波管13の軸方向に複数対設けたものである。2つの円柱状突起14A,14Bは、TE11モードのマイクロ波MWの電界Eの主方向に対して45°をなす方向に配置される。なお、他の構成の円偏波変換器を用いてもよい。
【0018】
整合器15は、円筒導波管13の供給側(すなわち高周波電源11側)と負荷側(すなわちRLSA12側)とのインピーダンスの整合をとるものである。整合器15としては例えば、リアクタンス素子を円筒導波管13の軸方向に複数設けたものを1組とし、これらを円筒導波管13の周方向に90°の角度間隔で4組設けたものを用いることができる。リアクタンス素子としては、円筒導波管13の内壁面から半径方向に突出する導体または誘電体からなるスタブや、一端が円筒導波管13内に開口し他端が電気機能的にショートされた分岐導波管などを用いることができる。
【0019】
図3は、図1に示したRLSA12の拡大断面図である。RLSA12は、ラジアル導波路21を形成する対向配置された2つの円形導体板22,23と、これら2つの導体板22,23の外周部を接続してシールドする導体リング24とから構成されている。ラジアル導波路21の上面となる導体板22と導体リング24とは一体に形成され、ラジアル導波路21の下面となる導体板23は導体リングにボルト30で締結されている。
ラジアル導波路21の上面となる導体板22の中心部には、円形の開口25が形成され、この開口25の周囲に円筒導波管13のフランジ13Fがボルト(図示せず)で締結される。これにより円筒導波管13とラジアル導波路21とが接続され、円筒導波管13を伝搬するマイクロ波MWが開口25からラジアル導波路21内に導入される。
【0020】
ラジアル導波路21の下面となる導体板23には、ラジアル導波路21内を伝搬するマイクロ波MWを処理容器1内に供給するスロット26が複数形成されている。
図4は、導体板23上のスロット配置の一例を示す平面図である。この図に示すように、導体板23には、導体板23の周方向にのびるスロット26を同心円上に配置してもよい。またスロット26を渦巻き線上に配置してもよい。導体板23の半径方向のスロット間隔をλg (λg はラジアル導波路21における管内波長)程度として放射型アンテナとしてもよいし、λg/3〜λg/40程度としてリーク型アンテナとしてもよい。またハの字状をなすスロット26の対を複数配置し、円偏波を放射するようにしてもよい。
なお、ラジアル導波路21内に比誘電率が1より大きい誘電体を配置してもよい。これにより管内波長λg が短くなるので、導体板23の半径方向に配置されるスロット26を増やし、マイクロ波MWの供給効率を向上させることができる。
【0021】
図3に示すように、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部に、円筒導波管13からラジアル導波路21に向かって広がるテーパー部29を有している。テーパーの断面形状は直線状であってもよいし、円弧状であってもよい。
また、導体板23の中心部にはバンプ27が設けられている。このバンプ27は導体板22の開口25に向かって突出する略円錐形に形成された部材であり、例えばアルミニウムまたは銅などの金属で形成される。
【0022】
図5は、バンプ27の望ましい側面形状を示す概念図である。この図に示すように、バンプ27の先端を球面状に丸めることにより、バンプ27の先端に電界が集中し異常放電が起こることを抑制できる。また、バンプ27の裾部分の稜線の導体板23に対する傾きを小さくすることにより、バンプ27と導体板23との境界でのインピーダンス変化を小さくし、そこでのマイクロ波MWの反射を低減することができる。
このような略円錐形のバンプ27と上述したテーパー部29との作用により、円筒導波管13からラジアル導波路21へのインピーダンスの変化を緩やかにし、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部でのマイクロ波MWの反射を低減することができる。
【0023】
さらに図3に示すように、導体板22の開口25の周囲には、支柱28が複数配設されている。支柱28は全体として円柱状をなし、上部外面にネジ部が形成され、下面にネジ孔が形成されている。この支柱を導体板22の開口25の周囲および円筒導波管13のフランジ13Fに形成された矩形の貫通孔に挿入し、支柱28の下面を導体板23に接触させた状態で導体板23の下からボルト31を支柱28のネジ孔に挿入することにより、支柱28を導体板23に締結する。また、フランジ13Fから上に突出するネジ部にナット32を挿入することにより、支柱28を導体板22に締結する。このように支柱28を導体板22,23の両方に締結することにより、導体板23の中心付近を支柱28で支持し、バンプ27および導体板23自身の荷重により導体板23が湾曲することを防止できる。なお、支柱28およびボルト31をセラミックなどの誘電体で形成することにより、ラジアル導波路21内の電磁界に与える影響を抑えている。
【0024】
次に、図1〜図5に示したプラズマ処理装置の動作について説明する。図6は、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部におけるマイクロ波MWの伝搬の状態を示す概念図である。
高周波電源11で発生したマイクロ波MWは、円筒導波管13をTE11モードで伝搬し、円偏波変換器14により円偏波に変換され、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部に到達する。この接続部でマイクロ波MWは、図6に示すようにバンプ27により円筒導波管13の軸を含む面内で左右に分割され、円筒導波管13内で水平方向であった電界Eの方向が、バンプ27およびテーパー部29により徐々に傾斜していき、最終的には垂直方向へと変化する。こうしてラジアル導波路21に導入されたマイクロ波MWは、TEMモードで半径方向に伝搬していく。
【0025】
ラジアル導波路21を伝搬するマイクロ波MWは、ラジアル導波路21の下面となる導体板23に複数形成されたスロット26から、誘電体板7を介して処理容器1内に供給される。処理容器1内ではマイクロ波MWの電磁界により、ノズル6から導入されたプラズマガスが電離、場合によっては解離してプラズマPが生成され、基板4に対する処理が行われる。
【0026】
マイクロ波MWは円筒導波管13をTE11モードで伝搬するので、ラジアル導波路21内の電界強度分布は図7に示すように、円筒導波管13内の電界Eの方向に電界強度の強い部分Fが強く偏在したものとなる。しかし円筒導波管13を伝搬するマイクロ波MWは円偏波であり、マイクロ波MWの電界Eは円筒導波管13の軸を中心に回転しているので、ラジアル導波路21内における電界強度の強い部分Fも同様に回転する。したがってラジアル導波路21内の電界強度分布は時間平均で均一化される。これにより処理容器1内の電界強度分布も時間平均で均一化されるので、処理容器1内の電磁界により生成されたプラズマPを用いて基板4の面内で一様な処理を行なうことができる。
【0027】
次に、図3に示した電磁界供給装置10についてのシミュレーション結果を示す。このシミュレーションでは、円筒導波管13の直径Lg をφ90mm、ラジアル導波路21の直径La ,高さDをそれぞれφ480mm,15mmとした。また、テーパー部29の底面の半径と円筒導波管13の半径(Lg/2)との差Wt を5mm、テーパー部81の高さHt を5mmとした。また、バンプ27をアルミニウムで形成し、その底面の直径Lb ,高さHb をそれぞれφ85mm,30mmとした。このような構成において、円筒導波管13に周波数が2.45GHzのマイクロ波MWを投入したとしてシミュレーションを行ったところ、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部での反射率(反射電力/入力電力)は−15dBであった。
【0028】
このシミュレーション結果から、従来はLb =φ70mm,Hb =50mmのバンプ127を用いて得られた反射率を、図3に示した電磁界供給装置10ではテーパー部29を設けることで、従来よりも体積が小さいLb =φ85mm,Hb =30mmのバンプ27を用いて得られることがわかる。バンプ27の体積を小さくすることにより、その質量を小さくし、導体板23にかかる荷重を小さくすることができる。このため、RLSA12に衝撃が与えられた場合に、導体板23を支持する支柱28が破損する頻度を低減することができる。
この電磁界供給装置10では、支柱28を太くすることなく支柱28が破損する頻度を低減できるので、ラジアル導波路21内の電磁界に与えられる影響は小さい。
【0029】
また、バンプ27の底面の直径Lb のみを変化させて同様のシミュレーションを行ったところ、直径Lb がφ90mm以上で反射率が−20dB以下となった。この結果から、Wt =Ht =5mmのテーパー部29を形成し、Lb ≧φ90mm,Hb =30mmのバンプ27を用いることにより、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部での反射を極めて小さくすることができると言える。
【0030】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態の要部構成を示す断面図である。この図では、図1,図3と同一部分または相当部分を同一符号で示しており、その説明を適宜省略する。
図1,図3に示した電磁界供給装置10には、バンプ27とテーパー部29とが設けられていたが、図8に示す電磁界供給装置には、バンプ27が設けられていない。しかし、テーパー部29Aのみでも、円筒導波管13からラジアル導波路21へのインピーダンス変化を緩やかにする作用が得られるので、円筒導波管13の直径Lg とラジアル導波路21の高さDとの比を調整することにより、図1,図3に示した電磁界供給装置10と同程度の反射率を得ることができる。
【0031】
図8に示すように導体板23上からバンプ27を削除することにより、導体板23にかかる荷重を更に小さくすることができる。このため、RLSA12Aに衝撃が与えられた場合に、導体板23を支持する支柱28が破損する頻度を更に低減することができる。
【0032】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の第3の実施の形態の要部構成を示す断面図である。この図では、図1,図3と同一部分または相当部分を同一符号で示しており、その説明を適宜省略する。
図9に示す電磁界供給装置は、バンプ本体41と、このバンプ本体41の表面を覆う金属薄膜42とから構成されたバンプ40を有している。
【0033】
バンプ本体41は、従来からバンプ形成に用いられていたアルミニウムよりも密度が小さい誘電体で形成されている。具体的には、20℃で2.69×103 kg/m3 より小さい密度のプラスチックなどで形成されている。バンプ本体41はまた、アルミニウムよりも密度が小さい多孔質などで形成されてもよい。バンプ本体41の寸法は、従来から用いられていた金属製のバンプ127の寸法と同程度であってもよい。
金属薄膜42は、例えばアルミニウム、銅、銀などからなり、その厚さは例えば0.1mm程度とすることができる。なお、金属薄膜42はバンプ40の下面、すなわち導体板23との対向面まで覆う必要はない。
【0034】
このようにバンプ本体41を小さい密度の材料で形成することにより、バンプ40全体の質量を小さくし、導体板23にかかる荷重を小さくすることができる。このため、RLSA12Bに衝撃が与えられた場合に、導体板23を支持する支柱28が破損する頻度を低減することができる。
また、バンプ本体41の表面を金属薄膜42で覆うことにより、バンプ全体を金属で形成した場合と同じ特性を得ることができる。
図9に示す電磁界供給装置では、支柱28を太くすることなく支柱28が破損する頻度を低減できるので、ラジアル導波路21内の電磁界に与えられる影響は小さい。
【0035】
なお、図9に示す電磁界供給装置では、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部にテーパー部を設けていないが、図3と同様にテーパー部29を設けてもよい。これによりバンプ40の体積を縮小し、質量を更に小さくすることができる。よって、導体板23にかかる荷重を更に小さくし、支柱28が破損する頻度を更に低減することができる。
バンプを中空の金属で形成しても、バンプの質量を小さくし、導体板23にかかる荷重を小さくし、ひいては導体板23を支持する支柱28が破損する頻度を低減する効果が得られる。
【0036】
以上では、周波数が2.45GHzのマイクロ波MWを使用した例を説明したが、使用可能な周波数は2.45GHzに限定されない。例えば周波数が1GHz〜十数GHzのマイクロ波に対しても、同様の効果が得られる。さらに、マイクロ波よりも低い周波数帯を含む高周波を用いた場合でも、同様の効果が得られる。
また、円筒導波管13の伝送モードは、TM01モードであってもよい。
【0037】
また、スロットアンテナの一例としてRLSA12,12A,12Bを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、他のスロットアンテナであってもかまわない。
また、本発明のプラズマ処理装置は、エッチング装置、CVD装置、アッシング装置などに利用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、第1および第2の導体板からなる導波路と円筒導波管との接続部に、テーパー部を有するものである。このテーパー部により円筒導波管から上記導波路へのインピーダンス変化を緩やかにし、接続部での電力の反射を低減することができる。したがって、必ずしも第1の導体板上にバンプを設ける必要がなく、またバンプを設けるにしても従来より体積を縮小し質量を小さくすることができる。このため第1の導体板にかかる荷重を小さくすることができる。したがって、ラジアル導波路内の電磁界に大きな影響を与えることなく、第1の導体板を支持ずる支柱の破損を抑制することができる。
【0039】
また、本発明は、誘電体で形成されたバンプ本体と、このバンプ本体の表面を覆う金属膜とからなるバンプを用いたものである。従来用いられていたアルミニウムよりも密度が小さい誘電体でバンプ本体を形成することにより、バンプの質量を従来より小さくし、第1の導体板にかかる荷重を小さくすることができる。したがって、ラジアル導波路内の電磁界に大きな影響を与えることなく、第1の導体板を支持ずる支柱の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 円偏波変換器の一構成例を示す図である。
【図3】 ラジアルラインスロットアンテナの拡大断面図である。
【図4】 図3におけるIV−IV′線方向からみたラジアル導波路の下面となる導体板の平面図である。
【図5】 バンプの望ましい側面形状を示す概念図である。
【図6】 円筒導波管とラジアル導波路との接続部におけるマイクロ波の伝搬の状態を示す概念図である。
【図7】 ラジアル導波路におけるマイクロ波の分布を説明するための図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態の要部構成を示す断面図である。
【図9】 本発明の第3の実施の形態の要部構成を示す断面図である。
【図10】 従来のマイクロ波プラズマ処理装置の一構成例を示す図である。
【図11】 円筒導波管とラジアル導波路との接続部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1…処理容器、2…絶縁板、3…基板台、4…基板(被処理体)、5…排気口、6…ガス導入用ノズル、7…誘電体板、8…シールド材、10…電磁界供給装置、11…高周波電源、12,12A,12B…ラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)、13…円筒導波管、14…円偏波変換器、14A,14B…スタブ、15…整合器、21…ラジアル導波路、22,22A,22B…円形導体板(第2の導体板)、23…円形導体板(第1の導体板)、24…リング部材、25…開口、26…スロット、27,40…バンプ、28…支柱、29,29A…テーパー部、30,31…ボルト、32…ナット、41…バンプ本体、42…金属薄膜、E…電界、F…電界強度の強い部分、MW…マイクロ波、P…プラズマ。

Claims (8)

  1. スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、前記第2の導体板の開口に接続された円筒導波管とを備えた電磁界供給装置において、
    前記円筒導波管と前記導波路との接続部に、前記円筒導波管から前記導波路に向かって広がるテーパー部を有し、
    前記第2の導体板の開口の周囲に配設されるとともに前記第1および第2の導体板に締結されかつ誘電体で形成された支柱を備えることを特徴とする電磁界供給装置。
  2. 請求項1記載の電磁界供給装置において、
    前記第1の導体板上に設けられ前記第2の導体板の開口に向かって突出するバンプを備えたことを特徴とする電磁界供給装置。
  3. 請求項2記載の電磁界供給装置において、
    前記バンプは、金属で形成されていることを特徴とする電磁界供給装置。
  4. スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、前記第2の導体板の開口に接続された円筒導波管と、前記第1の導体板上に設けられ前記第2の導体板の開口に向かって突出するバンプとを備えた電磁界供給装置において、
    前記バンプは、誘電体で形成されたバンプ本体と、このバンプ本体の表面を覆う金属膜とからなり、
    前記第2の導体板の開口の周囲に配設されるとともに前記第1および第2の導体板に締結されかつ誘電体で形成された支柱を備えることを特徴とする電磁界供給装置。
  5. スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、前記第2の導体板の開口に接続された円筒導波管と、前記第1の導体板上に設けられ前記第2の導体板の開口に向かって突出するバンプとを備えた電磁界供給装置において、
    前記バンプは、中空の金属で形成され
    前記第2の導体板の開口の周囲に配設されるとともに前記第1および第2の導体板に締結されかつ誘電体で形成された支柱を備えることを特徴とする電磁界供給装置。
  6. 請求項4または5記載の電磁界供給装置において、
    前記円筒導波管と前記導波路との接続部に、前記円筒導波管から前記導波路に向かって広がるテーパー部を有することを特徴とする電磁界供給装置。
  7. 請求項2〜のいずれか1項記載の電磁界供給装置において、
    前記バンプの前記開口に向かう先端が、丸められていることを特徴とする電磁界供給装置。
  8. 被処理体が収容される処理容器と、この処理容器内に電磁界を供給する電磁界供給装置とを備えたプラズマ処理装置において、
    前記電磁界供給装置は、請求項1〜7のいずれか1項記載の電磁界供給装置であることを特徴とするプラズマ処理装置。
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