JP4481538B2 - 電磁界供給装置およびプラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁界供給装置に関し、より詳しくは、導波路を伝搬する電磁界をスロットを介して対象に供給する電磁界供給装置に関する。
また本発明は、プラズマ処理装置に関し、より詳しくは、電磁界を用いてプラズマを生成し、半導体やLCD(liquid crystal desplay)などの被処理体を処理するプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置やフラットパネルディスプレイの製造において、酸化膜の形成や半導体層の結晶成長、エッチング、またアッシングなどの処理を行うために、プラズマ処理装置が多用されている。これらのプラズマ処理装置の一つに、ラジアルラインスロットアンテナ(以下、RLSAと略記する)から処理容器内にマイクロ波を供給し、その電磁界の作用により処理容器内のガスを電離および解離させてプラズマを生成するマイクロ波プラズマ処理装置がある。このマイクロ波プラズマ処理装置は、低圧力で高密度のプラズマを生成できるので、効率のよいプラズマ処理が可能である。
【0003】
図11は、従来のマイクロ波プラズマ処理装置の一構成例を示す図である。この図に示すプラズマ処理装置は、被処理体である基板4を収容しこの基板4に対しプラズマ処理を施す処理容器1と、この処理容器1内にマイクロ波MWを供給しその電磁界の作用により処理容器1内にプラズマPを生成する電磁界供給装置110とを有している。
処理容器1は、上部が開口した有底円筒形をしている。この処理容器1の底面中央部には絶縁板2を介して基板台3が固定されている。この基板台3の上面に基板4が配置される。処理容器1の底面周縁部には、真空排気用の排気口5が設けられている。処理容器1の側壁には、処理容器1内にガスを導入するためのガス導入用ノズル6が設けられている。例えばこのプラズマ処理装置がエッチング装置として用いられる場合、ノズル6からArなどのプラズマガスと、CF4 などのエッチングガスとが導入される。
【0004】
処理容器1の上部開口は、処理容器1内で生成されるプラズマPが外部に漏れないように、誘電体板7で密閉されている。この誘電体板7の上に後述する電磁界供給装置110のRLSA112が配設されている。このRLSA112は、誘電体板7によって処理容器1から隔離され、処理容器1内で生成されるプラズマPから保護されている。誘電体板7およびRLSA112の外周は、処理容器1の側壁上に環状に配置されたシールド材8によって覆われ、マイクロ波MWが外部に漏れない構造になっている。
【0005】
電磁界供給装置110は、マイクロ波MWを発生させる高周波電源111と、RLSA112と、高周波電源111とRLSA112との間を接続する同軸導波管113とを有している。
RLSA112は、ラジアル導波路121を形成する互いに平行な2つの円形導体板122,123と、これら2つの導体板122,123の外周部を接続してシールドする導体リング124とを有している。ラジアル導波路121の上面となる導体板122の中心部には、同軸導波管113からラジアル導波路121内にマイクロ波MWを導入する開口125が形成されている。ラジアル導波路121の下面となる導体板123には、ラジアル導波路121内を伝搬するマイクロ波MWを処理容器1内に供給するスロット126が複数形成されている。
同軸導波管113は同軸に配設された外導体113Aと内導体113Bとからなり、外導体113AがRLSA112の導体板122の開口125の周囲に接続され、内導体113Bが上記開口125を通ってRLSA112の導体板123の中心に接続されている。
【0006】
このような構成において、高周波電源111で発生したマイクロ波MWは、同軸導波管113を介してラジアル導波路121内に導入される。そしてラジアル導波路121内を放射状に伝搬し、スロット126から誘電体板7を介して処理容器1内に供給される。処理容器1内ではマイクロ波MWの電磁界により、ノズル6から導入されたプラズマガスが電離、場合によっては解離してプラズマPが生成され、基板4に対する処理が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電磁界供給装置110で用いられる同軸導波管113は、伝送電力が熱に変換されやすく伝送損が大きいので、電磁界の供給効率が低い。このため、この電磁界供給装置110を用いた従来のプラズマ処理装置は、プラズマPの生成効率が低いという問題があった。
また、同軸導波管113に大電力を投入し内導体113Bが過熱されると、内導体113Bの熱によりRLSA112の導体板123が内導体113Bとの接続部分で歪み、その結果内導体113Bと導体板123との間に隙間ができ、異常放電が起こることがあった。これを防ぐには、細い内導体113B内に冷却機構を設ける必要があるが、構造が複雑になりコストが高くなる。このため従来のプラズマ処理装置は、低コストで安定した動作を得ることが困難であるという問題があった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電磁界の供給効率を向上させることにある。
また他の目的は、プラズマの生成効率を向上させることにある。
また他の目的は、低コストで安定した動作を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の電磁界供給装置は、スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、第2の導体板の開口に接続された円筒導波管と、第1の導体板上に設けられ第2の導体板の開口に向かって突出しかつ少なくとも一部が誘電体で形成されたバンプとを備え、バンプは、金属で形成された層と、誘電体で形成された層とが交互に配置された多層構造とされていることを特徴とする。
同じ伝送周波数の円筒導波管と同軸導波管とを比較すると、一般に円筒導波管は同軸導波管よりも特性インピーダンスが大きい。このため同じ電力を投入した場合に生じる壁面電流は円筒導波管の方が同軸導波管よりも小さくなる。壁面電流が小さいほど伝送電力が熱に変換されることによる伝送損が小さくなるので、壁面電流が小さい円筒導波管を用いることにより伝送損を低減することができる。
また、金属で形成された層と、誘電体で形成された層とが交互に配置された多層構造とされたバンプを設けることにより、円筒導波管から2つの導体板で構成される導波路へのインピーダンス変化を緩やかにし、両者の接続部での電力の反射を低減することができる。
また、円筒導波管は内導体を有しないので、内導体の過熱が原因の異常放電は起こらない。このため異常放電を防ぐために冷却機構などの複雑な構造体を設ける必要がない。
【0010】
この電磁界供給装置において、バンプの開口に向かう先端が、丸められていてもよい。これによりバンプの先端に電界が集中することによって起こる異常放電を抑制することができる。
また、円筒導波管と2つの導体板で構成される導波路との接続部に、円筒導波管から上記導波路に向かって広がるテーパー部を設けてもよい。これにより円筒導波管から上記導波路へのインピーダンス変化を更に緩やかにし、両者の接続部での電力の反射を更に低減することができる。
【0011】
また上述した目的を達成するために、本発明のプラズマ処理装置は、被処理体が収容される処理容器と、この処理容器内に電磁界を供給する電磁界供給装置とを備え、電磁界供給装置として上述した電磁界供給装置が用いられることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の構成を示す図である。この図では、図11と同一部分または相当部分を同一符号で示しており、その説明を適宜省略する。
【0013】
図1に示すプラズマ処理装置は、被処理体である半導体やLCDなどの基板4を収容しこの基板4に対しプラズマ処理を施す処理容器1と、この処理容器1内にマイクロ波MWを供給しその電磁界の作用により処理容器1内にプラズマPを生成する電磁界供給装置10とを有している。
電磁界供給装置10は、周波数が2.45GHzのマイクロ波MWを発生させる高周波電源11と、ラジアルラインスロットアンテナ(以下、RLSAと略記する)12と、高周波電源11とRLSA12との間を接続する円筒導波管13とを有している。円筒導波管13の伝送周波数は2.45GHzであり、伝送モードはTE11である。
【0014】
RLSA12は、ラジアル導波路21を形成する対向配置された2つの円形導体板22,23と、これら2つの導体板22,23の外周部を接続してシールドする導体リング24とから構成されている。
導体リング24の内面位置は、処理容器1の側壁内面の径方向位置と略同一としている。またシールド材8の内面位置と処理容器1の側壁内面の径方向位置との差の長さは、導体板23の下面と処理容器1の側壁上面とシールド材8の内面とから形成される空間でのマイクロ波MWの波長λg′ と略同一としている。なお、これ以外の寸法でもかまわない。
ラジアル導波路21の上面となる導体板22の中心部には、円筒導波管14に接続される開口25が形成され、この開口25からラジアル導波路21内にマイクロ波MWが導入される。ラジアル導波路21の下面となる導体板23には、ラジアル導波路21内を伝搬するマイクロ波MWを処理容器1内に供給するスロット26が複数形成されている。
【0015】
図2は、導体板23上のスロット配置の一例を示す平面図である。この図に示すように、導体板23には、導体板23の周方向にのびるスロット26を同心円上に配置してもよい。またスロット26を渦巻き線上に配置してもよい。導体板23の半径方向のスロット間隔をλg (λg はラジアル導波路21における管内波長)程度として放射型アンテナとしてもよいし、λg/3〜λg/40程度としてリーク型アンテナとしてもよい。またハの字状をなすスロット26の対を複数配置し、円偏波を放射するようにしてもよい。
なお、ラジアル導波路21内に比誘電率が1より大きい誘電体を配置してもよい。これにより管内波長λg が短くなるので、導体板23の半径方向に配置されるスロット26を増やし、マイクロ波MWの供給効率を向上させることができる。
【0016】
図1に示すように、導体板23上の中心部には、誘電体で形成されたバンプ27が設けられている。バンプ27は導体板22の開口25に向かって突出する略円錐形に形成された部材である。バンプ27は、比誘電率が10以上の誘電体で形成されていることが望ましいが、それより小さくてもよい。このバンプ27により、円筒導波管13からラジアル導波路21へのインピーダンスの変化を緩やかにし、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部でのマイクロ波MWの反射を低減することができる。例えば、略円錐形のバンプ27を比誘電率εr =20の誘電体で形成し、その底面の直径をφ70mm、高さを48mmとした場合、反射率(反射電力/入射電力)がおよそ20dB以下という良好なシミュレーション結果が得られている。
【0017】
図3は、バンプ27の望ましい側面形状を示す概念図である。この図に示すように、バンプ27の先端を略球面状に丸めることにより、バンプ27の先端に電界が集中し異常放電が起こることを抑制できる。またバンプ27の裾部分の稜線の導体板23に対する傾きを小さくすることにより、バンプ27と導体板23との境界でのインピーダンス変化を小さくし、そこでのマイクロ波MWの反射を低減することができる。
図1に示すようにバンプ27の周囲には、誘電体からなる支柱28が複数設けられている。支柱28は導体板22,23の両方に締結され、バンプ27の荷重により導体板23が湾曲することを防いでいる。
【0018】
また円筒導波管13には、高周波電源11側に円偏波変換器14が、またRLSA12側には整合器15が設けられている。
円偏波変換器14は、円筒導波管13を伝搬するTE11モードのマイクロ波MWを円偏波に変換するものである。ここに円偏波とは、その電界ベクトルが進行方向の軸に対し垂直な面上で、1周期で1回転する回転電界であるような電磁波をいう。
図4は、円偏波変換器14の一構成例を示す図であり、円筒導波管13の軸に垂直な断面を示している。この図に示す円偏波変換器14は、円筒導波管13の内壁面に互いに対向する2つの円柱状突起14A,14Bを1対、またはこれらを円筒導波管13の軸方向に複数対設けたものである。2つの円柱状突起14A,14Bは、TE11モードのマイクロ波MWの電界Eの主方向に対して45°をなす方向に配置される。なお、他の構成の円偏波変換器を用いてもよい。
【0019】
整合器15は、円筒導波管13の供給側(すなわち高周波電源11側)と負荷側(すなわちRLSA12側)とのインピーダンスの整合をとるものである。整合器15としては例えば、リアクタンス素子を円筒導波管13の軸方向に複数設け、さらに円筒導波管13の周方向に90°の角度間隔で4組設けたものを用いることができる。リアクタンス素子としては、円筒導波管13の内壁面から半径方向に突出する導体または誘電体からなるスタブや、一端が円筒導波管13内に開口し他端が電気機能的にショートされた分岐導波管などを用いることができる。
【0020】
次に、図1に示したプラズマ処理装置の動作について説明する。図5は、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部におけるマイクロ波MWの伝搬の状態を示す概念図である。
高周波電源11で発生したマイクロ波MWは、円筒導波管13に設けられた円偏波変換器14により円偏波に変換され、ラジアル導波路21に向かって伝搬する。マイクロ波MWは円筒導波管13をTE11モードで伝搬するので、マイクロ波MWの電界Eの方向は円筒導波管13の軸に垂直な「水平方向」であるが、マイクロ波MWが円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部に到達すると、マイクロ波MWの電界Eの方向は図5に示すようにバンプ27により徐々に導体板22,23に垂直な「垂直方向」へと変化していく。そしてラジアル導波路21に導入されたマイクロ波MWは、TEMモードで半径方向に伝搬していく。
【0021】
ラジアル導波路21を伝搬するマイクロ波MWは、ラジアル導波路21の下面となる導体板23に複数形成されたスロット26から、誘電体板7を介して処理容器1内に供給される。処理容器1内ではマイクロ波MWの電磁界により、ノズル6から導入されたプラズマガスが電離、場合によっては解離してプラズマPが生成され、基板4に対する処理が行われる。
【0022】
次に、図1に示したプラズマ処理装置により得られる効果について説明する。電磁界供給装置10は、一般に特性インピーダンスが大きい円筒導波管13を用いている。JIS規格によれば、2.45GHz用の同軸導波管113の特性インピーダンスが50Ωであるのに対し、同じ周波数用の円筒導波管13の特性インピーダンスは500〜600Ωと大きい。このため同じ電力を投入した場合に生じる壁面電流は、同軸導波管113よりも円筒導波管13の方が小さくなる。壁面電流が小さいほど伝送電力が熱に変換されることによる伝送損が小さくなるので、壁面電流が比較的小さい円筒導波管13を用いることにより伝送損を低減することができる。
【0023】
また、誘電体からなるバンプ27を設けることにより、円筒導波管13からラジアル導波路21へのインピーダンスの変化を緩やかにし、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部での電力の反射を低減することができる。
このように伝送損と電力の反射とを低減することにより、電磁界供給装置10による電磁界の供給効率を向上させることができる。さらに、この電磁界供給装置10を用いてプラズマ処理装置を構成することにより、プラズマPの生成効率を向上させることができる。
【0024】
また、電磁界供給装置10に用いられる円筒導波管13は、同軸導波管113のような内導体113Bを有しないので、内導体の過熱が原因の異常放電は起こらない。なお、電磁界供給装置10はバンプ27を有するが、円筒導波管13の発熱量は同軸導波管113よりも小さいので、円筒導波管13に大電力を投入した場合でも、円筒導波管13からの熱によりバンプ27が過熱されることが原因の異常放電は起こりにくい。このため異常放電を防ぐために冷却機構などの複雑な構造体を設ける必要がない。よって、電磁界供給装置10およびプラズマ処理装置の安定した動作を低コストで実現することができる。
【0025】
また、マイクロ波MWは円筒導波管13をTE11モードで伝搬するので、ラジアル導波路21内の電界強度分布は図6に示すように、円筒導波管13内の電界Eの方向に電界強度の強い部分Fが強く偏在したものとなる。しかし円筒導波管13を伝搬するマイクロ波MWは円偏波であり、マイクロ波MWの電界Eは円筒導波管13の軸を中心に回転しているので、ラジアル導波路21内における電界強度の強い部分Fも同様に回転する。したがってラジアル導波路21内の電界強度分布は時間平均で均一化される。これにより処理容器1内の電界強度分布も時間平均で均一化されるので、処理容器1内の電磁界により生成されたプラズマPを用いて基板4の面内で一様な処理を行なうことができる。
【0026】
次に、バンプ27の変形例について説明する。図7〜図9は、バンプの変形例を示す図である。
図1に示したバンプ27は、誘電体のみで形成されているのに対し、図7(a)に示したバンプ30は、アルミニウムまたは銅などの金属で形成された下層31と、誘電体で形成された上層32とからなる二層構造を有している。
上層32を下層31に接合するには、例えば図7(b)に示すように、上層32と下層31とをボルト33で締結してもよい。また図7(c)に示すように、誘電体で形成された上層32の下面に金属薄膜34を形成し、上層32と下層31とを熱圧着してもよい。この場合、ろう材を用いてもよい。金属薄膜34を熱伝導性のよい材料で形成することにより、上層32で発生した熱を下層31を介して導体板23に逃がし、バンプ30の過熱を防ぐことができる。
【0027】
また、図8(a)に示すバンプ40のように、下層41が誘電体で形成され、上層42が金属で形成されていてもよい。
また、図8(b)に示すバンプ50のように、金属で形成された層51,53と、誘電体で形成された層52,54とが交互に配置された多層構造を有していてもよい。
また、図8(c)に示すバンプ60のように、バンプ本体61が誘電体で形成され、このバンプ本体61の一部の表面が金属薄膜62で覆われた構造を有していてもよい。
また、図9に示すバンプ70のように、バンプ70の軸を含む面により、金属で形成された部分71,73,75,77と、誘電体で形成された部分72,74,76,78とに分割された構造を有していてもよい。
【0028】
このようにバンプは必ずしも誘電体のみで形成する必要はなく、部分的に金属で形成してもよい。部分的に金属で形成することにより、誘電体については比誘電率が低い低価格のものを用いることができる。したがってバンプの製造コストを低減することができる。
【0029】
(第2の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態の要部構成を示す断面図である。この図では、図1および図7と同一部分または相当部分を同一符号で示しており、その説明を適宜省略する。
図10に示す電磁界供給装置は、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部に、円筒導波管13から導体板22Aに向かって広がるテーパー部81を有している。なお、導体板23上の中心部には、金属で形成された下層31と、誘電体で形成された上層32とからなるバンプ30が設けられている。
この電磁界供給装置のように、バンプ30を設けるとともに、円筒導波管13とラジアル導波路21との接続部にテーパー部81を設けることにより、円筒導波管13からラジアル導波路21へのインピーダンス変化を更に緩やかにし、両者の接続部での電力の反射を更に低減することができる。
【0030】
この電磁界供給装置の反射率についてのシミュレーション結果を示す。このシミュレーションでは、円筒導波管13の直径Lg をφ90mm、ラジアル導波路21の直径La ,高さDをそれぞれφ480mm,15mmとした。また、テーパー部81の底面の半径と円筒導波管13の半径(Lg/2)との差Wt を5mm、テーパー部81の高さHt を5mmとした。また、バンプ30の底面の直径Lb ,高さHb をそれぞれφ70mm,50mmとし、バンプ30の下層31をアルミニウムで形成し、上層32をBaTiO3 (チタン酸バリウム:2.45GHzにおける比誘電率εr =13〜15、tanδ=10-4)で形成した。このような構成において、高周波電源11から周波数が2.45GHzのマイクロ波MWを投入した場合、反射率は−30〜−25dBと極めて小さかった。したがって、この電磁界供給装置は電磁界の供給効率が高いといえる。この電磁界供給装置をプラズマ処理装置に用いることにより、プラズマを効率よく生成することができる。
【0031】
以上では、周波数が2.45GHzのマイクロ波MWを使用した例を説明したが、使用可能な周波数は2.45GHzに限定されない。例えば周波数が1GHz〜十数GHzのマイクロ波に対しても、同様の効果が得られる。さらに、マイクロ波よりも低い周波数帯を含む高周波を用いた場合でも、同様の効果が得られる。
また、マイクロ波MWの伝送モードは、TM01モードであってもよい。
【0032】
また、スロットアンテナの一例としてRLSA12,12Aを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、他のスロットアンテナであってもかまわない。
また、本発明のプラズマ処理装置は、エッチング装置、CVD装置、アッシング装置などに利用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電磁界供給装置は、従来の同軸導波管に代えて、円筒導波管を用いたものである。一般に円筒導波管は同軸導波管よりも特性インピーダンスが大きいので、円筒導波管を用いることにより壁面電流を小さくし、伝送電力が熱に変換されることによる伝送損を低減することができる。
また、少なくとも一部が誘電体で形成されたバンプを設けることにより、円筒導波管から2つの導体板で構成される導波路へのインピーダンス変化を緩やかにし、両者の接続部での電力の反射を低減することができる。
このように伝送損と電力の反射とを低減することにより、電磁界の供給効率を向上させることができる。
また、円筒導波管は内導体を有しないので、内導体の過熱が原因の異常放電は起こらない。このため異常放電を防ぐために冷却機構などの複雑な構造体を設ける必要がないので、低コストで安定した動作を得ることができる。
【0034】
また、バンプの先端を丸めることにより、バンプの先端に電界が集中し異常放電が起こることを抑制できる。したがって更に安定した動作を得ることができる。
また、円筒導波管と2つの導体板で構成される導波路との接続部にテーパー部を設けることにより、円筒導波管から上記導波路へのインピーダンス変化を更に緩やかにし、接続部での電力の反射を更に低減し、電磁界の供給効率を更に向上させることができる。
【0035】
また、上述した電磁界供給装置を用いてプラズマ処理装置を構成することにより、プラズマの生成効率を向上させるとともに、低コストで安定した動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 図1におけるII−II′線方向からみたラジアル導波路の下面となる導体板の平面図である。
【図3】 バンプの望ましい側面形状を示す概念図である。
【図4】 円偏波変換器の一構成例を示す図である。
【図5】 円筒導波管とラジアル導波路との接続部におけるマイクロ波の伝搬の状態を示す概念図である。
【図6】 ラジアル導波路におけるマイクロ波の分布を説明するための図である。
【図7】 バンプの変形例を示す断面図である。
【図8】 バンプの変形例を示す断面図である。
【図9】 バンプの変形例を示す平面図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態の要部構成を示す断面図である。
【図11】 従来のプラズマ処理装置の一構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…処理容器、2…絶縁板、3…基板台、4…基板(被処理体)、5…排気口、6…ガス導入用ノズル、7…誘電体板、8…シールド材、10…電磁界供給装置、11…高周波電源、12,12A…ラジアルラインスロットアンテナ、13…円筒導波管、14…円偏波変換器、14A,14B…スタブ、15…整合器、21…ラジアル導波路、22,22A,23…円形導体板、24…リング部材、25…開口、26…スロット、27,30,40,50,60,70…バンプ、28…支柱、31,41…下層、32,42…上層、33…ボルト、34,62…金属薄膜、51,53…金属で形成された層、52,54…誘電体で形成された層、61…バンプ本体、71,73,75,77…金属で形成された部分、72,74,76,78…誘電体で形成された部分、81…テーパー部、E…電界、F…電界強度の強い部分、MW…マイクロ波、P…プラズマ。
Claims (6)
- スロットを複数有する第1の導体板とこの第1の導体板に対向配置された第2の導体板とからなる導波路と、
前記第2の導体板の開口に接続された円筒導波管と、
前記第1の導体板上に設けられ前記第2の導体板の開口に向かって突出しかつ少なくとも一部が誘電体で形成されたバンプと
を備え、
前記バンプは、金属で形成された層と、誘電体で形成された層とが交互に配置された多層構造とされている
ことを特徴とする電磁界供給装置。 - 請求項1記載の電磁界供給装置において、
前記バンプは、金属で形成された下層と、誘電体で形成された上層とからなる二層構造とされていることを特徴とする電磁界供給装置。 - 請求項1記載の電磁界供給装置において、
前記バンプは、金属で形成された上層と、誘電体で形成された下層とからなる二層構造とされていることを特徴とする電磁界供給装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁界供給装置において、
前記バンプの前記開口に向かう先端は、丸められていることを特徴とする電磁界供給装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項記載の電磁界供給装置において、
前記円筒導波管と前記導波路との接続部に、前記円筒導波管から前記導波路に向かって広がるテーパー部を有することを特徴とする電磁界供給装置。 - 被処理体が収容される処理容器と、この処理容器内に電磁界を供給する電磁界供給装置とを備えたプラズマ処理装置において、
前記電磁界供給装置は、請求項1〜5のいずれか1項記載の電磁界供給装置であることを特徴とするプラズマ処理装置。
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