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JP4484439B2 - Vdac調節剤 - Google Patents

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JP4484439B2
JP4484439B2 JP2003067653A JP2003067653A JP4484439B2 JP 4484439 B2 JP4484439 B2 JP 4484439B2 JP 2003067653 A JP2003067653 A JP 2003067653A JP 2003067653 A JP2003067653 A JP 2003067653A JP 4484439 B2 JP4484439 B2 JP 4484439B2
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダウン症などの予防・治療剤として有用なVDAC調節剤、アポトーシス抑制剤あるいはミトコンドリア機能改善剤に関する。
さらに、本発明は、神経系疾患の予防・治療薬のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
VDAC、すなわち、電位依存性陰イオンチャンネル(Voltage-dependent Anion Channel)は、ミトコンドリア ポーリンとも呼ばれ、真核細胞におけるミトコンドリアのエネルギー代謝調節において重要な役割を果たしている。また、VDACは、哺乳動物細胞におけるミトコンドリアからのシトクロームc(cytochrome c)漏出およびアポトーシスにおいて不可欠な役割を果たすことが知られている(非特許文献1参照)。
一方、本発明において、活性成分として用いられる式(I)で表される化合物は、ニューロトロフィン産生・分泌促進剤として報告されている(特許文献1参照)。
しかしながら、本化合物がVDAC調節剤、アポトーシス抑制剤あるいはミトコンドリア機能改善剤として用いられるという報告はない。
【0003】
【非特許文献1】
ザ ジャーナル オブ セル バイオロジー(The Journal of Cell Biology)、152巻、237-250頁、2001年
【特許文献1】
国際公開第WO01/14372号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ダウン症などの予防・治療剤として有用なVDAC調節剤、アポトーシス抑制剤あるいはミトコンドリア機能改善剤を提供することである。
本発明の別の目的は、神経系疾患の予防・治療薬のスクリーニング方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、VDAC調節剤、アポトーシス抑制剤あるいはミトコンドリア機能改善剤を求めて、研究した結果、式(I)
【化11】
Figure 0004484439
[式中、Rはハロゲン原子、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基または置換されていてもよいアミノ基を、Aは置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいヒドロキシ基またはエステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基を、Bは置換されていてもよい芳香族基を、Xは酸素原子、硫黄原子または置換されていてもよい窒素原子を、Yは2価の炭化水素基または複素環基を示す。]で表される化合物 [以下、化合物(I)と略記することがある]が、優れたVDAC調節作用、アポトーシス抑制作用およびミトコンドリア機能改善作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1)化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有してなるVDAC調節剤;
2)Rが置換されていてもよい複素環基である前記1)記載の剤;
3)Rが置換されていてもよい5員の含窒素芳香族複素環基である前記1)記載の剤;
4)Rが置換されていてもよいイミダゾリル基である前記1)記載の剤;
5)Aが置換されていてもよいヒドロキシ基である前記1)記載の剤;
6)Bが置換されていてもよいフェニル基である前記1)記載の剤;
7)Xが酸素原子である前記1)記載の剤;
8)Yが2価の脂肪族炭化水素基である前記1)記載の剤;
9)化合物(I)が4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾールである前記1)記載の剤;
10)化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有してなるアポトーシス抑制剤;
11)VDAC調節薬を含有してなるダウン症の予防・治療剤;
12)VDAC調節薬が化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグである前記11)記載の剤;
13)VDACを用いることを特徴とする神経系疾患の予防・治療薬のスクリーニング方法;
14)VDACに対する試験化合物の結合性を測定することを特徴とする前記13)記載のスクリーニング方法;
15)試験化合物の存在下と非存在下とでVDACの機能を比較することを特徴とする前記13)記載のスクリーニング方法;
16)神経系疾患が糖尿病性神経障害である前記13)記載のスクリーニング方法;
17)神経系疾患が筋萎縮性側索硬化症である前記13)記載のスクリーニング方法;
18)哺乳動物に化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを投与することを特徴とする、該哺乳動物におけるVDACの調節方法;
19)VDAC調節剤を製造するための、化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用;
20)哺乳動物に化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを投与することを特徴とする、該哺乳動物におけるアポトーシスの抑制方法;
21)アポトーシス抑制剤を製造するための、化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用;
22)哺乳動物にVDAC調節薬を投与することを特徴とする、該哺乳動物におけるダウン症の予防または治療方法;
23)ダウン症の予防または治療剤を製造するためのVDAC調節薬の使用;
24)哺乳動物にVDAC調節薬を投与することを特徴とする、該哺乳動物における神経系疾患の予防または治療方法;
25)神経系疾患が糖尿病性神経障害である前記24)記載の方法;
26)神経系疾患が筋萎縮性側索硬化症である前記24)記載の方法;
27)化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有してなるミトコンドリア機能改善剤;
28)ミトコンドリア機能改善剤を製造するための、化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用;
29)哺乳動物に化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグを投与することを特徴とする、該哺乳動物におけるミトコンドリア機能の改善方法;などに関する。
【0006】
式(I)中、Rで示される「ハロゲン原子」としては、例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。とりわけ、フッ素および塩素が好ましい。
式(I)中、Rで示される「置換されていてもよい複素環基」における複素環基としては、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1ないし4個の原子を含む5または6員環またはその縮合環が挙げられる。縮合環としては、例えばこのような5または6員環と、1または2個の窒素原子を含む6員環、ベンゼン環または1個の硫黄原子を含む5員環との縮合環が挙げられる。
【0007】
複素環基の具体例としては、例えばピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル等)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル等)、ピラジニル(例、2−ピラジニル等)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル等)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル等)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル等)、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル等)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル等)、1,2,4−オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル等)、1,2,4−トリアゾリル(例、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル等)、1,2,3−トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル等)、テトラゾリル(例、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−5−イル等)、ベンズイミダゾリル(例、ベンズイミダゾール−1−イル、ベンズイミダゾール−2−イル等)、インドリル(例、インドール−1−イル、インドール−3−イル等)、1H−インダゾリル(例、1H−インダゾール−1−イル等)、1H−ピロロ〔2,3−b〕ピラジニル(例、1H−ピロロ〔2,3−b〕ピラジン−1−イル等)、1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジル(例、1H−ピロロ〔2,3−b〕ピリジン−1−イル等)、1H−イミダゾ〔4,5−b〕ピリジル(例、1H−イミダゾ〔4,5−b〕ピリジン−1−イル等)、1H−イミダゾ〔4,5−c〕ピリジル(例、1H−イミダゾ〔4,5−c〕ピリジン−1−イル等)、1H−イミダゾ〔4,5−b〕ピラジニル(例、1H−イミダゾ〔4,5−b〕ピラジン−1−イル等)、ベンズトリアゾリルなどの芳香族複素環基;およびピロリジニル(例、1−ピロリジニル等)、ピペリジル(例、1−ピペリジル等)、モルホリニル(例、モルホリン−4−イル等)、チオモルホリニル(例、チオモルホリン−4−イル等)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル等)、ヘキサメチレンイミニル(例、ヘキサメチレンイミン−1−イル等)、オキサゾリジニル(例、オキサゾリジン−3−イル等)、チアゾリジニル(例、チアゾリジン−3−イル、チアゾリジン−2−イル等)、イミダゾリジニル(例、イミダゾリジン−3−イル等)、イミダゾリニル(例、イミダゾリン−1−イル、イミダゾリン−2−イル等)、オキサゾリニル(例、オキサゾリン−2−イル等)、チアゾリニル(例、チアゾリン−2−イル等)、オキサジニル(例、オキサジン−2−イル等)等の非芳香族複素環基等が挙げられる。なかでも、アゾリル基(例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル等)、アゾリニル基(例えば、イミダゾリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル等)、アゾリジニル基(例えば、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル等)などが好ましい。
【0008】
で示される複素環基は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいチオール基、エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシ基、オキソ基などが挙げられる。
【0009】
該脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜15の直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
アルキル基の好適な例としては、炭素数1〜10のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec.−ブチル、t.−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t.−ペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられる。
アルケニル基の好適な例としては、炭素数2〜10のアルケニル基、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニルなどが挙げられる。
アルキニル基の好適な例としては、炭素数2〜10のアルキニル基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなどが挙げられる。
【0010】
該脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜12の飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基などが挙げられる。
シクロアルキル基の好適な例としては、炭素数3〜10のシクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル、ビシクロ〔2.2.2〕オクチル、ビシクロ〔3.2.1〕オクチル、ビシクロ〔3.2.2〕ノニル、ビシクロ〔3.3.1〕ノニル、ビシクロ〔4.2.1〕ノニル、ビシクロ〔4.3.1〕デシルなどが挙げられる。
シクロアルケニル基の好適な例としては、炭素数3〜10のシクロアルケニル基、例えば2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられる。
シクロアルカジエニル基の好適な例としては、炭素数4〜10のシクロアルカジエニル基、例えば2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルなどが挙げられる。
アリール基の好適な例としては、炭素数6〜14のアリール基、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニルなどが挙げられる。なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどが好ましい。
【0011】
芳香族複素環基の好適な例としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなどの芳香族単環式複素環基;例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニルなどの芳香族縮合複素環基などが挙げられる。
【0012】
非芳香族複素環基の好適な例としては、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニルなどが挙げられる。
ハロゲン原子の好適な例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、とりわけフッ素および塩素が好ましい。
置換されていてもよいアミノ基としては、例えばヒドロキシで置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアシル基(例、ホルミル、C1−9アルキル−カルボニル等)、炭素数6〜12の芳香族基(例、フェニルなどのC6−12アリール等)、炭素数7〜10のアラルキル基(例、ベンジル等)等から選ばれる置換基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基(−NH基)が挙げられる。置換されたアミノ基としては、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、ジアリルアミノ、シクロヘキシルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ、フェニルアミノ、N−メチル−N−フェニルアミノ、N−メチル−N−ベンジルアミノ、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ等が挙げられる。
【0013】
置換されていてもよいアシル基におけるアシル基としては、炭素数1〜13のアシル基、具体的にはホルミルの他、例えば炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数3ないし10のシクロアルケニル基または炭素数6〜12の芳香族基(例、フェニルなどのC6−12アリール基等)とカルボニル基とが結合した基(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイルなどのC1−10アルキル−カルボニル基;シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニルなどのC3−10シクロアルキル−カルボニル基;クロトニルなどのC2−10アルケニル−カルボニル基;2−シクロヘキセンカルボニルなどのC3−10シクロアルケニル−カルボニル基;ベンゾイル、ニコチノイルなどのC6−12アリールカルボニル基等);ホスホノ基などが挙げられる。置換されたアシル基における置換基としては、例えば炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子(例、塩素,フッ素,臭素など)、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ等が挙げられる。
【0014】
置換されていてもよいヒドロキシ基において、置換されたヒドロキシ基としては、例えばハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル−カルボニルアミノ(例、トリフルオロアセチルアミノ等)で置換されていてもよいアルコキシ基;アルケニルオキシ基;シクロアルキルオキシ基; シクロアルケニルオキシ基;アラルキルオキシ基;アシルオキシ基;アリールオキシ基;アルキルスルホニルオキシ基;アリールスルホニルオキシ基;インダニルオキシ基;1ないし4個のC1−6アルキル基(例、メチル等)で置換されていてもよいテトラヒドロナフトキシ基等が挙げられる。
アルコキシ基の好適な例としては、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec.−ブトキシ、t.−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、ノニルオキシ等が挙げられる。
アルケニルオキシ基の好適な例としては、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基、例えばアリル(allyl)オキシ、クロチルオキシ、2−ペンテニルオキシ、3−ヘキセニルオキシ等が挙げられる。
シクロアルキルオキシ基の好適な例としては、炭素数3〜7のシクロアルキルオキシ基、例えばシクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
シクロアルケニルオキシ基の好適な例としては、炭素数5〜7のシクロアルケニルオキシ基、例えば2−シクロペンテニルオキシ、2−シクロヘキセニルオキシ等が挙げられる。
アラルキルオキシ基の好適な例としては、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、例えばフェニル−C1−4アルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシなど)等が挙げられる。
アシルオキシ基の好適な例としては、炭素数2〜13のアシルオキシ基、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルカノイルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシなど)等が挙げられる。
【0015】
アリールオキシ基の好適な例としては、炭素数6〜14のアリールオキシ基、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。該アリールオキシ基(好ましくはフェノキシ基)は、1ないし3個(好ましくは1ないし2個)の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えばハロゲン原子(例、塩素,フッ素,臭素など);ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメトキシ等);ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル等)またはシアノで置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t.−ブチル等);シアノ;カルボキシ;ヒドロキシ;C6−14アリールオキシ(例、フェノキシ等);C1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル等);C1−6アルキルスルファニル(例、メチルスルファニル等);C1−6アルキル−カルボニルオキシ(例、アセチルオキシ等)等が挙げられる。置換されたアリールオキシ基としては、例えば2−,3−または4−クロロフェノキシ;2−,3−または4−メトキシフェノキシ;2−,3−または4−メチルフェノキシ;2−,3−または4−シアノフェノキシ;2−,3−または4−ヒドロキシフェノキシ;等が挙げられる。
アルキルスルホニルオキシ基の好適な例としては、炭素数1〜10のアルキルスルホニルオキシ基、例えばメチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ等が挙げられる。
アリールスルホニルオキシ基の好適な例としては、炭素数6〜12のアリールスルホニルオキシ基(該アリールスルホニルオキシ基は、メチル等のC1−6アルキル基で置換されていてもよい)、例えばフェニルスルホニルオキシ、4−メチルフェニルスルホニルオキシ等が挙げられる。
【0016】
置換されていてもよいチオール基(置換されていてもよいメルカプト基)において、置換されたチオール基としては、例えばヒドロキシで置換されていてもよいアルキルスルファニル基、シクロアルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、ヘテロアリールスルファニル基、アラルキルスルファニル基、ヘテロアリールアルキルスルファニル基、アシルスルファニル基などが挙げられる。
アルキルスルファニル基の好適な例としては、炭素数1〜10のアルキルスルファニル基(例、メチルスルファニル、エチルスルファニル、プロピルスルファニル、イソプロピルスルファニル、ブチルスルファニル、イソブチルスルファニル、sec.−ブチルスルファニル、t.−ブチルスルファニル、ペンチルスルファニル、イソペンチルスルファニル、ネオペンチルスルファニル、ヘキシルスルファニル、ヘプチルスルファニル、ノニルスルファニルなど)等が挙げられる。
シクロアルキルスルファニル基の好適な例としては、炭素数3〜7のシクロアルキルスルファニル基(例、シクロブチルスルファニル、シクロペンチルスルファニル、シクロヘキシルスルファニルなど)等が挙げられる。
アリールスルファニル基の好適な例としては、C1−6アルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリールスルファニル基、例えばフェニルスルファニル、ナフチルスルファニル、4−メチルフェニルスルファニル等が挙げられる。
ヘテロアリールスルファニル基としては、例えば前記した芳香族複素環基により置換されたチオール基が挙げられ、なかでも2−ピリジルスルファニル、3−ピリジルスルファニル、2−イミダゾリルスルファニル、1,2,4−トリアゾール−5−イルスルファニル、2−ピリミジニルスルファニル等が好ましい。
アラルキルスルファニル基の好適な例としては、炭素数7〜10のアラルキルスルファニル基、例えばフェニル−C1−4アルキルスルファニル基(例、ベンジルスルファニル、フェネチルスルファニルなど)等が挙げられる。
ヘテロアリールアルキルスルファニル基としては、例えば前記した芳香族複素環基により置換されたアルキルスルファニル基が挙げられる。ここにおいて、アルキルスルファニル基は前記アルキルスルファニル基と同様のものが挙げられる。ヘテロアリールアルキルスルファニル基の好適な例としては、ピリジル−C1−4アルキルスルファニル基(例、2−ピリジルメチルスルファニル、3−ピリジルメチルスルファニル等)等が挙げられる。
アシルスルファニル基の好適な例としては、炭素数2〜13のアシルスルファニル基、さらに好ましくは炭素数2〜4のアルカノイルスルファニル基(例、アセチルスルファニル、プロピオニルスルファニル、ブチリルスルファニル、イソブチリルスルファニルなど)等が挙げられる。
【0017】
エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシ基において、エステル化されたカルボキシ基としては、例えばアルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基の好適な例としては、炭素数2〜5のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,ブトキシカルボニルなどのC1−4アルコキシ−カルボニル基等が挙げられる。
アラルキルオキシカルボニル基の好適な例としては、炭素数8〜10のアラルキルオキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニルなどのC7−9アラルキルオキシ−カルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基の好適な例としては、C1−6アルキル基で置換されていてもよい炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル,p−トリルオキシカルボニルなどのC6−14アリールオキシ−カルボニル基等が挙げられる。
ヘテロアリールアルキルオキシカルボニル基としては、例えば前記した芳香族複素環基により置換されたアルキルオキシカルボニル基が挙げられる。ここにおいて、アルキルオキシカルボニル基は前記アルコキシカルボニル基と同様のものが挙げられる。ヘテロアリールアルキルオキシカルボニル基の好適な例としては、ピリジル−C1−4アルコキシ−カルボニル基(例、2−ピリジルメトキシカルボニル、3−ピリジルメトキシカルボニル等)等が挙げられる。
【0018】
エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基において、アミド化されたカルボキシル基としては、式:−CON(R2)(R3)〔式中、R2およびR3は同一または異なって、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよいヒドロキシ基または置換されていてもよい複素環基を示す〕で表される基などが挙げられる。
ここにおいて、R2またはR3で示される「置換されていてもよい炭化水素基」における炭化水素基としては、Rで示される複素環基の置換基として例示した脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基等が挙げられる。R2またはR3で示される「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、前記と同様のものが挙げられる。また、R2またはR3で示される「置換されていてもよい複素環基」における複素環基としては、Rで示される複素環基の置換基として例示した芳香族複素環基などが挙げられる。R2またはR3で示される「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」における置換基としては、ハロゲン原子(例、塩素,フッ素,臭素.ヨウ素など)、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基等から選ばれる1〜3個の置換基が挙げられる。
【0019】
で示される複素環基が置換基としてオキソ基を有する場合、オキソ基で置換された複素環基としては、例えば1または2個のオキソ基で置換されたアゾリジニル基などが挙げられ、その具体例としては、例えば2−オキソイミダゾリジニル(例えば、2−オキソイミダゾリジン−1−イル等)、2,4−ジオキソイミダゾリジニル(例えば、2,4−ジオキソイミダゾリジン−3−イル等)、2,4−ジオキソオキサゾリジニル(例えば、2,4−ジオキソオキサゾリジン−3−イル等)または2,4−ジオキソチアゾリジニル(例えば、2,4−ジオキソチアゾリジン−3−イル等)などが挙げられる。
【0020】
式(I)中、Rで示される複素環基上の置換基は、それらが脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基,アリール基,芳香族複素環基,非芳香族複素環基などを含む置換基であるときは、さらにそれぞれ適当な置換基を1個以上、好ましくは1〜3個有していてもよく、このような置換基としては、例えばハロゲン化されていてもよく、カルボキシル、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル、ヒドロキシおよびハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシから選ばれた置換基で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基;炭素数2〜6のアルケニル基;炭素数2〜6のアルキニル基;炭素数3〜7のシクロアルキル基;炭素数6〜14のアリール基(例、フェニル,ナフチルなど);芳香族複素環基(例、チエニル,フリル,ピリジル,オキサゾリル,チアゾリルなど);非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフリル,モルホリニル,チオモルホリニル,ピペリジル,ピロリジニル,ピペラジニルなど);炭素数7〜9のアラルキル基(例、ベンジルなど);アミノ基;N−モノ(C1−4)アルキルアミノ基;N,N−ジ(C1−4)アルキルアミノ基;炭素数2〜8のアシルアミノ基(例、アセチルアミノ,プロピオニルアミノなどのC1−7アルキル−カルボニルアミノ;ベンゾイルアミノなど);アミジノ基;炭素数2〜8のアシル基(例、アセチルなどのC1−7アルキル−カルボニルなど);カルバモイル基;N−モノ(C1−4)アルキルカルバモイル基;N,N−ジ(C1−4)アルキルカルバモイル基;スルファモイル基;N−モノ(C1−4)アルキルスルファモイル基;N,N−ジ(C1−4)アルキルスルファモイル基;カルボキシル基;炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基;ヒドロキシ基;ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基;炭素数2〜5のアルケニルオキシ基;炭素数3〜7のシクロアルキルオキシ基;炭素数7〜9のアラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシなど);炭素数6〜14のアリールオキシ基(例、フェニルオキシ,ナフチルオキシなど);メルカプト基;ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルキルスルファニル基;炭素数7〜9のアラルキルスルファニル基(例、ベンジルスルファニルなど);炭素数6〜14のアリールスルファニル基(例、フェニルスルファニル,ナフチルスルファニルなど);スルホ基;シアノ基;アジド基;ニトロ基;ニトロソ基;ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などが挙げられる。
【0021】
式(I)中、Rで示される「置換されていてもよいヒドロキシ基」、「置換されていてもよいチオール基」および「置換されていてもよいアミノ基」としては、Rで示される複素環基における置換基として例示したものなどが挙げられる。
式(I)中、Rは好ましくは置換されていてもよい複素環基である。Rとしては、置換されていてもよい含窒素複素環基が好ましく、さらに、置換されていてもよい5員の含窒素芳香族複素環基が好ましい。とりわけ、置換されていてもよいイミダゾリル基が好ましい。Rの好適な具体例としては、C1−10アルキル基で置換されていてもよいイミダゾリル基などが挙げられる。
【0022】
式(I)中、Aで示される「置換されていてもよいアシル基」、「置換されていてもよいヒドロキシ基」および「エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシ基」としては、Rで示される複素環基における置換基として例示したものなどが挙げられる。
また、Aで示される「置換されていてもよい複素環基」としては、Rとして例示したものが挙げられる。
式(I)中、Aは好ましくは置換されていてもよいヒドロキシ基である。Aは、さらに好ましくは、置換されていてもよいアリールオキシ基であり、その具体例としては、ハロゲン原子(例、塩素,フッ素,臭素など);ハロゲン化されていてもよい炭素数1〜4のアルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、トリフルオロメトキシ等);ヒドロキシ、カルボキシ、C1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル等)またはシアノで置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t.−ブチル等);シアノ;カルボキシ;ヒドロキシ;C6−14アリールオキシ(例、フェノキシ等);C1−6アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル等);C1−6アルキルスルファニル(例、メチルスルファニル等);およびC1−6アルキル−カルボニルオキシ(例、アセチルオキシ等);から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜14のアリールオキシ基(例、フェノキシ等)が挙げられる。
なかでも、炭素数1〜4のアルキル基で置換された炭素数6〜14のアリールオキシ基(好ましくは、フェノキシ基)が好ましい。
【0023】
式(I)中、Bで示される「置換されていてもよい芳香族基」における芳香族基としては、例えば芳香族炭化水素基、芳香族複素環基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基の好適な例としては、例えばC6−14アリール基(例、フェニル、ナフチル)等が挙げられる。
芳香族複素環基の好適な例としては、Rで示される複素環基における置換基として例示したものが挙げられ、なかでも、例えばフリル、チエニル、ピリジル、キノリル等が好ましい。
Bで示される「置換されていてもよい芳香族基」における置換基としては、例えばハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基等から選ばれる1〜3個の置換基が挙げられる。
ここにおいて、ハロゲン原子としては、例えばフッ素,塩素,臭素,ヨウ素等が挙げられる。
置換されていてもよいアルコキシ基におけるアルコキシ基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示したものが挙げられ、なかでも、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝状のアルコキシ基が好ましい。
置換されていてもよいアルキル基におけるアルキル基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示したものが挙げられ、なかでも、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝状のアルキル基が好ましい。
置換されていてもよいシクロアルキル基におけるシクロアルキル基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示したものが挙げられ、なかでも、炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましい。
前記した「置換されていてもよいアルコキシ基」、「置換されていてもよいアルキル基」および「置換されていてもよいシクロアルキル基」における置換基としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基等から選ばれる1〜3個の置換基が挙げられる。
置換されたアルコキシ基としては、例えばトリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,1−ジフルオロエトキシ等が挙げられる。
置換されたアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、トリクロロメチル、1−ヒドロキシメチル、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2,2−ジメトキシエチル等が挙げられる。
式(I)中、Bは、好ましくは置換されていてもよい芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくは置換されていてもよいフェニル基である。とりわけ、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基が好ましい。
【0024】
式(I)中、Xは酸素原子、硫黄原子または置換されていてもよい窒素原子(好ましくは、酸素原子または硫黄原子)を示す。
Xで示される「置換されていてもよい窒素原子」としては、例えば、−NR−(式中、Rは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよいアシル基または置換されていてもよい複素環基を示す)などが挙げられる。
ここで、Rで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、R2として例示したものが挙げられる。
で示される「置換されていてもよいアシル基」としては、Rで示される複素環基の置換基として例示したものが挙げられる。
で示される「置換されていてもよい複素環基」としては、Rで示される「置換されていてもよい複素環基」と同様のものが挙げられる。
は、好ましくは水素原子、置換されていてもよい炭化水素基など、さらに好ましくは水素原子、置換されていてもよいアルキル基などであり、とりわけ、水素原子、低級(C1−4)アルキル基などが好ましい。
Xは、好ましくは酸素原子である。
【0025】
式(I)中、Yで示される2価の炭化水素基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
Yで示される2価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分枝状のいずれでもよく、また飽和、不飽和のいずれでもよい。該脂肪族炭化水素基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示した脂肪族炭化水素基から水素原子1個を除去して形成される2価の基などが挙げられ、なかでも、炭素数1〜7のものが好ましく、その具体例としては、例えば−CH−,−CH(CH)−,−(CH−,−CH(C)−,−(CH−,−(CH−,−(CH−,−(CH−,−(CH−等の飽和のもの(例、アルキレン基)、例えば−CH=CH−,−C(CH)=CH−,−CH=CH−CH−,−C(C)=CH−,−CH−CH=CH−CH−,−CH−CH−CH=CH−CH−,−CH=CH−CH=CH−CH−,−CH=CH−CH=CH−CH=CH−CH−等の不飽和のもの(例、アルケニレン基、アルカジエニレン基、アルカトリエニレン基)が挙げられる。
Yで示される2価の脂環式炭化水素基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示した脂環式炭化水素基から水素原子1個を除去して形成される2価の基などが挙げられる。
Yで示される2価の芳香族炭化水素基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示したアリール基から水素原子1個を除去して形成される2価の基などが挙げられる。
式(I)中、Yで示される2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基、2価の非芳香族複素環基などが挙げられる。
Yで示される2価の芳香族複素環基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示した芳香族複素環基から水素原子1個を除去して形成される2価の基などが挙げられる。
Yで示される2価の非芳香族複素環基としては、Rで示される複素環基における置換基として例示した非芳香族複素環基から水素原子1個を除去して形成される2価の基などが挙げられる。
式(I)中、Yは好ましくは2価の脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基である。Yの好ましい具体例としては、例えば−(CH−または−(CH−が挙げられる。
【0026】
化合物(I)としては、以下のような化合物が好ましい。
式(I)において、
Aがアルキル基で置換されたアリールオキシ基、好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基で置換された炭素数6〜14のアリールオキシ基(好ましくはフェノキシ)、さらに好ましくは式:
【化12】
Figure 0004484439
[式中、C1−4 alkylはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどを、好ましくはメチルなどを示す。]で示される基;
が置換されていてもよい5員の含窒素芳香族複素環基、好ましくは置換されていてもよいイミダゾリル基、さらに好ましくはC1−10アルキル基で置換されていてもよいイミダゾリル基、特に好ましくは式:
【化13】
Figure 0004484439
[式中、C1−10 alkylはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1−4 アルキルを、さらに好ましくはメチルなどを示す。]で示される基;
Bが置換されていてもよいフェニル基、好ましくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、さらに好ましくは式:
【化14】
Figure 0004484439
[式中、Halはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子を、好ましくは塩素を示す。]で示される基;
Xが酸素原子;
Yが2価の脂肪族炭化水素基、好ましくは炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくは−CH−,−(CH−,−(CH−,−(CH−などのC1−4アルキレン、特に好ましくは−(CH−である化合物。
【0027】
式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば以下に示す化合物(1)〜(7)などが挙げられる。
(1)4−(4−クロロフェニル)−5−[3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)オキサゾール
(2)3−[3−[4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−オキサゾリル]プロピル]−1−メチル−2,4−イミダゾリジンジオン
(3)4−(4−クロロフェニル)−5−[3−(3−メトキシフェノキシ)プロピル]−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)オキサゾール
(4)4−(4−クロロフェニル)−5−[3−(4−メトキシフェノキシ)プロピル]−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)オキサゾール
(5)4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール
(6)4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(3−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール
(7)5−[3−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)プロピル]4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)オキサゾール
これら化合物を、以下、単に化合物(1)、化合物(2)などと略記することがある。
【0028】
化合物(I)の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0029】
化合物(I)またはその塩は、自体公知の方法により製造することができる。このような方法としては、例えばWO 01/14372、特開昭58−183676(EP−A 92239)、特開昭59−190979、特開平9−323983(WO 97/36882)などに記載された方法あるいはこれに準ずる方法などが挙げられる。
【0030】
本発明の化合物(I)は、プロドラッグとして用いてもよく、ここで、化合物(I)のプロドラッグとは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)またはその塩に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など)、化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など)、あるいは、化合物(I)のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
化合物(I)は、水和物であってもよく、同位元素(例、3H, 14C, 35S,125Iなど)などで標識されていてもよい。
【0031】
化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグ(以下、単に本発明化合物と略記することがある)は、毒性が低く、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対して、安全に投与することができる。
【0032】
本発明のVDAC調節剤、アポトーシス阻害剤およびミトコンドリア機能改善剤(以下、これらを本発明の剤と略記することがある)は、本発明化合物そのものであってもよいが、通常、本発明化合物と薬理学的に許容し得る担体とを用いて、自体公知の方法にしたがって製剤化することにより得られる。
なお、VDAC調節剤におけるVDACとしては、例えばVDAC−1、VDAC−2、VDAC−3などが挙げられる。また、VDAC調節剤は、VDACの機能(例、ミトコンドリア内でのエネルギー産生、糖脂質代謝、アポトーシス、細胞内Caホメオスタシスなどに関わる溶質の輸送;ヘキソキナーゼやBaxなどの因子との相互作用)を調節(促進または阻害による正常化)することができる。VDAC調節剤は、好ましくはVDAC阻害剤である。
ミトコンドリア機能改善剤において、ミトコンドリア機能としては、例えば基質チャンネル機能(例、VDAC)、糖脂質代謝、エネルギー産生、アポトーシス調節、Ca緩衝機能などが挙げられる。本発明のミトコンドリア機能改善剤は、前記したミトコンドリア機能を改善することにより、ミトコンドリアの膜電位および呼吸活性を安定化(正常化、異常な変動の抑制)することができる。
【0033】
薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、その具体例としては、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などが挙げられる。製剤化の際には、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いてもよい。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ、ポリエチレングリコール6000などが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、例えばα化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0034】
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、生理食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖、キシリトール、果糖などが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばプロピレングリコール、塩酸リドカイン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
着色剤の好適な例としては、例えば水溶性着色タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミウム塩など)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラなど)などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
【0035】
本発明の剤の剤形としては、例えば錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などの経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤など)、外用剤(例、経皮製剤、軟膏剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤など)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の非経口剤が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセルなど)であってもよい。
これらの製剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。本発明の剤における本発明化合物の含量は、例えば0.1〜100重量%である。
【0036】
以下に、経口剤および非経口剤の製造法について具体的に説明する。
経口剤は、活性成分に、例えば賦形剤(例、乳糖,白糖,デンプン,D−マンニトール,キシリトール,ソルビトール,エリスリトール,結晶セルロース,軽質無水ケイ酸など)、崩壊剤(例、炭酸カルシウム,デンプン,カルボキシメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースカルシウム,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,クロスカルメロースナトリウム,カルボキシメチルスターチナトリウム,軽質無水ケイ酸など)、結合剤(例、α化デンプン,アラビアゴム,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ポリビニルピロリドン,結晶セルロース,メチルセルロース,白糖,D−マンニトール,トレハロース,デキストリンなど)または滑沢剤(例、タルク,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸カルシウム,コロイドシリカ,ポリエチレングリコール6000など)などを添加して圧縮成形することにより製造される。
【0037】
さらに、味のマスキング,腸溶化あるいは徐放化を目的として、自体公知の方法により、経口剤にコーティングを行ってもよい。コーティング剤としては、例えば腸溶性ポリマー(例、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース等)、胃溶性ポリマー(例、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE等)、水溶性ポリマー(例、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、水不溶性ポリマー(例、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体等)、ワックスなどが用いられる。コーティングを行う場合、上記コーティング剤とともに、ポリエチレングリコール等の可塑剤;酸化チタン,三二酸化鉄等の遮光剤を用いてもよい。
【0038】
注射剤は、活性成分を分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国),HCO 60(日光ケミカルズ製),ポリエチレングリコール,カルボキシメチルセルロース,アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メチルパラベン,プロピルパラベン,ベンジルアルコール,クロロブタノール,フェノール等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム,グリセリン,D−ソルビトール,D−マンニトール,キシリトール,ブドウ糖,果糖等)などと共に、水性溶剤(例、蒸留水,生理的食塩水,リンゲル液等)あるいは油性溶剤(例、オリーブ油,ゴマ油,綿実油,コーン油などの植物油;プロピレングリコール,マクロゴール,トリカプリリン等)などに溶解、懸濁あるいは乳化することにより製造される。
この際、所望により、溶解補助剤(例、サリチル酸ナトリウム,酢酸ナトリウム,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,D−マンニトール,トレハロース,安息香酸ベンジル,エタノール,トリスアミノメタン,コレステロール,トリエタノールアミン,炭酸ナトリウム,クエン酸ナトリウム等)、懸濁化剤(例、ステアリルトリエタノールアミン,ラウリル硫酸ナトリウム,ラウリルアミノプロピオン酸,レシチン,塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,カルボキシメチルセルロースナトリウム,メチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子等)、緩衝化剤(例、リン酸塩,酢酸塩,炭酸塩,クエン酸塩などの緩衝液等)、安定剤(例、ヒト血清アルブミン等)、無痛化剤(例、プロピレングリコール,塩酸リドカイン,ベンジルアルコール等)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類,クロロブタノール,塩化ベンザルコニウム,ベンジルアルコール,フェネチルアルコール,デヒドロ酢酸,ソルビン酸等)等の添加物を用いてもよい。
【0039】
外用剤は、活性成分を固状、半固状または液状の組成物とすることにより製造される。例えば、上記固状の組成物は、活性成分をそのまま、あるいは賦形剤(例、乳糖,D−マンニトール,デンプン,結晶セルロース,白糖など)、増粘剤(例、天然ガム類,セルロース誘導体,アクリル酸重合体など)などを添加、混合して粉状とすることにより製造される。上記液状の組成物は、注射剤の場合とほとんど同様にして製造される。半固状の組成物は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のものがよい。また、これらの組成物は、いずれもpH調節剤(例、リン酸,クエン酸,塩酸,水酸化ナトリウムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル類,クロロブタノール,塩化ベンザルコニウム,ベンジルアルコール,フェネチルアルコール,デヒドロ酢酸,ソルビン酸など)などを含んでいてもよい。
坐剤は、活性成分を油性または水性の固状、半固状あるいは液状の組成物とすることにより製造される。該組成物の製造の際に用いられる油性基剤としては、例えば高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂,ウイテプゾル類(ヒュルス アクチエンゲゼルシャフト社製、ドイツ)など〕、中級脂肪酸トリグリセライド〔例、ミグリオール類(ヒュルス アクチエンゲゼルシャフト社製、ドイツ)など〕、植物油(例、ゴマ油,大豆油,綿実油など)などが挙げられる。水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類,プロピレングリコールなどが挙げられる。また、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類,セルロース誘導体,ビニール重合体,アクリル酸重合体などが挙げられる。
【0040】
本発明の剤は、例えばダウン症、神経系疾患、ウイルス疾患(例、エイズ、劇症肝炎など)、脊髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、肝疾患(例、アルコール性肝炎、B型肝炎、C型肝炎など)、関節疾患(例、変形性関節症など)、耳疾患(例、難聴、耳鳴り)などの疾患の予防・治療剤などとして用いることができる。
前記神経系疾患とは、脳,脊髄,自律神経節,中枢部,末梢部,脳神経,脊髄神経,叢などの異常、障害または損傷を意味し、その具体例としては筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性、糖尿病性神経障害、多発性硬化症、アルツハイマー型老年性痴呆症、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、統合失調症などが挙げられる。また、神経系疾患の具体例としては、ガン治療による神経障害なども挙げられる。
また、本発明の剤は、糖尿病性心筋症;脳虚血性疾患(例、脳梗塞、脳卒中など);うつ病;炎症性腸疾患(例、炎症性大腸炎);慢性疼痛(例、癌性疼痛など);痴呆症に伴う問題行動(例、徘徊、攻撃的行為など);不安症;てんかん;創傷によるしびれまたは疼痛;糖尿病(例、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病など);耐糖能異常(IGT);高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症など);高インスリン血症;肥満;過食症;高血圧;心血管疾患(例、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症など);神経因性疼痛(例、有痛性神経障害、ヘルペス後神経痛、バックペイン、三叉神経痛、手根管症候群、幻肢痛);自律神経異常(例、糖尿病性自律神経障害、無自覚性低血糖、胃不全麻痺、神経因性下痢および便秘、勃起不全、起立性低血圧、不整脈、心不全、無痛性心筋梗塞、発汗異常、神経因性膀胱);膀胱機能障害(例、膀胱反射障害);聴覚障害;糖尿病足病変;骨疾患(例、骨粗しょう症);関節疾患(例、シャルコー関節、変形性関節症、リューマチ);ヒルシュスプルング病(Hirschsprung病);などの疾患、あるいはこれらの疾患のうちのいくつかを併せ持つ症候群(例、シンドロームX、内臓肥満症候群など)の予防・治療剤としても用いられる。
さらに、本発明の剤は、上記した各種疾患の2次予防および進展抑制にも用いられる。
さらに、本発明の剤は、神経保護薬;神経機能改善薬;末梢神経障害または脳代謝障害の改善薬;糖尿病などの代謝あるいは内分泌系疾患および外傷による皮膚損傷の治癒促進薬;膵再生薬(膵機能回復薬);腎再生薬(腎機能回復薬);疼痛(例、神経因性疼痛)の改善または抑制薬;下肢切断予防薬;突然死予防薬などとしても有用である。
【0041】
さらに、本発明のミトコンドリア機能改善剤は、ミトコンドリア機能異常に伴う各種疾患あるいは症状(例、痙攣、ミオクローヌス、失調、脳卒中、知能低下、片頭痛、精神症状、ジストニア、ミエロパチー、精神運動発達遅延、筋力低下、易疲労性、高クレアチンキナーゼ血症、伝導障害、Wolff-Parkinson-White症候群、心筋症、視神経萎縮、外眼筋麻痺、網膜色素変性、肝機能障害、Fanconi症候群、Bartter症候群、糸球体病変、ミオグロビン尿、糖尿病、外分泌不全、鉄芽球貧血、汎血球減少、感音性難聴、下痢、便秘、発汗低下、多毛、低身長、低カルシウム血症、不妊症)などの予防・治療剤としても有用である。
【0042】
本発明の剤の投与量は、投与対象、投与ルート、症状などによっても異なるが、本発明の剤を成人に経口投与する場合、活性成分である本発明化合物の1回量として、通常約0.05〜500mg/kg体重、好ましくは約0.5〜100mg/kg体重である。この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
例えば、本発明の剤をダウン症の成人患者に経口投与する場合の投与量は、活性成分である本発明化合物の1回量として、通常約0.05〜50mg/kg体重、好ましくは約0.2〜4mg/kg体重である。この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
【0043】
本発明の剤は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、化学療法剤、免疫療法剤、悪液質改善剤、末梢および中枢神経作用剤、潰瘍治療剤、抗炎症剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。併用薬剤は、低分子化合物であってもよく、また高分子のタンパク、ポリペプチド、抗体であるか、あるいはワクチン等であってもよい。
この際、本発明の剤および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。
併用薬剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の剤と併用薬剤とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、1)本発明の剤と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、2)本発明の剤と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、3)本発明の剤と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、4)本発明の剤と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、5)本発明の剤と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の剤、併用薬剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。
また、本発明の剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の剤1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0044】
糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1等)など)、インスリン感受性増強剤(例、塩酸ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、レグリキサン(Reglixane)(JTT−501)、ネトグリタゾン(Netoglitazone)(MCC−555)、YM−440、GI−262570、KRP−297、FK−614、CS−011、WO99/58510に記載の化合物(例えば(E)−4−[4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイミノ]−4−フェニル酪酸)、テサグリタザール(Tesaglitazar)(AZ−242)、ラガグリタザール(Ragaglitazar)(NN-622)、BMS-298585、ONO-5816、BM-13-1258、LM-4156、MBX-102、LY-519818、MX-6054、LY-510929等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン等)、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド等)やその他のインスリン分泌促進剤(例、レパグリニド、セナグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1、ナテグリニド等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98、LAF237等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、GLP−1受容体アゴニスト[例、GLP-1、NN-2211、AC-2993(exendin-4)、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2等]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤等)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095等)等が挙げられる。
【0045】
糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット(SNK−860)、ミナルレスタット(ARI−509)、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3等)、AGE阻害剤(例、ALT−945、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウムブロミド(ALT−766)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チオプリド等)等が挙げられる。
高脂血症治療剤としては、コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩等)等)、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224に記載の化合物、例えばN−[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸など)、トリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート等)等が挙げられる。
降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、ロサルタン、カンデサルタン シレキセチル等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン等)、クロニジン等が挙げられる。
抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルアミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849;SNAP-7941;WO01/82925およびWO01/87834に含まれる化合物等);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP-422935等);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778等);グレリン拮抗薬;11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498等)等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ALT-962等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等が挙げられる。
【0046】
利尿剤としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
化学療法剤としては、例えばアルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド等)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシルまたはその誘導体等)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシドなどが挙げられる。なかでも5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロンあるいはネオフルツロンなどが好ましい。
免疫療法剤としては、例えば微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール等)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン等)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL)等)、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン等)などが挙げられ、なかでもIL−1、IL−2、IL−12などのインターロイキンが好ましい。
【0047】
悪液質改善剤としては、例えばシクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシン等)〔キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第49巻、5935〜5939頁、1989年〕、プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)〔ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)、第12巻、213〜225頁、1994年〕、糖質ステロイド(例、デキサメサゾン等)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献はいずれも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタエン酸等)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、第68巻、314〜318頁、1993年〕、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体などが挙げられる。
末梢および中枢神経作用剤としては、例えばアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン等)、ドーパミン受容体作動薬(例、L-ドーパ、アポモルフィンなど)、モノアミン取り込み阻害薬(例,トラマドル)、GABA受容体作動薬(例、ギャバペンチン)、アセチルコリン受容体リガンド(例,ABT-594)、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(例、Arecoline-DDS)、ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニスト(例、GTS-21)、AMPA受容体アゴニスト(例、AMPALEX)、モノアミン酸化酵素阻害薬(例、ELDEPRYLTDS)、アミロイドβ蛋白分泌・凝集阻害薬(例、ALZHEMED)、神経分化・再生促進薬(例、Xaliproden)、脳血管性痴呆症治療薬(例、Memantine)、一過性脳虚血発作治療薬(例、PLAVIX)、抗酸化薬(例、RADICUT)、グルタミン酸拮抗薬(例、MAXIPROST)、双極性障害治療薬(例、バルプロ酸ナトリウム)、統合失調症治療薬(例、Olanzapine)、COMT阻害薬(例、Tolcapone)などが挙げられる。
潰瘍治療剤としては、例えばプロスタグランディン製剤(例、プロスタグランディンE1)、成長因子製剤(例、PDGF)などが挙げられる。
抗炎症剤としては、例えば抗リューマチ薬(例、leflunomide)、非ステロイド抗炎症薬(例、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン)、COX-2阻害薬(例、VIOXX)などが挙げられる。
【0048】
さらに、糖化阻害剤(例,ALT-711等)、神経再生促進薬(例,Y-128、VX853、prosaptide等)、抗うつ薬(例,デシプラミン、アミトリプチリン、イミプラミン)、抗てんかん薬(例,ラモトリジン)、抗不整脈薬(例,メキシレチン)、エンドセリン受容体拮抗薬(例,ABT-627)、麻薬性鎮痛薬(例,モルヒネ)、α2受容体作動薬(例,クロニジン)、局所鎮痛薬(例,カプサイシン)、プロテインキナーゼC阻害剤(例,LY-333531)、抗不安薬(例,ベンゾチアゼピン)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例,シルデナフィル)、骨粗鬆症治療剤(例、アルファカルシドール、カルシトリオール、エルカトニン、サケカルシトニン、エストリオール、イプリフラボン、パミドロン酸二ナトリウム、アレンドロン酸ナトリウム水和物、インカドロン酸二ナトリウム等)、尿失禁・頻尿治療剤(例、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリン等)、ビタミン類(例、ビタミンB1、ビタミンB12)、クレアチン、カルニチン、アミノエチルスルホン酸(タウリン(商品名))なども本発明の剤と併用することができる。
本発明の剤と前記併用薬剤とを併用することにより、例えば本発明の剤または併用薬剤の作用増強効果;本発明の剤または併用薬剤の投与量の低減効果;本発明の剤または併用薬剤の副作用の低減効果などの優れた効果が得られる。
併用薬剤は、好ましくはインスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤、インスリン分泌促進剤、アルドース還元酵素阻害薬、非ステロイド抗炎症薬、抗うつ薬などである。
【0049】
本発明は、さらに、VDAC調節薬を含有してなるダウン症の予防・治療剤に関する。
ここで、VDAC調節薬とは、VDACの機能を調節(促進または阻害による正常化)する薬剤を意味し、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物のいずれであってもよい。ここで、VDACとしては、例えばVDAC−1、VDAC−2、VDAC−3などが挙げられる。VDACの機能としては、例えばミトコンドリア内でのエネルギー産生、糖脂質代謝、アポトーシス、細胞内Caホメオスタシスなどに関わる溶質の輸送;ヘキソキナーゼやBaxなどの因子との相互作用などが挙げられる。
VDAC調節薬は、好ましくは非ペプチド性化合物であり、その具体例としては、前記した化合物(I)もしくはその塩またはそのプロドラッグなどが挙げられる。また、VDAC調節薬は、前記したVDACの機能を阻害する薬剤であることが好ましい。
VDAC調節薬は、毒性が低く、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対して、安全に投与することができる。
本発明のダウン症の予防・治療剤は、通常、VDAC調節薬と薬理学的に許容し得る担体とを用いて、前記した本発明の剤と同様にして製剤化することができ、その剤形は本発明の剤の場合と同様である。また、ダウン症の予防・治療剤は、前記した各種併用薬剤と組み合わせて用いることもできる。
本発明のダウン症の予防・治療剤の投与量は、投与対象、投与ルート、症状などによっても異なるが、該予防・治療剤を成人に経口投与する場合、活性成分であるVDAC調節薬の1回量として、通常約0.05〜500mg/kg体重、好ましくは約0.5〜100mg/kg体重である。この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
【0050】
本発明は、さらに、VDACを用いることを特徴とする神経系疾患の予防・治療薬のスクリーニング方法(以下、本発明のスクリーニング方法と略記することがある)に関する。
ここで、VDACとしては、例えばVDAC−1、VDAC−2、VDAC−3などが挙げられる。また、神経系疾患としては、前記と同様のものが挙げられる。なかでも、糖尿病性神経障害および筋萎縮性側索硬化症が好ましく、とりわけ糖尿病性神経障害が好ましい。
本発明のスクリーニング方法は、具体的には、
1)VDACに対する試験化合物の結合性を測定すること;
2)試験化合物の存在下と非存在下とでVDACの機能を比較すること;などによって行われる。
本発明のスクリーニング方法において用いられるVDACは、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)の細胞(例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などのいずれに由来するものであってもよい。
【0051】
VDACは、前記した哺乳動物の細胞または組織から、自体公知のタンパク質の精製方法を用いて得ることができる。具体的には、哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズし、可溶画分を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーで分離精製することによって、VDACを得ることができる。
また、VDACは、公知のペプチド合成法にしたがって製造することもできる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これらは新規化合物または公知化合物のいずれであってもよい。
VDACに対する試験化合物の結合性は、例えば哺乳動物の組織から単離したミトコンドリアに、標識体で標識した試験化合物を未標識試験化合物の存在下あるいは非存在下で結合させ、洗浄後のミトコンドリアの放射活性を自体公知の方法を用いて測定し、特異的な結合を算出することによって測定することができる。
また、VDACに対する試験化合物の結合性は、精製したVDACまたは脂質膜に組み込んだVDACに、標識体で標識した試験化合物を未標識試験化合物の存在下あるいは非存在下で結合させて限外ろ過し、洗浄後の限外ろ過膜の放射活性を自体公知の方法を用いて測定し、特異的な結合を算出することによっても測定することができる。ここで、限外ろ過の代わりに、ガラスフィルターなどのタンパク質を吸着する素材を用いたろ過を行ってもよい。
前記標識体としては、例えば同位元素(例、3H, 14Cなど)などが挙げられる。
上記スクリーニング方法において、VDACに結合する試験化合物、すなわちVDACを阻害する化合物は、神経系疾患の予防・治療薬として有用である。
【0052】
VDACの機能としては、前記したものが挙げられ、該機能は、例えば指標物質がVDACを通過することが可能か否かを検討することによって測定することができる。該指標物質は、VDACを通過し得るものであればよく、その具体例としては、同位元素(例、3H, 14Cなど)で標識されたスクロースやシトクロムcなどが挙げられる。
VDACの機能を比較することを特徴とするスクリーニング方法は、例えばVDACを有する細胞を、指標物質の共存下、試験化合物の存在下または非存在下に培養後、細胞内に蓄積される指標物質を定量することによって行われる。
VDACを有する細胞としては、前記した哺乳動物の細胞が挙げられる。
細胞の培養に用いられる培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。培地のpHは、好ましくは約6〜8である。培養は、通常約30℃〜40℃で、約0.1〜96時間(好ましくは約0.5〜48時間)行なわれる。必要に応じて通気や撹拌を行ってもよい。
指標物質の定量は、公知の測定キットなどを用いて、自体公知の方法にしたがって行われる。
上記スクリーニング方法において、VDACの機能を調節(促進または阻害)する化合物、とりわけVDACの機能を阻害する化合物は、神経系疾患の予防・治療薬として有用である。
例えば、VDACの機能を約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上上昇させる試験化合物を、VDACの機能を促進する化合物として;VDACの機能を約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上低下させる試験化合物をVDACの機能を阻害する化合物として、それぞれ選択することができる。
【0053】
本発明は、さらに、「哺乳動物にVDAC調節薬を投与することを特徴とする、該哺乳動物における神経系疾患の予防または治療方法」に関する。
哺乳動物としては、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等が挙げられる。
VDAC調節薬としては、前記ダウン症の予防・治療剤における活性成分として述べたものが挙げられる。
神経系疾患としては、前記と同様のものが挙げられる。なかでも、糖尿病性神経障害および筋萎縮性側索硬化症が好ましく、とりわけ糖尿病性神経障害が好ましい。
VDAC調節薬は、毒性が低く、哺乳動物に対して、安全に投与することができる。
VDAC調節薬は、通常、薬理学的に許容し得る担体を用いて、前記したダウン症の予防・治療剤と同様にして製剤化することができ、その剤形、投与量などもダウン症の予防・治療剤の場合と同様である。また、VDAC調節薬は、前記した各種併用薬剤と組み合わせて用いることもできる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例、参考例および実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、実施例中で用いられる各種製剤素材としては、第十四改正日本薬局方適合品を用いた。
【0055】
【実施例】
実施例1(カプセルの製造)
Figure 0004484439
1)、2)、3)および4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。
実施例2(錠剤の製造)
Figure 0004484439
1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合し、真空乾燥後、製粒を行う。この製粒末に14gの4)および1gの5)を混合し、打錠機で打錠する。一錠あたり化合物(5) 30mgを含有する錠剤1000錠を得る。
【0056】
実施例3(カプセルの製造)
Figure 0004484439
1)、2)、3)および4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。
実施例4(錠剤の製造)
Figure 0004484439
1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合し、真空乾燥後、製粒を行う。この製粒末に14gの4)および1gの5)を混合し、打錠機で打錠する。一錠あたり化合物(5) 30mgを含有する錠剤1000錠を得る。
【0057】
実施例5(フィルム錠の製造)
[コーティング剤の製造]
精製水2520gにヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)209.6gおよびマクロゴール6000 (ポリエチレングリコール6000)42.0gを溶解した。得られる溶液に酸化チタン28.0g、黄色三二酸化鉄0.4gを分散させ、被覆剤を製造した。
[裸錠の製造]
流動層造粒乾燥機(FD-5S,(株)パウレック)中で、化合物(5) 62.5g、乳糖3738gおよびコーンスターチ 750.0gを均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L) 150g を溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで流動層造粒乾燥機中で乾燥した。
得られる造粒物を、パワーミル粉砕機(P−3、昭和化学機械工作所)を用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とした。
得られる整粒末 4136gにクロスカルメロースナトリウム 220g とステアリン酸マグネシウム 44g を加え、タンブラー混合機(TM−15、昭和化学機械工作所)で混合して打錠用顆粒とした。得られる顆粒をロータリー打錠機(コレクト19K、菊水製作所)で8.5mmφの杵を用いて重量200mgで打錠(打錠圧7KN/杵)し、裸錠とした。
[フィルムコーティング錠の製造]
得られる裸錠に、ドリアコータ―コーティング機(DRC−500、パウレック製)中で前記被覆剤を噴霧し、1錠当たり化合物(5) 2.5mgを含有する下記処方のフィルムコーティング錠、19000錠を得た。
裸錠処方(1錠当たりの組成):
Figure 0004484439
フィルム錠処方(1錠当たりの組成):
Figure 0004484439
【0058】
実施例6(フィルム錠の製造)
化合物(5)および乳糖の使用量をそれぞれ375.0gおよび3425gとする以外は実施例5と同様にして、1錠当たり化合物(5) 15mgを含有する下記処方のフィルムコーティング錠、19000錠を得た。
裸錠処方(1錠当たりの組成):
Figure 0004484439
フィルム錠処方(1錠当たりの組成):
Figure 0004484439
【0059】
実施例7(フィルム錠の製造)
化合物(5)および乳糖の使用量をそれぞれ1500.0gおよび2300gとする以外は実施例5と同様にして、1錠当たり化合物(5) 60mgを含有する下記処方のフィルムコーティング錠、19000錠を得た。
裸錠処方(1錠当たりの組成):
Figure 0004484439
フィルム錠処方(1錠当たりの組成):
Figure 0004484439
【0060】
参考例1(カルボキシル基型ラテックス粒子の製造例)
特許第3086427号に記載の方法にしたがって製造されるラテックス粒子(SG−EGDE粒子)に対して、アンモニア処理を行うことにより表面エポキシ基を開環してアミノ基を導入した。得られる粒子を水で洗浄した後、ジメチルホルムアミドに分散させ、10%体積のトリエチルアミンと過剰量の無水コハク酸を添加した。得られる混合物を常温で12時間以上攪拌し、粒子表面のアミノ基部分にカルボキシル基を導入することによって、カルボキシル基型ラテックス粒子を製造した。
【0061】
参考例2(化合物Aの製造例)
3−[4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−オキサゾリル]プロピル メタンスルフォネート(395mg)、4−ヒドロキシ安息香酸メチル(225mg)、炭酸カリウム(276mg)、N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)の混合物を90℃で2時間かき混ぜた。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。得られた黄色油状物をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解し、0℃で水素化リチウムアルミニウム(80mg)を少量づつ加え、0℃で1時間かき混ぜた。反応混合物に硫酸ナトリウム10水和物(1.0g)を加え、室温で30分かき混ぜた後、ろ過した。ろ液を濃縮して、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。酢酸エチル溶出部から、4−({3−[4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−オキサゾリル]プロピル}オキシ)ベンジルアルコール(304mg、収率72%)を無色油状物として得た。
NMR(CDCl3):δ1.77(1H, t, J = 5.5Hz), 2.15-2.3(2H, m), 2.73(3H, s), 3.15(2H, t, J = 7Hz), 4.04(2H, t, J = 7Hz), 4.61(2H, d, J = 5.5Hz), 6.82(2H, d, J = 9Hz), 6.97(1H, d, J =1.5Hz), 7.26(2H, d, J = 9Hz), 7.34(2H, d, J = 9Hz), 7.41(1H, d, J =1.5Hz), 7.60(2H, d, J = 9Hz).4−({3−[4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−オキサゾリル]プロピル}オキシ)ベンジルアルコール(1.90g)、塩化チオニル(0.95g)、テトラヒドロフラン(10ml)の混合物を室温で3時間かきまぜた。反応混合物を濃縮して水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残留物をN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解し、ジホルミルイミドナトリウム(1.0g)を加え、60℃で終夜かきまぜた。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーに通した後、得られた画分を濃縮した。得られた油状物を4規定塩酸酢酸溶液(10ml)、エタノール(30ml)の混合物に溶解し、終夜かきまぜた。反応混合物を濃縮し、得られた固体をエタノール−ジエチルエーテルから再結晶して、4−{3−[4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−オキサゾリル]プロピルオキシ}ベンジルアミン・2塩酸塩(化合物1分子あたり0.25分子のエタノール、1分子の水を含む)(本明細書中、化合物Aと略記することがある)を吸湿性のある無色プリズム晶として得た(750mg、32%)。
元素分析 (C23H25NOCl、0.25エタノール、1HO):
理論値:C, 55.04; H, 6.77; N, 4.29
実測値:C, 55.07; H, 6.92; N, 4.25
【0062】
実験例1 化合物(5)結合タンパク質の同定
参考例1で得られるカルボキシル基型ラテックス粒子5mgをジオキサンに分散後、N−ヒドロキシスクシンイミド 23mgおよび水溶性カルボジイミド 38mgを加え、室温(約20ないし25℃、以下同様)で2時間反応させた。得られるスクシンイミド固定化粒子をメタノールで洗浄した後、4mMの化合物A(化合物(5)のアミノ誘導体)と0.2M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.3)0.5mL中、室温で1時間反応させることにより、化合物Aを粒子に固定化した。得られる粒子に1Mエタノールアミン−塩酸水溶液(pH8.5)を加えて、室温で2時間反応させることにより、スクシンイミド固定化粒子における未反応基をブロックした後、50%メタノールおよび水で洗浄して、化合物A固定化粒子を得た。化合物A固定化粒子は、10mg/mLとなるように水に分散させて冷蔵保存した。
一方、Dignam, J.Dらの方法(Nucleic Acids Res. 11、1475-1489(1983))に準じてヒト神経芽細胞腫SK-N-SH(ATCC)の核画分からタンパク質を抽出し、0.05TGEMN(Tris-HCL/Glycerol/EDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)/ MgCl2/NP-40)バッファー [50mM 塩化ナトリウム、10mMトリス塩酸(pH7.5)、10%(w/v)グリセロール、0.2mM EDTA、1mM MgCl2、0.1% NP-40(Nonylphenoxy polyethoxy ethanol)](用時添加物として0.5mM DTT (Dithiothreitol)、0.5mM APMSF(4-Amidinophenylmethanesulfonyl Fluoride)、1μg/mLロイペプチン、1μg/mLペプスタチンAを含む)中に0.73mg/mLとなるように溶解した。このタンパク質溶液0.15mLと前記した化合物A固定化粒子0.3mgとを混合し、4℃で3時間インキュベートすることにより、化合物A結合性タンパク質を粒子表面の化合物Aに結合させた。
ついで、遠心操作(15,000×g、5分間)を行い、上清を除去して得られる粒子を0.05TGEMNバッファーで洗浄した。洗浄後の粒子を、DMF 0.3μLを含む0.05TGEMNバッファー 0.1mL(図1、Lane 1)、あるいは300μMの化合物(5)およびDMF 0.3μLを含む0.05TGEMNバッファー 0.1mL(図1、Lane 2)に分散し、4℃で1.5時間インキュベートした。遠心操作(15,000×g、5分間)後、タンパク質を含む上清をSDS-PAGEにより分析した。
SDS-PAGE後のゲルを銀染色キット(和光純薬)により染色し、化合物(5)により選択的に溶出される約32kDaおよび約30kDaのタンパク質バンドを同定した(図1)。
前記と同様のSDS-PAGE操作を行い、得られるゲルをCBB (Coomassie Brilliant Blue)染色して目的のバンドを切り出し、ゲル中のタンパク質成分の質量分析(TOF-MS、島津製作所)を行った。その結果、上記タンパク質バンドは、それぞれvoltage-dependent anion channel (VDAC)-1とVDAC-3に該当することが判明した。また、約32kDaのタンパク質バンドについては、VDAC-1であることを以下に述べるイムノブロッテイング法により確認した(図2)。
まず、SK-N-SH細胞(ATCC)を0.1TGEMNバッファー[100mM 塩化ナトリウム、10mMトリス塩酸(PH7.5)、10%(w/v)グリセロール、0.2mM EDTA、1mM MgCl2、0.1% NP-40](用時添加物として0.5mM DTT、0.5mM APMSF、1μg/mLロイペプチン、1μg/mLペプスタチンAを含む)中で超音波破砕し、1.43mg/mLのタンパク質溶液を得た。このタンパク質溶液0.1mLを、1.5mLエッペンドルフチューブ中で、前記した化合物A固定化粒子0.3mgに加えて、一夜4℃でインキュベートすることにより、化合物A結合性タンパク質を粒子表面の化合物Aに結合させた。
遠心操作(15,000×g、5分間)後、上清を除去して得られる粒子を0.1TGEMNバッファーで3回洗浄した。洗浄後の粒子のSDS-PAGEバッファー(New England Biolabs社)(97.5μL)懸濁液(図2、Lane 2)、および上記タンパク質溶液5μLとSDS-PAGEバッファー10μLとの混合液(図2、Lane 1)をそれぞれ5分間煮沸した。これら懸濁液および混合液を、それぞれ15,000rpmで5分間遠心後、上清15μLを電気泳動した。電気泳動後、得られるゲルを常法に従ってナイロンメンブレン上にウェスタンブロットし、5μg/mLに希釈した抗Porin31HL抗体(529536、Calbiochem社)と5000倍希釈した2次抗体(anti-maouse IgG-AP conjugated、バイオラッド社)およびNBT/BCIP検出液(プロメガ社)を用いてバンドの検出を行った。
【0063】
実験例2 シトクロムc漏出抑制作用
化合物(5)がVDACの機能に及ぼす影響を、PC12細胞の細胞質におけるシトクロムc漏出量を測定することによって評価した。
10%のFCS (Fetal Calf Serum)を含むDMEM (Dulbecco's Modified Eagl's Medium)で前培養したPC12細胞を10cm径の培養ディッシュ(ファルコン社)に播種してほぼコンフルエントになるまで培養した。培養ディッシュをDMEMで洗浄した後、0.5%FCSを含むDMEM(0.5%FCS群)、あるいは0.5%FCSと0.3μmol/Lの化合物(5)とを含むDMEM(0.5%FCS+化合物(5)群)を加えて、さらに16時間培養した。培養液中に浮遊している細胞、および培養ディッシュに接着している細胞をトリプシン-EDTA処理によりはがして回収した。回収した細胞を、PBSで洗浄した後、ジギトニン溶液[10mmol/L HEPES、0.3mol/Lマンニトール、0.1%(w/v)BSA、100μmol/Lジギトニン] (100μL)中で5分間氷冷して、細胞質蛋白を抽出した。得られた細胞質蛋白を8500×gで5分間遠心後、上清12μLについて、シトクロムc含量および蛋白質量を測定キット[それぞれcytochrome c ELISA kit(MBL社)およびBCL-II(ピアス社)]を用いて測定した。ついで、全蛋白質量あたりのシトクロムc量を算出し、これをシトクロムc漏出量(ng/mg)とした。結果を[表1]に示す。
Figure 0004484439
このように、化合物(5)がシトクロムcの漏出量を減少させることが明らかになった。すなわち、化合物(5)は、VDACの機能であるシトクロムc漏出作用を抑制した。
【0064】
実験例3
化合物(5)のアポトーシス抑制作用を、PC12細胞中のヌクレオソーム量を測定することによって評価した。
10%のFCSを含むDMEMで前培養したPC12細胞を24穴培養プレートに6x104cells/wellとなるように播種し、24時間培養した。培養プレートをDMEMで洗浄した後、0.5%FCSを含むDMEM(0.5%FCS群)あるいは0.5%FCSと0.3μmol/Lの化合物(5)とを含むDMEM(0.5%FCS+化合物(5)群)を加えて、さらに24時間培養した。また、対照群として、10%FCSを含むDMEM(10%FCS群)を用いて、同様の操作を行った。培養液中に浮遊している細胞、および培養プレートに接着している細胞をトリプシン-EDTA処理によりはがして回収した。回収した細胞を、ヌクレオソームの検出を指標にしたアポトーシス測定キット(Cell Death Detection ELISA、ロシュ社)のプロトコールに従って、該測定キットに付属の細胞溶解液500μLに懸濁した。懸濁液を30分間氷冷した後、15,000rpmで10分間遠心し、上清400μLを回収した。該上清を2倍希釈したものをELISAに供して、ヌクレオソーム量を測定した。ついで、10%FCS群におけるヌクレオソーム量を100%とした場合の各群におけるパーセンテージを算出した。結果を[表2]に示す。
Figure 0004484439
このように、細胞培養時のFCS濃度を10%から0.5%に減少させることにより、ヌクレオソーム量が増加し、この増加が化合物(5)によって抑制されることが明らかになった。すなわち、化合物(5)は、低血清誘導性のアポトーシスを抑制した。
【0065】
実験例4
化合物(5)のミトコンドリア呼吸活性上昇作用を、Alamar Blueを用いて評価した。
10%の牛胎児血清(FCS)を含むDMEMで前培養したPC12細胞を同培地に2x105cells/mLとなるように懸濁した後、得られる懸濁液を96穴培養プレートに0.1mL/wellとなるように播種し、24時間培養した。該培養プレートをDMEMで洗浄した後、FCSを含まないDMEMに化合物(5)を3μmol/Lとなるように希釈して得られる溶液を加えて、3時間培養した[化合物(5)添加群]。
一方、化合物(5)を添加しないか[化合物(5)非添加群]、あるいは化合物(5)の溶液の代わりに、神経培養用サプリメントであるB-27(商品名、ライフサイエンス社)を10%の濃度で添加する[B-27添加群]以外は、前記と同様にして、PC12細胞を培養した。
ついで、培養プレートの各ウェルにミトコンドリア呼吸活性指示薬であるAlamar Blue溶液(Alamar Biosciences社)を10μLずつ添加し、添加直後と37℃の5%CO2インキュベーター中で10分間静置した後の蛍光をフルオロスキャン(フローラボラトリーズ)[励起波長(Ex.): 538nm, 放射波長(Em.):590nm]で測定し、その変動値を求めた。
さらに、B-27添加群における蛍光変動値を100%とした場合の、化合物(5)添加群および化合物(5)非添加群における蛍光変動値の相対値を算出した。
その結果、蛍光変動値は、化合物(5)添加群では、126.7%±15.7%(平均値±標準偏差、n=7)と増加し、化合物(5)非添加群では、73.2%±1.9%(平均値±標準偏差、n=7)と減少していた。また、化合物(5)添加群における蛍光変動値は、化合物(5)非添加群における蛍光変動値に比べて有意(p<0.001,t-test)に増加していた。これにより、化合物(5)がミトコンドリア呼吸活性上昇作用を有することが示された。
実験例5
化合物(5)のミトコンドリア膜電位安定化作用を、Rodamin123(商品名、モレキュラープローブ社)を用いて評価した。
10%の牛胎児血清(FCS)を含むDMEMで前培養したPC12細胞を同培地に2x105cells/mLとなるように懸濁した後、得られる懸濁液を96穴培養プレートに0.1mL/wellとなるように播種し、24時間培養した。該培養プレートをDMEMで洗浄した後、FCSを含まないDMEMに化合物(5)を3μmol/Lとなるように希釈して得られる溶液を加えて、4時間培養した[化合物(5)添加群]。
一方、化合物(5)を添加しないか[化合物(5)非添加群]、あるいは化合物(5)の溶液の代わりに、10%のFCSを添加する[FCS添加群]以外は、前記と同様にして、PC12細胞を培養した。
ついで、培養プレートの各ウェルにミトコンドリア膜電位指示薬であるRodamin123(商品名、モレキュラープローブ社)を1μmol/Lとなるように添加し、添加直後と37℃の5%CO2インキュベーター中で10分間静置した後の蛍光をフルオロスキャン(フローラボラトリーズ)[励起波長(Ex.):485nm, 放射波長(Em.):538nm]で測定し、その変動値を求めた。
さらに、FCS添加群における蛍光変動値を100%とした場合の、化合物(5)添加群および化合物(5)非添加群における蛍光変動値の相対値を算出した。
その結果、蛍光変動値は、化合物(5)非添加群では、131.2%±12.9%(平均値±標準偏差、n=8)と異常に上昇したのに対し、化合物(5)添加群では、110.0%±8.0%(平均値±標準偏差、n=8)とわずかな上昇を示すに留まった。また、化合物(5)添加群における蛍光変動値は、化合物(5)非添加群における蛍光変動値に比べて有意(p<0.001,t-test)に減少していた。これにより、化合物(5)がミトコンドリア膜電位安定化作用を有することが示された。
【0066】
【発明の効果】
本発明のVDAC調節剤は、副作用がなく、ダウン症などの予防・治療剤として用いることができる。
また、アポトーシス抑制剤およびミトコンドリア機能改善剤は、副作用がなく、神経系疾患などの予防・治療剤として用いることができる。
さらに、本発明のスクリーニング方法によれば、優れた効果を有し、かつ、副作用のない神経系疾患の予防・治療薬をスクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト神経芽細胞腫由来タンパク質から化合物(5)によって溶出されたタンパク質をSDS-PAGEにより分析した結果を示す図である。図中、Lane 1は化合物(5)を含まないバッファーによって溶出されたタンパク質バンドを、Lane 2は化合物(5)を含むバッファーによって溶出されたタンパク質バンドを示す。
【図2】ヒト神経芽細胞腫由来タンパク質から化合物(5)によって溶出される約32kDaのタンパク質バンドを抗VDAC1抗体によるウェスタンブロッティングにより検出した結果を示す図である。図中、Lane 1は総タンパク質のバンドを、Lane 2は化合物(5)結合性タンパク質のバンドを示す。

Claims (10)

  1. 式(I)
    Figure 0004484439
    [式中、RはC1−10アルキル基で置換されていてもよいイミダゾリル基を、Aは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェノキシ基を、Bはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を、Xは酸素原子を、YはC1−4アルキレン基を示す。]で表される化合物またはその塩を含有してなる、色素性網膜炎、エイズ、劇症肝炎、脊髄異形成疾患または肝疾患の予防または治療剤。
  2. Yが−(CH−である請求項記載の剤。
  3. 式(I)で表される化合物が4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾールである請求項記載の剤。
  4. 脊髄異形成疾患が再生不良性貧血である請求項記載の剤。
  5. 肝疾患がアルコール性肝炎、B型肝炎またはC型肝炎である請求項記載の剤。
  6. 色素性網膜炎、エイズ、劇症肝炎、脊髄異形成疾患または肝疾患の予防または治療剤を製造するための、式(I)
    Figure 0004484439
    [式中、RはC1−10アルキル基で置換されていてもよいイミダゾリル基を、Aは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェノキシ基を、Bはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を、Xは酸素原子を、YはC1−4アルキレン基を示す。]で表される化合物またはその塩の使用。
  7. 式(I)
    Figure 0004484439
    [式中、RはC1−10アルキル基で置換されていてもよいイミダゾリル基を、Aは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェノキシ基を、Bはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を、Xは酸素原子を、YはC1−4アルキレン基を示す。]で表される化合物またはその塩を含有してなる、網膜色素変性、肝機能障害または鉄芽球貧血の予防または治療剤。
  8. Yが−(CH−である請求項記載の剤。
  9. 式(I)で表される化合物が4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾールである請求項記載の剤。
  10. 膜色素変性、肝機能障害または鉄芽球貧血の予防または治療剤を製造するための、式(I)
    Figure 0004484439
    [式中、RはC1−10アルキル基で置換されていてもよいイミダゾリル基を、Aは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェノキシ基を、Bはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を、Xは酸素原子を、YはC1−4アルキレン基を示す。]で表される化合物またはその塩の使用。
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