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JP4472422B2 - 表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物、該組成物を架橋してなる表面導電性ゴム材料、およびその用途 - Google Patents

表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物、該組成物を架橋してなる表面導電性ゴム材料、およびその用途 Download PDF

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JP4472422B2 JP2004145326A JP2004145326A JP4472422B2 JP 4472422 B2 JP4472422 B2 JP 4472422B2 JP 2004145326 A JP2004145326 A JP 2004145326A JP 2004145326 A JP2004145326 A JP 2004145326A JP 4472422 B2 JP4472422 B2 JP 4472422B2
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Description

本発明は表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物、該組成物を架橋してなる表面導電性ゴム材料、およびその用途に関し、さらに詳しくは、1層構造のゴム材料であって、表面抵抗が小さくゴム材料の表面は(半)導電性を有し、しかも体積抵抗が大きく、面に垂直な方向は絶縁性を有する表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物、該組成物を架橋してなる表面導電性ゴム材料、その製法およびその用途に関する。
近年、LSI等の半導体工業、ロケットやその制御装置等の人工衛星産業、コンピューター、電子カメラ、携帯電話等の電子機器やロボット等の精密機械器具を生産・使用する工場、原子力発電所等では、生産設備やコントロールルーム、作業員の着衣、靴等においても高い電防止性能が要求されるようになっている。
このような生産設備、コントロールルームなどでは、例えば、床材、壁材、作業テーブル、着衣、靴などとしては、静電気の発生が抑制でき、また静電気が発生しても電させることなく速やかに低減・除去でき、しかも、漏電等により床や壁等と接触した当該衣料などを着用している作業員が障害等を受けることのないように、床面(基板)等からの絶縁性も求められる。
このような用途に用いられる床材、壁材などとしては、例えば、平板状で表面は導電性を示し、面に垂直な方向(表裏面を貫く方向)は絶縁性を示すように、絶導電性の金属箔と、絶縁性の高分子材料との2種の材料を接合して2層構造にした材料(成形体)を用いるのが一般的である。
しかしながら、このような2層以上の層構成のシートを製造するには、溶融押出した絶縁性の高分子材料を金属箔とラミネートする必要があり、製造工程の複雑化、接合面での剥離という問題点がある。
また、表面のみ導電性を有し、層の厚み方向は絶縁性を有する成形体を得るには、絶縁性高分子材料の表面を、導電性高分子等にて表面処理する方法があるが、製造工程の複雑化が懸念される。
また、導電性フィラーを配合することで絶縁性高分子に導電性を持たせることも可能であるが、絶縁性高分子と導電性フィラーとを溶融混練し、所望形状に押出成形等を行った場合、成分組成が部位に拠らず均一化し、得られる成形体の表面、内部共に導電性が発現してくる。そのため、成形体の厚み方向にのみ絶縁性を付与するためには、別途その表面に絶縁層を設け、2層構造等にする必要性があり、製造工程も2段以上となり、煩雑である。
もし、特に表面処理等を別途行うことなく、1段工程で、1層構造のゴム材料からなり、厚み方向は絶縁性を有し、表面は導電性を有するゴム材料およびその製造方法の開発ができれば、前述したような用途に用いられるゴム材料の製造コストを著しく低減できる可能性がある。
そこで、本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、架橋性ゴムと、特定の処理を行った層状化合物と、導電性フィラーと、必要により架橋剤などとを含んで
なる、架橋性ゴム組成物を用いれば、1段工程で、従来と同様の加硫(架橋)成形方法にて、1層構造のゴム材料からなり、厚み方向は絶縁性を有し、表面のみ導電性を有し、しかもゴム材料としての十分な物性(硬度、モデュラス、圧縮永久歪み率等)を有するゴム材料が得られ、表面処理などの新たな工程も不要であり、表面導電性ゴム材料の製造コストを著しく低減できることなどを見出して本発明を完成するに至った。
なお、有機化処理された無機層状化合物を含む樹脂組成物あるいはゴム組成物としては、これまでに下記のようなものが挙げられる。
例えば、(イ)特開2000−178422号公報(特許文献1)には、無機層状化合物とポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、繊維状強化材、フッ素系樹脂、カーボンブラックなどを含む電気製品ターミナル部材用の難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物が開示され、難燃性、低ソリ性、耐熱性、セルフタッピング性等に優れる旨記載されている。
また、無機層状化合物として、カオリナイト、タルク、スメクタイト、マイカ等が挙げられ、層間の無機イオンを有機イオンとイオン交換する有機化処理を行ってもよいこと、PBT100重量部に対し0〜30重量部で添加されることなども記載されている。
(ロ)特開2000−226585号公報(特許文献2)には、無機層状化合物を含有する難燃剤およびこれを含有する難燃性成形品が開示され、難燃性の点から無機層状化合物を1重量%以上の量で含有することも記載されている。
また、この難燃剤はポリオレフィン系樹脂などの燃焼速度の比較的遅い樹脂を含有していてもよい旨記載されている。
(ハ)特開平7−82398号公報(特許文献3)には、混合コロイド溶液、アニオン性界面活性剤、有機系電解質、無機層状化合物等を含む防曇剤組成物、それを分散剤に分散させた防曇剤、それを熱可塑性樹脂フィルムの表面に塗布、乾燥した防曇性農業用フィルムが開示されている。
(ニ)特開平7−205376号公報(特許文献4)には、粒径5μm以下、アスペクト比50〜5000の無機層状化合物と、樹脂とを含む樹脂組成物からなる層と、ヒートシール層とを有するガスバリア性の包装袋が開示されている。
(ホ)特開平8−302025号公報(特許文献5)には、層状化合物に有機カチオンを接触させ、次いで有機溶媒で膨潤させ、次いで得られたものをエラストマーと混練することにより、高剛性と耐熱、耐衝撃性を有する無機質フィラー含有エラストマーの製造方法及び耐衝撃性に優れた複合樹脂材料が開示され、微細な無機質フィラーを高濃度でエラストマー中に含有させ得る旨記載されている。また、エラストマーとして、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、EBR、EPDM、SBR、BR、POR、SEBSなどが挙げられている。
しかしながら、特許文献5は、電防止用成形体として好適に使用できる導電性ゴム材料に関するものではない。また特許文献5には、未加硫のフッ素ゴムと、架橋剤、共架橋剤等とを配合した架橋性フッ素ゴム組成物を、配合成分の混練等により調製しておき、この架橋性フッ素ゴム組成物を型内で所望形状に加硫(架橋)成形するという技術的思想については、何ら記載も示唆もされていない。
(ヘ)特開平11−263876号公報(特許文献6)には、層状化合物の層間に有機化合物、あるいはその重合体などをインターカレートした有機無機複合体(充填剤)、及
び、この複合体(充填剤)がポリマーマトリックス中に微分散されたハイブリッド材料が開示され、ポリマーマトリックスと複合体との相互間力が強く、十分な機械的特性を有し、成形材料、フィルム等に有用であると記載されている。
(ト)特開平11−293033号公報(特許文献7)には、上記特開平11−263876号公報(特許文献6)に記載の有機無機複合体(充填剤)に溶媒を添加した有機無機複合体組成物、及び該組成物がポリマーマトリックス中に微分散されたハイブリッド材料が開示され、上記特許文献6と同様の効果がある旨記載されている。
しかしながら、これら特許文献1〜7のうちで特許文献5以外は、何れも樹脂への層状化合物の配合により樹脂配合物の諸物性の向上を図ろうとするものであり、電防止用成形体として好適に使用可能な導電性ゴム材料を得ようとするものではない。
また、特許文献5は、電防止用成形体として好適に使用できる導電性ゴム材料に関するものではない。しかも特許文献5には、加硫されていないエラストマー(未架橋物)と、架橋剤、共架橋剤などと共に、有機無機複合体を配合して用い、この配合物を所望形状に架橋(加硫)成形するという技術的思想は存在しない。
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、今までのゴム材料を成形する方法と同様の方法で、特定の架橋性ゴム組成物から簡易に、表面固有抵抗が小さく表面のみ(半)導電性を持ち、表裏面方向では体積固有抵抗が高く絶縁性を持ち、ゴム材料としての十分な物性(硬度、モデュラス、圧縮永久歪み率等)を有する1層構造の表面導電性ゴム材料が得られ、得られたゴム材料については従来の表面処理
などに相当する更なる工程が不要であるような架橋性ゴム組成物および上記特性を有する表面導電性ゴム材料を提供することを目的としている。
また本発明は、上記導電性ゴム材料からなる、上記特性をバランスよく具備した低コストの電防止用成形体を提供することを目的としている。
また本発明は、上記のような特性の導電性ゴム材料の簡単(効率的)かつ安全な製造方法を提供することを目的としている。
本発明に係る表面導電性ゴム材料は、架橋性ゴムと、有機化処理された層状化合物と、導電性フィラーとを含む架橋性ゴム組成物を架橋処理してなり、表面固有抵抗が106Ω
以下であり、体積固有抵抗が1010Ω・cm以上であることを特徴としている。
本発明に係る表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物は、
(i)架橋性ゴムと、
該ゴム100重量部に対して、
(ii)有機化処理された層状化合物2.0〜15.0重量部と、
(iii)導電性フィラー3.0〜10.0重量部と、
(iv)架橋剤とを含んでなることを特徴としている。
本発明に係る表面導電性ゴム材料は、上記架橋性ゴム組成物を架橋処理してなることを特徴としている。
本発明では、上記架橋処理は、架橋性ゴム組成物を、1次加熱加硫成形した後に、2次
加硫を行うものであることが望ましい。
本発明に係る表面導電性ゴム材料は、
(i−a)架橋ゴムと、
該ゴム100重量部に対して、
(ii)有機化処理された層状化合物2.0〜15.0重量部と、
(iii)導電性フィラー3.0〜10.0重量部と、
とを含んでなることを特徴としている。
本発明に係る上記表面導電性ゴム材料は、何れも、その表面固有抵抗が106Ω以下で
あり、体積固有抵抗が1010Ω・cm以上であることが好ましい。
本発明に係る帯電防止用成形体は、上記の何れかに記載の表面導電性ゴム材料のみからなるか、この表面導電性ゴム材料を少なくとも一部に用いてなることを特徴としている。
本発明に係る表面導電性ゴム材料の製造方法は、
(i)架橋性ゴムと、
(ii)有機化処理された層状化合物と、
(iii)導電性フィラーと、
(iv)架橋剤とを含んでなる架橋性ゴム組成物を、架橋処理することを特徴としている。
本発明によれば、1層構造であり層間剥離がなく、表面のみ導電性を有し、表裏面方向では絶縁性を有し、しかもゴム材料としての十分な物性(硬度、モデュラス、圧縮永久歪み率等)を有し、さらに好ましくはこれら特性バランスが良好な表面導電性ゴム材料及びこれを用いた優れた特性の帯電防止用成形体が、低コストで提供される。
また本発明の上記製法によれば、架橋性ゴム組成物から上記特性の表面導電性ゴム材料が、加硫成形のみを行うことにより、(さらには必要により加圧や延伸などをも行うことにより、)効率よく容易に得られ、得られた表面導電性ゴム材料については更なる表面処理などの新たな工程も不要であり、表面導電性ゴム材料の製造コストを著しく低減できる。
また、本発明によれば、通常の加硫成形を行うだけで上記特性の表面導電性ゴム材料が得られるような、架橋性ゴム組成物が提供される。
以下、本発明に係る表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物、該組成物を架橋してなる表面導電性ゴム材料、およびその製造方法などについて具体的に説明する。
本発明に係る表面導電性ゴム材料は、(i)架橋性ゴムと、(ii)有機化処理された層状化合物と、(iii)導電性フィラーと、必要により(iv)架橋剤とを含んでなる架橋性ゴム組成物を架橋処理(加硫)してなる。この表面導電性ゴム材料の好ましい態様では、その表面固有抵抗が106Ω以下であり、体積固有抵抗が1010Ω・cm以上である。
[架橋性ゴム組成物]
まず、架橋性ゴム組成物について説明する。
<架橋性ゴム(i)>
架橋性ゴム組成物に含まれる架橋性ゴム(未加硫ゴム)(I)としては、天然ゴム、合成ゴムの何れでもよく、また2元系、3元系などの何れでもよく、過酸化物加硫、含硫黄加硫、エネルギー線(例:電子線)による架橋など、加硫(架橋)タイプの点でも特に制限はなく、従来より公知のものを適宜選択して用いることができる。
架橋性ゴム(i)としては、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム(例:ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン3元系フッ素ゴム)などの未加硫物を挙げることができ、フッ素ゴムが耐薬品性、耐熱性に優れ、広範な用途に使用し得る点などから好ましい。
これらの架橋性ゴムは、1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
<有機化処理された層状化合物(ii)>
有機化処理に供される層状化合物(ホスト、未処理物)あるいは膨潤性粘土鉱物としては、天然物、合成鉱物等、種類は限定されないが、例えば、特開平8−302025号公報の[0014]欄に記載されているような膨潤性粘土鉱物、具体的には、天然又は合成雲母(マイカ)、天然又は合成スメクタイト、バーミキュライト、クロライト等が挙げられ、中でも合成雲母(マイカ)、合成スメクタイトが不純物が少ない点で好ましい。またこれらの層状化合物の平均粒径(D50)は、通常、0.1〜100μm程度、好ましくは0.1〜2μm程度である。これら未処理の層状化合物は、1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
有機化処理剤すなわち、層状化合物を有機化する化合物(ゲスト)としては、後述するような式(a)で示されるアルキルアミン塩(アンモニウム塩、アミン塩とも言う)が好ましい。ゲストであるこれらのアルキルアミン塩としては後述するような通常市販されているもので良く、純度が高いほど望ましい。
例えば、アルキルアミン塩(a)では、配合比[有機化処理に供される層状化合物(ホスト)/層状化合物を有機化する化合物(ゲスト)]は、特開平8−302025号公報の[0016]欄に記載の「層状化合物に対する陽イオン交換容量(CEC)」を求め、CECに対して1〜10当量となるような量であることが望ましい。
以下に詳説すると、有機化処理された層状化合物(ii)あるいはその調製法としては、従来より公知のものあるいは調製方法を適宜採用でき、例えば、特開平8−302025号公報(特許文献9)の[0014]〜[0021]欄に記載されているもの及び方法、特開2000−178422号公報(特許文献5)の[0036]欄に記載のもの及び方法、特開2000−226585号公報(特許文献6)の[0005]〜[0013]欄に記載のもの及び方法、特開平7−82398号公報(特許文献7)の[0016]〜[0019]欄に記載のものに準ずればよい。
有機化処理された層状化合物(ii)の調製法としては、例えば、先ず、水と、水への膨潤性または劈開性に優れた層状化合物(ホスト)である親水性層状化合物(例:親水性マイカなど)とを混合する。
次いで、この混合液に上記層状化合物用の有機化処理剤(ゲスト)としてのアンモニウム塩(例:第4級アンモニウム塩など)などのアミン誘導体を添加し、攪拌・混合する。
このように層状化合物の混合液に例えばアンモニウム塩を添加・混合することなどによ
り、層状化合物とアンモニウム塩とを接触、反応させると、例えば、親水性マイカでは、その層間に存在するナトリウムイオン(Na+)が、有機分子である例えば、第4級アン
モニウム塩の陽イオン(第4級アンモニウムイオン)、例えば、下記式(a)中の[N(R1)(R2)(R3)(R4)]+1(R1〜R4は全てアルキル基など)で表される陽イオンと入れ替わり、イオン交換が行われるか、あるいは上記第4級アンモニウム塩分子の包接、配位などが生じ、上記層間に有機カチオンや有機分子がインターカレート(包接)されるのであろうと考えられる。
このような反応による生成物である、アンモニウム塩にて処理[例えば、イオン交換処理、あるいは第4級アンモニウム塩(分子)などの配位結合、包摂などの処理。]された層状化合物(ii)は、水の存在下では劈開、分散せず、沈殿物となる。この層状化合物(ii)は、層間化合物とも言われる。
次いで、この反応混合物をろ過して、得られた濾物を例えば、水で洗浄し、未処理物(
未反応物)を除去すると、アンモニウム塩(アミン塩)にて処理された層状化合物(ii
)が得られる。このような処理では、多くの場合、アンモニウムイオンがホスト中にインターカレートされた層状化合物(ii)が得られるものと考えられる。
得られた濾物を乾燥した後、必要によりボールミルなどを用いて微粉砕すると、アンモニウム塩にて処理された所望の粒径の層状化合物(ii)が得られる。
なお、上記アンモニウム塩(アミン塩)などのアミン誘導体としては、例えば、特開平8−302025号公報の[0015]〜[0018]欄に記載されているようなアンモニウム塩類(アミン塩)、例えば、該公報に記載の下記アルキルアンモニウム塩(a−1);
特開平9−194822号公報の[0006]欄に記載されているようなアミン類(例:脂肪族、芳香族第1〜第3アミンなど)の塩酸塩、臭酸塩など;さらにはアミン類の水溶液;などが挙げられる。
すなわち、本発明で使用可能なアンモニウム塩(アミン塩)に代表されるアミン誘導体としては、一般式(a):
Figure 0004472422
[式(a)中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子(H)または分岐を有していてもよい炭素数C1〜30程度のアルキル基、置換基(C1〜5のアルキル基など)を有していてもよい総炭素数C6〜25程度の芳香族炭化水素基を示し、これらR1、R2、R3、R4、の少なくとも1個は水素原子以外の基である。(その好ましい態様では、R4の主鎖の炭素数は、R1、R2、R3の主鎖の炭素数と同一かまたはより大きく、炭素数4〜
30程度であることが好ましい。)Xは、塩を構成する酸の陰イオン(例えば、Cl-
のハロゲンイオン、NO3 -、SO4 2-)などを示す。mは陰イオンの価数を示し、好まし
くは1、2、特に1が望ましい。]
で表されるものが挙げられる。
アンモニウム塩類(アミン塩)などのアミン誘導体として、より具体的には、例えば、
Figure 0004472422
[式(a−1)中、nは1〜20程度の整数。Xは、例えば、Cl-、NO3 -、SO4 2-などを示す。mは陰イオンXの価数を示し、好ましくは1を示す。]が好ましい。
このような有機アンモニウム塩としては、例えば、特開平8−290907号公報の[0015]欄に記載の合計炭素数が4〜23である有機アンモニウム塩が挙げられ、具体的には、上記式(a)に属し、(a−1)には属さないものとして、テトラメチルアンモニウム塩 、テトラエチルアンモニウム塩 、フェニルトリメチルアンモニウム塩 等のア
ルキル又はアリールトリメチルアンモニウム塩 、ジオクチルジメチルアンモニウム塩 、ジデシルジメチルアンモニウム塩 等のジアルキルジメチルアンモニウム塩 、又はジアリールジメチルアンモニウム塩が挙げられる。
また、上記式(a−1)に属するものとしては、例えば、エチルトリメチルアンモニウム塩 、プロピルトリメチルアンモニウム塩 、ブチルトリメチルアンモニウム塩 、ペン
チルトリメチルアンモニウム塩 、ヘキシルトリメチルアンモニウム塩 、ヘプチルトリメチルアンモニウム塩 、オクチルトリメチルアンモニウム塩 、ノニルトリメチルアンモニウム塩 、デシルトリメチルアンモニウム塩 、ドデシルトリメチルアンモニウム塩 、テ
トラデシルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
これらの有機アンモニウム塩は、1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
このようなアルキルアミン塩などのアミン誘導体は、従来より公知であり、例えば、(
第1〜第3)アルキルアミンなどと、酸(例:塩酸、硝酸、硫酸など)、水、ハロゲン化
アルキル、ハロゲン化アリールなどとの反応で得られる。
また、このようなアルキルアミン塩(アルキルアンモニウム塩)などを形成する際に用いられる(第1〜第3)アルキルアミンとして具体的には、例えば、アンモニア(NH3
のHがアルキル基(Cn2n+1、n=1〜20の整数)にて1〜3個置換された構造の第1〜第3n-ヘキシルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン等のアルキルアミン(第1〜第3アミン)が挙げられ、中でも第1〜第3n−ドデシルアミンが望ましい
上記したようなアンモニウム塩などは、それぞれ1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
有機化処理された層状化合物(ii)として、上市されているものでは、「ソマシフMEE」{コープケミカル社製}、「スメクタイトSAN」{コープケミカル社製}、「ス
メクタイトSTN」{コープケミカル社製}等が挙げられる。
<導電性フィラー(iii)>
導電性フィラー(iii)としては粒子状、繊維状、および鱗片状のものなどがある。
粒子状フィラーとしては、例えば、導電性カーボンブラック(例:ケッチェンブラック等)、ニッケル、銅、鉄、銀などの金属や、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属酸化物が挙げられる。
繊維状フィラーとしては、例えば、PAN系やピッチ系のカーボン繊維、黄銅、ステンレス、アルミニウムなどの金属繊維、および、ニッケル、アルミニウムなどで表面コートした炭素繊維、ガラス繊維などの金属コート繊維が挙げられる。
鱗片状フィラーとしては、例えば、黒鉛、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属フレークが挙げられる。
本発明では、これらの導電性フィラーを1種または2種以上組合わせて用いてもよい。<架橋剤(iv)>
架橋剤(加硫剤)(iv)としては、上記架橋性ゴム(i)の種類に対応して、必要により、従来より公知のもののうちから適宜選択される。
本発明では、架橋剤としては、過酸化物系架橋剤(パーオキサイド系架橋剤)が耐薬品性、機械的性質などの点でバランスよく優れた、架橋されたフッ素ゴム成形体が得られるなどの点から好ましい。
このような過酸化物系架橋剤としては、従来より公知のものが広く使用でき、具体的には、例えば、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日本油脂社製「パーヘキサ25B」)、ジクミルペルオキシド(日本油脂社製、「パークミルD」)、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルジクミルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド(日本油脂社製、「ナイパーB」)、2,5-ジメチル−2,5−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(日本油脂社製、「パーヘキ
シン25B」)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’-ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン(日本油脂社製、「
パーブチル P」)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラクロロベン
ゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等が挙げられる。
これらのうちでは、ジクミルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド、α,α’-ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピ
ル)ベンゼンが好ましい。
これらの架橋剤は、1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
<共架橋剤(v)>
必要により配合される共架橋剤(加硫助剤)(v)としては、具体的には、例えば、トリアリルイソシアヌレート(日本化成社製、「TAIC」)、トリアリルシアヌレート、トリアリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタルアミド等のラジカルによる共架橋可能な化合物が挙げられる。
これらのうちでは、トリアリルイソシアヌレートが耐熱性等の点で好ましい。
この架橋性ゴム組成物では、(i)架橋性ゴム100重量部に対して、
(ii)有機化処理された層状化合物(層間化合物)は、通常2.0〜15.0重量部の量
で、
(iii)導電性フィラーは通常3.0〜10.0重量部の量で、
(iv)架橋剤量は通常特に限定されないが、好ましくは0.5〜2.0重量部の量で含まれていることが望ましい。
また必要により共架橋剤(v)を配合する場合には、この共架橋剤(v)は、通常2.0〜8.0重量部、好ましくは、4.0〜6.0重量部の量で含まれていることが望ましい。
また、上記層状化合物(ii)の含有量が上記範囲より少ないと体積固有抵抗の低下となり、また上記範囲より多いと成型不良となる傾向がある。
また、上記導電性フィラー(iii) の含有量が上記範囲より少ないと得られる表面導
電性ゴム材料は、絶縁性となり、また上記範囲より多いと導電性は高くなるが成型後の材料表面にひどい粘着性が発現する傾向がある。
また、上記架橋剤(iv)の含有量が上記範囲より少ないと得られる表面導電性ゴム材料は架橋不足となり、また上記範囲より多いと成型不良となる傾向がある。
また、共架橋剤(v)の含有量が上記範囲より少ないと得られる表面導電性ゴム材料は引張り強さの低下、圧縮永久歪み率の悪化の傾向が見られ、また上記範囲より多いと製造時の混練り作業性が悪化する傾向がある。
<その他の配合成分>
本発明に係る架橋性ゴム組成物は、上記成分(i)、(ii)、(iii)、必要により成分(iv)、成分(v)などを含んでいるが、必要により、さらに溶剤、可塑剤、有機・無機充填材、有機・無機顔料などを適宜量で含んでいてもよい。
[架橋性ゴム組成物の製法]
本発明に係る架橋性ゴム組成物の製法は、それぞれ上記量の架橋性ゴム(i)と、有機化処理された層状化合物(ii)と、導電性フィラー(iii)と、必要により架橋剤(
iv)と、さらに必要により、共架橋剤(v)などとを1度に、あるいは任意の順序で添
加して、混合すなわち、攪拌、混練等すればよい。
この混合の際に、必要により、市販のバンバリー、オープンロール、ニーダー、二軸混練機などを用いて混練りしてもよい。また、必要により上記架橋性ゴム(i)の加硫(架橋)が実質上進行しないような温度で加熱(例:50〜100℃)等を行ってもよい。
なお、本発明では、上記架橋性ゴム組成物の製造の際に添加する層状化合物としては、予め第4級アンモニウム塩などのアミン誘導体にて有機化処理されたものを配合することが製造工程の簡易の点から必要である。
ここで、もし、上記(ii)「有機化処理された層状化合物」に代えて、「有機化処理されていない層状化合物と、有機化剤(例:第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩など)を、同時に、あるいは別々の時期に加えて、架橋性ゴム組成物を構成する成分である(i)架橋性ゴム、(iii)導電性フィラー、必要により(iv)架橋剤、さらに必要により(v)共架橋剤などと共に混合しても、加硫物としては、所望の物性すなわち(表面のみ導電性)を有する架橋ゴム成形体は得られない。その理由は、恐らくは、下記の理由に拠るのであろうと思われる。すなわち、有機化処理反応(インターカレーション)は層状化合物が劈開している状態で初めて反応が進むこと、および、有機化処理されていない層状化合物では劈開、分散性が悪いため、層状化合物材料中に有機化処理剤が均一に広がらず絶縁効果を最大限発揮できないこと、によるのであろうと思われる。
[表面導電性ゴム材料]
本発明に係る導電性ゴム材料は、架橋性ゴム組成物を、従来より公知の方法にて上記架橋処理して得られるが、このような架橋処理は、架橋性ゴム組成物を、1次加熱加硫成形
した後に、2次加硫を行うものであることが引張り強さ、圧縮永久歪み率の向上の点から望ましい。
本発明に係る表面導電性ゴム材料は、(i−a)架橋ゴムと、(ii)有機化処理された層状化合物と、(iii)導電性フィラーとを含んでなることを特徴としている。
この導電性ゴム材料では、後述するように、含まれる層状化合物(ii)が面方向に配向していると推測され、そのため、この導電性ゴム材料では、特に、後述するような低い表面固有抵抗と、高い体積固有抵抗とが発現していると考えられる。
本発明の表面導電性ゴム材料では、(i−a)架橋ゴム100重量部に対して、(ii)有機化処理された層状化合物は通常2.0〜15.0重量部の量で、
(iii)導電性フィラーは3.0〜10.0重量部の量で含まれていることが望ましい。
本発明の表面導電性ゴム材料中における、架橋ゴム(i−a)に対する層状化合物(ii)の含有量が上記範囲より少ないと体積固有抵抗の低下となる傾向があり、また、上記範囲より多いと成型不良となる傾向がある。
また、架橋ゴム(i−a)に対する導電性フィラー(iii)の含有量が上記範囲より少ないと絶縁性となる傾向があり、また、上記範囲より多いと導電性は高くなるが、成型後の材料表面にひどい粘着性が発現する傾向がある。
本発明に係る表面導電性ゴム材料は、その表面固有抵抗(JIS K6911準拠)が106Ω以下、特に103〜106Ωであり、体積固有抵抗(JIS K6911準拠)が
1010Ω・cm以上、特に1010〜1015Ω・cmであることが前記「背景技術」欄等で述べたような種々の用途に好適に用いる上で望ましい。
本発明に係る表面導電性ゴム材料が、上記のような通常の加硫操作を行うだけで、特に上記表面固有抵抗及び体積固有抵抗を示し、しかも加硫ゴムとしての下記のような好適な常態物性を示すのは、図1に示すように、下記の理由によるのであろうと考えられる。
<図1>
図1には、シート状の本発明の表面導電性ゴム材料(ゴムシート)が模式的に示されている。図1では、絶縁性フィラーとして機能する層状化合物(ii)を「−」で示し、導電性フィラー(iii)を「・」で示している。
この図1に示すように、本発明の表面導電性ゴム材料では、含まれる絶縁性化合物である層状化合物(ii)がシートの面方向に配向しており、それに伴い、層状化合物(ii)上に存在し、あるいは層状化合物(ii)と層状化合物(ii)との間に存在している導電性フィラーも、好ましくはシートの面方向により高密度で(連続的または不連続に)配列していると考えられる。
その結果、シートなど得られる導電性ゴム材料の面方向では、導電性フィラーが層の厚み方向に比して、より密に(また好ましくは連続的に)配列しているために、その「表面固有抵抗」が低下しているものと考えられる。
しかも導電性ゴム材料(シート)の表裏面方向では、絶縁性化合物の層状化合物(ii)が層を為して、通電を阻害するように多数層で存在し、かつ層状化合物(ii)間に介在する導電性フィラーもそれによって層状になり、シート)の表裏面方向では、よりで不
連続に存在するために、例えば、シート状の導電性ゴム材料の表裏面方向の抵抗値である「体積固有抵抗」が、層状化合物(ii)無配合のゴム材料(「比較例1」参照)に比して、本発明の導電性ゴム材料(「実施例1」参照)では増大しているものと考えられる。
なお、一般に、表面固有抵抗(JIS K6911準拠)は「半導電性材料」では、109Ω〜105Ωの範囲にあり、「導電性材料」では、104Ω以下の範囲にある。また、
体積固有抵抗(JIS K6911準拠)は、「絶縁性材料」では1010Ω・cm以上の範囲にあり、「半導電性材料」では109Ω〜105Ω・cmの範囲にあり、「導電性材料」では104Ω・cm以下の範囲にある。
[表面導電性ゴム材料の製造]
本発明に係る表面導電性ゴム材料の製造方法は、上記(i)架橋性ゴムと、
(ii)有機化処理された層状化合物と、(iii)導電性フィラーと、必要により(iv)架橋剤とを含んでなる上記架橋性ゴム組成物を、架橋処理することを特徴としている。
このように本発明によれば、1層構造であり層間剥離がなく、表面のみ導電性すなわち表面固有抵抗が小さく面方向では導電性を有し、表裏面間は絶縁性すなわち体積固有抵抗が大きく絶縁性の表面導電性ゴム材料が、低コストで提供される。
架橋(加硫)は、常法により行えばよいが、例えば、架橋性ゴム組成物(コンパウンド)を所望形状に成形(1次加硫)した後、2次加硫することにより実施することができる。
1次加硫、すなわち所望形状への成形時(予備成形時、1次成形時ともいう)には、通常、加熱温度140〜180℃で5〜30分間、圧力3〜10MPaの加圧下に保持してもよい。上記条件(温度、圧力など)は、連続的又は段階的に昇温、昇圧等を行い、次いで一定温度、圧力等の状態で所定時間保持し、次いで降温、降圧等を行ってもよい。
本発明では、この1次加硫においては、混練された架橋性ゴム組成物につき、通常の加熱加圧プレスだけでもよいが、延伸、等の処理、を施すことが望ましい。例えば、原料を加圧ローラにより圧延したものを予備成形体としたり、押し出し成形法による成形を行う場合も材料に剪断が働き、延伸効果が得られる。
このような加圧、延伸等の処理の結果、架橋性ゴム組成物中に含まれる絶縁性化合物である層状化合物(ii)がシートの面方向に配向し、それに伴い、層状化合物(ii)上に存在し、あるいは層状化合物(ii)と層状化合物(ii)との間に存在している導電性フィラーも、好ましくはシートの面方向により高密度で(連続的または不連続に)配列すると考えられる。
なお、本発明では、上記加圧、成形の際には、金型などを用いることができ、また、延伸の際には、延伸ロールなどを用いることができる。
「2次加硫」は、例えば、1次加硫温度より10〜50℃程度高温で配合成分、特に有機物の加硫ゴム、有機化処理された層状化合物などの分解温度未満の温度である、加熱温度160〜200℃で、1〜24時間に保持することにより行われる。
このように本発明によれば、上記特性の表面導電性ゴム材料が、上記のような加圧下等での通常の加硫成形を行うだけで、さらには、この加圧下等での加硫成形に加えて必要により延伸などをも行うことにより、効率よく、容易に得られる。
特に、本発明で用いる層状化合物(ii)の配合量が少ない場合には、材料に積極的な延伸
などが加わるようにしたほうが、表面導電性をより下げ、体積抵抗をより上げる上で有効である。層状化合物(ii)の分散性、配向が促進されるためと推測される。
具体的には、前処理としてロール圧延した上で、その材料を予備成形し、金型による加硫成形をしたり、延伸効果のある押出成形による成形をすることで延伸効果が得られる。
[帯電防止用成形体]
本発明に係る電防止用成形体は、上記したような表面導電性ゴム材料のみからなるか、この表面導電性ゴム材料を少なくとも一部に用いてなる。
表面導電性ゴム材料のみから帯電防止用成形体としては、帯電防止用のフィルム、シート、マット、壁紙、印刷用紙、靴、靴底などが挙げられる。
また、この表面導電性ゴム材料を少なくとも一部に用いてなる電防止用成形体としては、この表面導電性ゴム材料と他の樹脂、ゴム、金属などを適宜積層、貼付、縫合するなどの公知の方法で加工して得られる、前述したようにコントロールルームの壁材、床材、作業テーブル、作業員の着衣、靴、手袋、保護眼鏡やマスクなどが挙げられる。
これらの帯電防止用成形体は、静電気の発生が抑制でき、また静電気が発生しても電させることなく速やかに低減・除去できる。また、この帯電防止用成形体が作業衣である
場合には、漏電等により床や壁等と当該衣類が接触した場合にも、当該衣料などを着用している作業員が障害等を受けることがない。
また、例えば、この電防止用成形体を床材に用いれば、床面(基板)等からの絶縁性も発揮される。
[実施例]
以下、本発明に係る架橋性ゴム組成物及びこれを加硫(架橋)して得られる表面導電性ゴム材料(成形体)について、実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は係る実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例で使用した常態物性測定条件等は以下の通り。
(硬さ)
JIS−K6253に準拠し、25℃でデュロメータータイプA硬さ試験にて測定した。
(引張り強度)
JIS−K6251に準拠して25℃にて測定した。
(伸び)
JIS−K6251に準拠して25℃にて測定した。
(圧縮永久歪み)
JIS−K6262に準拠し、120℃×70時間、圧縮率25%の条件で、φ29×12.5ディスクを使用して、圧縮永久歪率を測定した。
(100%引張応力(モジュラス))
JIS K-6256に準拠し、標線が巾40mmになった時点の応力を測定した。
(表面固有抵抗)
(イ) JIS K6911準拠し、超絶縁計(TOA(株)製、型番「DSM8103」)を用いて表面固有抵抗を測定した。
なお、一般に、表面固有抵抗(JIS K6911準拠)は「半導電性材料」では、109Ω〜105Ωの範囲にあり、「導電性材料」では、104Ω以下の範囲にある。
(ロ) 表面固有抵抗が10 +6 Ω以下の場合の測定
自動絶縁抵抗計(NATIONAL社製、型番「DN−500UB」)を用いて表面固有抵抗を測定した。
(体積固有抵抗)
JIS K6911準拠し、超絶縁計(TOA(株)製、型番「DSM8103」)を用いて体積固有抵抗を測定した。
なお、一般に、体積固有抵抗(JIS K6911準拠)は、「絶縁性材料」では1010Ω・cm以上の範囲にあり、「半導電性材料」では109Ω〜105Ω・cmの範囲にあり、「導電性材料」では104Ω・cm以下の範囲にある。
(1)サンプルの製作
表1に示す配合組成の架橋性ゴム組成物を調製した。
すなわち、架橋性のフッ素ゴムとして3元系フッ素ゴム[商品名「G902」、ビニリ
デンフルオライド(イ)/ヘキサフルオロプロピレン(ロ)/テトラフルオロエチレン(ハ)3元系フッ素ゴム]、ダイキン工業社製を100重量部、
有機化処理済みの層状化合物(商品名「ソマシフMEE」、コープケミカル社製)2.0重量部、
導電性フィラー(商品名「ケッチェンブラック」、(LION)(株)製)3.0重量部、
架橋剤(「パーヘキサ25B」、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、日本油脂社製)1.5重量部、
共架橋剤(「TAIC」、トリアリルイソシアヌレート、日本化成社製)4.0重量部を
オープンロールで50℃で0.5時間(30分間)混練し、ゴムコンパウンド(架橋性ゴム組成物、合計110.5重量部)を得た。
このゴムコンパウンドを金型に充填し、加熱温度160℃で、15分間加熱架橋成形を行った後、電気炉内に移して、昇温して、加熱温度180℃で、12時間二次加硫して成形体(形状と寸法:シート状、2×100×180mm)を得た。
この加硫成形体(表面導電性ゴム材料)を試験サンプルとして用い、上記条件にて常態物性および表面固有抵抗、体積固有抵抗を測定したところ、
硬さ(JIS−K6253に準拠、25℃でデュロメータータイプA)は、75となり

引張り強度(JIS−K6251に準拠、25℃)は、32.1MPaとなり、
伸び(JIS−K6251に準拠、25℃)は、300%となり、
100%引張応力(モジュラス、JIS K-6256に準拠)は、6.4MPaとなり

表面固有抵抗(JIS K6911準拠)は、超絶縁計で測定すると106Ω以下の値(Range Over)となり、自動絶縁抵抗計で測定すると5.00×104Ω(「5.00E+
04」とも書く。以下、同様。)となった。
また、体積固有抵抗(JIS K6911準拠)は、1.24×1011Ω・cmとなった。
結果を併せて表1に示す。
[実施例2〜3]
実施例1において、架橋性ゴム組成物の配合成分組成を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして表面導電性ゴム材料(加硫成形体)を作成し、実施例1と同様の試験を行った。
結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、表1に示すように同上の架橋性フッ素ゴム100重量部、
非導電性フィラー(「サーモブラックMT」、(Cancarb)(株)製)20重量部、
同上の架橋剤(「パーヘキサ25B」)1.5重量部、
同上の共架橋剤(「TAIC」)4重量部をオープンロールで混練し、ゴムコンパウンド(合計125.5重量部)を得た。
このゴムコンパウンドを同様の金型に充填し、160℃で、15分間加熱(架橋)成形を行ったあと、電気炉にて180℃で12時間(hrs)の条件で二次加硫して成形体を得た。
得られた成形体について、上記実施例1と同様にして成形体の常態物性および表面固有抵抗、体積固有抵抗を測定した。
結果を表1に示す。
[比較例2〜3]
実施例1において、架橋性ゴム組成物の配合成分組成を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にしてゴム材料(加硫成形体)を作成し、実施例1と同様の試験を行った。
結果を表1に示す。
[比較例4]
表1に示すように、架橋性フッ素ゴム100重量部、導電性フィラー(商品名「ケッチェンブラック」、(LION)(株)製)3重量部、同上の架橋剤(「パーヘキサ25B」)1.5重量部、共架橋剤(「TAIC」)4.0重量部をオープンロールで混練し、ゴムコンパウンドを得た。これを金型に充填し、160℃、15分間加熱(架橋)成形を行ったあと、電気炉にて180℃で12時間(hrs)の条件で二次加硫して成形体を得た。
得られた成形体について、上記実施例1と同様にして成形体の常態物性および表面固有抵抗、体積固有抵抗を測定した。
結果を表1に示す。
[比較例5〜6]
実施例1において、架橋性ゴム組成物の配合成分組成を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にしてゴム材料(加硫成形体)を作成し、実施例1と同様の試験を行った。
結果を表1に示す。
Figure 0004472422
図1は、本発明に係るシート状の導電性ゴム材料中の層状化合物及び導電性フィラーの配列状態を説明する模式図である。

Claims (8)

  1. (i)架橋性ゴムと、
    該ゴム100重量部に対して、
    (ii)有機化処理された層状化合物2.0〜15.0重量部と、
    (iii)導電性フィラー3.0〜10.0重量部と、
    (iv)架橋剤とを含んでなる、表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物。
  2. 上記層状化合物(ii)は、層状無機化合物がアンモニウム塩にて有機化処理されたものである請求項1に記載の表面導電性ゴム材料用の架橋性ゴム組成物。
  3. 上記請求項1〜2の何れかに記載の架橋性ゴム組成物を架橋処理してなる表面導電性ゴム材料。
  4. 上記架橋処理は、架橋性ゴム組成物を、1次加熱加硫成形した後に、2次加硫を行うものである請求項3に記載の表面導電性ゴム材料。
  5. (i−a)架橋ゴムと、
    該ゴム100重量部に対して、
    (ii)有機化処理された層状化合物2.0〜15.0重量部と、
    (iii)導電性フィラー3.0〜10.0重量部と、
    を含んでなる表面導電性ゴム材料。
  6. 上記層状化合物(ii)は、層状無機化合物がアンモニウム塩にて有機化処理されたものである請求項5に記載の表面導電性ゴム材料。
  7. 上記表面導電性ゴム材料の表面固有抵抗が106Ω以下であり、体積固有抵抗が1010Ω・cm以上である請求項3〜6の何れかに記載の表面導電性ゴム材料。
  8. 請求項3〜7の何れかに記載の表面導電性ゴム材料のみからなるか、この表面導電性ゴム材料を少なくとも一部に用いてなる帯電防止用成形体。
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