JP4472242B2 - イソシアネート系接着剤用ラテックス及びイソシアネート系接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホルマリンを含まず耐水強度と粘度安定性に優れた耐水接着剤用ラテックスおよび耐水接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から木材用の接着剤として使われてきた尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などのホルマリン系の熱硬化性接着剤は、放出するホルマリンによるシックハウス症候群などの問題のため、室内用途での使用がたいへん厳しい状況となってきている。そのためそれに代わる接着剤として非ホルマリン系の代表である水性高分子イソシアネート系接着剤(あるいは水性ビニルウレタン接着剤とよばれる)が脚光を浴びている。この水性高分子イソシアネート系接着剤は、主剤である水溶性高分子・水性エマルション配合物と硬化剤であるイソシアネート化合物を使用直前に混合するタイプの接着剤であり、特許文献1などにその製法が述べられている。一般に主剤の内、水溶性高分子としてはポリビニルアルコールが主に用いられ、水性エマルジョンとしては、(エチレン)酢ビエマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス、アクリルエマルジョンが通常用いられる。これら水性エマルジョンは接着強度の向上を目的として水溶性高分子と併せて使用されるものであるが、これらのうち特に耐水接着強度向上に効果があるものを選択して配合した場合、主剤の貯蔵時の粘度安定性(以下、貯蔵安定性と呼ぶ)を確保することが困難であったり、または硬化剤のイソシアネート化合物を混合した直後にすぐ反応が進行してしまうため可使時間(以下ポットライフと呼ぶ)が短くなるなど接着剤としての実用性にしばしば問題が発生する。
【0003】
こういった問題を解決する手段としては、例えば特許文献2では大きな粒子径の共重合体ラテックスを用いる方法や特許文献3に見られるように特定の界面活性剤を使用した共重合体ラテックスを用いる方法が提案されている。しかしながら、これらの方法は貯蔵安定性やポットライフは良好であるものの接着剤としての耐水強度が不足する場合が多い。
また特許文献4のようにエチレン酢ビエマルションに共重合するエチレン性不飽和カルボン酸単量体の量を規定した例や特許文献5のようにエマルションに共重合するヒドロキシル基含有ビニル単量体の量を規定した例が紹介されている。これらのように官能基を導入することは貯蔵安定性の確保には効果があるが、これらの官能基は元来イソシアネートとの反応に富んでいるため、耐水強度の向上には効果があるものの、通常ポットライフが大幅に短くなることは避けられない。このように、水性高分子イソシアネート系接着剤の耐水強度と貯蔵安定性・ポットライフの総てを満足するさせるような水性エマルションを設計することはきわめて困難な課題である。
【0004】
【特許文献1】
特公昭51−30576号公報
【特許文献2】
特開昭59−59768号公報
【特許文献3】
特開平05−331440号公報
【特許文献4】
特開2000−226562号公報
【特許文献5】
特開2002−129121号公報
【特許文献6】
特開平05−230796号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の中、本発明は、上記課題を解決すべく水性エマルションの開発検討を重ねた結果、特定の共重合体ラテックスを使用することにより、イソシアネートと水性エマルション間の過度な反応性を抑制することでポットライフを確保し、かつ耐水強度の優れる水性高分子イソシアネート系耐水接着剤をもたらすことを見出した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、脂肪族共役ジエン系単量体25〜60重量%、芳香族ビニル系単量体40〜75重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体2重量%未満およびヒドロキシル基含有ビニル系単量体0.5重量%未満でこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜35重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、該ラテックス中に炭素数2〜4でヒドロキシル基置換数が2〜4であるヒドロキシル基置換飽和炭素化合物1〜10重量部(上記単量体100重量部に対して)を含有していることを特徴とする耐水接着剤用ラテックスを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における耐水接着剤用ラテックスを構成する共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量体、芳香族ビニル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸系単量体、ヒドロキシル基含有ビニル系単量体およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体により構成される。
【0008】
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に1,3−ブタジエンが好ましい。
【0009】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にスチレンが好ましい。
【0010】
エチレン系不飽和カルボン酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
【0011】
ヒドロシキアルキル基を含有する不飽和単量体としては、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にβ−ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
【0012】
これらと共重合可能な他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、不飽和カルボン酸アミド系単量体、などが挙げられる。
【0013】
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にアクリロニトリルが好ましい。
【0014】
不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特にメチルメタクリレートが好ましい。
【0015】
不飽和カルボン酸アミド系単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0016】
さらに、上記の単量体の他に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の塩基性単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を使用することができる。
【0017】
上記の単量体組成については、脂肪族共役ジエン系単量体25〜60重量%、芳香族ビニル系単量体40〜75重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体2重量%未満およびヒドロキシル基含有ビニル系単量体0.5重量%未満でこれらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜35重量%であることが必要である。
【0018】
脂肪族共役ジエン系単量体が25重量%未満または芳香族ビニル系単量体が75重量%を超える場合、共重合体ラテックスのフィルム形成能が不足するため、それを配合した接着剤の接着力は十分でない。また脂肪族共役ジエン系単量体が60重量%を超える場合または芳香族ビニル系単量体が40重量%未満の場合においては、共重合体ラテックスの耐水性が不足するため、接着剤としての耐水接着力が不十分である。好ましくは脂肪族共役ジエン系単量体30〜50重量%、芳香族ビニル系単量体50重量%〜70重量%の範囲である。
【0019】
また、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体は共重合体ラテックス自身の安定性には効果があるものの、イソシアネート化合物添加後のポットライフが短くなったり、泡が発生したりする原因となる。そのため総量が2重量%未満であることが必要である。好ましくは1重量%未満である。
【0020】
ヒドロキシル基含有ビニル系単量体は、0.5重量%未満であることが必要である。総量が0.5重量%以上使用した共重合体ラテックスを耐水接着剤に配合したものは、イソシアネート化合物添加直後から粘度上昇が生じポットライフが短くなるため好ましくない。
【0021】
本発明の耐水接着剤用ラテックスに含まれる炭素数2〜4でヒドロキシル基置換数が2〜4であるヒドロキシル基置換飽和炭素化合物とは、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコールなどのジオール類、グリセリン、ブタントリオール、などのトリオール類、エリスリトールなどのテトラオール類が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これら複数のヒドロキシル基を含有する飽和炭素化合物は、その分子量が130未満で、水への溶解度が30%以上であることが好ましい。
これらの飽和炭素化合物は、上記共重合体ラテックス中に1〜10重量部(使用する単量体100重量部に対して)含有することが必要である。該含有量が1重量部未満ではポットライフを長くする効果が乏しく、また10重量部を超えると耐水強度に悪影響を与えるため好ましくない。好ましくは2〜5重量部の範囲である。
なお、該飽和炭素化合物の添加時期については、単量体の乳化重合前、重合途中、重合後の何れの段階において添加してもよい。ただし耐水接着剤を調整するために他の水溶性高分子、イソシアネート系化合物、さらにその他水性エマルジョン、増量剤、充填剤などの添加剤との混合の前の時点で共重合体ラテックス中に添加されていることが肝要である。
上記添加時期としては、特に該飽和炭素化合物の存在下、すなわち単量体の乳化重合前および/または重合途中で添加することが、最終的に得られる耐水接着剤の性能の面で好ましい。
【0022】
本発明における共重合体ラテックスの数平均粒子径については特に制限はないが、耐水強度発現の観点より70〜300nmの範囲であることが好ましい。更に好ましくは、100〜200nmである。
【0023】
上記数平均粒子径は動的光散乱法により測定することができる(測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用)。
【0024】
本発明における各種成分の添加方法については特に制限するものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができる。また、その乳化重合方法においても特に制限はなく、一段重合、二段重合又は多段階重合等何れでも採用することができる。更に、乳化重合において、常用の連鎖移動剤、乳化剤、保護コロイド、重合開始剤、炭化水素系溶剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
【0025】
このような連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物、α−メチルスチレンダイマー、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。
【0026】
これら連鎖移動剤の使用量について何ら制限はなく、共重合ラテックスに求められる性能に応じて適宜調整することができるが、好ましくは単量体混合物100重量部に対して0〜10重量部である。
【0027】
乳化剤としては高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。
【0028】
保護コロイドとしてはポリビニルアルコール系の部分ケン化ポリビニルアルコ−ル、完全ケン化ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールの誘導体、もしくはセルロース系のヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが使用される。
【0029】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤、あるいはレドックス系開始剤あるいは、過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用できる。
【0030】
また、炭化水素系溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物が挙げられる。
【0031】
本発明の耐水接着剤は,上記耐水接着剤用ラテックスと水溶性高分子によって構成される主剤と架橋剤であるイソシアネート系化合物とが混合されてなるものである。
【0032】
水溶性高分子であるポリビニルアルコールとしては通常の部分ケン化ポリビニルアルコ−ル、完全ケン化ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールの誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの重合度300〜2500、ケン化度80〜100%が好ましいものとして挙げられる。
【0033】
上記水溶性高分子の使用量としては、耐水接着剤用ラテックス(固形分)100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、さらに好ましくは30〜160部である。該水溶性高分子が5重量部未満では初期接着性が不十分であり、また200重量部を超えると貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
【0034】
架橋剤であるイソシアネート系化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基を含むものなら何れでもよく、たとえばトリレンジイソシアネートおよびその水素化物、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素化物、ヘキサメチレンジイソシアネート付加縮合物などのポリイソシアネートを挙げることができ、これらのうちトリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその重合物が好ましい。また、ポリイソシアネートとポリオールとの混合方式、すなわち、ポリエステルなどのポリオールに、上記のイソシアネート系化合物を過剰に混合したものであってもよい。更に、プレポリマー方式、すなわち、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとによりあらかじめポリマー化したNCO末端プレポリマーを用いてもよく、過剰のポリオールであらかじめポリマー化したOH末端プレポリマーに上記のポリイソシアネートを過剰に添加したものであってもよい。
【0035】
イソシアネート化合物の含有量は耐水接着剤用ラテックス(固形分)100重量部に対して10〜250重量部が好ましく、更に好ましくは30〜200重量部である。イソシアネート系化合物が10重量部未満では初期接着強度、耐水強度が不足し、また250重量部を超えるとポットライフが短くなりすぎるため好ましくない。
【0036】
本発明の耐水接着剤には、増量剤、充填剤を配合することができる。これら増量剤、充填剤の例としては、小麦粉、デンプン類、脱脂大豆粉、木質粉、クレー、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどが挙げられる。これらの増量剤、充填剤は耐水接着剤用ラテックス(固形分)100重量部に対して10〜400重量部であることが好ましく、更に好ましくは30〜300重量部である。さらに必要に応じて増粘剤、分散剤、浸透剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、溶剤、着色顔料などを加えることも可能である。
【0037】
本発明の耐水接着剤は合板、LVL、突板、化粧板、集成材、パーティクルボード等の木質材料の接着用途に好適であり、その他に紙、布、金属、陶磁器、ガラス、各種プラスチック、無機・セメントからなる板状あるいは繊維状の素材の同一または異種間の接着もしくはコーティングにも適用することができる。
【0038】
【実施例】
以下に、本発明の優れた効果を明示するために、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中に示す部および%は、特に断りの無い限り、重量を基準としたものである。
【0039】
共重合体ラテックス(a)〜(g)の製造
10リットルのオ−トクレ−ブに、水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、過硫酸カリウム0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.0部、表1に示す炭素化合物(共重合体ラテックス(b)の場合を除く)および表1に示す組成の単量体混合物の10重量%を仕込み、十分に撹拌しながら65℃に昇温して1時間反応させた。次いで、表1に示す組成の単量体混合物の残部を5時間で連続添加した後、さらに4時間熟成を行った後、これら共重合体ラテックスを苛性ソ−ダ水溶液にてpH8に調整し、水蒸気蒸留により未反応単量体等を除去し、共重合体ラテックス製造例(a)〜(d)および比較製造例(e)〜(g)を製造した。なお、共重合体ラテックス(b)については、未反応単量体除去後に表1に示す炭素化合物を添加した。
【0040】
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
主剤の配合
上記にて得られた各共重合体ラテックス(固形分50%に調製)/ポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール217、固形分15%水溶液に調製)/炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製 スーパーSS)/ヘキサメタリン酸ソーダを見かけ重量部で100部/100部/60部/0.5部(固形分重量比で100/30/120/1)となるよう配合・攪拌し、各主剤(A)〜(G)を得た。
【0041】
接着剤の配合
上記各主剤に対し、架橋剤であるイソシアネート系化合物(ジフェニルメタンジイソシアネート系化合物、住友バイエルウレタン社製)39部を添加し5分間強攪拌し、各耐水接着剤(A)〜(G)を得た。
【0042】
試験方法
(1)貯蔵安定性
主剤配合直後の常温における粘度(直後粘度)およびポリビンに密封し40℃にて10日間保存した後、常温に戻してから粘度(経時粘度)をBH粘度計にて計測した。
(2)ポットライフ
接着剤配合完了後、20℃にて5分間放置した後の粘度と90分放置した後の粘度をBH粘度計にて計測した。
(3)初期接着性能試験
比着材:カバ材柾目(含水率量8%)、接着剤塗布量:250g/m2、堆積:1分、圧締条件:20℃、20分、150N/m2、で試験片を作製し、JIS K6852に基づき圧縮せん断接着強度を測定した。
(4)常態接着性(常態強度)および煮沸繰り返し試験(耐水強度)
初期接着性試験と同様に圧締した試験片を20℃、7日養生した後JIS K6852に基づき、常態および煮沸繰り返し後での測定を行った。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明の耐水接着剤用共重合体ラテックスを使用してなる耐水接着剤は、主剤の経時粘度上昇も小さくかつ十分なポットライフがあり、また接着性、特に耐水強度が良好であることが明らかである。
Claims (3)
- 1,3−ブタジエン25〜60重量%、芳香族ビニル系単量体40〜75重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体2重量%未満およびヒドロキシル基含有ビニル系単量体0.5重量%未満、これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜35重量%からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、該ラテックス中に炭素数2〜4でヒドロキシル基置換数が2〜4であるヒドロキシル基置換飽和炭素化合物1〜10重量部(上記単量体100重量部に対して)を含有していることを特徴とするイソシアネート系接着剤用ラテックス。
- 1,3−ブタジエン25〜60重量%、芳香族ビニル系単量体40〜75重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体2重量%未満およびヒドロキシル基含有ビニル系単量体0.5重量%未満、これらと共重合可能な他のビニル系単量体0〜35重量%からなる単量体を、炭素数2〜4でヒドロキシル基置換数が2〜4であるヒドロキシル基置換飽和炭素化合物1〜10重量部(上記単量体100重量部に対して)の存在下で乳化重合して得られることを特徴とするイソシアネート系接着剤用ラテックス。
- 請求項1または2の耐水接着剤用ラテックス(固形分)100重量部に対し、水溶性高分子5〜200重量部、イソシアネート系化合物10〜250重量部が配合されていることを特徴とするイソシアネート系接着剤。
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