JP4457606B2 - 電気二重層キャパシタ電極用バインダー組成物 - Google Patents
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Description
本発明の電気二重層キャパシタ電極用バインダー組成物(以下、単に「バインダー組成物」とも言う。)は、バインダーである共重合体(A)の水分散体であって、該共重合体(A)の粒子径が115nm以下であるものである。ここで、粒子径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径である。粒子径が大きすぎると結着力が低下するおそれがある。粒子径をこのような大きさにすることにより、これらの問題を解消し、バインダーの結着性を優れたものとすることができる。粒子径のより好ましい範囲は、60〜110nmであり、さらに好ましい範囲は80〜100nmである。
共重合体(A)の原料単量体の一つである共役ジエン化合物(a)としては、具体的には、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘプタジエン等があげられる。中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
共重合体(A)の原料単量体の一つである単官能芳香族ビニル化合物(b)としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等があげられる。
共重合体(A)は、共役ジエン化合物(a)および単官能芳香族ビニル化合物(b)由来の単量体単位の他に、エチレン性不飽和カルボン酸エステル(c)由来の単量体単位を含むことが好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸エステル(c)としては、具体的には、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸アルキルエステル;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸イソブチル、クロトン酸n−アミル、クロトン酸イソアミル、クロトン酸n−ヘキシル、クロトン酸2−エチルヘキシル、クロトン酸ヒドロキシプロピルなどのクロトン酸エステル;等があげられる。
上記共役ジエン化合物(a)、単官能芳香族ビニル化合物(b)、およびエチレン性不飽和カルボン酸エステル(c)の他に、その他の単量体(d)も用いることができる。その他の単量体(d)の代表的なものとして、エチレン性不飽和カルボン酸や多官能エチレン性不飽和単量体が挙げられる。
本発明に用いられるバインダーである共重合体(A)は、上記共役ジエン化合物(a)、単官能芳香族ビニル化合物(b)および必要に応じて添加される、エチレン性不飽和カルボン酸エステル(c)、その他の単量体(d)を共重合した重合体である。
本発明の電気二重層キャパシタ電極用スラリー組成物(以下、単に「スラリー」とも言う。)は、本発明のバインダー組成物と電極活物質とを混合してなり、必要に応じて増粘剤および導電性付与材が含まれる。
本発明の電気二重層キャパシタ用電極は、前記本発明のスラリーを用いて製造されたものである。電極の製造方法としては、具体的には、集電体に、本発明のスラリーを塗布し、乾燥する方法が挙げられる。集電体は、導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料が用いられる。中でも、耐熱性を有するとの観点から、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼、金、白金などの金属材料が好ましく、アルミニウムおよび白金が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、通常、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものを用いる。
本発明の電気二重層キャパシタは、上記本発明の電極を有するものである。電気二重層キャパシタは、上記の電極や電解液、セパレーター等の部品を用いて、常法に従って製造することができる。具体的には、例えば、セパレーターを介して電極を重ね合わせ、これをキャパシタ形状に応じて巻く、折るなどして容器に入れ、容器に電解液を注入して封口して製造できる。
攪拌機付き反応容器に、表1に示す組成の単量体混合物100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.7部、イオン交換水250部および過硫酸アンモニウム1.5部を仕込み、十分攪拌した後、80℃で5時間重合し、固形分量が約30%のラテックスを得た。重合転化率は95%であり、重合体の組成比は、単量体仕込み比と一致した。このラテックスにアンモニア水を加えてpHを7にした後に減圧濃縮して残留単量体を除去し、固形分量が40%のラテックス(バインダー水分散体)としてバインダー組成物を得た。アルカリ金属イオンの量はバインダーに対し0.1%であった。
次いで、電極活物質として比表面積2000m2/g、平均粒径8μmの高純度活性炭粉末100部、および導電性付与材としてケッチェンブラック1.5部とアセチレンブラック3部とを混合して前記バインダー組成物12.5部に加え、さらに増粘剤としてカルボキシメチルセルロース−アンモニウム塩(CMCダイセルDN−10L:ダイセル化学工業社製)を2部添加した。全固形分の濃度が43%となるように水を加え、プラネタリーミキサーを用いて60分間混合した。その後、固形分濃度が41%になるように水で希釈してさらに10分間混合し、電極用スラリーを得た。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて塗布し、80℃で30分送風乾燥機で乾燥した。その後、ロールプレス機を用いてプレスを行い厚さ80μm、電極層の密度0.6g/cm3の電極を得た。
上記により製造した電極を直径15mmの円形に切り抜いたものを2枚作成し、150℃で24時間乾燥させた。この2枚の電極の電極層面を対向させ、直径18mm、厚さ40μmの円形セルロース製セパレータを挟んだ。これをポリプロピレン製パッキンを設置したステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)中に収納した。この容器中に電解液を空気が残らないように注入し、ポリプロピレン製パッキンを介して外装容器に厚さ0.2mmのステンレス鋼のキャップをかぶせて固定し、容器を封止して、直径20mm、厚さ約2mmのコイン型電気二重層キャパシタを製造した。なお、電解液としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートをプロピレンカーボネートに1モル/リットルの濃度で溶解させた溶液を用いた。
単量体混合物として表1に示す組成のものを用いた他は実施例1と同様にしてバインダー組成物、電極用スラリー、電極および電気二重層キャパシタを製造した。
(1)バインダーの物性
上記実施例1〜3、および比較例1〜2で使用した、バインダーとして用いた重合体の物性は、以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
・重合体の組成比
重合体の各単量体単位含有量(組成比)は、1H−および13C−NMR測定により求めた。
・重合体の粒子径
重合体の粒子径は、透過型電子顕微鏡写真で無作為に選んだポリマー粒子100個の径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径として求めた。
・重合体のガラス転移温度
重合体をポリテトラフルオロエチレン板上に流延し、2日間乾燥後、さらに120℃で15分間乾燥させて重合体フィルムを作製した。そのフィルムを用いて示差走査型熱量計(DSC)を用いて毎分5℃で昇温して測定した。
・重合体のTHF不溶分量
THF20ミリリットルに対して、重合体0.2gを温度25℃で72時間浸漬した後、80メッシュの篩で濾過し、篩上成分を乾燥して求めた質量の、元のバインダー質量0.2gに対する百分率を求めた。
上記実施例1〜3および比較例1〜2で作成した電極および電気二重層キャパシタの性能について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
・ピール強度
電極を幅2.5cm×長さ10cmの矩形に切り、電極層面を上にして固定した。電極層面にセロハンテープを貼り付け、テープを50mm/分の速度で180°方向に剥離したときの強度(N/cm)を10回測定し、その平均値をピール強度とした。この値が大きいほど結着強度が高く、電極活物質が集電体から剥離しにくいことを示す。
・耐クラック性
電極を幅3cm×長さ9cmの矩形に切って試験片とする。試験片の集電体側の面を下にして机上に置き、長さ方向の中央(端部から4.5cmの位置)、集電体側の面に直径3mmのステンレス棒を短手方向に横たえて設置する。このステンレス棒を中心にして試験片を電極層が外側になるように180°折り曲げた。10枚の試験片について試験し、各試験片の電極層の折り曲げた部分について、ひび割れまたは剥がれの有無を観察した。10枚のいずれにもひび割れまたは剥がれが全く生じていない場合を○、1枚以上に1箇所以上のひび割れまたは剥がれが生じた場合を×と評価した。電極層にひび割れまたは剥がれが生じないと、電極が柔軟性に優れることを示す。
・内部抵抗
電流密度20mA/cm2で直流抵抗を測定し、比較例1を基準として以下の評価基準で評価した。内部抵抗が小さいほどキャパシタとしての性能が良好であることを示す。
(評価基準)
◎:比較例1よりも内部抵抗が20%以上小さい。
○:比較例1よりも内部抵抗が10〜20%小さい。
△:比較例1と内部抵抗が同等である。
×:比較例1よりも内部抵抗が10%以上大きい。
Claims (7)
- 共役ジエン化合物(a)由来の単量体単位41〜55質量%と、
単官能芳香族ビニル化合物(b)由来の単量体単位10〜80質量%とを有する共重合体(A)の水分散体であって、
該共重合体(A)の粒子径が115nm以下である電気二重層キャパシタ電極用バインダー組成物。 - 前記共重合体(A)のテトラヒドロフランに対する不溶分が30〜98質量%である請求項1記載の電極用バインダー組成物。
- 前記共重合体(A)のガラス転移温度が−100〜+100℃である請求項1または2記載の電極用バインダー組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のバインダー組成物と、電極活物質とを混合してなる電気二重層キャパシタ電極用スラリー組成物。
- 前記電極活物質に対し0.5〜5質量%の増粘剤をさらに含む、請求項4に記載の電極用スラリー組成物。
- 請求項4または5に記載の電極用スラリー組成物を用いて製造された電気二重層キャパシタ用電極。
- 請求項6に記載の電極を有する電気二重層キャパシタ。
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