従来、図20に示すような放電灯点灯装置が提供されている。この従来装置は、交流電源ACを全波整流する全波整流器DBと、全波整流器DBの脈流出力を所望の直流出力に変換する(昇圧)チョッパ回路1と、チョッパ回路1の動作を制御するチョッパ制御手段2と、チョッパ回路1の直流出力を高周波出力に変換するインバータ回路3と、インバータ回路3の動作を制御するインバータ制御手段4と、インダクタ、コンデンサ並びに放電灯(何れも図示せず)にて構成され、インバータ回路3の高周波出力との共振作用によって放電灯を高周波点灯する負荷回路5とを備える。
図21はチョッパ回路1並びにチョッパ制御手段2の具体構成の一例を示している。全波整流器DBの交流入力端には商用交流電源ACが接続されており、全波整流器DBの脈流出力端には小容量のコンデンサC11が接続されている。チョッパ回路1は、全波整流器DBの脈流出力端の正極に一端が接続されたインダクタL11と、インダクタL11の他端にドレインが接続されるとともにソースが抵抗R13を介して全波整流器DBの脈流出力端の負極(=グランド)に接続された、パワーMOSFETからなるスイッチング素子Q11と、スイッチング素子Q11のドレインにアノードが接続されたダイオードD11と、ダイオードD11のカソードが正極に接続されるとともに負極が全波整流器DBの脈流出力端の負極に接続された平滑コンデンサC12とを備える。而して、スイッチング素子Q11がオンされると、全波整流器DBからインダクタL11、スイッチング素子Q11、抵抗R13を介して電流が流れてインダクタL11にエネルギが蓄積され、スイッチング素子Q11のオフ時にインダクタL11の蓄積エネルギによる起電力が全波整流器DBの脈流出力に重畳されてダイオードD11を介して平滑コンデンサC12を充電することにより、平滑コンデンサC12の両端から全波整流器DBの脈流出力電圧を昇圧した直流電圧が得られるものである。
一方、チョッパ制御手段2は、汎用の力率改善コントロールIC(例えば、モトローラ社製のMC34261等)2aで構成され、チョッパ回路1のスイッチング素子Q11をオン・オフ(スイッチング)制御している。力率改善コントロールIC2aは、チョッパ回路1の出力電圧を抵抗R14,R15で分圧した出力検出電圧と基準電圧Vrefとの差分を増幅する誤差アンプAPと、チョッパ回路1への入力電圧(全波整流器DBの脈流出力電圧)を抵抗R11,R12で分圧した入力検出電圧を誤差アンプAPの出力と乗算して脈流出力電圧(交流電源ACの交流電圧)と同期した誤差信号を得るマルチプライヤMPと、スイッチング素子Q11に流れる電流を抵抗R13で検出した検出電圧をマルチプライヤMPから出力される誤差信号と比較する比較器CPと、インダクタL11に設けられた2次巻線n2からインダクタL11に流れる電流がゼロになる時点を検出するゼロ電流検出部ZIと、スイッチング素子Q11のゲートにパルス状の駆動信号を出力する駆動信号出力部DRと、比較器CP並びにゼロ電流検出部ZIの出力に基づいて駆動信号出力部DRを制御し、駆動信号のオンデューティ比(スイッチング素子Q11のオン時間)を調整する制御部CTとを具備する。
制御部CTは、ゼロ電流検出部ZIでゼロ電流が検出されたときに駆動信号出力部DRに制御信号を出力してスイッチング素子Q11をオンとする駆動信号を出力させ、比較器CPにて検出電圧が誤差信号を超えたときに駆動信号出力部DRに制御信号を出力して駆動信号を停止させるように動作するものであって、ゼロ電流検出部ZI及び比較器CPの出力をラッチするラッチ回路(RSフリップフロップ回路)やタイマ回路、ロジック回路等で構成される。而して、スイッチング素子Q11に流れる電流(入力電流)の検出電圧が交流電源ACの電源電圧に追従した誤差信号を超えたときにスイッチング素子Q11をオフするように制御部CTが制御動作を行うことにより、交流電源ACからの入力電圧と入力電流の位相差を減少させて力率が改善できるとともに、負荷変動に対してチョッパ回路1の出力電圧を略一定に保つことができるものである。
一方、図22はインバータ回路3並びにインバータ制御手段4の具体構成の一例を示している。インバータ回路3は、チョッパ回路1の出力端(平滑コンデンサC12の両端)にMOSFETからなる一対のスイッチング素子Q1,Q2が直列接続され、ローサイドのスイッチング素子Q2の両端(ドレイン−ソース間)に負荷回路5が接続されてなる、いわゆるハーフブリッジ型のものである。
また、インバータ制御手段4は、発振周波数が可変である発振回路OSと、発振回路OSから出力される高周波のパルス信号からスイッチング素子Q1,Q2の駆動信号を作成するインバータ駆動回路4aと、交流電源ACが投入されてインバータ制御手段4が動作を開始してからの経過時間を計時するタイマ回路TMとを具備し、タイマ回路TMで計時する経過時間に応じて発振回路OSの発振周波数を調整する。なお、発振回路OSの基準となる発振周波数は外付けの抵抗R16及びコンデンサC13にて設定される。インバータ駆動回路4aは、発振回路OSの出力するパルス信号から、互いに位相が異なり且つ同時にLレベルとなる期間(デッドタイム)を有する2つのパルス信号を生成するデッドタイム設定部DTと、一方のパルス信号をレベルシフトするレベルシフト回路LSと、レベルシフト回路LSでレベルシフトされたパルス信号、並びにデッドタイム設定部DTから出力する他方のパルス信号をそれぞれラッチするRSフリップフロップ回路FF1,FF2と、RSフリップフロップ回路FF1,FF2の出力パルスに応じて駆動信号を作成するドライブ回路DD1,DD2とを備える。而して、インバータ制御手段4により2つのスイッチング素子Q1,Q2を交互に高周波でオン/オフすることでチョッパ回路1の直流電圧を高周波電圧に変換して負荷回路5に供給するものである。
ところで、放電灯、特に熱陰極型の蛍光灯を点灯する放電灯点灯装置においては、消灯状態から始動、点灯に至るまでにフィラメントの予熱を行う先行予熱期間、先行予熱後に高電圧を印加して放電灯を始動する始動期間が設けられ、始動期間経過後に放電灯を定格点灯あるいは調光点灯するタイマ制御が行われることが多く、このためにインバータ制御手段4にタイマ回路TMが設けてある。すなわち、タイマ回路TMの出力に基づいて発振回路OSの発振周波数(インバータ回路3の動作周波数)が変更され、例えば、先行予熱期間では発振周波数を負荷回路5の無負荷共振周波数よりも充分に高い周波数に設定して放電灯への印加電圧を低電圧とし、始動期間には発振周波数を無負荷共振周波数に近い周波数に設定することで放電灯に高電圧を印加して始動するとともに、始動期間終了後は放電灯に定格ランプ電力を供給し得る周波数に設定する。
なお、上述のインバータ制御手段4の機能を実現する制御用ICも多数商品化されており、チョッパ制御手段2の力率改善コントロールIC2aと組み合わせて使用される場合が多い。ここで、従来はインバータ回路3のハイサイドのスイッチング素子Q1を駆動する駆動回路に多数の部品が必要であったが(例えば、特開平10−326682号公報等参照)、上述の制御用ICからなるインバータ制御手段4を用いることで部品点数が削減できるとともに、プリント基板の部品配置やパターン配線が容易になるために放電灯点灯装置の小型化並びにコストダウンが実現できる。
ここで、一般に放電灯点灯装置では、無負荷や寿命末期の状態でインバータ回路の動作が継続すると過大な共振電流が流れて回路部品にストレスがかかるため、ランプ電圧などから無負荷や寿命末期の状態(異常状態)を検出してインバータ回路の動作を停止したり、放電灯への供給電力を低減する制御を行って回路を保護している。また、交流電源の瞬時停電(瞬停)によってインバータ回路の直流入力電圧が低下した場合には、放電灯の安定点灯が維持できなくなって立ち消えを起こす虞があるが、このときに放電灯に印加されている電圧が過大であるために上記回路保護機能がはたらいてしまい、交流電源の復帰後に放電灯が再点灯しないことがあるから、交流電源の瞬停を検出したときにインバータ回路の動作モードを初期のモード(電源投入直後や先行予熱時のモード)にリセットする機能が付加されている。
しかしながら、交流電源の電源電圧が定格電圧から瞬間的に降下するレベル(以下、「瞬時降電圧レベル」と呼ぶ。)によっては、以下のような不具合が発生する。
すなわち、上記リセット機能は、通常、他の機器が動作を開始した場合の過負荷による電源電圧の低下を考慮して、定格電圧の70%程度以下で動作するように設定されている。また、ノイズによる誤動作を考慮して電源電圧の低下がある程度の時間継続した場合に動作するようになっている。
図23(a)は、上記リセット機能を実現する回路(リセット回路)の一例を示し、同図(b)はチョッパ回路1の出力電圧Vch、インバータ回路3の出力電圧Vo、リセット回路の出力電圧Vrsを示している。このリセット回路は、交流電源ACを全波整流する全波整流器DBの脈流出力を分圧抵抗R17,R18で分圧するとともにコンデンサC14で平滑した検出電圧Vrsを出力するものであって、リセット回路から出力する検出電圧Vrsが所定の閾値Vth以下であれば、インバータ制御手段4がインバータ回路3の動作モードを上記初期モード(電源投入直後の動作状態)にリセットする。すなわち、時刻t=t1に交流電源ACの電源電圧が降下したと仮定したとき、それが瞬停のように電源電圧がほぼゼロまで低下したのであれば、図23(b)に一点破線で示すようにリセット回路の検出電圧Vrsが時刻t=t2で閾値(定格電圧の70%程度)Vthを下回ってリセット機能がはたらくが、瞬時降電圧レベルが低い場合には図23(b)に実線で示すようにリセット回路の検出電圧Vrsが閾値Vthを下回るまでの時間(時刻t=t1からt=t3までの時間)が極端に長くなり、しかも、この時間(t=t1〜t3)内ではリセット機能がはたらかないから、チョッパ回路1の出力電圧Vchが徐々に低下して放電灯への供給電力も低下し、結果的にインバータ回路3の出力電圧Voが上昇して共振電流が増大するとともに、インバータ回路3のスイッチング素子Q1,Q2にも進相電流が流れるなどの過大なストレスが印加されるといった課題が発生する。
このような課題を解決することを目的とした放電灯点灯装置が、特許文献1や特許文献2に開示されている。これら2つの特許文献に開示されている放電灯点灯装置では、図24に示すようにチョッパ回路の出力電圧Vchを監視し、出力電圧Vchが閾値Vthc以下に低下したらインバータ回路の動作モードを初期モード(先行予熱時のモード)に戻すことでインバータ回路の出力電圧Voを低下させる第1の出力低下手段が設けられている。尚、第1の出力低下手段における閾値Vthcについては高い値であるほどストレス回避の効果が大きく、定格電圧の80%〜90%に設定することが望ましいとしている。さらに特許文献2に記載のものでは、電源投入後のチョッパ回路の動作開始時および放電灯の点灯直後にチョッパ回路の出力にリプル電圧が発生する時の誤動作を防止するため、電源投入から先行予熱期間、さらに始動期間まで第1の出力低下手段の動作を禁止するようにしている。
特開2003−217883号公報
特開2003−203795号公報
(実施形態1)
図1に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路構成を示す。本実施形態の基本構成は図20に示した従来例とほぼ共通であって、交流電源ACを全波整流する整流器DBと、整流器DBの脈流出力を所望の直流出力に変換する(昇圧)チョッパ回路1と、チョッパ回路1の動作を制御するチョッパ制御手段(図示せず)と、チョッパ回路1の直流出力を高周波出力に変換するインバータ回路3と、インバータ回路3の動作を制御するインバータ制御手段と、1乃至複数のインダクタやコンデンサ(何れも図示せず)にて構成され、インバータ回路3の高周波出力との共振作用によって放電灯6を高周波点灯する負荷回路5とを備える。但し、チョッパ回路1並びにチョッパ制御手段については従来例と共通であるから詳細な構成についての図示並びに動作説明は省略する。
インバータ回路3は、従来例と同様にチョッパ回路1の出力端にMOSFETからなる一対のスイッチング素子Q3,Q4が直列接続され、ローサイドのスイッチング素子Q4の両端(ドレイン−ソース間)に負荷回路5が接続されてなる、いわゆるハーフブリッジ型のものである。
インバータ制御手段は、発振周波数が可変である発振回路を主構成要素とするインバータ制御信号発生回路10と、インバータ制御信号発生回路10から出力される高周波のパルス信号(インバータ制御信号)からスイッチング素子Q3,Q4の駆動信号を作成するドライブ回路11と、交流電源ACが投入されてインバータ制御手段が動作を開始してからの経過時間を計時して先行予熱期間、始動期間、点灯期間の開始を示すトリガ信号を出力するタイマ回路12と、ローサイドのスイッチング素子Q4のソースに接続された検出抵抗R21の両端電圧からスイッチング素子Q4に流れる電流を検出し、その検出値が所望の値となるようにインバータ制御信号発生回路10に対してスイッチング素子Q3,Q4のスイッチング周波数(発振周波数)を変化させるフィードバック回路13とを具備し、タイマ回路12で計時する経過時間に応じてインバータ制御信号発生回路10の発振周波数を調整するものである。
インバータ制御信号発生回路10は集積回路(IC)で構成されており、端子Roとグランドの間に抵抗R24,R25の直列回路が接続され、端子Rsとグランドの間に抵抗R22とコンデンサC15の直列回路が接続され、抵抗R24,R25の接続点と抵抗R22およびコンデンサC15の接続点が抵抗R23を介して接続されるとともに、その接続点に端子Rpが接続されている。端子Roには定電圧が印加されており、インバータ制御信号発生回路10では端子Roを流れる電流が増えるほどインバータ制御信号の周波数(=発振周波数)を高くするように動作する。そして、タイマ回路12から先行予熱期間の開始を示すトリガ信号が入力された場合、インバータ制御信号発生回路10は2つの端子Rs,Rpをグランドに短絡させることで端子RoにR24+(R23×R25)/(R23+R25)の抵抗値Rpfで決まる電流を流して該電流に応じた周波数のインバータ制御信号を出力し、タイマ回路12から始動期間の開始を示すトリガ信号が入力された場合、インバータ制御信号発生回路10は端子Rsをグランドに短絡させるとともに端子Rpをオープンとすることで端子RoにR24+{(R22+R23)×R25}/(R22+R23+R25)の抵抗値Rstで決まる電流を流して該電流に応じた周波数のインバータ制御信号を出力し、タイマ回路12から点灯期間の開始を示すトリガ信号が入力された場合、インバータ制御信号発生回路10は端子Rs,Rpをオープンとすることで端子RoにR24+R25の抵抗値Ronで決まる電流を流して該電流に応じた周波数のインバータ制御信号を出力する。すなわち、各期間における抵抗値Rpf,Rst,RonにはRon<Rst<Rpfの関係が成立し、先行予熱期間では発振周波数を負荷回路5の無負荷共振周波数よりも充分に高い周波数に設定して放電灯6への印加電圧を低電圧とし、始動期間には発振周波数を無負荷共振周波数に近い周波数に下降させて放電灯6に高電圧を印加して始動するとともに、始動期間終了後の点灯期間では放電灯6を安定点灯し得る周波数に設定している。ここで、タイマ回路12から点灯期間の開始を示すトリガ信号が入力されてインバータ制御信号発生回路10で端子Rsをオープンにすると、抵抗R24,R23を介してコンデンサC15が充電されるから、端子Roに流れる電流が抵抗R24,R23およびコンデンサC15の値で決まる時定数に応じて徐々に減少することになり、結果的にインバータ制御信号発生回路10が出力するインバータ制御信号の周波数が連続的に低下することになる。なお、このように始動期間から点灯期間に移行する過程でインバータ回路3の発振周波数を連続的に低下させる期間を「スイープ期間」と呼ぶことにする。
フィードバック回路13は、非反転入力端子に基準電圧Vrefが入力され、反転入力端子に入力抵抗R28を介して検出抵抗R21の両端電圧(検出電圧)が入力されるオペアンプOP1を備え、オペアンプOP1の反転入力端子と出力端子との間に帰還抵抗R27とコンデンサC16が互いに並列接続され、オペアンプOP1の出力端子がスイッチSWを有するフィードバックマスク回路13aを介してダイオードD12のカソードに接続され、さらにダイオードD12のアノードが抵抗R26を介して端子Roとグランド間に接続された抵抗R24,R25の接続点に接続されて構成されている。すなわち、インバータ回路3のスイッチング素子Q3,Q4に流れる電流が負荷電力に略比例することを利用し、負荷が大きくなって検出抵抗R21の検出電圧が上昇するとオペアンプOP1の出力電圧に負帰還がかかって低下し、抵抗R26およびダイオードD12を介して端子Roの電流を増加させることでインバータ回路3の発振周波数を上昇させ、負荷での消費電力を抑制させるようにフィードバック回路13が動作することになる。但し、タイマ回路12から点灯期間の開始を示すトリガ信号が出力されるまで、すなわち、先行予熱期間および始動期間においてはフィードバックマスク回路13aのスイッチSWがオフすることでフィードバック回路13のフィードバック制御が禁止(マスク)されている。
また本実施形態では、チョッパ回路1の出力電圧Vchを検出し、その検出値が第一の閾値以下まで低下した場合にインバータ回路3の動作状態を点灯状態から先行予熱状態若しくは始動状態へリセットすることでインバータ回路3の出力を低下させる第一の出力低下手段と、放電灯6の異常を検出したときにインバータ回路3の出力を低下させる第二の出力低下手段と、第一の出力低下手段の動作を禁止する第一のマスク回路と、第二の出力低下手段の動作を禁止する第二のマスク回路とが設けられている。
第一の出力低下手段は、チョッパ回路1の出力電圧Vchを検出するチョッパ出力電圧検出回路21と、チョッパ出力電圧検出回路21で検出された検出値Vxを所定の閾値Vthxと比較し、検出値Vxが閾値Vthx以下であればタイマ回路12に対して出力低減信号を出力する出力低減切替回路20とで構成され、出力低減信号を受けたタイマ回路12が経過時間の計時をリセットして先行予熱期間の開始を示すトリガ信号をインバータ制御信号発生回路10に出力することでインバータ回路3の動作が先行予熱状態(先行予熱期間)にリセットされるものである。また、第一のマスク回路22は、タイマ回路12から先行予熱期間の開始を示すトリガ信号が出力された時点より、点灯期間の開始を示すトリガ信号が出力された後にスイープ期間が終了する時点まで出力低減切替回路20が出力低減信号を出力するのを禁止するものである。
第二の出力低下手段は、放電灯6の状態を表す物理量として放電灯6の両端電圧(以下、「ランプ電圧」と呼ぶ)のピーク値を検出する放電灯異常検出回路30と、放電灯異常検出回路30で検出される検出値Vaが所定の閾値Vthaを超えたときに出力低下信号を出力する出力低下信号発生回路31と、出力低下信号発生回路31より出力低下信号を受け取ったときにインバータ制御信号発生回路10に対して出力切替信号を出力してインバータ回路3の出力を低下させる出力切替回路32とで構成され、出力切替信号を受けたインバータ制御信号発生回路10がドライブ回路11に対してスイッチング素子Q3,Q4の駆動を停止させる停止信号を出力することでインバータ回路3を停止するものである。また、第二のマスク回路40は、タイマ回路12から先行予熱期間の開始を示すトリガ信号が出力された時点より、点灯期間の開始を示すトリガ信号が出力された時点まで出力低下信号発生回路31が出力低下信号を出力するのを禁止するものである。
次に、図2の波形図を参照して本実施形態の動作を説明する。尚、図2において(a)はチョッパ出力電圧検出回路21で検出されたチョッパ回路1の出力電圧検出値Vx、(b)はインバータ回路3の出力電圧Vo、(c)はインバータ回路3の発振周波数f、(d)は放電灯異常検出回路30で検出される検出値Vaをそれぞれ示している。
いま、時刻t=0で交流電源ACの電源が投入されたとすると、タイマ回路12が経過時間の計時を開始し、時刻t=t1で先行予熱期間の開始を示すトリガ信号をインバータ制御信号発生回路10に出力する。インバータ制御信号発生回路10では先行予熱期間に対応した周波数のインバータ制御信号をドライブ回路11に出力し、ドライブ回路11がスイッチング素子Q3,Q4を駆動してインバータ制御信号の周波数に一致した発振周波数(先行予熱周波数)f1でインバータ回路3を動作させて放電灯6のフィラメントに予熱電流を供給する。時刻t=t2になるとタイマ回路12が始動期間の開始を示すトリガ信号をインバータ制御信号発生回路10に出力し、インバータ制御信号発生回路10が始動期間に対応した周波数のインバータ制御信号をドライブ回路11に出力し、ドライブ回路11がスイッチング素子Q3,Q4を駆動してインバータ制御信号の周波数に一致した発振周波数(始動周波数)f2でインバータ回路3を動作させて放電灯6に高電圧(始動電圧)を印加して始動させる。尚、放電灯6が始動するとインバータ回路3の出力電圧Voは先行予熱期間よりも低下する(図2(b)参照)。
そして、時刻t=t3になるとタイマ回路12が点灯期間の開始を示すトリガ信号をインバータ制御信号発生回路10に出力し、インバータ制御信号発生回路10が点灯期間に対応した周波数のインバータ制御信号をドライブ回路11に出力し、ドライブ回路11がスイッチング素子Q3,Q4を駆動してインバータ制御信号の周波数に一致した発振周波数(点灯周波数)f3でインバータ回路3を動作させる。図示例では放電灯6を定格点灯させており、始動周波数f2と点灯周波数f3との差が比較的小さくなっている(図2(c)参照)。既に説明したように、タイマ回路12から点灯期間の開始を示すトリガ信号が入力されるとインバータ制御信号発生回路10の端子Roに流れる電流が抵抗R24,R23およびコンデンサC15の値で決まる時定数に応じて徐々に減少するためにインバータ制御信号の周波数が連続的に低下し、インバータ回路3の発振周波数fが始動周波数f2から点灯周波数f3に向かって連続的に低下する。そして、コンデンサC15の充電が完了する時刻t=t4になるとスイープ期間が終了し、インバータ回路3の発振周波数fが点灯周波数f3となって放電灯6が安定点灯する。
一方、タイマ回路12から点灯期間の開始を示すトリガ信号が出力された時点で第二のマスク回路40は出力低下信号発生回路31が出力低下信号を出力するのを許可するとともにフィードバックマスク回路13aがスイッチSWをオンすることでフィードバック回路13にフィードバック制御動作を許可し、その後、スイープ期間が終了した時点(時刻t=t4)で第一のマスク回路22は出力低減切替回路20が出力低減信号を出力するのを許可する。尚、図2(a)および(d)において矢印で示した期間(時刻t=t1〜t4およびt1〜t3)はそれぞれ第一のマスク回路22が出力低減切替回路20の出力低減信号出力を禁止する期間(第一の禁止期間)、第二のマスク回路40が出力低下信号発生回路31の出力低下信号出力を禁止する期間(第二の禁止期間)をそれぞれ示している。
ここで、フィードバック回路13によって点灯時の発振周波数fをフィードバック制御しない場合において、インバータ回路3の動作状態が始動状態から点灯状態に移行したときの放電灯6の消費電力はランプ電圧に応じて比較的低い値から点灯状態における安定値まで上昇していくが、フィードバック回路13によるフィードバック制御が行われた場合には始動状態から点灯状態に移行する際に点灯状態における安定値まで一気に変化させるため、始動周波数f2に比べて点灯周波数f3が低いことから放電灯6に流れる電流が増加し、チョッパ回路1の出力電圧Vchに生じるリプルも増加する傾向になる。しかしながら、上述のように始動期間から点灯期間への移行時にスイープ期間を設けたことにより、放電灯6の消費電力が急激に変動することを抑えてチョッパ回路1の出力電圧Vchに生じるリプルを抑制することができる。
而して、本実施形態によれば、上述のようにチョッパ回路1の出力電圧Vchに生じるリプルを抑制することができるとともに、第一のマスク回路22が、先行予熱状態からスイープ期間の完了まで第一の出力低下手段の動作を禁止しているから、チョッパ回路1の出力電圧Vchに生じたリプルで第一の出力低下手段が誤動作するのを防止でき、さらに、第二のマスク回路40が、先行予熱状態から始動状態を経てスイープ期間が完了するまでの期間で第二の出力低下手段の動作を禁止するとともに第一のマスク回路22が第一の出力低下手段の動作を許可するよりも先に第二の出力低下手段の動作を許可するようにしているから、放電灯6の寿命末期時等で負荷での消費電力が過大となる場合にチョッパ回路1の出力電圧Vchが低下して第一の出力低下手段の出力低下動作によりインバータ回路3が先行予熱状態、始動状態、先行予熱状態、…と繰り返されるのを防止し、回路部品等への過剰なストレス印加による不具合の発生を防止できるものである。
尚、本実施形態ではスイープ手段としてコンデンサC15を用いたが、集積回路で構成されたインバータ制御信号発生回路10内でスイープ手段を構成すれば、より正確に第一のマスク回路22の動作タイミングを設定することが可能である。
(実施形態2)
図3に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路構成を示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、放電灯6のフィラメントに予熱電流を供給する予熱回路50と、予熱回路50を制御して予熱電流を調整する予熱制御回路51とを設け、予熱制御回路51が、インバータ回路3の動作状態が先行予熱状態から始動状態の終了までは予熱電流を供給させ、始動状態の終了後は予熱電流を抑制させるように予熱回路50を制御するようにしている。予熱回路50は、ローサイドのスイッチング素子Q4および検出抵抗R21と並列にコンデンサC17、トランスT1の一次巻線、MOSFETからなるスイッチング素子Q5の直列回路が接続され、トランスT1に設けられた一対の二次巻線が放電灯6の各フィラメントに接続されて構成される。また予熱制御回路51は、先行予熱期間並びに始動期間で予熱回路50のスイッチング素子Q5をオンすることでインバータ回路3の動作状態が先行予熱状態から始動状態の終了までは予熱回路50から予熱電流を供給させ、点灯期間ではスイッチング素子Q5をオフすることでトランスT1の一次側電流を極端に抑制し、二次側への供給電力を低減することで予熱電流を抑制させており、放電灯6の点灯時におけるフィラメントでの電力消費を低減することができる。ここで、予熱制御回路51がスイッチング素子Q5をオフするタイミングについては放電灯6が十分なアーク放電に移行した後であればよく、また、フィードバック回路13が動作を開始するまでにオフすることが望ましいため、始動期間の終了時としている。すなわち、スイッチング素子Q5がオンしている状態でフィードバック回路13が動作をする場合はスイッチング素子Q5を流れる電流が負荷回路5の共振電流に加わり、検出抵抗R21による検出電圧が増加してフィードバック回路13がインバータ回路3の高周波出力を低下させる方向へフィードバック制御してしまい、放電灯6が立ち消えするなどの問題が発生する虞があるためである。
図4は本実施形態の動作を説明するための波形図であり、図2と同様に(a)はチョッパ出力電圧検出回路21で検出されたチョッパ回路1の出力電圧検出値Vx、(b)はインバータ回路3の出力電圧Vo、(c)はインバータ回路3の発振周波数f、(d)は放電灯異常検出回路30で検出される検出値Vaをそれぞれ示している。但し、基本的な動作は実施形態1と共通であるから説明は省略する。
本実施形態が実施形態1と異なる点は、図4(d)に示すように出力低下信号発生回路31が第一の閾値Vtha1と第一の閾値Vtha1よりも大きい第二の閾値Vtha2とを有し、第二のマスク回路40から出力低下信号の出力が許可された後、スイープ期間が終了するまでの期間だけ閾値を第二の閾値Vtha2とし、他の期間には閾値を第一の閾値Vtha1とする点にある。
すなわち、スイープ期間では第一のマスク回路22によって出力低減切替回路20が出力低減信号を出力するのを禁止されているため、交流電源ACに瞬停や瞬間的な電圧低下が発生してチョッパ回路1の出力電圧Vchが低下しても第一の出力低下手段によってインバータ回路3が先行予熱状態にリセットされることがなく、チョッパ回路1の出力電圧Vchの低下に伴ってインバータ回路3の出力も減少して放電灯6のランプ電圧が上昇することになる。しかも、スイープ期間では予熱回路50のスイッチング素子Q5がオフ状態であるために放電灯6での消費電力が減少するとランプ電圧がさらに上昇することになる。したがって、スイープ期間に上述のような交流電源ACに瞬停や瞬間的な電圧低下が発生すると、ランプ電圧の上昇によって第二の出力低下手段(放電灯異常検出回路30、出力低下信号発生回路31、出力切替回路32)が動作してインバータ回路3の動作を停止してしまい、交流電源ACが復帰した後もインバータ回路3が再起動せずに放電灯6が再点灯しない状態(不点灯状態)となる虞がある。
一方、スイープ期間においてはインバータ回路3の発振周波数fが比較的高い値であるから、出力低下信号発生回路31における閾値を他の期間における閾値(第一の閾値Vtha1)より大きくしてもスイッチング素子Q3,Q4などへ印加されるストレスが比較的小さい状態にあるから、スイープ期間においてのみ出力低下信号発生回路31の閾値を相対的に大きい第二の閾値Vtha2に変更することによって、第二の出力低下手段によるインバータ回路3の動作停止を回避して交流電源ACの復帰後における不具合(電源復帰後の放電灯6の不点灯)の発生を防ぐことができる。
(実施形態3)
図5に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路構成を示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、放電灯6のランプ電圧のピーク・ツウ・ピーク値を検出する第一の放電灯異常検出回路30Aと、ランプ電圧に含まれる直流成分を検出する第二の放電灯異常検出回路30Bと、第一の放電灯異常検出回路30Aで検出される検出値Va1が所定の閾値Vtha1を超えたときに第一の出力低下信号を出力する第一の出力低下信号発生回路31Aと、第二の放電灯異常検出回路30Bで検出される検出値Va2が所定の閾値Vtha2を超えたときに第二の出力低下信号を出力する第二の出力低下信号発生回路31Bと、第一の出力低下信号と第二の出力低下信号の論理和を演算して第一又は第二の出力低下信号の少なくとも何れか一方が出力されていれば、出力切替回路32に対して出力低下信号を出力するオアゲート33とが第二の出力低下手段に設けてある。
第一の放電灯異常検出回路30Aは、ランプ電圧を分圧する分圧抵抗R29,R30と、分圧抵抗R29,R30の接続点に一端が接続されたコンデンサC19と、コンデンサC19の他端にカソードが接続されるとともにアノードがグランドに接続されたダイオードD14と、ダイオードD12のカソードにアノードが接続されたダイオードD13と、ダイオードD13のカソードとグランドの間に挿入された抵抗R31とコンデンサC18の並列回路とで構成され、ランプ電圧のピーク・ツウ・ピーク値に対応した検出電圧Va1をコンデンサC18の両端から出力するものである。
一方、第二の放電灯異常検出回路30Bは、ランプ電圧を積分する抵抗R33およびコンデンサC20の積分回路と、コンデンサC20の一端にアノードが接続されたダイオードD15と、ダイオードD15のカソードとグランドの間に挿入された抵抗R34と、アノードがダイオードD15のアノードに接続されるとともにカソードがpnp型のバイポーラトランジスタ(以下、「トランジスタ」と略す)Q6のベースに接続されたツェナーダイオードZD1と、トランジスタのコレクタとダイオードD15のカソードの間に挿入された抵抗R32と、トランジスタQ6のエミッタ−ベース間に並列接続されたコンデンサC21および抵抗R35とを備え、トランジスタQ6のコレクタに基準電圧Vref2が印加されて構成されている。積分回路のコンデンサC20の両端にはランプ電圧に含まれる直流成分に応じた電圧が発生し、正常な放電灯6が点灯しているときのランプ電圧には直流成分がほとんど含まれないため、コンデンサC20の両端電圧は略0Vとなる。そして、フィラメントのエミッタが消耗して放電灯6に半波放電が生じた場合、半波放電による直流成分がグランドに対して正電位であれば、コンデンサC20の両端に直流成分に応じた直流電圧が発生し、その直流電圧を抵抗R33、R34、ダイオードD15で分圧した検出電圧Va2が第二の出力低下信号発生回路31Bに出力される。また、半波放電による直流成分がグランドに対して負電位であれば、コンデンサC20の両端電圧が増加して基準電圧Vref2とツェナーダイオードZD1のツェナー電圧Vzdの差分(=Vref2−Vzd)を超えて抵抗R33,R35で分圧された電圧がトランジスタQ6のベース・エミッタ間電圧Vbe以上になるとトランジスタQ6がオンし、基準電圧Vref2を抵抗R32,R34で分圧した検出電圧Va2が第二の出力低下信号発生回路31Bに出力される。
第一の出力低下信号発生回路31Aは、第一の放電灯異常検出回路30Aから出力される検出電圧Va1を所定の閾値Vthaと比較し、検出電圧Va1が閾値Vtha以上のときに第一の出力低下信号をオアゲート33に出力する。また第二の出力低下信号発生回路31Bは、第二の放電灯異常検出回路30Bから出力される検出電圧Va2を第一又は第二の閾値Vtha1,Vtha2(>Vtha1)と比較し、検出電圧Va1が閾値Vtha1,Vtha2以上のときに第二の出力低下信号をオアゲート33に出力する。尚、第一及び第二の出力低下信号発生回路31A,31Bは何れも始動期間が終了するまで第二のマスク回路40によって出力低信号の出力が禁止されている。さらに、第二の出力低下信号発生回路31Bでは、第二のマスク回路40から出力低下信号の出力が許可された後、スイープ期間が終了するまでの期間だけ閾値を第二の閾値Vtha2とし、他の期間には閾値を第一の閾値Vtha1としている。
図6は本実施形態の動作を説明するための波形図であり、図2や図4と同様に(a)はチョッパ出力電圧検出回路21で検出されたチョッパ回路1の出力電圧検出値Vx、(b)はインバータ回路3の出力電圧Vo、(c)はインバータ回路3の発振周波数f、(d)は第一の放電灯異常検出回路30Aで検出される検出値Va1、(e)は第二の放電灯異常検出回路30Bで検出される検出値Va2をそれぞれ示している。但し、基本的な動作は実施形態2と共通であるから説明は省略する。
ここで、タイマ回路12から点灯期間の開始を示すトリガ信号が出力されたときの動作について説明する。始動期間には予熱回路50のスイッチング素子Q5がオンしているために放電灯6のフィラメントには十分な予熱電流が供給されており、始動期間が終了してスイッチング素子Q5がオフすると予熱電流が急激に抑制される。このとき、フィラメントのスポット(輝点)が不安定となり、スポットが安定するまでランプ電圧に直流成分が発生する場合があるが、この直流成分はスポットの安定後に消失するものであるから第二の放電灯異常検出回路30Bで検出することは望ましくない。本実施形態では、スイープ期間においてのみ第二の出力低下信号発生回路31Bの閾値を相対的に大きい第二の閾値Vtha2に変更しているため、上述のようにスイープ期間においてスポットが不安定な状態で生じる直流成分を誤検出することが防止できるものである。
上述のように本実施形態では、実施形態2に対して、ランプ電圧に含まれる直流成分を検出する第二の放電灯異常検出回路30Bと、第二の放電灯異常検出回路30Bで検出される検出値Va2が所定の閾値Vtha2を超えたときに第二の出力低下信号を出力する第二の出力低下信号発生回路31Bと、第一の出力低下信号と第二の出力低下信号の論理和を演算して第一又は第二の出力低下信号の少なくとも何れか一方が出力されていれば、出力切替回路32に対して出力低下信号を出力するオアゲート33とを第二の出力低下手段に設けているため、放電灯6の寿命末期状態(フィラメントのエミレス状態)を確実に検出してインバータ回路3を停止することができ、放電灯点灯装置の安全性が向上できるものである。
(実施形態4)
図7に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路構成を示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態2と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、インバータ制御信号発生回路10、ドライブ回路11、タイマ回路12、フィードバック回路13の一部(抵抗R27,R28及びコンデンサC16を除く部分)、出力低減切替回路20、第1のマスク回路22、出力低下信号発生回路31、出力切替回路32、第2のマスク回路40、予熱制御回路51が一つの集積回路IC1として構成され、インバータ制御信号発生回路10に接続する3つの端子Rp,Rs,Roに抵抗R22〜R25が接続されている。但し、実施形態2において抵抗R23,R25に接続されていたコンデンサC15は、集積回路IC1に設けられたスイープ制御用の端子Tsとグランドの間に接続されている。
図8(a)にインバータ制御信号発生回路10の具体的な回路構成図を示す。インバータ制御信号発生回路10は、タイマ回路12並びにスイープ回路14の出力に応じてインバータ回路3の発振周波数fを決定する点灯周波数設定回路42と、タイマ回路12からの出力に応じてオン・オフする3つの制御用スイッチ素子SW11,SW12,SW13と、制御用スイッチ素子SW11,SW12,SW13のオン・オフ動作によって点灯周波数設定回路42からの信号に応じたインバータ制御信号を生成する信号変換回路45と、外付けのコンデンサC15とともスイープ手段を構成するスイープ回路14とを備え、集積回路IC1に含まれる基準電源回路46で作成される安定した基準電源が動作電源として各回路42,45,14に供給されている。なお、本実施形態では点灯周波数設定回路42と信号変換回路45とで周波数設定部が構成されている。
点灯周波数設定回路42は、主にオペアンプOP2と、オペアンプOP2の出力端に抵抗を介してベースが接続されるnpn型のバイポーラトランジスタ(以下、トランジスタという。)Q7とを具備し、トランジスタQ7のエミッタが端子Roを介して外付けの抵抗R24,R25に直列接続されることでバッファ回路を構成しており、オペアンプOP2の非反転入力端子に入力するスイープ回路14の出力信号に略等しい電圧をトランジスタQ7のエミッタ側に発生するものである。
信号変換回路45は、点灯周波数設定回路42の出力電流(端子Roに流れる電流)を所定比で変換するミラー回路M1,M2,M3と、外付けのコンデンサCplsの両端電圧とトランスファゲート回路で設定されるしきい値Vth1又はVth2とを比較する比較器CP1と、比較器CP1の出力信号に応じてオン・オフする制御用スイッチ素子SW1とを備え、制御用スイッチ素子SW1がオフの場合はミラー回路M3へシンクされる一定電流でコンデンサCplsを放電し、制御用スイッチ素子SW1がオンの場合はミラー回路M2からソースされる一定電流からミラー回路M3へシンクされる一定電流を減じた電流でコンデンサCplsを充電するものである。すなわち、信号変換回路45では、比較器CP1の出力に応じて、周期的にコンデンサCplsの充放電を切り替えるとともに充放電周期に等しい周期信号(インバータ制御信号)をドライブ回路11へ出力する。
制御用スイッチ素子SW11はトランジスタQ7のベースとグランドとの間に接続され、タイマ回路12の第1の出力信号Vt1によってオン・オフされる。また制御用スイッチ素子SW12は端子Rsとグランドとの間に接続され、タイマ回路12の第2の出力信号Vt2によってオン・オフされる。さらに制御用スイッチ素子SW13は端子Rpとグランドとの間に接続され、タイマ回路12の第3の出力信号Vt3によってオン・オフされる。
次に、インバータ制御信号発生回路10の動作について説明する。電源が投入されてから先行予熱期間が開始するまではタイマ回路12の第1の出力信号Vt1がHレベルとなって制御用スイッチ素子SW11がオンしており、トランジスタQ7のベースに電流が供給されないために点灯周波数設定回路42の出力電流及び出力電圧が略ゼロとなってミラー回路M1,M2,M3に流れる電流がゼロとなり、コンデンサCplsの充放電が行われないためにインバータ制御信号発生回路10からインバータ制御信号が出力されず、その結果、インバータ回路3が停止した状態に保たれることになる。
先行予熱期間が開始すると、タイマ回路12が第1の出力信号Vt1をLレベルとし、第2及び第3の出力信号Vt2,Vt3をHレベルとしてインバータ制御信号発生回路10の制御用スイッチ素子SW11をオフするとともに制御用スイッチ素子SW12,SW13を双方ともオンする。制御用スイッチ素子SW11がオフ、制御用スイッチ素子SW12,SW13がオンすれば、スイープ回路14から点灯周波数設定回路42に入力する直流電圧信号に略等しい電圧が点灯周波数設定回路42(トランジスタQ7のエミッタ)から出力される。また、このときに集積回路IC1(インバータ制御信号発生回路10)の2つの端子Rs,Rpがグランドに接続されて端子RoにR24+(R23×R25)/(R23+R25)の抵抗値Rpfで決まる電流が流れ、この電流が点灯周波数設定回路42の出力電流となる。また、始動期間が開始すると、タイマ回路12が第1及び第3の出力信号Vt1,Vt3を双方ともLレベルとし、第2の出力信号Vt2をHレベルとしてインバータ制御信号発生回路10の制御用スイッチ素子SW11,SW13をオフするとともに制御用スイッチ素子SW12をオンする。制御用スイッチ素子SW11,SW13がオフ、制御用スイッチ素子SW12がオンすれば、スイープ回路14から点灯周波数設定回路42に入力する直流電圧信号に略等しい電圧が点灯周波数設定回路42から出力される。また、このときに集積回路IC1の端子Rsがグランドに接続されるとともに端子Rpがオープンとなることで端子RoにR24+{(R22+R23)×R25}/(R22+R23+R25)の抵抗値Rstで決まる出力電流が流れる。さらに、点灯期間が開始すると、タイマ回路12が第1〜第3の出力信号Vt1〜Vt3を全てLレベルとしてインバータ制御信号発生回路10の制御用スイッチ素子SW11〜SW13を全てオフする。制御用スイッチ素子SW11〜SW13が全てオフすれば、スイープ回路14から点灯周波数設定回路42に入力する直流電圧信号に略等しい電圧が点灯周波数設定回路42から出力される。また、このときに集積回路IC1の端子Rs,Rpがオープンとなることで端子RoにR24+R25の抵抗値Ronで決まる電流が流れる。つまり、実施形態2で説明したように、先行予熱期間、始動期間、点灯期間の各期間における抵抗値Rpf,Rst,RonにはRon<Rst<Rpfの関係が成立する。
而して、点灯周波数設定回路42の出力電流、すなわち、集積回路IC1の端子Roから流れる電流が信号変換回路45のミラー回路M1を介して他のミラー回路M2,M3に伝達され、この電流によって外付けのコンデンサCplsが充放電される。コンデンサCplsの両端電圧が、比較器CP1においてトランスファゲート回路で設定されるしきい値Vth1又はVth2と比較され、比較器CP1の出力信号に応じて制御用スイッチ素子SW1がオン・オフされる。そして、制御用スイッチ素子SW1がオフであればミラー回路M3へシンクされる一定電流でコンデンサCplsが放電され、制御用スイッチ素子SW1がオンであればミラー回路M2からソースされる一定電流からミラー回路M3へシンクされる一定電流を減じた電流でコンデンサCplsが充電される。すなわち、信号変換回路45により、比較器CP1の出力に応じて、周期的にコンデンサCplsの充放電が切り替えられるとともに充放電周期に等しい周期信号(インバータ制御信号)がドライブ回路11へ出力される。ここで、コンデンサCplsの充放電電流は点灯周波数設定回路42の出力電流によって決まり、先行予熱期間の出力電流>始動期間の出力電流>点灯期間の出力電流の関係が成立するから、先行予熱期間ではインバータ回路3の発振周波数fを負荷回路5の無負荷共振周波数よりも充分に高い周波数に設定して放電灯6への印加電圧を低電圧とし、始動期間には発振周波数fを無負荷共振周波数に近い周波数に下降させて放電灯6に高電圧を印加して始動するとともに、始動期間終了後の点灯期間では放電灯6を安定点灯し得る発振周波数(始動期間の発振周波数よりも低い周波数)に設定することができる。
一方、スイープ回路14は、図8(b)に示すように主に3つの定電流源iref1、iref2、iref3、2つのバイポーラトランジスタ(以下、トランジスタと略す。)Q8,Q9、ミラー回路M4、比較器CP2、制御用スイッチ素子SW15、トランスファゲート回路、分圧回路64などで構成される。基準電源回路46から供給される基準電源電圧が分圧回路64で分圧されて互いに異なる2つのしきい値電圧VthA,VthB(VthB<VthA)が生成されており、一方のしきい値電圧VthAがpnp型のトランジスタQ9のベースに入力され、他方のしきい値電圧VthBが比較器CP2の非反転入力端子に入力されている。トランジスタQ9のエミッタには抵抗を介してnpn型のトランジスタQ8のベース並びに定電流源iref1が接続されているので、トランジスタQ8のエミッタ電圧とトランジスタQ9のベースに印加されるしきい値電圧VthAとが略等しくなる。トランジスタQ8のエミッタには端子Tsを介して外付けのコンデンサC15が接続されるとともに比較器CP2の反転入力端子とミラー回路M4が接続されているため、コンデンサC15がしきい値電圧VthAに略等しい電圧まで充電される。比較器CP2ではコンデンサC15の両端電圧をしきい値電圧VthBと比較しており、コンデンサC15の両端電圧がしきい値電圧VthBよりも高いときにLレベル、コンデンサC15の両端電圧がしきい値電圧VthBよりも低いときにHレベルの信号をトランスファゲート回路に出力する。また、タイマ回路12の第2の出力信号Vt2を反転させた信号によってオン・オフする制御用スイッチ素子SW15がトランジスタQ8のベースとグランドとの間に接続されている。制御用スイッチ素子SW15がオフのときはトランジスタQ8を介して外付けのコンデンサC15が充電され、制御用スイッチ素子SW15がオンのときはトランジスタQ8が動作しないから外付けのコンデンサC15が充電されず、その両端電圧がほぼ0[V]となる。
図9はスイープ回路14の動作を説明するための波形図である。既に説明したようにタイマ回路12の第2の出力信号Vt2は先行予熱期間(t=t1〜t2)並びに始動期間(t=t2〜t3)においてHレベル、点灯期間(t=t3〜)においてLレベルとなり(図9(a)参照)、第2の出力信号Vt2を反転した信号が制御用スイッチ素子SW15のゲートに入力されているため、先行予熱期間並びに始動期間で制御用スイッチ素子SW15がオフとなり、点灯期間で制御用スイッチ素子SW15がオンとなる(図9(b)参照)。つまり、先行予熱期間並びに始動期間においては制御用スイッチ素子SW15がオフであるからトランジスタQ8を介して外付けのコンデンサC15が充電され、コンデンサC15の両端電圧がしきい値VthBよりも高くなる(図9(c)参照)。したがって、比較器CP2の出力がLレベルとなるためにトランスファゲート回路からはコンデンサC15の両端電圧に略等しい一定電圧が点灯周波数設定回路42に出力される(図9(d)参照)。そして、始動期間が終了した時点(t=t3)で第2の出力信号Vt2がLレベルになると(図9(a)参照)、制御用スイッチ素子SW15がオンとなってトランジスタQ8のベースに電流が供給されなくなり(図9(b)参照)、外付けのコンデンサC15の充電電荷がミラー回路M4によって決まる定電流により放電され、その両端電圧がほぼ一定の傾きで低下する(図9(c)参照)。したがって、点灯周波数設定回路42に出力される電圧もコンデンサC15の両端電圧と同じ傾きで低下し、その両端電圧がしきい値VthBを下回ったとき(t=t4)に比較器CP2の出力がHレベルに切り替わるためにトランスファゲート回路からはしきい値VthBに略等しい一定電圧が点灯周波数設定回路42に出力される(図9(d)参照)。すなわち、点灯期間が開始した時点(t=t3)から所定の期間(t=t3〜t4)ではスイープ回路14の出力が一定の傾きで低下するためにインバータ制御信号発生回路10からドライブ回路11に出力されるインバータ制御信号の周波数も同様に一定の傾きで下降することになり、スイープ回路14によってインバータ回路3の発振周波数を連続的に低下させるスイープ期間を設定することができる。
而して、本実施形態では定電流源iref1〜iref3を有し集積回路IC1内で構成されるスイープ回路14と外付けのコンデンサC15とでスイープ手段を構成しているため、コンデンサC15のみでスイープ手段を構成している実施形態2に比べて、より正確に第一のマスク回路22の動作タイミングを設定することが可能となる。なお、本実施形態ではコンデンサC15の放電電流を利用してインバータ制御信号を連続的に下降させるようにしているが、コンデンサC15の充電電流を利用しても構わない。また、チョッパ回路1のチョッパ制御手段も集積回路で構成可能であるから、インバータ制御信号発生回路10等とともに集積回路IC1に含むようにしても構わない。
(実施形態5)
図10に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路構成を示し、図11に本実施形態におけるインバータ制御信号発生回路10の具体的な回路構成を示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態4と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態は、コンデンサC15の代わりにスイープ信号生成回路15を集積回路IC1に外付けした点が実施形態4と異なる。スイープ信号生成回路15は、図12(b)に示すように先行予熱期間(t=t1〜t2)並びに始動期間(t=t2〜t3)においてはしきい値VthBよりも高い一定レベルであり、点灯期間(t=t3〜)においては一定の傾きでレベルが低下する電圧信号(スイープ信号)を出力するものである。なお、スイープ信号生成回路15の具体的な回路構成は、図12(b)に示す波形の出力信号が得られるものであれば特にどのようなものであってもよく、例えば、マイコンで構成すれば高い精度の信号を出力することが可能となる。
而して、スイープ信号生成回路15から出力されるスイープ信号がスイープ回路14の比較器CP2の反転入力端子に入力されているので、実施形態4で説明したように点灯周波数設定回路42に出力される電圧がスイープ信号と同じ傾きで低下し、その両端電圧がしきい値VthBを下回ったとき(t=t4)に比較器CP2の出力がHレベルに切り替わるためにトランスファゲート回路からはしきい値VthBに略等しい一定電圧が点灯周波数設定回路42に出力される(図12(b)参照)。すなわち、点灯期間が開始した時点(t=t3)から所定の期間(t=t3〜t4)では、スイープ信号によってスイープ回路14の出力が一定の傾きで低下し、インバータ制御信号発生回路10からドライブ回路11に出力されるインバータ制御信号の周波数も同様に一定の傾きで下降するため、スイープ信号によってスイープ期間を設定することができる。なお、本実施形態ではスイープ回路14の構成を実施形態4と共通としたが、スイープ信号に対して図12(c)に示すような信号を出力できるものであれば、他の回路構成であっても構わない。
(実施形態6)
図13に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路構成を示し、図14に本実施形態におけるタイマ回路12の具体的な回路構成を示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態4と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、実施形態4と同様に集積回路IC1の端子Tsに外付けのコンデンサC15が接続され、この端子Tsにインバータ制御信号発生回路10だけでなくタイマ回路12が接続されている。
タイマ回路12は、タイマ周期設定回路411と、タイマ発振回路412と、RSフリップフロップ回路FFとを備えている。タイマ周期設定回路411は、主にオペアンプOP3と、オペアンプOP3の出力端に抵抗を介してベースが接続されるnpn型のバイポーラトランジスタ(以下、トランジスタという。)と、トランジスタのエミッタとグランドとの間に接続された抵抗Rtimとを具備したバッファ回路を構成しており、基準電源回路46の出力電圧(基準電圧)を分圧抵抗で分圧した電圧に略等しい電圧をトランジスタのエミッタ側に発生するものである。
またタイマ発振回路412は、タイマ周期設定回路411の出力電流(抵抗Rtimに流れる電流)を所定比で変換するミラー回路M4,M5,M6と、外付けのコンデンサC15の両端電圧とトランスファゲート回路TG1で設定されるしきい値Vths又はVthoとを比較する比較器CP3と、外付けのコンデンサC15の両端電圧とトランスファゲート回路TG2で設定されるしきい値Vthp又は0Vとを比較する比較器CP4と、比較器CP3の出力信号に応じてオン・オフする制御用スイッチ素子SW8とを備える。比較器CP3は、コンデンサC15の両端電圧が反転入力端子に入力されるとともに一方のトランスファゲート回路TG1から選択的に出力されるしきい値Vths又はVthoが非反転入力端子に入力され、コンデンサC15の両端電圧がしきい値Vths又はVthoよりも高ければLレベル、コンデンサC15の両端電圧がしきい値Vths又はVthoよりも低ければHレベルの信号を出力する。比較器CP3の出力がLレベルとなって制御用スイッチ素子SW8がオフの場合にミラー回路M6へシンクされる一定電流でコンデンサC15が放電され、比較器CP3の出力がLレベルとなって制御用スイッチ素子SW8がオンのときにミラー回路M5からソースされる一定電流からミラー回路M6へシンクされる一定電流を減じた電流でコンデンサC15が充電される。一方、比較器CP4は、コンデンサC15の両端電圧が反転入力端子に入力されるとともに他方のトランスファゲート回路TG2から選択的に出力されるしきい値Vths又はVthoが非反転入力端子に入力され、コンデンサC15の両端電圧がしきい値Vthp又は0よりも高ければLレベル、コンデンサC15の両端電圧がしきい値Vthp又は0よりも低ければHレベルの信号を出力する。
図15に示すように先行予熱期間(t=t1〜t2)並びに始動期間(t=t2〜t3)においては、制御用スイッチ素子SW8がオンとなってミラー回路M5からソースされる一定電流からミラー回路M6へシンクされる一定電流を減じた電流で充電されるためにコンデンサC15の両端電圧が一定の傾きで上昇し(図15(a)参照)、トランスファゲート回路TG2のしきい値Vthpを超えると比較器CP4の出力信号がLレベルからHレベルに切り替わる(図15(d)参照)。このとき、コンデンサC15の両端電圧はトランスファゲート回路TG1のしきい値Vthsよりも低いから比較器CP3の出力信号がHレベルとなっており(図15(b)参照)、RSフリップフロップ回路FFの出力信号はLレベルとなる(図15(c)参照)。コンデンサC15の両端電圧がさらに上昇してトランスファゲート回路TG1のしきい値Vthsを超えると(t=t3)、比較器CP3の出力がHレベルからLレベルに切り替わり(図15(b)参照)、トランスファゲート回路TG1のしきい値もVthsからVtho(<Vths)に切り替わる。比較器CP3の出力がLレベルになると制御用スイッチ素子SW8がオフするため、コンデンサC15の充電電荷が放電されてその両端電圧がミラー回路M6によって決まる放電電流値に応じた一定の傾きで下降する(図15(a)参照)。また、比較器CP3の出力がHレベルからLレベルに切り替わることでセット端子にトリガ信号が入力されるため、RSフリップフロップ回路FFの出力信号がHレベルとなる(図15(c)参照)。さらにコンデンサC15の両端電圧がトランスファゲート回路TG1のしきい値Vthoを下回ると(t=t4)、比較器CP3の出力がLレベルからHレベルに切り替わり(図15(b)参照)、制御用スイッチ素子SW8がオンとなってコンデンサC15の充電が再開される(図15(a)参照)。
したがって、RSフリップフロップ回路FFの出力信号並びに比較器CP4の出力信号をそれぞれ反転すれば、実施形態4における第2及び第3の出力信号Vt2,Vt3が得られ、実施形態4で説明したようにインバータ制御信号発生回路10から先行予熱期間、始動期間、点灯期間に適したインバータ制御信号を出力することができる。また、コンデンサC15の両端電圧がインバータ制御信号発生回路10のスイープ回路14に入力されている点は実施形態4と共通であり、点灯期間の初期(t=t3〜t4)においてはスイープ回路14の出力がコンデンサC15の両端電圧と同様に一定の傾きで低下するため(図15(e)参照)、インバータ制御信号発生回路10からドライブ回路11に出力されるインバータ制御信号の周波数も同様に一定の傾きで下降し、スイープ回路14によってインバータ回路3の発振周波数を連続的に低下させるスイープ期間を設定することができる。しかも、本実施形態ではコンデンサC15の充電動作をタイマ回路12における計時動作に利用しているため、集積回路IC1の回路構成が簡略化できるという利点がある。
(実施形態7)
図16に本実施形態におけるタイマ回路12の具体的な回路構成を示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態6と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して図示並びに説明を省略する。
図16に示すように一方のトランスファゲート回路TG1が比較器CP4に接続されるとともに他方のトランスファゲート回路TG2が比較器CP3に接続されている点と、比較器CP3の出力信号を反転した信号がセット端子に入力される第1のRSフリップフロップ回路FF1の他に第1のRSフリップフロップ回路FF1の出力信号と比較器CP4の出力信号の論理積がトリガ信号としてセット端子に入力される第2のRSフリップフロップ回路FF2が設けられている点と、第1のRSフリップフロップ回路FF1の出力によってオン・オフされる制御用スイッチ素子SW9が比較器CP3の出力端子とグランドとの間に接続されている点とが実施形態6におけるタイマ回路12との主な相違点である。
図17に示すように先行予熱期間(t=t1〜t2)においては、制御用スイッチ素子SW8がオンとなってミラー回路M5からソースされる一定電流からミラー回路M6へシンクされる一定電流を減じた電流で充電されるためにコンデンサC15の両端電圧が一定の傾きで上昇し(図17(a)参照)、トランスファゲート回路TG1,TG2のしきい値Vthpを超えると比較器CP3,CP4の出力信号が双方ともHレベルからLレベルに切り替わる(図17(b)(c)参照)。そして、比較器CP3の出力がHレベルからLレベルに切り替わることでセット端子にトリガ信号が入力されるため、第1のRSフリップフロップ回路FF1の出力信号がHレベルとなる(図17(d)参照)。このとき、第1のRSフリップフロップ回路FF1の出力がHレベルになることで制御用スイッチ素子SW9がオンとなり、比較器CP3の出力が制御用スイッチ素子SW9を介してグランドに接続されるから、制御用スイッチ素子SW8がオフとなってコンデンサC15の充電電荷が放電され、その両端電圧がミラー回路M6によって決まる放電電流値に応じた一定の傾きで下降する(図17(a)参照)。また、第1のRSフリップフロップ回路FF1の出力がHレベル、比較器CP4の出力がLレベルとなるから、第2のRSフリップフロップ回路FF2の出力はLレベルのままとなる(図17(e)参照)。コンデンサC15の両端電圧が下降してトランスファゲート回路TG2のしきい値Vthoを下回ると(t=t3)、比較器CP4の出力がLレベルからHレベルに切り替わる(図17(c)参照)。比較器CP4の出力がHレベルになると、セット端子にトリガ信号が入力されるために第2のRSフリップフロップ回路FF2の出力信号がLレベルからHレベルに切り替わる(図17(e)参照)。
したがって、第1及び第2のRSフリップフロップ回路FF1,FF2の出力信号をそれぞれ反転すれば、実施形態4における第3及び第2の出力信号Vt3,Vt2が得られ、実施形態4で説明したようにインバータ制御信号発生回路10から先行予熱期間、始動期間、点灯期間に適したインバータ制御信号を出力することができる。また、コンデンサC15の両端電圧がインバータ制御信号発生回路10のスイープ回路14に入力されている点は実施形態4と共通であり、点灯期間の初期(t=t3〜t4)においてはスイープ回路14の出力がコンデンサC15の両端電圧と同様に一定の傾きで低下するため(図17(f)参照)、インバータ制御信号発生回路10からドライブ回路11に出力されるインバータ制御信号の周波数も同様に一定の傾きで下降し、スイープ回路14によってインバータ回路3の発振周波数を連続的に低下させるスイープ期間を設定することができる。なお、本実施形態においても実施形態6と同様にコンデンサC15の充電動作をタイマ回路12における計時動作に利用しているため、集積回路IC1の回路構成が簡略化できるという利点がある。
(実施形態8)
図18に本実施形態の放電灯点灯装置の概略回路構成を示す。但し、本実施形態の基本構成は実施形態5と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態におけるスイープ信号生成回路15は、マイコンや不揮発性のメモリ等で構成されており、実施形態5で説明したように先行予熱期間並びに始動期間においては一定レベルであり、点灯期間においては一定の傾きでレベルが低下するスイープ信号を生成してインバータ制御信号発生回路10のスイープ回路14に出力するとともに、放電灯6を調光点灯するときの調光比(定格点灯時を100%としたときの光出力の割合)を指定する調光信号を生成する。なお、スイープ信号生成回路15では、例えば、図示しない調光器から指令が与えられたときに調光信号を生成する。
スイープ信号生成回路15で生成される調光信号は、基準電圧生成回路16において調光比に応じた電圧レベルを有する直流電圧信号(調光基準電圧信号)に変換されてフィードバック回路13を構成するオペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。したがって、フィードバック回路13が調光基準電圧信号に応じたフィードバック制御を行うことによって指定された調光比で放電灯6を調光点灯することができる。
ところで、始動期間終了後にチョッパ回路1の負荷が変動することによってチョッパ回路1の出力にリプル電圧が生じ、そのリプル電圧によってリセット機能に誤動作が発生するおそれがあることは既に説明したが、始動直後から放電灯6を調光点灯する場合にあっては、始動直後に放電灯6を定格点灯する場合に比較して負荷の消費電力が少ないためにチョッパ回路1の出力に発生するリプル電圧のレベルが相対的に小さくなる。したがって、定格点灯の場合よりもスイープ期間を短くしてもリセット機能の誤動作が防止できる。
そこで本実施形態においては、調光比が小さくなるにつれて先行予熱期間及び始動期間におけるレベルも低下するようなスイープ信号をスイープ信号生成回路15が生成しており、その結果、スイープ回路14においては、定格点灯の場合のスイープ期間(図19(a)におけるt=t3〜t4の期間)よりも調光点灯の場合のスイープ期間(図19(b)におけるt=t3〜t4’の期間)が短くなる。ここで、スイープ信号生成回路15は、タイマ回路12に代わって、第一のマスク回路22に対して先行予熱期間の開始を示すトリガ信号とスイープ期間の終了を示すトリガ信号を与えるとともに、第二のマスク回路40に対して先行予熱期間の開始を示すトリガ信号と点灯期間の開始を示すトリガ信号を与えている。
したがって、第一のマスク回路22によって出力低減切替回路20が出力低減信号の出力を禁止される期間が、定格点灯の場合に比べて調光点灯の場合に短くなるから、チョッパ回路1の出力に発生するリプル電圧に起因した不具合の発生を防ぎつつ、放電灯6の始動後から相対的に短い時間で交流電源電圧の瞬時低下等に対するリセット機能をはたらかせることが可能となる。
なお、スイープ信号生成回路15において、調光比に比例してスイープ期間を短くするようなスイープ信号を生成しても良いし、所定の調光比以下で段階的にスイープ期間を短くするようなスイープ信号を生成しても構わない。
ところで、実施形態1〜8の放電灯点灯装置は、天井などの施工面に固定される器具本体と、器具本体に設けられて放電灯6が装着されるソケットとともに用いられて照明器具を構成することが可能である。但し、このような照明器具の構造は従来周知であるから図示並びに説明は省略する。