JP4450337B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧、車両内装の表面化粧等に利用可能であり、装飾性に優れた化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建築物の内装材等の用途には塩化ビニルシート等の基材シートの表面に木目等の絵柄を設け、該絵柄の表面に保護層として、透明塩化ビニルシート等の熱可塑性樹脂を積層して構成されたシートや、木目等の立体感を出す為に、前記保護層の表面に木目柄に対応した凹凸模様等のエンボス加工を施したシートが化粧シートとして使用されてきた。このような化粧シートは、一般に、建具や建築物の内装材等としてパーティクルボード、ベニヤ板、プラスチック部材、その他の化粧板基材に貼着され、化粧板として使用されている。
【0003】
近年、上記化粧シートに代わるものとして、高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤を含む材料から構成される着色シート上に直接又は他の層を介して電離放射線硬化型樹脂が保護層として形成されたシートが化粧シートとして提案された(特開平10−45926号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記オレフィン系樹脂よりなる基材シートと電離放射線硬化型樹脂からなる保護層を有する化粧シートの基材シート上に印刷層を設ける場合、従来は印刷層を形成するインキのバインダーとして酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、又はウレタン樹脂を用いていた。しかしながら、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体はオレフィン系樹脂よりなる基材シート中の紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候性を失活させ、ウレタン樹脂は材質そのものに耐候性が無く、これらの樹脂をバインダーに用いた化粧シートは耐候性が不充分で長時間紫外線に曝されると印刷層と基材シートとの層間又は印刷層と保護層との層間における層間密着性が低下し、印刷層の界面において剥離し易くなるという欠点を有していた。
【0005】
上記耐候性の問題を解決する手段として、耐候性に優れているアクリル樹脂をインキのバインダーに用いることは可能である。しかしながら、アクリル樹脂をバインダーとして用いると、化粧シートの耐候性を向上させることはできるが、アクリル樹脂は固く柔軟性に欠けるため、層間密着性に劣る化粧シートしか得ることができなかった。従って、従来はオレフィン系樹脂よりなる基材シートと電離放射線硬化型樹脂からなる保護層を有する化粧シートのインキのバインダーとして使用できる耐候性及び層間密着性に優れる材料は存在しなかった。その結果、耐候性に優れ、且つ、層間密着性も優れている化粧シートであって、基材シートがオレフィン系樹脂、保護層が電離放射線硬化型樹脂からなり、基材シートと保護層の間に印刷層が設けられた化粧シートを得ることができなかった。
【0006】
本発明は上記従来技術の欠点を解決するためのものである。即ち、本発明はオレフィン系樹脂からなる基材シートの表面に印刷層、電離放射線硬化型樹脂より構成される保護層を順次積層した化粧シートであって、層間密着性が優れると共に耐候性も優れている化粧シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧シートは、オレフィン系樹脂からなる基材シートの表面に印刷層、電離放射線硬化型樹脂より構成される保護層を順次積層してなる化粧シートであって、印刷層のバインダーが相互に混合可能なアクリル樹脂とウレタン樹脂からなる混合物であり、該ウレタン樹脂がブタンジオール、イソホロンジイソシネート、及びアジピン酸を原料として製造されたもので、該アクリル樹脂がメタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、及びジメチルアミノエチルメタクリレートの混合物を原料として製造されたものであり、該ウレタン樹脂とアクリル樹脂の重量比が1:0.1〜1:9であることを特徴とする。
【0008】
前記ウレタン樹脂とアクリル樹脂の重量比は、1:1〜1:9であることが好ましい。
前記基材シートの表面に易接着処理を施し、該易接着処理を施した表面に印刷層を設けることが好ましく、基材シートの裏面にも易接着処理を施すことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の化粧シート1の基本的構成を示す縦断面図である。図1において、2はオレフィン系樹脂からなる基材シートを、3は該基材シート2の表面に設けられた印刷層を、4は該印刷層3の表面に設けられた電離放射線硬化型樹脂からなる保護層(以下、「電離放射線硬化型樹脂層」と略称する。)をそれぞれ示す。
【0010】
基材シート2は、オレフィン系樹脂であればよいが、▲1▼主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなる混合物が挙げられる。また、▲2▼特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されるエチレン−プロピレン−ブテン共重合体を基材シート2に用いることもでき、▲3▼特公平6−23278号公報記載のハードセグメントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物を基材シート2に用いることもできる。
【0011】
前記▲1▼のオレフィン系樹脂におけるハードセグメントとしての高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く、分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ハードセグメントとしてのポリプロピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
【0012】
前記▲1▼のソフトセグメントとしてのエラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上させる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、過重架橋させても良い。
【0013】
これらエラストマーの添加量としては、10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10重量%より低いと一定荷重伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生ずる虞があり、60重量%より高いと透明性、耐候性および耐クリープ性の低下が生ずる虞がある。
【0014】
又、前記▲1▼の無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10ミクロン程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重量%程度である。1重量%未満では耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生ずる虞があり、60重量%を超えると破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生ずる虞がある。
【0015】
前記▲2▼のオレフィン系樹脂としては、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとしては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。
【0016】
上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂の好ましい具体例としては、次の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)特開平9−111055号公報に記載されるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体。単量体成分の重量比率はプロピレンが90重量%以上である。メルトフローレートは、230°C、2.16kgの条件下で1〜50g/10分であることが好ましい。このような3元ランダム共重合体100重量部に対して、上記ランダム共重合体は、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数を12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を溶融混練してなるものである。
【0017】
(ii)特開平5−77371号公報に記載されるエチレン、プロピレン及びブテンの3元共重合体であって、プロピレン重量比率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。
【0018】
(iii)特開平7−316358号公報に記載されるエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加したエチレン・プロピレン・ブテン共重合体。
【0019】
上記(i)〜(iii)のエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良いし、該エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応じて更に他のポリオレフィン樹脂を混合して用いても良い。
【0020】
前記▲3▼のオレフィン系樹脂としては、特公平6−23278号公報記載の(A)ソフトセグメントとして数平均分子量Mnが25000以上、且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとしてのメルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げられる。
【0021】
上記▲3▼のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比率が5〜50重量%のものが好ましく、アタクチックポリプロピレンの重量比率が20〜40重量%のものが特に好ましい。アタクチックポリプロピレンの重量比率が5重量%未満ではエンボス加工をしたり、3次元形状や凹凸形状の物品に成形加工する際にネッキングによる不均一なシートの変形や、その結果としての皺、絵柄の歪み等が生ずる虞がある。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比率が50重量%を超えると、シート自体が変形し易くなって、シートを印刷機に通した時にシートが変形し、絵柄の歪み、多色刷の場合に見当が合わなくなる等の不良が発生しやすくなる虞があり、成形時においてはシートが破れ易くなる虞がある。
【0022】
前記基材シート2のオレフィン系樹脂中には必要に応じて、着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等が添加される。着色剤としては、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。着色剤は、基材シートに化粧シートとして必要な色彩を持たせるために添加され、透明着色と不透明(隠蔽)着色のいずれでも構わないが、一般的には被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
【0023】
又、熱安定剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、アミン系等公知のものが使用でき、熱加工時の熱変色等による劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃剤は、難燃性を付与する場合に添加され、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの粉末が用いられる。
【0024】
紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、ベンゾトリアソール、ベンゾフェノン、サリチル酸エステル等の有機物、又は、0.2μm径以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常0.5〜10重量%程度である
【0025】
紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためには、ラジカル捕捉剤を添加することが好ましい。ラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ビペリジニル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
【0026】
基材シート2は、これらの前記材料をブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。基材シートの厚みは50〜200μm、好ましくは100μm程度である。
【0027】
印刷層3は、絵柄印刷、着色印刷等により形成される。印刷層は、具体的には顔料添加による着色(透明又は不透明)の模様又はベタ印刷等からなり、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用い、インキ(或いは塗料)にて形成する。印刷層3の模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号等がある。
【0028】
印刷層3に用いられるインキは、バインダーとして、アクリル樹脂とウレタン樹脂の混合物を用いることが好ましい。但し、アクリル樹脂とウレタン樹脂は相互に混ざりにくい性質を有するので、通常のアクリル樹脂、ウレタン樹脂を用いることはできず、相互に混合可能なアクリル樹脂、ウレタン樹脂を選択する必要がある。具体的には、本発明において使用できるウレタン樹脂と混合可能なアクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレートの混合物を原料として製造したものが挙げられる。又、上記アクリル樹脂とよく混ざるウレタン樹脂としては、多価アルコールとしてのブタンジオール、イソシアネートとしてのイソホロンジイソシネート(IPDI)、アジピン酸を原料として製造したものが挙げられる。但し、本発明において用いることができるアクリル樹脂とウレタン樹脂は上記のものに限定されず、相互に混合可能なものであれば、適宜に選択、配合又は合成等して用いることができる。
【0029】
印刷層3のバインダーにおけるウレタン樹脂とアクリル樹脂の重量比は1:0.1〜1:9であることが好ましく、1:0.2〜1:4であることが更に好ましい。
ウレタン樹脂に対するアクリル樹脂の重量比が1:0.1未満では耐候性がそれほど向上しない虞がある。一方、ウレタン樹脂に対するアクリル樹脂の重量比率が1:9を越えると印刷層3と基材シート2との層間密着性又は印刷層3と電離放射線硬化型樹脂層4との層間密着性が悪くなる虞がある。
【0030】
印刷層3は基材シート2表面の全面に設けても部分的に設けても何れでもよい。又、印刷層3は図1に示すように、基材シート2の表面全面に設けたベタ印刷層31と、該印刷層の表面に部分的に設けた模様印刷層32とから構成してもよい。
【0031】
電離放射線硬化型樹脂層4は、化粧シートに耐汚染性、耐擦傷性、エンボス加工性、及び耐熱を付与するために設けるものであって、電離放射線硬化型樹脂を主成分とする。該電離放射線硬化型樹脂層4は、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合した、電離放射線により硬化可能な組成物が用いられる。尚、ここで電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線または電子線等を意味する。
【0032】
上記プレポリマー、オリゴマーには、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0033】
上記ウレタンアクリレートとしては、例えばポリエーテルジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる、下記〔化1〕の一般式で表されるポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0034】
【化1】
CH2=C(R1)−COOCH2CH2−OCONH−X−NHCOO−〔−CH(R2)−(CH2)n−O−〕m−CONH−X−NHCOO−CH2CH2OCOC(R1)=CH2(式中、R1,R2はそれぞれ水素またはメチル基であり、Xはジイソシアネート残基、nは1〜3の整数、mは6〜60の整数である。)
【0035】
上記のポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートに使用されるジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。上記のポリエーテルジオールとしては、分子量が500〜3000のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0036】
以下、ウレタンアクリレートの製造例を示す。滴下ロート、温度計、還流冷却管及び攪拌棒を傭えたガラス製反応容器中に、分子量1000のポリテトラメラレングリコール1000部と、イソホロンジイソシアネート444部とを仕込み、120℃で3時問反応させた後、80℃以下に冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレートを232重量部加え、80℃でイソシアネート基が消失するまで反応させて、ウレタンアクリレートが得られた。
【0037】
電離放射線硬化型樹脂に用いるモノマーとしては、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、メメタクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
【0038】
電離放射線硬化型樹脂層4を硬化させるのに紫外線、更には可視光線を用いる場合は、電離放射線硬化型樹脂に光重合開始剤を添加する。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン、等が挙げられる。又、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を更に混合して用いることができる。光重合開始剤の添加量は、1〜10重量%の範囲が硬化性が良好であることから好ましい。また光重合開始剤の種類としては、ベンゾフェノン系が硬化性が良好であることから好ましい。
【0039】
上記電離放射線硬化型樹脂層4にさらに耐擦傷性を付加する目的で球状粒子を混合分散しても良い。球状粒子の材質は電離放射線硬化型樹脂よりも高硬度であれば良く、無機粒子及び有機樹脂粒子のいずれも用いることができるが、耐摩耗性、硬度の点で、無機粒子が推奨される。球状粒子の電離放射線硬化型樹脂との硬度の差は、硬度はモース硬度、ビッカーズ硬度等の方法で計測され、例えば、モース硬度で表した場合、1以上が好ましい。
【0040】
球状粒子の材質は、具体的には、α−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、黒鉛などの無機粒子、および架橋アクリルなどの合成樹脂ビーズ等の有機樹脂粒子が挙げられる。特に,好ましい球状粒子は、非常に硬度が高く、耐摩耗性に対する効果が大きいこと、球形状のものが比較的容易に得やすい等の理由から、球形のα−アルミナが用いられる。
【0041】
球状粒子は、真球状、あるいは球を偏平にした回転楕円状ならびに真球状や回転楕円状に近い形状などのように、表面が滑らかな曲線に囲まれていれば良い。球状粒子は、特に粒子表面に突起や角あるいは谷間や凹部のない球状が望ましい。球状粒子は同じ材料の不定形の粒子と比較して、表面樹脂層それ自体の耐摩耗性を大きく向上させると共に、塗工装置を摩耗させず、塗膜の硬化後もこれと接触する他の物を磨耗させず、さらに塗膜の透明度も高くなるという特徴があり、滑らかな形状の場合にその効果が大きい。
【0042】
上記電離放射線硬化型樹脂層4には、電離放射線非硬化型樹脂を添加することができる。該電離放射線非硬化型樹脂としてはウレタン系、繊維素系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラール系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が用いられ、特に繊維素系、ウレタン系、ブチラール系は、可撓性の点から好ましい。また、電離放射線硬化型樹脂層4は、上記電離放射線硬化型樹脂、球状アルミナ、及びプラスチックビーズ、その他の添加剤等を含む塗工組成物を印刷層3が設けられた基材シート2の印刷層3の上から塗工し、硬化させて形成することができる。電離放射線硬化型樹脂の塗工組成物には、上記の成分以外に、表面樹脂層としての透明性、耐摩粍性等を損なわない範囲で、染料や顔料等の着色剤、その他のCaCO3、BaSO4等の公知の艶消調整剤や増量剤といった充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤などの塗料、インキに通常添加される添加剤を加えることができる。
【0043】
電離放射線硬化型樹脂層4を形成する塗工組成物には、粘度を調整するために樹脂の成分を溶解可能であり、常圧における沸点が70℃〜150℃の溶剤を組成物中に30重量%以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加量が30重量%以下の範囲であれば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低下がない。
【0044】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0045】
電離放射線硬化型樹脂層4を形成するには以下の方法を用いことができる。
▲1▼基材シートの表面に塗工組成物を直接塗工する直接コーティング法、又は、▲2▼剥離性の基材表面に電離放射線硬化型樹脂層4を予め形成した後、該層を基材シートの表面に転写する、転写コーティング法が用いられる。
【0046】
上記▲1▼の直接コーティング法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができるが、好ましいのはグラビアコートである。
【0047】
上記▲2▼の転写コーティング法としては、下記の(a)〜(d)に示す、一旦薄いシート(フィルム)基材に塗膜を形成し架橋硬化せしめ、しかる後基材の表面に被覆する方法や、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体物に接着するラミネート法(a,b)、一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に応じて接着剤層を形成し塗膜を架橋硬化させてなる転写シートを、その塗膜側を立体物に接着後、支持体シートのみ剥離する転写法(c)等の手段を利用することができる。即ち、(a)特公平2−42080号公報、特公平4−19924号公報等に開示されるような射出成形同時転写法或いは特公昭50−19132号公報に開示されるような射出成形同時ラミネート法や、(b)特開平4−288214号公報、特開平5−57786号公報に開示されるような真空成形同時転写法或いは特公昭56−45768号公報に開示されるような真空成形同時ラミネート法や、(c)特公昭59−51900号公報、特公昭61ー5895号公報、特公平3−2666号公報等に開示されるように、ラッピング同時転写法、又はラッピング同時ラミネート法や、(d)実公大15−31122号公報等に開示されているVカット加工同時ラミネート法或いは特公昭56−7866号公報等に開示されているVカット加工同時転写法などが挙げられる。尚、薄いシート基材に、樹脂層を形成する方法は上記の直接コーティング法と同じ各種のコーティング手段を用いることができる。
【0048】
又、下記の(A)〜(D)の工程を順次行う方法を用いることもできる(特開平2−26673号公報等記載)。(A)非吸収性且つ離型性の合成樹脂シートに、未硬化液状の電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、(B)前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗布面が基材と接するようにラミネートし、(C)前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射して架橋、硬化させ、(D)合成樹脂シートを剥離除去する。上記の工程において、電離放射線硬化型樹脂として溶剤で希釈されたものを使用する場合には、工程(A)と(B)との間に溶剤を乾燥する工程を設ける。
【0049】
尚、電離放射線硬化型樹脂層4には、必要に応じて着色剤、熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等を添加することができる。但し、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤を添加した場合は、電子線で硬化させることが好ましい。
【0050】
図2は、前記の如く本発明化粧シートの具体的構成の一例を示す縦断面である。図2において、5及び6は易接着層を示す。
【0051】
基材シート2の表面には、易接着剤を塗布することにより易接着層5を形成し、これにより易接着処理を施すか、又は、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の物理的手段により易接着処理を施すことが好ましい。易接着層5(プライマー層、或いはアンカー層ともいう)として使用できる樹脂は、アクリル樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ポリエチレンを挙げることができる。
【0052】
易接着層5に使用できる上記ポリウレタン樹脂は、ポリオ−ル(多価アルコ−ル)を主剤とし、イソシアネ−トを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。上記ポリオ−ルとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、アクリルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリエーテルポリオール等を使用できる。上記イソシアネ−トとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(または脂環族)イソシアネートが用いられる。或いは、これらのイソシアネートの付加体又は多量体を用いることもできる。
【0053】
易接着層5に使用できる上記アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂(但し、ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味するものとし、以下同様である。)が用いられる。
【0054】
基材シート2の裏面には、前記の基材シート2の表面と同様に易接着処理を施すことが好ましい。易接着処理の手段としては、易接着剤を塗布することにより易接着層6を形成する方法や、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の物理的手段により易接着処理を施す方法がある。易接着層6の形成に用いることができる樹脂は、基材シート2の表面に易接着層5を形成するために用いることができる樹脂と同様である。
【0055】
本発明の化粧シート1は他の被着体(裏打材)に積層して用いることができる。図3は被着体が立体形状物品11の場合を、図4は被着体が平板状又は曲面状の板材12の場合を示す。化粧シート1と被着体との積層は、被着体に化粧シート1自体が(熱融着等で)接着可能な場合は、接着剤を用いずに行うことができるが、化粧シート1自体が被着体と接着しない場合には、適当な接着剤を用いて積層する。本発明の化粧シート1を被着体に積層することにより化粧材のような最終製品となる場合もあれば、化粧シート1の力学的強度の補強、或いは隠蔽性を付与するために被着体に積層する場合もある。
【0056】
上記接着剤としては、化粧シート1と被着帯とが接着可能なものであればよく、例えば酢ビ系、尿素系等が挙げられる。又、化粧シート1自体が被着体と接着しにくい場合には、化粧シート1の裏面に上記基材シート2の表面に施したと同様に易接処理を施したり、易接着剤を塗布する等することにより易接着層6を設けることが好ましい。
【0057】
被着体としては図3に示すような立体形状の成形品や、図4に示すような平板状、曲面状等の板材、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。板材、立体形状物品、或いはシート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂、専ら板材、或いは立体形状物品として用いられる素材としては、硝子、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材としては、上質紙、和紙、等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0058】
これらの各種被着体への積層方法しては、例えば▲1▼接着剤を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積層する方法、▲2▼特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出充填して後、冷却して樹脂成型品の成形と同時にその表面に化粧シートを接着積層する、所謂射出成形同時ラミネート方法、▲3▼特公昭56−45768号公報、特公昭60−58014号公報等に記載されるように、成形品の表面に化粧シートを間に接着剤を介して対向乃至は載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シートを成形品表面に積層する、所謂真空プレス積層方法、▲4▼特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層してゆく、所謂ラッピング加工方法等が挙げられる。本発明の化粧シート1を表面化粧層として有する立体物品を得るには、上記ラッピング加工法、射出成形同時ラミネート法、真空成形同時ラミネート法等が好ましい。
【0059】
上記化粧シート1を積層した各種被着体は、所定の成形加工等を施して、各種装飾用素材等として用いることができる。例えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車輌内装、航空機内装、窓硝子の化粧用等の用途が挙げられる。
【0060】
次に具体的に実施例を挙げて本発明を更に説明する。
【実施例】
実施例1
シートの両面に易接着処理が施されたポリプロピレンを主成分とする三菱化学MKV株式会社製「WB060」(厚み80μm)を基材シートとして使用し、下記配合のウレタン樹脂とアクリル樹脂の混合物をバインダーとする株式会社昭和インク工業所製のインキ「AU91」を使用してベタ印刷、木目模様の印刷を順次行った後、シリカを10重量部含みウレタンアクリレートオリゴマーを主成分とする大日精化工業株式会社製の電離放射線硬化型樹脂「EBS02マットK」をグラビアリバース方式により20g/m2 塗工した。
次に、電子線を照射(照射線量5Mrad、加速電圧175KV、ラインスピード40m/min)し、電離放射線硬化型樹脂を硬化させて保護層を形成し化粧シートを得た。
【0061】
インキ「AU91」のバインダーの配合
ブタンジオール、IPDI、アジピン酸等からなる原料より製造したウレタン樹脂:MMA、HEMA、ジメチルアミノエチルメタクリレート等からなる原料より製造したアクリル樹脂=1:9
【0062】
実施例2
下記配合のウレタン樹脂とアクリル樹脂の混合物をバインダーとする株式会社昭和インク工業所製のインキ「AU31」を使用してベタ印刷、木目模様の印刷を順次行った以外は実施例1と同様に化粧シートを作製した。
【0063】
インキ「AU31」のバインダーの配合
ブタンジオール、IPDI、アジピン酸を原料として製造したウレタン樹脂:MMA、HEMA、ジメチルアミノエチルメタクリレートの混合物を原料として製造したアクリル樹脂=1:3
【0064】
実施例3
下記配合のウレタン樹脂とアクリル樹脂の混合物をバインダーとする株式会社昭和インク工業所製のインキ「AU11」を使用してベタ印刷、木目模様の印刷を順次行った以外は実施例1と同様に化粧シートを作製した。
【0065】
インキ「AU11」のバインダーの配合
ブタンジオール、IPDI、アジピン酸を原料として製造したウレタン樹脂:MMA、HEMA、ジメチルアミノエチルメタクリレートの混合物を原料として製造したアクリル樹脂=1:1
【0066】
実施例4
下記配合のウレタン樹脂とアクリル樹脂の混合物をバインダーとする株式会社昭和インク工業所製のインキ「AU031」を使用してベタ印刷、木目模様の印刷を順次行った以外は実施例1と同様に化粧シートを作製した。
【0067】
インキ「AU031」のバインダーの配合
ブタンジオール、IPDI、アジピン酸を原料として製造したウレタン樹脂:MMA、HEMA、ジメチルアミノエチルメタクリレートの混合物からなるアクリル樹脂=1:0.3
【0068】
実施例5
下記配合のウレタン樹脂とアクリル樹脂の混合物をバインダーとする株式会社昭和インク工業所製のインキ「AU011」を使用してベタ印刷、木目模様の印刷を順次行った以外は実施例1と同様に化粧シートを作製した。
【0069】
インキ「AU011」のバインダーの配合
ブタンジオール、IPDI、アジピン酸を原料として製造したウレタン樹脂:MMA、HEMA、ジメチルアミノエチルメタクリレートの混合物を原料として製造したアクリル樹脂=1:0.1
【0070】
比較例1
アクリル樹脂のみをバインダーとする株式会社昭和インク工業所製のインキ「AU10」を使用してベタ印刷、木目模様の印刷を順次行った以外は実施例1と同様に化粧シートを作製した。
【0071】
比較例2
ウレタン樹脂のみをバインダーとする株式会社昭和インク工業所製のインキ「AU01」を使用してベタ印刷、木目模様の印刷を順次行った以外は実施例1と同様に化粧シートを作製した。
【0072】
実施例1〜5、比較例1〜2によって得られた化粧シートについて耐候試験を行った後、印刷層が形成された基材シートと電離放射線硬化型樹脂からなる保護層の密着性を碁盤目セロテープ密着試験により評価した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
耐候試験は、スガ試験機株式会社製「サンシャインロングライフ・ウエザーメーター(形式WEL−SUN−HC)」を使用して、光源サンシャインカーボンアーク、 ブラックパネル温度63℃、湿度30〜70%RHの条件下で、化粧シートに1000時間紫外線を照射した。
【0075】
碁盤目セロテープ密着試験は、化粧シートの表面を2ミリ間隔の縦横5区分の碁盤目状にカッターで切り、粘着性テープを貼った後に剥がす作業をセロテープを取り替えながら3回繰り返した後、何枚の枡目が剥がれずに残っているかを数え、剥がれずに残っている枡目が多いほど耐候性に優れていると評価した。尚、表1において層間密着性を分数の形式で表示しているが、分母は25枚の桝目を切ったことを現し、分子は剥がれずに残っている枡目の枚数を現す。
【0076】
表1から明かなように、アクリル樹脂とウレタン樹脂の混合物をバインダーとするインキを用いた場合は、1000時間の耐候試験を行った後であっても、層間密着性に優れているが、アクリル樹脂のみをバインダーとするインキを用いた場合は、耐候試験を行う前、即ち化粧シートの製造直後から層間密着性が悪く、ウレタン樹脂のみをバインダーとするインキを用いた場合は、製造直後は層間密着性は良好であるが、1000時間の耐候試験を行った後は層間密着性が極端に悪くなることが判る。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、アクリル樹脂とウレタン樹脂の混合物をバインダーとするインキを用いて得られたオレフィン系樹脂の基材シートと電離放射線硬化型樹脂の保護層からなる化粧シート及び該化粧シートを被着体に貼付してなる合板等は、長時間の紫外線の照射後においても基材シートと印刷層との間の層間密着性及び印刷層と電離放射線硬化型樹脂からなる保護層との間の層間密着性が優れており、層間の剥離が起きない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明化粧シートの基本的構成を示す縦断面図である。
【図2】図2は、本発明化粧シートの具体的構成の一例を示す縦断面である。
【図3】図3は、本発明化粧シートを被着体に積層した立体物品の縦断面図である。
【図4】図4は、本発明化粧シートを被着体に積層した板状体の縦断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 基材シート
3 印刷層
4 保護層
5 易接着層
6 易接着層
Claims (4)
- オレフィン系樹脂からなる基材シートの表面に印刷層、電離放射線硬化型樹脂より構成される保護層を順次積層してなる化粧シートであって、
印刷層のバインダーが相互に混合可能なアクリル樹脂とウレタン樹脂からなる混合物であり、
該ウレタン樹脂がブタンジオール、イソホロンジイソシネート、及びアジピン酸を原料として製造されたもので、該アクリル樹脂がメタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、及びジメチルアミノエチルメタクリレートの混合物を原料として製造されたものであり、
該ウレタン樹脂とアクリル樹脂の重量比が1:0.1〜1:9であることを特徴とする化粧シート。 - 前記ウレタン樹脂とアクリル樹脂の重量比が1:1〜1:9であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 基材シートの表面に易接着処理を施し、該易接着処理を施した表面に印刷層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 基材シートの裏面に易接着処理を施したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化粧シート。
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