JP4450338B2 - 建材用化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材用化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、建材用化粧シートが、建築物の内装及び外装用、建具、家具などの表面化粧用、車両内装用などに広く用いられている。建材用化粧シートは、基材シートに絵柄などの意匠が付与され、合板や鋼板などの他の基材に貼着して用いられる。
【0003】
建材用化粧シートは、一般に、基材シートの表面又は裏面に絵柄などの印刷を施し、インキ層を設け、更に最表面側には、耐擦傷性、耐熱性、耐候性、耐汚染性、耐薬品性、耐溶剤性等を向上せしめる目的で、表面保護層が設けられている。また建材用化粧シートの基材シートは、一般的に熱可塑性樹脂が用いられており、従来、塩化ビニル系樹脂が用いられていた。しかし、このような塩素原子を含む樹脂は、焼却して廃棄処理する際に多環芳香族有機塩素系化合物が発生することから、近年、ポリオレフィン系樹脂シートに移行しつつある。
【0004】
ポリオレフィン系樹脂シートなどの基材シートは、絵柄印刷層や表面保護層などの樹脂層との密着性があまり良くないため、プライマー層を介して上記樹脂層を形成して化粧シートが製造されている。従来、プライマー層の材質としては、▲1▼イソシアネート化合物を用いたウレタン系樹脂、▲2▼ウレタン・アクリル混合樹脂、▲3▼塩化ビニル酢酸ビニル共重合体などが用いられていた。建材用化粧シートにおいて、基材シートに対する絵柄などの印刷層、あるいは硬化型樹脂からなる表面保護層との密着性は、きわめて重要な特性である。そして、密着性は化粧シートを製造した直後の初期密着性、及び、長期間日光などに晒された後の耐候密着性の両方の特性のバランスが取れていることが要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記プライマーを用いた化粧シートの場合、以下の問題点があった。
▲1▼ウレタン系プライマーは、一般的に耐候性が不充分である。ウレタン系プライマーの耐候性を改良するために、イソシアネート化合物を脂肪族系のイソシアネート等に代えることで、一定の耐候性向上効果が得られる。しかしこのような、耐候性を考慮した組成のプライマーは、硬化速度が低下し、初期密着性に劣るため、実用的ではない。
▲2▼ウレタン・アクリル混合系プライマーは、上記ウレタン系プライマーと比較して、耐候性及び密着性が向上するが、ウレタン樹脂とアクリル樹脂の相溶性が良くないため、実際には使用可能な樹脂が限られてしまう。そのため、密着性及び耐候性において十分な特性を有するものが得られないという問題があった。
▲3▼塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系プライマーは、焼却した場合に塩素が発生することから、この種の樹脂自体を使用しないことが要望されている。
【0006】
本発明は上記従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、基材シートに対する絵柄などの印刷層との密着性が、初期密着性、及び耐候密着性がともに良好であり、両方の特性のバランスが取れている建材用化粧シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)熱可塑性樹脂基材シート上に表面保護層が形成され、且つ反対面にプライマー層、インキ層が順次設けられた建材用化粧シートにおいて、上記プライマー層が、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体と、イソシアネートとから形成されたものであり、上記アクリル樹脂がポリメチルメタクリレートであることを特徴とする建材用化粧シート、(2)上記ポリメチルメタクリレートが、末端に水酸基を有するポリメチルメタクリレートである、上記(1)に記載の建材用化粧シート、(3)プライマー層のアクリル樹脂及びウレタン樹脂の共重合体が、末端に水酸基を有するポリメチルメタクリレートからなるアクリル重合体成分と、ポリエステルポリオール成分と、ジイソシアネート成分とを反応させて得られたものである上記(1)に記載の建材用化粧シート、(4)プライマー層のアクリル重合体成分が、末端に水酸基を有する分子量5000〜7000のポリメチルメタクリレートであり、ポリエステルポリオール成分が分子量500〜5000のアジペート系ポリエステルポリオールであり、ジイソシアネート成分がイソホロンジイソシアネートである、上記(3)に記載の建材用化粧シート、(5)プライマー層を構成するアクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合比が、40/60〜80/20であって、上記共重合比における成分比率において、アクリル樹脂成分は、共重合体中のアクリル重合体の重量比であり、ウレタン樹脂成分はポリエステルポリオールとイソシアネート成分の合計量の重量比である上記(3)または(4)に記載の建材用化粧シート、(6)熱可塑性樹脂基材シートがポリオレフィン系樹脂シートである上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の建材用化粧シート、を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。本発明の建材用化粧シート1は、図1に示すように、ポリオレフィン樹脂などからなる熱可塑性樹脂基材シート2の表面に電離放射線硬化性樹脂などの硬化型樹脂からなる表面保護層3が形成され、且つ該熱可塑性樹脂基材シート2の反対面(本明細書では、この熱可塑性樹脂シートの表面保護層が設けられる側を表面側といい、その反対面を裏面側という)にプライマー層(裏面側プライマー層7)、及び絵柄層8、ベタ層9などのインキ層10が順次設けられた建材用化粧シート1において、上記裏面側プライマー層7が、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体と、イソシアネートから形成されたものである。
【0009】
図1に示す建材用化粧シート1(以下、単に化粧シートということもある)は、熱可塑性樹脂シート2の表面にエンボス加工を施して凹凸模様5を設け、その上からワイピング処理を施し、凹凸模様の凹部内にワイピングインキ6を充填した後に、表面側プライマー層4を設け表面保護層3を積層したものである。この熱可塑性樹脂基材シート2の裏面側に、裏面側プライマー層7を介して絵柄層8、ベタ層9を印刷して形成した態様は、いわゆる「バックプリントシート」と称されるタイプの化粧シートである。
【0010】
本発明は、熱可塑性樹脂基材シート2の裏面側に、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体(単にアクリル・ウレタン共重合体ということもある)と、イソシアネートから形成された裏面側プライマー層4を介してインキ層10が設けられた構成を採用したことにより、従来の建材用化粧シートと比較して、初期密着性及び耐候密着性の両方の特性の優れた化粧シートを得ることができた。
【0011】
本発明において裏面側プライマー層7に用いられる、アクリル樹脂とウレタン樹脂との共重合体は、末端に水酸基を有するアクリル重合体成分(成分A)、両末端に水酸基を有するポリエステルジオール(成分B)、ジイソシアネート成分(成分C)を配合して反応させてプレポリマーを製造し、該プレポリマーに更にジアミンなどの鎖延長剤(成分D)を添加して鎖延長することで得られる。この反応によりポリエステルウレタンが形成されるとともに、アクリル重合体成分が分子中に導入され、末端に水酸基を有する、アクリル・ポリエステルウレタン共重合体を形成する。
【0012】
さらに裏面側プライマー層7は、アクリル・ウレタン共重合体の末端の水酸基が、裏面側プライマー層7を形成するためのプライマー組成物に添加されたイソシアネート成分のイソシアネート基と反応して硬化している。アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体における、アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分の比率(これを共重合比という)は、アクリル樹脂/ウレタン樹脂=40/60〜80/20とするのが、耐熱密着性及び耐候密着性などの特性が更に良好であるため好ましい。尚、上記共重合比における各成分比率のアクリル樹脂成分は、共重合体中のアクリル重合体の重量比(%)であり、ウレタン樹脂成分はポリエステルポリオールとイソシアネート成分の合計量の重量比(%)である。
【0013】
アクリル・ウレタン共重合体において、成分Aのアクリル重合体成分は、末端に水酸基を有する直鎖状のアクリル酸エステル重合体が用いられる。例えばこのような重合体としては、末端に水酸基を有する直鎖状のポリメチルメタクリレート(PMMA)が、耐候性(特に光劣化に対する特性)に優れ、ウレタンと共重合させて相溶化するのが容易である点から好ましく用いられる。アクリル重合体成分は、共重合体においてアクリル樹脂成分となるものであり、分子量5000〜7000のものが耐候性、密着性が特に良好であるため好ましく用いられる。尚、本発明において分子量は、すべて重量平均分子量のことである。また、アクリル重合体は、両末端に水酸基を有するもののみを用いても良いが、片末端に共役二重結合が残っているものを上記の両末端に水酸基を有するものと混合して用いても良い。共役二重結合が残っているアクリル重合体を混合すると、裏面側プライマー層7と接する絵柄層8及びベタ層9などのインキ層10の樹脂に電離放射線硬化性樹脂を用いた場合に、該樹脂とアクリル重合体の共役二重結合が反応するため、インキ層10などの硬化型樹脂との間で優れた密着性が得られる。
【0014】
成分Bのポリエステルポリオール成分は、ジイソシアネートと反応して、ポリエステルウレタンを形成し、共重合体においてウレタン樹脂成分を構成する。ポリエステルポリオール成分は、両末端に水酸基を有するポリエステルジオールが用いられる。このポリエステルジオールとしては、芳香族又はスピロ環骨格を有するジオール化合物とラクトン化合物又はその誘導体、又はエポキシ化合物との付加反応生成物、二塩基酸とジオールとの縮合生成物、及び環状エステル化合物から誘導されるポリエステル化合物等が挙げられる。上記ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール等の脂肪族短鎖ジオール、1,4シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族短鎖ジオールなどが挙げられる。また上記二塩基酸としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。ポリエステルポリオールとして好ましいのは、酸成分としアジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物、特にアジピン酸とテレフタル酸との混合物が好ましく、ジオール成分として3−メチルペンタンジオール及び1,4シクロヘキサンジメタノールを用いたアジペート系ポリエステルである。
【0015】
裏面側プライマー層7において、ポリエステルポリオールとイソシアネート基が反応して形成されるウレタン樹脂成分は、該層に柔軟性を与え、熱可塑性樹脂シートとの密着性に寄与する。またアクリル重合体からなるアクリル樹脂成分は、裏面側プライマー層7において耐候性及びブロッキング性などに寄与する。ウレタン樹脂において、ポリエステルポリオール成分の分子量は、プライマー層に柔軟性を充分発揮可能なウレタン樹脂が得られる範囲であればよく、アジピン酸又はアジピン酸とテレフタル酸の混合物と、3−メチルペンタンジオール及び1,4シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステルジオールの場合、500〜5000が好ましい。
【0016】
成分Cとして用いられるジイソシアネート成分としては、1分子中に2個のイソシアネート基を有する脂肪族又は脂環族のジイソシアネート化合物が用いられる。このジイソシアネートは例えば、テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)1,6ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、1,4′シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。ジイソシアネート成分としては、イソホロンジイソシアネートが物性及びコストが優れる点から好ましい。上記の成分A〜Cを反応させる場合の、アクリル重合体、ポリエステルジオール、及び後述する鎖延長剤の合計の水酸基(アミノ基の場合も含める)とイソシアネート基の当量比は、イソシアネート基が過剰となるようにして反応させる。
【0017】
上記A〜Cの三成分を60〜120℃で2〜10時間程度反応させると、ジイソシアネートのイソシアネート基が、ポリエステルジオール末端の水酸基と反応し、ポリエステルウレタン樹脂成分が形成されるとともに、アクリル重合体末端の水酸基にジイソシアネートが付加した化合物も混在し、過剰のイソシアネート基及び水酸基が残存した状態のプレポリマーが形成される。このプレポリマーに鎖延長剤を加えイソシアネート基を該鎖延長剤と反応させ、鎖延長することで、アクリル重合体成分がポリエステルウレタンの分子中に導入され、末端に水酸基を有する所望のアクリル・ウレタン共重合体が得られる。
【0018】
鎖延長剤としては、ジアミン、ジオールなどが用いられる。ジアミンとしては例えば、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4′ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、ヒドラジン等が挙げられる。鎖延長剤として好ましいジアミンはイソホロンジアミンである。
【0019】
[アクリル・ウレタン共重合体の製造例]
アクリル重合体成分として、分子量6000の、両末端に水酸基を有するPMMAを用い、ポリエステルポリオール成分として、3メチルペンタンジオールと1,4シクロヘキサンジメタノールとアジピン酸とテレフタル酸を重縮合させて得られる分子量2000のポリエステルジオールを用い、ジイソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネートを用い、鎖延長剤としてイソホロンジアミンを用いた。乾燥窒素が導入され密閉可能で攪拌装置の付いた反応容器に、アクリル重合体、ポリエステルポリオール、及びジイソシアネートを配合し、75℃で6時間反応させて、プレポリマーを得た後、このプレポリマーをメチルエチルケトン(MEK)に溶解させ、60℃でジアミンを滴下して鎖延長を行ない、さらにトルエン、イソプロピルアルコールを加えて、樹脂固形分30%のアクリル・ウレタン共重合体Aを得た。この共重合体の分子量は45000であり、アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分の比率は、70/30(重量比)である。また溶剤の組成は、MEK/トルエン/IPA=37/43/20であった。
【0020】
裏面側プライマー層7の形成に用いられるイソシアネートは、上記のアクリル・ウレタン共重合体の水酸基と反応して架橋硬化させることが可能なものであれば良い。例えば上記のイソシアネートとしては、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートが使用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的なイソシアネートとしてトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの単量体、又はこれらの2量体、3量体などの多量体、あるいはこれらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)の如きポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
裏面側プライマー層7には上記樹脂以外に、シリカ微粉末などの充填剤、光安定剤などの添加剤を添加しても良い。裏面側プライマー層7は、これらの組成物を、塗工して、必要に応じ乾燥、硬化させることで形成される。具体的にはプライマー組成物をグラビアロールコート、ロールコート等の方法で塗工して乾燥(硬化)させて形成される。裏面側プライマー層7の塗布量は1〜20g/m2(乾燥時)が好ましく、更に好ましくは1〜5g/m2(乾燥時)である。
【0022】
熱可塑性樹脂基材シート2は、ポリオレフィン系樹脂シートが好ましく用いられる。ポリオレフィン系樹脂シートに用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(低密度、又は高密度)、ポリプロピレン(アイソタクチック型、シンジオタクチック型、又はこれらの混合型)、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン樹脂、或いは下記に記載した各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーのシートが用いられる。ポリオレフィン系樹脂シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれも使用可能であるが、このシートには、必要に応じ、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加する。また、ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは、用途等によるが、20〜300μm程度が好ましい。
【0023】
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、▲1▼主原料がハードセグメントである高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなるもの、▲2▼特公平6−23278号公報記載の、ハードセグメントであるアイソタクチックポリプロピレンとソフトゼグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物からなるもの、▲3▼特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載のエチレン−プロピレン−ブテン共重合体からなるもの、が代表的なものである。必要に応じて着色剤等の添加剤をこれに添加して用いる。以下これらの詳細を述べる。
【0024】
▲1▼本発明における高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、ポリプロピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。
【0025】
上記エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明においては、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン)の結晶化を抑え、柔軟性をアップさせる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンはエチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、適量架橋させてもよい。
【0026】
上記エラストマーの添加量としては、10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10重量%より低いと一定荷重伸度の温度に対する変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと透明性、耐候性及び耐クリープ性の低下が生じる。
【0027】
上記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。添加量としては、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重量%程度である。1重量%より低いと耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、60重量%より高いと破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じると共に製膜が難しくなる。
【0028】
▲2▼特公平6−23278号公報記載の、(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレン。この種のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、所謂『ネッキング』を生じ難く、加熱、加圧を用いて各種形状に成形したりエンボス加工する際に適性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%以上50重量%以下であるものである。ポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性エラストマー自体はすでに公知のものであるが、包装容器等従来公知の用途に用いられる場合は、強度を重視する為に、ソフトセグメントとなるアタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%未満のものが専ら使用されていた。しかしながら三次元形状乃至凹凸形状に成形したり、エンボス加工する場合、前記の如くネッキングを生じて良好な加工が不可能である。これに対し、従来の組成設計とは逆に、ポリプロピレン系のオレフィン系熱可塑性エラストマーに於いて、アタクチックポリプロピレンの重量比が5重量%以上とする事によって、エンボス加工したり、三次元形状乃至凹凸形状の物品に成形する際のネッキングによる不均一なシートの変形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点が解消できる。特にアタクチックポリプロピレンの重量比が20重量%以上の場合が良好である。一方、アタクチックポリプロピレンの重量比が増加し過ぎると、シート自体が変形し、絵柄が歪んだり、多色刷りの場合に見当(Resister)が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。又、成形時にも破れ易くなる為、好ましくない。アタクチックポリプロピレンの重量比の上限としては、輪転グラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて絵柄層を印刷し、又、シートのエンボス加工、真空成形、Vカット加工、射出成形同時ラミネート等を採用する場合は50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
【0029】
▲3▼エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、そのブテンとして、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を一部含む。上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体の好ましい具体例としては次の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i)特開平9−111055号公報記載のもの。これはエチレン・プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体である。単量体成分の重量比はプロピレンが90重量%以上とする。メルトフローレートは、230℃、2.16Kgで1〜50g/10分のものが好適である。そして、このような3元ランダム共重合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を熔融混練してなるものである。
(ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質重合体20〜100重量%に、非晶質ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるものである。
(iii)特開平7−316358号公報記載のもの。これは、エチレン・プロピレン・1ブテン3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィン80〜0重量%に混合した組成物100重量部に対してNアシルアミン酸アミン塩、Nアシルアミン酸エステル等の油ゲル化剤を5重量%添加してなるものである。
エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いてもよいし、上記(i)〜(iii)に必要に応じ他のポリオレフィン樹脂を混合して用いてもよい。
【0030】
ポリオレフィン系樹脂には着色剤を添加してもよい。着色剤は、化粧シートとして必要な色彩を持たせるためのものであり、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料或いは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。着色は、絵柄層8ベタ層9などのインキ層10の意匠が見える程度に形成される。
【0031】
さらに、ポリオレフィン系樹脂には、必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ラジカル捕捉剤等を添加する。熱安定剤は、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系等公知のものであり、熱加工時の熱変色等の劣化の防止性をより向上させる場合に用いられる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の粉末が用いられ、これらは難燃性を付与する必要がある場合に添加する。
【0032】
上記材料をブレンドしたものをカレンダー製法等の常用の方法により製膜してポリオレフィン系樹脂シートを得ることができる。尚、ポリオレフィン系樹脂として着色剤、無機充填剤、又はその両方を添加した組成物を用い、熔融押出法で製膜する場合、薄膜に製膜すると製膜適性が低下し、表面が平滑に仕上がらない。一般的には着色剤等を計10重量部程度以上添加し、80μm以下に製膜する場合、此の傾向が目立つ。そこで此の様な場合、3層共押出とし中心の層のみに着色剤を添加し、表裏の最外層には顔料等は無添加にすると良い。
【0033】
熱可塑性樹脂基材シート2として用いるポリオレフィン系樹脂シートの表面又は裏面には、表面側プライマー層4及び裏面側プライマー層7を形成する以前に、好ましくはコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の易接着処理を施す。この易接着処理は、この種のシートに於いて通常使用される方法を用いることができる。此の様な易接着処理を行うことによって、ポリオレフィン系樹脂シートの表面に、水酸基、カルボキシル基等の活性水素原子含有官能基を生成出来る。尚、ポリオレフィン系樹脂シートを熔融押出法で製膜する場合には、製膜時に表面に或る程度これら極性官能基が生成される。よって製膜時に生成される極性官能基が十分であれば、易接着処理は省いても良い。
【0034】
熱可塑性樹脂基材シート2の表面には、加熱プレスやヘアライン加工などにより、図1に示すように凹凸模様5を付与したり、該凹凸模様にワイピング加工にを施して、凹部にワイピングインキ6を充填しても良い。凹凸模様5は例えば、導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。凹凸模様5を形成するには、例えば、加熱・加圧によるエンボス加工法、ヘアライン加工法、賦形フィルム法等がある。エンボス加工法は三次元架橋硬化樹脂層を加熱して軟化させ、表面をエンボス版で加圧してエンボス版の凹凸模様を賦形し、冷却して固定化するもので、公知の枚葉式、或いは輪転式のエンボス機等が用いられる。
【0035】
表面保護層3は、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂等の塗工組成物から形成される。塗工組成物には、必要に応じて、染料、顔料等の着色剤、艶調製剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の添加剤を加えることができる。
【0036】
表面保護層3に用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。上記樹脂には、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、又は重合促進剤を添加して用いる。例えば硬化剤としては、イソシアネートまたは有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル系樹脂やポリウレタン樹脂等に添加され、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加され、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステルには添加される。
【0037】
上記のイソシアネートとしては、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的なイソシアネートとしてトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0038】
上記2液型ポリウレタンとしては、その分子構造中に水酸基を平均して2個以上有するポリオール化合物からなる第1液と、ポリイソシアネール化合物からなる第2液とを、水酸基とイソシアネート基の当量比が0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
【0039】
上記エポキシ樹脂としては、その分子構造中にエポキシ基を平均2個以上有するエポキシ樹脂とエポキシ基と反応する活性水素を1分子中に3個以上有するモノー、またはポリ−アミンとをエポキシ樹脂のエポキシ当量とモノ、またはポリアミンの活性水素当量の比が、0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
【0040】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0041】
表面保護層3に用いられる電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合した、電離放射線により硬化可能な組成物が用いられる。尚、ここで電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線または電子線が用いられる。
【0042】
上記プレポリマー、オリゴマーの例としては不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0043】
ウレタンアクリレートとしては、例えばポリエーテルジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる、下記一般式[化1]で表されるポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、同様にポリエステルジオールとジイソシアネート反応させて得られるポリエステル系ウレタンアクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートを示すものである。
【0044】
【化1】
CH2=C(R1)−COOCH2CH2−OCONH−X−NHCOO
−[−CH(R2)−(CH2)n−O−]m−CONH−X−NHCOO
−CH2CH2OCOC(R1)=CH2
(式中、R1、R2はそれぞれ水素またはメチル基であり、Xはジイソシアネート残基、nは1〜3の整数、mは6〜60の整数である)。
【0045】
ウレタン(メタ)アクリレートに使用されるジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。このジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート又はジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0046】
上記のポリエーテルジオールとしては、分子量が500〜3000のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。またポリエステルジオールとしては、ポリカプロラクトンジオール、アジピン酸、テレフタル酸、フタル酸などの二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオールとから形成されるポリエステルジオールが用いられる。
【0047】
以下、ウレタンアクリレートの製造例を示す。滴下ロート、温度計、還流冷却管及び攪拌棒を備えたガラス製反応容器中に、分子量1000のポリテトラメチレングリコール1000部と、イソホロンジイソシアネート444部とを仕込み、120℃で3時間反応させた後、80℃以下に冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレートを232重量部加え、80℃でイソシアネート基が消失するまで反応させて、ウレタンアクリレートが得られた。
【0048】
上記ウレタンアクリレートには、下記の多官能ウレタンアクリレートを混合して用いるのが好ましい。多官能ウレタンアクリレートとは、ジペンタエリスリトールなどの水酸基を多数有する多官能アルコール化合物の水酸基にジイソシアネート化合物の一方のイソシアネート基を付加し、残りのイソシアネート基にヒドロキシルエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有アクリレートを付加してなるウレタンアクリレートのことを云う。
【0049】
電離放射線硬化性樹脂に用いるモノマーの例としては、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)エチル、メメタクリル酸−2−(N、N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N、N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
【0050】
通常、以上の化合物を必要に応じて1種もしくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常の塗工適性を付与するために、前記プレポリマーまたはポリチオールを5重量%以上、前記モノマー及びまたはポリチオールを95重量%以下とするのが好ましい。
【0051】
電離放射線硬化性樹脂を硬化させるために紫外線を照射する場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン、又、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を、更に混合して用いることができる。
【0052】
表面保護層3の塗工組成物には、上記バインダー樹脂及び球状粒子以外の成分として、染料や顔料等の着色剤、その他のCaCO3、BaSO4、ナイロン樹脂ビーズ等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤などの塗料、インキに通常添加される添加剤を加えることができる。
【0053】
また表面保護層3の塗工組成物には、粘度を調整するために、架橋性樹脂の成分を溶解可能であり、常圧における沸点が70℃〜150℃の溶剤を、組成物中に30重量%以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加量が30重量%以下の範囲であれば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低下がない。
【0054】
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0055】
表面保護層3を形成する方法は、▲1▼塗工組成物を直接塗工する直接コーティング法、又は、▲2▼剥離性の基材表面に樹脂層を予め形成した後、該層を転写する、転写コーティング法等が用いられる。
【0056】
上記▲1▼の直接コーティング法は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができるが、好ましいのはグラビアコートである。
【0057】
▲2▼転写コーティング法は、一旦、下記の(a)〜(d)に示す薄いシート(フィルム)基材に塗膜を形成し架橋硬化せしめ、しかる後金属箔表面に被覆する方法であり、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体物に接着するラミネート法(a、b)、一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に応じて接着剤層を形成し塗膜を架橋硬化させてなる転写シートを、その塗膜側を立体物に接着後、支持体シートのみ剥離する転写法(c)等の手段を利用することができる。尚、薄いシート基材に電離放射線硬化性樹脂層を形成する手段は、上記の直接コーティング法と同じ各種のコーティング手段を用いることができる。
(a)特公平2−42080号公報、特公平4−19924号公報等に開示されるような射出成形同時転写法。或いは特公昭50−19132号公報に開示されるような射出成形同時ラミネート法。
(b)特開平4−288214号公報、特開平5−57786号公報に開示されるような真空成形同時転写法。或いは特公昭56−45768号公報に開示されるような真空成形同時ラミネート法。
(c)特公昭59−51900号公報、特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に開示されるように、ラッピング同時転写法、又はラッピング同時ラミネート法。
(d)実公大15−31122号公報等に開示されているVカット加工同時ラミネート法、或いは特公昭56−7866号公報等に開示されているVカット加工同時転写法。
【0058】
又、上記▲2▼の転写コーティング法の一つとして下記の(A)〜(D)の工程を順次行う方法を用いることもできる(特開平2−26673号公報等記載)。
(A)非吸収性且つ離型性の合成樹脂シートに、未硬化液状の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工する工程。
(B)前記電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布面が基材と接するようにラミネートする工程。
(C)前記電離放射線硬化性樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射して架橋、硬化させる工程。
(D)合成樹脂シートを剥離除去する工程。
上記の工程において、電離放射線硬化性樹脂として溶剤で希釈されたものを使用する場合には、工程(A)と(B)との間に溶剤を乾燥する工程を行う。
【0059】
電離放射線硬化性樹脂を硬化させるために用いられる電離放射線照射装置は、紫外線を照射する場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源が用いられ、又、電子線を照射する場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用いる。
【0060】
電子線の照射量は、通常100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を0.1〜30Mrad程度の照射量で照射する。照射量が0.1Mrad未満の場合、硬化が不十分となる虞れがあり、又、照射量が30Mradを超えると、硬化した塗膜或いは基材が損傷を受ける虞れが出てくる。又、紫外線により硬化させる場合の照射量は、好ましくは50〜1000mJ/cm2である。紫外線の照射量が50mJ/cm2未満では硬化が不十分となる虞れがあり、又、照射量が1000mJ/cm2を超えると、硬化した塗膜が黄変化する虞れがある。
【0061】
図1に示す化粧シートの表面側プライマー層4は、ポリオレフィン系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂基材シート2と表面樹脂層3との接着性を向上させるものであり、前記した裏面側プライマー層7と同様の樹脂を用いるのが好ましい。また表面側プライマー層4は、裏面側プライマー層7と同様の手段で形成できる。
【0062】
絵柄層8は、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学図形、文字、記号、線画、各種抽象模様の柄を印刷形成したものである。ベタ層9は、隠蔽性を有する着色インキにて、ベタ印刷して形成したものである。これらのインキ層10は、絵柄層8のみから構成しても、あるいはベタ層9のみから構成しても、或いは図1に示すように絵柄層及びベタ層の両者から構成してもいずれでもよい。
【0063】
絵柄層8及びベタ層9は、一般的な絵柄印刷用のインキを用いて印刷或いは塗工することで形成できる。上記インキとしては、バインダーと着色剤とからなり、例えばバインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン(2液硬化型ウレタン樹脂、又は熱可塑性ウレタン樹脂)、アクリル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等を、一種又は二種以上混合したものが用いられる。上記着色剤としては、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青、フタロシアニンブルー、キナクリドン、イソインドリノン等の顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の金属箔粉、二酸化チタン被覆雲母等の箔粉からなる光輝性顔料を1種又は2種以上混合したものが挙げられる。
【0064】
また化粧シート1には、抗菌性を付与する為に、基材シート、あるいは他の樹脂層に、銀イオン担持ゼオライト等の抗菌剤や10,10′−オキシビスフェノキシアルシン等の防黴剤等を添加してもよい。
【0065】
このようにして形成された化粧シート1は、図2に示すように裏面側(図1に示す化粧シートではベタ層9側)を他の基材12に接着剤層11などを介して貼着して化粧板13として、各種建材用に利用することができる。化粧シートを貼る他の基材(被着体)12としては、各種の木質材料、金属材料、プラスチック材料、セラミック材料、等が用いられる。接着剤層11は例えば他の基材12が、木質系の場合の場合には、水酸基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、またはウレタン系樹脂などが用いられる。また他の基材12がプラスチックの場合は、ホットメルト系接着剤などが用いられる。またベタ層9などのインキ層10が他の基材12と熱融着などにより接着可能であれば、特に接着剤層11を設けなくても良い。
【0066】
化粧シートを上記材料に貼着したものは、所定の成形加工などを施すことで、各種用途に利用できる。例えば、壁、天井、床などの建築物の内装、窓枠、扉枠、扉、手すりなどの建具の表面化粧、箪笥などの家具、テレビジョン受像機などの弱電、OA機器などのキャビネットの表面化粧、自動車、電車などの車両の内装、航空機の内装、窓ガラスの化粧などに利用できる。
【0067】
【実施例】
実施例1
厚さ120μmのポリプロピレンシート(三菱化学MKV製:150AG3)の表裏両面にコロナ処理(6KW、処理速度40m/min)を施し、該シートの裏面(木質系基材を貼合わせる面)に、上記ポリプロピレンシートと絵柄層及びベタ層との密着性を安定かつ向上させるために下記のプライマー組成物を用いて裏面側プライマー層(塗工量:2g/m2乾燥時)を設けた。
その後、裏面側プライマー層の上からグラビア用インキを用いて絵柄層(昭和インク工業所製:AU)及びベタ層(昭和インク工業所製:AU、塗工量:12g/m2)を印刷した。尚、絵柄はポリプロピレンシートの表面側から該シートを透して見た場合に正常に見えるように印刷した。
ポリプロピレンシートの表面にエンボス加工を施して凹凸形状を付与した。凹凸面にワイピング処理を行なった後、表面側のプライマーを全面に塗工して表面側プライマー層を形成した(ザ・インクテック製:EBP−1、塗工量:1g/m2乾燥時)。次に表面側プライマー層の上から電離放射線硬化型樹脂塗料(ザ・インクテック製:ARCH3)を塗工し、電子線照射装置で175KV、5Mrad、酸素濃度200ppm以下の条件で電子線を照射し硬化させて表面保護層を形成し(塗工量:20g/m2乾燥時)化粧シートを得た。
尚、下記のプライマー組成におけるアクリル・ウレタン共重合体Aは前記した[アクリル・ウレタン共重合体の製造例]に示したものを用いた。また、FG700硬化剤はヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアネート硬化剤である。
【0068】
[プライマー組成]
・アクリル・ウレタン共重合体A 67重量部
・シリカ(富士シリシア化学:サイシリア350) 2重量部
・MIBK 19重量部
・MEK 2重量部
・硬化剤(ザ・インクテック製:FG700硬化剤)5重量部
【0069】
実施例2
裏面側プライマー層のプライマー組成物のアクリル・ウレタン共重合体として、実施例1で用いた、アクリル・ウレタン共重合体Aに代えて、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合比をアクリル/ウレタン=30/70にしたアクリル・ウレタン共重合体Bを用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0070】
実施例3
裏面側プライマー層のプライマー組成物のアクリル・ウレタン共重合体として、実施例1で用いた、アクリル・ウレタン共重合体Aに代えて、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合比をアクリル/ウレタン=90/10にしたアクリル・ウレタン共重合体Cを用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0071】
比較例1
裏面側プライマー層のプライマー組成物として、ウレタン樹脂(ザ・インクテック製:OSUメジウム)100重量部に対しイソシアネート系硬化剤(ザ・インクテック製:FG700硬化剤)5重量部添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0072】
比較例2
裏面側プライマー層のプライマー組成物として、ウレタン樹脂50重量部とアクリル樹脂50重量部混合した組成物(昭和インク工業所製:プライマーE)に、イソシアネート系硬化剤(昭和インク工業所製:FW硬化剤)を5重量部添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0073】
実施例1及び比較例1〜3の、基材シートに裏面側プライマー層を形成した状態のシート(サンプルシートA)について、初期密着性の試験を行なった。また実施例1及び比較例1〜2の化粧シートについて、耐候密着性の試験を行なった。これらの試験結果を表1に示す。また、試験方法は下記の通りである。
【0074】
【表1】
【0075】
※1:初期密着性試験方法
裏面側プライマー層を塗工して4時間後の密着性試験を行なった。密着性は、裏面側プライマー層の表面からカッターナイフで1mm間隔の碁盤目カットを入れてセロハンテープを貼着した後、45度方向に急激に剥離し、基材シートからの裏面側プライマー層の剥離の有無を見た。その結果、剥離なしを○、一部剥離ありを△、全部剥離を×として評価した。
【0076】
※2:耐候密着性(1)試験方法
アイ・スーパーUVテスター(岩崎電機製)を用い以下の試験条件で化粧シートを100時間促進暴露した後、シナ合板(4mm厚)に接着剤(中央理化工業製:リカボンドBA−10)を介して貼り合わせ(接着剤塗布量:8g/0.09m2・wet)、2日間養生した後、剥離試験を行ない、以下に示す方法で密着力を評価した。アイ・スーパーUVテスターの促進暴露条件は、温度:63℃、湿度:70%RH、照射強度:60mW/cm2、DEWサイクル:照射20時間/DEW4時間とした。また)該化粧シートを後の密着力を見た。密着力の試験は、180°ピーリング法によりシナ合板から化粧シートをはがし、剥がれた界面を観察し、接着剤とシナ合板の界面で剥離したものを○とし、化粧シートの裏面側プライマー層とポリプロピレンシートの界面で剥離したものを×とした。
【0077】
表1に示す結果から、実施例1のものは、初期密着性及び耐候密着性のいずれも良好な結果が得られたのに対し、裏面側プライマー層の樹脂にウレタン樹脂のみを用いた比較例1の場合には初期密着性及び耐候密着性のいずれも問題が有り、またウレタン樹脂とアクリル樹脂の混合物を用いた比較例2の場合には比較例1に対し、耐候密着性は若干向上するものの不十分なものであることが確認できた。
【0078】
[実験例]
実施例1〜3について、裏面側プライマー層に用いられるアクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体において、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合比と物性の関係について試験した。
【0079】
【表2】
【0080】
※3:耐候密着性(2)試験方法
上記耐候密着性(1)試験方法における、アイ・スーパーUVテスターの促進暴露時間の100時間を150時間に延長した以外は同様の試験条件及び試験方法で行なった。
【0081】
※4:耐熱密着性試験方法
上記サンプルシートAの裏面側プライマー層の表面に絵柄層及びベタ層を印刷形成したシート(サンプルシートB)に、150℃、4.5kg/cm2の熱圧をかけて該サンプルシートの表面にエンボス加工を施した後、シナ合板(4mm厚)に接着剤(中央理化工業製:リカボンドBA−10)を介して貼り合わせ(接着剤塗布量:8g/0.09m2・wet)、その後、剥離試験を行ない、以下に示す方法で密着力を見た。密着力の試験は、180°ピーリング法によりシナ合板から化粧シートをはがし、剥がれた界面を観察し、接着剤とシナ合板の界面で剥離したものを○とし、化粧シートの裏面側プライマー層とポリプロピレンシートの界面に剥離が一部見られたものを△とした。
【0082】
上記実験例に示すように、プライマー層を形成するアクリル・ウレタン共重合体の共重合比がアクリル/ウレタン=70/30に対し、アクリル樹脂成分を減少させウレタン樹脂成分を増加させアクリル/ウレタン=30/70とした場合(実施例2)、耐候密着性(2)が低下する傾向が見られ、またアクリル樹脂成分を増加させウレタン樹脂成分を減少させアクリル/ウレタン=90/10とした場合(実施例3)、耐熱密着性が低下する傾向が見られた。
【0083】
耐候密着性(2)試験は、耐候密着性(1)試験と比較して、アイ・スーパーUVテスター促進暴露時間を100時間から150時間に延長したもので、更に厳しい条件の耐候密着性を比較したものである。また、化粧シートは、エンボス加工やラミネート加工などの後加工される場合に、熱や圧力が加わる。耐熱密着性試験は、このような化粧シートに熱圧が加わる場合を想定した試験である。裏面側プライマー層のアクリル・ウレタン共重合体の共重合比が、アクリル/ウレタン=40/60〜80/20の範囲であれば、耐候密着性が特に良好であり、加工性の幅が広く良好な加工性を有する化粧シートが得られる。
【0084】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、裏面側プライマー層の樹脂として、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体と、イソシアネートとから形成された樹脂を用い、該層を介して絵柄層やベタ層などのインキ層を設けた構成を採用したことにより、裏面側プライマー層と熱可塑性樹脂基材シートとの密着性が優れている。本発明では特に、裏面側プライマー層は、塗工直後から高い密着性を示し初期密着性が良好であるとともに、紫外線などに長期間晒された後の密着性である耐候密着性にも優れ、両方の特性のバランスが取れている、従来にはない優れた特性の建材用化粧シートが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建材用化粧シートの1例を示す断面図である。
【図2】本発明の建材用化粧シートを用いた化粧板の1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 建材用化粧シート
2 熱可塑性樹脂基材シート
3 表面保護層
4 表面側プライマー層
5 凹凸模様
6 ワイピングインキ
7 裏面側プライマー層
8 絵柄層
9 ベタ層
10 インキ層
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂基材シート上に表面保護層が形成され、且つ反対面にプライマー層、インキ層が順次設けられた建材用化粧シートにおいて、上記プライマー層が、アクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合体と、イソシアネートとから形成されたものであり、上記アクリル樹脂がポリメチルメタクリレートであることを特徴とする建材用化粧シート。
- 上記ポリメチルメタクリレートが、末端に水酸基を有するポリメチルメタクリレートである、請求項1に記載の建材用化粧シート。
- プライマー層のアクリル樹脂及びウレタン樹脂の共重合体が、末端に水酸基を有するポリメチルメタクリレートからなるアクリル重合体成分と、ポリエステルポリオール成分と、ジイソシアネート成分とを反応させて得られたものである請求項1に記載の建材用化粧シート。
- プライマー層のアクリル重合体成分が、末端に水酸基を有する分子量5000〜7000のポリメチルメタクリレートであり、ポリエステルポリオール成分が分子量500〜5000のアジペート系ポリエステルポリオールであり、ジイソシアネート成分がイソホロンジイソシアネートである、請求項3に記載の建材用化粧シート。
- プライマー層を構成するアクリル樹脂とウレタン樹脂の共重合比が、40/60〜80/20であって、上記共重合比における成分比率において、アクリル樹脂成分は、共重合体中のアクリル重合体の重量比であり、ウレタン樹脂成分はポリエステルポリオールとイソシアネート成分の合計量の重量比である請求項3または4に記載の建材用化粧シート。
- 熱可塑性樹脂基材シートがポリオレフィン系樹脂シートである請求項1〜5のいずれか1に記載の建材用化粧シート。
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