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JP4318337B2 - 非水系電気化学素子用電極およびその製造方法 - Google Patents

非水系電気化学素子用電極およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電気二重層キャパシタを構成するために好適に使用されるフッ化ビニリデン重合体系の電極の製造方法に関する。特に、非水系電気二重層キャパシタの信頼性面での改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子あるいは電気機器の小型軽量化を含む発展にはめざましいものがある。これに伴い、これら機器の電源となる電池あるいは電気二重層キャパシタ等の電気化学素子の大容量化ならびに小型化の要請も強く、この面では、有機溶媒系の電解液を用いる非水系電気化学素子が著しく適している。特に、電気二重層キャパシタは、大容量かつ長寿命で、急速充填が可能、充放電が容易、二次電池に比べてサイクル特性に優れている、二次電池の中で最も信頼性の高いNi−Cd電池に比べて安価であるといった特徴を有するため、新たなエネルギーデバイスとして、多くの分野で機能的な応用が期待されるようになっている。さらに、電気二重層キャパシタは、電子機器のバックアップ電源などの小電力用から、電気自動車やハイブリッドカーの補助電源などの大電力分野への応用も検討されている。それに伴って、分極性電極に対しても大容量化などの高性能化が求められている。
【0003】
電気二重層キャパシタは、分極性電極と電解質界面に生じる電気二重層に蓄積される容量を利用するキャパシタである。電気二重層キャパシタに用いられる電解液は、有機溶媒系と水溶液系に大別されるが、有機溶媒系は耐電圧が高く容量を大きくできるので、高容量キャパシタとして有利である。分極性電極は比表面積や嵩密度が大きく、電気化学的に不活性であって、電気抵抗が低いことが要求される。電気二重層キャパシタ用の分極性電極構造体は、粉末活性炭材料、電気伝導性を付与する導電材、結合材としてのバインダーおよび金属集電体で構成される。電極構造体の作製方法としては、粉末活性炭材料、導電材、バインダーからなる混合物に溶剤を添加して混合スラリーとしたものを集電体に塗布または浸漬し乾燥して作製する方法(例えば、特開平10−64765号公報)や、粉末活性炭材料、導電材、溶剤に不溶のバインダーからなる混合物に溶剤を添加して混練り成形し、乾燥して得たシートを集電体表面に導電性接着剤等を介して接合した後にプレスおよび熱処理乾燥して作製する方法(例えば、特開平9−275041号公報)などがあり、作製工程のコストを考えると、特に前者の作製方法が好ましい。
【0004】
バインダーとして電気化学的安定性などの点からポリフッ化ビニリデンが注目され、特開平8−55761号公報には、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素ポリマーとN−メチル2−ピロリドン、トルエン、エチルアセテート、ジメチルフタレート等の有機溶剤と、活性炭粉末と、必要に応じて導電性付与剤からなるスラリーを集電体上にコートし、その後乾燥して有機溶剤を除去して分極性電極を形成する工程を有する電気二重層キャパシタの製法が開示されている。
【0005】
同様な方法により、但し、活性炭粉末の代りに、主として黒鉛系あるいは非黒鉛系の炭素粉末を用いて、形成した電極は、非水系二次電池の負極としても広く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにして形成された電極を含む電気化学素子、特に電気二重層キャパシタ、において使用の継続に伴い、素子容量が低下したり、あるいは素子ケースが膨張・変形する等の不都合がしばしば見出された。
【0007】
したがって、本発明の主要な目的は、フッ化ビニリデン系重合体バインダーを使用して形成した電極を含む非水系電気二重層キャパシタの継続使用下において、素子容量の低下、素子ケースの膨張・変形等の問題を低減し、信頼性ある素子を構成するために好適なフッ化ビニリデン重合体系の電極の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明者らの研究によれば、上述の目的の達成のためには製造工程に使用したフッ化ビニリデン系重合体の溶媒を効果的に低減する電極の製造方法を採用することが極めて有効であることが見出された。
【0009】
すなわち、本発明の非水系電気二重層キャパシタ用電極の製造方法は、0.5〜10重量%のフッ化ビニリデン系重合体と比表面積が500〜3000m /gの活性炭粉末とを含む電極合剤に加えてフッ化ビニリデン系重合体の良溶媒を含む電極合剤層を含む電極構造体を、該良溶媒と相溶性があり且つ該良溶媒の沸点よりも低い100℃以下の沸点を有するアルコール類および塩素化炭化水素から選ばれたフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒で洗浄後、乾燥することにより、熱天秤(TGA)法により測定した溶剤残留量が2重量%以下の非水系電気二重層キャパシタ用電極を製造することを特徴とするものである。
【0010】
本発明者らが、上記目的で研究して本発明に到達するに至った経緯について付言する。
【0011】
上記したような、非水系電気化学素子における、素子容量の低下、素子ケースの膨張・変形などの不都合の発生原因は、電極形成後には本来ならば電極から除去されるべき溶媒の一部が電極中に残存し、素子の継続使用中においてこの残存溶媒が電気化学的に分解することに起因している。特に、上記問題は、比表面積が大きく細孔構造に富む活性炭粉末を使用する、電気二重層キャパシタにおいてより顕在化し得る(事実、活性炭粉末と有機溶媒との組合せにもよるが電極中の10重量パーセントを超える量が残存し得る)。これらのことは、少なくとも上記問題に当面した関連技術者の一部による推測の範囲内であったと解される。
【0012】
従って、電極形成後の溶媒除去を効率的に行うために比較的低沸点でフッ化ビニリデン系重合体に対する良好な溶解能を有する有機溶媒を選択使用する試みもいくつかは行なわれている。しかしながら、フッ化ビニリデン系重合体に対する良溶媒は一般に沸点が100℃を超え、このような良溶媒の選択使用によって、電極中の溶剤残留量を効果的に低減することは困難である。特に、粉末炭素材料との組合せにより電極合剤層を形成すべきフッ化ビニリデン系重合体は、機能的には電極中の不活性物質であり、電極容量を高めるためには、その電極合剤層中での使用量は、例えば10重量%以下というようにできるだけ低減すべきである。そして、このような少量のフッ化ビニリデン系重合体により粉末炭素材料を効果的に保持して、堅牢な電極合剤層を形成するためには、フッ化ビニリデン系重合体を効率的に溶解して、均一に薄膜ならびに網状化した状態で粉末炭素材料を保持し得るようにするために、フッ化ビニリデン系重合体の良溶媒の使用は不可欠であり、その溶解能を犠牲にして、溶剤残留量を低減することは、良好な特性の電極を形成するという観点で得策ではない。本発明者らは、このような観点で、更に研究を進めた結果、フッ化ビニリデン系重合体と粉末炭素材料、特に活性炭粉末と、フッ化ビニリデン系重合体の良溶媒とで、フッ化ビニリデン系重合体が良好に薄膜化し網状化した状態で粉末炭素材料を保持する電極合剤層を有する電極構造体を形成した後、比較的低沸点で該フッ化ビニリデン系重合体の良溶媒とは相溶性を有するが自身はフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒である有機溶媒により電極構造体を洗浄し、その後乾燥する工程結合を採ることにより、形成される電極合剤層中の溶剤残留量を全体として著しく低減し、且つ該有機溶媒自体はフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒であるから、一旦形成されたフッ化ビニリデン系重合体の薄膜による粉末炭素材料の結着機能は本質的に損なわれることがないことを知見して本発明を完成したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の非水系電極の製造方法の典型的な実施の形態を、逐次説明する。
【0014】
電極バインダーを構成するフッ化ビニリデン系重合体としては、フッ化ビニリデンの単独重合体または、フッ化ビニリデン50重量パーセント以上とこれと共重合可能な単量体50重量パーセント以下との共重合体が適宜選択使用される。
【0015】
フッ化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、等の炭化水素系単量体、フッ化ビニル、3フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル、等の含フッ素単量体、マレイン酸モノメチル、シトラコン酸モノメチル、等のカルボキシル基含有単量体、またはアリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエステル、等のエポキシ基含有ビニル単量体、が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なかでも6フッ化プロピレンや3フッ化塩化エチレンを含むフッ化ビニリデン共重合体が好ましく用いられる。
【0016】
バインダーとしてのフッ化ビニリデン系重合体のインヘレント粘度は、特に制限はなく目的に応じて選択することができるが、インヘレント粘度が0.5dl/gから5.0dl/gであることが電極の密着性、機械強度などの点からより好ましい。ここでいうインヘレント粘度とはポリマーの分子量の目安として用いられるもので、樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度をいう。
【0017】
一般に、上記したようなフッ化ビニリデン系重合体を、一旦その良溶媒に溶解して予めバインダー溶液を形成し、その後該バインダー溶液に粉末炭素材料を分散させて、電極形成用合剤スラリーを形成する。
【0018】
本発明においてフッ化ビニリデン系重合体の良溶媒とは、室温(25℃)において、当該フッ化ビニリデン系重合体の1重量%以上、好ましくは5重量%以上の濃度のバインダー溶液を形成し得る溶解能を有する有機溶媒を云い、その好適な例としては、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)ジメチルホルムアミド(沸点163℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N−ジメチルスルホキシド(沸点189℃)、ヘキサメチルホスホアミド(沸点235℃)、テトラメチルウレア(沸点178℃)、トリエチルホスフェート(沸点215℃)など、従来非水系電気化学素子の電極形成用バインダー溶液の形成用に用いられたものが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でまたは二種以上混合して、一般にフッ化ビニリデン系重合体濃度が0.5〜30重量%、好ましくは2〜15重量%程度のバインダー溶液が形成される。
【0019】
電極合剤スラリーは、必要に応じて40℃以上の加温下に保持された上記で得られたバインダー溶液と、粉末炭素材料及び必要に応じて添加される後記する導電材等の任意添加剤とを、スラリー固形分中のフッ化ビニリデン系重合体バインダー量が約0.5〜10重量%、より好ましくは2〜10重量%となるように、混合することにより得られる。もっとも、操作的には、一旦バインダー溶液を調製することなく、フッ化ビニリデン系重合体、有機溶媒および粉末炭素材等を一挙に混合することによっても、電極合剤スラリーは形成可能である。
【0020】
電気二重層キャパシタの分極性電極形成用の電極合剤の場合、活性炭粉末としては、比表面積が500〜3000m/gのものを好適に用いることができ、具体例としては、やしがら系活性炭、フェノール系活性炭、石油コークス系・ピッチ系活性炭、ポリ塩化ビニリデン系活性炭等が挙げられる。
【0021】
分極性電極作製用の電極合剤は、上記の溶剤とフッ化ビニリデン系重合体と活性炭粉末から構成される。電気伝導性を付与するために導電材を添加することが通常であり、導電材の具体例としては、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタンや酸化ルテニウム等の金属酸化物や金属ファイバーが使用できる。中でもカーボンブラックの一種であるケッチェンブラックやアセチレンブラックは好ましく用いられる。導電材の添加量は、必要とされる導電性の程度、に応じて選択することができる。
【0022】
上記のようにして調製された合剤スラリーは集電体への良好な塗布性を有する。塗布の方法は公知の方法でよく、中でもドクターブレード法が好ましく用いられる。合剤が塗布された集電体(電極構造体)は、必要に応じて一旦20〜200℃で乾燥した後、本発明に従い、低沸点貧溶媒による洗浄工程に付される。
【0023】
洗浄溶媒として用いる低沸点貧溶媒としては、上述したフッ化ビニリデン系重合体の良溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)やN,N−ジメチルホルムアミド(沸点163℃)などと相溶性があり、なおかつ使用した良溶媒より低い沸点をもったフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒であるものであれば特に限定されない。より具体的には、上述の洗浄溶媒としては、室温(25℃)において、フッ化ビニリデン系重合体に対し0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の溶解能しか示さず、且つ電極構造体製造工程で使用されるフッ化ビニリデン系重合体の良溶媒と相溶性(好ましくは無限溶解性)を有するものが好ましく用いられる。例えば、アルコール類では、メチルアルコール(沸点65℃)、イソプロピルアルコール(沸点82℃)など、塩素化炭化水素では、塩化メチレン(沸点40℃)、1,1,1−トリクロロエタン(沸点74℃)などの溶媒を例示できるが、不燃性であり乾燥が容易な塩化メチレンが特に好ましい。洗浄溶剤に良溶媒を使用した場合、洗浄中にバインダーであるフッ化ビニリデン系重合体が電極構造体より流出し、バインダーとしての機能を失うため好ましくない。
【0024】
上述したようなフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒は、少なくとも非水系電気化学素子の電極形成用フッ化ビニリデン系重合体バインダー溶液の形成には、従来用いられなかったものである。
【0025】
洗浄方法としては、温度5〜100℃、好ましくは10〜50℃の洗浄溶剤中に乾燥後の合剤が塗布された集電体を放置するだけでも洗浄効果があるが、必要に応じて連続的に溶剤中を移動させたり、超音波等による振動を加え洗浄効果を高めることができる。洗浄後の電極構造体は、乾燥のため40〜170℃で熱処理される。乾燥後の電極構造体は必要に応じてプレス工程を経て、非水系電気二重層キャパシタ用電極構造体として提供される。
【0026】
このようにして得られた本発明の非水系電気二重層キャパシタ用の電極構造体における電極合剤層は、溶剤残留量が2重量%以下と、極めて効果的に低減されていることに加えて、その製造方法の結果として、通常のフッ化ビニリデン系重合体系電極には見られないフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒をガスクロマトフラフィーにより検出可能な量で含むことが特徴的である。
【0027】
本発明で構成される電気二重層キャパシタとしては、図1に示す構造のものを例示することができる。すなわち、図1は、単セルの電気二重層キャパシタの一例の断面図である。この電気二重層キャパシタは、2つの分極性電極1、2によりセパレーター3を挟み、これらをさらにステンレススチール製キャップ4と、電解液6を入れたステンレス製缶5との間に、パッキング7を介して封入したものである。その結果、電解液6はセパレーター3に含浸され一対の分極性電極1および2間に配置されることとなる。電解液の溶媒としてはプロピレンカーボネートが一般的であり、電解質としては第4級ホスホニウム塩、第4級アンモニウム塩が一般的であり、例えば、(CNBFのプロピレンカーボネート溶液などの有機電解液を使用することができる。電解液中の電解質の濃度は5〜95重量%の範囲で適宜選択することができる。
【0028】
上記においては、本発明の電気二重層キャパシタならびにこれに含まれる分極性電極およびその形成用電極合剤について主として述べた
【0029】
【実施例】
以下、本発明を、実施例および比較例により更に具体的に説明する。
【0030】
(実施例1)
活性炭粉末(比表面積1200m/g)80重量部およびカーボンブラック(電気化学工業株式会社製「デンカブラック」)12重量部に、N−メチル−2−ピロリドンおよびポリフッ化ビニリデン(「KF#1700」呉羽化学工業株式会社製)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をポリフッ化ビニリデン8重量部、N−メチル−2−ピロリドン331重量部になるように添加し30℃にて混合し、電極合剤スラリーを得た。
【0031】
この電極合剤をアルミ箔の片面上にドクターブレード法で塗布し、加熱乾燥(130℃、30分)してシート状電極材料を得た。このシート状電極を25℃の塩化メチレン中に30分間浸漬して洗浄し、さらに130℃で10分間加熱乾燥した。洗浄乾燥後のシート状電極を直径17mmの円形に打ち抜き、プレス(102MPa、1分)した後、直径15mmの円形に打ち抜き、計3枚の円盤状電極材を得た。そのうち、2枚を図1に示すように分極性電極1及び2とし、残り1枚を残留溶媒試験用試料とした。この分極性電極1、2をガラス繊維製不織布のセパレーター3を挟みステンレス製キャップ4及びステンレス製缶5からなる容器中に収納した。次に、ステンレス容器中に所定の電解液6((C2H5)4NBF4のプロピレンカーボネート溶液:1mol/l)を入れ分極性電極1、2及びセパレーター3に十分に含浸させたのちポリプロピレン製パッキング7を介してキャップ4及び缶5の端部をかしめ一体化した。
【0032】
このようにして作製した図1に示すような構成の電気二重層キャパシタの信頼性を下記のようにして、60℃の恒温槽中での加速試験をすることにより評価した(60℃の200時間は20℃の4ケ月余りに相当すると考えられる)。すなわち、該キャパシタを、60℃の恒温槽中に保持し、電流密度1.6mA/cmで2.5Vまで充電し、3時間充電状態を保持した後に、同電流密度で0Vまで放電しそのエネルギー量を求め、この値を初期エネルギー容量とした。その後すぐに同条件で再充電し充電状態で200時間保持後に、同条件で放電し放電容量を測定した。容量は、電極中の活性炭単位重量当りエネルギー容量(mWh/g)として算出した。上記試験後の電極を取り出し目視観察したが、形状変化は観察されなかった。
【0033】
別途、上記で得られた円盤状電極材の一部を、熱天秤(Mettler社製「TGA」)に載せ、窒素気流中で20℃/分で600℃まで昇温した。途中、約40℃〜約350℃で見られる減少重量分を、残留溶媒量として、アルミ箔を除いた電極合剤に対する重量%で算出したところ0.2重量%であった。
【0034】
結果を以下の実施例、比較例のそれとともに後記表1にまとめて記す。
【0035】
別途、円盤状電極材の一部を、溶媒二硫化炭素中に分散させ、濾過後、母液をガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製「GC−9A」)により分析したところ、重量比でN−メチル−2−ピロリドン4.6ppmに対し、1.5ppmの塩化メチレンが含まれていることが確認された。
【0036】
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた合剤スラリーを使用し、洗浄溶媒を塩化メチレンからメチルアルコールに変えた以外は、実施例1と同様にして、分極性電極および電気二重層キャパシタを作成し、評価した。
【0037】
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた合剤スラリーを使用し、塩化メチレン洗浄をしないこと以外は実施例1と同様にして、分極性電極および電気二重層キャパシタを作製し、評価した。
【0038】
【表1】
Figure 0004318337
【0039】
表1によれば本発明の実施例にかかる電極は、比較例に比べ、容量劣化が小さく信頼性が高いことがわかる。
【0040】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、一旦フッ化ビニリデン系重合体の良溶媒を用いて形成したフッ化ビニリデン系重合体系電極構造体を、更に低沸点のフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒で洗浄後に乾燥することにより、従来に比べて、著しく溶剤残留量を低減した非水系電気二重層キャパシタ用電極が提供され、これにより残留溶剤により惹き起されていた素子容量の低下、素子ケースの膨張変形などの従来素子に見られた問題が著しく低減した信頼性の高い電気二重層キャパシタ、が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により構成される電気二重層キャパシタの一例の構造の断面図。
【符号の説明】
1、2 分極性電極
3 セパレータ
4 キャップ
5 缶
6 電解液
7 パッキング

Claims (2)

  1. 0.5〜10重量%のフッ化ビニリデン系重合体と比表面積が500〜3000m /gの活性炭粉末とを含む電極合剤に加えてフッ化ビニリデン系重合体の良溶媒を含む電極合剤層を含む電極構造体を、該良溶媒と相溶性があり且つ該良溶媒の沸点よりも低い100℃以下の沸点を有するアルコール類および塩素化炭化水素から選ばれたフッ化ビニリデン系重合体の貧溶媒で洗浄後、乾燥することを特徴とする、熱天秤(TGA)法により測定した溶剤残留量が2重量%以下の非水系電気二重層キャパシタ用電極の製造方法。
  2. 前記良溶媒がN−メチルー2−ピロリドンであり、前記貧溶媒が塩化メチレンである請求項1に記載の製造方法。
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