JP4317710B2 - 格納式アシストグリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両等に装備され、不使用時にコイルばね体のばね力によってグリップ本体を使用位置から格納位置に回動させて格納するようにした格納式アシストグリップに関し、特に、コイルばね体の組付け対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上述の如き格納式アシストグリップとして、長尺状のグリップ本体における長さ方向両端の一対の脚部をそれぞれ取付座を介して車体等に対し回動可能に軸支するとともに、少なくとも一方の脚部と取付座との間にコイルばね体を装着して、不使用時にコイルばね体のばね力によってグリップ本体を使用位置から格納位置に回動させて格納するようにした格納式アシストグリップが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記の特許文献1では、グリップ本体の一方の脚部には、グリップ本体が格納位置にあるときに車体パネルに対向する面に開口して取付座の一部を収容する取付座収容部が形成されている。また、上記一方の脚部を取付座に対して軸支する支持軸の周りにはコイルばね体が配置されていて、このコイルばね体の長さ方向一端部の外周から延長された線材の端部が上記一方の脚部に、また、同様にコイルばね体の他端部の外周から延長された線材の端部が取付座にそれぞれ係止されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−24759号公報(第4頁、図12)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般には、コイルばね体を脚部と取付座との間に装着する際、コイルばね体をコイルばね収納部内に収納した取付座を脚部の取付座収容部内に収容し、コイルばね体の一端側線材延長部を取付座収容部の開口辺部に形成された挿入溝に挿入してその底部に接触させるとともに、他端側線材延長部をコイルばね体収納部に接触させ、この状態で脚部、取付座及びコイルばね体に対して支持軸を挿通するようにしているため、取付座を取付座収容部内に配置してから支持軸を挿入するまでの間に取付座が動くと、コイルばね体の上記一端側線材延長部が挿入溝から外れて取付座収容部内に落ち込み、コイルばね体を脚部に組み付けることができなくなる。
【0006】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取付座が取付座収容部内で動いても、コイルばね体の一端側線材延長部が取付座収容部内に落ち込まないようにしてコイルばね体を脚部に確実に組み付けるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、コイルばね体の一端側線材延長部が挿入される挿入溝周りの構造に工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、この発明は、長さ方向の両端に脚部を有する長尺状のグリップ本体と、上記脚部をそれぞれ回動自在に軸支するとともに固定体に固定される一対の取付座と、上記グリップ本体の少なくとも一方の脚部と取付座との間に設けられ、グリップ本体を使用位置から格納位置に回動させるコイルばね体とを備えた格納式アシストグリップを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記グリップ本体の一方の脚部には、該グリップ本体が格納位置にあるときに上記固定体に対向する面に開口して取付座の一部を収容する取付座収容部が形成され、上記一方の脚部に対応する取付座には、上記取付座収容部に収容されてグリップ本体の長さ方向に延びる筒状のコイルばね体収納部が一体に形成され、上記コイルばね体は、その長さ方向両端部の外周から線材が平面視にてコイルばね体の長さ方向に略直交しかつ互いに略反対方向に延びる一対の第1延長部及び第2延長部を有し、上記取付座収容部は、少なくとも上記コイルばね体の長さ方向に略平行な開口辺部を有し、該開口辺部の長さ方向一端部には上記コイルばね体の第1延長部を上記取付座収容部の開口側から挿入する挿入溝が形成され、上記開口辺部の取付座収容部側には上記挿入溝の底部から取付座収容部内に向けて突出し上記挿入溝の底部と共に上記コイルばね体の第1延長部が圧接される座部が立設され、上記挿入溝の一方の側壁部は取付座収容部内に向けて突出して延出壁部を構成し、上記コイルばね体の第2延長部は、上記コイルばね体収納部に圧接されていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成により、請求項1に記載の発明では、コイルばね体を収容した取付座を脚部の取付座収容部内に収容し、コイルばね体の第1延長部を取付座収容部の開口辺部に形成された挿入溝に挿入してその底部に接触させるとともに、第2延長部をコイルばね体収納部に接触させた状態で取付座が開口辺部から遠ざかるように取付座収容部内を動いても、上記第1延長部は挿入溝の底部から取付座収容部内に向けて突出する座部で受けられて取付座収容部内に落ち込まず、コイルばね体が脚部に確実に組み付けられる。また、上記第1延長部の先端が上記挿入溝の底部よりも取付座収容部の内側へずれた場合でも、取付座収容部内に突出する延出壁部によって第1延長部が移動規制されてコイルばね体の長さ方向への位置ズレが防止される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記延出壁部及び挿入溝の一方の側壁部上端には、内側に向かって下傾する傾斜面が連続して形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成により、請求項2に記載の発明では、コイルばね体の第1延長部が傾斜面で案内されて、第1延長部がスムーズに挿入溝に挿入される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
図7はこの発明の実施の形態に係る格納式アシストグリップGを示し、このアシストグリップGは、例えば車両の車室側壁に車室内に臨むように取付け固定される。
【0015】
上記アシストグリップGは、図7に示すように、例えばPP(ポリプロピレン)等からなる樹脂製のグリップ本体1と、例えばPOM(ポリアセタール)等からなる一対の第1及び第2取付座3,5とを備えている。上記グリップ本体1は長尺バー状のもので、その長さ方向が車体前後方向と略一致するように配置されている。このグリップ本体1は長さ方向両端が同じ方向に湾曲して略コ字状をなし、当該部分がそれぞれ第1及び第2脚部1a,1bとされている。
【0016】
上記第1及び第2取付座3,5は、第2取付座5を例に挙げて説明すると、図5に示すように、車室側壁の一部を構成する固定体としての車体パネルPに表面側(車室側)から取付け固定されている。これら第1及び第2取付座3,5の取付位置に対応する車体パネルPにはボルト挿通孔p1が貫通形成され、車体パネルPの裏面には上記ボルト挿通孔p1に対応してウェルドナットNが溶着されている。
【0017】
上記グリップ本体1は、その一対の第1及び第2脚部1a,1bにてそれぞれ第1及び第2取付座3,5に回動可能に軸支されており、このような両脚部1a,1bによる軸支構造により、グリップ本体1は使用位置と格納位置との間で回動し、使用位置にあるときには、図7に示すように、グリップ本体1の中間部が車室内方に突出して水平面からやや斜め下方に向いた状態となる一方、格納位置にあるときには、図5に示すように、グリップ本体1が上記使用位置から略90°上向きに回動して車室側壁の車体パネルPに沿った状態となる。
【0018】
上記グリップ本体1の第1及び第2脚部1a,1bにおいて、グリップ本体1が格納位置にあるときの車体パネルP対向面には、断面略矩形状に切り欠かれた平面視略半楕円形状の凹部からなる取付座収容部7が形成され、グリップ本体1の格納位置で各取付座収容部7内に上記第1及び第2取付座3,5の後述する取付座本体9の一部の車室側部を収容するようになっている。
【0019】
上記第1及び第2取付座3,5は一部分を除いてその大半が同じ構造であり、まず、同じ構造部分について説明すると、図5及び図7に示すように、第1及び第2取付座3,5は、車室側に開口する有底箱状の取付座本体9を備えている。この取付座本体9は、上記取付座収容部7に対応する略半楕円形状で、その開口周縁部には取付座本体9の開口を閉じるリッド11が薄肉ヒンジ13を介して一体に形成されている。また、この取付座本体9の底壁部にはボルト挿通孔9aが貫通形成されており、このボルト挿通孔9aを車体パネルPのボルト挿通孔p1に一致させ、両ボルト挿通孔9a,p1に取付ボルトBを挿通して、車体パネルP裏面の上記ウェルドナットNに螺合締結することにより、第1及び第2取付座3,5が車体パネルPに取付け固定されている。なお、図示しないが、ボルト・ナット結合に代え、取付座本体9裏面に可撓性の係止爪を一体に突設し、この係止爪を車体パネルPの係止孔に挿入してその周縁部に係止させることで、第1及び第2取付座3,5を車体パネルPに取付け固定するようにしてもよい。
【0020】
次に、上記第1及び第2取付座3,5の異なる構造部分について説明すると、第1取付座3の取付座本体9下端側壁の開口側端部には、図7に示すように、グリップ本体1の長さ方向に延びる断面円形の筒状支持部15が一体に形成されている。この筒状支持部15には図示しない支持軸が嵌挿され、この支持軸と筒状支持部15との間には、例えばシリコン等の高粘度(100000cps以上が望ましい)の粘性流体が充填されている。そして、この粘性流体の粘性によりグリップ本体1が使用位置から格納位置へ回動するときの回動抵抗となるトルクを発生し、グリップ本体1の回動動作を緩行させるダンパー装置を構成している。
【0021】
一方、第2取付座5の取付座本体9下端側壁の開口側端部には、図5及び図7に示すように、上記取付座収容部7に収容されてグリップ本体1の長さ方向に延びる筒状のコイルばね体収納部17が一体に形成されている。このコイルばね体収納部17には、グリップ本体1を使用位置から格納位置に回動させる捻りコイルばねからなるコイルばね体19が収納されている。このコイルばね体19は、図1、図2及び図4にも示すように、その長さ方向両端部の外周から線材が平面視にてコイルばね体19の長さ方向に略直交しかつ互いに略反対方向に延びる一対の第1延長部19a及び第2延長部19bを有している。
【0022】
上記コイルばね体収納部17は、開放された収納凹部21を有するように一対の側壁部23と底壁部25とで構成され、上記両側壁部23には軸孔27がそれぞれ貫通形成されている。一方、上記第2脚部1bの取付座収容部7の外側壁部29aには貫通軸孔31aが貫通形成されているとともに、内側壁部29bには有底軸孔31bが形成されている。そして、上記コイルばね体19をコイルばね体収納部17の収納凹部21内に配置した状態で、第2脚部1bの軸孔31a,31bとコイルばね体収納部17の軸孔27とに支持軸33を串刺し状に嵌挿することにより、コイルばね体19を第2脚部1bに組み付けるようになっている。
【0023】
一方、上記取付座収容部7は、上記コイルばね体19の長さ方向に略平行な開口辺部35を有し、該開口辺部35の長さ方向一端部には、図3にも示すように、上記コイルばね体19の第1延長部19aを上記取付座収容部7の開口側から挿入する挿入溝37が形成されている。また、上記開口辺部35の取付座収容部7側には、上記挿入溝37の底部37aから取付座収容部7内に向けて一体的に突出し上記挿入溝37の底部37aと共に上記コイルばね体19の第1延長部19aが圧接される座部39が立設されている。この座部39を設けたことがこの発明の特徴とするところである。さらに、上記挿入溝37の一方の側壁部も取付座収容部7内に向けて突出して延出壁部41を構成し、この延出壁部41及び挿入溝37の一方の側壁部上端には内側に向かって下傾する傾斜面43が連続して形成されている。また、上記取付座収容部7には、上記挿入溝37と略対角線の位置関係になるように挿入溝45が形成され、この挿入溝45に上記コイルばね体19の第2延長部19bが圧接されている。そして、コイルばね体19の捩り力によってグリップ本体1は常時は格納位置に位置付けられるように使用位置から格納位置に向かう方向(図5で反時計回り方向)に回動付勢されている。
【0024】
上記コイルばね体19は第2取付座5に収納された状態でグリップ本体1の第2脚部1bに組み付けられる。その要領は、まず、コイルばね体19を第2取付座5のコイルばね体収納部17の収納空間21内に収納し、第2延長部19bを挿入溝45に挿入する。次いで、図6に示すように、コイルばね体19が収納された第2取付座5をコイルばね体19が上になるように傾けて第2脚部1bの取付座収容部7内に収容し、コイルばね体19の第1延長部19aを取付座収容部7の開口辺部35に形成された挿入溝37に傾斜面43で案内しながら挿入してその底部37aに接触させる。
【0025】
この際、第2取付座5がコイルばね体19と共に開口辺部35から遠ざかるように取付座収容部7内を動いても、上記第1延長部19aを挿入溝37の底部37aから取付座収容部7内に向けて突出する座部39で受けて第1延長部19aが取付座収容部7の内壁に当接するように落ち込まないようにすることができる。しかる後、支持軸33を第2脚部1bの外側壁部29a側から軸孔31a,31bに挿入し、該軸孔31a,31bとコイルばね体収納部17の軸孔27とに串刺し状に嵌挿することで、コイルばね体19を第2脚部1bに確実に組み付けることができる。
【0026】
また、コイルばね体19の第1延長部19aを傾斜面43で案内するので、第1延長部19aをスムーズに挿入溝37に挿入することができるとともに、上記第1延長部19aの先端が上記挿入溝37の底部37aよりも取付座収容部7の内側へずれた場合でも、取付座収容部7内に突出する延出壁部41によって第1延長部19aを移動規制してコイルばね体19の長さ方向上記内側壁部29b側への位置ズレを防止することができる。
【0027】
なお、上記の実施の形態では、グリップ本体1の第1脚部1a側に粘性ダンパを設け、第2脚部1b側にコイルばね体19を組み付けたが、これとは逆に、第1脚部1a側にコイルばね体19を組み付け、第2脚部1b側に粘性ダンパを設けてもよく、また、第1及び第2脚部1a,1bの両方に粘性ダンパ及びコイルばね体19をそれぞれ併設するようにしてもよい。
【0028】
また、挿入溝37,座部39,延出壁部41及び傾斜面43は、第2脚部1bの内側壁部29b寄りに設けてもよい。
【0029】
さらに、内側壁部29b側の軸孔31bを外側壁部29a側の軸孔31aと同様に貫通形成してもよく、あるいは上記の実施形態とは逆に軸孔31aを有底軸孔に、軸孔31bを貫通軸孔にしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、取付座収容部の開口辺部の長さ方向一端部に挿入溝を形成するとともに、上記開口辺部の取付座収容部側に上記挿入溝の底部から取付座収容部内に向けて突出し挿入溝の底部と共にコイルばね体の第1延長部が圧接される座部を立設したので、コイルばね体を収納した取付座が開口辺部から遠ざかるように取付座収容部内を動いても、上記第1延長部を座部で受けて取付座収容部内に落ち込まないようにすることができ、コイルばね体を脚部に確実に組み付けることができる。また、上記第1延長部の先端が上記挿入溝の底部よりも取付座収容部の内側へずれた場合でも、取付座収容部内に突出する延出壁部によって第1延長部を移動規制してコイルばね体の長さ方向への位置ズレを防止することができる。
【0031】
請求項2に係る発明によれば、上記延出壁部及び挿入溝の一方の側壁部上端に、内側に向かって下傾する傾斜面を連続して形成したので、コイルばね体の第1延長部を傾斜面で案内して、第1延長部をスムーズに挿入溝に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図2のI−I線における断面図である。
【図2】 コイルばね体の組付け構造を示す平面図である。
【図3】 第2脚部の挿入溝部分を示す平面図である。
【図4】 図2のIV−IV線における断面図である。
【図5】 アシストグリップ格納状態において図7のV−V線に相当する断面図である。
【図6】 コイルばね体を収納した第2取付座をグリップ本体の第2脚部に組み付ける作業の説明図である。
【図7】 アシストグリップの使用位置における斜視図である。
【符号の説明】
1 グリップ本体
1a 第1脚部
1b 第2脚部
3 第1取付座
5 第2取付座
7 取付座収容部
17 コイルばね体収納部
19 コイルばね体
19a 第1延長部
19b 第2延長部
35 開口辺部
37 挿入溝
37a 底部
39 座部
G アシストグリップ
P 車体パネル(固定体)
Claims (2)
- 長さ方向の両端に脚部を有する長尺状のグリップ本体と、
上記脚部をそれぞれ回動自在に軸支するとともに固定体に固定される一対の取付座と、
上記グリップ本体の少なくとも一方の脚部と取付座との間に設けられ、グリップ本体を使用位置から格納位置に回動させるコイルばね体とを備えた格納式アシストグリップにおいて、
上記グリップ本体の一方の脚部には、該グリップ本体が格納位置にあるときに上記固定体に対向する面に開口して取付座の一部を収容する取付座収容部が形成され、
上記一方の脚部に対応する取付座には、上記取付座収容部に収容されてグリップ本体の長さ方向に延びる筒状のコイルばね体収納部が一体に形成され、
上記コイルばね体は、その長さ方向両端部の外周から線材が平面視にてコイルばね体の長さ方向に略直交しかつ互いに略反対方向に延びる一対の第1延長部及び第2延長部を有し、
上記取付座収容部は、少なくとも上記コイルばね体の長さ方向に略平行な開口辺部を有し、該開口辺部の長さ方向一端部には上記コイルばね体の第1延長部を上記取付座収容部の開口側から挿入する挿入溝が形成され、上記開口辺部の取付座収容部側には上記挿入溝の底部から取付座収容部内に向けて突出し上記挿入溝の底部と共に上記コイルばね体の第1延長部が圧接される座部が立設され、上記挿入溝の一方の側壁部は取付座収容部内に向けて突出して延出壁部を構成し、
上記コイルばね体の第2延長部は、上記コイルばね体収納部に圧接されていることを特徴とする格納式アシストグリップ。 - 請求項1に記載の格納式アシストグリップにおいて、
上記延出壁部及び挿入溝の一方の側壁部上端には、内側に向かって下傾する傾斜面が連続して形成されていることを特徴とする格納式アシストグリップ。
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