JP3897208B2 - 自動車用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、収納可能(可倒式)の例えば自動車用シートに設けられるリクライニング構造及びリクライニングカバーの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリクライニング構造及びリクライニングカバーの取付構造を図8及び図9に示す。図8は、リクライニング構造付きのシートの一般的な収納を示した側面図、図9は、リクライニング構造に取手を設ける場合の斜視図である。
例えば車内に荷物を積み込む場合、そのフロア上の空間を広く確保できるようにするために、図8に示すように、リヤシート1を収納する。例えば同図(a)では、シートバック11を前倒してシートクッション12に重ね、シート全体を前方斜め下方にスライドし、リヤシート1を折り畳む。また、(b)では、シートバック11を前倒してシートクッション12に重ね、シート全体を前方に回転して、リヤシート1を折り畳む。
このような収納可能なリヤシート1の折畳みを行い易くするために、リヤシート1側に収納操作用の取手を設けている。例えば、図9に示すように、荷重を受けて保持するためのブラケット102をヒンジロア103にスポット溶接して固着するとともに、ロアカバー105の形状の一部に、ブラケット102と当接する凹部を形成している。ロアカバー105は、ヒンジロア103にスクリュー等(図示省略)にて固定されている。折り畳もうとする人は、このロアカバー105の凹部を持って行う。なお、アッパーカバー104は、ヒンジアッパー101にスクリュー等(図示省略)にて固定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ブラケット102は、ヒンジロア103と別体であり、スポット溶接で後付けするので、位置決めが必要で、溶接作業を要し、また、部品点数という観点からも、コストダウンを推進する上で好ましくない。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、コストダウンが容易に可能となる自動車用シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、シートバックを前倒してシートクッションに重ねた後、リクライニング構造に設けた収納操作用の取手部を持ってシート全体を折畳んで収納する自動車用シートにおいて、前記リクライニング構造は、シートバックに固定されるリクラアッパーと、シートクッションに固定されるリクラロアとを備え、該リクラアッパーと該リクラロアのそれぞれに設けた連結穴にピンを挿入することにより互いを回動可能に連結するとともに、前記リクラロアの先端部に折曲げまたは成形により設けたフランジ部を、前記シート収納操作時における前記取手の荷重保持部とし、前記フランジ部と前記リクラロアに設けた連結穴との間に、前記リクラロアを前記シートクッションに固定するための取付穴を設け、さらに前記リクライニング構造を覆うリクライニングカバーの前記フランジ部に対応する位置に、前記取手部を設けたことにある。
また、前記リクライニングカバーの内面側に、前記フランジ部が入り込んで挟まれる空間を形成するリブを設けたことにある。
【0005】
前記取手部は前記リクライニングカバーの表面を波形状に形成することにより設けたことにある。
また、前記リクラアッパーに取付けられるアッパーカバーと、前記リクラロアに取付けられるロアカバーにより前記リクライニングカバーを構成し、前記リクラロアに設けた前記シートクッションに固定するための取付穴と前記連結穴との間に、前記ロアカバーを取付けるためのロアカバー取付穴を設けるとともに、前記アッパーカバーと前記ロアカバーをリクライニング構造に取付けた状態で、前記アッパーカバーの後方に位置して該アッパーカバーの下部とラップする突出部を前記ロアカバーに設けたことにある。
【0006】
本発明は、特に収納可能なシートのシートクッションとシートバックに好適である。上記フランジ部は、シート収納操作の荷重保持部となる。
上記突出部は、組付時にアッパーカバーの後側に位置するように形成するのが好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るリクライニング構造及びリクライニングカバーの取付構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。本発明の一実施形態に係るリクライニング構造及びリクライニングカバーの取付構造を図1乃至図7に示す。図1は、本実施形態のリクライニングカバーの取付構造を採用したリヤシートの斜視図、図2は、図1のリクライニングカバー付近を部分的に表した斜視図、図3は、図2の線III −III による断面図、図4は、図2のリクライニングカバー及びリクライニング構造の分解斜視図、図5は、リクライニング構造の正面図、図6は、アッパーカバーの斜視図、図7は、ロアカバーの投影図である。
リヤシート1は、シートバック11の傾斜角度を変えるリクライニング装置(リクライニング構造)を備えている。このリクライニング構造により、シートバック11をシートクッション12に折重ねることができるようになっている(図8参照)。
リクライニング構造は、図2に示すように、リヤシート1の側面部においてアッパーカバー5及びロアカバー6に覆われている。
【0008】
図3及び図4に示すように、リクラアッパー2(第2の固定部材)、リクラロア3(第1の固定部材)及びステー4は、ピン71により回動自在に連結されている。すなわち、リクラアッパー2は、リクラロア3とピン71により回動可能に連結されており、その連結部Aにステー4がピン71により回動自在に共締めされている。リクラアッパー2とステー4とは一体的に回動する。組付け後では、図5に示すようになる。
【0009】
リクラアッパー2及びリクラロア3についてより詳細に説明する。リクラアッパー2及びリクラロア3は、板状で金属製である。
リクラアッパー2は、一端部(同図における上側)に取付穴21が2つ設けられており(図4参照)、この取付穴21により、シートバック11にボルト72で締結されている。
リクラロア3は、図5に示すように、リクラロア(上)3aとリクラロア(下)3bとにより構成されている。両者はねじ締結(図示省略)されている。リクラロア3は、図4に示すように、一端部(同図における下側)に取付穴31が2つ設けられており、更にその先端部が略直角に折り曲げられてL字状のフランジ部32が形成されている。この取付穴31により、シートクッション12にボルト72で締結されている。こうして、リクラアッパー2及びリクラロア3は、シートバック11及びシートクッション12に固定される。
L字状のフランジ部32は、シート収納操作時の荷重保持部となる。
図5に示すように、リクラアッパー2の他端部(同図における下側)及びリクラロア3の他端部(同図における上側)は、それぞれ円弧状に形成されている。
リクラアッパー2の他端部寄り及びリクラロア3の他端部寄りには、ピン71を挿入するための共通する連結穴22、33(図3参照)がそれぞれ形成されている。このピン71により、リクラアッパー2とリクラロア3とが回動可能に連結されている。
【0010】
リラクロア3には、2つの取付穴31と連結穴33との間に、取付穴34が設けられている。この取付穴34は、ロアカバー6を取付けるためのものである。
リクラロア3において、図4及び図5に示すように、フランジ部32と連結穴33との間に、2つの取付穴31が設けられている。すなわち、取付状態では、リヤシート1の収納時にフランジ部32に作用する荷重は、直接取付穴31に挿入のボルト72からシートクッション12へと伝達され、連結部Aへ伝達しないように逃がすことができる。このため、フランジ部32に作用する荷重のうち連結部A(図3及び図4参照)に伝達される量を抑えることができ(若しくは零)、連結部Aのガタツキ等を防止することができ、製品寿命を延ばすことができる。
【0011】
ステー4は、2個所が略直角に折り曲げられた板状部材で、側面視で略コ字状に形成されている。一端には、上記共締めするための連結穴41(図3参照)が設けられ、他端には、リクライニングカバーを取付けるための取付穴42(図4参照)が設けられている。
【0012】
リクラアッパー2とリクラロア3との回動について説明する。リクラアッパー2の円弧状の部分には、図5に示すように、ストッパ23、24が設けられている。また、リクラロア3の円弧状の部分には、同図に示すように、ストッパ35、36が設けられている。これらのストッパ23、24、35、36の当接によりシートバック11のリクライニング角度の限界を規制している。
すなわち、シートバック11を前傾していくと、リクラアッパー2のストッパ23とリクラロア3のストッパ35とが当接する。シートバック11は、これ以上前傾できない。また、シートバック11を後傾していくと、リクラアッパー2のストッパ24とリクラロア3のストッパ36とが当接する。シートバック11は、これ以上後傾できない。こうして、シートバック11のリクライニング角度の限界を規制している。
【0013】
次に、リクライニングカバーについて説明する。リクライニングカバーは、図3及び図4に示すように、アッパーカバー5とロアカバー6とで構成されている。アッパーカバー5は、図6に示すように、正面視が略だ円形状である。より詳細には、長手方向一端部(同図における上方側)が円形で、他端部(同図における下方側)が緩やかな平坦形状であり、両者を略平行部で連続的につなぐ形状である。略平行部には、長手方向中央部から他端部に向けて立上り部51が設けられており、また、他端部には、一方向に開口する切欠部52が設けられている。
アッパーカバー5には、裏面側へ窪む凹部53(図3及び図4参照)が設けられており、この凹部53には、貫通穴54(図6参照)が1つ設けられている。
【0014】
ロアカバー6は、図7(a)に示すように、正面視(背面視)が外形略正方形状である。一端部及び他端部は、同図(b)に示すように、それぞれフランジ状となっており、略中央部には、裏面側へ窪む凹部61が設けられている。この凹部には、貫通穴62が1つ設けられている。
一端部(同図における上側)には、外形が一定曲率の突出部63が設けられている。他端部(同図における下側)には、表面が波形状(図7(a)参照)の取手部64が設けられている。取手部64は、人間工学的に持ち易い形状になっている。
ロアカバー6の内面側には、他端部寄りに一対のリブ65が所定間隔をあけて設けられている。また、一対のリブ65に挟まれるように、3つのリブ66が設けられている。リブ65とリブ66とは、側面視で共通する空間67を形成するようになっている(図7(b)参照)。
【0015】
アッパーカバー5は、図3及び図4に示すように、ステー4を介してリクラアッパー2(シートバック11側)に取付けられる。具体的には、アッパーカバー5の貫通穴54(図6参照)から挿入したスクリュー73とステー4の取付穴42(図4参照)との螺合により締結される。
ロアカバー6は、リクラロア3(シートクッション12側)に取付けられる。具体的には、ロアカバー6の貫通穴62から挿入したスクリュー73とリクラロア3の取付穴34(図4参照)との螺合により締結される。
【0016】
アッパーカバー5とロアカバー6とを取付けた状態では、ロアカバー6の突出部63がアッパーカバー5の後方に位置している。すなわち、アッパーカバー5の下部とロアカバー6の突出部63とがラップするように、アッパーカバー5は、ステー4にスクリュー73にて固定されている。
この突出部63により、アッパーカバー5とロアカバー6とに挟まれた隙間から内部が見えないように目隠しされる(図3参照)。また、この突出部63により、ロアカバー6の剛性が向上される。なお、シートバック11が回動しても、アッパーカバー5とロアカバー6とが干渉することはない。
また、この取付状態では、フランジ部32が空間67(図7(b)参照)に入り込むようになっている。すなわち、リブ65、66によりフランジ部32が挟まれる。こうして、リクラロア3とロアカバー6とが一体化される(図3参照)。このため、取手部64を持ってリヤシート1を折り畳む際に、取手部64のたわみを少なくすることができ、剛性感を与えることができる。また、部品の破損等を防止することができる。
アッパーカバー5とロアカバー6とにより、リクライニング構造全体が覆われる。リクライニングカバーを、別体のアッパーカバー5及びロアカバー6で構成しているので、シートのリクラ性能に影響しない。
【0017】
なお、リクラロア3のフランジ部32は、折曲げではなく、一体成型により設けても良い。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係るリクライニング構造は、シートクッションに固定される第1の固定部材と、シートバックに固定されるとともに上記第1の固定部材と回動可能に連結される第2の固定部材と、上記第1の固定部材に折曲げ又は成型により設けられたフランジ部とを備えるので、部品点数を削減することができ、位置決め等比較的手間がかかるスポット溶接等を行う必要がなくなり、組付工数を削減することができ、コストダウンを容易に行うことができる。また、第2の固定部材にスポット溶接するためのスペースを確保しておく必要がなく、設計上の制約を緩和することができるとともに、リクライニング構造をコンパクトにすることができる。
【0019】
また、本発明に係るリクライニング構造は、シートクッションに固定される第1の固定部材と、シートバックに固定されるとともに上記第1の固定部材と回動可能に連結される第2の固定部材と、上記第1の固定部材に設けられたフランジ部と、上記第1の固定部材に、上記第2の固定部材との連結位置と上記フランジ部との間に設けられたシートクッション用の取付穴とを備えるので、第1の固定部材のフランジ部に荷重が作用したときには、第2の固定部材との連結部にかかる荷重を極めて小さくすることができ、この連結部における円滑な回動を保持することができる。
【0020】
また、本発明に係るリクライニングカバーの取付構造は、上記リクライニング構造を覆うリクライニングカバーの取付構造であって、上記リクライニングカバーを構成するロアカバー側に、フランジ部に対応する取手を設けたので、シートが持ち易くなり、シート収納時の作業性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明に係るリクライニングカバーの取付構造は、上記リクライニングカバーを構成するアッパーカバー側に延びるように、上記ロアカバーに突出部を形成したので、アッパーカバーとロアカバーとの合わせ部の外観性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のリクライニングカバーの取付構造を採用したリヤシートの斜視図である。
【図2】図1のリクライニングカバー付近を部分的に表した斜視図である。
【図3】図2の線III −III による断面図である。
【図4】図2のリクライニングカバー及びリクライニング構造の分解斜視図である。
【図5】リクライニング構造の正面図である。
【図6】アッパーカバーの背面下方側から見た斜視図である。
【図7】(a)は、ロアカバーの背面図、(b)は、(a)の線VIIb−VIIbによる断面図である。
【図8】リクライニング構造付きのシートの一般的な収納の様子を表した側面図であり、(a)は、スライド方式の場合、(b)は、回転方式の場合をそれぞれ示す。
【図9】リクライニング構造に取手を設ける場合の斜視図であり、アッパーカバー及びロアカバーを外した状態を示す。
【符号の説明】
1 リヤシート(シートアッセンブリ)
11 シートバック
12 シートクッション
2 リクラアッパー(リクライニング)
21、31、34、42 取付穴
22、33、41 連結穴
3 リクラロア(リクライニング)
3a リクラロア(上)
3b リクラロア(下)
32 フランジ部
4 ステー
5 アッパーカバー
51 立上り部
52 切欠部
53、61 凹部
54、62 貫通穴
6 ロアカバー
63 突出部
64 取手部
65、66 リブ
67 空間
71 ピン
72 ボルト
73 スクリュー
A 連結部
Claims (4)
- シートバックを前倒してシートクッションに重ねた後、リクライニング構造に設けた収納操作用の取手部を持ってシート全体を折畳んで収納する自動車用シートにおいて、前記リクライニング構造は、シートバックに固定されるリクラアッパーと、シートクッションに固定されるリクラロアとを備え、該リクラアッパーと該リクラロアのそれぞれに設けた連結穴にピンを挿入することにより互いを回動可能に連結するとともに、前記リクラロアの先端部に折曲げまたは成形により設けたフランジ部を、前記シート収納操作時における前記取手の荷重保持部とし、前記フランジ部と前記リクラロアに設けた連結穴との間に、前記リクラロアを前記シートクッションに固定するための取付穴を設け、さらに前記リクライニング構造を覆うリクライニングカバーの前記フランジ部に対応する位置に、前記取手部を設けたことを特徴とする自動車用シート。
- 請求項1において、前記リクライニングカバーの内面側に、前記フランジ部が入り込んで挟まれる空間を形成するリブを設けたことを特徴とする自動車用シート。
- 請求項2において、前記取手部は前記リクライニングカバーの表面を波形状に形成することにより設けたことを特徴とする自動車用シート。
- 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記リクラアッパーに取付けられるアッパーカバーと、前記リクラロアに取付けられるロアカバーにより前記リクライニングカバーを構成し、前記リクラロアに設けた前記シートクッションに固定するための取付穴と前記連結穴との間に、前記ロアカバーを取付けるためのロアカバー取付穴を設けるとともに、前記アッパーカバーと前記ロアカバーをリクライニング構造に取付けた状態で、前記アッパーカバーの後方に位置して該アッパーカバーの下部とラップする突出部を前記ロアカバーに設けたことを特徴とする自動車用シート。
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